説明

カルボニル化生成物の製造方法

一酸化炭素をアルコールおよび/またはその反応性誘導体からなる供給物と蒸気相にて接触させることによりカルボニル化生成物を製造するため、Cu、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、PdおよびPtから選択される1種もしくはそれ以上の金属カチオンを含む不均質ヘテロポリ酸触媒を用い、供給物中に少なくとも0.5重量%の水が存在するカルボニル化方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は一般にアルコールおよび/またはその反応性誘導体のカルボニル化によるカルボニル化生成物の製造に関し、特にアルコールおよび/またはその反応性誘導体の水と不均質カルボニル化触媒との存在下における蒸気相カルボニル化によるカルボニル化生成物の製造に関するものである。
【0002】
酢酸は、たとえば米国特許第3,769,329号明細書に記載されたような均質液相反応媒体におけるメタノールのロジウム触媒かつ沃化物促進のカルボニル化により製造することができる。メタノールのロジウム触媒かつ沃化物促進の液相カルボニル化は周知された方法であり、工業規模にて操作される。触媒からの生成物分離を容易化する目的で不均質カルボニル化触媒を用いることが望ましいことも認識されている。不均質カルボニル化触媒およびその使用は、たとえば国際公開第98/57918号パンフレット、欧州特許出願公開第0885870号A1明細書および欧州特許出願公開第0353722号A2明細書を含む多くの特許刊行物に記載されている。
【0003】
国際公開第98/57918号パンフレットは液相におけるアルコールおよび/またはその反応性誘導体のカルボニル化によるカルボン酸の製造方法を記載しており、ここでは窒素含有ヘテロサイクルから選択される官能基を持ったポリマー樹脂に第VIII族貴金属物質を含む不均質カルボニル化触媒を用いる。水素をカルボニル化に添加して、カルボニル化に際し支持体材料からの活性触媒物質のリーチングを減少させる。
【0004】
欧州特許出願公開第0885870号A1明細書は、カルボン酸および/または無水カルボン酸の製造方法を記載しており、この方法はアルコールおよび/またはカルボン酸エステルと必要に応じ水と第一ヒドロカルビルハライドおよび/またはヒドロカルビルエーテル反応体と第二ヒドロカルビルハライドプロモータとを、第VIII族金属物質を支持する不溶性イミダゾール含有樹脂からなる触媒の存在下に、一酸化炭素と接触させることからなっている。
【0005】
欧州特許出願公開第0353722号A2明細書は1種もしくはそれ以上のアルコール、エーテルもしくはエーテルアルコールをエステルまでおよび必要に応じカルボン酸まで蒸気相カルボニル化する方法を記載しており、ここでは金属がたとえばMo、W、V、Nb、CrおよびTaのような周期律表第VおよびVI族から選択される少なくとも1種であるポリオキシメタレートアニオンがたとえばFe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、PdおよびPtのような少なくとも1種のVIIIA族カチオンと錯体化されてなる固体触媒を用いる。
【0006】
米国特許第6,127,432号明細書は一酸化炭素と水素とからなる供給原料からエステル、酸、酸無水物およびその混合物の少なくとも1種からなる生成物量への変換方法を記載している。更に米国特許第6,127,432号明細書はアルコール、エーテルおよび/またはエーテルアルコールをたとえばエステル、酸、酸無水物およびその混合物のような酸素化生成物まで変換する方法をも記載しており、この方法は蒸気相にて固体スーパー酸、粘土、ゼオライトもしくはモレキュラシーブから選択される不均質アルコールカルボニル化触媒で行うことができる。アルコールカルボニル化触媒はポリオキソメタレートアニオンからなるヘテロポリ酸を含み、ここで第4、5、6および7族の金属から選択される金属または金属の混合物を第7、8、9、10および/または11族の一員(たとえばFe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、PdおよびPtから選択されるカチオン)と錯体化させる。好適ヘテロポリ酸はMW12PO40からなり、ここでMはIr、Ru、Rh、Pdおよびその組合せである。米国特許第6,127,432号明細書は、不均質アルコールカルボニル化触媒の安定性が水素または水素を含有する供給物をカルボニル化プロセスにて使用することにより改善されると述べている。
【0007】
今回、本発明者等は、蒸気相にて水を供給物に添加すれば1種もしくはそれ以上の金属カチオンを含むヘテロポリ酸触媒を用いる不均質カルボニル化方法が改善された触媒活性を与えることを突き止めた。
【0008】
従って本発明は、一酸化炭素をアルコールおよび/またはその反応性誘導体からなる供給物と蒸気相にて接触させることによりカルボニル化生成物を製造するためのCu、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、PdおよびPtから選択される1種もしくはそれ以上の金属カチオンを含む不均質ヘテロポリ酸触媒を用いるカルボニル化方法を提供し、この方法は、供給物に少なくとも0.5重量%の水を存在させることを特徴とする。
【0009】
本発明は更に、供給物における少なくとも0.5重量%の濃度にて水をカルボニル化プロセスに使用してCu、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、PdおよびPtから選択される1種もしくはそれ以上の金属カチオンを含む不均質ヘテロポリ酸触媒の活性をカルボニル化生成物の製造に際し増大させることにも関し、この方法は一酸化炭素を蒸気相にて前記触媒の上でアルコールおよび/またはその反応性誘導体と接触させることを特徴とする。
【0010】
水は新鮮水および/またはリサイクル水とすることができる。
【0011】
好ましくはカルボニル化プロセスへの供給物における水(新鮮および/またはリサイクル)は少なくとも1重量%、たとえば少なくとも2重量%の濃度にて存在させる。より好ましくは、カルボニル化プロセスへの供給物における水は少なくとも5重量%の濃度にて存在させる。
【0012】
好ましくは、カルボニル化プロセスへの供給物における水(新鮮および/またはリサイクル)は20重量%までの水、たとえば15重量%までの水の濃度にて存在させる。特に好ましくは、カルボニル化プロセスへの供給物における水は5〜15重量%の濃度にて存在させる。
【0013】
ここで用いる「Cu、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、PdおよびPtから選択される1種もしくはそれ以上の金属カチオンを含むヘテロポリ酸触媒」とは、遊離ヘテロポリ酸の水素イオンの1個もしくはそれ以上が少なくとも1個の上記カチオンにより置換されたヘテロポリ酸(以下、置換ヘテロポリ酸と言う)を意味する。Cu、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、PdおよびPtから選択される1種もしくはそれ以上の金属カチオンの他に、ヘテロポリ酸は更にたとえば「残留」水素イオンおよび/またはLi、Na、RbおよびCsから選択されるアルカリ金属カチオンのようなカチオンを含むことができる。
【0014】
典型的にはヘテロポリ酸アニオンは2〜18個の酸素結合多価金属原子を含み、これらは当業界にて周辺原子として知られる。これら周辺原子は対称的に1個もしくはそれ以上の中心原子を包囲する。通常、周辺原子はモリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、クロムおよびタンタルの1種もしくはそれ以上であるが、他の金属とすることもでき或いは他の金属を含むこともできる。中心原子は一般に珪素もしくは燐であるが、元素周期律表第I〜VIII族からの広範な種類の原子の1種を含むことができる。これらはたとえば二価銅イオン;二価ベリリウム、亜鉛、コバルトもしくはニッケルイオン;三価硼素、アルミニウム、ガリウム、鉄、セリウム、砒素、アンチモン、燐、ビスマス、クロムもしくはロジウムイオン;四価珪素、ゲルマニウム、錫、チタニウム、ジルコニウム、バナジウム、硫黄、テルル、マンガン、ニッケル、白金、トリウム、ハフニウム、セリウムイオンおよび他の稀土類イオン;五価燐、砒素、バナジウム、アンチモンイオン;六価テルリウムイオン;および七価沃素イオンを包含する。この種のヘテロポリ酸は「ポリオキソアニオン」、「ポリオキソメタレート」もしくは「金属酸化物クラスター」としても知られる。周知アニオンの幾つかの構造がこの分野にて初期研究者により命名される。たとえばケギン、ウェルス−ダウソンとして知られる構造およびアンダーソン−エバンス−パールオフ構造がある。
【0015】
本発明の方法に使用するのに好適なヘテロポリ酸はモリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、クロムおよびタンタルの1種もしくはそれ以上を周辺原子として含み、かつ珪素もしくは燐を中心原子として含む。
【0016】
典型的には置換ヘテロポリ酸は1〜6重量%、好ましくは3〜5重量%の置換金属カチオンを含む。置換ヘテロポリ酸は一般にたとえば2000〜8000の範囲、好ましくは2000〜4000の範囲の高分子量を有し、ダイマー錯体を包含することができる。
【0017】
好ましくは置換ヘテロポリ酸は置換シリコタングステン酸、シリコモリブデン酸、ホスホタングステン酸、ホスホモリブデン酸から選択され、たとえば次の遊離酸の置換ヘテロポリ酸である:
12−タングスト燐酸H[PW1240].xH
12−モリブド燐酸H[PMo1240].xH
12−タングスト珪酸H[SiW1240].xH
12−モリブド珪酸H[SiMo1240].xH
【0018】
好ましくは金属カチオンはロジウム、イリジウムおよび銅の1種もしくはそれ以上から選択され、特にロジウムもしくはイリジウムである。ロジウムが最も好適な金属カチオンである。
【0019】
置換ヘテロポリ酸は好ましくは支持される。好適には支持体はたとえばシリカ、シリカ/アルミナ、ゼオライト、粘土、珪藻土、チタニアおよびアルミナのような酸化物支持体から選択することができる。使用しうる他の非酸化物支持体は炭化珪素、有機ポリマー、たとえば架橋ポリスチレンおよび炭素を包含する。たとえば珪素質支持体のような支持体は好適には顆粒、ビーズ、球体、押出物もしくはペレットの形態である。
【0020】
置換ヘテロポリ酸が支持される場合、置換ヘテロポリ酸は典型的には支持置換ヘテロポリ酸の全重量の20〜70重量%の負荷にて存在し、すなわち置換ヘテロポリ酸が置換ヘテロポリ酸と支持体との合計重量の20〜70重量%を構成する。好ましくは置換ヘテロポリ酸が支持される場合、置換ヘテロポリ酸は支持置換ヘテロポリ酸の全重量の30〜65重量%の負荷にて存在する。
【0021】
好ましくはアルコールは1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する脂肪族アルコールであり、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノールおよびヘキサノールを包含する。好適アルコールはメタノールである。
【0022】
アルコールの代案として或いは追加して使用しうるアルコールの反応性誘導体は1種もしくはそれ以上のアルコールのジアルキルエーテル、アルコールのエステルおよびアルキルハライドを包含する。メタノールの適する反応性誘導体はたとえば酢酸メチル、ジメチルエーテルおよび沃化メチルを包含する。アルコールとその反応性誘導体との混合物、たとえばメタノールと酢酸メチルとの混合物も使用することができる。
【0023】
たとえばアルコールのエーテルもしくはエステルのような反応性誘導体をアルコールと一緒に用いる場合、エーテルおよび/またはエステルは供給物中に存在する水の量に対し等モルまでの量にて存在する。
【0024】
たとえばアルコールのエーテルもしくはエステルのような反応性誘導体は新鮮供給物として用いることができ、および/またはリサイクル流から得ることもできる。
【0025】
カルボニル化生成物はカルボン酸および/または対応のカルボキシルエステルである。すなわちメタノールをアルコール供給物として使用する場合、カルボニル化生成物は酢酸および/または酢酸メチルを含む。
【0026】
水はエステル化の副産物としてカルボニル化プロセスに際し生成されうる。この水は反応器に循環することができる。リサイクルさせうる水の他にカルボニル化反応供給物に「新鮮」水を添加して、反応器への供給物における水の所望濃度を維持することが必要である。
【0027】
一酸化炭素反応体は実質的に純粋とすることができ、或いはたとえば二酸化炭素、メタン、窒素、貴ガスおよびC〜Cパラフィン系炭化水素のような不純物を含有することもできる。
【0028】
一酸化炭素(CO)は反応に際し任意適する分圧、たとえば少なくとも0.1バールの分圧で存在することができる。より詳細には、COはアルコール供給物(および/または反応性誘導体)に対し適するモル比にて、好ましくは少なくとも1:1、たとえば少なくとも5:1および/または20:1まで、特に好ましくは5:1〜15:1の範囲のCOとアルコールとのモル比にて反応器に供給することができる。
【0029】
本発明の好適具体例において、カルボニル化反応は水素の存在下に行うことができる。水素反応体を反応器へ実質的に純粋な水素供給物として供給することができ、或いは水素供給流はたとえば炭素酸化物および窒素のような不純物を含有することもできる。水素を本発明の方法に使用する場合、水素と一酸化炭素との両者の供給源として合成ガスを使用するのが特に望ましい。
【0030】
存在させる場合、水素は任意適する水素濃度にて、たとえば少なくとも0.1バールの分圧にて反応に際し存在させることができ、特に一酸化炭素とは分離して或いはこれと組み合わせて供給し、反応器における水素と一酸化炭素とのモル比を少なくとも1:20、たとえば1:20〜20:1、特に好ましくは1:10〜10:1の範囲にする。
【0031】
本発明の方法は大気圧以下で操作しうるが、好ましくは1〜100barg、好ましくは1〜20bargの範囲の全圧力にて操作される。
【0032】
この方法は好適には100〜300℃の範囲の温度にて行われ、実用的な上限操作温度は触媒の熱安定性に依存する。好ましくは温度は150〜250℃の範囲、特に好ましくは200〜250℃の範囲である。
【0033】
この方法は好適には各反応体を100〜10000h−1の範囲のガス空時速度(GHSV)にて触媒と接触させることにより行われ、好ましくはGHSVは500〜5000h−1の範囲である。
【0034】
この方法はバッチ式または連続プロセスとして、好ましくは連続プロセスとして操作することができる。
【0035】
以下、実施例を参照して本発明を説明する。
【0036】
実施例
触媒Aの作成
ロジウム−置換のヘテロポリ酸触媒を次のように作成した。
RhCl.HO(アルドリッチ社、FW=209.26、0.774g)をメタノール(約200ml)に30分間にわたり攪拌しながら溶解させた。ロジウム混合物を攪拌した後、12−タングスト燐酸(H[PW1240].xHO、アルドリッチ社、FW2280g/モル、10.657g)を1時間にわたり攪拌しながら添加した。6.416gのシリカ(グレース社、等級G57、FW=60g/モル、1〜2mm粒子寸法)を次いで添加した。次いで、この溶液を4時間攪拌した。4時間の後、フラスコを回転蒸発器に移し、メタノールを337ミリバールの減圧下に1時間にわたり除去して赤/橙色固体を得た。この固体を乳鉢および乳棒により破砕し、次いで篩分して粒子寸法0.5〜1.0mmの触媒を得た。
【0037】
触媒試験手順
供給物における種々異なる水濃度および2種の異なるガス空時速度(GHSV)にて多くの実験を行った。
【0038】
実施例1〜3
5ml(約5g)の触媒Aを石英管反応器に充填すると共に、支持フリットを管の中央に位置せしめた。次いで反応器には更に触媒の上方にボロシリケート・ガラス玉を充填した。反応器を垂直炉の中央に位置せしめると共に、炉の頂部および底部には絶縁体を設置した。一酸化炭素およびメタノールを石英反応器に9:1のCO:MeOHのモル比にて供給した。150ml/minのガス流速における一酸化炭素を、流量計を介し反応器の頂部に供給した。安定な流れが2〜3分間の後に達成された後、炉をゆっくり(5℃/min)100℃まで加熱した。炉を100℃に20分間にわたり維持して触媒から水の大部分を除去し、その後に炉をゆっくり(5℃/min)230℃まで加熱した。このシステムを15分間にわたり所定温度に保持して充分平衡化させ、次いで液体メタノールおよび水(使用する場合)(液体供給流パラメータにつき下表1を参照)を注射器ポンプを介し反応器の頂部に供給した。液体およびガス状の各反応体は反応器を流過して液体トラップに流入した。液体トラップは氷浴に浸漬されたコイル凝縮で構成し、ここで液体生成物を単離した。ガス状生成物を、ガス注射器を介しガス試料を採取する隔壁を持ったT−ピースを介し排気した。典型的には液体トラップを毎時間交換すると共に、ガス試料を各時間の中間で採取した。液体試料を、沸点カラムとTCD検出器とが装着されたガスクロマトグラフにて分析した。ガス試料は4−カラムのガスクロマトグラフで分析した。反応の後システムを窒素で完全にパージした後、反応器をリグから外した。GHSVは1800/hであった。酢酸および酢酸メチルが反応の生成物であつた。
実施例1〜3の結果を下表2に示す。
【0039】
実験A
触媒試験手順を実施例1〜3のように反復したが、ただしカルボニル化反応供給物には水を添加しなかった。実験Aの結果を下表2に示す。
【0040】
実施例4〜5
触媒試験手順を実施例1〜3のように反復したが、ただし900/hのGHSVおよび10mlの触媒Aを使用した。実施例4〜6の結果を下表3に示す。
【0041】
実験B
触媒試験手順を実施例4〜5のように反復したが、ただしカルボニル化反応供給物には水を添加しなかった。実験Bの結果を下表3に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
表2および3に示した結果は、カルボニル化反応への供給物における水の量を増加することにより向上したメタノール変換率が達成されうることを示す。生成物選択率の増大も水同時供給物の存在下に、その不存在下と比較して、観察される。活性および選択率の増大も、反応器における一層高い空時速度にて各実験にて一層顕著である。すなわち、たとえば実施例2はメタノール変換率が水同時供給なしの17.8重量%から10重量%の水同時供給における32.8重量%まで増大する一方、対応の生成物選択率が94.0%から95.9%まで増大することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化炭素をアルコールおよび/またはその反応性誘導体からなる供給物と蒸気相にて接触させることによりカルボニル化生成物を製造するためCu、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、PdおよびPtから選択される1種もしくはそれ以上の金属カチオンを含む不均質ヘテロポリ酸触媒を用いるカルボニル化方法において、供給物には少なくとも0.5重量%の水をも存在させることを特徴とするカルボニル化方法。
【請求項2】
供給物が1重量%、たとえば少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも5重量%の水を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
供給物が20重量%まで、たとえば15重量%までの水を含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
供給物が5〜15重量%の水を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
供給物における水が新鮮水および/またはリサイクル水である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ヘテロポリ酸が1〜6重量%の金属カチオンを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ヘテロポリ酸触媒がロジウム、イリジウムおよび銅から選択される金属カチオンを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
金属カチオンがロジウムである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ヘテロポリ酸がモリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、クロムおよびタンタルよりなる群から選択される周囲原子と、珪素および燐から選択される中心原子とからなる請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ヘテロポリ酸が置換シリコタングステン酸、シリコモリブデン酸、ホスホタングステン酸およびホスホモリブデン酸よりなる群から選択する請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ヘテロポリ酸が残留水素イオンおよびアルカリ金属カチオンから選択される1種もしくはそれ以上の更なるカチオンを含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ヘテロポリ酸触媒が支持体に支持される請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
支持体を酸化物支持体および非酸化物支持体から選択される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
酸化物支持体がシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、粘土、珪藻土およびチタニアよりなる群から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
非酸化物支持体が炭化珪素、炭素および有機ポリマーよりなる群から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項16】
ヘテロポリ酸が、ヘテロポリ酸と支持体との合計重量に対し20〜70重量%からなる請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
アルコールがC〜C12脂肪族アルコールである請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノールおよびヘキサノールから選択される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
アルコールの反応性誘導体がアルコールのジアルキルエーテル、エステルおよびアルキルハライドの少なくとも1種から選択される請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
反応性誘導体が酢酸メチル、ジメチルエーテルおよび沃化メチルの少なくとも1種から選択される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
供給物がアルコールおよびその反応性誘導体からなる請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
反応性誘導体がアルコールのエーテルもしくはエステルである請求項21に記載の方法。
【請求項23】
エーテルおよび/またはエステルを供給物における水の量に対し等モルまでの量にて存在させる請求項22に記載の方法。
【請求項24】
カルボニル化生成物がカルボン酸およびカルボン酸エステルの少なくとも1種から選択される請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
カルボニル化生成物が酢酸および酢酸メチルの少なくとも1種から選択される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
一酸化炭素とアルコールとのモル比が5:1〜15:1の範囲である請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
供給物が水素をも含む請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
水素と一酸化炭素とのモル比が1:20〜20:1の範囲である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
一酸化炭素を合成ガスの形態で使用する請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
プロセスを100〜300℃の範囲の温度にて行う請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
プロセスを1〜100bargの範囲の圧力にて行う請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ガス空時速度が100〜10000h−1の範囲である請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
プロセスを連続プロセスとして行う請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2007−526289(P2007−526289A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501333(P2007−501333)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000438
【国際公開番号】WO2005/085162
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(591001798)ビーピー ケミカルズ リミテッド  (66)
【氏名又は名称原語表記】BP CHEMICALS LIMITED
【Fターム(参考)】