説明

カラー粉体供給システムおよび電子写真装置

【課題】微量のカラー粉体を所望の色かつ所望の量で得られるカラー粉体供給システムおよび電子写真装置を提供すること。
【解決手段】カラー粉体供給システムは、選択された色情報データに基づいて、静電潜像担持体上に各色トナーによりカラートナー像を形成し、このカラートナー像を支持体上に転写して、当該カラートナー像を支持体に対して未定着の状態で系外へ排出し、カラー粉体として供給することを特徴とする。電子写真装置は、カラー粉体供給システムを実行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法を利用したカラー粉体供給システムおよびこのカラー粉体供給システムを具えた電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、マニキュアやジェルネイルなどの爪用塗料、タッチアップペイントなどの自動車用塗料、ホビー用塗料などの個人で使用する塗料は、幅広い色のバリエーションが求められている。
具体的には、爪用塗料においては、ファッションや流行などに合わせて、幅広い色のバリエーションが求められている。従って、市場に流通していない色の爪用塗料を所望する場合においては、複数種の爪用塗料や着色材を混合することにより、調色して所望の色の爪用塗料を得ている。しかしながら、このような方法では、不足分を補う場合などにおいて再現性に乏しいという問題がある。
また、自動車用塗料においては、例えば車体の傷補修をする際には、当該車体の色に一致した色の塗料が必要とされる。しかしながら、車体の色がメーカーや年代によっても微妙に相違することから、車体の色と完全に一致した色の塗料が市場に流通していない場合も多く、このような場合においては、車体の色と近似する色の塗料で対処するか、自ら着色材などを混合することにより調色して車体の色に一致した色の塗料を得ている。
さらに、個人で使用する塗料は、ごく微量で足りる場合が多く、必要量以外は余らせてしまうという問題もある。
【0003】
以上のことから、少量多品種の塗料を供給することのできるシステムが求められている。
このような要求に対して、例えば特許文献1には、オーダーメイドで所望の色の塗料を供給することのできる装置が提案されているが、この装置においても、供給される量はごく微量とはいえず、少量で多品種の塗料を供給することが未だできていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−136674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、微量のカラー粉体を所望の色かつ所望の量で得られるカラー粉体供給システムおよび電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカラー粉体供給システムは、選択された色情報データに基づいて、静電潜像担持体上に各色トナーによりカラートナー像を形成し、このカラートナー像を支持体上に転写して、当該カラートナー像を支持体に対して未定着の状態で系外へ排出し、カラー粉体として供給することを特徴とする。
【0007】
本発明のカラー粉体供給システムにおいては、前記各色トナーが、イエロートナー、マゼンタトナーおよびシアントナーであることが好ましい。
【0008】
本発明のカラー粉体供給システムにおいては、前記各色トナーが、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーおよびブラックトナーであることが好ましい。
【0009】
本発明のカラー粉体供給システムにおいては、前記各色トナーが、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーおよびホワイトトナーであることが好ましい。
【0010】
本発明の電子写真装置は、上記のカラー粉体供給システムを実行することを特徴とする。
【0011】
本発明の電子写真装置は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、この静電潜像を各色トナーにより現像することによりカラートナー像を形成する現像手段と、このカラートナー像を支持体上に転写する転写手段と、支持体上に転写されたカラートナー像を定着する定着手段とを具え、トナー定着画像を形成するトナー定着画像形成システムを実行する電子写真装置であって、
前記静電潜像形成手段および前記現像手段によってカラートナー像を形成し、前記転写手段によって前記カラートナー像を支持体上に転写して、当該カラートナー像を支持体に対して未定着の状態で系外へ排出し、カラー粉体として供給する上記のカラー粉体供給システムを実行し、
前記トナー定着画像形成システムと前記カラー粉体供給システムとを切り替える切替手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカラー粉体供給システムによれば、調色されたカラートナー像が未定着の状態で系外へ排出され、カラー粉体として供給されることにより、所望の色のカラー粉体を所望の量で得ることができる。また、同色のカラー粉体を再度得ようとする場合においても、高い再現性で所望の色のカラー粉体を所望の量で得ることができる。
【0013】
本発明の電子写真装置によれば、カラー粉体供給システムが実行されることにより、調色されたカラートナー像が未定着の状態で系外へ排出され、カラー粉体として取り出すことができるので、所望の色のカラー粉体を所望の量で得ることができる。
また、本発明の電子写真装置によれば、カラー粉体供給システムを実行する手段のうち、トナー定着画像形成システムを実行する静電潜像形成手段、現像手段および転写手段が共用のものであると共に、トナー定着画像形成システムとカラー粉体供給システムとを切り替える切替手段を有することにより、トナー定着画像を形成する機能と、微量のカラー粉体を所望の色かつ所望の量で供給する機能とをひとつの装置で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の電子写真装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
〔カラー粉体供給システム〕
本発明のカラー粉体供給システムは、選択された色情報データに基づいて、静電潜像担持体上に各色トナーによりカラートナー像を形成し、このカラートナー像を支持体上に転写して、当該カラートナー像を支持体に対して未定着の状態でカラー粉体として供給するものであり、電子写真法を利用するものである。
【0017】
具体的には、本発明のカラー粉体供給システムは、例えば下記手段(1)〜(6)を有する装置によって実行されるものである。
(1)選択された色情報データを得る色情報データ取得手段
(2)得られた色情報データに基づいて、各色トナーの配合比率を算出して配合データを得る配合データ取得手段
(3)得られた配合データに基づいて、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段
(4)静電潜像担持体上に形成された静電潜像を各色トナーにより現像することによりカラートナー像を形成する現像手段
(5)静電潜像担持体上に形成されたカラートナー像を支持体上に転写する転写手段
(6)支持体上に転写されたカラートナー像を支持体に対して未定着の状態でカラー粉体として取り出すカラー粉体供給手段
【0018】
(1)色情報データ取得手段
色情報データ取得手段において、選択された色情報データを得る方法としては、特に限定されず、例えば、装置において再現可能な色再現範囲内における複数の色見本よりなるカラーチャートを表示するカラーチャート表示手段を設け、このカラーチャート表示手段によりユーザーが任意に選択した色見本に基づいた例えばCIE−XYZ表色系やCIE−L* * * 表色系などにおける色彩値を色情報データとして得る方法、また例えば、カラー画像を読み取るスキャナ手段を設け、このスキャナ手段により所望の色原稿よりなるカラー画像を読み取り、読み取ったカラー画像に基づいた色彩値を色情報データとして得る方法、コンピュータソフトなどを用いて所望の色を入力して色情報データを得る方法などが挙げられる。
また例えば、選択された色情報データを得る方法としては、複数の色見本において、各々の量を段階的に表示した量表示手段を設け、この量表示手段によりユーザーが任意に選択した量情報を色情報データとして得る方法、また、色情報データ取得手段として、コンピュータソフトなどを用いる場合においては、作製する図形の濃度や面積を任意に設定し、この量情報データを色情報データとして得ることもできる。選択する粉体量は、例えば2mg〜1gであることが好ましい。
なお、同一支持体に対する色情報データは、1つであっても、複数であってもよい。
【0019】
(2)配合データ取得手段
配合データ取得手段においては、色情報データ取得手段により得られた色情報データに基づいて、各色トナーの配合比率を算出して配合データを得る。具体的には、例えば、イエロートナー、マゼンタトナーおよびシアントナーの3色のトナーが現像手段に搭載されている場合、色彩値などの色情報データから、3色のトナーの配合比率を算出して配合データを得る。この配合データ取得手段は、電子写真法において一般的に用いられているものを用いることができる。
【0020】
(3)静電潜像形成手段
静電潜像形成手段においては、配合データ取得手段により得られた各色トナーの配合比率に従った配合データに基づいて、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する。この静電潜像形成手段は、電子写真法において一般的に用いられているものを用いることができる。
【0021】
(4)現像手段
現像手段においては、静電潜像形成手段において形成された静電潜像を各色トナーにより現像することによりカラートナー像を形成する。この現像手段は、電子写真法において一般的に用いられているものを用いることができる。なお、カラートナー像は、配合データに従って各色のトナー像が重なり合って調色された状態で静電潜像担持体上に形成されてもよいし、各色のトナー像が重なり合わず、各色のトナー像が別個に静電潜像担持体上に形成されてもよい。
【0022】
(5)転写手段
転写手段においては、現像手段により形成されたカラートナー像を支持体上に転写する。この転写手段は、電子写真法において一般的に用いられているものを用いることができる。
カラートナー像が転写される支持体としては、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用などのプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。支持体からのカラー粉体の分離性や後述する分散媒の支持体への浸透性の観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)シートが好ましい。
【0023】
(6)カラー粉体供給手段
カラー粉体供給手段においては、支持体上に転写されたカラートナー像を支持体に対して定着せずに、そのままカラートナー像をカラー粉体として機外へ排出する。このカラー粉体供給手段は、支持体上に転写されたカラートナー像を熱や圧力によって溶融または変形させることなく機外へ排出することができるものであれば特に限定されないが、カラートナー像の表面が周辺の部材と接触せず、機外へと排出することができるものが好ましい。
【0024】
このカラー粉体供給手段により得られたカラー粉体を、例えば、揮発性溶剤、硬化性樹脂、ネイル用ジェル、ネイル用トップコート、各種ニスなどに分散または溶解することにより、微量の塗料を所望の色かつ所望の量で得ることができ、これにより、少量多品種の塗料を供給することができる。
なお、カラー粉体を溶剤などに分散させる場合には、より均一に分散させる目的で分散媒を添加することができ、この分散媒は、透明または白色であることが好ましいが、その他の色のものを用いることもできる。
【0025】
〔トナー〕
本発明のカラー粉体供給システムに用いられるトナーは、電子写真法において一般的に用いられているものを用いることができ、少なくともイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーを含むことが好ましく、ブラックトナー、ホワイトトナー、オレンジトナー、グリーントナーなどのカラートナーを加えることもできる。これらのトナーは、具体的には、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子よりなるものである。また、トナー粒子には、必要に応じて、界面活性剤、荷電制御剤、離型剤、外添剤などを含有することができる。
【0026】
(結着樹脂)
本発明に係るトナーを構成するトナー粒子が例えば粉砕法、溶解懸濁法などによって製造される場合には、トナーを構成する結着樹脂として、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、カーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂などの公知の種々の樹脂を挙げることができる。特に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂が好適に挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
また、トナー粒子が例えば懸濁重合法、ミニエマルション重合凝集法、乳化重合凝集法などによって製造される場合には、トナーを構成する結着樹脂を得るための重合性単量体として、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレンあるいはスチレンスチレン誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのフッ化ビニル類;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類;ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸またはメタクリル酸誘導体などのビニル系単量体を挙げることができる。これらのビニル系単量体は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】
また、重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。イオン性解離基を有する重合性単量体は、例えばカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基などの置換基を構成基として有するものであって、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
さらに、重合性単量体として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの多官能性ビニル類を用いて架橋構造の結着樹脂を得ることもできる。
【0029】
(着色剤)
イエロートナーの着色剤としては、例えばC.I.ピグメントイエロー3、同35、同65、同74、同98、同111、同9、同36、同83、同110、同139、同181、同153などが挙げられる。
【0030】
マゼンタトナーの着色剤としては、例えばC.I.ピグメントレッド2、同3、同6、同7、同9、同15、同16、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同122、同123、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同208、同209、同222などが挙げられる。また、染料の具体例として、例えば、C.I.ソルベントレッド3、同14、同17、同18、同22、同23、同49、同51、同53、同87、同127、同128、同131、同145、同146、同149、同150、同151、同152、同153、同154、同155、同156、同157、同158、同176、同179、同184などが挙げられる。
これらの中でも、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209が好ましく用いられる。
【0031】
シアントナーの着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物(具体的には、C.I.ピグメントブルー15:1〜15:3、C.I.ピグメントブルー78)、亜鉛フタロシアニン化合物、アルミニウムフタロシアニン化合物、ケイ素フタロシアニン化合物などが挙げられる。
【0032】
ブラックトナーの着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックや、マグネタイト、フェライトなどの磁性粉が挙げられる。
【0033】
ホワイトトナーの着色剤としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、アンチモン白、硫化亜鉛等の無機系顔料およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0034】
着色剤の添加量は、トナー全体に対して1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。
【0035】
以上のトナーは、非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。
【0036】
キャリアの体積基準のメジアン径としては20〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは20〜60μmとされる。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0037】
〔トナー粒子の粒径〕
トナーを構成するトナー粒子の粒径は、体積基準のメジアン径で3.0〜10.0μmであることが好ましく、より好ましくは3.5〜8.0μmである。
【0038】
トナー粒子の体積基準のメジアン径は、「コールターカウンターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出されるものである。
測定手順としては、測定試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、測定試料分散液を作成する。この測定試料分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定器表示濃度が5〜10%になるまでピペットにて注入する。この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値が得られる。測定機において、測定粒子カウント数を25000個、アパチャー径を100μmにし、測定範囲である2.0〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準メジアン径とする。
【0039】
また、トナーは、その体積基準の粒度分布における変動係数(CV値)が、2%以上であって35%以下であることが好ましく、特に5%以上であって30%以下であることが好ましい。
CV値は、トナー粒子の粒度分布における分散度を体積基準によって示したものであり、下記式(CV)によって算出される。
このCV値は、その値が小さい程、粒度分布がシャープであることを示し、従ってトナー粒子の大きさが揃っていることを意味する。
【0040】
式(CV):CV値(%)={(標準偏差)/(体積基準の平均径)}×100
【0041】
本発明のカラー粉体供給システムによれば、調色されたカラートナー像が未定着の状態でカラー粉体として供給されることにより、所望の色のカラー粉体を所望の量で得ることができる。また、同色のカラー粉体を再度得ようとする場合においても、高い再現性で所望の色のカラー粉体を所望の量で得ることができる。
【0042】
〔電子写真装置〕
本発明の電子写真装置は、上述したカラー粉体供給システムが実行されるものであり、特に、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、この静電潜像を各色トナーにより現像することによりカラートナー像を形成する現像手段と、このカラートナー像を支持体上に転写する転写手段と、支持体上に転写されたカラートナー像を定着する定着手段とを具え、これにより、トナー定着画像を形成するトナー定着画像形成システムを実行するものであって、当該トナー定着画像形成システムにおける静電潜像形成手段、現像手段および転写手段を利用してカラー粉体供給システムを実行し、トナー定着画像形成システムとカラー粉体供給システムとを切り替える切替手段を具える構成とすることが好ましい。このような構成により、トナー定着画像を形成する機能と、微量のカラー粉体を所望の色かつ所望の量で供給する機能とをひとつの装置で提供することができる。
【0043】
図1は、本発明の電子写真装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
この電子写真装置40は、静電潜像担持体51Y,51M,51C,51K上に静電潜像を形成する、帯電手段52Y,52M,52C,52Kおよび露光手段53Y,53M,53C,53Kよりなる静電潜像形成手段と、この静電潜像を各色トナー、具体的にはイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーおよびブラックトナーにより現像することによりカラートナー像を形成する現像手段54Y,54M,54C,54Kと、このカラートナー像を支持体P上に転写する転写手段57Y,57M,57C,57Kと、支持体P上に転写されたカラートナー像を定着する定着手段49とを具え、これにより、トナー定着画像を形成するトナー定着画像形成システムを実行すると共に、当該トナー定着画像形成システムにおける帯電手段52Y,52M,52C,52K、露光手段53Y,53M,53C,53K、現像手段54Y,54M,54C,54Kおよび転写手段57Y,57M,57C,57Kを利用してカラー粉体供給システムを実行するものである。また、電子写真装置40には、複数の色見本よりなるカラーチャートを表示するカラーチャート表示手段41aと、選択された色見本の色彩値による色情報データに基づいた各色トナーの配合比率よりなる配合データを得る配合データ取得手段(図示せず)と、カラートナー像をカラー粉体として取り出すカラー粉体供給手段60と、トナー定着画像形成システムとカラー粉体供給システムとを切り替える切替手段(図示せず)とが具えられている。
【0044】
静電潜像担持体51Y、帯電手段52Y、露光手段53Y、現像手段54Yおよび転写手段57Yよりなる画像形成ユニット50Yは、イエローのトナー像を形成するものであって、画像形成ユニット50M,50C,50Kは、各々、イエローのトナー像を形成する代わりにマゼンタ、シアン、黒色のトナー像を形成する他は、画像形成ユニット50Yと同様の構成を有する。この画像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kは、支持ローラ46A,46B,46Cにより循環移動する、ベルト状の中間転写体46に沿って設けられている。
なお、58Y,58M,58C,58Kは、静電潜像担持体51Y,51M,51C,51K上に残留したトナーを除去するクリーニング手段である。
【0045】
41は操作部であり、47Y,47M,47C,47Kは、各色のトナーカートリッジであり、42は給紙カセットである。
【0046】
この電子写真装置40は、トナー定着画像形成システムが実行される場合においては、以下のような処理が行われる。
静電潜像担持体51Y,51M,51C,51Kの表面に一様な電位を帯電手段52Y,52M,52C,52Kにより与え、形成すべき画像データに基づいて露光手段53Y,53M,53C,53により露光することにより静電潜像担持体51Y,51M,51C,51K上に静電潜像を形成し、この静電潜像を各色トナーによって現像手段54Y,54M,54C,54Kにより現像することにより顕像化して各色のトナー像が形成される。この各色のトナー像が中間転写体46上に転写手段57Y,57M,57C,57Kにより逐次転写され、重畳されてカラートナー像が形成される。一方、給紙カセット42内に収容された支持体Pが、給紙ローラ43により1枚ずつ給紙され、レジストローラ44によって2次転写手段57Aに搬送され、当該支持体P上にカラートナー像が2次転写される。次いで、支持体Pが定着手段49に搬送されて定着処理が行われ、その後、排紙ローラ45に挟持されて機外の排紙トレイ48上に排出され、支持体P上にトナー定着画像が形成される。
【0047】
また、この電子写真装置40は、カラー粉体供給システムが実行される場合においては、以下のような処理が行われる。
カラーチャート表示手段41aにより任意に選択された色情報データに基づいて、配合データ取得手段により各色トナーの配合比率よりなる配合データを得る。そして、静電潜像担持体51Y,51M,51C,51Kの表面に一様な電位を帯電手段52Y,52M,52C,52Kにより与え、配合データに基づいて露光手段53Y,53M,53C,53により露光することにより静電潜像担持体51Y,51M,51C,51K上に静電潜像を形成し、この静電潜像を各色トナーによって現像手段54Y,54M,54C,54Kにより現像することにより顕像化して各色のトナー像が形成される。この各色のトナー像が、中間転写体46上に転写手段57Y,57M,57C,57Kにより逐次転写され、重畳されてカラートナー像が形成される。一方、給紙カセット42内に収容された支持体Pが、給紙ローラ43により1枚ずつ給紙され、レジストローラ44によって2次転写手段57Aに搬送され、当該支持体P上にカラートナー像が2次転写される。次いで、支持体Pがカラー粉体供給手段60に搬送されて、カラートナー像が未定着の状態で機外の排紙トレイ61上に排出され、支持体P上にカラー粉体が供給される。
【0048】
本発明の電子写真装置によれば、カラー粉体供給システムが実行されることにより、調色されたカラートナー像が未定着の状態でカラー粉体として取り出すことができるので、所望の色のカラー粉体を所望の量で得ることができる。
また、本発明の電子写真装置によれば、カラー粉体供給システムを実行する手段のうち、トナー定着画像形成システムを実行する静電潜像形成手段、現像手段および転写手段が共用のものであると共に、トナー定着画像形成システムとカラー粉体供給システムとを切り替える切替手段を有することにより、トナー定着画像を形成する機能と、微量のカラー粉体を所望の色かつ所望の量で供給する機能とをひとつの装置で提供することができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
〔実施例1〕
電子写真装置「bizhub C353」(コニカミノルタ社製)について、定着器を取り外し、カラー粉体供給システム用に所望する粉体量の選択ができるように改造したものに、「bizhub C353」用の市販のイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーおよびブラックトナーを搭載した。支持体としてはA4サイズのOHPフィルム「VF−5」(コクヨ社製)を用いた。そして、この電子写真装置にパーソナルコンピュータを接続して、画像編集ソフト「Adobe Illustrator(登録商標)」(Adobe社製)を用い、カラーモードをYMCKカラーとして所望する赤色の円図形を作成した。改造した電子写真装置において、粉体量を4mgとして選択して出力したところ、OHPフィルム上に円図形が出力された。この図形を形成している粉体をかき集めたところ、4mgの赤色に調色されたカラー粉体が得られた。得られたカラー粉体は、画像編集ソフトで作成した赤色と比べて、目視にて同一と判断できる赤色であった。
【0051】
〔実施例2〜7〕
実施例1において、所望する色および粉体量を下記表1に示す通りに変更したことの他は同様にして出力したところ、下記表1に示す色のカラー粉体および粉体量が得られた。実施例2〜7において得られたカラー粉体においても、画像編集ソフトで作成した色と比べて、目視にて同一と判断できる色であった。
【0052】
【表1】

【符号の説明】
【0053】
40 電子写真装置
41 操作部
41a カラーチャート表示手段
42 給紙カセット
43 給紙ローラ
44 レジストローラ
45 排紙ローラ
46 中間転写体
46A,46B,46C 支持ローラ
47Y,47M,47C,47K トナーカートリッジ
48 排紙トレイ
49 定着手段
50Y,50M,50C,50K 画像形成ユニット
51Y,51M,51C,51K 静電潜像担持体
52Y,52M,52C,52K 帯電手段
53Y,53M,53C,53K 露光手段
54Y,54M,54C,54K 現像手段
57Y,57M,57C,57K 転写手段
57A 2次転写手段
58Y,58M,58C,58K クリーニング手段
60 カラー粉体供給手段
61 排紙トレイ
P 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択された色情報データに基づいて、静電潜像担持体上に各色トナーによりカラートナー像を形成し、このカラートナー像を支持体上に転写して、当該カラートナー像を支持体に対して未定着の状態で系外へ排出し、カラー粉体として供給することを特徴とするカラー粉体供給システム。
【請求項2】
前記各色トナーが、イエロートナー、マゼンタトナーおよびシアントナーであることを特徴とする請求項1に記載のカラー粉体供給システム。
【請求項3】
前記各色トナーが、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーおよびブラックトナーであることを特徴とする請求項1に記載のカラー粉体供給システム。
【請求項4】
前記各色トナーが、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーおよびホワイトトナーであることを特徴とする請求項1に記載のカラー粉体供給システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のカラー粉体供給システムを実行することを特徴とする電子写真装置。
【請求項6】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、この静電潜像を各色トナーにより現像することによりカラートナー像を形成する現像手段と、このカラートナー像を支持体上に転写する転写手段と、支持体上に転写されたカラートナー像を定着する定着手段とを具え、トナー定着画像を形成するトナー定着画像形成システムを実行する電子写真装置であって、
前記静電潜像形成手段および前記現像手段によってカラートナー像を形成し、前記転写手段によって前記カラートナー像を支持体上に転写して、当該カラートナー像を支持体に対して未定着の状態で系外へ排出し、カラー粉体として供給する請求項1〜請求項4に記載のカラー粉体供給システムを実行し、
前記トナー定着画像形成システムと前記カラー粉体供給システムとを切り替える切替手段を有することを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−242579(P2012−242579A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112097(P2011−112097)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】