説明

カルコン含有口腔ケア配合物の色の変化

口腔ケア組成物および方法を記述し、ここでその組成物にはカルコン色変化構成要素が含まれ、それはフェニル−3−メトキシ−4−ヒドロキシスチリルケトンであってよい。その色変化構成要素は、唾液の添加により、および/またはその組成物のpHにおける変化により誘導されて色を変化させる。その組成物および方法は、使用者に視覚的な合図を提供することが含まれる利益を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001] この出願は2010年1月7日に出願された米国仮特許出願第61/293,079号に対して優先権を主張し、それを本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
[0002] この出願は、口腔ケア組成物、より詳細にはカルコン化合物を含む組成物に関する。具体的には、本発明はフェニル−3−メトキシ−4−ヒドロキシスチリルケトン(phenyl−3−methoxy−4−hydroxystryryl ketone)をpHに誘導される色変化構成要素として含有する口腔ケア組成物に関する。そのような組成物には、例えば歯磨剤が含まれる。
【0003】
[0003] マウスウォッシュ(mouthwash)の使用は、歯のブラッシングに付属的である。しかし、マウスウォッシュの使用は、人の歯のブラッシングが必要とするほど多くの積極的な相互作用を必要としない。それはまた、使用の間に何かが起こったというシグナルを、通常は収斂性または燃えるようである口の感触の他に提供しない。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本発明は、様々な態様において、カルコン色変化構成要素を含む口腔ケア組成物を提供し、ここでその組成物は唾液との接触により、および/またはpHの変化により、色を変化させる。より具体的には、そのカルコン色変化構成要素はフェニル−3−メトキシ−4−ヒドロキシスチリルケトン(CHAK4)である。1態様において、その口腔ケア組成物はマウスウォッシュである。
【0005】
[0005] 本発明のさらに別の特徴は、フェニル−3−メトキシ−4−ヒドロキシスチリルケトン(CHAK4)を色変化構成要素として含む口腔ケア組成物を作る方法に関する。
【0006】
[0006] 本発明のさらにまた別の特徴は、口の表面に口の健康の利益を提供する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】[0007] 図1は、CHAK4含有マウスウォッシュの色への唾液の作用を示すプレートのグレースケール描写である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0008] 本発明は、ヒトもしくは他の動物の対象への投与、またはそれらによる使用のための組成物および方法を提供する。好ましくは、この発明において用いられるための特定の物質および組成物は、従って、医薬的に、または美容的に許容できる。本明細書で用いられる際、そのような“医薬的に許容できる”または“美容的に許容できる”構成要素は、望まれる療法的、感覚的、装飾的、または美容的利益を、過度の有害な副作用(例えば毒性、渋い味、刺激、およびアレルギー反応)無しで提供するためのヒトおよび/または動物による使用に適した、理にかなった利益/リスク比と釣り合う構成要素である。以下の定義および限定的でない指針は、本明細書で述べられるこの発明の記述を読み、解釈する際に考慮されるべきである。
【0009】
[0009] 本明細書で引用される全ての参考文献を、本明細書にそのまま援用する。
[0010] その記述および具体的な実施例は本発明の態様を示すものであるが、説明の目的のみを意図しており、本発明の範囲を限定することは意図していない。明記された特徴を有する多数の態様の列挙は、追加の特徴を有する他の態様またはその明記された特徴の異なる組み合わせを組み込む他の態様を除外することを意図していない。具体的な実施例は、この発明の組成物および方法をどのように作る、用いる、および実施するかの説明的な目的のために提供されており、なされた行為を列挙すると明示的に記載(すなわち過去形を使用)しない限り、この発明の所与の態様が実施された、または実施されていないという表現であることを意図していない。
【0010】
[0011] 本明細書で用いられる際、語“好ましい”および“好ましくは”は、特定の状況の下で特定の利益を与える本発明の態様を指す。しかし、同じ、または他の状況の下で他の態様も好ましくてよい。さらに、1個以上の好ましい態様の列挙は他の態様が有用ではないことを暗に意味せず、本発明の範囲から他の態様を除外することを意図していない。本明細書で用いられる際、語“含まれる”およびその変形は、リスト中の品目の列挙が、それもこの発明の材料、組成物、装置、および方法において有用である可能性がある他の同様の品目の除外では無いように限定的で無いことを意図している。類似の様式で、既知の物質および方法の特定の利点または不利な点の記述は、その態様の範囲をそれらの除外に限定することを意図するものではない。実際、特定の態様には、本明細書で論じられる不利な点に悩まされることなく1種類以上の既知の物質または方法が含まれてよい。
【0011】
[0012] 本明細書で用いられる際、用語“含む”は、最終結果に影響を及ぼさない他の工程および他の構成要素を利用することができることを意味する。用語“含む”は表現“からなる”および“本質的に〜からなる”を含む。表現“有効量”は、本明細書で用いられる際、明確な利益、好ましくは口の健康の利益を有意に誘導するのに十分であるが、重篤な副作用を避けるのに十分に低い、すなわち理にかなった利益のリスクに対する比率を提供する化合物または組成物の量を意味し、それは当業者の適切な判断の範囲内である。単数形の識別子、例えば“the”、“a”、または“an”の使用は、単に単数の構成要素の使用に限定することを意図しておらず、複数の構成要素が含まれてよい。
【0012】
[0013] 本明細書で言及される際、“口腔ケア組成物”は、ヒトまたは動物の対象への、あらゆる生理学的な病気または障害の予防または処置が含まれるその対象の健康、衛生または外観の増進、ならびに感覚的、装飾的または美容的利益およびそれらの組み合わせの提供のための投与または適用に適したあらゆる組成物である。本明細書で用いられる“口腔ケア組成物”により、それに関して意図される用途に口腔ケア、口腔衛生、もしくは口の外観が含まれ得る、またはそれに関して意図される使用の方法が口腔への投与を含み得る組成物を意味する。
【0013】
[0014] その様々な態様の口腔ケア組成物は、好ましくは歯磨剤の形である。この記述全体において用いられる用語“歯磨剤”は、ペースト、ゲル、または液体配合物を意味する。
【0014】
[0015] この記述全体において用いられる表現“キャリヤー”または“水性キャリヤー”は、本明細書における使用のためのあらゆる安全かつ有効な物質を意味する。そのような物質には、例えば増粘剤、湿潤剤、イオン性有効成分、緩衝剤、抗歯石剤、研磨性の研磨する(abrasive polishing)物質、過酸化物の源、アルカリ金属重炭酸塩類、界面活性剤、二酸化チタン、着色剤、香味系、甘味剤、抗微生物剤、草本性の薬剤、脱感作剤、汚れを低減する薬剤、およびそれらの混合物が含まれる。
【0015】
[0016] 本明細書で用いられる全ての百分率および比率は、別途明記されない限りその口腔ケア組成物の重量によるものである。全ての測定は、別途明記されない限り25℃においてなされる。
【0016】
[0017] カルコン類は、いくつかの植物種において見付かる天然存在化合物のファミリーである。全てのカルコン化合物は、共通の芳香族ケトンの中心部を共有している。カルコン類は、抗細菌、抗真菌、抗腫瘍および抗炎症特性を有することが示されてきた。
【0017】
[0018] 口腔用組成物中での使用のためのカルコン誘導体は、同時係属中の“抗微生物剤の増進剤としてのカルコン類”と題された国際出願一連番号PCT/US2009/068688、代理人整理番号8899−00−OCにおいて記述されており、それを本明細書にそのまま援用する。この同時係属中の特許出願において記述されているカルコン誘導体は、様々な抗感染症剤と組み合わせた場合に、細菌、ウイルスおよび酵母を用いるインビトロスクリーニングにおいて有効性を増進する特性を有すると信じられている。これらの組成物および化合物は、微生物に感染したマウスおよびモルモットのモデルを用いてインビボで試験した際にも有効であった。
【0018】
[0019] この同時係属中の特許出願において記述されている1つのカルコン誘導体は、フェニル−3−メトキシ−4−ヒドロキシスチリルケトンとしても知られる3−(4’−ヒドロキシ−3’−メトキシ−フェニル)−1−フェニル−プロパ−2−エン−1−オンであり、それを本明細書においてCHAK4と呼ぶ。CHAK4に関する式は以下の通りである:
【0019】
【化1】

【0020】

[0020] CHAK4が含まれる組成物を用いた研究において、本研究者らは意外にも、ヒトの唾液を含有するあらゆる表面へのその組成物の添加は即時の、かつ独特の(distinctive)色の変化をもたらすことを観察した。唾液がCHAK4を含む組成物に色の移行を引き起こすというこの驚くべき発見は、本発明者らをpHはCHAK4を含む組成物の色に作用を有すると信じるように導いた。
【0021】
[0021] CHAK4を含み、追加の着色剤を含まない、3.8のpHを有する溶液は、黄色い色を有する。その溶液のpHが中性に向かって上昇するにつれて、その色は3.8のpHにおける黄色から4.8のpHにおいてアキノキリンソウ(goldenrod)の色に、6.8のpHにおいて赤色に移行する。本発明者らの研究は、pHの小さな変動に反応して色を変化させるそれの能力はCHAK4に特有であることを実証した。このpHのCHAK4を含む組成物の色への作用は、口腔ケア組成物においてフィードバックシグナルとして用いることができる。
【0022】
[0022] 1態様において、本発明はCHAK4を含む口腔ケア組成物を提供する。その口腔ケア組成物は、0.01%から10%まで、または0.05から5%まで、または0.1%から1%まで、または0.1%から0.5%までのCHAK4を含んでいてよい。1態様において、その口腔ケア組成物は0.01%から0.05%までのCHAK4を含む。
【0023】
[0023] その口腔ケア組成物のpHは、2.0から12.0までであってよい。様々な態様において、その口腔ケア組成物のpHは3.5から5.0までであってよい。唾液の正常なpHは中性に近い。CHAK4を含む酸性溶液への唾液の添加は、そのpHレベルを塩基性に向けて上昇させ、それによりその溶液における色の移行を引き起こすであろう。その色の変化は、その組成物が作用している使用者へのフィードバックシグナルとして役立つ可能性がある。
【0024】
[0024] 別の態様において、CHAK4を含む口腔用組成物に着色剤を添加してよい。その追加の着色剤は、CHAK4を有する組成物に添加されて様々な出発時の色の美観を提供することができる。CHAK4の色の移行作用と同じものが追加の着色剤を含む溶液においても観察される。
【0025】
[0025] 特定の態様において、本発明の組成物は口腔への投与に適した口腔ケア組成物である。そのような組成物には、歯磨剤、マウスウォッシュ、歯科用ゲル、ロゼンジ、ビーズ、ガム、口用細片、薄荷、液体練り歯磨き、スプレー、塗布用ゲル、リップバーム、白化用細片、息用細片(breath strips)、口で噛む物(oral chews)、およびそれらの組み合わせが含まれる。本明細書で開示される口腔ケア組成物は、例えば虫歯の予防、白化、プラークの予防もしくは低減、歯肉炎の予防もしくは低減、歯石制御、敏感性の予防もしくは低減、または息の悪臭の予防もしくは低減、および汚れ防止のために用いることができる。
【0026】
[0026] 好ましい態様において、その口腔用組成物はマウスウォッシュの形である。マウスウォッシュ製剤において、そのビヒクルはアルコールを含んでいてよく、またはアルコールを含まなくてよい。1態様において、そのビヒクルは水−アルコール混合物である。一般に、水のアルコールに対する重量比は1:1から20:1まで、好ましくは3:1から10:1まで、より好ましくは4:1から6:1までである。このタイプの製剤中の水−アルコール混合物の総量は、典型的には70から99.9重量%までの範囲である。そのアルコールは好ましくは非毒性のアルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノールである。湿潤剤、例えばグリセリンおよびソルビトールは、10〜30重量%の量で存在していてよい。液体歯磨剤は典型的には50〜85%の水を含有し、0.5〜20重量%の非毒性のアルコールを含有していてよく、10〜40重量%の湿潤剤、例えばグリセリンおよび/またはソルビトールも含有していてよい。ソルビトールへの言及は、典型的に商業的に70%水溶液で入手可能なその物質を指す。エタノールは好ましい非毒性のアルコールである。
【0027】
[0027] 有機性表面活性剤も、増大した予防的作用を達成するため、口腔全体にわたる抗プラーク性抗細菌剤の徹底的かつ完全な溶媒分散の達成を助けるため、および本組成物をより美容的に許容できるものにするために本発明の組成物中で用いられてよい。その有機性表面活性物質は、好ましくは本質的に陰イオン性、非イオン性、または両性であり、表面活性剤としてその組成物に洗浄性の(detersive)発泡する特性を与える洗浄性物質を用いるのが好ましい。陰イオン性界面活性剤の適切な例は、高級脂肪酸モノグリセリドモノサルフェート類の水溶性塩類、例えば硬化ヤシ油脂肪酸の一硫化(monosulfated)モノグリセリドのナトリウム塩、高級アルキルサルフェート類、例えばラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールスルホネート類、例えばナトリウム ドデシルベンゼンスルホネート、高級アルキルスルホアセテート類、1,2−ジヒドロキシプロパンスルホネートの高級脂肪酸エステル類、タウリンの高級脂肪酸エステル類および低級脂肪族アミノカルボン酸化合物の実質的に飽和した高級脂肪族アシルアミド類、例えば脂肪酸、アルキルまたはアシル基中に12〜16個の炭素を有するそれら、および同様のものである。適切なタウリン類およびアミド類の例は、N−メチル−N−ココシルタウレート(N−methyl−N−cococyl taurate)、N−メチル−N−オレオイルタウレート、N−メチル−N−パルミトイル−タウレート、N−ラウロイルサルコシネート、ならびにN−ラウロイル、N−ミリストイル、またはN−パルミトイルサルコシンのナトリウム、カリウム、およびエタノールアミン塩類であり、それは実質的に石けんまたは類似の高級脂肪酸物質を含まないべきである。そのタウリン化合物は特に溶解を助ける。本発明の口腔用組成物におけるサルコシネート化合物の使用は、これらの物質は、酸溶液中における歯のエナメル質の溶解性におけるいくらかの低減を行使することに加え、炭水化物の分解による口腔中の酸の形成の阻害において長期の著しい作用を示すため、特に好都合である。水溶性の非イオン性界面活性剤の例は、エチレンオキシドの、それと反応性であり長い疎水性の鎖(たとえば12〜20個の炭素原子の脂肪族鎖)を有する様々な反応性水素含有化合物との縮合生成物であり、その縮合生成物(“エトキサマー類(ethoxamers)”)は親水性ポリオキシエチレン部分を含有し、それは例えばポリ(エチレンオキシド)の脂肪酸、脂肪アルコール類、脂肪アミド類、多価アルコール類(例えばソルビタンモノステアレート)との縮合生成物およびポリプロピレンオキシド(例えばPluronic物質)である。両性または双性イオン性界面活性剤も様々な態様において用いられてよい。
【0028】
[0028] そのマウスウォッシュ組成物は、抗齲食に有効な量の、25ppm〜5,000ppmのフッ化物イオンを供給するのに十分なフッ化物イオンの源も含有していてよい。そのフッ化物イオンの源、またはフッ素を提供する構成要素は、当技術において抗齲食剤として周知である。これらの化合物は水中でわずかに可溶性であってよく、またはより好ましくは完全に水溶性であってよい。それらは水中でフッ化物イオンを放出する能力により、およびその口腔用組成物の他の化合物との望まれない反応が実質的に無いことにより特性付けられる。
【0029】
[0029] そのフッ素を提供する化合物の量は、化合物のタイプ、その可溶性、および口腔用製剤のタイプにある程度依存するが、それは非毒性な量、一般にはその製剤中で0.0005%〜3.0%でなければならない。マウスウォッシュ製剤において、その製剤の重量により5,000ppmまでのFイオンを放出するそのような化合物の量は十分であると考えられる。そのような化合物のあらゆる適切な有効な抗齲食の最低限の量を用いることができるが、100〜2,000ppm、より好ましくは300〜1,500ppmのフッ化物イオンを放出するのに十分な化合物を用いるのが好ましい。
【0030】
[0030] あらゆる適切な香味または甘味物質も用いられてよい。適切な香味成分の例は、香味油、例えば、スペアミント、ペパーミント、ウィンターグリーン、サッサフラス、チョウジ、セージ、ユーカリ、マヨラマ、桂皮、レモン、およびオレンジの油、ならびにサリチル酸メチルである。適切な甘味剤には、スクロース、ラクトース、マルトース、キシリトール、シクラミン酸ナトリウム、ペリラトリン(perillatrine)、AMP(アスパルチルフェニルアラニン、メチルエステル)、サッカリンおよび同様のものが含まれる。適切には、香味および甘味剤はそれぞれ、または合わせて、その製剤の0.001%から5%以上までを構成していてよく、典型的にはそれぞれ0.1〜2.5%である。
【0031】
[0031] 様々な他の物質、例えば白化剤、保存剤、シリコン類、クロロフィル化合物および/またはアンモニアと化合した(ammoniated)物質、例えば尿素、リン酸二アンモニウム、およびそれらの混合物を、この発明の口腔用製剤に組み込むことができる。これらの補助剤は、存在する場合、望まれる特性および特徴に実質的に悪影響を及ぼさない量でその製剤に組み込まれる。一般的に可溶性の、著しい量の亜鉛、マグネシウムおよび他の金属の塩類および物質は、それは本発明の有効構成要素と錯体形成すると考えられ、避けられるべきである。
【0032】
[0032] それが慣習的であるように、その口腔用製剤は適切にラベルを貼られた包装中で販売される、またはそうでなければ流通されるべきであることは理解されるであろう。従って、マウスウォッシュの容器は、それが実質的にマウスリンス(mouthrinse)またはマウスウォッシュであると記述し、それの使用に関する手引きを有するラベルを有すると考えられ;液体練り歯磨きは通常は、それが実質的に液体練り歯磨きまたは歯磨剤であると記述するラベルを有する押しつぶせるチューブもしくはドリップチューブ(典型的にはアルミニウムで裏打ちされた鉛またはプラスチック)、またはその内容物を計って出す(metering out)ための他のディスペンサー中にあるであろう。
【0033】
[0033] 様々な態様において、本発明は、機能性物質をそれを必要とするヒトまたは動物の対象に投与するための方法であって、前記の対象にCHAK4を含む組成物を局所的に適用することを含む方法を提供する。本明細書で言及される際、“投与”は、それにより組成物がその対象に適用または投与されるあらゆる方法を指す。様々な態様において、その投与は局所的であり、ここでその組成物はその対象の外部表面に、例えば口腔(例えば歯、歯肉、および舌)の表面に適用される。投与の具体的な経路および方法は、当然その組成物の意図される用途に依存するであろう。
【0034】
[0034] 様々な態様において、本発明は、口腔ケアの病気の処置のための方法を提供する。本明細書で言及される際、“口腔ケアの病気”は組成物のその口腔への投与により予防または処置することができるあらゆる障害または病気であり、それには歯、口の粘膜、歯肉および舌の障害または病気が含まれる。そのような病気には、齲食、歯肉炎、歯周炎、ならびに美容的な病気、例えば黄変および悪臭が含まれる。
【0035】
[0035] 本明細書で記述した態様は、以下の限定的でない実施例への参照によりさらに理解することができる。
【実施例】
【0036】
実施例1
[0036] CHAK4を、無色である塩化セチルピリジニウム(cetylpyridinum chloride)を含有する出発基礎マウスウォッシュ配合物に添加した。その無色のマウスウォッシュに添加されたCHAK4は、そのマウスウォッシュ配合物を黄色に変化させた。0.01重量%から0.05重量%、0.1重量%および0.5重量%の、様々な濃度のCHAK−4を用いた。0.05重量%のCHAK−4に関するマウスウォッシュ配合物の色は、ほとんどオレンジ色のような色へと、最も強い色の変化をもたらした。残りの配合物は鮮やかな黄色であった。
【0037】
実施例2
[0037] この実施例は、CHAK4を含むマウスウォッシュ溶液の色への唾液の作用を説明する。マウスウォッシュ溶液を、増大する濃度のCHAK4を用いて、本発明に従って作った。100μlのマウスウォッシュを96ウェルプレート上のウェルに添加した。次いで増大する体積の滅菌したヒトの唾液を、マウスウォッシュを含有するそれぞれのウェルに添加した。
【0038】
[0038] 図1で示したように、増大する濃度のCHAK4を含有するマウスウォッシュの、様々な濃度の滅菌したヒトの唾液との系統的混合は、比較的少量の唾液に対するそのマウスウォッシュの色の変化の敏感性を実証した。唾液のそのマウスウォッシュへの添加により、独特の色の変化が観察される。CHAK−4配合物(0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、および0.5重量%)のそれぞれに関して、その色の変化はより多くの唾液によりますます明白になった。言い換えれば、1μlの唾液における比較的わずかな黄色で出発し、唾液濃度が増大するにつれて、その色がより明瞭に黄色になった0.01%を除き、その色は黄色からよりオレンジ色に変化した。
【0039】
[0039] 図1におけるプレートの最後の2つの縦列(FおよびG)において、95%エタノール中で溶解させたニートの(neat)有効物質を、唾液または滅菌水のどちらかと組み合わせた。滅菌水と混合すると、CHAK4はその独特の黄色を保持する(G)。しかし、唾液と混合した場合、オレンジ色への明確な変化があり、また、それぞれの試料に関して、唾液の体積を増大させるにつれてその色はより強くなった。
【0040】
実施例3
[0040] この実施例は、0.1%のCHAK4を含むマウスウォッシュ溶液の色へのpHの作用を説明する。CHAK4を透明なマウスウォッシュ溶液中に混合し、そのpHを調節した。その溶液は3.8のpHにおいて黄色であり、4.5のpHにおいてアキノキリンソウ色、そして6.8のpHにおいて赤色であった。比較的狭いpHの範囲内で、0.1%のCHAK4を含有する完全なマウスウォッシュ配合物において色の変化を誘導することが可能であった。
【0041】
実施例4
[0041] 典型的なマウスウォッシュ配合物およびCHAK4を含有する配合物を、表1で提供する。それぞれのマウスウォッシュ配合物は、CHAK4無しのマウスウォッシュが青色であり、CHAK4を含有するマウスウォッシュ配合物が緑色であるように、青色の染料を含有していた。その最終的な配合物の色は、CHAK4と組み合わせられる着色剤のタイプに依存して調整することができる。
【0042】
【表1】

【0043】
実施例5
[0042] インビトロの研究は、CHAK4が含まれるマウスウォッシュ組成物における色の変化は、実際の使用におけるすすぎの際に存在するであろう量に匹敵する少量の唾液との混合によりすぐに誘導することができることを示した。
【0044】
[0043] 15mLのマウスウォッシュの用量を1mLのヒトの唾液と組み合わせることにより、模擬的な口のすすぎを実施した。それぞれのマウスウォッシュは異なる出発時の色を有しており、それぞれが唾液と組み合わせた後に知覚可能な色の変化を示した。この模擬的なすすぎの試験は、CHAK4の添加は実際の使用状況において唾液と組み合わせた際に色の変化をもたらすことができることを実証した。この実施例は、その出発時の美観を容易に調節することができ、一方でなお非常に識別可能かつ知覚可能な最後の色をもたらすことを実証している。
【0045】
[0044] 本明細書で記述した実施例および他の態様は代表的なものであり、この発明の組成物および方法の完全な範囲の記述における限定であることは意図していない。特定の態様、物質、組成物および方法の均等な変化、修正および変形が本発明の範囲内でなされてよく、実質的に類似の結果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
唾液の添加により、および/または組成物のpHの変化により色を変化させることができるカルコン色変化構成要素を含む口腔ケア組成物。
【請求項2】
その色変化構成要素がフェニル−3−メトキシ−4−ヒドロキシスチリルケトン(CHAK4)を含む、請求項1に記載の口腔ケア組成物。
【請求項3】
その口腔ケア組成物がマウスウォッシュである、請求項1または2に記載の口腔ケア組成物。
【請求項4】
そのCHAK4がその組成物の0.01重量%から10重量%までの量で存在する、請求項2または3に記載の口腔ケア組成物。
【請求項5】
そのCHAK4が0.01%から0.05%までの量で存在する、請求項4に記載の口腔ケア組成物。
【請求項6】
その組成物のpHが2から12までの範囲である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項7】
その組成物のpHが3.5から5までの範囲である、請求項6に記載の口腔ケア組成物。
【請求項8】
そのマウスウォッシュの0.01重量%から10重量%までの量でフェニル−3−メトキシ−4−ヒドロキシスチリルケトンを含むマウスウォッシュ。
【請求項9】
フェニル−3−メトキシ−4−ヒドロキシスチリルケトン(CHAK4)を口に許容できるキャリヤーに添加することを含む、色変化構成要素を含む口腔ケア組成物を作る方法。
【請求項10】
そのCHAK4がその組成物の0.01重量%から10重量%までの量で添加される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
さらにそのpHがpHが3.5から5.0までの範囲内であるように調節することを含む、請求項9〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
口の表面を請求項1に従って口腔ケア組成物と接触させることを含む、口の表面に口の健康の利益を提供する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−516477(P2013−516477A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548121(P2012−548121)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2011/020370
【国際公開番号】WO2011/085098
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】