説明

カラーフィルタ

【課題】
優れた分光特性を有し、LCDに高明度と高彩度を同時に付与することができるカラーフィルタの提供。
【解決手段】
少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント、および少なくとも1つの緑色フィルタセグメントを具備し、該少なくとも1つの赤色フィルタセグメントの、波長が570nmの光に対する吸光度(A570)と波長が595nmの吸光度(A595)との比(A570/A595)が20以上であり、かつ少なくとも1つの赤色フィルタセグメントが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、感光性樹脂、モノマーまたはオリゴマーを単独または2種以上混合してなる着色料担体と、該着色料担体に分散された微細化ジケトピロロピロール系顔料を含む赤色着色組成物から形成されてなることを特徴とするカラーフィルタにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置および固体撮像素子に用いられるカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ(以下、LCDという)には、カラー化の要請に対応するために、カラーフィルタが用いられている。例えば、薄膜トランジスタ(TFT)方式のLCDで用いられているカラーフィルタは、透明基板上に形成された赤(R)、緑(G)および青(B)の3原色の光に対応したフィルタセグメントを有しており、R、GおよびBの3原色の光をカラーフィルタによって分光させることにより、カラー表示が行なわれる。したがって、カラーフィルタに要求されるもっとも重要な特性は、分光特性である。
【0003】
一般に、カラーフィルタとして望ましい分光特性は、バックライト光源である3波長管の発光輝線において、色の主波長の透過率が高く、その他の波長領域の透過率が低いことである。一般的な3波長管の発光輝線の波長は、主として、580nmおよび610nm(R)、490nmおよび540〜545nm(G)ならびに460nm(B)などである。したがって、カラーフィルタを構成する赤色フィルタセグメントの場合は、波長が610nmおよび580nmの光に対する透過率が高く、それ以外の波長の光に対する透過率をできるかぎり低くおさえられているものが望ましく、その他の色のフィルタセグメントについても同様である。さらに、TFT方式のLCD用のカラーフィルタには、省エネルギーの点からも、高明度かつ高彩度であることが要求されている。
【0004】
一方、赤色フィルタセグメントを製造する場合には、要求される色特性を得るために2種類以上の顔料を用いて調色するのが一般的であり、従来、主顔料としてはジアントラキノン顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等が用いられている。特に、ジケトピロロピロール系顔料は、明度が高く、耐光性、耐熱性にも優れているため、カラーフィルタ用顔料として使用されるケースが増えてきている。また、調色用には黄色顔料としてC.I. Pigment Yellow139やC.I. Pigment Yellow83などが使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、明度を高めさらに色純度をあげるなどカラーフィルタに対する要求が日増しに高まる中、微細化や微分散を行っても上記顔料の単なる配合では色特性の向上に限界があった。そこで、本発明は、優れた分光特性を有し、LCDに高明度と高彩度を同時に付与することができるカラーフィルタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
通常、赤色フィルタセグメントには、その透過率スペクトルが570nm前後で立ち上がり、それより長波長側の光を透過し、それより短波長側の光を透過しないことが求められる。そして、この立ち上がり勾配が急であるほど、高い明度が達成できる。このことから、本発明者らは、RGB型カラーフィルタを構成する赤色フィルタセグメントの分光特性として、透過スペクトルが立ち上がり始める直後の波長である570nmの吸光度(A570)と透過スペクトルが立ち上がり終わる直前の波長である595nmの吸光度(A595)との比(A570/A595)をできるだけ大きくすること、具体的にはA570/A595を20以上にすることによって、高い明度を達成できることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、 少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント、および少なくとも1つの緑色フィルタセグメントを具備し、該少なくとも1つの赤色フィルタセグメントの、波長が570nmの光に対する吸光度(A570)と波長が595nmの吸光度(A595)との比(A570/A595)が20以上であり、かつ少なくとも1つの赤色フィルタセグメントが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、感光性樹脂、モノマーまたはオリゴマーを単独または2種以上混合してなる着色料担体と、該着色料担体に分散された微細化ジケトピロロピロール系顔料を含む赤色着色組成物から形成されてなることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0008】
また、上記ジケトピロロピロール系顔料は、分光透過率における最低透過率と最高透過率の中間透過率の波長が575nm以上の赤味のジケトピロロピロール系顔料(A)、分光透過率における最低透過率と最高透過率の中間透過率の波長が575nm未満の黄味のジケトピロロピロール系顔料(B)、色素誘導体(C)、水溶性無機塩(D)、および水溶性無機塩(D)を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤(E)を含む混合物を混練した後、水溶性無機塩(D)と水溶性有機溶剤(E)を除去してなる顔料であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、高透過率と高色純度とが両立し優れた赤色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタが得られるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント、および少なくとも1つの緑色フィルタセグメントを具備し、該少なくとも1つの赤色フィルタセグメントの、波長が570nmの光に対する吸光度(A570)と波長が595nmの吸光度(A595)との比(A570/A595)が20以上、好ましくは23以上、さらに好ましくは25以上である。A570/A595が20未満の場合は、明度が低くなり、高明度と高彩度を両立することができない。なお、A570/A595は大きければ大きいほど好ましい。
【0011】
本発明における吸光度とは、物質への入射光の強さをI0とし、その物質を通った後の透過光の強さをIとしたときに、次式で計算される値Aを意味し、一般的には分光光度計によって測定することができる。
A=log10(I0/I)
【0012】
赤色フィルタセグメントは、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物からなる着色料担体と、該着色料担体に分散された赤色顔料を含む赤色着色組成物を用いて形成することができる。赤色顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料、アントラキノン系顔料等が挙げられるが、明度が高いジケトピロロピロール系顔料が好適である。
【0013】
ジケトピロロピロール(以下、DPPという)系顔料は、下記一般式で表される構造の赤色の顔料で、優れた耐光性、耐熱性を有している。
【化1】

式中、X1,X2は、それぞれ独立に、−H、置換されてもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、シアノ基、置換されてもよいアリール基、ハロゲン基を示す。
【0014】
DPP系顔料には、分光透過率における最低透過率と最高透過率の中間透過率の波長が575nm以上の赤味の顔料と、分光透過率における最低透過率と最高透過率の中間透過率の波長が575nm未満の黄味の顔料があり、赤味のDPP系顔料と黄味のDPP系顔料を組み合わせると、A570/A595が大きく明度が高い赤色フィルタセグメントが形成できるため好ましい。さらに、分光透過率における最低透過率と最高透過率の中間透過率の波長が575nm以上の赤味のDPP系顔料(A)、分光透過率における最低透過率と最高透過率の中間透過率の波長が575nm未満の黄味のDPP系顔料(B)、色素誘導体(C)、水溶性無機塩(D)、および水溶性無機塩(D)を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤(E)を含む混合物を混練(以下、コニーディングということもある。)した後、水溶性無機塩(D)と水溶性有機溶剤(E)を除去してなるDPP系顔料は、赤味のDPP系顔料と黄味のDPP系顔料を別々に微細化処理して混合し調色したものと比較して明度が高くなるため特に好ましい。
【0015】
赤味のDPP系顔料(A)の具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、C.I. Pigment Red254、264が挙げられ、それぞれ分光透過率における最低透過率と最高透過率の中間透過率の波長(以下、半値波長という。)は580nm、600nmである。本発明においては、明度が高いC.I. Pigment Red254を用いることが好ましい。また、黄味のDPP系顔料(B)の具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、C.I. Pigment Red255およびC.I. Pigment Orange71が挙げられ、半値波長はそれぞれ570nm、555nmである。特に、赤味のDPP系顔料(A)がC.I. Pigment Red254であり、黄味のDPP系顔料(B)がC.I. Pigment Orange71またはC.I. Pigment Red255の場合には、コニーディングした場合の明度向上効果が大きいため好ましい。
【0016】
本発明の赤色着色組成物には、要求される色特性に応じて、黄色顔料を含有させることができる。黄色顔料としては、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199等があげられる。
【0017】
色素誘導体(C)は、有機色素の分子に置換基を導入した化合物であり、コニーディング時のDPP系顔料の結晶成長を抑制する働きをするものである。色素誘導体の母体となる有機色素の構造としては、DPP系、キナクリドン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、イソインドリン系、キノフタロン系、金属錯体系などがある。有機色素は、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色系の芳香族多環化合物でも良い。なかでも、DPP系またはキナクリドン系色素を母体骨格とする色素誘導体は、特にDPP系顔料の結晶成長を抑制する効果が高いため好ましい。また、色素誘導体としては、DPP系顔料の色相に対する影響の少ない、黄色、橙色、赤色の色相を有するものが好適に用いられる。
【0018】
有機色素に導入する置換基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルバモイル基、スルホンアミド基、あるいは下記一般式で示される塩基性置換基が挙げられる。
【化2】

Y:直接結合、−CH2NHCOCH2−、−SO2NH−、−CONHOCH2NH−、または−(CH2)qNH−を表す。
1、R2:それぞれ独立に、置換されてもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、またはR1、R2で窒素、酸素もしくは硫黄原子を含む置換されてもよい複素環を表す。
【0019】
【化3】

Z:直接結合、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−(CH2)q−、−SO2NH−、−CONH−、−CH2NHCOCH2NH−、または−(CH2)qNH−を表す。ただし、qは1〜10の整数を表す。
3、R4、R5、R6:それぞれ独立に、水素原子、置換されてもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、またはアリール基を表す。
7:置換されてもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基またはアリール基を表す。
【0020】
色素誘導体の具体例を表1に示す。
【表1】

【0021】
DPP系顔料(A)、(B)色素誘導体(C)、水溶性無機塩(D)、および水溶性有機溶剤(E)の混合物を混練する際に用いる色素誘導体(C)の量は、特に限定はされないが、DPP系顔料(A)、(B)の合計量を基準として0.5〜20重量%、特に2〜15%重量%が好ましい。なお、色素誘導体(C)は分散剤としての効果も有するため、着色料担体中への分散性もよいものを選択するのが好ましいが、結晶成長防止効果の高い色素誘導体と、他の色素誘導体または色素誘導体以外の分散剤とを組み合わせてもよい。色素誘導体以外の分散剤としては、リシノール酸や12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物、塩基性高分子化合物、酸基を含む共重合体、脂肪酸エステル類、脂肪族ポリアミン/ポリエステルグラフト重合体、ポリエチレン/ポリプロピレン付加重合体等の、いわゆる樹脂型分散剤を用いることができる。これらの分散剤は、コニーディング処理時、あるいは着色料担体へのコニーディング処理顔料の分散時に用いられる。
【0022】
樹脂型分散剤として具体的には、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などが用いられる。また、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物、燐酸エステル等が用いられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0023】
水溶性無機塩(D)は、破砕助剤として働くものであり、コニーディング時に無機塩の硬度の高さを利用してDPP系顔料が破砕され、DPP系顔料の一次粒子が微細化される。無機塩(D)は、水に溶解するものであれば特に限定されず、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。コニーディングする際に用いる無機塩(D)の量は、処理効率と生産効率の両面から、DPP系顔料(A)、(B)の合計量の1〜20重量倍、特に3〜10重量倍であることが好ましい。DPP系顔料に対する無機塩の量比が大きいほど微細化効率が高いが、1回の顔料の処理量が少なくなるためである。
【0024】
水溶性有機溶剤(E)は、DPP系顔料(A)、(B)、色素誘導体(C)および水溶性無機塩(D)を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩(D)を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。但し、コニーディング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤(E)としては、例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。
【0025】
コニーディング時には、微細化されたDPP系顔料を乾燥する際の強い凝集を防止し、容易に着色料担体に分散できるようにするため、樹脂を併用することができる。コニーディング時に樹脂を併用することにより、柔らかい粉体顔料を得ることができる。コニーディングに用いる樹脂としては、室温で固体で、水不溶性で、かつ上記有機溶剤に少なくとも一部可溶であるものが好ましく、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が用いられる。天然樹脂としてはロジンが代表的で、変性天然樹脂としてはロジン誘導体、繊維素誘導体、ゴム誘導体、タンパク誘導体およびそれらのオリゴマーが用いられる。合成樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアマイド樹脂等が挙げられる。天然樹脂で変性された合成樹脂としてはロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変成フマル酸樹脂等が挙げられる。樹脂の使用量は、DPP系顔料(A)、(B)の合計量を基準として5〜100重量%の範囲であることが好ましい。
【0026】
コニーディング時には、上記樹脂の他に、顔料分散助剤、可塑剤等の添加剤あるいは一般に体質顔料として用いられている炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ等の無機顔料を併用してもよい。また、色相を調整するために他の顔料と混合して処理を行ってもよい。
【0027】
上記顔料を、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物からなる着色料担体に分散することにより、赤色フィルタセグメントの形成に用いられる赤色着色組成物が得られる。顔料の着色料担体への分散には、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー等の各種分散手段を使用できる。また、これらの分散を良好とするために、適宜、各種界面活性剤、色素誘導体等の分散助剤を添加できる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を着色料担体に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
【0028】
透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、その前駆体には、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーまたはオリゴマーが含まれ、これらを単独または2種以上混合して用いることができる。また、赤色着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化するときには、光開始剤等が添加される。
【0029】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム、セルロース類、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
【0030】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性の置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋生基を前記線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0031】
モノマーおよびオリゴマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0032】
光開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリルs−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光開始剤およびカルバゾール系光開始剤、イミダゾール系光開始剤等が用いられる。
【0033】
上記光開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシムエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
【0034】
赤色着色組成物には、DPP系顔料を充分に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布して赤色フィルタセグメントを形成することを容易にするために溶剤を含有させることができる。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0035】
赤色着色組成物は、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット用印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調製することができる。赤色着色レジスト材は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂または感光性樹脂とモノマー、光開始剤を含有する組成物中に顔料を分散させたものである。
【0036】
顔料は、赤色フィルタセグメントをフォトリソグラフ法により形成する場合には、赤色着色組成物中に1.5〜7重量%の割合で含有されることが好ましく、印刷法により形成する場合には、赤色着色組成物中に1.5〜40重量%の割合で含有されることが好ましい。赤色着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは、0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0037】
先に述べたように、本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント、および少なくとも1つの緑色フィルタセグメントを具備し、ここで、赤色フィルタセグメントは、上記赤色着色組成物を用いて形成される。緑色フィルタセグメントおよび青色フィルタセグメントは通常の緑色着色組成物および通常の青色着色組成物を用いてそれぞれ形成することができる。緑色着色組成物は、赤色顔料の代わりに、例えばC.I. Pigment Green 7、10、36、37等の緑色顔料を用いて得られる組成物である。緑色着色組成物には、先に例示した黄色顔料を併用することができる。また、青色着色組成物は、赤色顔料の代わりに、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60等の青色顔料を用いて得られる組成物である。青色着色組成物には、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、32、42等の紫色顔料を併用することができる。
【0038】
本発明のカラーフィルタは、透明基板上に、印刷法またはフォトリソグラフ法により、各色の着色組成物を用いて各色のフィルタセグメントを形成することにより製造することができる。透明基板としては、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板が用いられる。
【0039】
印刷法による各色フィルタセグメントの形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷によりカラーフィルタを製造する場合には、印刷機上でのインキの流動性の制御が重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0040】
フォトリソグラフ法により各色フィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により塗布する。次いで、必要により乾燥された膜に、フォトマスクを介して紫外線露光を行い、未露光部を溶剤またはアルカリ現像液で除去してパターン形成したのち、同様の操作を他色について繰り返して、カラーフィルタを製造することができる。フォトリソグラフ法によれば、印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0041】
アルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。なお,紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0042】
顔料を用いるカラーフィルタの製造法としては、上記の他に電着法、転写法などがあるが、本発明の着色組成物は、いずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により着色材を透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層を所望の透明基板に転写させる方法である。
【0043】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。また、実施例で用いた色素誘導体は、表1に示したものである。
【0044】
(アクリル樹脂溶液の調製)反応容器にシクロヘキサノン450部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 20.0部メチルメタクリレート 10.0部ブチルメタクリレート 55.0部ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0部アゾビスイソブチロニトリル 4.0部滴下後さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量が約40000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0045】
[実施例1]
DPP系顔料(チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガジンDPP RED BO」、C.I. Pigment Red254)106.4部、DPP系顔料(チバスペシャルティケミカルズ社製「クロモフタール DPP オレンジTR」、C.I. Pigment Orange71)45.6部、DPP系色素誘導体(e)8部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール190部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で10時間混練した。つぎにこの混合物を3リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして塩化ナトリウムおよび溶剤を除いた後、80℃で1昼夜乾燥し、156.8部のカラーフィルタ用顔料を得た。
【0046】
得られた顔料を含む下記の組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過しDPP系顔料分散体を作製した。
顔料 9.5部
DPP系色素誘導体(e) 0.5部
アクリル樹脂溶液 50.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 40.0部
ついで、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型赤色レジスト材を作製した。
DPP系顔料分散体 60.0部
アクリル樹脂溶液 11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート 4.2部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」) 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.4部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 23.2部
【0047】
得られたレジスト材を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて500rpm、1000rpm、1500rpm、2000rpmの回転数で塗布し、膜厚が異なる4種の塗布基板を得た。次に、70℃で20分乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJで紫外線露光を行った。露光後230℃で1時間加熱して放冷し、ガラス基板上に赤色塗膜を形成した。
【0048】
[実施例2]
DPP系顔料「クロモフタール DPP オレンジTR」をDPP系顔料(チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガジンDPPスカーレットEK」に代えた以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタ用顔料を得た。得られた顔料を用いて、実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を作製し、ガラス基板上に赤色塗膜を形成した。
【0049】
[実施例3]
2種のDPP系顔料を1種のDPP系顔料「イルガジンDPP RED BO」152部に代えた以外は、実施例1と同様にして微細化したC.I. Pigment Red254顔料(以下、微細化PR254顔料という。)を得た。また、2種のDPP系顔料を1種のDPP系顔料「クロモフタール DPPオレンジTR」152部に代えた以外は、実施例1と同様にして微細化したC.I.Pigment Orange71顔料(以下、微細化PO71顔料という。)を得た。得られた顔料を含む下記の組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過しDPP系顔料分散体を作製した。ついで、これを用いて実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を作製し、ガラス基板上に赤色塗膜を形成した。
微細化PR254顔料 6.65部
微細化PO71顔料 2.85部
DPP系色素誘導体(e) 0.5 部
アクリル樹脂溶液 50.0 部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 40.0 部
【0050】
[実施例4]
2種のDPP系顔料を1種のアントラキノン系顔料(チバスペシャルティケミカルズ社製「クロモフタールレッドA2B」、C.I. Pigment Red 177)152部に代えた以外は、実施例1と同様にして微細化したC.I. Pigment Red 177顔料(以下、微細化PR177顔料という。)を得た。得られた顔料を含む下記の組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し顔料分散体を作製した。ついで、これを用いて実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を作製し、ガラス基板上に赤色塗膜を形成した。
微細化PR254顔料 9.03部
微細化PR177顔料 0.47部
DPP系色素誘導体(e) 0.25部
キナクリドン系色素誘導体(f) 0.25部
アクリル樹脂溶液 50.0 部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 40.0 部
【0051】
[比較例1]
2種のDPP系顔料を1種のイソインドリン系黄色顔料(BASF社製「パリオトールエローD1819」、C.I. Pigment Yellow139)152部に代えた以外は、実施例1と同様にして微細化したC.I. Pigment Yellow139顔料(以下、微細化PY139顔料という。)を得た。下記の組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し顔料分散体を作製した。ついで、これを用いて実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を作製し、ガラス基板上に赤色塗膜を形成した。
微細化PR254顔料 7.60部
微細化PY139顔料 1.90部
DPP系色素誘導体(e) 0.35部
キナクリドン系色素誘導体(f) 0.15部
アクリル樹脂溶液 50.0 部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 40.0 部
【0052】
[比較例2]
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し顔料分散体を作製した。ついで、これを用いて実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を作製し、ガラス基板上に赤色塗膜を形成した。
PR254顔料 6.65部
(チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガジンDPP RED BO」、
C.I. Pigment Red254)
PO71顔料 2.85部
(チバスペシャルティケミカルズ社製「クロモフタール DPP オレンジTR」、
C.I. Pigment Orange71)
DPP系色素誘導体(e) 0.5 部
アクリル樹脂溶液 50.0 部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 40.0 部
【0053】
顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて、得られた赤色塗膜のC光源での色度(Y,x,y)を測定した。4組の色度・分光測定結果からx=0.600のときの色度を算出した。また、分光測定結果から、吸光度比(A570/A595)を算出した。結果を表2に示す。
【0054】
【表2】

実施例で形成された、570nmと595nmの吸光度比が20以上と大きい赤色塗膜は、比較例で形成された吸光度比が20未満の赤色塗膜と比較して、いずれも明度(Y値)が高くなっている。
【0055】
次に、赤色フィルタセグメント、青色フィルタセグメント、および緑色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタを作製するために、青色、緑色レジスト材を以下の方法で作製した。
【0056】
(青色レジスト材)下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し銅フタロシアニン分散体を作製した。
ε型銅フタロシアニン顔料 10.0部
(BASF製「ヘリオゲンブルー L-6700F」、C.I. Pigment Blue15:6)
分散剤(ゼネカ社製「ソルスパーズ20000」) 2.0部
アクリル樹脂溶液 40.0部
シクロヘキサノン 48.0部
ついで、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型青色レジスト材を得た。
銅フタロシアニン分散体 60.0部
アクリル樹脂溶液 11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート 4.2部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」) 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.4部
シクロヘキサノン 23.2部
【0057】
(緑色レジスト材)ε型銅フタロシアニン顔料10.0部を銅フタロシアニン系緑色顔料(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン6YK」、C.I. Pigment Green 36)7.6部およびイソインドリン系黄色顔料(BASF社製「パリオトールエローD1819」、C.I. Pigment Yellow 139)1.4部に代えた以外は、青色レジスト材と同様にしてアルカリ現像型緑色レジスト材を得た。
【0058】
ガラス基板に、スピンコートにより、実施例1で得られた赤色レジスト材を表2に示す色度の膜厚となるように塗布した。乾燥後、露光機にてストライプ状のパターン露光をし、アルカリ現像液にて90秒間現像して、ストライプ形状の赤色フィルタセグメントを形成した。なお、アルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム1.5重量% 炭酸水素ナトリウム0.5重量% 陰イオン系界面活性剤(花王社製「ペリレックスNBL」)8.0重量%および水90重量%からなるものを用いた。
【0059】
次に、赤色レジスト材と同様にして、緑色レジスト材を表3に示す色度の膜厚となるように塗布した。乾燥後、露光機にて赤色フィルタセグメントと隣接したストライプ状のパターン露光をし、ストライプ形状の緑色フィルタセグメントを形成した。さらに、赤色レジスト材と同様にして、青色レジスト材を表3に示す下記の色度の膜厚となるように塗布し、赤色、緑色のフィルタセグメントと隣接したストライプ形状の青色フィルタセグメントを形成した。各色のフィルタセグメントの形状は良好であり、解像度も良好であった。最後に、得られたカラーフィルタをオーブン中で230℃にて30分加熱して残存する重合可能な官能基を完全に反応させ、透明基板上に赤色、緑色、青色の3色のストライプ形状のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタが得られた。実施例1で得られた赤色レジスト材を実施例2〜4で得られた赤色レジスト材に代えた以外は同様にして、透明基板上に赤色、緑色、青色の3色のストライプ形状のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタを作製した。
【0060】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント、および少なくとも1つの緑色フィルタセグメントを具備し、該少なくとも1つの赤色フィルタセグメントの、波長が570nmの光に対する吸光度(A570)と波長が595nmの吸光度(A595)との比(A570/A595)が20以上であり、かつ少なくとも1つの赤色フィルタセグメントが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、感光性樹脂、モノマーまたはオリゴマーを単独または2種以上混合してなる着色料担体と、該着色料担体に分散された微細化ジケトピロロピロール系顔料を含む赤色着色組成物から形成されてなることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
微細化ジケトピロロピロール系顔料が、分光透過率における最低透過率と最高透過率の中間透過率の波長が575nm以上の赤味のジケトピロロピロール系顔料(A)、分光透過率における最低透過率と最高透過率の中間透過率の波長が575nm未満の黄味のジケトピロロピロール系顔料(B)であることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
微細化ジケトピロロピロール系顔料が、分光透過率における最低透過率と最高透過率の中間透過率の波長が575nm以上の赤味のジケトピロロピロール系顔料(A)、分光透過率における最低透過率と最高透過率の中間透過率の波長が575nm未満の黄味のジケトピロロピロール系顔料(B)、色素誘導体(C)、水溶性無機塩(D)、および水溶性無機塩(D)を実質的に溶解しない水溶性有機溶剤(E)を含む混合物を混練した後、水溶性無機塩(D)と水溶性有機溶剤(E)を除去してなる顔料であることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
赤味のジケトピロロピロール系顔料(A)がC.I. Pigment Red254であり、黄味のジケトピロロピロール顔料(B)がC.I. Pigment Orange71またはC.I. Pigment Red255であることを特徴とする請求項2または3記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
色素誘導体(C)が、キナクリドン誘導体および/またはジケトピロロピロール誘導体であることを特徴とする請求項3または4記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
さらにアントラキノン系顔料を含むことを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ。

【公開番号】特開2012−103715(P2012−103715A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−281220(P2011−281220)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【分割の表示】特願2001−241393(P2001−241393)の分割
【原出願日】平成13年8月8日(2001.8.8)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】