説明

カルボキシルエチルセルロースを含有する抑臭洗浄剤

【課題】漂白剤や抗菌剤等を使用することなく、洗濯機から取り出して干すまでの間の衣類の不快な臭い、生乾き状態の衣類から発生する不快な臭い、着用後の衣類から発生する不快な臭いという各段階において人が不快に感じる臭いを抑制できる抑臭洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)界面活性剤成分を10〜30質量%、(B)カルボキシルエチルセルロース成分を3.0〜10質量%、(C)アルカリ金属炭酸塩成分を20〜40質量%、および(D)変異プロテアーゼ酵素成分を純蛋白として0.0001〜10%質量%含有する抑臭洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料の洗濯直後、乾燥時及び着用時における臭いを抑制できる抑臭洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の衣類に対する消臭、防臭意識の高まりに伴い、消臭、防臭を訴求した衣料用洗剤が増加している。消費者は訴求の有無に関わらず、衣料用洗剤には洗浄力と同様に消臭、防臭効果を望んでいる。
【0003】
下記特許文献1の漂白洗浄剤組成物は、香気安定性に優れ、酵素臭をマスキングして、脱水布にも酵素臭が残らず、しかも使用開始から衣類が乾燥するまで良好な香りが持続することを提案している。
また、下記特許文献2の耐久性香料を含有する洗剤組成物は、処理された布地上により良い香料付着を与え、洗濯プロセス時に失われる香料を最小限にすることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−230197号公報
【特許文献2】特表平11−504976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
衣料用洗剤に対しては、洗濯機から取り出して干すまでの間の衣類の不快な臭い(皮脂臭、細菌由来の悪臭)、生乾き状態の衣類(即ち、乾燥時の衣類)から発生する不快な臭い、着用後の衣類から発生する不快な臭い(汗臭、皮脂臭)という各段階における臭いの抑制が求められている。
【0006】
上記した各段階における高い消臭、防臭効果を得るためには、衣料用洗剤に漂白剤、抗菌剤の配合することが一般的であり、上記特許文献1および2の発明でも漂白剤成分が配合されている。しかし、漂白剤、抗菌剤を配合すると消臭、防臭効果は高められるが、製造コストが上昇するため、その分だけ製品価格が高くなってしまう。
【0007】
本発明は、漂白剤や抗菌剤等を使用することなく、洗濯機から取り出して干すまでの間の衣類の不快な臭い(皮脂臭、細菌由来の悪臭)、生乾き状態の衣類(即ち、乾燥時の衣類)から発生する不快な臭い、着用後の衣類から発生する不快な臭い(汗臭、皮脂臭)という各段階において人が不快に感じる臭いを抑制できる抑臭洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、洗浄剤組成物において、カルボキシルエチルセルロースを併用することにより、上記課題が解決されることを見出した。即ち、本発明は下記の発明を提供する。
【0009】
(1)下記(A)成分を10〜30質量%、(B)成分を3.0〜10質量%、(C)成分を20〜40質量%、および(D)成分を純蛋白として0.0001〜10%質量%含有する抑臭洗浄剤組成物。
(A)界面活性剤、
(B)カルボキシルエチルセルロース、
(C)アルカリ金属炭酸塩、
(D)変異プロテアーゼ酵素。
【0010】
(2)下記(E−1)〜(E−3)の各群のそれぞれから選ばれる少なくとも1種の組み合わせからなる香料(E)を更に含有する上記1項に記載の抑臭洗浄剤組成物。
(E−1)群:シス-3-ヘキセノール、ジヒドロミルセノール、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、ラベンダーオイル、酢酸リナリル、5-エチリデンビシクロ(2.2.1)ヘプト-2-エンと2-メトキシフェノールの付加物の水添体、オレンジオイル、リモネン、2-シクロヘキシルプロパナール、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド(トリプラール;IFF社製)、酢酸cis-3-ヘキセニル、4-メチル-3-デセン-5-オール、シトロネリルニトリル、及びα-メチル-3,4-メチレンジオキシヒドロシンナミックアルデヒドとアンスラニル酸メチルとのシッフベース。
【0011】
(E−2)群:1-(2-tert−ブチルシクロヘキシルオキシ)-2-ブタノール、ナフト[2.1-b]フラン,ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-、クマリン、エチルバニリン、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-2-イルカーボキシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、p-t-ブチル-α-メチルヒドロシンナミックアルデヒド、メチルナフチルケトン、7-アセチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-1,1,6,7-テトラメチルナフタレン、酢酸o-tert-ブチルシクロヘキシル、エチル-2-シクロヘキシルプロピオネート、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、α-イソメチルヨノン、α-ヨノン、β-ヨノン、(2-(2,4-ジメチルシクロヘキシ-3-エン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン、アセチルセドレン、プロピオン酸トリシクロデセニル、サリチル酸シクロヘキシル、γ-ウンデカラクトン、及びヘリオトロピン。
【0012】
(E−3)群:エチレンブラシレート、シクロペンタデカノリド、オキサシクロヘキサデセン-2-オン、シクロヘキサデセノン、3-メチルシクロペンタデセノン、ジヒドロペンタメチルインダノン、3-メチルシクロペンタデカノン、エチレンドデカジオエート、10-オキサヘキサデカノリド、11-オキサヘキサデカノリド、12-オキサヘキサデカノリド、シクロヘキサデカノリド、及びシクロヘキサデセノリド。
【0013】
(3)成分(B)が、カルボキシルエチル基の置換度が0.2〜2.8であって、カルバモイルエチル基の置換度が0.04以下である重合度が2〜3000のカルボキシルエチルセルロースである上記1または2項に記載の抑臭洗浄剤組成物。
【0014】
本発明の抑臭洗浄剤組成物における「抑臭」は、人が不快に感じるような臭いの発生を抑制する意味であるが、本発明の抑臭洗浄剤組成物は、臭いの原因となる物質乃至は菌類を洗浄除去することで抑臭するものであり、漂白剤や抗菌剤を含む洗浄剤のように衣類に付着した菌を殺菌することで抑臭するものではない。
【発明の効果】
【0015】
本発明の抑臭洗浄剤組成物によれば、漂白剤、抗菌剤、それらに類する成分及びそれらを補助する成分を使用することなく、洗濯機から取り出して干すまでの間の衣類の不快な臭い(皮脂臭、細菌由来の悪臭)、生乾き状態の衣類(即ち、乾燥時の衣類)から発生する不快な臭い、着用後の衣類から発生する不快な臭い(汗臭、皮脂臭)という各段階における臭いの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<(A)界面活性剤>
(A)成分の界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤から選ばれるものを含有することができるが、陰イオン界面活性剤及び/又は非イオン界面活性剤を含有し、必要に応じて陽イオン界面活性剤及び両性界面活性剤を含有することが好ましい。
【0017】
陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩又はエステル、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、および脂肪酸塩等を挙げることができる。本発明では特に、アルキル鎖の炭素数が10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、及び脂肪酸塩が好ましく、対イオンとしては、アルカリ金属塩やアミン類が好ましく、ナトリウム及び/又はカリウム、モノエタノールアミン並びにジエタノールアミンが特に好ましい。
【0018】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド、アルキルグルコースアミドおよびアルキルアミンオキサイド等を挙げることができる。洗浄力の点で、炭素数10〜18好ましくは12〜14のアルコールのエチレンオキシドの付加物、もしくはエチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合付加物であって、アルキレンオキシド平均付加モル数5〜30好ましくは5〜15のポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0019】
また、洗浄力及び溶解性の点で、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。この化合物は炭素数10〜18好ましくは12〜14のアルコールのエチレンオキシド付加物に、プロピレンオキシド、更にエチレンオキシドを反応させることにより得ることができる。更に、上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの内、アルキレンオキシド分布の狭いものが好ましい。この化合物は、特開平7−227540号公報等記載のマグネシウム系触媒を用いることにより得ることができる。
【0020】
陽イオン界面活性剤としてアルキルトリメチルアンモニウム塩等が、両性界面活性剤としてカルボベタイン型またはスルホベタイン型活性剤等を挙げることができる。
組成物中の(A)成分の含有量は、洗浄による抑臭効果の付与及び長期間の放置状態における組成物の固化抑制(耐ケーキング)の点より、10〜30質量%、好ましくは15〜30質量%、更に好ましくは15〜25質量%である。
【0021】
<(B)カルボキシルエチルセルロース>
(B)成分のカルボキシルエチルセルロースは、(A)成分と併用することで洗浄力を増大させる成分であり、特に皮脂汚れに対する洗浄力を増大させることで、皮脂汚れに起因する臭いの発生を抑制する成分である。
【0022】
本発明で用いる(B)成分のカルボキシルエチルセルロースは、全組成中に3.0〜10質量%含有していることが重要である。好ましくは4〜10質量%、更に好ましくは5〜8質量%含有することが、皮脂汚れに対する洗浄力を増大させることができ、かつ皮脂汚れに起因する臭いの発生を抑制することができる。
【0023】
本発明で用いるカルボキシルエチルセルロースは、カルボキシルエチル基の置換度が0.2〜2.8であることが好ましい。カルボキシルエチル基の置換度が0.2未満であると、カルボキシルエチルセルロースは水溶性を示さず、洗浄力を発揮することができない。一方、カルボキシルエチル基の置換度が2.8をこえると、水に溶解したときの溶液の分散性が著しく低下し、洗浄時に均一に分散しなくなる。洗浄力及び分散性の観点から、カルボキシルエチル基の置換度は0.3〜2.7がさらに好ましく、最も好ましくは0.4〜2.5である。また本発明のカルボキシルエチルセルロースは、カルバモイルエチル基の置換度が0.04以下であることが好ましい。カルバモイルエチル基の置換度が0.05をこえると、洗浄剤の状態で保存している間に黄変してしまう。さらに好ましくはカルバモイルエチル基の置換度は0.03以下であり、特に好ましくはカルバモイルエチル基の置換度は0.01以下である。
【0024】
本発明で用いるカルボキシルエチルセルロースの重合度は、抑臭洗浄剤組成物としての洗浄力を発現させるために2〜3000であることが好ましい。さらに好ましくは200〜2500、特に好ましくは300〜2000である。塩として存在する場合は、対イオンとしては、アルカリ金属塩やアミン類が好ましく、特にナトリウムが好ましい。
【0025】
<(C)アルカリ金属炭酸塩>
(C)成分のアルカリ金属炭酸塩は、(B)成分のカルボキシルエチルセルロースと共に(A)成分と併用することで洗浄力を増大させる成分であり、特に皮脂汚れに対する洗浄力を増大させることで、皮脂汚れに起因する臭いの発生を抑制する成分である。
(C)成分のアルカリ金属炭酸塩としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを用いることができる。組成物中の(C)成分の含有量は、洗浄力の増大による抑臭効果の向上及び長期間の放置状態における組成物の固化抑制(耐ケーキング)の点より、無水物換算で20〜40質量%、好ましくは20〜35質量%、更に好ましくは20〜30質量%である。
【0026】
<(D)変異プロテアーゼ酵素>
(D)成分の酵素は、タンパク質を分解して洗浄除去し易くすることで、タンパク質に起因する臭いの発生を抑制する成分である。(D)成分の酵素は、さらにデンプン等の多糖類や脂肪等を分解するセルラーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンリアーゼまたはペクチン酸リアーゼと併用することが好ましい。本発明の課題を解決するためには、タンパク質汚れの除去力が強力なプロテアーゼ酵素を使用することが好ましく、更にセルラーゼと組み合わせることがより好ましい。
【0027】
(D)成分の変異プロテアーゼ酵素としては市販のエバラーゼ、カンナーゼ(登録商標;ノボザイムズ社)、プロペラーゼ、プラフェクト、ジュラザイム(登録商標;ジェネンコア社)、並びに特開2002−218989、特開2002−306176、特開2004−000122、特開2004−305176および特開2006−129865号公報に記載された変異プロテアーゼ酵素等を挙げることができる。洗剤として使用するため、これら変異プロテアーゼ酵素はアルカリ性で至適となる変異アルカリプロテアーゼ酵素が好ましい。
【0028】
野生型プロテアーゼ酵素が併用されてもよく、併用できる野生型プロテアーゼ酵素としてはサビナーゼ、アルカラーゼ、エスペラーゼ(登録商標;ノボザイムズ社)、並びに工業技術院生命工学技術研究所にバチルス エスピー KSM−KP43(FERM BP−6532)、バチルス エスピー KSM−KP1790(FERM BP−6533)、およびバチルス エスピー KSM−KP9860(FERM BP−6534)として寄託された微生物(原寄託日1996年9月18日)が生産するプロテアーゼ酵素等を挙げることができる。
【0029】
併用できるセルラーゼとしてはセルザイム、ケアザイム(登録商標;ノボザイムズ社)、KAC、特開平10−313859号公報記載のバチルス エスピーKSM−S237株が生産するアルカリセルラーゼ、および特開2003−313592号公報記載の変異アルカリセルラーゼ等を挙げることができる。
【0030】
併用できるアミラーゼとしてはターマミル、デュラミル、ステインザイム(登録商標;ノボザイムズ社)、プラスター(登録商標;ジェネンコア社)、WO94/26881号およびWO98/44126号パンフレットに記載されたバチルス エスピーKSM−AP1378(FERM BP−3048)株由来のアルカリ液化型α−アミラーゼやその変異酵素、並びに特開2000−184882号、特開2000−184883号および特開2001−54392号公報に記載されたバチルス エスピー KSM−K38(FERM BP−6946)株由来のアルカリ液化型α−アミラーゼ及びその変異酵素等を挙げることができる。
【0031】
併用できるリパーゼとしてはリポラーゼ、リポラーゼウルトラおよびライペックス(登録商標;ノボザイムズ社)を挙げることができる。
併用できるマンナナーゼとしてはAppl.Environ.Microbiol.,55,3178−3183(1989)に記載されたBacillus sp.AM−001に由来するマンナナーゼAおよびB、並びに特表2001−515128号公報に記載されたBacillus agaradherens NCIMB40482に由来するマンナナーゼ(SEQ ID No:2のアミノ酸No.32−343の酵素)等を挙げることができる。
【0032】
併用できるポリガラクツロナーゼとしては特表2001−524310号公報に記載されたBacillus licheniformis ATCC14580に由来するポリガラクツロナーゼ、および特開2001−178454号公報に記載されたバチルス エスピー KSM−P816(FERM P−17565)に由来するポリガラクツロナーゼ等を挙げることができる。
【0033】
併用できるペクチンリアーゼ、またはペクチン酸リアーゼとしては、スクラーゼN(三共(株))、ペクトリアーゼ(キッコーマン(株))、ペクチナーゼSS(ヤクルト(株))、ペクチナーゼHL(ヤクルト(株))、バチルス エスピーKSM−P15株(FERM BP−6241)由来の酵素、バチルス エスピーKSM−366株(FERM BP−6262)由来の酵素、WO99/27083号公報記載のバチルスリケニフォルミスATTC14580由来の酵素、バチルスアガラドヘレンスNCIMB 12419由来の酵素、バチルス属AAI12由来の酵素、バチルス属I534由来の酵素、及びWO00/26464号公報に記載のバチルス属由来の酵素等を挙げることができる。
【0034】
本発明に用いる酵素の形態としては、酵素蛋白質の乾燥物および酵素蛋白質を含む固体を挙げることができる。また、本発明に用いる酵素は、前記微生物、又はそれらの変異株、あるいはこれらの酵素若しくはその変異体をコードするDNA配列を有する組換えベクターで形質転換された宿主細胞等を、同化性の炭素源、窒素源およびその他の必須栄養素を含む培地に接種し、常法に従い培養し、一般の酵素の採取及び精製方法に準じて得ることができる。このようにして得られる酵素液をさらに公知の方法により精製、結晶化、粉末化又は造粒化(例えば、特公昭58−26315号、特表平7−500013号、特開昭62−255990号および特開平9−48996号に記載された方法)したものを用いることができる。
【0035】
(D)成分の酵素は、組成物中、酵素の純蛋白として0.0001〜10質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.0001〜2質量%含有する。更に本発明の効果を有意に発揮させるためには、酵素の含有量が通常に比して多いことが特に好ましいことから、0.001〜2質量%含有することが好ましい。ここで酵素の純蛋白量は、ローリーらの方法(Lowry, O.H.et.al., J. Biol. Chem., 193, 265 (1951))に準じ、牛血清アルブミン (BovineSerum Albumin、SIGMA社製、製品番号A−7030)により換算される数値である。
【0036】
<(E)香料>
(E)成分の香料は、マスキング効果により不快臭を抑制するための成分であり、本発明では必要に応じて配合され、(A)〜(D)成分による洗浄による抑臭効果を補助するための成分である。
(E)成分の香料は、上記した(E−1)群から選ばれる少なくとも1種、(E−2)群から選ばれる少なくとも1種、および(E−3)群から選ばれる少なくとも1種の組み合わせからなるものである。
【0037】
これらの中でも好ましい香料としては、洗濯機から取り出して干すまでの間の衣類の不快な臭い(皮脂臭)、生乾き状態の衣類から発生する不快な臭い、及び着用後の衣類から発生する不快な臭い(汗臭、皮脂臭)を抑制しつつ、衣類の香りに清潔感および安心感を付与できる香りを創作できるという観点より、(E−1)〜(E−3)の各群中、下記の香料が好ましい。
【0038】
(E−1)群:ジヒドロミルセノール、2-シクロヘキシルプロパナール(ポレナールII;花王社製)、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド(トリプラール;IFF社製)、酢酸リナリルおよびリモネン。
【0039】
(E−2)群:1-(2-tert−ブチルシクロヘキシルオキシ)-2-ブタノール(アンバーコア;花王社製)、ナフト[2.1-b]フラン,ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-(アンブロキサン;花王社製)、クマリン、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-2-イルカーボキシレート(フルテート;花王社製)、ヘキシルシンナミックアルデヒド、p-t-ブチル-α-メチルヒドロシンナミックアルデヒド、メチルナフチルケトン、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(サンダルマイソールコア;花王社製)およびサリチル酸シクロヘキシル。
【0040】
(E−3)群:エチレンブラシレート、シクロペンタデカノリド、及びオキサシクロヘキサデセン-2-オン。これらの(E−3)群の香料は、衣類に香りを保留させることで、衣類の香りに安心感を付与し、着用後の衣類から発生する不快な臭い(汗臭、皮脂臭)の抑制についても良好な効果を得ることができる。また、比較的安価で、香りの保留に優れたマクロサイクリックムスクである。
【0041】
組成物中の(E)成分の合計含有量は、マスキングによる抑臭効果を付与する観点より、0.01〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜1.5質量%、更に好ましくは0.1〜1.0質量%である。
(E)成分中の(E−1)成分の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10〜30質量%、更に好ましくは20〜30質量%である。(E−1)成分を前記量で含有すると、衣類の香りへの清潔感の付与、洗濯機から取り出して干すまでの間の衣類の不快な臭い(皮脂臭)、および生乾き状態の衣類から発生する不快な臭いの抑制により効果がある。
【0042】
(E)成分中の(E−2)成分の含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50〜80質量%、更に好ましくは70〜80質量%である。(E−2)成分を前記量で含有すると、着用後の衣類から発生する不快な臭い(汗臭、皮脂臭)の抑制により効果がある。
【0043】
(E)成分中の(E−3)成分の含有量は1質量%以上、より好ましくは2〜10質量%、更に好ましくは3〜10質量%である。(E−3)成分を前記量で含有すると、衣類の香りへの安心感の付与、および着用後の衣類から発生する不快な臭い(汗臭、皮脂臭)の抑制により効果がある。
【0044】
(E)成分の香料中、(E−2)群及び(E−3)群の合計含有量に対する(E−1)群の含有量の比率〔E−1/(E−2+E−3)〕は、0.05〜0.5が好ましく、より好ましくは0.07〜0.4であり、更に好ましくは0.1〜0.3である。前記比率範囲を満たす場合には、衣類の香りへの清潔感および安心感の付与に効果が発揮できる。また、洗濯機から取り出して干すまでの間の衣類の不快な臭い(皮脂臭)、生乾き状態の衣類から発生する不快な臭い、及び着用後の衣類から発生する不快な臭い(汗臭、皮脂臭)に対する抑制効果も発揮できる。
【0045】
(E)成分の香料中、(E−3)群に対する(E−2)群の比率(E−2/E−3)は0.5〜100であり、好ましくは1〜50、更に好ましくは5〜30である。前記比率範囲を満たす場合には、衣類の香りへの安心感の付与、および着用後の衣類から発生する不快な臭い(汗臭、皮脂臭)の抑制が充分に実現できる。
【0046】
本発明では、(E)成分の香料以外にも、必要に応じて、オクタナール、酢酸ベンジル、シトロネロール、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸ゲラニル、リナロール、ジヒドロジャスモン酸メチル、フェニルエチルアルコール、α-アミルシンナミックアルデヒド、サリチル酸アミル、サリチル酸ヘキシル、及び酢酸トリシクロデセニル等を配合することができ、その他にも、「合成香料 化学と商品知識(印藤元一著/化学工業日報社)」に記載のうちの上記(E)成分を除く香料素材を配合することができる。
【0047】
<その他成分>
本発明の組成物は、衣料用洗浄剤の分野で公知のビルダー、再汚染防止剤、柔軟化剤、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)、酵素、着色剤、漂白剤および漂白活性化剤等を含有させることができる。
ビルダーとしては、洗濯液中のイオン強度を高める観点から炭酸塩(アルカリ金属炭酸塩は除く)、炭酸水素塩、珪酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩またはリン酸塩等の水溶性の無機塩類、アルカリ剤としてアルカリ金属珪酸塩、および金属イオン封鎖剤として結晶性アルミノ珪酸塩や有機カルボン酸(塩)を配合できる。
【0048】
アルカリ金属珪酸塩は、結晶化することで優れたアルカリ能と4A型ゼオライトに匹敵するカチオン交換能を有するものであり、好ましい基剤になる。下記式(I)及び/又は(II)で表される1種以上の結晶性アルカリ金属珪酸塩を、洗剤組成物中に好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%配合できる。
x(M2O)・y(SiO2) ・z(MemOn)・w(H2O) (I)
(式中、M は周期律表のIa族元素(好ましくはK及び/又はNa)を表し、Meは周期律表のIIa族元素、IIb 族元素、IIIa族元素、IVa 族元素又はVIII族元素から選ばれる1種以上(好ましくはMg及び/又はCa)を示し、 y/x =0.5 〜2.6 、z/x =0.001 〜1.0 、w =0〜20、n /m =0.5 〜2.0 である。)
M2O ・x'(SiO2)・y' (H2O) (II)
(式中、M はアルカリ金属元素(好ましくはK及び/又はNa)を表し、x'=1. 5 〜2.6、y'=0〜20(好ましくは実質的に0)である。)
【0049】
この結晶性アルカリ金属珪酸塩は、例えばクラリアントジャパン社より商品名「Na−SKS-6 」(δ−Na2O・2SiO2)として入手でき、粉末状及び/又は顆粒状のものを用いてもよい。
結晶性アルミノ珪酸塩として、A型、X型またはP型ゼオライト等を配合できる。平均一次粒子径は0.1〜10μmが好ましい。また、非イオン界面活性剤等の液状成分のしみ出し防止を目的に、JIS K 5101法による吸油能が80mL/100g以上の非晶質アルミノ珪酸塩を配合できる。このような非晶質アルミノ珪酸塩は、例えば、特開昭62−191417号公報および特開昭62−191419号公報等に記載されている。非晶質アルミノ珪酸塩の含有量は、洗剤組成物の0.1〜20質量%が好ましい。
【0050】
有機カルボン酸(塩)として、クエン酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、グルタミン酸ジ酢酸塩、アスパラギンジ酢酸塩、セリンジ酢酸塩、エチレンジアミンジコハク酸塩、およびエチレンジアミン四酢酸塩等を配合できる。
【実施例】
【0051】
以下に、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各実施例および比較例における評価方法は下記の通りである。
【0052】
(1)皮脂汚れ洗浄性評価
下記組成のモデル皮脂汚染液を布に付着させ、モデル皮脂汚染布を調製した。モデル皮脂汚染液の布への付着は、特開平7−270395号公報の記載に準じて、グラビアロールコーターを用いてモデル皮脂汚染液を布に印刷することによって行った。モデル皮脂汚染液を布に付着させ人工汚染布を作製する工程は、グラビアロールのセル容量58cm3/cm2、塗布速度1.0m/min、乾燥温度100℃、乾燥時間1分で行った。布は木綿金巾2003布(谷頭商店製)を使用した。
【0053】
(モデル皮脂汚染液の組成(質量%))
ラウリン酸0.44%、ミリスチン酸3.09%、ペンタデカン酸2.31%、パルミチン酸6.18%、ヘプタデカン酸0.44%、ステアリン酸1.57%、オレイン酸7.75%、トリオレイン酸13.06 %、パルミチン酸n−ヘキサデシル2.18%、スクアレン6.53%、卵白レシチン液晶物1.94%、鹿沼赤土8.11%、カーボンブラック0.01%、水道水はバランス量。
【0054】
(洗浄条件及び評価方法)
松下電器産業製洗濯機「愛妻号 NA−F70AP」へ衣料(肌着とYシャツ 8:2の割合)2.2kgと上記で作成した10cm×10cmのモデル皮脂汚染布10枚を35cm×30cmの木綿台布3枚に縫い付けて均一に入れ、組成物22gを集合状態で衣類上に置き、組成物に直接水が当たらないように注水し、標準コースで洗浄を行った。洗浄条件は次の通りである。
洗浄コース:標準コース
洗浄剤濃度:0.067%
水の硬度:4°DH
水温:20℃
浴比:15L/kg
洗浄力は汚染前の原布及び洗浄前後の汚染布の550nm における反射率を自記色彩計(島津製作所製)にて測定し、次式によって洗浄率(%)を求め、10枚の測定平均値を洗浄力として示し、洗浄率80%以上を◎表示、洗浄率70%以上80%未満を○表示、洗浄率70%未満を×表示とした。
洗浄率(%)=(洗浄後の反射率−洗浄前の反射率)/(原布の反射率−洗浄前の反射率)×100
【0055】
(2)耐ケーキング性評価
JIS P 3801に規定される2種型ろ紙(例えば、東洋濾紙(株)製「定性No2濾紙」)を用いて縦×横×高さ=10cm×6cm×4cmの上面が開口した容器を作る。この箱に組成物100gを入れ、その上にアクリル樹脂板と鉛板(又は鉄板)の合計質量15g+250gをのせる。これを温度30℃および湿度80%の恒温恒湿器中に放置し、7日後にケーキング状態を下記方法によって測定した通過率で判定した。通過率が大きいほど耐ケーキング性が大きいことを意味する。
通過率の測定:保存後の組成物を篩(JIS Z 8801規定の目開き4760μm)上に静かにあけ、通過した組成物の質量を計り、下記式により透過率を求めた。
透過率=通過した組成物質量/保存後の組成物質量×100
通過率90%以上を◎表示、通過率70%以上90%未満を○表示、通過率70%未満を×表示とした。
【0056】
(3)抑臭効果の確認試験
(3−1)洗濯機から取り出した直後の衣類の不快な臭い及び香りの印象に関する官能評価:
20人の男性パネルが各々1日8時間着用した合計20枚のTシャツを、3.5°DH硬水と表1に示した組成物を用いて(洗剤:水=25g:38L)洗濯するという工程(着用〜洗濯)を20回繰り返した。洗濯は「お任せコース」[洗い9分、注水すすぎ1回、脱水(高)4分、トータル35分、水38L、Tシャツ20枚(約2200g)]で行った。
【0057】
この方法で処理したTシャツについて、洗濯機から取り出した直後の不快な臭い、及び香りの印象(清潔感、安心感)に関する官能評価を10人の香り専門パネルで行った。不快な臭いに関する官能評価は次の5段階、および香りの印象(清潔感、安心感)に関する官能評価は次の4段階で行い、平均値を表1に示した。
【0058】
<不快な臭いの強度>
0: 無臭
1: やっと感知できる臭い
2: 何の臭いであるかがわかる弱い臭い
3: 楽に感知できる臭い
4: 強い臭い
5: 強烈な臭い
臭い強度が2未満の場合、抑臭効果有りとする。
【0059】
<香りの印象のレベル>
+2: とてもそう思う
+1: そう思う
−1: そう思わない
−2: 全くそう思わない
評価レベルが1以上の場合、抑臭効果有り(清潔感、安心感の付与に効果有り)とする。
【0060】
(3−2)生乾き状態の衣類の不快な臭い及び香りの印象に関する官能評価:
(3−1)の評価終了後、20枚のうち10枚のTシャツ各々をチャック付きポリ袋(ユニパックI−4;株式会社セイニチ製)に入れ、40℃、75%RHの恒温恒湿室で60時間放置後、25℃、60%RHの恒温恒湿室で2時間放置し、これを生乾き状態の衣類とした。(3−1)の評価と同じ基準に従って、香り専門パネル10人により、生乾き状態の衣類の不快な臭いについて官能評価を行った。平均値を表1に示した。
【0061】
(3−3)着用後の衣類の不快な臭い及び香りの印象に関する官能評価:
(3−1)の評価終了後に、20枚のTシャツの残り10枚を25℃、60%RHの恒温恒湿室で24時間放置し、完全に乾燥させた。そのTシャツを10人の男性パネルに各々1日8時間着用してもらった後、25℃、60%RHの恒温恒湿室で2時間放置し、これを着用後の衣類とした。(3−1)の評価と同じ基準に従って、香り専門パネル10人により、着用後の衣類の不快な臭い、及び香りの印象(安心感)について官能評価を行った。平均値を表2に示した。
【0062】
(実施例1〜7および比較例1〜5)
以下に示す製造方法に従って表1に示した組成の粉末状の抑臭洗浄剤組成物を製造した。なお、JIS K3362:1998により規定された方法で測定する見掛け密度はいずれも700〜900g/Lであった。
【0063】
(製造方法)
以下に示す方法で界面活性剤担持用ベース顆粒(A)を調製した。
【0064】
水480kgを、攪拌翼を有した1m3の混合槽に加え、水温が50℃に達した後に、硫酸ナトリウム120kgおよび炭酸ナトリウム150kgを添加した。15分間攪拌した後に、40質量%のカルボキシルエチルセルロース水溶液(重合度300、カルボキシルエチル基の置換度0.80、カルバモイルエチル基の置換度0.01)120kgを添加した。更に15分間攪拌した後に、ゼオライト(ゼオビルダー社製、4A型、平均粒径:3.5μm)252kgを添加し、30分間攪拌して均質なスラリーを得た。このスラリーの最終温度は53℃であった。このスラリーを噴霧乾燥に付して、得られた噴霧乾燥粒子をベース顆粒群とした。このベース顆粒群は、平均粒径が260μm、嵩密度が590g/L、担持能が52mL/100g、粒子強度が280kg/cm2、および組成(質量比)がゼオライト/カルボキシルエチルセルロースNa/炭酸Na/硫酸Na/水=42/8/25/20/5であった。
【0065】
次いで、得られた界面活性剤担持用ベース顆粒(A)を用いて、以下に示す方法でベース洗剤粒子(B)を調製した〔工程(I)〕。
界面活性剤混合物(ポリオキシエチレンアルキルエーテル(エマルゲン1108、花王(株)製)/ポリエチレングリコール/ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム/水=21/4/21/4(質量比))を80℃に調整した。次に、レディゲミキサー(松坂技研(株)製、容量130L、ジャケット付)に界面活性剤担持用ベース顆粒(A)を100質量部投入し、主軸(回転数:60rpm、周速:1.6m/s)の攪拌を開始した。尚、ジャケットに80℃の温水を10L/分で流した。そこに、上記界面活性剤混合物50質量部を2分間かけて投入し、その後5分間攪拌を行い、ベース洗剤粒子(B)を得た。
【0066】
次いで、得られたベース洗剤粒子(B)の表面を、以下に示す方法で陰イオン界面活性剤の酸前駆体で中和した〔工程(II)〕。
前記のレディゲミキサー内にベース洗剤粒子(B)100質量部に対して、ラウリン酸2質量部を投入し、主軸(回転数:120rpm)の回転を1分間行い表面被覆した。尚、ジャケットに80℃の温水を10L/分で流した。
【0067】
次いで、工程(II)で得られた粒子の表面に、以下に示す方法で下地層を形成した〔工程(III)〕。
前記のレディゲミキサー内に工程(II)で得られた粒子100質量部に対して、バインダーとしてポリエチレングリコール純分換算60質量部のポリエチレングリコール(平均分子量13000)水溶液(60質量%水溶液)と、そのポリエチレングリコール100質量部に対し5質量部の微粒ゼオライト(ゼオビルダー社製、平均粒径3.5μm)とを添加した後、ダイノーミルKD−45型〔商品名、ウィリーA.・バコフェンAGマシネンファブリック・スウィッツァーランド(Willy A.Bachofen AG Maschinenfabrik Switzerland)社製〕に一定流量で供給して湿式粉砕を行い、平均粒径が0.5μmのスラリーを得た。このスラリーにジモルホリノ型(スチルベン型)蛍光染料(マクテシム社、商品名:BRY−10)を5質量部添加して下地処理液を得た。この下地処理液をレディゲミキサーに噴霧投入により戻し、主軸(回転数:120rpm)の回転を1分間行い、下地層を形成した。尚、ジャケットに80℃の温水を10L/分で流した。
【0068】
尚、ダイノーミルに用いたメディアはYTZジルコニアビーズφ0.5mm(商品名、株式会社ニッカトー製)で、充填率は85%であった。また、粉砕翼の周速は16m/sであった。処理液のダイノーミルへの供給流量をコントロールすることにより、平均粒径が0.5μmのものを得た。粉砕後のゼオライトの平均粒径はLA−920(商品名、堀場製作所製)を用いて測定した。
【0069】
次いで、工程(III)で得られた粒子を、以下に示す方法により表面改質剤で被覆した〔工程(IV)〕。
前記のレディゲミキサー内に工程(III)で得られた粒子100質量部に対して、表面改質剤としてゼオライト(ゼオビルダー社製、4A型、平均粒径:3.5μm)10質量部およびビルダーとして結晶性アルカリ金属珪酸塩(クラリアントジャパン社製、(Na−SKS−6))4質量部を投入してから、さらに亜硫酸ソーダを1質量部加え、主軸(回転数:120rpm)の回転を1分間行い表面被覆して、洗剤粒子を得た。
【0070】
その後、得られた洗剤粒子100質量部に対して、ロータリーキルンを用いて0.6質量部の変異プロテアーゼ酵素(ノボザイムズ社、商品名:カンナーゼ24T)をブレンドし、表1記載の粉末状の抑臭洗浄剤組成物組成物を得た。
得られた抑臭洗浄剤組成物について、洗浄性能、耐ケーキング性および臭いの程度(抑臭効果の確認試験)を上記方法に従って評価し、結果を表1に示した。
【0071】
【表1】

【0072】
表1の実施例と比較例2の結果からは、皮脂汚れ洗浄力と抑臭効果試験の結果は一致しており、本発明の組成物(漂白剤成分を含まない)が高い洗浄力を発揮して、臭いの原因物質や菌類を除去したことにより、高い抑臭効果が得られたことが確認できた。また、比較例1、3および4は、ケーキングが著しいため、使い勝手が非常に悪く、製品として不良であった。
【0073】
(実施例8〜12)
表2に示す組成の香料を調合し、実施例1の組成に香料(E)成分として0.3質量%配合し、粉末状の抑臭洗浄剤組成物組成物を得た。得られた抑臭洗浄剤組成物について、洗浄性能、耐ケーキング性および臭いの程度(抑臭効果の確認試験)を上記方法に従って評価し、結果を表2に示した。
【0074】
【表2】

【0075】
表2より、実施例8〜10に示す香料(E)成分は、洗濯中、洗濯直後、乾燥時及び着用時において、好ましい匂いを発生させることができ、マスキング効果による抑臭効果を発揮できることが分かる。実施例11および12に示す香料(E)成分は、実施例8〜10に示す香料(E)成分と比べるとマスキング効果が劣ってしまう。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の抑臭洗浄剤組成物は、漂白剤、抗菌剤、それらに類する成分及びそれらを補助する成分を使用することなく、洗濯機から取り出して干すまでの間の衣類の不快な臭い(皮脂臭、細菌由来の悪臭)、生乾き状態の衣類(即ち、乾燥時の衣類)から発生する不快な臭い、および着用後の衣類から発生する不快な臭い(汗臭、皮脂臭)という各段階における臭いの発生を抑制することができ、トイレタリー分野に非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分を10〜30質量%、(B)成分を3.0〜10質量%、(C)成分を20〜40質量%、および(D)成分を純蛋白として0.0001〜10%質量%含有する抑臭洗浄剤組成物。
(A)界面活性剤、
(B)カルボキシルエチルセルロース、
(C)アルカリ金属炭酸塩、
(D)変異プロテアーゼ酵素。
【請求項2】
下記(E−1)〜(E−3)の各群のそれぞれから選ばれる少なくとも1種の組み合わせからなる香料(E)を更に含有する請求項1に記載の抑臭洗浄剤組成物。
(E−1)群:シス-3-ヘキセノール、ジヒドロミルセノール、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、ラベンダーオイル、酢酸リナリル、5-エチリデンビシクロ(2.2.1)ヘプト-2-エンと2-メトキシフェノールの付加物の水添体、オレンジオイル、リモネン、2-シクロヘキシルプロパナール、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、酢酸cis-3-ヘキセニル、4-メチル-3-デセン-5-オール、シトロネリルニトリル、及びα-メチル-3,4-メチレンジオキシヒドロシンナミックアルデヒドとアンスラニル酸メチルとのシッフベース。
(E−2)群:1-(2-tert−ブチルシクロヘキシルオキシ)-2-ブタノール、ナフト[2.1-b]フラン,ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-、クマリン、エチルバニリン、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-2-イルカーボキシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、p-t-ブチル-α-メチルヒドロシンナミックアルデヒド、メチルナフチルケトン、7-アセチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-1,1,6,7-テトラメチルナフタレン、酢酸o-tert-ブチルシクロヘキシル、エチル-2-シクロヘキシルプロピオネート、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、α-イソメチルヨノン、α-ヨノン、β-ヨノン、(2-(2,4-ジメチルシクロヘキシ-3-エン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン、アセチルセドレン、プロピオン酸トリシクロデセニル、サリチル酸シクロヘキシル、γ-ウンデカラクトン、及びヘリオトロピン。
(E−3)群:エチレンブラシレート、シクロペンタデカノリド、オキサシクロヘキサデセン-2-オン、シクロヘキサデセノン、3-メチルシクロペンタデセノン、ジヒドロペンタメチルインダノン、3-メチルシクロペンタデカノン、エチレンドデカジオエート、10-オキサヘキサデカノリド、11-オキサヘキサデカノリド、12-オキサヘキサデカノリド、シクロヘキサデカノリド、及びシクロヘキサデセノリド。
【請求項3】
成分(B)が、カルボキシルエチル基の置換度が0.2〜2.8であって、カルバモイルエチル基の置換度が0.04以下である重合度が2〜3000のカルボキシルエチルセルロースである請求項1または2に記載の抑臭洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2012−122018(P2012−122018A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274796(P2010−274796)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】