説明

カラーミラー用着色塗料、自動車用カラーミラーおよびその製造方法

【課題】 カラーミラーの着色層に適切な顔料含有率が高く、発色性に優れた着色塗料を提供し、それら着色塗料を使用して、防眩性、視認性および意匠性に優れた自動車用カラーミラーを提供すること、および自動車用カラーミラーを簡便かつ効率的に製造する方法を提供すること。
【解決手段】 皮膜形成成分と、顔料と、溶剤とを含有するカラーミラー用着色塗料において、Fe,Mn,Co,Ni,Al,Cr,Ti,Sb,Cu,Si,Zn,LiおよびPからなる群より選ばれる1種以上の元素またはそれら元素の酸化物を含有し、かつ一次粒子の平均粒径が0.1μm以下である焼成無機顔料を含む顔料を、皮膜形成成分と顔料との合計質量を基準として、40〜90質量%の範囲で使用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーミラーの分野に関し、より詳細には、自動車用カラーミラーの着色に適した着色塗料、その着色塗料を用いた自動車用カラーミラーおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業を始めとする様々な分野において、カラーミラーが利用されている。特に、近年では、自動車のアウトサイドミラーおよびインサイドミラーの用途に適する防眩性および意匠性に優れるカラーミラーの開発が注目されている。
【0003】
従来の代表的なカラーミラーとして、透明基板の片面に屈折率が異なる複数の膜からなる干渉層と、透明基板の他面に黒色塗装膜とを有するものがある(特許文献1を参照)。特許文献1によるカラーミラーでは、入射光が干渉層で干渉されることによって、鏡面全体又はその一部が着色されて見えるようになっている。しかし、干渉層の形成には、1層毎に蒸着を繰り返し実施する必要があるため、作業工程が長くなり生産効率が悪い。また、蒸着によるカラーミラーは多層膜構造となるため、1バッチ内の取り付け位置によって、各層における膜厚に微妙なバラツキが生じ易い。そのような膜厚のバラツキによって、色相自体にもバラツキが生じるため、色相の管理が困難である。また、干渉層を有するカラーミラーは、見る方向によって色相が変化しやすく、さらに映し出される像が重像となる傾向がある。
【0004】
干渉層を使用せずにミラーに色調を付与する方法として、透明基板の片面に着色層を形成する方法がある。例えば、ゾル・ゲル法に従い着色塗料を透明基板の片面に塗布して着色層を形成し、透明基板の他面に反射膜を形成することによって得られるカラーミラーが報告されている(特許文献2を参照)。特許文献2では、ゾル・ゲル液の塗布によって着色層を容易に形成することが可能であり、また顔料の適切な選択によってカラーミラーにおける所望の色相を実現することが可能であることを開示している。さらに、必要に応じて着色層に光触媒物質を添加するか、又は光触媒物質からなる光触媒層を追加することによって、カラーミラーに光触媒作用を付与することが可能であることを開示している。
【特許文献1】特開平2−178603号公報
【特許文献2】特開2001−290012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のカラーミラーにおける着色層は、着色層を形成する着色塗料中の顔料含有率が低い。そのため、それらを自動車用カラーミラーの用途に適用した場合、カラーミラーは非常に薄い色調となる傾向があり、防眩性および意匠性を満足することは困難となるため、さらなる改良が望まれている。
【0006】
したがって、本発明では、上述の状況に鑑みて、カラーミラーの着色層に適切な顔料含有率が高く、発色性に優れた着色塗料を提供することを課題とする。さらに本発明では、それら着色塗料を使用して、防眩性、視認性および意匠性に優れた自動車用カラーミラーを提供すること、および自動車用カラーミラーを簡便かつ効率的に製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
塗膜の色調は、塗膜の厚さおよび着色塗料における顔料含有率によって調整することが可能である。カラーミラーに適用される着色層の膜厚は概ね10μm以下であり、そのような膜厚で望ましい色調を実現するためには、着色塗料の顔料含有率を高める必要がある。従来の着色塗料では、着色層の透明性、耐擦傷性、および耐熱性等の観点から着色塗料に使用可能な顔料、およびその含有率は著しく制限されている。代表的に、着色層に使用される着色塗料の顔料含有率は、固形成分の全質量を基準として1〜30%以下となっている。
【0008】
このような状況下、本発明らは、カラーミラーの着色層に向けた着色塗料について鋭意検討を重ねた結果、特定の焼成無機顔料を使用することによって所期の効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下のとおりである。
【0009】
本発明による着色塗料は、カラーミラーの着色層に使用するカラーミラー用着色塗料であり、皮膜形成成分と、顔料と、溶剤とを含有し、上記顔料が、Fe,Mn,Co,Ni,Al,Cr,Ti,Sb,Cu,Si,Zn,LiおよびPからなる群より選ばれる1種以上の元素またはそれら元素の酸化物を含有し、かつ一次粒子の平均粒径が0.1μm以下である焼成無機顔料を含み、上記顔料の含有率が、上記皮膜形成成分と上記顔料との合計質量を基準として、40〜90質量%であることを特徴とする。ここで、上記皮膜形成成分が、未変性又は変性シリコーン樹脂、コロイダルシリカ、アルキルシリケート、および水ガラスからなる群より選ばれる1種以上を含有する無機バインダーであることが好ましい。
【0010】
上記カラーミラー用着色塗料の製造方法は、皮膜形成成分および顔料を溶剤中で混合し、次いで顔料をビーズミル、ボールミル、サンドミル、三本ロール、またはペイントシェーカーによって分散混練することを含み、上記溶媒中に分散された上記顔料の平均粒径が0.1μm以下であることを特徴とする。
【0011】
本発明によるカラーミラーは、ガラス基板の片面に反射層を有し、上記ガラス基板の他面に本発明によるカラーミラー用着色塗料からなる着色層を有することを特徴とする。ここで、上記着色層の上面に光触媒層をさらに有することが好ましい。また、別法として、本発明によるカラーミラーは、ガラス基板の片面に本発明によるカラーミラー用着色塗料からなる着色層と、上記着色層の上面に反射層とを有することを特徴とする。ここで、上記ガラス基板の他面に光触媒層をさらに有することが好ましい。
【0012】
また、本発明によるカラーミラーは、D65光源10°の条件下で測定した上記カラーミラーからの反射光の色度が、CIE−XYZ表色系色度図のxおよびy座標において、下式(I)および(II)
0.20≦x≦0.45 (I)
0.25≦y≦0.45 (II)
(式中、xおよびyは、それぞれ光源色の三刺激値X、Y、Zに対応する色度座標変換値を表す)を満足することが好ましい。
【0013】
また、上記カラーミラーが、自動車用のインサイドミラーおよびアウトサイドミラーであることが好ましい。
【0014】
本発明によるカラーミラーの製造方法は、着色層を有するカラーミラーの製造に向けたものであって、(a)ガラス基板を洗浄する工程と、(b)ガラス基板の片面に本発明によるカラーミラー用着色塗料を塗布して塗膜を形成する工程と、(c)上記ガラス基板上の塗膜を焼成して着色層を形成する工程と、(d)上記ガラス基板の他面または上記着色層の上面に反射層を形成する工程とを有することを特徴とする。ここで、上記工程(c)における焼成と同時に上記ガラス基板の曲げ加工を実施することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、顔料含有率が高く、カラーミラーに様々な色調を付与することが可能な着色塗料を提供することが可能であり、そのような着色塗料をガラス基板に塗布して着色層を形成することで望ましい色調を有するカラーミラーを容易に実現することが可能である。本発明は、特に、自動車用カラーミラーの用途に適している。すなわち、本発明によれば、特定の波長に対する応答性に優れ、例えば緑色の望ましい色相および色調を有し、さらに防眩性、視認性、および意匠性に優れた自動車のアウトサイド又はインサイドカラーミラーを簡便かつ効率的に提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0017】
本発明によるカラーミラー用着色塗料は、皮膜形成成分と、顔料と、溶剤とを含有し、顔料が、Fe,Mn,Co,Ni,Al,Cr,Ti,Sb,Cu,Si,Zn,LiおよびPからなる群より選ばれる1種以上の元素またはそれら元素の酸化物を含有し、かつ一次粒子の平均粒径が0.1μm以下である焼成無機顔料を含み、顔料の含有率が、皮膜形成成分と顔料との合計質量を基準として、40〜90質量%であることを特徴とする。
【0018】
カラーミラーにおいて望ましい色調を実現するために、着色層に使用する着色塗料は、透明かつ発色性に優れることが好ましい。また、カラーミラーの製造時および使用時に品質低下が起こらないように、着色塗料は耐熱性、耐候性、および基板に対する密着性に優れることが好ましい。本発明による着色塗料では、Fe,Mn,Co,Ni,Al,Cr,Ti,Sb,Cu,Si,Zn,LiおよびPからなる群より選ばれる1種以上の元素またはそれら元素の酸化物を焼成することによって得られ、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の焼成無機顔料を使用する。本発明で使用する焼成無機顔料は、耐熱性および耐候性に優れ、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の微粒子であるために、着色塗料中のそれらの含有率を高めた場合であっても、優れた透明性を得ることが可能である。使用する顔料の一次粒子の平均粒径が0.1μmを超えると、粒子の光散乱特性が増大し、着色層の透明性および発色性が低下する傾向がある。そのため、本発明で使用する焼成無機顔料の一次粒子の平均粒径は、0.1μm以下、より好ましくは0.07μm以下である。顔料の粒子は、より微細であることが望ましいが、実用面から平均粒径は0.06μm程度までが適当である。なお、本発明で使用する顔料は、一次粒子が凝集して二次粒子を形成していてもよいが、少なくともそれらが分散処理によって着色ペーストまたは塗料成分中に分散安定化された時に顔料の平均粒径は0.1μm以下にならなければならない。
【0019】
本発明で使用する焼成無機顔料は、Fe,Mn,Co,Ni,Al,Cr,Ti,Sb,Cu,Si,Zn,LiおよびPからなる群より選ばれる1種以上の元素またはそれら元素の酸化物を含有するものであり、各元素に由来する色を基本色とし、各元素またはそれら元素の酸化物を適宜組み合わせることによって、様々な色相を実現することが可能である。
【0020】
以下、本発明で使用可能な焼成無機顔料と色相との関係を例示する。例えば、酸化鉄(Fe)は、酸化の程度に応じ、ベンガラと呼ばれる赤色、黒色または黄色を示す。
【0021】
また、酸化マンガン(Mn)は赤紫色、酸化コバルト(CoO)は薄緑色、酸化銅(CuO)は薄緑色、酸化クロム(Cr)は緑色、酸化亜鉛(ZnO)および二酸化チタン(TiO)は白色、アルミナ(Al)は灰白色を示す。
【0022】
2種以上の元素またはそれら元素の酸化物を含有する焼成無機顔料は、複合焼成無機顔料としても知られている。例えば、2種以上の元素の組み合わせとして、AlCoはコバルトブルー、CoCrはコバルトブラック、およびCoCrNiはコバルトグリーンとして知られる色相をそれぞれ示す。
【0023】
また、2種以上の元素の酸化物の組み合わせとして、例えば、(Co−Si−Zn)酸化物、(Co−Al)酸化物、(Co−Al−Cr)酸化物、(Co−Zn−Al)酸化物、および(Co−Ti−Li−Al)酸化物は、青色を示す。(Co−Al−Cr−Zn)酸化物、(Co−Cr−Zn−Ti)酸化物、(Co−Cr−Al−Ti)酸化物、(Co−Al−Cr)酸化物、(Co−Cr)酸化物、(Co−Ti)酸化物、(Co−Ni−Zn−Ti−Sb)酸化物、および(Co−Ni−Ti−Li)酸化物は、緑色を示す。(Co−Ni−Zn−Ti)酸化物は、黄緑色を示す。(Ti−Ni−Sb)酸化物、(Ti−Ni−Cr−Sb)酸化物、(Ti−Cr−Sb)酸化物、(Ti−Fe)酸化物、および(Ti−Nb−Ni−Co)酸化物は、黄色を示す。(Ti−Fe−Zn)酸化物は赤黄を示す。(Fe−Zn)酸化物、(Fe−Zn−Cr)酸化物、および(Fe−Cr)酸化物は、茶色を示す。(Cu−Cr)酸化物、(Cu−Cr−Mn)酸化物、(Co−Fe−Cr)酸化物、(Cu−Fe−Mn−Al)酸化物、(Cu−Fe−Mn)酸化物、および(Fe−Mn)酸化物は、黒色を示す。(Co−Li−P)酸化物は、紫色を示す。(Ca−Sn−Si−Cr)酸化物は、ピンク色を示す。その他、各種元素の組み合わせまたは各種元素の酸化物の組み合わせによって、またそのような組み合わせにおける各種元素または酸化物の配合比を調整することによって、様々な色相を実現することが可能である。
【0024】
本発明で使用する無機焼成顔料は、当業者に周知の湿式合成法によって製造することが可能である。例えば、複合焼成無機酸化物顔料は、始めに金属元素を含む溶液を均一に混合し、その混合液中の金属複合物を沈殿させ、さらに加熱焼成する。引き続き、加熱焼成した金属複合物を水洗し可溶性塩類を除去した後に、それらを乾燥し粉砕することによって、顔料となる金属酸化物の固溶体粉末を得ることが可能である。このような無機焼成顔料は、市販品として入手することも可能である。例えば、コバルトブルー(Co−Al)酸化物顔料としてアサヒ化成工業株式会社製「CR−4」(商品名)、透明ベンガラ(Fe)顔料として堺化学工業株式会社製「FRO−3」(商品名)が挙げられる。
【0025】
本発明では、所望の色相を得るために、無機焼成顔料および複合無機焼成顔料以外に、必要に応じて、フタロシアニンブルー、フタロシタニングリーン、および臭素化フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系化合物の青色または緑色有機顔料、イソインドリノン系化合物の黄色有機顔料、金属錯体アゾ系および縮合アゾ系の化合物、アントラキノン系化合物、およびジケトピロロピロール系化合物等のオレンジ色または赤色有機顔料等の有機顔料を、補助顔料として使用してもよい。有機顔料についても、透明性および耐候性に優れ、平均粒径が0.1μm以下の微粒子であることが好ましい。
【0026】
着色塗料の顔料含有率は、塗膜を構成する固形成分、すなわち皮膜形成成分と顔料との合計質量を基準として、10質量%程度とした場合でも発色性を有する。しかし、カラーミラーにおいて望ましい色調を実現するために、顔料含有率は、皮膜形成成分と顔料との合計質量を基準として、40〜90質量%、より好ましくは45〜80質量%、さらに好ましくは50〜70質量%とすることが望ましい。顔料の含有率が40質量%未満となると、着色層の発色性が悪くなり、カラーミラーとして満足できる色調を得ることが困難となる。一方、顔料含有率が90質量%を超えると(即ち、バインダー等の皮膜形成成分の割合が10質量%以下となると)、ガラス基板に対する密着性、および塗膜強度といった着色層の機械的特性が低下するので好ましくない。
【0027】
本発明による着色塗料では、皮膜形成成分として、有機および無機バインダーのいずれを使用してもよい。有機バインダーを使用する場合は、硬化剤等の各種添加剤を追加してもよい。特に限定するものではないが、着色層の透明性、耐熱性、耐候性、および基板に対する密着性を考慮して、無機バインダーを使用することが好ましい。無機バインダーの具体例としては、シリコーン樹脂、および一般にストレートシリコーン樹脂と称されるジメチルシリコーン樹脂、並びにメチルフェニルシリコーン樹脂といった未変性シリコーン樹脂、またはメチルハイドロジェンシリコーン樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、シリコーンエポキシ樹脂、シリコーンアクリル樹脂、シリコーンアルキド樹脂、シリコーンフェノール樹脂、およびシリコーンポリウレタン樹脂といった変性シリコーン樹脂、 コロイダルシリカ、 メチルシリケート、エチルシリケート、およびブチルシリケート等のアルキルシリケート、および水ガラスを含む、分子内にシロキサン結合(−Si−O−Si−)を有する化合物が挙げられる。そのような化合物は、代表的な有機バインダー成分における炭素結合(−C−C−)と比較して、結合エネルギーが大きく安定であり、高温下でも塗膜の収縮が少なく、また塗膜が高硬度となる点でも優れている。なお、着色塗料における皮膜形成成分の含有率は、皮膜形成成分と顔料との合計質量を基準として、10〜60質量%、より好ましくは20〜55質量%、さらに好ましくは30〜50質量%である。皮膜形成成分の含有率が、60質量%を超えると発色性が低下し、10質量%未満となるとガラス基板に対する密着性、および塗膜強度といった着色層の機械的特性が低下する傾向がある。
【0028】
本発明で使用可能な溶剤は、着色塗料の溶剤として一般に使用される有機溶剤であってよい。特に限定されるものではないが、無機バインダーを含む皮膜形成成分との相溶性に優れたものであればよく、トルエンおよびシクロヘキサノン等の芳香族系、 酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル系、メチルエチルケトン等のケトン系、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することが可能である。着色塗料中の溶剤量は、特に限定されるものではなく、着色塗料の粘度等を考慮して適宜調整することが可能である。実用面を考慮すると、皮膜形成成分100質量部に対して、1000質量部以下の溶剤量とすることが好ましい。より具体的には、着色塗料における皮膜形成成分と顔料との合計含有率が、着色塗料の全質量を基準として、5〜50質量%となる範囲で溶剤を使用することが好ましい。
【0029】
本発明による着色塗料は、皮膜形成成分と、顔料と、必要に応じて使用する各種添加剤と、有機溶剤とを含む着色塗料成分を混合し、顔料を混練分散させることによって得られる。本発明で使用する焼成無機顔料は、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下と微細であるため、二次粒子に凝集しやすい傾向がある。透明性に優れた着色層を得るためには、顔料中の二次粒子を解凝集し、顔料を一次粒子の状態で均一に分散させなければならない。そのため、混練分散には、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、三本ロール、およびペイントシェーカー等の機械的手段を用いる強いせん断力が必要となる。せん断力等の条件は、所望の分散状態が得られるように、使用する機械に応じて適宜調整を行う。特に限定されるものではないが、本発明では、1mm径以下の微小メディアボールを使用したビーズミル分散機を用いて混練分散を実施することが好ましい。
【0030】
顔料の分散性を向上させるために、必要に応じて、加熱しても、着色塗料に分散剤を添加してもよい。本発明で使用可能な分散剤は、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、またはフッ素樹脂からなる骨格に、カルボン酸基またはアミノ基を導入して得られる分散剤が挙げられる。なお、分散剤は、塗膜を形成するものではなく、通常、300℃以上の高温で実施される塗膜の焼成時に蒸発または消失する。その他、本発明による着色塗料では、必要に応じて、適切な塗料特性を付与するためのレベリング剤、消泡剤等の各種添加剤、および焼成後に得られる着色層に望ましい性能を付与するための光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の各種添加剤を追加してもよい。
【0031】
本発明によるカラーミラーは、ガラス基板と、本発明によるカラーミラー用着色塗料からなる着色層と、反射層とを有することを特徴とする。本発明によれば、特定のカラーミラー用着色塗料から着色層を構成するため、望ましい色調を有するカラーミラーを提供することが可能である。また、着色塗料中の顔料を適切に選択することによって、従来法では実現が困難である様々な色相のカラーミラーを提供することが可能である。カラーミラーの色相は、それらの用途に応じて着色塗料の色相および塗膜の厚さを適切に選択することによって調整することが可能である。本発明によるカラーミラーの好ましい実施形態として、カラーミラーの反射光の色度が、D65光源10°の条件下で測定した場合に、CIE−XYZ表色系色度図のxおよびy座標において、下式(I)および(II)
0.20≦x≦0.45 (I)
0.25≦y≦0.45 (II)
(式中、xおよびyは、それぞれ光源色の三刺激値X、Y、Zに対応する色度座標変換値を表す)を満足することが好ましい。上記式(I)および(II)の範囲の色度を満足するカラーミラーの色相は、より具体的には、以下に示す表1のように大別される。
【表1】

【0032】
色度範囲が上式(I)および(II)を満たす場合、カラーミラーは、グリーン系、ブルー系、ゴールド系、又はオレンジ系の色相を有し、意匠性に優れるとともに、ハロゲンランプ、高出力放電(HID)ランプといった自動車用ランプからの光に対する反射率が低い、すなわち防眩性および視認性に優れる。そのため、そのようなカラーミラーは、自動車用インサイドおよびアウトサイドミラーの用途に適している。
【0033】
図1にカラーミラーの分光反射率特性の一例を示す。図1から分かるように、グリーン系カラーミラーは、380〜460nmの波長域で光の反射率が低下するため、短波長域に強いエネルギーを有するHIDランプからの光に対して優れた防眩性を示すことになる。
【0034】
図2に人間の標準比視感度に関するグラフを示す。図2から分かるように、人間の光に対する視認性は、明所視での(昼間の)ピーク波長が555nm(黄緑色)となり、暗所視での(夜間の)ピーク波長が510nm(青色)となる。このような視感度のズレは「プルキシエシフト」と呼ばれ、暗所では視感度が青色方向に移動することを意味する。そのため、視感度を考慮して色調を適切に選択することによって、視認性および防眩性を高めることが可能である。特に限定するものではないが、グリーン系カラーミラーの視感度は昼間にピークとなるため、視認性に優れ、視感度が移動する夜間は逆に防眩性に優れたものとなる。また、グリーン系カラーミラーは、人間の目に優しい波長であるため非常に好ましい。
【0035】
以下、図面を参照して、本発明によるカラーミラーの詳細について説明する。図3は、本発明によるカラーミラーの一例を示す模式的断面図である。図3に示すように、カラーミラーは、ガラス基板10と、ガラス基板10の片面に設けられた着色層20と、着色層20の表面に設けられた反射層30とを有する。このような構造を有するカラーミラーは、光の入射面、すなわち表面がガラス基板となるため、着色層が直接外部に露出することがなく、耐擦傷性に優れる。図4は、本発明によるカラーミラーの別の例を示す模式的断面図である。図4に示すように、カラーミラーは、ガラス基板10と、ガラス基板の片面に設けられた着色層20と、ガラス基板の他面に設けられた反射層30とを有する。本発明では、カラーミラーの着色層が密着性および耐候性に優れるため、表面が着色層となる従来のカラーミラーと比較して、優れた耐久性を示す。
【0036】
カラーミラーのガラス基板は、特に制限されるものではない。例えば、ソーダガラス等の周知のガラスからなる平板であってよい。
【0037】
着色層の詳細については、先に説明したとおりである。適切な顔料を含有する着色塗料を使用することによって、いかなる色相のカラーミラーであっても容易に実現することが可能である。例えば、グリーン系カラーミラーは、CoCrNi、(Co−Al−Cr−Zn)酸化物、(Co−Ni−Zn−Ti)酸化物等の緑色系顔料を含有する着色塗料によって実現することが可能である。ブルー系カラーミラーは、AlCo、(Co−Si−Zn)酸化物、または(Co−Al)酸化物等の青色系顔料を含有する着色塗料によって実現可能である。ゴールド系カラーミラーは、Feベンガラ黄色、(Ti−Fe)酸化物等の黄色系、または(Fe−Zn)酸化物等の茶色系の顔料を含有する着色塗料によって実現可能である。オレンジ系カラーミラーは、Feベンガラ赤色、(Ti−Fe−Zn)酸化物等の赤黄色系の顔料を含有する着色塗料によって実現可能である。
【0038】
なお、着色層の色調は、着色層の膜厚を一定条件で管理することによって、ロット間の色味のバラツキを減少させ、高品質のカラーミラーを効率良く提供することが可能である。着色層の膜厚は、乾燥膜厚で0.01〜100μm、より好ましくは0.1〜10μmの範囲である。膜厚が0.01μm以下となると発色性が低下し、100μm以上となると塗装作業に要する時間が長くなり、また塗膜の物性が低下する傾向がある。
【0039】
カラーミラーの反射層は、ミラーの反射層として周知の材料および構成であってよい。例えば、光に対して20〜90%の反射率を有する金属および合金からなる単層膜、あるいは多層膜であってよい。反射率の高いAlおよびCr等の金属をスパッタリング等の周知の方法に従い成膜して得られる膜を用途に応じて適宜選択して使用することが好ましい。特に限定されるものではないが、Al蒸着膜は、ミラーに高い反射率、すなわち高い視認性が要求される場合に好適である。例えば、トラックのアウトサイドミラーは、高い位置に取り付けられ、後続車のライトが直接あたることがないため防眩性は不要となるが、リアの確認手段としてアウトサイドミラーが大きく寄与するため高い反射率が必要とされる。また、Cr蒸着膜は、ミラーに防眩性が要求される場合に好適である。例えば、乗用車のアウトサイドミラーはトラック等に比べて低い位置に取り付けられるため、後続車のライトが直接あたり眩しくなり易い。また、乗用車には、ルームミラーがあるため、ドライバーが直接目視できる範囲が広い。したがって、乗用車のミラーにはAl蒸着膜ほどの反射率は必要とされず、むしろCr蒸着膜が好適に使用される。
【0040】
なお、本発明によるカラーミラーでは、必要に応じて、カラーミラーの表面(光が入射する側の面)には当技術分野で周知の保護層、撥水層、親水層、及び光触媒層等の1種以上の層を追加してもよい。各々の層は、所望の機能を奏すれば単層として構成しても多層として構成してもよい。これら追加の層の形成は、特に限定されるものではなく、コーティング法及び蒸着法などの周知の成膜方法によって達成することが可能である。
【0041】
図3で示したカラーミラーの表面(ガラス基板10上)に光触媒層40を設けてなるカラーミラーを図5に例示する。また、図4で示したカラーミラーの表面(着色層20上)に光触媒層40を設けてなるカラーミラーを図6に例示する。
【0042】
本発明によるカラーミラーの製造方法は、先に説明した本発明によるカラーミラーに向けたものである。本発明によるカラーミラーの製造方法は、(a)ガラス基板を洗浄する工程と、(b)ガラス基板の片面に本発明によるカラーミラー用着色塗料を塗布して塗膜を形成する工程と、(c)上記ガラス基板上の塗膜を焼成して着色層を形成する工程と、(d)上記ガラス基板の他面または上記着色層の上面に反射層を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0043】
以下、図7を参照しながら、本発明によるカラーミラーの製造方法における各工程の詳細を説明する。図7は、本発明によるカラーミラーの製造方法の概要を説明するフローチャートである。
【0044】
最初に、超音波洗浄、ブラシ洗浄等の周知の方法を用いて、ガラス基板の表面を洗浄する(S701)。次に、洗浄したガラス基板の表面に本発明によるカラーミラー用着色塗料を塗布し、乾燥(溶剤成分を除去)することによって塗膜を形成する(S702)。本発明で適用可能な塗布方法は、特に限定されるものではないが、例えば、エアスプレー塗装、スピン塗装、ディッピング塗装、カーテン塗装といった方法が挙げられる。着色塗料の塗布は、塗膜の乾燥膜厚が0.01μm〜100μm、好ましくは0.1μm〜10μmとなるように実施することが好ましい。塗膜の乾燥膜厚が0.01μm以下では十分に膜が発色せず、一方、100μm以上では塗装作業の効率が低下し、また塗膜の物性が低下するため好ましくない。
【0045】
次に、ガラス基板上の塗膜を焼成して着色層を形成する(S703)。着色層は、先の工程で形成した塗膜を、通常50〜700℃で1〜60分間にわたって乾燥または焼成させることによって形成することが可能である。しかし、自動車用カラーミラーでは、使用時にそれらの性能を維持できるように、十分な硬度を有することが求められる。そのため、上述の工程に沿って自動車用のカラーミラーを製造する場合には、ガラス基板に着色塗料を塗布した後に、塗膜を600〜800℃で1〜60分間、より好ましくは650〜750℃で1〜10分間にわたって焼成を実施する。このように高温下で焼成を実施することによって、着色層に十分な硬度を付与することが可能となる。一般的な自動車用ミラーの製造には、ガラス基板に曲げ加工を施す工程が含まれる。曲げ加工は、通常600〜800℃の高温下で実施されるため、そのような曲げ加工の際に塗膜の焼成を実施することも可能である。すなわち、本発明による製造方法では、ガラス基板上の塗膜の焼成と同時にガラス基板の曲げ加工を実施することにより、より効率的にカラーミラーを製造することが可能である。より具体的には、例えば、当技術分野で周知の珪藻土またはセラミック製の曲げ型に、塗膜を有するガラス基板を設置し、その曲げ型を600〜800℃に加熱した高熱炉に入れてガラス基板を軟化させると同時に塗膜を焼成し着色層を形成する。次いで、曲げ型に設けられた複数の穴からバキュームすることによって、着色層を有するガラス基板を型に沿って曲げ、高熱炉から曲げ型を出して冷却した後に、曲げ加工された着色層を有するガラス基板を取り出すことによって、曲げ加工と塗膜の焼成とを同時に実施することが可能である。
【0046】
次に、着色層を有し、かつ必要に応じて曲げ加工されたガラス基板に、反射層を形成する(S704)。反射層は、ガラス基板上の着色層の上面に設けても、またはガラス基板の裏面に設けてもよい。なお、反射層の成形加工に先立ち、超音波洗浄、ブラシ洗浄といった周知の洗浄方法を用いて、着色層を有するガラス基板を洗浄することが好ましい。反射層は、特に限定されるものではないが、Cr等の金属をスパッタ法に従って成膜することによって形成することが可能である。別法としては、Al等の金属を蒸着法にしたがって成膜することによって形成することが可能である。なお、Al蒸着膜から反射層を構成する場合、ブタジエンメラミン系塗料等をフローコータを使用してAl蒸着膜上に塗布することによって、Al蒸着膜を腐食から保護する必要がある。
【0047】
このように、本発明によれば、着色層を着色塗料の塗布によって形成するため、スパッタ法または蒸着法といった従来法と比較して、より簡便かつ安価な方法でカラーミラーを提供することが可能である。また、着色層を構成するカラーミラー用着色塗料は、耐熱性および耐候性に優れるため、ガラス基板成形時の高温下でも劣化することがなく、カラーミラーの望ましい色調を維持することが可能である。さらに、塗料を適宜選択することによって、カラーミラーの色変えおよび多色化を容易に実施することが可能である。
【実施例】
【0048】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において様々に変形可能であることは言うまでもない。
【0049】
(実施例1)
1.着色塗料の調製
(Co−Ni−Zn−Ti)酸化物のコバルトグリーン顔料(一次粒径0.04μm)30質量部と、分散助剤樹脂(ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース24000」(商品名)5質量部と、n−ブタノール65質量部をサンドミル内に入れ、次いで20〜40℃の温度範囲で、6時間にわたって混練分散し、ライトグリーン色のペーストを調製した。ペーストにおける顔料の平均粒径は、0.04μmであった。
【0050】
次に、先に調製したペースト100質量部に、シリコーン系樹脂(信越化学株式会社製「KR−9706」(商品名)を固形成分換算で10質量部、酢酸エチル25質量部およびトルエン25質量部を加えて、混練分散することによって、塗料を調製した。以上のようにして、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が75質量%のライトグリーン塗料を得た。
【0051】
2.カラーミラーの作製
ガラス基板の片面に先に調製した塗料を塗布し、次いで320℃で60分間にわたって焼付け処理を行うことによって、膜厚2μmの着色層を形成した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。
【0052】
着色層を形成したガラス基板の裏面に、スパッタリング法に従いクロムからなる反射層を形成することによって、ライトグリーンミラーを得た。ミラーの色相について評価した結果を表3に示す。
【0053】
(実施例2)
シリコーン系樹脂を13質量部、酢酸エチルを33質量部、トルエンを33質量部使用したことを除き、実施例1と同様にしてライトグリーン塗料を調製した。得られた緑色塗料は、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が70質量%であった。次に、実施例1と同様にして、着色層を形成し、引き続きライトグリーンミラーを作製した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。
【0054】
(実施例3)
シリコーン系樹脂を20質量部、酢酸エチルを50質量部、トルエンを50質量部使用したことを除き、実施例1と同様にしてライトグリーン塗料を調製した。得られた塗料は、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が60質量%であった。次に、実施例1と同様にして、着色層を形成し、引き続きライトグリーンミラーを作製した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。
【0055】
(実施例4)
シリコーン系樹脂を40質量部、酢酸エチルを100質量部、トルエンを100質量部使用したことを除き、実施例1と同様にしてライトグリーン塗料を調製した。得られた塗料は、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が43質量%であった。次に、実施例1と同様にして、着色層を形成し、引き続きライトグリーンミラーを作製した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。また、ミラーの色相について評価した結果を表3に示す。
【0056】
(比較例1)
シリコーン系樹脂を3質量部使用することを除き、実施例1と同様にしてライトグリーン塗料を調製した。得られた塗料は、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が91質量%であった。次に、実施例1と同様にして、着色層を形成し、引き続きライトグリーンミラーを作製した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。
【0057】
(比較例2)
シリコーン系樹脂を50質量部使用することを除き、実施例1と同様にしてライトグリーン塗料を調製した。得られた塗料は、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が38質量%であった。次に、実施例1と同様にして、着色層を形成し、引き続きライトグリーンミラーを作製した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。
【0058】
(比較例3)
CoCrNiのコバルトグリーン顔料(アサヒ化成工業株式会社製「グリーン2024」(商品名)、一次粒径1.1μm)を使用することを除き、実施例1と同様にしてライトグリーン色のペーストを調製し、引き続き塗料を調製した。ペーストにおける顔料の平均粒径は、2.1μmであり、塗料における顔料含有率は、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、75質量%であった。次に、実施例1と同様にして、着色層を形成し、引き続きライトグリーンミラーを作製した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。
【0059】
(比較例4)
臭素化フタロシアニングリーン顔料(東洋インキ株式会社製「6Y−503」(商品名)、一次粒径0.1μm以下)30質量部と、分散助剤樹脂(ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース24000」(商品名)5質量部と、n−ブタノール65質量部をサンドミル内に入れ、次いで20〜40℃の温度範囲で、6時間にわたって混練分散し、ライトグリーン色のペーストを調製した。ペーストにおける顔料の平均粒径は、0.07μmであった。
【0060】
次に、先に調製したペースト100質量部に、シリコーン系樹脂(信越化学株式会社製「KR−9706」(商品名)を固形成分換算で150質量部、酢酸エチル150質量部およびトルエン150質量部を加えて、混練分散することによって、塗料を調製した。以上のようにして、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が17質量%のライトグリーン塗料を得た。次に、実施例1と同様にして、着色層を形成し、引き続きライトグリーンミラーを作製した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。
【0061】
(実施例5)
1.着色塗料の調製
(Co−Cr−Ti−Al)酸化物のコバルトグリーン顔料(一次粒径0.04μm)30質量部と、分散助剤樹脂(ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース24000」(商品名))5質量部と、n−ブタノール65質量部をサンドミル内に入れ、次いで20〜40℃の温度範囲で、6時間にわたって混練分散し、グリーンのペーストを調製した。ペーストにおける顔料の平均粒径は、0.04μmであった。
【0062】
次に、先に調製したペースト100質量部に、シリコーン系樹脂(信越化学株式会社製「KR−9706」(商品名))20質量部、酢酸エチル50質量部およびトルエン50質量部を加えて、混練分散することによって、塗料を調製した。以上のようにして、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が60質量%のグリーン塗料を得た。
【0063】
2.カラーミラーの作製
ガラス基板の片面に先に調製したグリーン塗料を塗布し、次いで320℃で60分間にわたって焼付け処理を行うことによって、膜厚2μmの着色層を形成した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。
【0064】
着色層を形成したガラス基板の裏面に、スパッタリング法に従いクロムからなる反射層を形成することによって、グリーンミラーを得た。ミラーの色相について評価した結果を表3に示す。
【0065】
(実施例6)
シリコーン系樹脂を10質量部、酢酸エチルを25質量部、トルエンを25質量部使用したことを除き、実施例5と同様にして塗料を調製した。得られたグリーン塗料は、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が75質量%であった。次に、実施例5と同様にして、着色層を形成し、引き続きグリーンミラーを作製した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。また、ミラーの色相について評価した結果を表3に示す。
【0066】
(実施例7)
1.着色塗料の調製
(Co−Cr−Ti−Al)酸化物のコバルトブルーグリーン顔料(一次粒径0.03μm)30質量部と、分散助剤樹脂(ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース24000」(商品名))5質量部と、n−ブタノール65質量部をサンドミル内に入れ、次いで20〜40℃の温度範囲で、6時間にわたって混練分散し、ブルーグリーンのペーストを調製した。ペーストにおける顔料の平均粒径は、0.05μmであった。
【0067】
次に、先に調製したペースト100質量部に、シリコーン系樹脂(信越化学株式会社製「KR−9706」(商品名)を固形成分換算で20質量部、酢酸エチル50質量部およびトルエン50質量部を加えて、混練分散することによって、塗料を調製した。以上のようにして、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が60質量%のブルーグリーン塗料を得た。
【0068】
2.カラーミラーの作製
ガラス基板の片面に先に調製したブルーグリーン塗料を塗布し、次いで320℃で60分間にわたって焼付け処理を行うことによって、膜厚2μmの着色層を形成した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。
【0069】
着色層を形成したガラス基板の裏面に、スパッタリング法に従いクロムからなる反射層を形成することによって、ブルーグリーンミラーを得た。ミラーの色相について評価した結果を表3に示す。
【0070】
(実施例8)
シリコーン系樹脂を10質量部、酢酸エチルを25質量部、トルエンを25質量部使用したことを除き、実施例7と同様にして塗料を調製した。得られたブルーグリーン塗料は、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が75質量%であった。次に、実施例7と同様にして、着色層を形成し、引き続きブルーグリーンミラーを作製した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。また、ミラーの色相について評価した結果を表3に示す。
【0071】
(実施例9)
1.着色塗料の調製
(Co−Al)酸化物のコバルトブルー顔料(アサヒ化成工業株式会社製「CR−4」(商品名)、一次粒径0.04μm)30質量部と、分散助剤樹脂(ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース24000」(商品名)5質量部と、n−ブタノール65質量部をサンドミル内に入れ、次いで20〜40℃の温度範囲で、6時間にわたって混練分散し、ブルーのペーストを調製した。ペーストにおける顔料の平均粒径は、0.06μmであった。
【0072】
次に、先に調製したペースト100質量部に、シリコーン系樹脂(信越化学株式会社製「KR−9706」(商品名))を固形成分換算で20質量部、酢酸エチル50質量部およびトルエン50質量部を加えて、混練分散することによって、塗料を調製した。以上のようにして、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が60質量%のブルー塗料を得た。
【0073】
2.カラーミラーの作製
ガラス基板の片面に先に調製したブルー塗料を塗布し、次いで320℃で60分間にわたって焼付け処理を行うことによって、膜厚2μmの着色層を形成した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。
【0074】
着色層を形成したガラス基板の裏面に、スパッタリング法に従いクロムからなる反射層を形成することによって、ブルーミラーを得た。ミラーの色相について評価した結果を表3に示す。
【0075】
(実施例10)
シリコーン系樹脂を10質量部、酢酸エチルを25質量部、トルエンを25質量部使用したことを除き、実施例9と同様にして塗料を調製した。得られたブルー塗料は、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が75質量%であった。次に、実施例9と同様にして、着色層を形成し、引き続きブルーミラーを作製した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。また、ミラーの色相について評価した結果を表3に示す。
【0076】
(実施例11)
シリコーン系樹脂を10質量部、酢酸エチルを25質量部、トルエンを25質量部使用したことを除き、実施例9と同様にして塗料を調製した。得られたブルー塗料は、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が75質量%であった。次に、実施例9と同様にして、着色層を形成した。着色層を形成したガラス基板の裏面に、スパッタリング法に従い、アルミニウムからなる反射層を形成することによってブルーミラーを得た。ミラーの色相について評価した結果を表3に示す。
【0077】
(実施例12)
1.着色塗料の調製
(Fe−Zn)酸化物の黄色顔料(平均粒径0.04μm)30質量部と、分散助剤樹脂(ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース24000」(商品名))5質量部と、n−ブタノール65質量部とをサンドミル内に入れ、次いで20〜40℃の温度範囲で、6時間にわたって混練分散し、黄色のペーストを調製した。着色ペーストにおける顔料の平均粒径は、0.05μmであった。
【0078】
次に、先に調製したペースト100質量部に、シリコーン系樹脂(信越化学株式会社製「KR−9706」(商品名)を固形成分換算で20質量部、酢酸エチル50質量部およびトルエン50質量部を加えて、混練分散することによって、塗料を調製した。以上のようにして、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が60質量%の黄色塗料を得た。
【0079】
2.カラーミラーの作製
ガラス基板の片面に先に調製した黄色塗料を塗布し、次いで320℃で60分間にわたって焼付け処理を行うことによって、膜厚2μmの着色層を形成した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。
【0080】
着色層を形成したガラス基板の裏面に、スパッタリング法に従いクロムからなる反射層を形成することによって、ゴールドミラーを得た。ミラーの色相について評価した結果を表3に示す。
【0081】
(実施例13)
1.着色塗料の調製
Feのベンガラ赤色顔料(堺化学工業株式会社製「FRO−3」(商品名)、一次粒径0.03μm)30質量部と、分散助剤樹脂(ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース24000」(商品名))5質量部と、溶剤(n−ブタノール)65質量部とをサンドミル内に入れ、次いで20〜40℃の温度範囲で、6時間にわたって混練分散し、オレンジ色のペーストを調製した。ペーストにおける顔料の平均粒径は、0.07μmであった。
【0082】
次に、先に調製したペースト100質量部に、シリコーン系樹脂(信越化学株式会社製「KR−9706」(商品名)を固形成分換算で20質量部、酢酸エチル50質量部およびトルエン50質量部を加えて、混練分散することによって、塗料を調製した。以上のようにして、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が60質量%のオレンジ塗料を得た。
【0083】
2.カラーミラーの作製
ガラス基板の片面に先に調製したオレンジ塗料を塗布し、次いで320℃で60分間にわたって焼付け処理を行うことによって、膜厚2μmの着色層を形成した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。
【0084】
着色層を形成したガラス基板の裏面に、スパッタリング法に従いクロムからなる反射層を形成することによって、オレンジミラーを得た。ミラーの色相について評価した結果を表3に示す。
【0085】
(実施例14)
1.着色塗料の調製
(Co−Ni−Zn−Ti)酸化物のコバルトグリーン顔料(一次粒径0.04μm)30質量部と、分散助剤樹脂(ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース24000」(商品名)5質量部と、n−ブタノール65質量部をサンドミル内に入れ、次いで20〜40℃の温度範囲で、6時間にわたって混練分散し、ライトグリーン色のペーストを調製した。ペーストにおける顔料の平均粒径は、0.04μmであった。
【0086】
次に、先に調製したペースト100質量部に、シリコーン系樹脂(信越化学株式会社製「KR−9706」(商品名)を固形成分換算で10質量部、酢酸エチル25質量部およびトルエン25質量部を加えて、混練分散することによって、塗料を調製した。以上のようにして、顔料とシリコーン系樹脂との合計質量を基準として、顔料の含有率が75質量%のライトグリーン塗料を得た。
【0087】
2.カラーミラーの作製
ガラス基板の片面に先に調製した塗料を塗布し、次いで650℃で10分間にわたって焼付け処理を行うことによって、膜厚2μmの着色層を形成した。着色層の密着性および発色性について評価した結果を表2に示す。
【0088】
着色層を形成したガラス基板の裏面に、スパッタリング法に従いクロムからなる反射層を形成することによって、ライトグリーンミラーを得た。ミラーの色相について評価した結果を表3に示す。
【表2】

【0089】
注:
(1)顔料平均粒径は、混練分散によって得られたペーストをn−ブタノールで希釈し、堀場製作所製の粒度分布測定装置「CAPA−700」(商品名)を使用し、遠心沈降法に従って測定した値である。
【0090】
(2)顔料含有率は、着色塗料中の皮膜形成成分(シリコーン系樹脂)と顔料との合計質量を基準した値である。
【0091】
(3)密着性は、カッターナイフで塗膜をクロスカットした後に、塗膜表面にセロテープ(登録商標)を貼り付け、次いで強く引き剥がした時の塗膜の外観を、以下に基準にしたがって目視により評価した。
○:クロスカットした部分が完全に密着している。
△:クロスカットした部分が一部剥離。
×:クロスカットした部分が全て剥離。
【0092】
(4)発色性は、目視によって判断し、以下の基準に従って評価した。
○:色が付いていることが目視で簡易に確認できる。また、透明性があり、光の反射も良く、ミラーとしての機能も維持している。
△:色が付いていることが目視でわずかに確認できる。また、透明性があり、光が反射し、ミラーとしての機能も維持している。
×:色が付いていることが目視で確認できない。または、不透明であり、光が反射せず、ミラーとしての機能なし。
【0093】
(5)耐熱性は、塗膜を焼き付けて着色層を形成した後、さらに750℃で3分間にわたって焼き付けを実施し、着色層の色相の変化を目視によって判断し、以下の基準に従って評価した。
○:着色層の色相の変化なし。
△:着色層の色相に対して僅かな変化あり。
×:着色層の色相に対して著しい退色あり。
【0094】
表2から明らかなように、塗料中の顔料含有率が所定量未満となると、十分な発色性が得られず、また顔料含有率が所定量を超えると塗膜の密着性および強度が不充分となる。さらに、平均粒径が0.1μmよりも大きい顔料を使用した場合には、塗膜が不透明になりミラーに写った対象物が目視にて確認し難くなり、ミラーとしての機能が低下する。これに対し、平均粒径が0.1μm以下の顔料を所定範囲内で含有する塗料は、密着性、発色性のいずれにも優れている。
【表3】

【0095】
注:
(1)CIE−XYZ測定:国際照明委員会(CIE)で規定されるD65光源をカラーミラーに10°の角度で照射し、カラーミラーからの反射光をミノルタ株式会社製の色差測定装置「CM−3700d」(商品名)を使用して測定し、XYZ表色系色度図(JIS Z8701(1982年)に準じる)によって表示した。
【0096】
(2)CIE−L測定:国際照明委員会(CIE)で規定されるD65光源をカラーミラーに10°の角度で照射し、カラーミラーからの反射光をミノルタ株式会社製の色差測定装置「CM−3700d」(商品名)を使用して測定し、L表示系色度図(JIS Z8729(1980年)に準じる)によって表示した。また、H°(色相角度)は、tan-1(b/a)によって求めた。
【0097】
表3から明らかなように、本発明によるカラーミラーでは、様々な色調を実現することが可能である。また、本発明によるカラーミラーについて、それぞれ防眩性および視覚性の感応評価を行ったところ、いずれも良好な結果が得られた。
【0098】
(実施例15)
先の実施例1、7、9、12、13および14で作製したカラーミラーについて、下記(1)〜(10)に示す各種試験を実施し、カラーミラーの各種特性について評価した。結果を表4に示す。
【0099】
(1)耐湿性:カラーミラーを50℃、湿度98%の条件下に240時間放置した後、カラーミラーの変化を評価した。
【0100】
(2)蒸気煮沸性:カラーミラーを90℃の飽和蒸気中に5時間放置した後、カラーミラーの変化を評価した。
【0101】
(3)冷熱サイクル性:80℃(4時間)/室温(0.5時間)/−30℃(1.5時間)/室温(0.5時間)/70℃、湿度95%(3時間)/室温(0.5時間)/−30℃(1.5時間)/室温(0.5時間)を1サイクルとして、カラーミラーの加熱および冷却を3サイクル繰り返した後、カラーミラーの変化を評価した。
【0102】
(4)熱衝撃性:温度移行時間0.5時間での80℃(0.5時間)/−30℃(0.5時間)の温度変化を1サイクルとして、カラーミラーにおける温度変化を500サイクル繰り返した後、カラーミラーの変化を評価した。
【0103】
(5)高温放置性:カラーミラーを80℃の温度条件下に1000時間放置した後、カラーミラーの変化を評価した。
【0104】
(6)低温放置性:カラーミラーを−30℃の温度条件下に1000時間放置した後、カラーミラーの変化を評価した。
【0105】
(7)耐酸性:カラーミラーの表面(着色層側)に1%HSOを0.2cc滴下し、常温で4時間放置した後、カラーミラーの変化を評価した。
【0106】
(8)耐アルカリ性:カラーミラーの表面(着色層側)に1%HaOHを0.2cc滴下し、常温で4時間放置した後、カラーミラーの変化を評価した。
【0107】
(9)促進耐候性:カラーミラーをSWON(サンシャインウエザオメーター)中に500時間放置した後、カラーミラーの変化を評価した。
【0108】
(10)塗膜硬度:スチールウールを用いて、カラーミラーの塗膜(着色層)面を50g/cmの荷重で10往復擦った後、カラーミラーの変化を評価した。
【表4】

【0109】
注:
(1)目視により以下の基準に従って評価した。
○:カラーミラーに著しい変色、剥離、ピンホール等の発生が確認できない。
△:カラーミラーに著しい変色、剥離の発生は確認できないが、ピンホールの発生が確認できる。
×:カラーミラーに著しい変色、剥離、ピンホール等の発生が確認できる。
【0110】
(2)目視により以下の基準に従って評価した。
○:カラーミラーに傷が確認できない。
△:カラーミラーに線傷が5〜10本確認できる。
×:カラーミラーの着色層が剥離する。
【0111】
(3)未評価

表4から明らかなように、本発明によるカラーミラーは各種試験において概ね良好な結果が得られるが、塗膜硬度については焼成温度が高い実施例14のみが良好な結果となった。このことから、例えば自動車用アウトサイドミラーのようにカラーミラーに高い硬度が要求される用途では、塗膜の焼成を高温で実施することが必要不可欠となることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】カラーミラーによる分光反射率特性を示すグラフである。
【図2】人間の標準比視感度曲線を示すグラフである。
【図3】本発明によるカラーミラーの一例を示す模式的断面図である。
【図4】本発明によるカラーミラーの一例を示す模式的断面図である。
【図5】本発明によるカラーミラーの一例を示す模式的断面図である。
【図6】本発明によるカラーミラーの一例を示す模式的断面図である。
【図7】本発明によるカラーミラーの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0113】
10 ガラス基板
20 着色層
30 反射層
40 光触媒層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膜形成成分と、顔料と、溶剤とを含有するカラーミラー用着色塗料であって、
前記顔料が、Fe,Mn,Co,Ni,Al,Cr,Ti,Sb,Cu,Si,Zn,LiおよびPからなる群より選ばれる1種以上の元素またはそれら元素の酸化物を含有し、かつ一次粒子の平均粒径が0.1μm以下である焼成無機顔料を含み、前記顔料の含有率が、前記皮膜形成成分と前記顔料との合計質量を基準として、40〜90質量%であることを特徴とする、カラーミラー用着色塗料。
【請求項2】
前記皮膜形成成分が、未変性又は変性シリコーン樹脂、コロイダルシリカ、アルキルシリケート、および水ガラスからなる群より選ばれる1種以上を含有する無機バインダーであることを特徴とする請求項1に記載のカラーミラー用着色塗料。
【請求項3】
皮膜形成成分および顔料を溶剤中で混合し、次いで顔料をビーズミル、ボールミル、サンドミル、三本ロール、またはペイントシェーカーによって分散混練することを含み、前記溶媒中に分散された前記顔料の平均粒径が0.1μm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のカラーミラー用着色塗料の製造方法。
【請求項4】
ガラス基板の片面に反射層を有し、前記ガラス基板の他面に請求項1または2に記載のカラーミラー用着色塗料からなる着色層を有することを特徴とするカラーミラー。
【請求項5】
前記着色層の上面に光触媒層をさらに有することを特徴とする請求項4に記載のカラーミラー。
【請求項6】
ガラス基板の片面に請求項1または2に記載のカラーミラー用着色塗料からなる着色層と、前記着色層の上面に反射層とを有することを特徴とするカラーミラー。
【請求項7】
前記ガラス基板の他面に光触媒層をさらに有することを特徴とする請求項6に記載のカラーミラー。
【請求項8】
D65光源10°の条件下で測定した前記カラーミラーからの反射光の色度が、CIE−XYZ表色系色度図のxおよびy座標において、下式(I)および(II)
0.20≦x≦0.45 (I)
0.25≦y≦0.45 (II)
(式中、xおよびyは、それぞれ光源色の三刺激値X、Y、Zに対応する色度座標変換値を表す)を満足することを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のカラーミラー。
【請求項9】
前記カラーミラーが、自動車用のインサイドミラーおよびアウトサイドミラーであることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載のカラーミラー。
【請求項10】
着色層を有するカラーミラーの製造方法であって、
(a)ガラス基板を洗浄する工程と、
(b)ガラス基板の片面に請求項1または2に記載のカラーミラー用着色塗料を塗布して塗膜を形成する工程と、
(c)前記ガラス基板上の塗膜を焼成して着色層を形成する工程と、
(d)前記ガラス基板の他面または前記着色層の上面に反射層を形成する工程と
を有することを特徴とする製造方法。
【請求項11】
前記工程(c)における焼成と同時に前記ガラス基板の曲げ加工を実施することを特徴とする請求項10に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−45886(P2007−45886A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230008(P2005−230008)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【出願人】(593149926)レジノカラー工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】