説明

カルボン酸の製造方法

本発明はカルボン酸の製造方法に関する。本発明は、特に炭化水素を酸素又は酸素含有ガスで酸化するカルボン酸の製造方法に関し、更に特にシクロヘキサンのアジピン酸への酸化に関する。本発明は、酸化ステップ中に形成されたエステルの加水分解ステップを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカルボン酸の製造方法に関する。
本発明は、特に炭化水素を酸素又は酸素含有ガスで酸化するカルボン酸の製造方法に関し、更に特にシクロヘキサンのアジピン酸への酸化に関する。
【背景技術】
【0002】
アジピン酸は多くの分野で使用される重要な化学化合物である。従って、アジピン酸は、食品分野及びコンクリート(beton)分野の両方で、多くの製品中の添加剤として使用できる。しかし、最も重要な用途の一つはポリウレタン及びポリアミド等のポリマーの製造でのモノマーとしての利用である。
【0003】
アジピン酸の製造方法が幾つか提案されている。工業的に大規模に使用される最も重要なものの一つは、シクロヘキサンを酸素含有ガス又は酸素によりシクロヘキサノール/シクロヘキサノンの混合物とする1又は2のステップでの酸化からなる。シクロヘキサノール/シクロヘキサノン混合物の抽出及び精製後、これら化合物は好ましくは硝酸で酸化されアジピン酸となる。
【0004】
しかし、このプロセスは、硝酸性蒸気の発生を伴う大きな欠点を有する。
炭化水素を酸素又は酸素含有ガスで酸化するプロセスを発展させるために多くの研究が行われ、カルボン酸、主にアジピン酸を直接製造することが可能となった。
これらプロセスは特にフランス国特許第2761984、第2791667、第2765930号及び米国第5294739号に記載されている。
一般的に、反応は溶媒媒体中で行われ、その溶媒は酢酸等のモノカルボン酸である。他の溶媒として、例えば、本質的に脂肪親和性であるカルボン酸が提案されており、フランス国特許第2806079号に記載されている。
多くの特許明細書中で、この反応のための操作条件並びに形成された酸を抽出するステップ、それらを精製するステップ、酸化されていない炭化水素及び触媒をリサイクルするステップ等の様々なステップが記載されている。
【特許文献1】フランス国特許第2761984号明細書
【特許文献2】フランス国特許第2791667号明細書
【特許文献3】フランス国特許第2765930号明細書
【特許文献4】米国特許第5294739号明細書
【特許文献5】フランス国特許第2806079号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この酸化反応では、多かれ少なかれ実質的にプロセスの収率を減少させる副生成物が形成される。これら副成物の中で、シクロヘキサノール等のアルコール基を含有する副生成物は特に有害である。実際、それらは形成された酸と反応し、エステルを生じて、回収されるカルボン酸の収率を非常に低下させる。酸の抽出及び分離方法に応じて、エステルは酸化されていない炭化水素と共にリサイクルされるか、それとも回収された酸と共に共留される。反応媒体中のエステルの存在は触媒活性の減少、及び特にこれらのエステルの酸化の結果である目的としない副生成物の形成を生じる。
エステル形成の問題は、酸化反応は余り酸に選択性を示さないため、いっそう重要である。
本発明の1の目的は、酸素又は酸素含有ガスを使用した炭化水素の酸化によるカルボン酸の製造方法であり、形成されたエステルの有害な効果を減少させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この効果を得るために、本発明はモノカルボン酸ベースの溶媒及び酸化触媒の存在下で炭化水素を酸素又は酸素含有ガスで酸化するカルボン酸の製造方法であり、反応媒体は酸化中に形成されたカルボン酸を分離及び抽出するために処理され、酸化反応中に形成されたエステルの加水分解は反応媒体の処理により行われ、形成された上記酸の分離前でもよく、反応媒体由来の有機相の処理により、形成された上記酸の分離後でもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明で好ましくは、加水分解は、強酸で処理される媒体への添加及び上記媒体を50℃を超え、好ましくは80℃〜200℃の温度に維持することで行われる。
温度の保持時間は、加水分解されるエステル量に依存し、当業者により通常の手法でプロセスの操作パラメータの設定中に決定できる。
加水分解を行うために処理される媒体へ水が添加されてもよい。しかし、この水の添加は、媒体中に存在する又は強酸と共に添加される水の量が充分な場合には省略できる。
【0008】
本発明に適切な強酸として、2未満のpKaを有する酸が好ましい。例示として、スルホン酸、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、オルソリン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。
一般的に、添加される強酸の量は、反応媒体の重量に対して約10重量%未満、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.1〜4重量%の濃度となるように定められる。
【0009】
本発明の例として、強酸は純粋単体で、好ましくは高濃度溶液の形で添加される。
本発明では又、強酸は、樹脂等の不活性材料上に担持され又は付着された形態で添加されてもよい。この例では、理想的な条件下で加水分解を行い、強酸を容易に分離して回収することができる。本発明に適切な酸化合物として、例示としてスルホン系樹脂が挙げられる。しかし、本発明はスルホン系樹脂の使用に限定されず、樹脂又はキャリアの同等物にも強酸基が使用できる。
【0010】
本発明の例として、形成されたカルボン酸の反応媒体からの抽出又は分離は、反応媒体を沈降により分離して二相、水相及び有機相、とすることが出来る。この沈降による分離は、上記媒体中に存在する水の濃度が二相を形成するのに充分である場合、反応媒体の冷却により直接的に行われ促進される。存在する水の量が充分でない場合、冷却の前後で沈降による分離が行われる前に、追加的量の水が反応媒体へ添加される。
【0011】
本発明では又、形成されたカルボン酸の抽出が、反応器から得られる反応媒体を抽出液体で液/液抽出処理して行うことができる。反応媒体中に存在するモノカルボン酸溶媒は、好ましくは抽出液体中に不溶である。
本発明の目的のために、上記液体中、90℃大気圧下で測定されたそれらの溶解性がその液体に対し10重量%以下である場合、その生成物は抽出液体中に不溶であると見なされる。
【0012】
本発明では、エステルの加水分解は、好ましくは上記例示においては、カルボン酸の抽出後得られた媒体中で行われてもよく、反応媒体の冷却後に製造されたカルボン酸が結晶化する場合はろ過により行われてもよい。
しかし、本発明では、エステルの加水分解は又、形成されたカルボン酸の抽出又は分離前に反応媒体中で行われてもよい。この場合、酸は上記記載の技術により、エステルの加水分解が行われた後、媒体から抽出され又は回収される。
【0013】
本発明では好ましくは、強酸での処理が、酸化反応中に形成されたアルコール及び/又はケトンの沸点以下の沸点を示す有機化合物のエバポレーション又は蒸留による脱離後行われる。従って、シクロヘキサンの酸化の場合は、反応しなかったシクロヘキサン、並びにアルコール及びケトン(シクロヘキサンの酸化の場合はシクロヘキサノール又はシクロヘキサノン)の沸点以下の沸点を有する全ての形成された有機化合物は、蒸留により媒体から分離され、好ましくは酸化ステップ中でリサイクルされる。アルコール及びケトン(シクロヘキサノール及びシクロヘキサノン)は又、このステップ中分離されリサイクルされる。しかし、強酸での処理は又、上記有機化合物の蒸留による分離前に反応媒体中で行われてもよい。
【0014】
本発明では又、エステルの加水分解をするための強酸での処理は、酸化を行うために使用されたモノカルボン酸性溶媒、例えば芳香族カルボン酸の、沸点以下の沸点を示す有機化合物の蒸留による脱離後に行われてもよい。この場合、強酸と接触させる前に、酸化ステップ中の炭化水素並びにケトン及びアルコール化合物を有する酸溶媒のリサイクルが可能となる。
【0015】
本発明では又、エステルの加水分解後の反応媒体は、第一に形成されたアルコールの分離、第二に、形成された酸及び任意でモノカルボン酸性溶媒の回収をするために処理される。シクロヘキサンの酸化の場合のシクロヘキサノール等の形成されたアルコールの分離は、好ましくは蒸留により行える。モノカルボン酸性溶媒は、加水分解中に形成された酸の分離後リサイクルされる。この分離は好ましくは、水等の溶媒での、形成された上記酸の抽出により行える。それは、抽出溶媒の添加並びに、沈降による分離による水相及び有機相の分離で行われてもよく、液/液抽出プロセス及び装置中で行われてもよく、酸化溶媒は有機相を形成する。
【0016】
分離されたアルコール(シクロヘキサノール)は、好ましくは酸化ステップへリサイクルされる。アルコールの分離後得られた媒体は、沈殿、結晶化又は他の方法により、存在するカルボン酸を回収するために処理される。
好ましくは、アルコールの分離後得られた媒体中に存在する酸化溶媒は、ジカルボン酸から又は存在する水相から、特に上記記載の技術により分離される。このように分離された酸化溶媒は、好ましくは例えば蒸留による精製後、酸化ステップ中へリサイクルされる。加水分解中に形成された酸を含有する水相は、酸化溶媒の抽出又は分離後、好ましくは、酸化中に形成されたジカルボン酸を含有する水相と混合し、存在する酸を回収するために、酸化ステップ中から取り出して抽出し、又はこれらのジカルボン酸を抽出ステップ中で得て、又は直接的に処理する。この加水分解中に形成されたジカルボン酸を含有する水相は又、形成されたジカルボン酸の抽出前に、酸化ステップ中から取り出した酸化媒体と混合できる。
【0017】
アルコールの分離後得られた媒体も又、形成されたカルボン酸の液/液抽出ステップへ導入でき、好ましくは加水分解を実施するために使用された強酸が担持されている場合に、その後それが液/液抽出ステップ中へ導入される前に容易に媒体から分離できる。
本発明では特に、強酸が硝酸の場合、エステルの加水分解により形成されたアルコールは加水分解媒体中で酸へ酸化される。このため、酸化触媒も加水分解媒体へ添加でき、添加される強酸の量は10重量%を超えてもよい。得られた酸含有媒体は、アルコールの分離及び回収ステップなしにジカルボン酸の結晶化ステップ中に直接的に添加できる。
【0018】
反応媒体は、一般的に炭化水素の酸素又は酸素含有ガスによる酸化から得られ、好ましくは炭化水素はシクロヘキサン又はシクロドデカン等のアリール脂肪族シクロ脂肪族炭化水素である。酸化反応は、一般的に溶媒の存在下で行われる。溶媒は、反応条件下で実質的に酸化されない範囲内で選択できる。好ましくは、極性プロトン性溶媒及び極性非プロトン性溶媒から選ばれる。極性プロトン性溶媒として、例えば第一又は第二水素原子のみを有するカルボン酸、好ましくは酢酸等の2〜9炭素原子を含有する脂肪酸、トリフルオロ酢酸等のパーフルオロアルキルカルボン酸、tert−ブタノール等のアルコール、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、及びアセトン等のケトンが挙げられる。極性非プロトン性溶媒として、例えばカルボン酸、特に2〜9炭素原子を含有する脂肪族カルボン酸又はパーフルオロアルキルカルボン酸の低級アルキル(=1〜4炭素原子を含有するアルキル基)エステル、テトラメチレンスルホン(若しくはスルホラン)又はアセトニトリル、ベンゾニトリルが挙げられる。
【0019】
溶媒は本質的に脂肪親和性であるカルボン酸から選ばれてもよい。
表現「本発明に適した脂肪親和性酸化合物」は、芳香族、脂肪族、アリール脂肪族又は少なくとも6炭素原子を含有するアルキル芳香族化合物であり、幾つかの酸基を含有してもよく、低水溶性、即ち室温(10℃〜30℃)で10重量%未満の溶解性であるものを表す。
脂肪親和性有機化合物として、例えばヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸(オクタデカン酸)及びそれらの過メチル化誘導体(メチレン基の水素のメチル基での完全な置換)、2−オクタデシルコハク酸、3,5−ditert−ブチル安息香酸、4−tert−ブチル安息香酸、4−オクチル安息香酸、フタル酸tert−ブチルモノエステル、アルキル基、好ましくはtert−ブチル型で置換されたナフテン酸又はアントラセン酸、フタル酸の置換された誘導体、並びに二量体脂肪酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。上記ファミリーに属し、種々の電子供与型置換基(O又はN型のヘテロ原子を有する基)又は電子吸引型置換基(ハロゲン、スルホンイミド、ニトロ基、スルホナート基、等)を備えた酸も挙げられる。
【0020】
一般的に、溶媒は酸化反応が行われる温度及び圧力条件下で好ましくは均一相となるように選択できる。このため、炭化水素又は反応媒体中の溶媒の溶解性は少なくとも2重量%を超え、少なくとも幾つかの酸化される炭化水素及び幾つかの溶媒を含む少なくとも1の均一液相が形成されることが好ましい。
好ましくは、溶媒は低水溶性、即ち室温(10〜30℃)で10重量%未満の水溶性を有するものから選ばれる。
しかし本発明の範囲内で、上記記載よりも大きな水溶性を有する溶媒を使用することもでき、その場合は、本質的に酸化される炭化水素、酸化中間体からなる反応媒体の有機相及び、酸化反応中に形成された水を含有する非有機相間でのこの化合物の分配係数により、上記水相中の溶媒の濃度を10重量%未満とできる。
【0021】
酸化は一般的に触媒の存在下で行われる。この触媒は好ましくは、Cu、Ag、Au、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg、Al、Sc、In、Tl、Y、Ga、Ti、Zr、Hf、Ge、Sn、Pb、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Ce等のランタニド系、及びそれらの組み合わせの群から選ばれる金属元素を含有する。
これらの触媒元素は、酸化反応が行われる条件下で液体酸化媒体中で好ましくは少なくとも部分的に可溶であるか、シリカ又はアルミナ等の不活性サポート上に吸着されるか付着されて担持されたか、いずれかの化合物の形状で使用される。
【0022】
触媒は好ましくは、特に酸化反応が行われる条件下で:酸化される炭化水素中に可溶;脂肪親和性酸化合物に可溶;又は反応が行われる条件下で均一液相を形成する炭化水素/脂肪親和性酸化合物混合物中に可溶;のいずれかである。
本発明では好ましくは、使用される触媒は、室温で、又は更なる酸化のこれら媒体のリサイクルの温度で、これらの媒体の1種に可溶である。
用語「可溶」は、触媒が目的の媒体中に少なくとも部分的に可溶であることを意味する。
【0023】
不均一触媒の場合、触媒活性金属元素は、ミクロ多孔質又はメソ多孔質無機質マトリックス上若しくはその中に、ポリマー性マトリックス上若しくはその中に担持され、組み込まれ又は、有機若しくは無機質キャリア上にグラフトされた有機金属複合体の形状でもよい。用語「組み込まれた」は、金属はキャリアの元素であるか、プロセスは、酸化条件下で多孔質構造中に立体的にトラップされた複合体を使用して行われることを意味する。
【0024】
本発明では好ましくは、均一又は不均一触媒は、第IVb(Tiグループ)、Vb(Vグループ)、VIb(Crグループ)、VIIb(Mnグループ)、VIII(Fe、Co又はNiグループ)及びIb族(Cuグループ)並びにセリウム、それらの単体又は混合物の群からなる金属の塩又は複合体から構成される。好ましい元素は、特に、Zr、Hf、Ce、Hf及びFeの群から選ばれる1以上の元素と組み合わせて使用できる、Mn及び/又はCoである。液体酸化媒体中の金属の濃度は、0.00001〜5%(wt%)、好ましくは0.001〜2%の範囲である。
更に、反応媒体中の溶媒の濃度は、好ましくは溶媒分子の数及び触媒元素金属の数のモル比が0.5〜100000、好ましくは1〜5000となるように決定される。
液体酸化媒体中の溶媒の濃度は、広い範囲で変化できる。従って、それは液体媒体の総重量に対し1〜99重量%でもよく、好ましくは液体媒体の2〜50重量%である。
【0025】
又、本発明の範囲内で、アジピン酸への酸化反応の生産性及び/又は選択性、特に酸素の可溶化の改良効果を有する別の化合物と組み合わせた溶媒を好ましく使用することができる。
これら化合物の例として、好ましくはニトリル、ヒドロキシミド化合物、ハロゲン化化合物、及び更に好ましくはフルオロ化化合物が挙げられる。特に適切な化合物として下記が挙げられる;アセトニトリル又はベンゾニトリル等のニトリル、欧州特許第EP0824962号に記載されているファミリーに属するイミド;更に好ましくはN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)又はN−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)、ジクロロメタン等のハロゲン化誘導体、及びフルオロ化化合物、例えば:
−環式又は非環式、フルオロ化又はパーフルオロ化、脂肪族炭化水素、
−パーフルオロトルエン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロデカリン、パーフルオロメチルデカリン、α,α,α−トリフルオロトルエン又は1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等の芳香族フルオロ化炭化水素、
−アルキルパーフルオロオクタノエート又はアルキルパーフルオロノナノエート等のパーフルオロ化又はフルオロ化エステル、
−パーフルオロアセトン等のフルオロ化又はパーフルオロ化ケトン、
−パーフルオロヘキサノール、パーフルオロオクタノール、パーフルオロノナノール、パーフルオロデカノール、パーフルオロ−tert−ブタノール、パーフルオロイソプロパノール又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等のフルオロ化又はパーフルオロ化アルコール、
−パーフルオロアセトニトリル等のフルオロ化又はパーフルオロ化ニトリル、
−トリフルオロメチル安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、パーフルオロヘキサン酸、パーフルオロヘプタン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロノナン酸又はパーフルオロアジピン酸等のフルオロ化又はパーフルオロ化酸、
−パーフルオロヨードオクタン、又はパーフルオロブロモオクタン等のフルオロ化又はパーフルオロ化ハライド、
−パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロトリブチルアミン又はパーフルオロトリペンチルアミン等のフルオロ化又はパーフルオロ化アミン。
本発明は、特にシクロヘキサン又はシクロドデカン等のシクロ脂肪族化合物の、対応するアジピン酸又はドデカン酸等の直鎖状ジカルボン酸への酸化へ適用できる。
【0026】
本発明では好ましくは、それは、マンガン触媒の存在下で液体媒体中でシクロヘキサンの酸素含有ガスでのアジピン酸への直接酸化に関する。
酸化反応は通常50℃〜200℃、好ましくは70℃〜180℃の温度で行われる。それは大気圧下で行われてもよい。しかし、それは一般的に加圧下で行われ、反応媒体の成分が液体状態に保たれる。圧力は10kPa(0.1bar)〜20000kPa(200bar)でもよく、好ましくは100kPa(1bar)〜10000kPa(100bar)である。
【0027】
使用される酸素は、純粋単体でも窒素又はヘリウム等の不活性ガス等の混合物でもよい。多かれ少なかれ酸素リッチとした空気も又使用できる。媒体へ供給される酸素量は、好ましくは酸化される化合物のモル当たり1〜1000molである。
酸化プロセスは、連続的でもバッチプロセスでも行われることができる。好ましくは、反応器から排出される液体反応媒体は、最初に、製造されたジカルボン酸の分離及び回収を行い、次にシクロヘキサン、シクロヘキサノール及び/又はシクロヘキサノン等の酸化されていないか部分的に酸化された有機化合物、触媒及び酸化合物をリサイクルする公知のプロセスで処理できる。
【0028】
酸化反応を開始する化合物、例えば、ケトン、アルコール、アルデヒド又はヒドロペルオキシドを使用することも又好ましい。シクロヘキサンの酸化の場合の反応中間体である、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール及びシクロヘキシルヒドロペルオキシド全てが好ましく示される。一般的に開始剤は、使用された反応混合物の重量の0.01%〜20重量%であるが、これらの配合は臨界的な値ではない。開始剤は、特に酸化の開始中で有用である。それは反応の最初から導入できる。
酸化は又、プロセスの開始段階から導入された水の存在下で行われてもよい。
上記記載のとおり、酸化から得られた反応混合物には、その構成成分の幾つかを分離して、例えば酸化段階でのそれらのリサイクル及び製造された酸の回収を可能とするような種々の操作が行われる。
【0029】
本発明の製造方法の第一の例では、まず最初に反応疎混合物を16℃〜30℃まで冷却して、例えば少なくともいくつかの形成された酸の結晶化を引き起こすことが可能である。このようにして媒体が得られ、それは本質的に酸からなる固相;酸化合物及び酸化中間体であってもよい反応しなかった本質的に酸化されるべき化合物を含有する少なくとも1の有機液相(又は酸化合物及び炭化水素が低温で完全に混和性でない場合は幾つかの有機相);並びに本質的な酸化の酸副生成物及び形成された水を含有する水性液相:からなる。それが上記相に可溶であれば、触媒は有機相の1つに存在し、又は下部の水相中に存在する。
固体のろ過又は遠心分離後、ろ液又は遠心分離物を構成する有機及び水性液相は、必要であれば沈降により分離され:有機相は更なる酸化反応にリサイクルされてもよい。
酸の結晶化からなる操作の前に、反応混合物を濃縮をするのが好ましい。
【0030】
本発明の製造方法の第二の例では、最終反応疎混合物は高温条件下で回収されてもよい。反応混合物は次に沈降により少なくとも二液相:反応しなかった炭化水素、酸化合物及び酸化中間体を本質的に含有する1以上の有機相;並びに必然的に形成された酸及び形成された及び/又は添加された水を含有する水性液相;へと分離されることができる。触媒の溶解性及び特性に応じて;不均一触媒の場合、形成された酸の沈殿又は結晶化前に固/液分離により回収され;それが水相中に可溶な場合、液/液抽出で抽出され;樹脂上で回収され;又は電気透析で回収されて、触媒は有機相中に存在することができる。
第一の例では、液相は沈降により分離され:有機相は更に酸化反応中にリサイクルできる。
【0031】
本発明の製造方法の第三の例では、高温条件下又は冷却後、反応器から回収された反応媒体は、形成されたカルボン酸の液/液抽出ステップへ導入される。抽出液体は一般的に水であり、形成された酸がその中で可溶で;有機化合物、炭化水素、アルコール、ケトン及びエステルは、酸化ステップ中に使用される溶媒と共に不溶である。
上記のとおり、触媒は有機フラクション中に存在し、反応媒体中にリサイクルされてもよい。又それは、カルボン酸を含有するフラクション、より簡単には水相、の中に存在する触媒は、上記記載の通常の技術により回収できる。
【0032】
本発明の第一の例では、酸の添加による加水分解及び温度の維持から構成されるステップでは、カルボン酸の分離前の反応媒体、又は結晶化した酸の沈降若しくはろ過による分離後に回収された媒体が使用できる。
本発明の第二の例では、エステルの加水分解は、酸化反応器へのリサイクル前に、酸、及び任意で水の、分離された液体有機相への添加により行われる。
これらの2つの例では、強酸の添加に先立ち、反応しなかった炭化水素、アルコール及び形成されたケトン等の有機化合物並びに上記アルコール及びケトンよりも低い沸点を有する他の全ての生成物、並びにモノカルボン酸性溶媒の分離が、本発明では好ましい。
【0033】
これらの種々の本発明の例では、回収されたカルボン酸は多くの資料に記載された通常の技術、例えば水、酢酸又は他の有機溶媒等の種々の溶媒からの結晶化及び再結晶化により精製できる。精製プロセスは特にフランス国特許第2749299及び2749300号に記載されている。
同様に、触媒が有機相では完全にリサイクルされず、水相で部分的に又は完全に抽出される場合、それは好ましくは例えば液/液抽出、電気透析、又はイオン交換樹脂上の処理等の種々の技術により水相から抽出される。
【0034】
本発明の製造方法は、特にエステルがリサイクル前に除去されていなかった場合、エステルの酸化により形成された副生成物の形成を抑制できる。更に、エステルの除去及び副生成物の形成の抑制は、特に酸化触媒の活性の維持及び酸化媒体から形成されたジカルボン酸の抽出の促進を可能とする。
【実施例】
【0035】
本発明の他の効果と詳細は下記実施例により明らかにされるが、下記実施例は本発明の単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
実施例1−A及び1−B(酸化ステップ)
4gのコバルト四水和物、357gの酢酸、290gのシクロヘキサン及び3.6gのシクロヘキサノン(開始剤)を1.5リットル反応器中で配合した。混合物を105℃、圧力20barで、窒素及び酸素含有ガスの連続流下攪拌した。50リットルの酸素が消費された後、1.1質量%のコバルトを含有するシクロヘキサン溶液及び酢酸溶液を連続的に注入し、反応器中のレベルは一定に保った。反応物は70℃に保たれたガラス容器中に回収した。
連続的に得られた反応混合物を真空下で蒸留した(120〜145℃、0.6〜0.3bar)。蒸留物中に含まれた2340gに加えて、蒸留底部生成物510gを回収した。この底部生成物は、下記実施例1−A中で処理される「軽産物の蒸留後の反応混合物」を構成する。
例えば1−Bでは、使用された反応混合物は、上記「軽産物の蒸留後の反応混合物」であり、更に水の存在下で共沸蒸留して、シクロヘキサノール/シクロヘキサノン(以下「olone」という。)化合物の脱離を行った。
【0036】
1−A 触媒なしの加水分解
軽産物の蒸留後の反応混合物の加水分解(18.6g)はH2O(7.2g)の存在下、即ち水/エステルモル比=77.5で行われる。混合物を115℃、18時間攪拌し、Dean−Stark装置を使用してシクロヘキサノールの連続的脱離を行った。
これらの条件下で、20%のシクロヘキシルエステルを加水分解した。
【0037】
1−B 触媒の存在下の加水分解
軽産物の蒸留及び及びolone(15.3g)の共沸蒸留後に、H20(12.1g、4.8gの2N硝酸溶液を含有する)の存在下、反応混合物の加水分解を行った。
混合物を127℃で18時間攪拌し、Dean−Stark装置を使用してシクロヘキサノールの連続的脱離を行った。
これらの条件下で90%のシクロヘキシルエステルを加水分解した。
【0038】
実施例2−A及び2−B:
これらの実施例中で、「反応器から取り出した反応混合物」を下記の通り得た:
522gのシクロヘキサン、55gのtert−ブチル安息香酸及び6gのシクロヘキサノン(開始剤)を1.5リットル反応器中に配置した。マンガン及びコバルトをそれぞれ50及び20質量ppm量で添加した。
混合物を130℃、20bar、150分間、窒素及び酸素含有ガスの連続流下で攪拌した。63リットルの酸素が消費された後、ガス流を停止し、混合物を冷却し、反応器を減圧した。300gの水を反応器へゆるやかに攪拌しながら添加した。反応器の内容物を沈殿器中へ移した。沈降による分離後、二相を回収した:下相は必然的に製造されたジカルボン酸及び触媒金属を含有する水相であり、上相は本質的にシクロヘキサン、tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール及びエステルを含有する他の反応副生成物を含有する有機相であった。
【0039】
2−A Purolite(登録商標)NRW/160樹脂での加水分解
反応器から取り出した反応混合物(5.37g)の加水分解を、H2O(5.14g)及びAldrich社市販のスルホン系樹脂、商品名「Purolite(登録商標)NRW160」(1.01g)の存在下で行った。混合物を80℃で4時間攪拌した。
これらの条件下で、約30%のシクロヘキシルエステルを加水分解した。
【0040】
2−B Purolite(登録商標)NRW160樹脂での加水分解
反応器から取り出した反応混合物(5.28g)の加水分解を、H2O(5.07g)及びスルホン系樹脂、商品名「Purolite(登録商標)NRW160」(5.03g)の存在下で行った。混合物を100℃で4時間攪拌した。
これらの条件下で、約70%のシクロヘキシルエステルを加水分解した。
【0041】
実施例3:H2SO4の存在下の加水分解
実施例1−Aで使用されたものと同じ軽産物の蒸留後の反応混合物(2.6g、0.55gのエステル含有)の加水分解を、H2O及びH2SO4(1gの水、1質量%のH2SO4含有)の存在下で行った。混合物を160℃で12時間攪拌した。
これらの条件下で、約85%のシクロヘキシルエステルを加水分解した。
【0042】
実施例4−Amberlyst(登録商標)A31樹脂での加水分解
実施例2Aに対応する反応混合物(10g)の加水分解を、酸溶媒tBBAの沸点以下の沸点を有する化合物の蒸留後、20mlのAmberlyst(登録商標)A31樹脂(ロームアンドハース社市販)及び90gのH2Oの存在下で行った。混合物を100℃まで加熱し、Dean−Stark装置を使用して形成されたシクロヘキサノールの連続的脱離を行った。混合物を100℃で4時間攪拌した。
これらの条件下で、約95%のエステルが加水分解され、形成されたシクロヘキサノールが回収された。
【0043】
実施例5−HNO3の存在下の加水分解
実施例2Aと同じ反応混合物(1.4g)の加水分解を、軽産物及びtBBAの蒸留後、濃度60%HNO3水溶液(10.1g)の存在下及び、少量のCu(NO32、VO3NH4及びNaNO2からなる触媒の存在下で行った。混合物を70℃で1時間攪拌した。
これらの条件下で、エステルは完全に加水分解され、形成されたシクロヘキサノールは完全にアジピン酸へ変換された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノカルボン酸ベースの溶媒及び酸化触媒の存在下で炭化水素を酸素又は酸素含有ガスで酸化するカルボン酸の製造方法であり、形成されたエステルの加水分解はカルボン酸の抽出前に反応媒体の処理により行われるか、形成されたカルボン酸の抽出後に反応媒体由来の有機相の処理により行われるステップに特徴を有する製造方法。
【請求項2】
強酸で処理される媒体への添加により、かつ、上記媒体を50℃を超え、好ましくは80℃〜200℃の範囲の温度に維持することにより加水分解ステップが行われる請求項1の製造方法。
【請求項3】
強酸は2以下のpKaを有する酸から選ばれる請求項2の製造方法。
【請求項4】
強酸は、樹脂等の不活性材料上に担持され又は結合される請求項2又は3の製造方法。
【請求項5】
強酸を有する樹脂はスルホン酸を含有する群から選ばれる請求項4の製造方法。
【請求項6】
反応媒体から製造されたカルボン酸の分離は、沈降による分離手段で行われる請求項1〜5いずれか1項記載の製造方法。
【請求項7】
反応媒体から製造されたカルボン酸の分離は、液/液抽出により得られる請求項1〜5いずれか1項記載の製造方法。
【請求項8】
カルボン酸の分離及びエステルの加水分解後に得られた有機相は酸化ステップでリサイクルされる請求項1〜7いずれか1項記載の製造方法。
【請求項9】
形成されたジカルボン酸の分離後回収された有機相には、加水分解ステップ前に、酸化ステップ中に形成されたアルコールの沸点以下である沸点を有する化合物の蒸留操作が行われる請求項1〜8いずれか1項記載の製造方法。
【請求項10】
形成されたジカルボン酸の分離後回収された有機相には、加水分解ステップ前に、酸化ステップ中に使用された酸溶媒の沸点以下である沸点を有する化合物の蒸留操作が行われる請求項1〜8いずれか1項記載の製造方法。
【請求項11】
加水分解ステップ中に形成された酸は、媒体から上記酸用の溶媒により抽出される請求項1〜10いずれか1項記載の製造方法。
【請求項12】
加水分解媒体中に存在する酸化溶媒は、酸化ステップでリサイクルされる前に抽出され、精製される請求項1〜9、11いずれか1項記載の製造方法。
【請求項13】
加水分解媒体から回収された酸は、酸化媒体から抽出されたジカルボン酸と混合されるか、ジカルボン酸の抽出前の酸化媒体中へ混合される請求項11の製造方法。
【請求項14】
炭化水素はシクロアルカンである請求項1〜13いずれか1項記載の製造方法。
【請求項15】
シクロアルカンはシクロヘキサン及びシクロドデカンを含有する群から選ばれる請求項1〜14いずれか1項記載の製造方法。
【請求項16】
溶媒は1〜6炭素原子を含有するモノカルボン酸、及び本質的に脂肪親和性であり、7〜20炭素原子を含有する酸の群から選ばれる請求項1〜15いずれか1項記載の製造方法。
【請求項17】
脂肪親和性酸は、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸(オクタデカン酸)及びそれらの過メチル化(permethylated)誘導体、2−オクタデシルコハク酸、3,5−ditert−ブチル安息香酸、4−tert−ブチル安息香酸、4−オクチル安息香酸、フタル酸 tert−ブチルモノエステル(tert−butyl hydrogen orthophthalate)、アルキル基で置換されたナフテン酸又はアントラセン(anthracenic)酸、フタル酸の置換された誘導体、及び脂肪族ジカルボン酸の群から選ばれる請求項1〜16いずれか1項記載の製造方法。
【請求項18】
脂肪親和性酸は二量体脂肪酸又はtert−ブチル基で置換されたナフテン酸又はアントラセン酸の群から選ばれる請求項16の製造方法。
【請求項19】
触媒は遷移金属の群から選ばれる請求項1〜18いずれか1項記載の製造方法。
【請求項20】
触媒はマンガンベースであり、コバルト、ジルコニウム、セリウム、ハフニウム及び鉄の群から選ばれる共触媒と組み合わせたものである請求項18の製造方法。
【請求項21】
製造されたポリカルボン酸は、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ドデカンジオイックアシッド(ジカルボン酸)及び/又はそれらの混合物の群から選ばれる請求項1〜20いずれか1項記載の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノカルボン酸ベースの溶媒及び酸化触媒の存在下で炭化水素を酸素又は酸素含有ガスで酸化するカルボン酸の製造方法であり、形成されたエステルの加水分解はカルボン酸の抽出前に反応媒体の処理により行われるか、形成されたカルボン酸の抽出後に反応媒体由来の有機相の処理により行われるステップに特徴を有する製造方法。
【請求項2】
強酸で処理される媒体への添加により、かつ、上記媒体を50℃を超え温度に維持することにより加水分解ステップが行われる請求項1の製造方法。
【請求項3】
上記媒体を80℃〜200℃の範囲の温度に維持することにより加水分解ステップが行われる請求項2の製造方法。
【請求項4】
強酸は2以下のpKaを有する酸から選ばれる請求項2又は3の製造方法。
【請求項5】
強酸は、不活性材料上に担持され又は結合される請求項2〜4いずれか1項記載の製造方法。
【請求項6】
強酸は、不活性材料である樹脂上に担持され又は結合される請求項5の製造方法。
【請求項7】
強酸を有する樹脂はスルホン酸を含有する群から選ばれる請求項の製造方法。
【請求項8】
反応媒体から製造されたカルボン酸の分離は、沈降による分離手段で行われる請求項1〜いずれか1項記載の製造方法。
【請求項9】
反応媒体から製造されたカルボン酸の分離は、液/液抽出により得られる請求項1〜いずれか1項記載の製造方法。
【請求項10】
カルボン酸の分離及びエステルの加水分解後に得られた有機相は酸化ステップでリサイクルされる請求項1〜いずれか1項記載の製造方法。
【請求項11】
形成されたジカルボン酸の分離後回収された有機相には、加水分解ステップ前に、酸化ステップ中に形成されたアルコールの沸点以下である沸点を有する化合物の蒸留操作が行われる請求項1〜10いずれか1項記載の製造方法。
【請求項12】
形成されたジカルボン酸の分離後回収された有機相には、加水分解ステップ前に、酸化ステップ中に使用された酸溶媒の沸点以下である沸点を有する化合物の蒸留操作が行われる請求項1〜10いずれか1項記載の製造方法。
【請求項13】
加水分解ステップ中に形成された酸は、媒体から上記酸用の溶媒により抽出される請求項1〜12いずれか1項記載の製造方法。
【請求項14】
加水分解媒体中に存在する酸化溶媒は、酸化ステップでリサイクルされる前に抽出され、精製される請求項1〜1113いずれか1項記載の製造方法。
【請求項15】
加水分解媒体から回収された酸は、酸化媒体から抽出されたジカルボン酸と混合されるか、ジカルボン酸の抽出前の酸化媒体中へ混合される請求項13の製造方法。
【請求項16】
炭化水素はシクロアルカンである請求項1〜15いずれか1項記載の製造方法。
【請求項17】
シクロアルカンはシクロヘキサン及びシクロドデカンを含有する群から選ばれる請求項1〜16いずれか1項記載の製造方法。
【請求項18】
溶媒は1〜6炭素原子を含有するモノカルボン酸、及び本質的に脂肪親和性であり、7〜20炭素原子を含有する酸の群から選ばれる請求項1〜17いずれか1項記載の製造方法。
【請求項19】
脂肪親和性酸は、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸(オクタデカン酸)及びそれらの過メチル化(permethylated)誘導体、2−オクタデシルコハク酸、3,5−ditert−ブチル安息香酸、4−tert−ブチル安息香酸、4−オクチル安息香酸、フタル酸 tert−ブチルモノエステル(tert−butyl hydrogen orthophthalate)、アルキル基で置換されたナフテン酸又はアントラセン(anthracenic)酸、フタル酸の置換された誘導体、及び脂肪族ジカルボン酸の群から選ばれる請求項1〜18いずれか1項記載の製造方法。
【請求項20】
脂肪親和性酸は二量体脂肪酸又はtert−ブチル基で置換されたナフテン酸又はアントラセン酸の群から選ばれる請求項18の製造方法。
【請求項21】
触媒は遷移金属の群から選ばれる請求項1〜20いずれか1項記載の製造方法。
【請求項22】
触媒はマンガンベースであり、コバルト、ジルコニウム、セリウム、ハフニウム及び鉄の群から選ばれる共触媒と組み合わせたものである請求項21の製造方法。
【請求項23】
製造されたポリカルボン酸は、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ドデカンジオイックアシッド(ジカルボン酸)及び/又はそれらの混合物の群から選ばれる請求項1〜22いずれか1項記載の製造方法。

【公表番号】特表2006−504781(P2006−504781A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549261(P2004−549261)
【出願日】平成15年10月28日(2003.10.28)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003198
【国際公開番号】WO2004/041765
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(598051417)ロディア・ポリアミド・インターミーディエッツ (14)
【Fターム(参考)】