カルボン酸化合物、塩基発生剤及び当該塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物
【課題】反応効率が良好であるとともに、塩基発生時に炭酸ガスの発生もないカルボン酸化合物、塩基発生剤及び当該塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】
本発明に係るカルボン酸化合物は、光の照射によりカルボン酸が光環化反応を起こして塩基が発生する塩基発生剤として作用し、エポキシ系化合物等の塩基反応性化合物に適用した場合には、塩基発生反応が連鎖的に行われるため反応効率が良好であるとともに、塩基発生時に炭酸ガスの発生もない。また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、硬化膜に炭酸ガスの気泡による凸凹を生じさせることもなく、製品特性及び製品価値の高い硬化膜を提供することができる。かかる効果を奏する本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、高感度の光硬化材料やレジスト材料等に好適に用いることができる。
【解決手段】
本発明に係るカルボン酸化合物は、光の照射によりカルボン酸が光環化反応を起こして塩基が発生する塩基発生剤として作用し、エポキシ系化合物等の塩基反応性化合物に適用した場合には、塩基発生反応が連鎖的に行われるため反応効率が良好であるとともに、塩基発生時に炭酸ガスの発生もない。また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、硬化膜に炭酸ガスの気泡による凸凹を生じさせることもなく、製品特性及び製品価値の高い硬化膜を提供することができる。かかる効果を奏する本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、高感度の光硬化材料やレジスト材料等に好適に用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボン酸化合物、塩基発生剤及び当該塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、光等の活性エネルギー線によって塩基を発生するカルボン酸化合物、塩基発生剤及び当該塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光の照射によって酸を発生する酸発生剤を含有する感光性樹脂組成物が、フォトレジスト材料や光硬化材料等として適用されている。酸発生剤から発生した酸は、触媒や重合開始剤として作用し、また、酸発生剤等を含有した感光性樹脂組成物をフォトレジスト材料として用いてパターンを形成する場合には、例えば酸発生剤に光を照射して触媒等となる強酸を発生させ、樹脂成分を化学変性させる。そして、化学変性された樹脂成分の溶解性の変化により、パターンを形成するようにする。
【0003】
かかるフォトレジスト材料は、解像度及び感度が高いこと、さらには耐エッチング性が高いパターンを形成し得ることが求められており、特に、深紫外線レジスト材料として、酸素プラズマエッチングに耐性を持つパターンを形成し得る材料が求められている。酸発生剤を含有する感光性樹脂組成物からなるフォトレジスト材料は、高感度・高解像性等を目指して、種々のものが提供されているが、光酸発生剤と樹脂材料の組み合わせの種類はある程度限定されてしまうため、酸発生剤を使用しない新たな感光システムが求められていた。
【0004】
加えて、モノマー、オリゴマー、あるいはポリマーの光硬化速度を向上させるために様々な検討がなされており、光の作用で発生するラジカル種を開始剤として、多数のビニルモノマーを重合させるラジカル光重合系の材料が広く開発の対象とされてきた。また、光の作用で酸を発生させ、この酸を触媒とするカチオン重合系の材料も盛んに研究されていた。しかしながら、ラジカル光重合系の材料の場合には、空気中の酸素によって重合反応が阻害され硬化反応が抑制されるので、酸素遮断のための特別な工夫が必要とされていた。また、カチオン重合系の材料の場合には、ラジカル光重合系の材料のような酸素阻害がない一方、光酸発生剤から発生した強酸が硬化後も残存するために、当該強酸の存在を原因とする腐食性や樹脂の変性の可能性が問題とされていた。
【0005】
このような背景から、解像度及び感度が高く、耐エッチング性が高いパターンを形成できるレジスト材料を得るために、また、活性エネルギー線を利用して液状物を迅速に固化させる硬化技術をいっそう高性能化するために、空気中の酸素による阻害効果を受けず、生成する強酸のような腐食性物質を含まず高効率で反応が進行する、新たな感光システムを用いた感光性樹脂組成物が強く望まれていた。
【0006】
前記の問題を克服する手段の1つとして、塩基触媒による重合反応や化学反応を用いる方法、例えば、光の作用によって塩基を発生させ、これを触媒として樹脂を化学変性させる方法を用いて、光によって発生する塩基を触媒とする感光性樹脂組成物をフォトレジスト材料や光硬化材料等へ応用する手段が検討されている。そして、エポキシ基を有する化合物は塩基の作用によって架橋反応を起こして硬化することを利用して、光や熱の作用で開始剤あるいは触媒としてのアミン類をエポキシ樹脂層内で発生させ、次いで加熱処理によって硬化させる方法が提供されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。)
。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−264156号公報
【特許文献2】特開2007−101685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来提供されている方法にあっては、光の作用で塩基を発生する反応が迅速に行われない等の問題があるため実用性に乏しく、改善が求められていた。加えて、従来の塩基発生剤は、塩基を発生する際に分解物として炭酸ガス(CO2)の発生を伴っていたが、かかる炭酸ガスは、感光性樹脂組成物を製膜した場合にあっては気泡となり、硬化膜に凸凹を生じさせる原因となっていた。ここで、感光性樹脂組成物を製膜した場合において、硬化膜中に気泡が残ると硬化膜の強度を低下させることになり、また、接着剤として用いる場合には接着強度を低下させる、封止材やコーティング材に用いる場合には水や塩基物質等空気中の不純物に対するバリア性が低下する等の問題が生じるため、好ましくなかった。
【0009】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、例えば、エポキシ系化合物等の架橋反応に用いることができ、エポキシ系化合物等に適用した場合には、塩基発生反応が連鎖的に行われるため反応効率が良好であるとともに、塩基発生時に炭酸ガスの発生もないカルボン酸化合物、塩基発生剤及び当該塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するために、本発明に係るカルボン酸化合物は、カルボン酸と塩基類からなるカルボン酸化合物であって、下記式(X)で表されることを特徴とする。
【0011】
【化1】
(式(X)中、R1、R2、R3はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、または有機基を示し、同一であっても異なっていてもよい。R1、R2、R3は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。R4、R5、R6、R7はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アルコキシ基、アミド基または有機基を示し、同一であっても異なっていてもよい。R4、R5、R6、R7は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、Bは塩基としてはたらく塩基類、を示す。)
【0012】
本発明に係るカルボン酸化合物は、前記した本発明において、下記式(X’)からなることを特徴とする。
【0013】
【化2】
(式(X’)中、R1、R2、R4、R5、R6は前記式(X)に示した基と同じであり、また、R1、R2は、結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。R4、R5、R6は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、nは0〜6の整数を示す。)
【0014】
本発明に係る塩基発生剤は、前記した本発明に係るカルボン酸化合物からなることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る塩基発生剤は、前記した本発明において、前記塩基類が下記式(I)、式(II)、式(IV)及び式(V)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
【0016】
【化3】
(式(I)中、nは1〜3の整数を示す。)
【0017】
【化4】
(式(II)中、Rはそれぞれ、独立して水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基(S等のヘテロ原子を含んでもよい。)、またはフェニル基、を示す。)
【0018】
【化5】
(式(IV)中、R1〜R5はそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示す。)
【0019】
【化6】
(式(V)中、R1〜R7はそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示す。)
【0020】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記した本発明に係る塩基発生剤と、塩基反応性化合物とを含有することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記した本発明において、前記塩基反応性化合物がエポキシ系化合物、ケイ素系化合物及びオキセタン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記した本発明において、さらに、チオール化合物を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るカルボン酸化合物は、光の照射によりカルボン酸が光環化反応を起こして塩基が発生し、塩基発生時に炭酸ガスの発生もないカルボン酸化合物となる。
【0024】
また、かかるカルボン酸化合物からなる本発明に係る塩基発生剤は、エポキシ系化合物等の塩基反応性化合物に適用した場合には、塩基発生反応が連鎖的に行われるため反応効率が良好であるとともに、光の照射によりカルボン酸が光環化反応を起こして塩基が発生するため、塩基発生時に炭酸ガスの発生を伴わない塩基発生剤として作用する。
【0025】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、本発明の塩基発生剤と、塩基反応性化合物とを含有するので、塩基発生剤から発生する塩基とエポキシ系化合物等との反応が連鎖的に進行し、優れた反応効率を備えるため、硬化が十分になされる。加えて、添加される塩基発生剤が塩基発生時に炭酸ガスの発生を伴わないため、硬化膜に炭酸ガスの気泡による凸凹を生じさせることもなく、製品特性及び製品価値の高い硬化膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1で得られた塩基発生剤の光分解挙動(波長:254nm)を示した図である。
【図2】実施例2で得られた塩基発生剤の光分解挙動(波長:254nm)を示した図である。
【図3】実施例3で得られた塩基発生剤の光分解挙動(波長:254nm)を示した図である。
【図4】実施例4で得られた塩基発生剤の光分解挙動(波長:254nm)を示した図である。
【図5】実施例1及び実施例4で得られた塩基発生剤の光分解挙動を比較した図である。
【図6】実施例1で得られた塩基発生剤のUVスペクトル変化を示した図である。
【図7】実施例1で得られた塩基発生剤の1H−NMRスペクトルを示した図である。
【図8】1720cm−1における露光量とピーク面積比の増加率の関係を示した図である。
【図9】1374cm−1における露光量とピーク面積比の減少率の関係を示した図である。
【図10】実施例5で得られた感光性樹脂組成物の感度評価結果(露光量と残膜率との関係)を示した図である。
【図11】実施例6で得られた感光性樹脂組成物の感度評価結果(露光量と残膜率との関係)を示した図である。
【図12】実施例7で得られた感光性樹脂組成物の感度評価結果(露光量と残膜率との関係)を示した図である。
【図13】実施例6−1及び実施例7−1で得られた感光性樹脂組成物の感度評価結果を比較した図である。
【図14】907cm−1における加熱時間とピーク面積比の減少率の関係を示した図である。
【図15】実施例8で得られた塩基発生剤の光分解挙動(波長:254nm)を示した図である。
【図16】実施例8で得られた塩基発生剤の光分解挙動(波長:313nm)を示した図である。
【図17】露光量とピーク強度の関係を示した図である。
【図18】試験例12において、実施例9で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を示した図である。
【図19】試験例12において、実施例10で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を示した図である。
【図20】試験例12において、実施例11で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を示した図である。
【図21】試験例13において、実施例9で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を示した図である。
【図22】試験例13において、実施例10で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を示した図である。
【図23】試験例13において、実施例11で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を示した図である。
【図24】試験例13において、実施例9ないし実施例11で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一態様を説明する。本発明に係るカルボン酸化合物は、下記式(X)で表され、式(III)で表されるカルボン酸と、塩基としてはたらく塩基類Bからなるカルボン酸塩である。
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
式(X)で表されるカルボン酸化合物(式(III)で表されるカルボン酸塩)について、R1、R2、R3はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、または有機基を示し、同一であっても異なっていてもよい。R1、R2、R3は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。また、R4、R5、R6、R7はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アルコキシ基、アミド基または有機基を示し、同一であっても異なっていてもよい。R4、R5、R6、R7は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。そして、Bは塩基としてはたらく塩基類、を示している。
【0031】
なお、式(X)あるいは式(III)を構成するカルボン酸における下記芳香環は、ベンゼン環以外に、ナフタレン、アントラセン、ピレンなどの多環式芳香族環でもよく、その中の芳香族環がヘテロ原子を含む複素環式芳香族環でもよい。
【0032】
【化9】
【0033】
かかるカルボン酸化合物は、カルボン酸との結合対象としてアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属といったアルカリ、あるいは塩基化合物といった塩基類を使用しており、光の照射によってカルボン酸が光環化反応し、塩基類Bを発生する塩基発生剤としてはたらくことになる。
【0034】
(スキーム1)
【化10】
【0035】
また、かかるカルボン酸化合物は、スキーム1に示すように、光の照射によりカルボン酸の光環化反応により塩基を発生するため、塩基を発生する際に分解物として炭酸ガス(CO2)を発生することもない。かかる炭酸ガスは、感光性樹脂組成物を製膜した場合にあっては気泡となって、硬化膜に凸凹が生じたり、硬化膜の強度を低下させる等硬化膜の性能に悪影響を及ぼし、製品価値を低下させることになっていたが、本発明に係るカルボン酸化合物を塩基発生剤としてエポキシ系化合物等の塩基反応性化合物に適用した場合には、反応効率が良好であるとともに、塩基発生時に炭酸ガスの発生もなく、製品特性及び製品価値が優れた硬化膜を提供することができる。
【0036】
なお、本発明に係るカルボン酸化合物は、下記式(X’)に示すカルボン酸化合物とする(下記式(III’)に示すように式(III)におけるR3とR7で環状構造を形成させるカルボン酸とする。)ことによって、光環化前のカルボン酸塩のオレフィン部が自由回転することなく固定され、光環化が起こりやすくなるため、塩基発生剤として使用した場合、比較的小さい露光量で光分解し、感度の良好な塩基発生剤を提供する。また、かかる感度の良好な塩基発生剤を含有した感光性樹脂組成物は、比較的短い露光時間(1〜2分程度)ないし低い後加熱温度(室温〜50℃程度)で硬化し、高感度な光硬化材料となる。なお、式(X’)及び式(III’)において、R1、R2、R4、R5、R6は前記した式(X)に示した基と同じであり、また、R1、R2は、結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。R4、R5、R6は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、nは0〜6の整数を示し、nは1〜3が好ましい。
【0037】
【化11】
【0038】
【化12】
【0039】
カルボン酸化合物を構成するカルボン酸である式(III)に示したカルボン酸の具体例として、式(III−1)、式(III−2)、及び式(III’)に対応する式(III−3)を示す。
【0040】
【化13】
【0041】
【化14】
【0042】
【化15】
【0043】
式(III)に表されるカルボン酸を合成するには、例えば、次のようにすればよい。式(III−1)のカルボン酸は、フタルアルデヒド酸をメチルエステル化した後、Wittig反応によりアルデヒド基をオレフィンに変換後、メチルエステルを加水分解することで得られる。式(III−2)のカルボン酸はメチル 2−ホルミル−3,5−ジメトキシベンゾエートをWittig反応によりアルデヒド基をオレフィンに変換後、メチルエステルを加水分解することで得られる。式(III−3)のカルボン酸は7−メトキシ−1−テトラロンのブロモ化、Wittig反応によるカルボニル基のオレフィンへの変換、Grignard反応を経て得られる。これ以外のカルボン酸についても、前記した式(III−1)ないし式(III−3)に示した合成方法に準じて合成すればよい。
【0044】
式(X)に表されるカルボン酸化合物を構成する塩基類Bのうち、アルカリとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属が挙げられる。このうち、アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム(Na)、やカリウム(K)、が挙げられる、また、アルカリ土類金属としては、例えば、カルシウム(Ca)やバリウム(Ba)、が挙げられる。
【0045】
式(X)で表される第1発明の塩基発生剤を製造するには、前記した式(III)で表されるカルボン酸と、塩基類となるアルカリの陽イオンを構成するアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属Mを含む化合物(アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を含むメトキシド、エトキシド、tert−ブトキシド等の化合物)を混合することにより簡便に製造することができる。
【0046】
また、塩基類Bとしては、例えば、アミン、ピリジル基を含有する化合物、ヒドラジン化合物、アミド化合物、水酸化四級アンモニウム塩、メルカプト化合物、スルフィド化合物、ホスフィン化合物等を使用するでき、このうち、アミンを使用することが好ましい。アミンとしては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンを使用することができる。
【0047】
第1級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、アミルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、1−メチルブチルアミン、1−エチルプロピルアミン、イソアミルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、tert−アミルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、2−アミノヘプタン、3−アミノヘプタン、1−メチルヘプチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1,5―ジメチルヘキシルアミン、tert−オクチルアミン、エチレジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,5−ジアミノペンタン、1,3−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、シクロプロピルアミン、(アミノメチル)シクロプロパン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、シクロヘキシルアミン、2−メチルヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、1,2−ジアミノシクロヘキサン、シクロヘキサンメチルアミン、1,8−ジアミノ−p−メンタン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン、シクロドデシルアミン、2−アミノノルボルネン、ボルニルアミン、ミルタニルアミン、1−アダマンタンアミン、1−アダマンタンメチルアミン、アリルアミン、オレイルアミン、ゼラニルアミン、2,2,2−トリフルオロメチルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、2−アミノ−1−メトキシプロパン、3−イソプロポキシプロピルアミン、2,2’−オキシビス(エチレンアミン)、2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)、4,9−ジオキサ−1,12−ドデカンジアミン、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン、3−アミノ−1−プロパノールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルアミン、2,5−ジヒドロ−2,5−ジメトキシフルフリルアミン、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、4−アミノブチルアルデヒドジエチルアセタール、エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、2−アミノ−1−ペンタノール、2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、2−アミノ−1−ヘキサノール、1−アミノ−1−シクロペンタンメタノール、2−アミノシクロヘキサノール、4−アミノシクロヘキサノール、1−アミノメチル−1−シクロヘキサノール、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(プロピルアミノ)エタノール、2−(tert−ブチルアミノ)エタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、SERINOL、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、BIS−HOMOTORIS、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、1−アミノ−デオキシソルビトール、2−アミノメチル−15−クラウン−5、2−アミノメチル−18−クラウン−6、アニリン、オルトトルイジン、メタトルイジン、パラトルイジン、2−エチルアニリン、3−エチルアニリン、4−エチルアニリン、2−プロピルアニリン、3−プロピルアニリン、4−プロピルアニリン、2−イソプロピルアニリン、3−イソプロピルアニリン、4−イソプロピルアニリン、2−ブチルアニリン、3−ブチルアニリン、4−ブチルアニリン、2−sec−ブチルアニリン、3−sec−ブチルアニリン、4−sec−ブチルアニリン、2−tert−ブチルアニリン、3−tert−ブチルアニリン、4−tert−ブチルアニリン、4−ペンチルアニリン、4−ヘキシルルアニリン、4−ヘプチルアニリン、4−オクチルアニリン、4−デシルアニリン、4−ドデシルアニリン、4−テトラデシルアニリン、4−ヘキサデシルアニリン、4−シクロへキシルアニリン、2,2’−エチレンジアニリン、オルトアニシジン、メタアニシジン、パラアニシジン、オルトフェネチジン、メタフェネチジン、パラフェネチジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、2−アミノベンジルアルコール、2−アミノフェニルエチルアルコール、3−アミノフェニルエチルアルコール、4−アミノフェニルエチルアルコール、3−(1−ヒドロキシエチル)アニリン、2−(メチルメルカプト)アニリン、3−(メチルメルカプト)アニリン、4−(メチルメルカプト)アニリン、2−アミノフェニルジスルフィド、2−イソプロペニルアニリン、4,4’−エチレンジアニリン、3,3’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−ジアミノスチルベン、4−ブトキシアニリン、4−ペンチルオキシアニリン、4−ヘキシルオキシアニリン、4,4’−オキシジアニリン、4,4’−チオジアニリン、4’’,4’’’’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビス−(4−フェニルアニリン)、オキシジアニリン、4−アミノフェニルスルフィド、2,3−ジメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、6−エチルオルトトルイジン、2,6−ジエチルアニリン、2−イソプロピル−6−メチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、1−アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン、5−アミノインダン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2−クロロアニリン、3−クロロアニリン、4−クロロアニリン、2−ブロモアニリン、3−ブロモアニリン、4−ブロモアニリン、2−ヨードアニリン、3−ヨードアニリン、4−ヨードアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメトキシ)アニリン、4−(トリフルオロメトキシ)アニリン、3−(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)アニリン、3−フルオロ−2−メチルアニリン、3−クロロ−2−メチルアニリン、2−クロロ−6−メチルアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、2,3−ジフルオロアニリン、2,6−ジクロロアニリン、2,3−ジクロロアニリン、2,6−ジブロモアニリン、2−メトキシ−6−メチルアニリン、3−フルオロオルトアニシジン、3−アミノ−2−メチルベンジルアルコール、2−アミノ−3−メチルベンジルアルコール、2−アミノメタクレゾール、2,3−ジアミノフェノール、オルトトルイジン、4,4’−エチレンジメタトルイジン、2,5−ジ−tert−ブチルアニリン、3−フルオロ−4−メチルアニリン、2−フルオロ−4−メチルアニリン、5−フルオロ−2−メチルアニリン、2−フルオロ−5−メチルアニリン、4−フルオロ−2−メチルアニリン、2−フルオロ−6−メチルアニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)アニリン、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン、2,4−ジフルオロアニリン、3,4−ジフルオロアニリン、2,5−ジフルオロアニリン、3−クロロ−4−フルオロアニリン、2−クロロ−4−フルオロアニリン、2−ブロモ−4−フルオロアニリン、4−ブロモ−2−フルオロアニリン、2−ブロモ−4−ヨードアニリン、2−クロロ−4−アミノトルエン、2−クロロ−4−メチルアニリン、2−クロロ−5−メチルアニリン、5−クロロ−2−メチルアニリン、4−クロロ−2−メチルアニリン、3,4−ジクロロアニリン、2,4−ジクロロアニリン、2,5−ジクロロアニリン、4−ブロモ−2−メチルアニリン、4−ブロモ−3−メチルアニリン、3−ブロモ−4−メチルアニリン、2−ブロモ−4−メチルアニリン、4−ブロモ−2−クロロアニリン、2,4−ジブロモアニリン、2,5−ジブロモアニリン、4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)アニリン、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン、2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン、4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)アニリン、4−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)アニリン、4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)アニリン、2−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)アニリン、2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン、5,5’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジオルトトルイジン、4−メトキシ−2−メチルアニリン、2−メトキシ−5−メチルアニリン、5−メトキシ−2−メチルアニリン、5−tert−ブチルオルトアニシジン、2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)アニリン、6−クロロメタアニシジン、4−アミノヴェラトロール、3,4−(メチレンジオキシ)アニリン、1,4−ベンゾジオキサン−6−アミン、4’−アミノベンゾ−15−クラウン−5、2,4−ジメトキシアニリン、4−アミノクレゾール、2,5−ジメトキシアニリン、5−アミノ−2−メトキシフェノール、3−アミノオルトクレゾール、2−アミノオルトクレゾール、2−アミノ−tert−ブチルフェノール、2−アミノ−tert−アミルフェノール、6−アミノメタクレゾール、4−アミノメタクレゾール、2−アミノ−5−メチルベンジルアルコール、3−アミノ−4−メチルベンジルアルコール、2−アミノ−4−クロロフェノール、4−アミノ−3−クロロフェノール、2−アミノ−5−クロロベンジルアルコール、5−クロロオルトアニシジン、3−フルオロロパラアニシジン、3−クロロパラアニシジン、2−アミノ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンチオール、3,5−ジメチルアニリン、3,5−ジtert−ブチルアニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ジフルオロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、3,5−ジメトキシアニリン、3−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)アニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、2,4,6−トリ−tert−ブチルアニリン、2−クロロ−4,6−ジメチルアニリン、2,6−ジクロロ−3−メチルアニリン、3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリン、2,3,4−トリクロロアニリン、2,3,4−トリフルオロアニリン、2,3,6−トリフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、2,6−ジブロモ−4−メチルアニリン、3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン、4−ブロモ−2,6−ジメチルアニリン、4−ブロモ−2
,6−ジフルオロアニリン、2−クロロ−3,5−ジフルオロアニリン、2−ブロモ−4−クロロ−6−フルオロアニリン、2,4−ジブロモ−6−フルオロアニリン、2,6−ジブロモ−4−フルオロアニリン、2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)アニリン、4−クロロ−2,6−ジブロモアニリン、4−アミノ−2,6−ジクロロフェノール、3,4,5−トリクロロアニリン、3,4,5−トリメトキシアニリン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、2−ブロモ−4,6−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリクロロアニリン、2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメトキシ)アニリン、2−ブロモ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2,4,6−トリブロモアニリン、2−クロロ−4−フルオロ−5−メチルアニリン、2,4,5−トリフルオロアニリン、2,4,5−トリクロロアニリン、4−クロロ−2−メトキシ−5−メチルアニリン、4−アミノ−2,5−ジメチルフェノール、4−アミノ−2,6−ジブロモフェノール、3,5−ジクロロ−2,6−ジエチルアニリン、2,3,5,6−テトラクロロアニリン、2,3,5,6−テトラフルオロアニリン、2,3,4,5−テトラフルオロアニリン、2,3,4,6−テトラフルオロアニリン、2−ブロモ−3,4,6−トリフルオロアニリン、2−ブロモ−4,5,6−トリフルオロアニリン、2−アミノ−2,4−ジクロロ−3−メチルフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルアニリン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロアニリン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、4−メトキシ−3−ビフェニルアミン、4−ブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロアニリン、1,2−フェニレンジアミン、2,3−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、3,3’−ジアミノベンジジン、4−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、4−メトキシ−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン、1,2,4,5−ベンゼンテトラミン、4,5−ジクロロ−1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、4−メトキシ−1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノール、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)−1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、2−メトキシ−1,4−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、2−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2,4,6−トリフェニルアニリン、2−アミノ−4−フェニルフェノール、5−フェニルオルトアニシジン、ベンジルアミン、α−メチルベンジルアミン、アミノジフェニルメタン、トリチルアミン、1,2−ジフェニルエチルアミン、2,2−ジフェニルエチレンアミン、2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、フェネチルアミン、2−アミノ−3−フェニル−1−プロパノール、2−フェニルシクロプロピルアミン、3−フェニル−1−プロピルアミン、3,3−ジフェニルプロピルアミン、1−メチル−3−フェニルプロピルアミン、4−フェニルブチルアミン、1,2−ジフェニルエチレンジアミン、1,2−ビス(4−メトキシフェニル)エチレンジアミン、4−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチルアミン、2−アミノ−1−フェニルエタノール、2−フェニルグリシノール、2−アミノ−3−フェニル−1−プロパノール、NOREPHEDRINE、2−メチルベンジルアミン、1−アミノインダン、2−アミノインダン、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン、2−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、2−フルオロベンジルアミン、2−フルオロフェネチルアミン、2−クロロベンジルアミン、2−クロロフェネチルアミン、2−ブロモベンジルアミン、2−メトキシベンジルアミン、2−メトキシフェネチルアミン、2−エトキシベンジルアミン、2−[2−(アミノメチル)フェニルチオ]ベンジルアルコール、2−アミノベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、3−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、メタキシレンジアミン、3−フルオロベンジルアミン、3−フルオロフェネチルアミン、3−クロロベンジルアミン、3−クロロフェネチルアミン、3−ブロモベンジルアミン、3−ヨードベンジルアミン、3−メトキシフェネチルアミン、4−メチルベンジルアミン、パラキシレンジアミン、4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、α,4−ジメチルベンジルアミン、2−(パラトルイル)エチルアミン、4−フルオロベンジルアミン、4−フルオロフェネチルアミン、4−クロロベンジルアミン、4−ブロモベンジルアミン、4−ブロモフェネチルアミン、4−フルオロ−α−メチルベンジルアミン、4−フルオロフェネチルアミン、4−クロロフェネチルアミン、4−メトキシベンジルアミン、4−メトキシフェネチルアミン、4−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、2−(4−アミノフェニル)エチルアミン、TYRAMINE、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、2,6−ジフルオロベンジルアミン、2,4−ジフルオロベンジルアミン、2,5−ジフルオロベンジルアミン、3,4−ジフルオロベンジルアミン、2,4−ジクロロベンジルアミン、3,4−ジクロロベンジルアミン、2,4−ジクロロフェネチルアミン、2,3−ジメトキシベンジルアミン、3,5−ジメトキシベンジルアミン、2,4−ジメトキシベンジルアミン、3,4−ジメトキシベンジルアミン、2,5−ジメトキシフェネチルアミン、3,4−ジメトキシフェネチルアミン、ピペロニルアミン、3,4,5−トリメトキシベンジルアミン、2,4,6−トリメトキシベンジルアミン、1−アミノインダノール、1−ナフタレンメチルアミン、1−(1−ナフチル)エチルアミン、9−アミノフルオレン、1−ピレンメチルアミン、α,ω−ジアミノポリエチレングリコール、α,ω−ジアミノポリプロピレングリコール、α,ω−ジアミノポリジメチルシロキサン又はポリアリルアミン等が挙げられる。
【0048】
第2級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、N−エチルメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルプロピルアミン、N−メチルイソプロピルアミン、N−エチルイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、N−メチルブチルアミン、N−エチルブチルアミン、N−メチル−tert−ブチルアミン、N−tert−ブチルイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、tert−アミル−tert−ブチルアミン、ジペンチルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、tert−アミル−tert−オクチルアミン、ジオクチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、N−メチルオクタデシルアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジイソプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N−プロピルシクロプロパンメチルアミン、N−メチルシクロヘキシシルアミン、N−エチルシクロヘキシシルアミン、N−イソプロピルシクロヘキシシルアミン、N−tert−ブチルシクロヘキシシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ビス(3,3−ジメチルブチル)−1,2−シクロヘキサンジアミン、1−シクロヘキシルエチルアミン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、N−メチルアリルアミン、N−メチル−2−メチルアリルアミン、ジアリルアミン、N,N’−ジエチル−2−ブチレン−1,4−ジアミン、N−アリルシクロペンチルアミン、N−アリルシクロアミン、2−(1−シクロヘキセン)エチルアミン、6−(ジメチルアミノ)フルベン、ビス(2−メトキシエチル)アミン、メチルアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、ジエチルアミノアセトアルデヒドジエチルアセタール、2−メチルアミノエチル−1,3−ジオキソラン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン、N−メチルグルカミン、2−メチルアジリジン、アゼチジン、ピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、3−ピロリジノール、2−ピロリジンメタノール、3−ピロリン、2,5−ジメチル−3−ピロリン、ピペリジン、1,2,3,6−テトタヒドロピリジン、2−メチルピペリジン、2−エチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、4,4’−ビピペリジン、4,4’−エチレンビピペリジン、4,4’−トリメチレンビピペリジン、3,3−ジメチルピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、3,5−ジメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン、2−ピペリジンメタノール、2−ピペリジンエタノール、3−ヒドロキシピペリジン、3−ピペリジンメタノール、4−ヒドロキシピペリジン、2,2,6,6−トリメチル−4−ピペリジノール、7,7,9,9−テトラメチル−1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−2−メタノール、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、アセトアルデヒドアンモニア三量体、1,4,7−トリアザシクロノナン、1,5,9−トリアザシクロドデカン、CYCLEN、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、1,4,8,12−テトラアザシクロペンタデカン、HEXACYCLEN、1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、ドデカヒドロキノリン、スパルテイン、4,4−ジメチルオキサドリジン、4−エチル−2−メチル−2−(3−メチルブチル)オキサドリジン、モルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、1,4,10−トリオキサ−7,13−ジアザシクロペンタデカン、1,4,10,13−テトラキサ−7,16−ジアザシクロオクタデカン、チアゾリジン、チオモルホリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、ジフェニルアミン、N−フェニルベンジルアミン、1,2−ジアニリノエタン、N−アリルアニリン、2−アニリノエタノール、N−エチルオルトトルイジン、N−エチルメタトルイジン、N−エチルパラトルイジン、4−クロロ−N−メチルアニリン、N−メチルパラアニシジン、4−アミノメチルフェノール、N−エチル−2,3−キシリジン、N−エチル−3,4−(メチレンジオキシ)アニリン、2,4,6−トリ−tert−ブチル−N−メチルアニリン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニルベンジジン、3,3’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン、2−ベンジルアニリン、1−アミノ−4−ブロモナフタレン、1−アミノ−2−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、3−アミノ−2−ナフトール、2,2’−ジチオビス(1−ナフタレン)、2,3−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、1,1’−ビナフチル−2,2’−ジアミン、1−アミノフルレン、2−アミノフルレン、2,7−ジアミノフルレン、3,7−ジアミノ−2−メトキシフルレン、2−アミノ−7−ブロモフルレン、2−アミノ−9−ヒドロキシフルレン、2−アミノ−3−ブルモ−9−ヒドロキシフルレン、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノフェナンスレン、9,10−ジアミノフェナンスレン、3−アミノフルオランセン、1−アミノピレン、6−アミノクライセン、N,α−ジメチルベンジルアミン、N−ベンジル−α−メチルベンジルアミン、N−ベンジルメチルアミン、N−エチルベンジルメチルアミン、N−イソプロピルベンジルメチルアミン、N−ブチルベンジルメチルアミン、N−tert−ブチルベンジルメチルアミン、ジベンジルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルフェネチルアミン、N−ベンジル−2−フェネチルアミン、β−メチルフェネチルアミン、N−ベンジルエタノールアミン、2−(ベンジルアミノ)シクロヘキサンメタノール、α−(メチルアミノメチル)ベンジルアルコール、EPHEDRINE、α−ジフェニル−2−ピロリジンメタノール、4−ベンジルピペラジン、4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、インドリン、2−メチルインドリン、1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール、2,3−ジメチルインドリン、インドリン−2−カルボン酸、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、イミノジベンジル、5,6,11,12−テトラヒドロジベンズ[B,F]アゾシン、フェノザジン又はフェノチアジン等が挙げられる。
【0049】
第3級アミンとしては、例えばトリメチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N−メチルジブチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリペンチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−メチルジオクチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソオクチルアミン、トリイソデシルアミン、N,N−ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、トリドデシルアミン、N−メチルジオクタデシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,5−ペンタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N,N’,N’−テトラブチル−1,6−ヘキサンジアミン、トリス(ジメチルアミノ)メタン、N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキサンメチルアミン、トリアリルアミン、トリス(2−メチルアリル)アミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−2−ブテン−1,4−ジアミン、テトラキスジメチルアミノエチレン、パーフルオロイソブチルアミン、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン、tert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、N,N’−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N’−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N’−ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、N,N’−ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール、N,N’−ジメチルホルムアミドジ−tert−ブチルアセタール、N,N’−ジメチルホルムアミドジネオペンチルアセタール、N,N’−ジメチルホルムアミドジシクロヘキシルアセタール、N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、ジメチルアミノアセトアルデヒドジエチルアセタール、ジエチルアミノアセトアルデヒドジエチルアセタール、N,N’−ビス(2,2−ジメトキシエチル)メチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−(ジイソプロピルアミノ)エタノール、2−(ジブチルアミノ)エタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、1−ジエチルアミノ−2−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、5−ジエチルアミノ−2−ペンタノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−プロパノール、トリイソプロパノールアミン、3−(ジメチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−(ジエチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−(ジプロピルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−(ジイソプロピルアミノ)−1,2−プロパンジオール、2−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ}エタノール、1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、2−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール、PENTROL、1−アジリジンエタノール、1−メチルピロリジン、1−ブチルピロリジン、1−ピロリジノ−1−シクロペンテン、1−ピロリジノ−1−シクロヘキセン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、1−メチル−3−ピロジノール、1−エチル−3−ピロジノール、1−メチル−2−ピロリジンメタノール、2−メチル−1−ピロリン、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、ジピペリジノメタン、1−エチルピペリジン、1,1’−メチレンビス(3−メチルピペリジン)、4,4’−トリメチレンビス(1−メチルピペリジン)、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1−ピペリジンアセトアルデヒドジエチルアセタール、1−ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ヒドロキシ−1−メチルピペリジン、1−エチル−3−ヒドロキシピペリジン、1−メチル−3−ピペリジンメタノール、4,4’−トリメチレンビス(1−ピペリジンエタノール)、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサジアミン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、1,4−ジメチルピペラジン、4−(ジメチルアミノ)−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペラジン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1,3,5−テトラメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−テトラエチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン、1,5,9−トリメチル−1,5,9−トリアザシクロドデカン、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、1,4,7,10,13,16−ヘキサメチル−1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカン、TROPANE、QUINULIDINE、3−QUINULIDINOL、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、4−メチルモルホリン、4−エチルモルホリン、4−(1−シクロペンテン−1−イル)モルホリン、1−モルホリノ−1−シクロヘキセン、1−モルホリノ−1−シクロヘプテン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール、4−[2−(ジメチルアミノ)エチル]モルホリン、5−エチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン−5−メタノール、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、4,7,13,16,21−ペンタオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.5]トリコサン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチル−N−メチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、1−フェニルピペリジン、トリフェニルアミン、N−ベンジル−N−エチルアニリン、2−(N−エチルアニリノ)エタノール、N−フェニルジエタノールアミン、N−(エトキシエチル)−N−メチルアニリン、N,N−ジメチルオルトトルイジン、N,N−ジメチルメタトルイジン、N,N−ジメチルパラトルイジン、N,N−ジエチルオルトトルイジン、N,N−ジエチルメタトルイジン、N,N−ジエチルパラトルイジン、3−ジメチルアミノフェノール、3−ジエチルアミノフェノール、2−(N−エチルメタトルイジノ)エタノール、4−tert−ブチル−N,N−ジメチルアニリン、4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、2,2’−(パラトルイルイミノ)ジメタノール、4−(ジメチルアミノ)フェネチルアルコール、N,N,N’,N’−テトラメチルベンジジン、N,N’−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、2,6−ジイソプロピル−N,N−ジメチルアニリン、4−ブロモ−N,N−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)アニリン、N,N,3,5−テトラメチルアニリン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジイソプロピル−N,N−ジメチルアニリン)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(N,N−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)、4,4’−ビニリデンビス(N,N−ジメチルアニリン)、ロイコマラカイトグリーン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンジドロール、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、2−(ジメチルアミノ)フルレン、N,N−ジメチル−1−フェネチルアミン、3−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラベンジルメタンジアミン、N−メチルジフェニルエチレンアミン、トリベンジルアミン、N−(2−クロロエチル)ジベンジルアミン、N−ベンジル−N−メチルエタノールアミン、3−ジベンジルアミノ−1−プロパノール、2−ジベンジルアミノ−3−フェニル−1−プロパノール、N−エチル−3,3’−ジフェニルジプロピルアミン、3−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−ブロモ−N,N−ジイソプロピルベンジルアミン、1−(ジフェニルメチル)アゼチジン、1−ベンジル−3−ピロリン、1−ベンジル−3−ピロリジノール、1−ベンジル−2−ピロリジンメタノール、1−(3,4−ジヒドロ−2−ナフチル)ピロリジン、1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、4−ジフェニルメトキシ−1−メチルピペラジン、1−ベンジル−4−ヒドロキシピペラジン、1,3,5−トリベンジルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、4−フェニルモルホリン、2,5−ジメチル−4−(モルホリノメチル)フェノール、N,N’−ジベンジル−1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザシクロオクタデカン、2−メチレン−1,3,3−トリメチルインドリン、JULODINE、8−ヒドロキシJULODINE、5,10−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジン、10メチルフェノチアジン、TROGER’S BASE又は5,6−ベンゾ−4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン等が挙げられる。
【0050】
使用可能なアミンとしては、さらに、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−プロピルエチレンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N−ジエチル−N’−メチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−エチル−1,3−プロパンジアミン、N−プロピル−1,3−プロパンジアミン、N−イソプロピル−1,3−プロパンジアミン、3−ジメチルアミノプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、3−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,2,2−テトラエチル−1,3−プロパンジアミン、2−アミノ−5−ジエチルアミノペンタン、ジエチレントリアミン、N1−イソプロピルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルジエチレントリアミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、3,3’−イミノビス(N,N−ジメチルプロピルアミン)、SPERMIDINE、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、N,N’,N’’−トリメチルビス(ヘキサメチレン)トリアミン、4−(アミノメチル)−1,8−オクタンジアミン、トリエチレンテトラミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、SPERMINE、トリス(2−アミノエチル)アミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−シクロヘキシル−1,3−プロパンジアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン、1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン、4−(1−ピロリジニル)ピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピペリジン、1−(3−アミノプロピル)−2−ピペコリン、3−アミノピペリジン、1−メチル−4−(メチルアミノ)ピペリジン、4−(アミノエチル)ピペリジン、3−(4−アミノブチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ジメチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−イミダソリン、4,4−ジメチル−2−イミダソリン、1−メチルピペラジン、1−エチルピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、HEXETIDIEN、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−メチルホモピペラジン、3−アミノキヌリジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−A]ピリミジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド[1,2−A]ピリミジン、4−(2−アミノエチル)モルホリン、4−(3−アミノプロピル)モルホリン、5,6−ジヒドロ−2−イソプロペニル−4,4,6−トリメチル−4H−1,3−オキサジン、N−メチル−1,2−フェニレンジアミン、N−フェニル−1,2−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−1,4−フェニレンジアミン、N4,N4−ジエチル−2−メチル−1,4−フェニレンジアミン、2−メトキシ−N4−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−メチル−4,4’−メチレンジアニリン、N−フェニルエチレンジアミン、N’−ベンジル−N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’,N’’−トリベンジルトリス(2−アミノエチル)アミン、4−(ヘキサデシルアミノ)ベンジルアミン、4−ジメチルアミノベンジルアミン、4−アミノ−1−ベンジルピペラジン、2−フェニル−2−イミダゾリン、トラゾリン、2−(1−ナフチルメチル)−2−イミダゾリン、フェントールアミン、2,3−ジフェニル−1,4−ジアザスピロ[4.5]デカ−1,3−ジエン、4−ベンジル−2−メチル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−フェニル−2−オキサゾリン、4−メトキシメチル−2−メチル−5−フェニル−2−オキサゾリン、2−メチル−5−フェニル−2−オキサゾリン−4−メタノール、2,2’−ビス[(4S)−4−ベンジル−2−オキサゾリン]、2,2’−ビス[(4S)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(4S)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R,5S)−4,5−ジフェニル−2−オキサゾリン]、テトラミソール、1−フェニルピペラジン、5−フェニル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−ベンジルピペラジン、1−シンナミルピペラジン、1−オルトトルイルピペラジン、1−(2,3−キシリル)ピペラジン、1−(2−メトキシ)ピペラジン、1−(4−メトキシ)ピペラジン、1−(2−エトキシ)ピペラジン、4−モルホリノアニリン、ホモカイン、ポリエチレンイミン、又はポリエチレンイミングラフトポリアルキル(メタ)アクリレート共重合体等の一級アミノ基、二級アミノ基及び三級アミノ基を一分子中に組み合わせてなるアミン化合物等が挙げられる。
【0051】
さらに、前記したアミンとして、ニトロアミンや、市販の変成アミン、変成ポリアミンを用いることもできる。上記ニトロアミンとしては、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリンまたは1−(4−ニトロフェニル)ピペラジン等が挙げられる。
【0052】
水酸化四級アンモニウム塩としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム塩、水酸化テトラエチルアンモニウム塩、水酸化テトラプロピルアンモニウム塩、水酸化テトラブチルアンモニウム塩、水酸化トリエチルメチルアンモニウム塩、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩又は水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0053】
ヒドラジン化合物としては、例えば、フェニルヒドラジン、1,1−ジフェニルヒドラジン、1,2−ジフェニルヒドラジン、1−メチル−1−フェニルヒドラジン又はオルトトルイルヒドラジン等が挙げられる。
【0054】
アミド化合物としては、例えば、マロンアミド、スクシンアミド、フマル酸アミド、アジピン酸アミド、NIPECITANIDE、アルキル(メタ)アクリレート・(メタ)アクリロイルアミド共重合体、スチレン・アルキル(メタ)アクリレート・(メタ)アクリロイルアミド共重合体、アルキル(メタ)アクリレート・(メタ)アクリロイルモルフォリン共重合体、又はスチレン・アルキル(メタ)アクリレート・(メタ)アクリロイルモルフォリン共重合体等が挙げられる。
【0055】
メルカプト化合物としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、2−メルカプトエチルエーテル、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール又は4,4’−チオベンゼンチオール等が挙げられる。
【0056】
前記したスルフィド化合物としては、例えば、エチルジスルフィド、メチルプロピルジスルフィド、イソプロピルジスルフィド又はフェニルジスルフィド等が挙げられる。
【0057】
ホスフィン化合物としては、例えば、ジ−tert−ブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,4−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、1,2−ビス(フェニルホスフィノ)エタン、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジアリルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ジフェニルプロピルホスフィン、イソプロピルジフェニルホスフィン、ジフェニルビニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリオルトトルイルホスフィン、トリメタトルイルホスフィン、トリパラトルイルホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、又は2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ナフタレン等が挙げられる。
【0058】
また、塩基類Bとしては、下記式(I)で表されるアミジン類、式(II)で表されるイミダゾール類、式(IV)で表されるグアニジン類、式(V)で表されるホスファゼン誘導体といった塩基を使用することが好ましい。塩基類としてアミジン類あるいはイミダゾール類、グアニジン類やホスファゼン誘導体といった塩基を用いることにより、酸解離定数(pKa)が、塩基類としてアルカリを用いた場合には概ね13以上(水溶媒中)、アミジン類あるいはイミダゾール類を用いた場合には12〜13程度、グアニジン類やホスファゼン誘導体を用いた場合には13.5を超えて(いずれも水溶媒中)、非常に塩基性が高く、重合時の反応効率が高い、優れた塩基発生剤として作用する。
【0059】
例えば、エポキシ系化合物等に適用した場合には、塩基が水からプロトンを奪って、水酸化物イオンを発生し、これがエポキシ化合物の連鎖的な重合反応を開始することになるが、水酸化物イオンの発生量は塩基の強度に依存するため、塩基強度が高いほど重合反応効率も高くなる。さらに、例えば、後記するNo.2−1〜No.2−7の塩基反応性化合物は電子吸引性基のα位のプロトンが引き抜かれβ脱離を引き起こし、極性変換が起こる高分子化合物であるが、この時のプロトン引き抜き効率も塩基強度に依存するため、塩基強度が大きいほど脱離反応は起こりやすく、本発明の塩基発生剤を含有した感光性樹脂組成物が、感度の高い感光性樹脂として機能することが期待できる。
【0060】
また、一般に、アミン、アミジン類の塩基性はpKa(共役酸のpKa、アセトニトリル(CH3CN溶媒中)は10(アミン)〜24(アミジン類)であり、この程度の塩基性ではラクトン類や環状シロキサンのアニオン開環重合は起こりにくい一方、塩基発生剤を構成する塩基類としてグアニジン類やホスファゼン誘導体を採用した場合には、pKaが26〜27程度(アセトニトリル(CH3CN)溶媒中)となりアニオン開環重合が起こるため、これを用いるとモノマーが連鎖反応でポリマーに変化する。塩基類としてグアニジン類やホスファゼン誘導体を採用した場合の塩基発生剤は、ラクトン類等に最適な塩基発生剤となり、ラクトン類等に適用して感光性樹脂組成物とした場合には、光硬化材料(UV接着、UVインク、UV粘着、UVコーティングなど)に適用することができる。
【0061】
まず好ましい塩基類としては、下記式(I)で表されるアミジン類、下記式(II)で表されるイミダゾール類といった塩基が挙げられる。
【0062】
【化16】
(式(I)中、nは1〜3の整数を示す。)
【0063】
【化17】
(式(II)中、Rはそれぞれ、独立して水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基(S等のヘテロ原子を含んでもよい。)、またはフェニル基、を示す。)
【0064】
塩基類Bとして使用することができる式(I)で表されるアミジン類としては、例えば、アミジン構造を有する下記式(I−a)に示すジアザビシクロノネン(DBN)や、下記式(I−b)に示すジアザビシクロウンデセン(DBU)等が挙げられる。
【0065】
【化18】
【0066】
【化19】
【0067】
また、塩基類Bとして使用することができる式(II)で表されるイミダゾール類としては、例えば、イミダゾール、下記(II−a)に示す1−メチルイミダゾール、下記(II−b)に示す2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、3A,4,5,6,7,7A−ヘキサヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル メチルスルフィド、2−(4−ブロモフェニル)4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、DL−イソアマリン等が挙げられる(なお、前記したイミダゾール類に存在する炭素数が1〜4のアルキル基には、S等のヘテロ原子を含んでもよい。)。
【0068】
【化20】
【0069】
【化21】
【0070】
塩基類Bとしては、下記式(IV)で表されるグアニジン類、下記式(V)で表されるホスファゼン誘導体といった塩基を使用することもできる。なお、式(IV)におけるR1〜R5、式(V)におけるR1〜R7はそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示すが、アルキル基の炭素数は1〜4と
することが好ましい。
【0071】
【化22】
(式(IV)中、R1〜R5はそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示す。)
【0072】
【化23】
(式(V)中、R1〜R7はそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基
(アルキル基は環状構造でもよい。)を示す。)
【0073】
塩基類Bとして使用することができる式(IV)で表されるグアニジン類としては、例えば、グアニジン構造を有する下記式(IV−a)に示すグアニジンや、下記式(IV−b)示す1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG)、下記式(IV−c)に示す1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン(1,5,7−triaza−bicyclo[4.4.0]dec−5−ene:TBD)、式(IV−d)に示すMTBD、式(IV−e)に示すETBD、式(IV−f)に示すITBD、式(IV−g)に示す式(IV−h)等に示す化合物が挙げられる(式(IV−a)〜式(IV−h)については、プロトン付加体を示す。)。
【0074】
【化24】
【0075】
また、塩基類Bとして使用することができる式(V)で表されるホスファゼン誘導体としては、下記式(V−a)、式(V−b)、式(V−c)、式(V−d)または式(V−e)等に示す化合物が挙げられる(式(V−a)〜式(V−e)については、プロトン付加体を示す。)。
【0076】
【化25】
【0077】
式(X)で表されるカルボン酸化合物を製造するには、式(III)で表されるカルボン酸と、所望の塩基類Bを混合することにより、簡便に製造することができる。なお、過剰のカルボン酸は光照射により分解するので、光照射により発生する塩基を失活させないため、カルボン酸化合物を塩基発生剤として感光性樹脂組成物に適用した場合に、感光性樹脂組成物の安定性を向上させるには、カルボン酸と塩基類Bの混合比(モル比)をカルボン酸が過剰になるようにすることが好ましい。混合比は、カルボン酸/塩基類=1.05/1.0〜2.5/1.0の範囲内でカルボン酸を過剰にすることが好ましく、カルボン酸/塩基類=1.05/1.0〜2.0/1.0とすることがさらに好ましく、カルボン酸/塩基類=1.1/1.0〜1.5/1.0とすることが特に好ましい(後記する式(X−2)のように、塩基類Bに2つのカルボン酸が付加した場合は、前記の比においてカルボン酸が倍となる。)。
【0078】
本発明の塩基発生剤、及び当該塩基発生剤を含有した感光性樹脂組成物における照射光の波長及び露光量の範囲としては、塩基発生剤の種類や量、及び感光性樹脂組成物を構成する塩基反応性化合物の種類等に応じて適宜決定すればよいが、例えば、波長として190〜400nm、露光量として100〜10000mJ/cm2の範囲内から選択して適用すればよく、後記する増感剤を用いることによりさらに高波長域を使用することも可能である。照射光の照射時間は、数秒でも可能な場合もあるが、概ね10秒以上とすればよく、1.5〜20分とすることが好ましい。
【0079】
次に、本発明の感光性樹脂組成物を説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、光の照射によって光環化反応を起こし、遊離のアルカリや塩基を発生する本発明の塩基発生剤と、塩基反応性化合物を必須成分として含有する。
【0080】
本発明の感光性樹脂組成物を構成する塩基反応性化合物は、塩基発生剤及び必要により含有する塩基増殖剤により発生した塩基の作用により反応して、架橋等により硬化する化合物であり、例えば、下記No.2−1〜No.6−4の化合物等を使用することができ、特に、例えば、少なくとも1つのエポキシ基を有するエポキシ系化合物、少なくとも1つのアルコキシシリル基やシラノール基等を有しているケイ素系化合物、オキセタン環を含むオキセタン系化合物(オキセタン系樹脂)等が挙げられる。かかる塩基反応性化合物は、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。また、本発明の塩基発生剤も、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0081】
使用可能なエポキシ系化合物(エポキシ系樹脂)としては、例えば、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フエニルグリシジルエーテル、アルキルフェノールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、脂肪族ジグリシジルエーテル、多官能グリシジルエーテル、3級脂肪酸モノグリシジルエーテル、スピログリコールジグリシジルエーテル、グリシジルプロポキシトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのエポキシ系化合物はハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよく、また、これらのエポキシ系化合物は誘導体も含む。そして、これらのエポキシ系化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0082】
ケイ素系化合物(ケイ素系樹脂)としては、例えば、アルコキシシラン化合物やシランカップリング剤等を使用することができる。アルコキシシラン化合物としては、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。これらのアルコキシシラン化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0083】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラン、アミノシラン等が挙げられる。ビニルシランとして、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。アクリルシランとしては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。エポキシシランとしては、β−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。アミノシランとしては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。その他のシランカップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0084】
オキセタン系化合物(オキセタン系樹脂)としては、単量体のオキセタン系化合物、2量体のオキセタン系化合物等を使用することができる。使用可能なオキセタン系化合物としては、例えば、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン等のキシリレンジオキセタン、3−エチル−3−(((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)メチル)オキセタン(あるいは3−(((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)メチル)−3−エチルオキセタンとも呼ばれる。)、3−エチルヘキシルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、またはオキセタン化フェノールノボラック等が挙げられる。これらのオキセタン系化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0085】
以下、本発明の塩基発生剤を適用した場合のエポキシ系化合物との反応挙動の一例について、(1)第1級アミン及び第2級アミン、(2)第3級アミン、(3)式(I)で表されるアミジン類(スキームではDBU)(及び式(II)で表されるイミダゾール類、式(IV)で表されるグアニジン類、式(V)で表されるやホスファゼン誘導体)のスキームを挙げる。
【0086】
(1)第1級アミン及び第2級アミン:
【化26】
【0087】
(2)第3級アミン:
【化27】
【0088】
(3)アミジン類等:
【化28】
【0089】
以下、塩基反応性化合物の具体例を挙げる。なお、下記No.2−1〜No.2−8の高分子化号物(塩基反応性化合物)のうち、No.2−1〜No.2−5、No.2−8の高分子化合物は、塩基の作用により脱離及び脱炭酸の反応を生じる。一方、No.2−6及びNo.2−7の塩基反応性化合物は、塩基の作用により脱離反応を引き起こし、カルボン酸を生じることになる。
【0090】
【化29】
【0091】
なお、前記した塩基反応性化合物No.2−1〜No.2−8は、いずれも塩基の作用で脱離反応を起こし、極性が変換されるポリマー群であり、分解前後で溶解性が変化することを利用してパターニングを行う材料(レジスト材料)等として適用することができる。分解機構例のスキームを下記スキームA及びスキームBに示す。
【0092】
(スキームA)
【化30】
【0093】
(スキームB)
【化31】
【0094】
また、塩基反応性化合物の他の例を挙げる。なお、下記No.3−1〜No.3−4の塩基反応性化合物のうち、No.3−1の物質(混合物)は塩基の作用により脱水縮合及び架橋の反応を生じる。No.3−2の物質(混合物)は塩基の作用により脱水縮合及び架橋の反応を生じる。No.3−3の物質(ポリマー)は塩基の作用により脱炭酸の反応を生じる。No.3−4の物質は塩基の作用によりイミド形成の反応を生じる。なお、No.3−1及びNo.3−2において、xは0を超えて1以下の数を示す。
【0095】
【化32】
【0096】
本発明の感光性樹脂組成物を構成する塩基反応性化合物は、少なくとも1つのエポキシ基を有するエポキシ系化合物を使用することができる。また、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ系化合物に塩基を作用させることによって、エポキシ系化合物をエポキシ基の開環重合によりポリマーとすることができる。また、エポキシ系化合物に塩基を付加することにより、かかるエポキシ系化合物を化学変性することができる。重合反応性を示すエポキシ系化合物の一例を以下に示す。
【0097】
【化33】
【0098】
また、重合反応性を示すエポキシ系化合物(ポリマー)のその他の例を以下に示す。
【0099】
【化34】
【0100】
また、塩基反応性化合物としては、少なくとも1つのシラノール基またはアルコキシシリル基を有するケイ素系化合物を使用することができる。また、少なくとも2つのシラノール基またはアルコキシシリル基を有するケイ素系化合物に塩基を作用させることによって、かかるケイ素系化合物をシラノール基またはアルコキシシリル基の縮重合によりポリマーとすることができる。重合反応性を示すケイ素系化合物(No.5−2〜No.5−6はポリマー)の具体例を以下に示す。
【0101】
【化35】
【0102】
なお、前記したように、塩基発生剤を構成する塩基類Bとしてグアニジン類やホスファゼン誘導体を採用した場合には、pKaが26〜27程度(アセトニトリル(CH3CN)溶媒中)となりアニオン開環重合が起こるため、これを用いるとモノマーが連鎖反応でポリマーに変化するので、かかる塩基発生剤と、塩基反応性化合物としてラクトン類や環状シロキサンを用いた感光性樹脂組成物は、光硬化材料(UV接着、UVインク、UV粘着、UVコーティングなど)に好適となる。塩基反応性化合物として、式(IV)で表されるグアニジン類、式(V)で表されるホスファゼン誘導体によりアニオン重合可能なラクトン及び環状シロキサンの構造の具体例を以下に示す(No.6−1〜No.6−4)。
【0103】
【化36】
【0104】
本発明の感光性樹脂組成物における塩基発生剤の含有量は、塩基反応性化合物100質量部に対して0.1〜60質量部とすることが好ましい。塩基発生剤の含有量が0.1質量部より少ないと、塩基反応性化合物を迅速に反応させることができなくなる場合がある一方、塩基発生剤の含有量が60質量部を超えると、塩基発生剤の存在が塩基反応性化合物の溶媒に対する溶解性に悪影響を与える場合があり、また、過剰量の塩基発生剤の存在はコスト高に繋がることになる。塩基発生剤の含有量は、塩基反応性化合物100質量部に対して1〜60質量部とすることがなお好ましく、2〜30質量部とすることがさらに好ましく、2〜20質量部とすることがより好ましく、2〜15質量部とすることが特に好ましい。なお、塩基類として式(IV)や式(V)で表される塩基類を用いてラクトン類を重合する場合には、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコールを少量共存させることが好ましく、モノマー(塩基反応性化合物)100質量部に対して塩基発生剤を0.1〜0.5質量部として、アルコールを0.5〜2.0質量部とすることが好ましい。
【0105】
本発明の感光性樹脂組成物は、塩基反応性化合物として、前記したNo.4−1〜No.4−12等の重合反応性を示すエポキシ系化合物(重合性エポキシ系化合物)、あるいは前記したNo.5−1〜No.5−5等の重合反応性を示すケイ素系化合物(重合性ケイ素系化合物)とすることが好ましい。このような感光性樹脂組成物は、光または熱の作用により、重合し、重合体を与えることとなる。中でも、光により重合反応を開始する塩基反応性化合物を含む感光性樹脂組成物とすることが好ましい。
【0106】
また、本発明の感光性樹脂組成物には、さらに、チオール化合物を含有することが好ましい。チオール化合物は、エポキシ系化合物等と併用することにより、エポキシ等の硬化官能基として作用する。チオール化合物としては、チオール基を2個以上有するポリチオール化合物を使用することが好ましく、例えば、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等のチオール基を2〜5個有するポリチオール化合物を挙げることができる。これらのうち反応性等や扱いやすさを考慮して、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)を使用することが好ましい。これらのチオール化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0107】
チオール化合物の使用量は、例えば、エポキシ系化合物やオキセタン系樹脂に対して、チオール当量(SH当量)/エポキシ当量(あるいはオキセタン当量)=0.3/1.7〜1.7/0.3となるようにすることが好ましく、0.8/1.2〜1.2/0.8の比率となるようにすることがより好ましい。この比率が、0.3/1.7〜1.7/0.3の範囲内であれば、未反応のチオール基やエポキシ基(あるいはオキセタン基)が硬化物中に多量に残存することを防止でき、硬化物の機械特性の低下傾向を抑制できる。
【0108】
本発明に係る感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成するには、例えば、当該樹脂組成物を有機溶媒に溶解して塗布液を調製し、調製された塗布液を基板等の適当な固体表面に塗布し、乾燥して塗膜を形成するようにする。そして、形成された塗膜に対して、パターン露光を行って塩基を発生させた後、所定の条件で加熱処理を行って、感光性樹脂組成物に含有される塩基反応性化合物の重合反応を促すようにする。
【0109】
本発明の感光性樹脂組成物は、本発明の塩基発生剤を含有するため、室温でも重合反応は進行するが、重合反応を効率よく進行させるべく、加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理の条件は、露光エネルギー、使用する塩基発生剤から発生する塩基の種類、エポキシ系化合物またはケイ素系化合物等の塩基反応性化合物の種類によって適宜決定すればよいが、加熱温度は50℃〜150℃の範囲内とすることが好ましく、60℃〜130℃の範囲内とすることが特に好ましい。また、加熱時間は10秒〜60分とすることが好ましく、60秒〜30分とすることが特に好ましい。これを露光部と未露光部とで溶解度に差を生じる溶媒中に浸漬して現像を行ってパターンを得ることができる。
【0110】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要により、塩基の作用で増殖的に塩基を発生する塩基増殖剤を含有させることが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物に塩基増殖剤を含有させることにより、当該樹脂組成物の感度をさらに向上させることができる。特に、光が樹脂膜深部に到達しない場合(感光層が厚い場合や多量の染料や顔料を含む場合等。)には、表面層で光化学的に発生した塩基の作用、及び塩基増殖剤による塩基増殖反応が開始されることにより、熱化学的に、かつ連鎖的に塩基が生成するので、膜深部の塩基触媒反応を起こすことが期待できる。使用できる塩基増殖剤としては、特に制限はないが、例えば、特開2000−330270号公報、特開2002−128750号公報や、K.Arimitsu、M.Miyamoto and K.Ichimura,Angew.Chem.Int.Ed.,39,3425(2000)、等に開示される塩基増殖剤が挙げられる。塩基増殖剤の添加量は、使用する塩基発生剤や塩基反応性化合物等により適宜決定すればよいが、感光性樹脂組成物全体に対して1〜40質量%の範囲であることが好ましく、5〜20質量%の範囲内であることが特に好ましい。
【0111】
本発明の感光性樹脂組成物は、感光波長領域を拡大し、感度を高めるべく、増感剤を添加することができる。使用できる増感剤としては、特に限定はないが、例えば、ベンゾフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p’−テトラエチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、アントロン、9−エトキシアントラセン、アントラセン、ピレン、ペリレン、フェノチアジン、ベンジル、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン−T、9,10−ジフェニルアントラセン、9−フルオレノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミド、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、3,3’−カルボニル−ビス(5,7−ジメトキシカルボニルクマリン)またはコロネン等が挙げられる。これらの増感剤は、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0112】
本発明の感光性樹脂組成物において、増感剤の添加量は、使用する塩基発生剤や塩基反応性化合物、及び必要とされる感度等により適宜決定すればよいが、感光性樹脂組成物全体に対して1〜30質量%の範囲であることが好ましい。増感剤が1質量%より少ないと、感度が十分に高められないことがある一方、増感剤が30質量%を超えると、感度を高めるのに過剰となることがある。増感剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体に対して5〜20質量%の範囲であることが特に好ましい。
【0113】
本発明の感光性樹脂組成物を所定の基材に塗布等する場合にあっては、必要により、溶媒を適宜含有するようにしてもよい。感光性樹脂組成物に溶媒を含有させることにより、塗布能力を高めることができ、作業性が良好となる。溶媒としては、特に限定はないが、例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物;シクロヘキサン、シクロヘキセン、ジペンテン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−デカン、イソデカン、テトラヒドロナフタレン、スクワラン等の飽和または不飽和炭化水素化合物;ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソアミル、ステアリン酸ブチル等のエステル類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0114】
本発明の感光性樹脂組成物において、溶媒の含有量は、例えば、所定の基材上に感光性樹脂組成物を塗布し、感光性樹脂組成物による層を形成する際に、均一に塗工されるように適宜選択すればよい。
【0115】
なお、本発明の感光性樹脂組成物には、本発明の目的及び効果を妨げない範囲において、添加剤を適宜添加するようにしてもよい。使用することができる添加剤としては、例えば、充填剤、顔料、染料、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、可塑剤、可塑促進剤、タレ防止剤、硬化促進剤、充填剤等が挙げられ、これらの1種類を単独で用いるようにしてもよく、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0116】
以上説明した本発明の感光性樹脂組成物は、本発明の塩基発生剤と塩基反応性化合物を含有することにより、塩基発生剤から発生する塩基とエポキシ系化合物等との反応が連鎖的に進行し、硬化速度及び反応効率に優れたものとなり、硬化が速やかに実施され、硬化が十分になされる感光性樹脂組成物となる。また、含有される塩基発生剤が、光環化反応により塩基を発生するため、分解物として炭酸ガス(CO2)の発生を伴うこともなく、凸凹のない、製品特性及び製品価値に優れた硬化膜を簡便に提供することができる。かかる効果を奏する本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、高感度の光硬化材料やレジスト材料(パターン形成材料)等に好適に用いることができる。
【0117】
光硬化材料として適用された成形体は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の特性が有効とされる分野の部材等として、例えば、塗料または印刷インキ、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材または建築材料の構成部材として広く用いられ、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材または建築部材等が提供される。また、形成されたパターン等は、耐熱性や絶縁性を備え、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、電子部品、半導体装置、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材または電子部材として有利に使用することができる。
【0118】
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
【0119】
例えば、前記した実施形態では、本発明の塩基発生剤として、式(III)で表されるカルボン酸に1つの塩基類を付加した化合物を例として挙げたが、これには限定されず、本発明の塩基発生剤は、塩基類Bに2つのカルボン酸が付加したものも含まれる。一例として、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(1,4−エチレンピペラジン:DABCO)に式(III−1)のカルボン酸を2つ付加した化合物を下記式(X−2)として示した。
【0120】
【化37】
【0121】
前記した実施形態では、本発明の感光性樹脂組成物を構成する塩基反応性化合物の例として、No.2−1〜No.6−4の化合物を挙げたが、使用することができる塩基反応性化合物はこれらには限定されず、塩基の作用により反応して、架橋等により硬化する任意の化合物を使用することができる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【実施例】
【0122】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に何ら限定されるものではない。
【0123】
[製造例1]
カルボン酸の製造(1):
下記(1)〜(3)の操作を用いて、式(III−1)に示すカルボン酸を製造した。
【0124】
(1)中間体エステル(1)の製造:
二口フラスコにフタルアルデヒド酸4.0g(27×10−3mol)、炭酸カリウム(K2CO3)11.3g、ヨウ化メチル(CH3I)4.1gを入れ、アセトン100mlに溶解させた後、5時間還流した。生成物をろ過し、濃縮、減圧乾燥させ、下記式(H−1)に示した中間体エステル(1)の黄色液体を収量4.0g、収率93%で得た。
【0125】
【化38】
【0126】
(2)中間体エステル(2)の製造:
二口フラスコに式(P)に示すホスホニウム塩10.0g、カリウム ter−ブトキシド((CH3)3COK、t−BuOK)6.0gを入れ、さらにテトラヒドロフラン40mlを入れ、室温で1時間混合・撹拌した。撹拌後、(1)で得られた中間体エステル(1)4.0gとテトラヒドロフラン20mlを入れ、さらに室温で6時間混合・撹拌した。撹拌後、塩酸を入れて反応を停止させ、ジクロロメタンで3回、水で3回抽出した後、酢酸エチルとヘキサンを酢酸エチル/ヘキサン=1/5の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより分離し、下記式(H−2)に示した中間体エステル(2)の黄色液体を収量3.3g、収率77%で得た。
【0127】
【化39】
【0128】
【化40】
【0129】
(3)カルボン酸(1)の製造:
二口フラスコに(2)で得られた中間体エステル(2)3.3gと、水とメタノールが水/メタノール=1/3で混合された混合溶液60mlを入れた。また、バイアルに水酸化カリウム(KOH)4.0gと、水とメタノールが水/メタノール=1/3で混合された混合溶液40mlを入れ、これを二口フラスコに入れた後、6時間還流した。還流後、塩酸を入れて反応を停止させ、ジクロロメタンで3回、水で3回抽出した後、酢酸エチルとヘキサンを酢酸エチル/ヘキサン=2/1の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより分離し、式(III−1)で表されるカルボン酸の白色固体を収量1.2g、全収率28%で得た。
【0130】
[製造例2]
カルボン酸の製造(2):
下記(1)、(2)の操作を用いて、式(III−2)に示すカルボン酸を製造した。
【0131】
(1)中間体エステル(3)の製造:
二口フラスコに式(P)に示すホスホニウム塩12g(0.033mol)、カリウム ter−ブトキシド((CH3)3COK、t−BuOK)3.7g(0.033mol)、を入れ、さらにテトラヒドロフラン40mlを入れ、室温で6時間混合・撹拌した。撹拌後、下記式(Q)に示すメチル 2−ホルミル−3,5−ジメチルオキシベンゾエート5.0g(0.022mol)とテトラヒドロフラン20mlを入れ、12時間環流撹拌した後、塩酸を入れて反応を停止させ、ジクロロメタンで3回、水で3回抽出した後、酢酸エチルとヘキサンを酢酸エチル/ヘキサン=1/7の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより分離し、下記式(H−3)に示したジメトキシ中間体エステルを粗収量0.81g、粗収率16%で得た。
【0132】
【化41】
【0133】
【化42】
【0134】
(2)カルボン酸(2)の製造:
二口フラスコに(1)で得られたメトキシ中間体エステル0.81gと、水とメタノールが水/メタノール=1/3で混合された混合溶液60mlを入れた。また、バイアルに水酸化カリウム(KOH)2.0g(中間体エステルの5倍mol)と、水とメタノールが水/メタノール=1/3で混合された混合溶液40mlを入れ、これを二口フラスコに入れた後、4時間還流した。還流後、塩酸を入れて反応を停止させ、ジクロロメタンで3回、水で3回抽出した後、酢酸エチルとヘキサンを酢酸エチル/ヘキサン=1/5の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより分離し、式(III−2)で表されるカルボン酸の褐色固体を収量0.51g、全収率14%で得た。
【0135】
[実施例1]
塩基発生剤の製造(1):
前記の方法で得られた式(III−1)に示したカルボン酸0.30g(1.8×10−3mol)と、塩基であり式(IV−c)で示した1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン(TBD)0.12g(0.8×10−3mol)をジメチルエーテルに入れて混合し、室温で1時間反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、下記式(X−1)で表される本発明の塩基発生剤の白色固体を収量0.18g、収率69%で得た。
【0136】
【化43】
【0137】
[実施例2]
塩基発生剤の製造(2):
前記の方法で得られた式(III−1)に示したカルボン酸0.60g(3.6×10−3mol)と、塩基であり下記式(B−1)で示したDABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン/1,4−エチレンピペラジン)0.10g(0.8×10−3mol)をジメチルエーテルに入れて混合し、室温で3時間反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、上記式(X−2)で表される本発明の塩基発生剤の無色粘性液体を収量0.11g、収率28%で得た。
【0138】
【化44】
【0139】
[実施例3]
塩基発生剤の製造(3):
前記の方法で得られた式(III−1)に示したカルボン酸0.20g(1.2×10−
3mol)と、塩基であり式(I−b)で示したジアザビシクロウンデセン(DBU)0
.15g(0.98×10−3mol)をジメチルエーテルに入れて混合し、室温で1時
間反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、下記式(X−3)で表される本発明の塩基発
生剤の無色粘性液体を収量0.25g、収率61%で得た。
【0140】
【化45】
【0141】
[実施例4]
塩基発生剤の製造(4):
前記の方法で得られた式(III−2)に示したカルボン酸0.05g(0.22×10−3mol)と、塩基であり式(IV−c)で示した1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン(TBD)0.03g(0.21×10−3mol)をエタノールに入れて混合し、室温で3時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、下記式(X−4)で表される本発明の塩基発生剤の淡褐色固体を収量0.023g、収率23%で得た。
【0142】
【化46】
【0143】
光分解挙動の確認(UVスペクトル測定):
実施例1ないし実施例4で得られた塩基発生剤について、溶媒としてメタノールを用いて、下記の測定法を用いて光分解挙動の確認を行った。
【0144】
(測定方法)
表1に濃度を示した実施例1ないし実施例4の塩基発生剤のメタノール溶液に波長が254nmの光を照射し、紫外可視分光光度計(MultiSpec−1500/(株)島津製作所製)を用いてUVスペクトルの経時変化を確認した。結果を図1(実施例1)、図2(実施例2)、図3(実施例3)及び図4(実施例4)に示す。
【0145】
(メタノール溶液の濃度)
【表1】
【0146】
また、254nmにおけるモル吸光係数(ε254)(l/cm・mol)及び最大吸収波長λmax(nm)を表2に示す。
【0147】
(モル吸光係数と最大吸光係数)
【表2】
【0148】
図1ないし図4に示すように、実施例1ないし実施例4で得られた本発明の塩基発生剤は、光照射の露光量に伴って吸収が変化して、光分解挙動が確認できた。
【0149】
図5は、実施例1及び実施例4で得られた塩基発生剤の光分解挙動を比較した図である。図5に示すように、実施例4の塩基発生剤は実施例1の塩基発生剤と比較してピークが長波長側にあり、実施例4の塩基発生剤の光分解挙動は実施例1の塩基発生剤より速いことが確認できた。この差は式(III−1)及び式(III−2)に示したカルボン酸の構造の違いによるものと考えられる。
【0150】
溶液中での光環化の確認:
石英セルに実施例1で得られた塩基発生剤0.07gと分光用のメタノールを入れ、撹拌混合した後、254nmの単色光を、露光量を50000mJ/cm2として照射した。照射後、カラムクロマトグラフィーにより光環化体を単離し、1H−NMR測定及びMass−スペクトル測定を行った。1H−NMRの結果を下記に示すが、この結果より、溶液中で光環化反応が行われ、また、炭酸ガス(CO2)が発生していないことが確認できた。
【0151】
(1H−NMRの結果)
1H−NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)1.5(d,3H,−CH3)、2.9(m,2H,−CH2−)、4.7(m,1H,−CH−)、7.5(m,3H,Ar−H)、8.1(d,1H,Ar−H)
【0152】
また、Mass−スペクトル測定によるESI+の結果では、理論値が185.05785に対して実測値は185.05561とほぼ一致した。
【0153】
光照射による塩基発生能の確認:
実施例1で得られた塩基発生剤を2ml(8.9×10−3mol/L)に調製したメタノール溶液を石英セルに入れ、波長254nm光を所定量照射して光分解させた後、この溶液にあらかじめ4.9×10−5mol/Lに調整しておいたフェノールレッド溶液を2mL加えた場合におけるUVスペクトルを測定した。結果を図6に示す。
【0154】
図6はUVスペクトル変化を示した図である。図6に示すように、実施例1で得られた塩基発生剤は、露光量が増えるにつれて、424nm付近の吸収が減少し、562nm付近の吸収が増大していることより、塩基発生剤に光照射することにより遊離の塩基が発生していることが確認できた。
【0155】
光環化反応と塩基発生の確認:
撹拌子が入った石英セルに実施例1で得られた塩基発生剤を0.07g、分光用のメタノールを4ml入れ、撹拌子で撹拌した後、波長が254nmの光を露光量を50000mJ/cm2として照射した後、1H−NMRで測定して光環化の確認をした。結果を図7に示す。
【0156】
図7は1H−NMRスペクトルを示した図である。図7に示すように、露光前に存在したHN+基のピークが消え、環化生成物の芳香族環由来のピークが7.5ppm、8.1ppmに、メチン基由来のピークが4.7ppmに、メチレン基由来のピークが2.9ppmに、メチル基由来のピークが1.5ppmにそれぞれ確認でき、炭酸ガスの発生を伴わない光環化が起こっていることが確認できた。
【0157】
ポリスチレン中での光分解挙動の確認:
ポリスチレン(Aldroch社製,Mw=28000)0.1gに対して、実施例1で得られた塩基発生剤0.03g(ポリスチレン100質量部に対して30質量部)を含有させることにより感光性樹脂組成物とした。かかる感光性樹脂組成物を、クロロホルムに溶解させて試料溶液とし、この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、膜を作製した。この膜に254nmの単色光を、露光量を0、8000、16000、24000、36000mJ/cm2として照射し、反応をFT−IRで反応追跡した。
【0158】
文献値からは、環状エステル由来のピーク(VC=O)=1720cm−1であり、COO−由来のピーク(VCOO−)=1374cm−1である。1720cm−1における露光量とピーク面積比の増加率の関係を図8に、1374cm−1における露光量とピーク面積比の減少率の関係を図9にそれぞれ示す。なお、ピーク面積比の増加率及び減少率は、露光量=0mJ/cm2の面積を基準にして算出した。
【0159】
図8に示すように、1720cm−1にあっては露光量が大きくなるに従ってピーク面積比が増加し、炭酸ガスの発生を伴わない光環化が起こっていることが確認できた。これは、図9に示すように、1374cm−1において露光量が大きくなるに従ってピーク面積比が減少することからも明らかである。
【0160】
[実施例5]
感光性樹脂組成物の製造(1):
式(No.4−12)に表されるエポキシ系化合物であるポリグリシジルメタクリレート(PGMA,MW=61000、MW/Mn=2.2)0.1gに対して、実施例1で得られた塩基発生剤を0.0050g(実施例5−1)、0.010g(実施例5−2)、0.015g(実施例5−3)(順に、PGMA100質量部に対して5.0、10.0、15.0質量部)(PGMAのモノマーユニットに対して1.6、3.2、4.8mol%)含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
【0161】
[実施例6]
感光性樹脂組成物の製造(2):
式(No.4−12)に表されるエポキシ系化合物であるポリグリシジルメタクリレート(PGMA,MW=15000、MW/Mn=2.2)0.2gに対して、実施例2で得られた塩基発生剤を0.0030g(実施例6−1)、0.0062g(実施例6−2)、0.012g(実施例6−3)(順に、PGMA100質量部に対して1.5、3.0、6.0質量部)(PGMAのモノマーユニットに対して0.5、1.0、2.0mol%)含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
【0162】
[実施例7]
感光性樹脂組成物の製造(3):
式(No.4−12)に表されるエポキシ系化合物であるポリグリシジルメタクリレート(PGMA,MW=15000、MW/Mn=2.2)0.2gに対して、実施例3で得られた塩基発生剤を0.0022g(実施例7−1)、0.0044g(実施例7−2)、0.0088g(実施例7−3)(順に、PGMA100質量部に対して1.14、2.2、4.4質量部)(PGMAのモノマーユニットに対して0.5、1.0、2.0mol%)含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
【0163】
[試験例1]
光不溶化挙動の確認(1)(加熱温度依存性):
実施例5−2で得られた感光性樹脂組成物を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を70℃として15分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、ポストベイクの温度を80℃に変化させて実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図10(A)に示す。図10(A)に示すように、加熱温度を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0164】
[試験例2]
光不溶化挙動の確認(2)(添加量依存性):
実施例5−1で得られた感光性樹脂組成物(PGMAのモノマーユニットに対して1.6mol%のもの)を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を80℃として15分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、実施例5−2(同様に3.2mol%のもの)で得られた感光性樹脂組成物に対して実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図10(B)に示す。図10(B)に示すように、塩基発生剤の添加量を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0165】
[試験例3]
光不溶化挙動の確認(3)(加熱時間依存性):
実施例5−1で得られた感光性樹脂組成物を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ約0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を80℃として10分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、ポストベイクの時間を15分間、及び20分間に変化させて実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図10(C)に示す。図10(C)に示すように、加熱時間を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0166】
[試験例4]
光不溶化挙動の確認(4)(加熱温度依存性):
実施例6−2で得られた感光性樹脂組成物を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を80℃として30分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、ポストベイクの温度を100℃に変化させて実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図11(A)に示す。図11(A)に示すように、加熱温度を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0167】
[試験例5]
光不溶化挙動の確認(4)(添加量依存性):
実施例6−1で得られた感光性樹脂組成物(PGMAのモノマーユニットに対して0.5mol%のもの)を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を100℃として30分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定し、露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図11(B)に示す。図11(B)に示すように、実施例6−1の感光性樹脂組成物は、光不溶化挙動を示すことが確認できた。
【0168】
[試験例6]
光不溶化挙動の確認(6)(加熱時間依存性):
実施例6−1で得られた感光性樹脂組成物を1.5gのクロロホルムに溶解させた。こ
の試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレ
ート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ約0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を100℃として15分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、ポストベイクの時間を30分間、及び45分間に変化させて実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図11(C)に示す。図11(C)に示すように、加熱時間を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0169】
[試験例7]
光不溶化挙動の確認(7)(加熱温度依存性):
実施例7−2で得られた感光性樹脂組成物を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を80℃として15分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、ポストベイクの温度を100℃に変化させて実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図12(A)に示す。図12(A)に示すように、加熱温度を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0170】
[試験例8]
光不溶化挙動の確認(8)(添加量依存性):
実施例7−1で得られた感光性樹脂組成物(PGMAのモノマーユニットに対して1.6mol%のもの)を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を100℃として15分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、実施例7−2(同様に1.0mol%のもの)に対して実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線:加熱温度依存性)を作成した。得られた感度曲線を図12(B)に示す。図12(B)に示すように、塩基発生剤の添加量を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0171】
[試験例9]
光不溶化挙動の確認(9)(加熱時間依存性):
実施例7−2で得られた感光性樹脂組成物を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ約0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を100℃として5分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、ポストベイクの時間を15分間に変化させて実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図12(C)に示す。図12(C)に示すように、加熱時間を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0172】
[試験例10]
塩基発生剤の比較:
実施例6−1及び実施例7−1で得られた感光性樹脂組成物をそれぞれ1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ約0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を100℃として30分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。結果を図13に示す。
【0173】
図13は、実施例6−1及び実施例7−1で得られた感光性樹脂組成物の感度評価結果を比較した図である。同じ製膜条件で比較した場合、実施例6−1の方が少ない露光量で不溶化挙動を示し、残像率が高くなることが確認できた。
【0174】
[試験例11]
感光性樹脂組成物の光不溶化挙動の確認:
実施例6−2で得られた感光性樹脂組成物について、1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ約0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、露光量を8000mJ/cm2として照射し、ポストベイクの温度を100℃として、15、30、60分間加熱し、反応をFT−IRで反応追跡した。
【0175】
文献値からは、エポキシ基由来のピーク=907cm−1である。907cm−1における加熱時間とピーク面積比の減少率の関係を図14に示す。なお、ピーク面積比の減少率は、加熱時間=0分の面積を1として算出した。
【0176】
図14に示すように、加熱時間が長くなるに従って、907cm−1におけるピーク面積比は減少している。これは、エポキシ基と、光照射により発生する塩基が反応することにより、エポキシ基が硬化して不溶化していることが確認できた。
【0177】
なお、[試験例1]〜[試験例11]、及び後記する試験例([試験例14]も参照)で評価した、実施例に係る膜については、露光した場合における炭酸ガス発生による凸凹も見られなかった。
【0178】
[製造例3]
カルボン酸の製造(3):
下記(1)、(2)の操作を用いて、式(III−3)に示すカルボン酸を製造した。
【0179】
(1)中間体(1)の製造:
ナスフラスコにアセトニトリル(CH3CN)50ml、下記式(R)に示す7−メトキシ−1−テトラロン8.0g(454mmol)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)9.6g(542mmol)を入れ、遮光した状態で30時間混合・撹拌した。撹拌後、チオ硫酸ナトリウム水溶液で抽出した後、酢酸エチルとヘキサンを酢酸エチル/ヘキサン=1/7の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより分離し、下記式(H−4)に示す中間体(1)の黄色固体を収量7.7g、収率67%で得た。
【0180】
【化47】
【0181】
【化48】
【0182】
(2)中間体(2)の製造:
二口フラスコに式(P)に示すホスホニウム塩8.7g(234mmol)、カリウム ter−ブトキシド((CH3)3COK、t−BuOK)2.0g(178mmol)を入れ、さらにテトラヒドロフラン40mlを入れ、室温で6時間混合・撹拌した。撹拌後、(1)で得られた式(H−4)で示す中間体4.7g(185mmol)とテトラヒドロフラン20mlを入れ、室温で24時間撹拌した後、塩酸を入れて反応を停止させ、ジクロロメタンで3回抽出した後、酢酸エチルとヘキサンを酢酸エチル/ヘキサン=1/5の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより分離し、下記式(H−5)に示した中間体(2)を収量2.69g、収率54%で得た。
【0183】
【化49】
【0184】
(3)カルボン酸の製造:
四つ口フラスコにマグネシウム(Mg)0.34g(0.014mol)とテトラヒドロフラン40mlを入れ、室温で10分混合・撹拌した。撹拌後、この四つ口フラスコにテトラヒドロフラン20mlに入れた(2)で得られた、式(H−5)に示す中間体(2)2.69g(0.010mol)を、室温、窒素雰囲気下で滴下した後、1時間加熱環流した。また、ビーカーにドライアイスと加熱環流後の反応液を入れ、ドライアイスが溶けるまで放置した後、塩酸を入れて反応を停止させ、ジクロロメタンで3回抽出した後、酢酸エチルとヘキサンを酢酸エチル/ヘキサン=1/5の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより分離し、式(III−3)で表されるカルボン酸の黄色固体を収量0.859g、収率37%で得た。
【0185】
[実施例8]
塩基発生剤の製造(5):
前記の方法で得られた式(III−3)に示したカルボン酸0.25g(1.05mmol)と、塩基であり式(IV−c)で示した1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン(TBD)0.14g(1.00mmol)をエーテル50mlに入れて混合し、室温で1時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、下記式(X−5)で表される本発明の塩基発生剤の黄色固体を収量0.31g(0.82mmol)、収率80%で得た。
【0186】
【化50】
【0187】
(分解点の測定)
実施例1、実施例4及び実施例8で得られた塩基発生剤について、示差熱熱重量同時測定装置(Tg−DTA)により分解点(熱分解温度)を測定した。結果を表3に示す。表3に示すように、式(III−3)に示したカルボン酸を用いた実施例8に示す塩基発生剤は、320℃と高い分解点を示した。なお、いずれの塩基発生剤の分解点は200℃以上であったが、感光性ポリイミドなどの高温加熱(200℃前後)を必要とする感光性樹脂組成物には、分解点が200℃を超える本発明に係る塩基発生剤は好適である。
【0188】
(分解点)
【表3】
【0189】
光分解挙動の確認(UVスペクトル測定):
実施例8で得られた塩基発生剤について、溶媒としてメタノールを用いて、下記の測定法を用いて光分解挙動の確認を行った。
【0190】
(測定方法)
6.0×10−5mol/lとした実施例8の塩基発生剤のメタノール溶液に波長が254nm及び313nmの光を照射し、紫外可視分光光度計(MultiSpec−1500/(株)島津製作所製)を用いてUVスペクトルの経時変化を確認した。結果を図15(254nm)及び図16(313nm)に示す。図15及び図16に示すように、実施例8で得られた本発明の塩基発生剤は、光照射の露光量に伴って吸収が変化して、光分解挙動が確認できた。なお、図15及び図16に表される315nm付近のピークは、環化反応を起こすときに発生するピークであり、実施例8の塩基発生剤は露光により光環化反応が行われていることが確認できた。
【0191】
また、図17は実施例8の塩基発生剤と、式(III−2)に示すカルボン酸とシクロヘキシルアミンからなる下記式(X−6)で表されるシクロヘキシルアミン塩(実施例X)に関し、それぞれ濃度を6.0×10−5mol/lとしたメタノール溶液に254nmの光を照射し、露光量を、実施例8について0、10、20、40、80、160、320、640mJ/cm2、実施例Xについて0、150、300、600、1200mJ/cm2とするとともに、実施例8については315nm、実施例Xについては318nmにおけるピークの強度を確認した結果(露光量とピーク強度の関係)を示した図である。図17に示すように、両者とも光分解挙動が起こるが、実施例8の塩基発生剤については、比較的小さい(320mJ/cm2程度)露光量で光環化反応がほぼ完結することが確認できた。
【0192】
【化51】
【0193】
[実施例9]
感光性樹脂組成物の製造(4):
式(No.5−6)に表されるケイ素系化合物であるポリメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(PMAS,MW=14000、MW/Mn=1.67)0.1gに対して、実施例1で得られた塩基発生剤を0.0050g(PMAS100質量部に対して5.0質量部)(PMASのモノマーユニットに対して4.0mol%)含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
【0194】
[実施例10]
感光性樹脂組成物の製造(5):
式(No.5−6)に表されるケイ素系化合物であるポリメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(PMAS,MW=14000、MW/Mn=1.67)0.1gに対して、実施例4で得られた塩基発生剤を0.0064g(PMAS100質量部に対して6.4質量部)(PMASのモノマーユニットに対して4.0mol%)含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
【0195】
[実施例11]
感光性樹脂組成物の製造(6):
式(No.5−6)に表されるケイ素系化合物であるポリメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(PMAS,MW=14000、MW/Mn=1.67)0.1gに対して、実施例8で得られた塩基発生剤を0.0062g(PMAS100質量部に対して6.2質量部)(PMASのモノマーユニットに対して4.0mol%)含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
【0196】
[試験例12]
硬化試験(加熱温度依存性)
実施例9、実施例10、実施例11で得られた感光性樹脂組成物を1.0mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、50℃で1分間加熱してプリベイクし、厚さ14μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、1000及び10000mJ/cm2として、室温、50℃、70℃で30分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行い、比較・評価した。結果を図18(実施例9)、図19(実施例10)、図20(実施例11)に示す。
【0197】
図18ないし図20は、試験例12における露光量と鉛筆硬度との関係を示した図であり、露光量を大きくし、加熱温度を高くするに従って硬化が進行することが確認できた。また、実施例11の感光性樹脂組成物は、感度が良好であり、他のものより小さい露光量ないし低い温度で硬化する傾向が見られ、最高硬度として4Hのものが得られた(加熱温度 50℃及び70℃、露光量 10000mJ/cm2)。
【0198】
[試験例13]
硬化試験(加熱時間依存性)
実施例9、実施例10、実施例11で得られた感光性樹脂組成物を1.0mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、50℃で1分間加熱してプリベイクし、厚さ14μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、1000及び10000mJ/cm2として、50℃で15分、30分、60分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行い、比較・評価した。結果を図21(実施例9)、図22(実施例10)、図23(実施例11)に示す。また、加熱時間を60分としたものについて、実施例9、実施例10、実施例11の結果を比較したものをあわせて図24に示す。
【0199】
図21ないし図23は、試験例13における露光量と鉛筆硬度との関係を示した図であり、また、図24は、実施例9ないし実施例11で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を比較した図である。露光量を大きくし、加熱時間を長くするに従って硬化が進行することが確認できた。また、実施例11の感光性樹脂組成物は、感度が良好であり、他のものより小さい露光量(特に図24参照)ないし短い加熱時間で硬化する傾向が見られ、最高硬度として4Hのものが得られた(露光量 10000mJ/cm2)。
【0200】
[実施例12]
感光性樹脂組成物の製造(7):
式(No.5−6)に表されるケイ素系化合物であるポリメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(PMAS,MW=14000、MW/Mn=1.67)0.2gに対して、実施例8で得られた塩基発生剤を0.01g(PMAS100質量部に対して5質量部)含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
【0201】
[参考例1]
感光性樹脂組成物の製造(8):
(1)塩基発生剤の製造:
カルボン酸としてケトプロフェン2.0g(7.9mmol)と、塩基であり式(IV−c)で示した1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン(TBD)1.1g(7.9mmol)を溶媒としてテトラヒドロフランに入れて混合し、室温で1時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、エーテルを加えて攪拌後、デカンテーションを行い、未反応のケトプロフェンとTBDを除去した。除去した後、減圧乾燥を行い、下記式(Y)で表される塩基発生剤の白色固体を収量1.8g、収率58%で得た。
【0202】
【化52】
【0203】
(2)感光性樹脂組成物の製造:
式(No.5−6)に表されるケイ素系化合物であるポリメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(PMAS,MW=14000、MW/Mn=1.67)0.2gに対して、(1)により得られた塩基発生剤を0.01g(PMAS100質量部に対して5質量部)含有させることにより感光性樹脂組成物を得た。
【0204】
[試験例14]
炭酸ガス発生の有無の確認:
実施例12及び参考例1で得られた感光性樹脂組成物を0.5mlのメタノールに溶解させて試料溶液とした。この試料溶液を3分間減圧乾燥して溶媒(メタノール)をできる限り飛ばした後、ガラス基板上にバーコートして製膜した。製膜後、上方から石英ガラスで挟み、クリップで固定した状態で、露光量を0(ブランク)、1000及び10000mJ/cm2として、Hg−Xeランプ(フィルターなし)で露光後、50℃×30分間加熱を行い、膜を目視で観察して、炭酸ガスの発生の有無を確認した。また、製膜したものについては、同様な露光・加熱条件における鉛筆硬度を測定し、照射時間に対応する鉛筆硬度を確認した。結果を表4に示す。
【0205】
(結果)
【表4】
【0206】
表4に示すように、カルボン酸としてケトプロフェンを用いた参考例1の塩基発生剤については、露光量を1000、10000mJ/cm2とすると炭酸ガスが発生する。一方、実施例12の塩基発生剤では、同様な露光量であっても炭酸ガスを発生せず、2H、3Hの鉛筆硬度を呈することが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明は、高感度の光硬化材料やレジスト材料(パターン形成材料)等を提供する感光
性樹脂材料として有利に使用することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボン酸化合物、塩基発生剤及び当該塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、光等の活性エネルギー線によって塩基を発生するカルボン酸化合物、塩基発生剤及び当該塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光の照射によって酸を発生する酸発生剤を含有する感光性樹脂組成物が、フォトレジスト材料や光硬化材料等として適用されている。酸発生剤から発生した酸は、触媒や重合開始剤として作用し、また、酸発生剤等を含有した感光性樹脂組成物をフォトレジスト材料として用いてパターンを形成する場合には、例えば酸発生剤に光を照射して触媒等となる強酸を発生させ、樹脂成分を化学変性させる。そして、化学変性された樹脂成分の溶解性の変化により、パターンを形成するようにする。
【0003】
かかるフォトレジスト材料は、解像度及び感度が高いこと、さらには耐エッチング性が高いパターンを形成し得ることが求められており、特に、深紫外線レジスト材料として、酸素プラズマエッチングに耐性を持つパターンを形成し得る材料が求められている。酸発生剤を含有する感光性樹脂組成物からなるフォトレジスト材料は、高感度・高解像性等を目指して、種々のものが提供されているが、光酸発生剤と樹脂材料の組み合わせの種類はある程度限定されてしまうため、酸発生剤を使用しない新たな感光システムが求められていた。
【0004】
加えて、モノマー、オリゴマー、あるいはポリマーの光硬化速度を向上させるために様々な検討がなされており、光の作用で発生するラジカル種を開始剤として、多数のビニルモノマーを重合させるラジカル光重合系の材料が広く開発の対象とされてきた。また、光の作用で酸を発生させ、この酸を触媒とするカチオン重合系の材料も盛んに研究されていた。しかしながら、ラジカル光重合系の材料の場合には、空気中の酸素によって重合反応が阻害され硬化反応が抑制されるので、酸素遮断のための特別な工夫が必要とされていた。また、カチオン重合系の材料の場合には、ラジカル光重合系の材料のような酸素阻害がない一方、光酸発生剤から発生した強酸が硬化後も残存するために、当該強酸の存在を原因とする腐食性や樹脂の変性の可能性が問題とされていた。
【0005】
このような背景から、解像度及び感度が高く、耐エッチング性が高いパターンを形成できるレジスト材料を得るために、また、活性エネルギー線を利用して液状物を迅速に固化させる硬化技術をいっそう高性能化するために、空気中の酸素による阻害効果を受けず、生成する強酸のような腐食性物質を含まず高効率で反応が進行する、新たな感光システムを用いた感光性樹脂組成物が強く望まれていた。
【0006】
前記の問題を克服する手段の1つとして、塩基触媒による重合反応や化学反応を用いる方法、例えば、光の作用によって塩基を発生させ、これを触媒として樹脂を化学変性させる方法を用いて、光によって発生する塩基を触媒とする感光性樹脂組成物をフォトレジスト材料や光硬化材料等へ応用する手段が検討されている。そして、エポキシ基を有する化合物は塩基の作用によって架橋反応を起こして硬化することを利用して、光や熱の作用で開始剤あるいは触媒としてのアミン類をエポキシ樹脂層内で発生させ、次いで加熱処理によって硬化させる方法が提供されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。)
。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−264156号公報
【特許文献2】特開2007−101685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来提供されている方法にあっては、光の作用で塩基を発生する反応が迅速に行われない等の問題があるため実用性に乏しく、改善が求められていた。加えて、従来の塩基発生剤は、塩基を発生する際に分解物として炭酸ガス(CO2)の発生を伴っていたが、かかる炭酸ガスは、感光性樹脂組成物を製膜した場合にあっては気泡となり、硬化膜に凸凹を生じさせる原因となっていた。ここで、感光性樹脂組成物を製膜した場合において、硬化膜中に気泡が残ると硬化膜の強度を低下させることになり、また、接着剤として用いる場合には接着強度を低下させる、封止材やコーティング材に用いる場合には水や塩基物質等空気中の不純物に対するバリア性が低下する等の問題が生じるため、好ましくなかった。
【0009】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、例えば、エポキシ系化合物等の架橋反応に用いることができ、エポキシ系化合物等に適用した場合には、塩基発生反応が連鎖的に行われるため反応効率が良好であるとともに、塩基発生時に炭酸ガスの発生もないカルボン酸化合物、塩基発生剤及び当該塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するために、本発明に係るカルボン酸化合物は、カルボン酸と塩基類からなるカルボン酸化合物であって、下記式(X)で表されることを特徴とする。
【0011】
【化1】
(式(X)中、R1、R2、R3はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、または有機基を示し、同一であっても異なっていてもよい。R1、R2、R3は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。R4、R5、R6、R7はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アルコキシ基、アミド基または有機基を示し、同一であっても異なっていてもよい。R4、R5、R6、R7は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、Bは塩基としてはたらく塩基類、を示す。)
【0012】
本発明に係るカルボン酸化合物は、前記した本発明において、下記式(X’)からなることを特徴とする。
【0013】
【化2】
(式(X’)中、R1、R2、R4、R5、R6は前記式(X)に示した基と同じであり、また、R1、R2は、結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。R4、R5、R6は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、nは0〜6の整数を示す。)
【0014】
本発明に係る塩基発生剤は、前記した本発明に係るカルボン酸化合物からなることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る塩基発生剤は、前記した本発明において、前記塩基類が下記式(I)、式(II)、式(IV)及び式(V)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
【0016】
【化3】
(式(I)中、nは1〜3の整数を示す。)
【0017】
【化4】
(式(II)中、Rはそれぞれ、独立して水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基(S等のヘテロ原子を含んでもよい。)、またはフェニル基、を示す。)
【0018】
【化5】
(式(IV)中、R1〜R5はそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示す。)
【0019】
【化6】
(式(V)中、R1〜R7はそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示す。)
【0020】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記した本発明に係る塩基発生剤と、塩基反応性化合物とを含有することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記した本発明において、前記塩基反応性化合物がエポキシ系化合物、ケイ素系化合物及びオキセタン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記した本発明において、さらに、チオール化合物を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るカルボン酸化合物は、光の照射によりカルボン酸が光環化反応を起こして塩基が発生し、塩基発生時に炭酸ガスの発生もないカルボン酸化合物となる。
【0024】
また、かかるカルボン酸化合物からなる本発明に係る塩基発生剤は、エポキシ系化合物等の塩基反応性化合物に適用した場合には、塩基発生反応が連鎖的に行われるため反応効率が良好であるとともに、光の照射によりカルボン酸が光環化反応を起こして塩基が発生するため、塩基発生時に炭酸ガスの発生を伴わない塩基発生剤として作用する。
【0025】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、本発明の塩基発生剤と、塩基反応性化合物とを含有するので、塩基発生剤から発生する塩基とエポキシ系化合物等との反応が連鎖的に進行し、優れた反応効率を備えるため、硬化が十分になされる。加えて、添加される塩基発生剤が塩基発生時に炭酸ガスの発生を伴わないため、硬化膜に炭酸ガスの気泡による凸凹を生じさせることもなく、製品特性及び製品価値の高い硬化膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1で得られた塩基発生剤の光分解挙動(波長:254nm)を示した図である。
【図2】実施例2で得られた塩基発生剤の光分解挙動(波長:254nm)を示した図である。
【図3】実施例3で得られた塩基発生剤の光分解挙動(波長:254nm)を示した図である。
【図4】実施例4で得られた塩基発生剤の光分解挙動(波長:254nm)を示した図である。
【図5】実施例1及び実施例4で得られた塩基発生剤の光分解挙動を比較した図である。
【図6】実施例1で得られた塩基発生剤のUVスペクトル変化を示した図である。
【図7】実施例1で得られた塩基発生剤の1H−NMRスペクトルを示した図である。
【図8】1720cm−1における露光量とピーク面積比の増加率の関係を示した図である。
【図9】1374cm−1における露光量とピーク面積比の減少率の関係を示した図である。
【図10】実施例5で得られた感光性樹脂組成物の感度評価結果(露光量と残膜率との関係)を示した図である。
【図11】実施例6で得られた感光性樹脂組成物の感度評価結果(露光量と残膜率との関係)を示した図である。
【図12】実施例7で得られた感光性樹脂組成物の感度評価結果(露光量と残膜率との関係)を示した図である。
【図13】実施例6−1及び実施例7−1で得られた感光性樹脂組成物の感度評価結果を比較した図である。
【図14】907cm−1における加熱時間とピーク面積比の減少率の関係を示した図である。
【図15】実施例8で得られた塩基発生剤の光分解挙動(波長:254nm)を示した図である。
【図16】実施例8で得られた塩基発生剤の光分解挙動(波長:313nm)を示した図である。
【図17】露光量とピーク強度の関係を示した図である。
【図18】試験例12において、実施例9で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を示した図である。
【図19】試験例12において、実施例10で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を示した図である。
【図20】試験例12において、実施例11で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を示した図である。
【図21】試験例13において、実施例9で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を示した図である。
【図22】試験例13において、実施例10で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を示した図である。
【図23】試験例13において、実施例11で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を示した図である。
【図24】試験例13において、実施例9ないし実施例11で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一態様を説明する。本発明に係るカルボン酸化合物は、下記式(X)で表され、式(III)で表されるカルボン酸と、塩基としてはたらく塩基類Bからなるカルボン酸塩である。
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
式(X)で表されるカルボン酸化合物(式(III)で表されるカルボン酸塩)について、R1、R2、R3はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、または有機基を示し、同一であっても異なっていてもよい。R1、R2、R3は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。また、R4、R5、R6、R7はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アルコキシ基、アミド基または有機基を示し、同一であっても異なっていてもよい。R4、R5、R6、R7は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。そして、Bは塩基としてはたらく塩基類、を示している。
【0031】
なお、式(X)あるいは式(III)を構成するカルボン酸における下記芳香環は、ベンゼン環以外に、ナフタレン、アントラセン、ピレンなどの多環式芳香族環でもよく、その中の芳香族環がヘテロ原子を含む複素環式芳香族環でもよい。
【0032】
【化9】
【0033】
かかるカルボン酸化合物は、カルボン酸との結合対象としてアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属といったアルカリ、あるいは塩基化合物といった塩基類を使用しており、光の照射によってカルボン酸が光環化反応し、塩基類Bを発生する塩基発生剤としてはたらくことになる。
【0034】
(スキーム1)
【化10】
【0035】
また、かかるカルボン酸化合物は、スキーム1に示すように、光の照射によりカルボン酸の光環化反応により塩基を発生するため、塩基を発生する際に分解物として炭酸ガス(CO2)を発生することもない。かかる炭酸ガスは、感光性樹脂組成物を製膜した場合にあっては気泡となって、硬化膜に凸凹が生じたり、硬化膜の強度を低下させる等硬化膜の性能に悪影響を及ぼし、製品価値を低下させることになっていたが、本発明に係るカルボン酸化合物を塩基発生剤としてエポキシ系化合物等の塩基反応性化合物に適用した場合には、反応効率が良好であるとともに、塩基発生時に炭酸ガスの発生もなく、製品特性及び製品価値が優れた硬化膜を提供することができる。
【0036】
なお、本発明に係るカルボン酸化合物は、下記式(X’)に示すカルボン酸化合物とする(下記式(III’)に示すように式(III)におけるR3とR7で環状構造を形成させるカルボン酸とする。)ことによって、光環化前のカルボン酸塩のオレフィン部が自由回転することなく固定され、光環化が起こりやすくなるため、塩基発生剤として使用した場合、比較的小さい露光量で光分解し、感度の良好な塩基発生剤を提供する。また、かかる感度の良好な塩基発生剤を含有した感光性樹脂組成物は、比較的短い露光時間(1〜2分程度)ないし低い後加熱温度(室温〜50℃程度)で硬化し、高感度な光硬化材料となる。なお、式(X’)及び式(III’)において、R1、R2、R4、R5、R6は前記した式(X)に示した基と同じであり、また、R1、R2は、結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。R4、R5、R6は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、nは0〜6の整数を示し、nは1〜3が好ましい。
【0037】
【化11】
【0038】
【化12】
【0039】
カルボン酸化合物を構成するカルボン酸である式(III)に示したカルボン酸の具体例として、式(III−1)、式(III−2)、及び式(III’)に対応する式(III−3)を示す。
【0040】
【化13】
【0041】
【化14】
【0042】
【化15】
【0043】
式(III)に表されるカルボン酸を合成するには、例えば、次のようにすればよい。式(III−1)のカルボン酸は、フタルアルデヒド酸をメチルエステル化した後、Wittig反応によりアルデヒド基をオレフィンに変換後、メチルエステルを加水分解することで得られる。式(III−2)のカルボン酸はメチル 2−ホルミル−3,5−ジメトキシベンゾエートをWittig反応によりアルデヒド基をオレフィンに変換後、メチルエステルを加水分解することで得られる。式(III−3)のカルボン酸は7−メトキシ−1−テトラロンのブロモ化、Wittig反応によるカルボニル基のオレフィンへの変換、Grignard反応を経て得られる。これ以外のカルボン酸についても、前記した式(III−1)ないし式(III−3)に示した合成方法に準じて合成すればよい。
【0044】
式(X)に表されるカルボン酸化合物を構成する塩基類Bのうち、アルカリとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属が挙げられる。このうち、アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム(Na)、やカリウム(K)、が挙げられる、また、アルカリ土類金属としては、例えば、カルシウム(Ca)やバリウム(Ba)、が挙げられる。
【0045】
式(X)で表される第1発明の塩基発生剤を製造するには、前記した式(III)で表されるカルボン酸と、塩基類となるアルカリの陽イオンを構成するアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属Mを含む化合物(アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を含むメトキシド、エトキシド、tert−ブトキシド等の化合物)を混合することにより簡便に製造することができる。
【0046】
また、塩基類Bとしては、例えば、アミン、ピリジル基を含有する化合物、ヒドラジン化合物、アミド化合物、水酸化四級アンモニウム塩、メルカプト化合物、スルフィド化合物、ホスフィン化合物等を使用するでき、このうち、アミンを使用することが好ましい。アミンとしては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンを使用することができる。
【0047】
第1級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、アミルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、1−メチルブチルアミン、1−エチルプロピルアミン、イソアミルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、tert−アミルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、2−アミノヘプタン、3−アミノヘプタン、1−メチルヘプチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、1,5―ジメチルヘキシルアミン、tert−オクチルアミン、エチレジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,5−ジアミノペンタン、1,3−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、シクロプロピルアミン、(アミノメチル)シクロプロパン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、シクロヘキシルアミン、2−メチルヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、1,2−ジアミノシクロヘキサン、シクロヘキサンメチルアミン、1,8−ジアミノ−p−メンタン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン、シクロドデシルアミン、2−アミノノルボルネン、ボルニルアミン、ミルタニルアミン、1−アダマンタンアミン、1−アダマンタンメチルアミン、アリルアミン、オレイルアミン、ゼラニルアミン、2,2,2−トリフルオロメチルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、2−アミノ−1−メトキシプロパン、3−イソプロポキシプロピルアミン、2,2’−オキシビス(エチレンアミン)、2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)、4,9−ジオキサ−1,12−ドデカンジアミン、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン、3−アミノ−1−プロパノールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルアミン、2,5−ジヒドロ−2,5−ジメトキシフルフリルアミン、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、4−アミノブチルアルデヒドジエチルアセタール、エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、2−アミノ−1−ペンタノール、2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、2−アミノ−1−ヘキサノール、1−アミノ−1−シクロペンタンメタノール、2−アミノシクロヘキサノール、4−アミノシクロヘキサノール、1−アミノメチル−1−シクロヘキサノール、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(プロピルアミノ)エタノール、2−(tert−ブチルアミノ)エタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、SERINOL、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、BIS−HOMOTORIS、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、1−アミノ−デオキシソルビトール、2−アミノメチル−15−クラウン−5、2−アミノメチル−18−クラウン−6、アニリン、オルトトルイジン、メタトルイジン、パラトルイジン、2−エチルアニリン、3−エチルアニリン、4−エチルアニリン、2−プロピルアニリン、3−プロピルアニリン、4−プロピルアニリン、2−イソプロピルアニリン、3−イソプロピルアニリン、4−イソプロピルアニリン、2−ブチルアニリン、3−ブチルアニリン、4−ブチルアニリン、2−sec−ブチルアニリン、3−sec−ブチルアニリン、4−sec−ブチルアニリン、2−tert−ブチルアニリン、3−tert−ブチルアニリン、4−tert−ブチルアニリン、4−ペンチルアニリン、4−ヘキシルルアニリン、4−ヘプチルアニリン、4−オクチルアニリン、4−デシルアニリン、4−ドデシルアニリン、4−テトラデシルアニリン、4−ヘキサデシルアニリン、4−シクロへキシルアニリン、2,2’−エチレンジアニリン、オルトアニシジン、メタアニシジン、パラアニシジン、オルトフェネチジン、メタフェネチジン、パラフェネチジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、2−アミノベンジルアルコール、2−アミノフェニルエチルアルコール、3−アミノフェニルエチルアルコール、4−アミノフェニルエチルアルコール、3−(1−ヒドロキシエチル)アニリン、2−(メチルメルカプト)アニリン、3−(メチルメルカプト)アニリン、4−(メチルメルカプト)アニリン、2−アミノフェニルジスルフィド、2−イソプロペニルアニリン、4,4’−エチレンジアニリン、3,3’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−ジアミノスチルベン、4−ブトキシアニリン、4−ペンチルオキシアニリン、4−ヘキシルオキシアニリン、4,4’−オキシジアニリン、4,4’−チオジアニリン、4’’,4’’’’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビス−(4−フェニルアニリン)、オキシジアニリン、4−アミノフェニルスルフィド、2,3−ジメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、6−エチルオルトトルイジン、2,6−ジエチルアニリン、2−イソプロピル−6−メチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、1−アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン、5−アミノインダン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2−クロロアニリン、3−クロロアニリン、4−クロロアニリン、2−ブロモアニリン、3−ブロモアニリン、4−ブロモアニリン、2−ヨードアニリン、3−ヨードアニリン、4−ヨードアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメトキシ)アニリン、4−(トリフルオロメトキシ)アニリン、3−(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)アニリン、3−フルオロ−2−メチルアニリン、3−クロロ−2−メチルアニリン、2−クロロ−6−メチルアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、2,3−ジフルオロアニリン、2,6−ジクロロアニリン、2,3−ジクロロアニリン、2,6−ジブロモアニリン、2−メトキシ−6−メチルアニリン、3−フルオロオルトアニシジン、3−アミノ−2−メチルベンジルアルコール、2−アミノ−3−メチルベンジルアルコール、2−アミノメタクレゾール、2,3−ジアミノフェノール、オルトトルイジン、4,4’−エチレンジメタトルイジン、2,5−ジ−tert−ブチルアニリン、3−フルオロ−4−メチルアニリン、2−フルオロ−4−メチルアニリン、5−フルオロ−2−メチルアニリン、2−フルオロ−5−メチルアニリン、4−フルオロ−2−メチルアニリン、2−フルオロ−6−メチルアニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)アニリン、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン、2,4−ジフルオロアニリン、3,4−ジフルオロアニリン、2,5−ジフルオロアニリン、3−クロロ−4−フルオロアニリン、2−クロロ−4−フルオロアニリン、2−ブロモ−4−フルオロアニリン、4−ブロモ−2−フルオロアニリン、2−ブロモ−4−ヨードアニリン、2−クロロ−4−アミノトルエン、2−クロロ−4−メチルアニリン、2−クロロ−5−メチルアニリン、5−クロロ−2−メチルアニリン、4−クロロ−2−メチルアニリン、3,4−ジクロロアニリン、2,4−ジクロロアニリン、2,5−ジクロロアニリン、4−ブロモ−2−メチルアニリン、4−ブロモ−3−メチルアニリン、3−ブロモ−4−メチルアニリン、2−ブロモ−4−メチルアニリン、4−ブロモ−2−クロロアニリン、2,4−ジブロモアニリン、2,5−ジブロモアニリン、4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)アニリン、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン、2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン、4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)アニリン、4−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)アニリン、4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)アニリン、2−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)アニリン、2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン、5,5’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジオルトトルイジン、4−メトキシ−2−メチルアニリン、2−メトキシ−5−メチルアニリン、5−メトキシ−2−メチルアニリン、5−tert−ブチルオルトアニシジン、2−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)アニリン、6−クロロメタアニシジン、4−アミノヴェラトロール、3,4−(メチレンジオキシ)アニリン、1,4−ベンゾジオキサン−6−アミン、4’−アミノベンゾ−15−クラウン−5、2,4−ジメトキシアニリン、4−アミノクレゾール、2,5−ジメトキシアニリン、5−アミノ−2−メトキシフェノール、3−アミノオルトクレゾール、2−アミノオルトクレゾール、2−アミノ−tert−ブチルフェノール、2−アミノ−tert−アミルフェノール、6−アミノメタクレゾール、4−アミノメタクレゾール、2−アミノ−5−メチルベンジルアルコール、3−アミノ−4−メチルベンジルアルコール、2−アミノ−4−クロロフェノール、4−アミノ−3−クロロフェノール、2−アミノ−5−クロロベンジルアルコール、5−クロロオルトアニシジン、3−フルオロロパラアニシジン、3−クロロパラアニシジン、2−アミノ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンチオール、3,5−ジメチルアニリン、3,5−ジtert−ブチルアニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ジフルオロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、3,5−ジメトキシアニリン、3−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)アニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、2,4,6−トリ−tert−ブチルアニリン、2−クロロ−4,6−ジメチルアニリン、2,6−ジクロロ−3−メチルアニリン、3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリン、2,3,4−トリクロロアニリン、2,3,4−トリフルオロアニリン、2,3,6−トリフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、2,6−ジブロモ−4−メチルアニリン、3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン、4−ブロモ−2,6−ジメチルアニリン、4−ブロモ−2
,6−ジフルオロアニリン、2−クロロ−3,5−ジフルオロアニリン、2−ブロモ−4−クロロ−6−フルオロアニリン、2,4−ジブロモ−6−フルオロアニリン、2,6−ジブロモ−4−フルオロアニリン、2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)アニリン、4−クロロ−2,6−ジブロモアニリン、4−アミノ−2,6−ジクロロフェノール、3,4,5−トリクロロアニリン、3,4,5−トリメトキシアニリン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、2−ブロモ−4,6−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリクロロアニリン、2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメトキシ)アニリン、2−ブロモ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2,4,6−トリブロモアニリン、2−クロロ−4−フルオロ−5−メチルアニリン、2,4,5−トリフルオロアニリン、2,4,5−トリクロロアニリン、4−クロロ−2−メトキシ−5−メチルアニリン、4−アミノ−2,5−ジメチルフェノール、4−アミノ−2,6−ジブロモフェノール、3,5−ジクロロ−2,6−ジエチルアニリン、2,3,5,6−テトラクロロアニリン、2,3,5,6−テトラフルオロアニリン、2,3,4,5−テトラフルオロアニリン、2,3,4,6−テトラフルオロアニリン、2−ブロモ−3,4,6−トリフルオロアニリン、2−ブロモ−4,5,6−トリフルオロアニリン、2−アミノ−2,4−ジクロロ−3−メチルフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルアニリン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロアニリン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、4−メトキシ−3−ビフェニルアミン、4−ブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロアニリン、1,2−フェニレンジアミン、2,3−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、3,3’−ジアミノベンジジン、4−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、4−メトキシ−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン、1,2,4,5−ベンゼンテトラミン、4,5−ジクロロ−1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、4−メトキシ−1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノール、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)−1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、2−メトキシ−1,4−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、2−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2,4,6−トリフェニルアニリン、2−アミノ−4−フェニルフェノール、5−フェニルオルトアニシジン、ベンジルアミン、α−メチルベンジルアミン、アミノジフェニルメタン、トリチルアミン、1,2−ジフェニルエチルアミン、2,2−ジフェニルエチレンアミン、2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、フェネチルアミン、2−アミノ−3−フェニル−1−プロパノール、2−フェニルシクロプロピルアミン、3−フェニル−1−プロピルアミン、3,3−ジフェニルプロピルアミン、1−メチル−3−フェニルプロピルアミン、4−フェニルブチルアミン、1,2−ジフェニルエチレンジアミン、1,2−ビス(4−メトキシフェニル)エチレンジアミン、4−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチルアミン、2−アミノ−1−フェニルエタノール、2−フェニルグリシノール、2−アミノ−3−フェニル−1−プロパノール、NOREPHEDRINE、2−メチルベンジルアミン、1−アミノインダン、2−アミノインダン、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン、2−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、2−フルオロベンジルアミン、2−フルオロフェネチルアミン、2−クロロベンジルアミン、2−クロロフェネチルアミン、2−ブロモベンジルアミン、2−メトキシベンジルアミン、2−メトキシフェネチルアミン、2−エトキシベンジルアミン、2−[2−(アミノメチル)フェニルチオ]ベンジルアルコール、2−アミノベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、3−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、メタキシレンジアミン、3−フルオロベンジルアミン、3−フルオロフェネチルアミン、3−クロロベンジルアミン、3−クロロフェネチルアミン、3−ブロモベンジルアミン、3−ヨードベンジルアミン、3−メトキシフェネチルアミン、4−メチルベンジルアミン、パラキシレンジアミン、4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、α,4−ジメチルベンジルアミン、2−(パラトルイル)エチルアミン、4−フルオロベンジルアミン、4−フルオロフェネチルアミン、4−クロロベンジルアミン、4−ブロモベンジルアミン、4−ブロモフェネチルアミン、4−フルオロ−α−メチルベンジルアミン、4−フルオロフェネチルアミン、4−クロロフェネチルアミン、4−メトキシベンジルアミン、4−メトキシフェネチルアミン、4−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、2−(4−アミノフェニル)エチルアミン、TYRAMINE、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ベンジルアミン、2,6−ジフルオロベンジルアミン、2,4−ジフルオロベンジルアミン、2,5−ジフルオロベンジルアミン、3,4−ジフルオロベンジルアミン、2,4−ジクロロベンジルアミン、3,4−ジクロロベンジルアミン、2,4−ジクロロフェネチルアミン、2,3−ジメトキシベンジルアミン、3,5−ジメトキシベンジルアミン、2,4−ジメトキシベンジルアミン、3,4−ジメトキシベンジルアミン、2,5−ジメトキシフェネチルアミン、3,4−ジメトキシフェネチルアミン、ピペロニルアミン、3,4,5−トリメトキシベンジルアミン、2,4,6−トリメトキシベンジルアミン、1−アミノインダノール、1−ナフタレンメチルアミン、1−(1−ナフチル)エチルアミン、9−アミノフルオレン、1−ピレンメチルアミン、α,ω−ジアミノポリエチレングリコール、α,ω−ジアミノポリプロピレングリコール、α,ω−ジアミノポリジメチルシロキサン又はポリアリルアミン等が挙げられる。
【0048】
第2級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、N−エチルメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルプロピルアミン、N−メチルイソプロピルアミン、N−エチルイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、N−メチルブチルアミン、N−エチルブチルアミン、N−メチル−tert−ブチルアミン、N−tert−ブチルイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、tert−アミル−tert−ブチルアミン、ジペンチルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、tert−アミル−tert−オクチルアミン、ジオクチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、N−メチルオクタデシルアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジイソプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N−プロピルシクロプロパンメチルアミン、N−メチルシクロヘキシシルアミン、N−エチルシクロヘキシシルアミン、N−イソプロピルシクロヘキシシルアミン、N−tert−ブチルシクロヘキシシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ビス(3,3−ジメチルブチル)−1,2−シクロヘキサンジアミン、1−シクロヘキシルエチルアミン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、N−メチルアリルアミン、N−メチル−2−メチルアリルアミン、ジアリルアミン、N,N’−ジエチル−2−ブチレン−1,4−ジアミン、N−アリルシクロペンチルアミン、N−アリルシクロアミン、2−(1−シクロヘキセン)エチルアミン、6−(ジメチルアミノ)フルベン、ビス(2−メトキシエチル)アミン、メチルアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、ジエチルアミノアセトアルデヒドジエチルアセタール、2−メチルアミノエチル−1,3−ジオキソラン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン、N−メチルグルカミン、2−メチルアジリジン、アゼチジン、ピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、3−ピロリジノール、2−ピロリジンメタノール、3−ピロリン、2,5−ジメチル−3−ピロリン、ピペリジン、1,2,3,6−テトタヒドロピリジン、2−メチルピペリジン、2−エチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、4,4’−ビピペリジン、4,4’−エチレンビピペリジン、4,4’−トリメチレンビピペリジン、3,3−ジメチルピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、3,5−ジメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン、2−ピペリジンメタノール、2−ピペリジンエタノール、3−ヒドロキシピペリジン、3−ピペリジンメタノール、4−ヒドロキシピペリジン、2,2,6,6−トリメチル−4−ピペリジノール、7,7,9,9−テトラメチル−1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−2−メタノール、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、アセトアルデヒドアンモニア三量体、1,4,7−トリアザシクロノナン、1,5,9−トリアザシクロドデカン、CYCLEN、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、1,4,8,12−テトラアザシクロペンタデカン、HEXACYCLEN、1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、ドデカヒドロキノリン、スパルテイン、4,4−ジメチルオキサドリジン、4−エチル−2−メチル−2−(3−メチルブチル)オキサドリジン、モルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、1,4,10−トリオキサ−7,13−ジアザシクロペンタデカン、1,4,10,13−テトラキサ−7,16−ジアザシクロオクタデカン、チアゾリジン、チオモルホリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、ジフェニルアミン、N−フェニルベンジルアミン、1,2−ジアニリノエタン、N−アリルアニリン、2−アニリノエタノール、N−エチルオルトトルイジン、N−エチルメタトルイジン、N−エチルパラトルイジン、4−クロロ−N−メチルアニリン、N−メチルパラアニシジン、4−アミノメチルフェノール、N−エチル−2,3−キシリジン、N−エチル−3,4−(メチレンジオキシ)アニリン、2,4,6−トリ−tert−ブチル−N−メチルアニリン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニルベンジジン、3,3’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン、2−ベンジルアニリン、1−アミノ−4−ブロモナフタレン、1−アミノ−2−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、3−アミノ−2−ナフトール、2,2’−ジチオビス(1−ナフタレン)、2,3−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、1,1’−ビナフチル−2,2’−ジアミン、1−アミノフルレン、2−アミノフルレン、2,7−ジアミノフルレン、3,7−ジアミノ−2−メトキシフルレン、2−アミノ−7−ブロモフルレン、2−アミノ−9−ヒドロキシフルレン、2−アミノ−3−ブルモ−9−ヒドロキシフルレン、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノフェナンスレン、9,10−ジアミノフェナンスレン、3−アミノフルオランセン、1−アミノピレン、6−アミノクライセン、N,α−ジメチルベンジルアミン、N−ベンジル−α−メチルベンジルアミン、N−ベンジルメチルアミン、N−エチルベンジルメチルアミン、N−イソプロピルベンジルメチルアミン、N−ブチルベンジルメチルアミン、N−tert−ブチルベンジルメチルアミン、ジベンジルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルフェネチルアミン、N−ベンジル−2−フェネチルアミン、β−メチルフェネチルアミン、N−ベンジルエタノールアミン、2−(ベンジルアミノ)シクロヘキサンメタノール、α−(メチルアミノメチル)ベンジルアルコール、EPHEDRINE、α−ジフェニル−2−ピロリジンメタノール、4−ベンジルピペラジン、4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、インドリン、2−メチルインドリン、1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール、2,3−ジメチルインドリン、インドリン−2−カルボン酸、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、イミノジベンジル、5,6,11,12−テトラヒドロジベンズ[B,F]アゾシン、フェノザジン又はフェノチアジン等が挙げられる。
【0049】
第3級アミンとしては、例えばトリメチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N−メチルジブチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリペンチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−メチルジオクチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソオクチルアミン、トリイソデシルアミン、N,N−ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、トリドデシルアミン、N−メチルジオクタデシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,5−ペンタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N,N’,N’−テトラブチル−1,6−ヘキサンジアミン、トリス(ジメチルアミノ)メタン、N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキサンメチルアミン、トリアリルアミン、トリス(2−メチルアリル)アミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−2−ブテン−1,4−ジアミン、テトラキスジメチルアミノエチレン、パーフルオロイソブチルアミン、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン、tert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、N,N’−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N’−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N’−ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、N,N’−ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール、N,N’−ジメチルホルムアミドジ−tert−ブチルアセタール、N,N’−ジメチルホルムアミドジネオペンチルアセタール、N,N’−ジメチルホルムアミドジシクロヘキシルアセタール、N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、ジメチルアミノアセトアルデヒドジエチルアセタール、ジエチルアミノアセトアルデヒドジエチルアセタール、N,N’−ビス(2,2−ジメトキシエチル)メチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−(ジイソプロピルアミノ)エタノール、2−(ジブチルアミノ)エタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、1−ジエチルアミノ−2−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、5−ジエチルアミノ−2−ペンタノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−プロパノール、トリイソプロパノールアミン、3−(ジメチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−(ジエチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−(ジプロピルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−(ジイソプロピルアミノ)−1,2−プロパンジオール、2−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ}エタノール、1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、2−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール、PENTROL、1−アジリジンエタノール、1−メチルピロリジン、1−ブチルピロリジン、1−ピロリジノ−1−シクロペンテン、1−ピロリジノ−1−シクロヘキセン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、1−メチル−3−ピロジノール、1−エチル−3−ピロジノール、1−メチル−2−ピロリジンメタノール、2−メチル−1−ピロリン、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、ジピペリジノメタン、1−エチルピペリジン、1,1’−メチレンビス(3−メチルピペリジン)、4,4’−トリメチレンビス(1−メチルピペリジン)、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1−ピペリジンアセトアルデヒドジエチルアセタール、1−ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ヒドロキシ−1−メチルピペリジン、1−エチル−3−ヒドロキシピペリジン、1−メチル−3−ピペリジンメタノール、4,4’−トリメチレンビス(1−ピペリジンエタノール)、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサジアミン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、1,4−ジメチルピペラジン、4−(ジメチルアミノ)−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペラジン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1,3,5−テトラメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−テトラエチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン、1,5,9−トリメチル−1,5,9−トリアザシクロドデカン、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、1,4,7,10,13,16−ヘキサメチル−1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカン、TROPANE、QUINULIDINE、3−QUINULIDINOL、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、4−メチルモルホリン、4−エチルモルホリン、4−(1−シクロペンテン−1−イル)モルホリン、1−モルホリノ−1−シクロヘキセン、1−モルホリノ−1−シクロヘプテン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール、4−[2−(ジメチルアミノ)エチル]モルホリン、5−エチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン−5−メタノール、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、4,7,13,16,21−ペンタオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.5]トリコサン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチル−N−メチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、1−フェニルピペリジン、トリフェニルアミン、N−ベンジル−N−エチルアニリン、2−(N−エチルアニリノ)エタノール、N−フェニルジエタノールアミン、N−(エトキシエチル)−N−メチルアニリン、N,N−ジメチルオルトトルイジン、N,N−ジメチルメタトルイジン、N,N−ジメチルパラトルイジン、N,N−ジエチルオルトトルイジン、N,N−ジエチルメタトルイジン、N,N−ジエチルパラトルイジン、3−ジメチルアミノフェノール、3−ジエチルアミノフェノール、2−(N−エチルメタトルイジノ)エタノール、4−tert−ブチル−N,N−ジメチルアニリン、4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、2,2’−(パラトルイルイミノ)ジメタノール、4−(ジメチルアミノ)フェネチルアルコール、N,N,N’,N’−テトラメチルベンジジン、N,N’−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、2,6−ジイソプロピル−N,N−ジメチルアニリン、4−ブロモ−N,N−ジメチル−3−(トリフルオロメチル)アニリン、N,N,3,5−テトラメチルアニリン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジイソプロピル−N,N−ジメチルアニリン)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(N,N−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)、4,4’−ビニリデンビス(N,N−ジメチルアニリン)、ロイコマラカイトグリーン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンジドロール、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、2−(ジメチルアミノ)フルレン、N,N−ジメチル−1−フェネチルアミン、3−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラベンジルメタンジアミン、N−メチルジフェニルエチレンアミン、トリベンジルアミン、N−(2−クロロエチル)ジベンジルアミン、N−ベンジル−N−メチルエタノールアミン、3−ジベンジルアミノ−1−プロパノール、2−ジベンジルアミノ−3−フェニル−1−プロパノール、N−エチル−3,3’−ジフェニルジプロピルアミン、3−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−ブロモ−N,N−ジイソプロピルベンジルアミン、1−(ジフェニルメチル)アゼチジン、1−ベンジル−3−ピロリン、1−ベンジル−3−ピロリジノール、1−ベンジル−2−ピロリジンメタノール、1−(3,4−ジヒドロ−2−ナフチル)ピロリジン、1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、4−ジフェニルメトキシ−1−メチルピペラジン、1−ベンジル−4−ヒドロキシピペラジン、1,3,5−トリベンジルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、4−フェニルモルホリン、2,5−ジメチル−4−(モルホリノメチル)フェノール、N,N’−ジベンジル−1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザシクロオクタデカン、2−メチレン−1,3,3−トリメチルインドリン、JULODINE、8−ヒドロキシJULODINE、5,10−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジン、10メチルフェノチアジン、TROGER’S BASE又は5,6−ベンゾ−4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン等が挙げられる。
【0050】
使用可能なアミンとしては、さらに、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−プロピルエチレンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N−ジエチル−N’−メチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−エチル−1,3−プロパンジアミン、N−プロピル−1,3−プロパンジアミン、N−イソプロピル−1,3−プロパンジアミン、3−ジメチルアミノプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、3−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N,N’−トリメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,2,2−テトラエチル−1,3−プロパンジアミン、2−アミノ−5−ジエチルアミノペンタン、ジエチレントリアミン、N1−イソプロピルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルジエチレントリアミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、3,3’−イミノビス(N,N−ジメチルプロピルアミン)、SPERMIDINE、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、N,N’,N’’−トリメチルビス(ヘキサメチレン)トリアミン、4−(アミノメチル)−1,8−オクタンジアミン、トリエチレンテトラミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、SPERMINE、トリス(2−アミノエチル)アミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−シクロヘキシル−1,3−プロパンジアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン、1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン、4−(1−ピロリジニル)ピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピペリジン、1−(3−アミノプロピル)−2−ピペコリン、3−アミノピペリジン、1−メチル−4−(メチルアミノ)ピペリジン、4−(アミノエチル)ピペリジン、3−(4−アミノブチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ジメチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−イミダソリン、4,4−ジメチル−2−イミダソリン、1−メチルピペラジン、1−エチルピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、HEXETIDIEN、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−メチルホモピペラジン、3−アミノキヌリジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−A]ピリミジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド[1,2−A]ピリミジン、4−(2−アミノエチル)モルホリン、4−(3−アミノプロピル)モルホリン、5,6−ジヒドロ−2−イソプロペニル−4,4,6−トリメチル−4H−1,3−オキサジン、N−メチル−1,2−フェニレンジアミン、N−フェニル−1,2−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−1,4−フェニレンジアミン、N4,N4−ジエチル−2−メチル−1,4−フェニレンジアミン、2−メトキシ−N4−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−メチル−4,4’−メチレンジアニリン、N−フェニルエチレンジアミン、N’−ベンジル−N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’,N’’−トリベンジルトリス(2−アミノエチル)アミン、4−(ヘキサデシルアミノ)ベンジルアミン、4−ジメチルアミノベンジルアミン、4−アミノ−1−ベンジルピペラジン、2−フェニル−2−イミダゾリン、トラゾリン、2−(1−ナフチルメチル)−2−イミダゾリン、フェントールアミン、2,3−ジフェニル−1,4−ジアザスピロ[4.5]デカ−1,3−ジエン、4−ベンジル−2−メチル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−フェニル−2−オキサゾリン、4−メトキシメチル−2−メチル−5−フェニル−2−オキサゾリン、2−メチル−5−フェニル−2−オキサゾリン−4−メタノール、2,2’−ビス[(4S)−4−ベンジル−2−オキサゾリン]、2,2’−ビス[(4S)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、2,2’−イソプロピリデンビス[(4S)−4−フェニル−2−オキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R,5S)−4,5−ジフェニル−2−オキサゾリン]、テトラミソール、1−フェニルピペラジン、5−フェニル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−ベンジルピペラジン、1−シンナミルピペラジン、1−オルトトルイルピペラジン、1−(2,3−キシリル)ピペラジン、1−(2−メトキシ)ピペラジン、1−(4−メトキシ)ピペラジン、1−(2−エトキシ)ピペラジン、4−モルホリノアニリン、ホモカイン、ポリエチレンイミン、又はポリエチレンイミングラフトポリアルキル(メタ)アクリレート共重合体等の一級アミノ基、二級アミノ基及び三級アミノ基を一分子中に組み合わせてなるアミン化合物等が挙げられる。
【0051】
さらに、前記したアミンとして、ニトロアミンや、市販の変成アミン、変成ポリアミンを用いることもできる。上記ニトロアミンとしては、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリンまたは1−(4−ニトロフェニル)ピペラジン等が挙げられる。
【0052】
水酸化四級アンモニウム塩としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム塩、水酸化テトラエチルアンモニウム塩、水酸化テトラプロピルアンモニウム塩、水酸化テトラブチルアンモニウム塩、水酸化トリエチルメチルアンモニウム塩、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩又は水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0053】
ヒドラジン化合物としては、例えば、フェニルヒドラジン、1,1−ジフェニルヒドラジン、1,2−ジフェニルヒドラジン、1−メチル−1−フェニルヒドラジン又はオルトトルイルヒドラジン等が挙げられる。
【0054】
アミド化合物としては、例えば、マロンアミド、スクシンアミド、フマル酸アミド、アジピン酸アミド、NIPECITANIDE、アルキル(メタ)アクリレート・(メタ)アクリロイルアミド共重合体、スチレン・アルキル(メタ)アクリレート・(メタ)アクリロイルアミド共重合体、アルキル(メタ)アクリレート・(メタ)アクリロイルモルフォリン共重合体、又はスチレン・アルキル(メタ)アクリレート・(メタ)アクリロイルモルフォリン共重合体等が挙げられる。
【0055】
メルカプト化合物としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、2−メルカプトエチルエーテル、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール又は4,4’−チオベンゼンチオール等が挙げられる。
【0056】
前記したスルフィド化合物としては、例えば、エチルジスルフィド、メチルプロピルジスルフィド、イソプロピルジスルフィド又はフェニルジスルフィド等が挙げられる。
【0057】
ホスフィン化合物としては、例えば、ジ−tert−ブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,4−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、1,2−ビス(フェニルホスフィノ)エタン、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジアリルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ジフェニルプロピルホスフィン、イソプロピルジフェニルホスフィン、ジフェニルビニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリオルトトルイルホスフィン、トリメタトルイルホスフィン、トリパラトルイルホスフィン、トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、又は2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ナフタレン等が挙げられる。
【0058】
また、塩基類Bとしては、下記式(I)で表されるアミジン類、式(II)で表されるイミダゾール類、式(IV)で表されるグアニジン類、式(V)で表されるホスファゼン誘導体といった塩基を使用することが好ましい。塩基類としてアミジン類あるいはイミダゾール類、グアニジン類やホスファゼン誘導体といった塩基を用いることにより、酸解離定数(pKa)が、塩基類としてアルカリを用いた場合には概ね13以上(水溶媒中)、アミジン類あるいはイミダゾール類を用いた場合には12〜13程度、グアニジン類やホスファゼン誘導体を用いた場合には13.5を超えて(いずれも水溶媒中)、非常に塩基性が高く、重合時の反応効率が高い、優れた塩基発生剤として作用する。
【0059】
例えば、エポキシ系化合物等に適用した場合には、塩基が水からプロトンを奪って、水酸化物イオンを発生し、これがエポキシ化合物の連鎖的な重合反応を開始することになるが、水酸化物イオンの発生量は塩基の強度に依存するため、塩基強度が高いほど重合反応効率も高くなる。さらに、例えば、後記するNo.2−1〜No.2−7の塩基反応性化合物は電子吸引性基のα位のプロトンが引き抜かれβ脱離を引き起こし、極性変換が起こる高分子化合物であるが、この時のプロトン引き抜き効率も塩基強度に依存するため、塩基強度が大きいほど脱離反応は起こりやすく、本発明の塩基発生剤を含有した感光性樹脂組成物が、感度の高い感光性樹脂として機能することが期待できる。
【0060】
また、一般に、アミン、アミジン類の塩基性はpKa(共役酸のpKa、アセトニトリル(CH3CN溶媒中)は10(アミン)〜24(アミジン類)であり、この程度の塩基性ではラクトン類や環状シロキサンのアニオン開環重合は起こりにくい一方、塩基発生剤を構成する塩基類としてグアニジン類やホスファゼン誘導体を採用した場合には、pKaが26〜27程度(アセトニトリル(CH3CN)溶媒中)となりアニオン開環重合が起こるため、これを用いるとモノマーが連鎖反応でポリマーに変化する。塩基類としてグアニジン類やホスファゼン誘導体を採用した場合の塩基発生剤は、ラクトン類等に最適な塩基発生剤となり、ラクトン類等に適用して感光性樹脂組成物とした場合には、光硬化材料(UV接着、UVインク、UV粘着、UVコーティングなど)に適用することができる。
【0061】
まず好ましい塩基類としては、下記式(I)で表されるアミジン類、下記式(II)で表されるイミダゾール類といった塩基が挙げられる。
【0062】
【化16】
(式(I)中、nは1〜3の整数を示す。)
【0063】
【化17】
(式(II)中、Rはそれぞれ、独立して水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基(S等のヘテロ原子を含んでもよい。)、またはフェニル基、を示す。)
【0064】
塩基類Bとして使用することができる式(I)で表されるアミジン類としては、例えば、アミジン構造を有する下記式(I−a)に示すジアザビシクロノネン(DBN)や、下記式(I−b)に示すジアザビシクロウンデセン(DBU)等が挙げられる。
【0065】
【化18】
【0066】
【化19】
【0067】
また、塩基類Bとして使用することができる式(II)で表されるイミダゾール類としては、例えば、イミダゾール、下記(II−a)に示す1−メチルイミダゾール、下記(II−b)に示す2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、3A,4,5,6,7,7A−ヘキサヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル メチルスルフィド、2−(4−ブロモフェニル)4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、DL−イソアマリン等が挙げられる(なお、前記したイミダゾール類に存在する炭素数が1〜4のアルキル基には、S等のヘテロ原子を含んでもよい。)。
【0068】
【化20】
【0069】
【化21】
【0070】
塩基類Bとしては、下記式(IV)で表されるグアニジン類、下記式(V)で表されるホスファゼン誘導体といった塩基を使用することもできる。なお、式(IV)におけるR1〜R5、式(V)におけるR1〜R7はそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示すが、アルキル基の炭素数は1〜4と
することが好ましい。
【0071】
【化22】
(式(IV)中、R1〜R5はそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示す。)
【0072】
【化23】
(式(V)中、R1〜R7はそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基
(アルキル基は環状構造でもよい。)を示す。)
【0073】
塩基類Bとして使用することができる式(IV)で表されるグアニジン類としては、例えば、グアニジン構造を有する下記式(IV−a)に示すグアニジンや、下記式(IV−b)示す1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG)、下記式(IV−c)に示す1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン(1,5,7−triaza−bicyclo[4.4.0]dec−5−ene:TBD)、式(IV−d)に示すMTBD、式(IV−e)に示すETBD、式(IV−f)に示すITBD、式(IV−g)に示す式(IV−h)等に示す化合物が挙げられる(式(IV−a)〜式(IV−h)については、プロトン付加体を示す。)。
【0074】
【化24】
【0075】
また、塩基類Bとして使用することができる式(V)で表されるホスファゼン誘導体としては、下記式(V−a)、式(V−b)、式(V−c)、式(V−d)または式(V−e)等に示す化合物が挙げられる(式(V−a)〜式(V−e)については、プロトン付加体を示す。)。
【0076】
【化25】
【0077】
式(X)で表されるカルボン酸化合物を製造するには、式(III)で表されるカルボン酸と、所望の塩基類Bを混合することにより、簡便に製造することができる。なお、過剰のカルボン酸は光照射により分解するので、光照射により発生する塩基を失活させないため、カルボン酸化合物を塩基発生剤として感光性樹脂組成物に適用した場合に、感光性樹脂組成物の安定性を向上させるには、カルボン酸と塩基類Bの混合比(モル比)をカルボン酸が過剰になるようにすることが好ましい。混合比は、カルボン酸/塩基類=1.05/1.0〜2.5/1.0の範囲内でカルボン酸を過剰にすることが好ましく、カルボン酸/塩基類=1.05/1.0〜2.0/1.0とすることがさらに好ましく、カルボン酸/塩基類=1.1/1.0〜1.5/1.0とすることが特に好ましい(後記する式(X−2)のように、塩基類Bに2つのカルボン酸が付加した場合は、前記の比においてカルボン酸が倍となる。)。
【0078】
本発明の塩基発生剤、及び当該塩基発生剤を含有した感光性樹脂組成物における照射光の波長及び露光量の範囲としては、塩基発生剤の種類や量、及び感光性樹脂組成物を構成する塩基反応性化合物の種類等に応じて適宜決定すればよいが、例えば、波長として190〜400nm、露光量として100〜10000mJ/cm2の範囲内から選択して適用すればよく、後記する増感剤を用いることによりさらに高波長域を使用することも可能である。照射光の照射時間は、数秒でも可能な場合もあるが、概ね10秒以上とすればよく、1.5〜20分とすることが好ましい。
【0079】
次に、本発明の感光性樹脂組成物を説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、光の照射によって光環化反応を起こし、遊離のアルカリや塩基を発生する本発明の塩基発生剤と、塩基反応性化合物を必須成分として含有する。
【0080】
本発明の感光性樹脂組成物を構成する塩基反応性化合物は、塩基発生剤及び必要により含有する塩基増殖剤により発生した塩基の作用により反応して、架橋等により硬化する化合物であり、例えば、下記No.2−1〜No.6−4の化合物等を使用することができ、特に、例えば、少なくとも1つのエポキシ基を有するエポキシ系化合物、少なくとも1つのアルコキシシリル基やシラノール基等を有しているケイ素系化合物、オキセタン環を含むオキセタン系化合物(オキセタン系樹脂)等が挙げられる。かかる塩基反応性化合物は、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。また、本発明の塩基発生剤も、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0081】
使用可能なエポキシ系化合物(エポキシ系樹脂)としては、例えば、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フエニルグリシジルエーテル、アルキルフェノールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、脂肪族ジグリシジルエーテル、多官能グリシジルエーテル、3級脂肪酸モノグリシジルエーテル、スピログリコールジグリシジルエーテル、グリシジルプロポキシトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのエポキシ系化合物はハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよく、また、これらのエポキシ系化合物は誘導体も含む。そして、これらのエポキシ系化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0082】
ケイ素系化合物(ケイ素系樹脂)としては、例えば、アルコキシシラン化合物やシランカップリング剤等を使用することができる。アルコキシシラン化合物としては、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。これらのアルコキシシラン化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0083】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラン、アミノシラン等が挙げられる。ビニルシランとして、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。アクリルシランとしては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。エポキシシランとしては、β−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。アミノシランとしては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。その他のシランカップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0084】
オキセタン系化合物(オキセタン系樹脂)としては、単量体のオキセタン系化合物、2量体のオキセタン系化合物等を使用することができる。使用可能なオキセタン系化合物としては、例えば、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン等のキシリレンジオキセタン、3−エチル−3−(((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)メチル)オキセタン(あるいは3−(((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)メチル)−3−エチルオキセタンとも呼ばれる。)、3−エチルヘキシルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、またはオキセタン化フェノールノボラック等が挙げられる。これらのオキセタン系化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0085】
以下、本発明の塩基発生剤を適用した場合のエポキシ系化合物との反応挙動の一例について、(1)第1級アミン及び第2級アミン、(2)第3級アミン、(3)式(I)で表されるアミジン類(スキームではDBU)(及び式(II)で表されるイミダゾール類、式(IV)で表されるグアニジン類、式(V)で表されるやホスファゼン誘導体)のスキームを挙げる。
【0086】
(1)第1級アミン及び第2級アミン:
【化26】
【0087】
(2)第3級アミン:
【化27】
【0088】
(3)アミジン類等:
【化28】
【0089】
以下、塩基反応性化合物の具体例を挙げる。なお、下記No.2−1〜No.2−8の高分子化号物(塩基反応性化合物)のうち、No.2−1〜No.2−5、No.2−8の高分子化合物は、塩基の作用により脱離及び脱炭酸の反応を生じる。一方、No.2−6及びNo.2−7の塩基反応性化合物は、塩基の作用により脱離反応を引き起こし、カルボン酸を生じることになる。
【0090】
【化29】
【0091】
なお、前記した塩基反応性化合物No.2−1〜No.2−8は、いずれも塩基の作用で脱離反応を起こし、極性が変換されるポリマー群であり、分解前後で溶解性が変化することを利用してパターニングを行う材料(レジスト材料)等として適用することができる。分解機構例のスキームを下記スキームA及びスキームBに示す。
【0092】
(スキームA)
【化30】
【0093】
(スキームB)
【化31】
【0094】
また、塩基反応性化合物の他の例を挙げる。なお、下記No.3−1〜No.3−4の塩基反応性化合物のうち、No.3−1の物質(混合物)は塩基の作用により脱水縮合及び架橋の反応を生じる。No.3−2の物質(混合物)は塩基の作用により脱水縮合及び架橋の反応を生じる。No.3−3の物質(ポリマー)は塩基の作用により脱炭酸の反応を生じる。No.3−4の物質は塩基の作用によりイミド形成の反応を生じる。なお、No.3−1及びNo.3−2において、xは0を超えて1以下の数を示す。
【0095】
【化32】
【0096】
本発明の感光性樹脂組成物を構成する塩基反応性化合物は、少なくとも1つのエポキシ基を有するエポキシ系化合物を使用することができる。また、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ系化合物に塩基を作用させることによって、エポキシ系化合物をエポキシ基の開環重合によりポリマーとすることができる。また、エポキシ系化合物に塩基を付加することにより、かかるエポキシ系化合物を化学変性することができる。重合反応性を示すエポキシ系化合物の一例を以下に示す。
【0097】
【化33】
【0098】
また、重合反応性を示すエポキシ系化合物(ポリマー)のその他の例を以下に示す。
【0099】
【化34】
【0100】
また、塩基反応性化合物としては、少なくとも1つのシラノール基またはアルコキシシリル基を有するケイ素系化合物を使用することができる。また、少なくとも2つのシラノール基またはアルコキシシリル基を有するケイ素系化合物に塩基を作用させることによって、かかるケイ素系化合物をシラノール基またはアルコキシシリル基の縮重合によりポリマーとすることができる。重合反応性を示すケイ素系化合物(No.5−2〜No.5−6はポリマー)の具体例を以下に示す。
【0101】
【化35】
【0102】
なお、前記したように、塩基発生剤を構成する塩基類Bとしてグアニジン類やホスファゼン誘導体を採用した場合には、pKaが26〜27程度(アセトニトリル(CH3CN)溶媒中)となりアニオン開環重合が起こるため、これを用いるとモノマーが連鎖反応でポリマーに変化するので、かかる塩基発生剤と、塩基反応性化合物としてラクトン類や環状シロキサンを用いた感光性樹脂組成物は、光硬化材料(UV接着、UVインク、UV粘着、UVコーティングなど)に好適となる。塩基反応性化合物として、式(IV)で表されるグアニジン類、式(V)で表されるホスファゼン誘導体によりアニオン重合可能なラクトン及び環状シロキサンの構造の具体例を以下に示す(No.6−1〜No.6−4)。
【0103】
【化36】
【0104】
本発明の感光性樹脂組成物における塩基発生剤の含有量は、塩基反応性化合物100質量部に対して0.1〜60質量部とすることが好ましい。塩基発生剤の含有量が0.1質量部より少ないと、塩基反応性化合物を迅速に反応させることができなくなる場合がある一方、塩基発生剤の含有量が60質量部を超えると、塩基発生剤の存在が塩基反応性化合物の溶媒に対する溶解性に悪影響を与える場合があり、また、過剰量の塩基発生剤の存在はコスト高に繋がることになる。塩基発生剤の含有量は、塩基反応性化合物100質量部に対して1〜60質量部とすることがなお好ましく、2〜30質量部とすることがさらに好ましく、2〜20質量部とすることがより好ましく、2〜15質量部とすることが特に好ましい。なお、塩基類として式(IV)や式(V)で表される塩基類を用いてラクトン類を重合する場合には、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコールを少量共存させることが好ましく、モノマー(塩基反応性化合物)100質量部に対して塩基発生剤を0.1〜0.5質量部として、アルコールを0.5〜2.0質量部とすることが好ましい。
【0105】
本発明の感光性樹脂組成物は、塩基反応性化合物として、前記したNo.4−1〜No.4−12等の重合反応性を示すエポキシ系化合物(重合性エポキシ系化合物)、あるいは前記したNo.5−1〜No.5−5等の重合反応性を示すケイ素系化合物(重合性ケイ素系化合物)とすることが好ましい。このような感光性樹脂組成物は、光または熱の作用により、重合し、重合体を与えることとなる。中でも、光により重合反応を開始する塩基反応性化合物を含む感光性樹脂組成物とすることが好ましい。
【0106】
また、本発明の感光性樹脂組成物には、さらに、チオール化合物を含有することが好ましい。チオール化合物は、エポキシ系化合物等と併用することにより、エポキシ等の硬化官能基として作用する。チオール化合物としては、チオール基を2個以上有するポリチオール化合物を使用することが好ましく、例えば、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等のチオール基を2〜5個有するポリチオール化合物を挙げることができる。これらのうち反応性等や扱いやすさを考慮して、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)を使用することが好ましい。これらのチオール化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0107】
チオール化合物の使用量は、例えば、エポキシ系化合物やオキセタン系樹脂に対して、チオール当量(SH当量)/エポキシ当量(あるいはオキセタン当量)=0.3/1.7〜1.7/0.3となるようにすることが好ましく、0.8/1.2〜1.2/0.8の比率となるようにすることがより好ましい。この比率が、0.3/1.7〜1.7/0.3の範囲内であれば、未反応のチオール基やエポキシ基(あるいはオキセタン基)が硬化物中に多量に残存することを防止でき、硬化物の機械特性の低下傾向を抑制できる。
【0108】
本発明に係る感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成するには、例えば、当該樹脂組成物を有機溶媒に溶解して塗布液を調製し、調製された塗布液を基板等の適当な固体表面に塗布し、乾燥して塗膜を形成するようにする。そして、形成された塗膜に対して、パターン露光を行って塩基を発生させた後、所定の条件で加熱処理を行って、感光性樹脂組成物に含有される塩基反応性化合物の重合反応を促すようにする。
【0109】
本発明の感光性樹脂組成物は、本発明の塩基発生剤を含有するため、室温でも重合反応は進行するが、重合反応を効率よく進行させるべく、加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理の条件は、露光エネルギー、使用する塩基発生剤から発生する塩基の種類、エポキシ系化合物またはケイ素系化合物等の塩基反応性化合物の種類によって適宜決定すればよいが、加熱温度は50℃〜150℃の範囲内とすることが好ましく、60℃〜130℃の範囲内とすることが特に好ましい。また、加熱時間は10秒〜60分とすることが好ましく、60秒〜30分とすることが特に好ましい。これを露光部と未露光部とで溶解度に差を生じる溶媒中に浸漬して現像を行ってパターンを得ることができる。
【0110】
本発明の感光性樹脂組成物には、必要により、塩基の作用で増殖的に塩基を発生する塩基増殖剤を含有させることが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物に塩基増殖剤を含有させることにより、当該樹脂組成物の感度をさらに向上させることができる。特に、光が樹脂膜深部に到達しない場合(感光層が厚い場合や多量の染料や顔料を含む場合等。)には、表面層で光化学的に発生した塩基の作用、及び塩基増殖剤による塩基増殖反応が開始されることにより、熱化学的に、かつ連鎖的に塩基が生成するので、膜深部の塩基触媒反応を起こすことが期待できる。使用できる塩基増殖剤としては、特に制限はないが、例えば、特開2000−330270号公報、特開2002−128750号公報や、K.Arimitsu、M.Miyamoto and K.Ichimura,Angew.Chem.Int.Ed.,39,3425(2000)、等に開示される塩基増殖剤が挙げられる。塩基増殖剤の添加量は、使用する塩基発生剤や塩基反応性化合物等により適宜決定すればよいが、感光性樹脂組成物全体に対して1〜40質量%の範囲であることが好ましく、5〜20質量%の範囲内であることが特に好ましい。
【0111】
本発明の感光性樹脂組成物は、感光波長領域を拡大し、感度を高めるべく、増感剤を添加することができる。使用できる増感剤としては、特に限定はないが、例えば、ベンゾフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p’−テトラエチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、アントロン、9−エトキシアントラセン、アントラセン、ピレン、ペリレン、フェノチアジン、ベンジル、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン−T、9,10−ジフェニルアントラセン、9−フルオレノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミド、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、3,3’−カルボニル−ビス(5,7−ジメトキシカルボニルクマリン)またはコロネン等が挙げられる。これらの増感剤は、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0112】
本発明の感光性樹脂組成物において、増感剤の添加量は、使用する塩基発生剤や塩基反応性化合物、及び必要とされる感度等により適宜決定すればよいが、感光性樹脂組成物全体に対して1〜30質量%の範囲であることが好ましい。増感剤が1質量%より少ないと、感度が十分に高められないことがある一方、増感剤が30質量%を超えると、感度を高めるのに過剰となることがある。増感剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体に対して5〜20質量%の範囲であることが特に好ましい。
【0113】
本発明の感光性樹脂組成物を所定の基材に塗布等する場合にあっては、必要により、溶媒を適宜含有するようにしてもよい。感光性樹脂組成物に溶媒を含有させることにより、塗布能力を高めることができ、作業性が良好となる。溶媒としては、特に限定はないが、例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物;シクロヘキサン、シクロヘキセン、ジペンテン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−デカン、イソデカン、テトラヒドロナフタレン、スクワラン等の飽和または不飽和炭化水素化合物;ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソアミル、ステアリン酸ブチル等のエステル類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0114】
本発明の感光性樹脂組成物において、溶媒の含有量は、例えば、所定の基材上に感光性樹脂組成物を塗布し、感光性樹脂組成物による層を形成する際に、均一に塗工されるように適宜選択すればよい。
【0115】
なお、本発明の感光性樹脂組成物には、本発明の目的及び効果を妨げない範囲において、添加剤を適宜添加するようにしてもよい。使用することができる添加剤としては、例えば、充填剤、顔料、染料、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、可塑剤、可塑促進剤、タレ防止剤、硬化促進剤、充填剤等が挙げられ、これらの1種類を単独で用いるようにしてもよく、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0116】
以上説明した本発明の感光性樹脂組成物は、本発明の塩基発生剤と塩基反応性化合物を含有することにより、塩基発生剤から発生する塩基とエポキシ系化合物等との反応が連鎖的に進行し、硬化速度及び反応効率に優れたものとなり、硬化が速やかに実施され、硬化が十分になされる感光性樹脂組成物となる。また、含有される塩基発生剤が、光環化反応により塩基を発生するため、分解物として炭酸ガス(CO2)の発生を伴うこともなく、凸凹のない、製品特性及び製品価値に優れた硬化膜を簡便に提供することができる。かかる効果を奏する本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、高感度の光硬化材料やレジスト材料(パターン形成材料)等に好適に用いることができる。
【0117】
光硬化材料として適用された成形体は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の特性が有効とされる分野の部材等として、例えば、塗料または印刷インキ、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材または建築材料の構成部材として広く用いられ、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材または建築部材等が提供される。また、形成されたパターン等は、耐熱性や絶縁性を備え、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、電子部品、半導体装置、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材または電子部材として有利に使用することができる。
【0118】
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
【0119】
例えば、前記した実施形態では、本発明の塩基発生剤として、式(III)で表されるカルボン酸に1つの塩基類を付加した化合物を例として挙げたが、これには限定されず、本発明の塩基発生剤は、塩基類Bに2つのカルボン酸が付加したものも含まれる。一例として、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(1,4−エチレンピペラジン:DABCO)に式(III−1)のカルボン酸を2つ付加した化合物を下記式(X−2)として示した。
【0120】
【化37】
【0121】
前記した実施形態では、本発明の感光性樹脂組成物を構成する塩基反応性化合物の例として、No.2−1〜No.6−4の化合物を挙げたが、使用することができる塩基反応性化合物はこれらには限定されず、塩基の作用により反応して、架橋等により硬化する任意の化合物を使用することができる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【実施例】
【0122】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に何ら限定されるものではない。
【0123】
[製造例1]
カルボン酸の製造(1):
下記(1)〜(3)の操作を用いて、式(III−1)に示すカルボン酸を製造した。
【0124】
(1)中間体エステル(1)の製造:
二口フラスコにフタルアルデヒド酸4.0g(27×10−3mol)、炭酸カリウム(K2CO3)11.3g、ヨウ化メチル(CH3I)4.1gを入れ、アセトン100mlに溶解させた後、5時間還流した。生成物をろ過し、濃縮、減圧乾燥させ、下記式(H−1)に示した中間体エステル(1)の黄色液体を収量4.0g、収率93%で得た。
【0125】
【化38】
【0126】
(2)中間体エステル(2)の製造:
二口フラスコに式(P)に示すホスホニウム塩10.0g、カリウム ter−ブトキシド((CH3)3COK、t−BuOK)6.0gを入れ、さらにテトラヒドロフラン40mlを入れ、室温で1時間混合・撹拌した。撹拌後、(1)で得られた中間体エステル(1)4.0gとテトラヒドロフラン20mlを入れ、さらに室温で6時間混合・撹拌した。撹拌後、塩酸を入れて反応を停止させ、ジクロロメタンで3回、水で3回抽出した後、酢酸エチルとヘキサンを酢酸エチル/ヘキサン=1/5の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより分離し、下記式(H−2)に示した中間体エステル(2)の黄色液体を収量3.3g、収率77%で得た。
【0127】
【化39】
【0128】
【化40】
【0129】
(3)カルボン酸(1)の製造:
二口フラスコに(2)で得られた中間体エステル(2)3.3gと、水とメタノールが水/メタノール=1/3で混合された混合溶液60mlを入れた。また、バイアルに水酸化カリウム(KOH)4.0gと、水とメタノールが水/メタノール=1/3で混合された混合溶液40mlを入れ、これを二口フラスコに入れた後、6時間還流した。還流後、塩酸を入れて反応を停止させ、ジクロロメタンで3回、水で3回抽出した後、酢酸エチルとヘキサンを酢酸エチル/ヘキサン=2/1の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより分離し、式(III−1)で表されるカルボン酸の白色固体を収量1.2g、全収率28%で得た。
【0130】
[製造例2]
カルボン酸の製造(2):
下記(1)、(2)の操作を用いて、式(III−2)に示すカルボン酸を製造した。
【0131】
(1)中間体エステル(3)の製造:
二口フラスコに式(P)に示すホスホニウム塩12g(0.033mol)、カリウム ter−ブトキシド((CH3)3COK、t−BuOK)3.7g(0.033mol)、を入れ、さらにテトラヒドロフラン40mlを入れ、室温で6時間混合・撹拌した。撹拌後、下記式(Q)に示すメチル 2−ホルミル−3,5−ジメチルオキシベンゾエート5.0g(0.022mol)とテトラヒドロフラン20mlを入れ、12時間環流撹拌した後、塩酸を入れて反応を停止させ、ジクロロメタンで3回、水で3回抽出した後、酢酸エチルとヘキサンを酢酸エチル/ヘキサン=1/7の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより分離し、下記式(H−3)に示したジメトキシ中間体エステルを粗収量0.81g、粗収率16%で得た。
【0132】
【化41】
【0133】
【化42】
【0134】
(2)カルボン酸(2)の製造:
二口フラスコに(1)で得られたメトキシ中間体エステル0.81gと、水とメタノールが水/メタノール=1/3で混合された混合溶液60mlを入れた。また、バイアルに水酸化カリウム(KOH)2.0g(中間体エステルの5倍mol)と、水とメタノールが水/メタノール=1/3で混合された混合溶液40mlを入れ、これを二口フラスコに入れた後、4時間還流した。還流後、塩酸を入れて反応を停止させ、ジクロロメタンで3回、水で3回抽出した後、酢酸エチルとヘキサンを酢酸エチル/ヘキサン=1/5の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより分離し、式(III−2)で表されるカルボン酸の褐色固体を収量0.51g、全収率14%で得た。
【0135】
[実施例1]
塩基発生剤の製造(1):
前記の方法で得られた式(III−1)に示したカルボン酸0.30g(1.8×10−3mol)と、塩基であり式(IV−c)で示した1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン(TBD)0.12g(0.8×10−3mol)をジメチルエーテルに入れて混合し、室温で1時間反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、下記式(X−1)で表される本発明の塩基発生剤の白色固体を収量0.18g、収率69%で得た。
【0136】
【化43】
【0137】
[実施例2]
塩基発生剤の製造(2):
前記の方法で得られた式(III−1)に示したカルボン酸0.60g(3.6×10−3mol)と、塩基であり下記式(B−1)で示したDABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン/1,4−エチレンピペラジン)0.10g(0.8×10−3mol)をジメチルエーテルに入れて混合し、室温で3時間反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、上記式(X−2)で表される本発明の塩基発生剤の無色粘性液体を収量0.11g、収率28%で得た。
【0138】
【化44】
【0139】
[実施例3]
塩基発生剤の製造(3):
前記の方法で得られた式(III−1)に示したカルボン酸0.20g(1.2×10−
3mol)と、塩基であり式(I−b)で示したジアザビシクロウンデセン(DBU)0
.15g(0.98×10−3mol)をジメチルエーテルに入れて混合し、室温で1時
間反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、下記式(X−3)で表される本発明の塩基発
生剤の無色粘性液体を収量0.25g、収率61%で得た。
【0140】
【化45】
【0141】
[実施例4]
塩基発生剤の製造(4):
前記の方法で得られた式(III−2)に示したカルボン酸0.05g(0.22×10−3mol)と、塩基であり式(IV−c)で示した1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン(TBD)0.03g(0.21×10−3mol)をエタノールに入れて混合し、室温で3時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、下記式(X−4)で表される本発明の塩基発生剤の淡褐色固体を収量0.023g、収率23%で得た。
【0142】
【化46】
【0143】
光分解挙動の確認(UVスペクトル測定):
実施例1ないし実施例4で得られた塩基発生剤について、溶媒としてメタノールを用いて、下記の測定法を用いて光分解挙動の確認を行った。
【0144】
(測定方法)
表1に濃度を示した実施例1ないし実施例4の塩基発生剤のメタノール溶液に波長が254nmの光を照射し、紫外可視分光光度計(MultiSpec−1500/(株)島津製作所製)を用いてUVスペクトルの経時変化を確認した。結果を図1(実施例1)、図2(実施例2)、図3(実施例3)及び図4(実施例4)に示す。
【0145】
(メタノール溶液の濃度)
【表1】
【0146】
また、254nmにおけるモル吸光係数(ε254)(l/cm・mol)及び最大吸収波長λmax(nm)を表2に示す。
【0147】
(モル吸光係数と最大吸光係数)
【表2】
【0148】
図1ないし図4に示すように、実施例1ないし実施例4で得られた本発明の塩基発生剤は、光照射の露光量に伴って吸収が変化して、光分解挙動が確認できた。
【0149】
図5は、実施例1及び実施例4で得られた塩基発生剤の光分解挙動を比較した図である。図5に示すように、実施例4の塩基発生剤は実施例1の塩基発生剤と比較してピークが長波長側にあり、実施例4の塩基発生剤の光分解挙動は実施例1の塩基発生剤より速いことが確認できた。この差は式(III−1)及び式(III−2)に示したカルボン酸の構造の違いによるものと考えられる。
【0150】
溶液中での光環化の確認:
石英セルに実施例1で得られた塩基発生剤0.07gと分光用のメタノールを入れ、撹拌混合した後、254nmの単色光を、露光量を50000mJ/cm2として照射した。照射後、カラムクロマトグラフィーにより光環化体を単離し、1H−NMR測定及びMass−スペクトル測定を行った。1H−NMRの結果を下記に示すが、この結果より、溶液中で光環化反応が行われ、また、炭酸ガス(CO2)が発生していないことが確認できた。
【0151】
(1H−NMRの結果)
1H−NMR(300MHz、CDCl3):δ(ppm)1.5(d,3H,−CH3)、2.9(m,2H,−CH2−)、4.7(m,1H,−CH−)、7.5(m,3H,Ar−H)、8.1(d,1H,Ar−H)
【0152】
また、Mass−スペクトル測定によるESI+の結果では、理論値が185.05785に対して実測値は185.05561とほぼ一致した。
【0153】
光照射による塩基発生能の確認:
実施例1で得られた塩基発生剤を2ml(8.9×10−3mol/L)に調製したメタノール溶液を石英セルに入れ、波長254nm光を所定量照射して光分解させた後、この溶液にあらかじめ4.9×10−5mol/Lに調整しておいたフェノールレッド溶液を2mL加えた場合におけるUVスペクトルを測定した。結果を図6に示す。
【0154】
図6はUVスペクトル変化を示した図である。図6に示すように、実施例1で得られた塩基発生剤は、露光量が増えるにつれて、424nm付近の吸収が減少し、562nm付近の吸収が増大していることより、塩基発生剤に光照射することにより遊離の塩基が発生していることが確認できた。
【0155】
光環化反応と塩基発生の確認:
撹拌子が入った石英セルに実施例1で得られた塩基発生剤を0.07g、分光用のメタノールを4ml入れ、撹拌子で撹拌した後、波長が254nmの光を露光量を50000mJ/cm2として照射した後、1H−NMRで測定して光環化の確認をした。結果を図7に示す。
【0156】
図7は1H−NMRスペクトルを示した図である。図7に示すように、露光前に存在したHN+基のピークが消え、環化生成物の芳香族環由来のピークが7.5ppm、8.1ppmに、メチン基由来のピークが4.7ppmに、メチレン基由来のピークが2.9ppmに、メチル基由来のピークが1.5ppmにそれぞれ確認でき、炭酸ガスの発生を伴わない光環化が起こっていることが確認できた。
【0157】
ポリスチレン中での光分解挙動の確認:
ポリスチレン(Aldroch社製,Mw=28000)0.1gに対して、実施例1で得られた塩基発生剤0.03g(ポリスチレン100質量部に対して30質量部)を含有させることにより感光性樹脂組成物とした。かかる感光性樹脂組成物を、クロロホルムに溶解させて試料溶液とし、この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、膜を作製した。この膜に254nmの単色光を、露光量を0、8000、16000、24000、36000mJ/cm2として照射し、反応をFT−IRで反応追跡した。
【0158】
文献値からは、環状エステル由来のピーク(VC=O)=1720cm−1であり、COO−由来のピーク(VCOO−)=1374cm−1である。1720cm−1における露光量とピーク面積比の増加率の関係を図8に、1374cm−1における露光量とピーク面積比の減少率の関係を図9にそれぞれ示す。なお、ピーク面積比の増加率及び減少率は、露光量=0mJ/cm2の面積を基準にして算出した。
【0159】
図8に示すように、1720cm−1にあっては露光量が大きくなるに従ってピーク面積比が増加し、炭酸ガスの発生を伴わない光環化が起こっていることが確認できた。これは、図9に示すように、1374cm−1において露光量が大きくなるに従ってピーク面積比が減少することからも明らかである。
【0160】
[実施例5]
感光性樹脂組成物の製造(1):
式(No.4−12)に表されるエポキシ系化合物であるポリグリシジルメタクリレート(PGMA,MW=61000、MW/Mn=2.2)0.1gに対して、実施例1で得られた塩基発生剤を0.0050g(実施例5−1)、0.010g(実施例5−2)、0.015g(実施例5−3)(順に、PGMA100質量部に対して5.0、10.0、15.0質量部)(PGMAのモノマーユニットに対して1.6、3.2、4.8mol%)含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
【0161】
[実施例6]
感光性樹脂組成物の製造(2):
式(No.4−12)に表されるエポキシ系化合物であるポリグリシジルメタクリレート(PGMA,MW=15000、MW/Mn=2.2)0.2gに対して、実施例2で得られた塩基発生剤を0.0030g(実施例6−1)、0.0062g(実施例6−2)、0.012g(実施例6−3)(順に、PGMA100質量部に対して1.5、3.0、6.0質量部)(PGMAのモノマーユニットに対して0.5、1.0、2.0mol%)含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
【0162】
[実施例7]
感光性樹脂組成物の製造(3):
式(No.4−12)に表されるエポキシ系化合物であるポリグリシジルメタクリレート(PGMA,MW=15000、MW/Mn=2.2)0.2gに対して、実施例3で得られた塩基発生剤を0.0022g(実施例7−1)、0.0044g(実施例7−2)、0.0088g(実施例7−3)(順に、PGMA100質量部に対して1.14、2.2、4.4質量部)(PGMAのモノマーユニットに対して0.5、1.0、2.0mol%)含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
【0163】
[試験例1]
光不溶化挙動の確認(1)(加熱温度依存性):
実施例5−2で得られた感光性樹脂組成物を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を70℃として15分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、ポストベイクの温度を80℃に変化させて実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図10(A)に示す。図10(A)に示すように、加熱温度を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0164】
[試験例2]
光不溶化挙動の確認(2)(添加量依存性):
実施例5−1で得られた感光性樹脂組成物(PGMAのモノマーユニットに対して1.6mol%のもの)を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を80℃として15分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、実施例5−2(同様に3.2mol%のもの)で得られた感光性樹脂組成物に対して実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図10(B)に示す。図10(B)に示すように、塩基発生剤の添加量を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0165】
[試験例3]
光不溶化挙動の確認(3)(加熱時間依存性):
実施例5−1で得られた感光性樹脂組成物を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ約0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を80℃として10分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、ポストベイクの時間を15分間、及び20分間に変化させて実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図10(C)に示す。図10(C)に示すように、加熱時間を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0166】
[試験例4]
光不溶化挙動の確認(4)(加熱温度依存性):
実施例6−2で得られた感光性樹脂組成物を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を80℃として30分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、ポストベイクの温度を100℃に変化させて実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図11(A)に示す。図11(A)に示すように、加熱温度を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0167】
[試験例5]
光不溶化挙動の確認(4)(添加量依存性):
実施例6−1で得られた感光性樹脂組成物(PGMAのモノマーユニットに対して0.5mol%のもの)を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を100℃として30分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定し、露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図11(B)に示す。図11(B)に示すように、実施例6−1の感光性樹脂組成物は、光不溶化挙動を示すことが確認できた。
【0168】
[試験例6]
光不溶化挙動の確認(6)(加熱時間依存性):
実施例6−1で得られた感光性樹脂組成物を1.5gのクロロホルムに溶解させた。こ
の試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレ
ート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ約0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を100℃として15分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、ポストベイクの時間を30分間、及び45分間に変化させて実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図11(C)に示す。図11(C)に示すように、加熱時間を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0169】
[試験例7]
光不溶化挙動の確認(7)(加熱温度依存性):
実施例7−2で得られた感光性樹脂組成物を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を80℃として15分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、ポストベイクの温度を100℃に変化させて実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図12(A)に示す。図12(A)に示すように、加熱温度を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0170】
[試験例8]
光不溶化挙動の確認(8)(添加量依存性):
実施例7−1で得られた感光性樹脂組成物(PGMAのモノマーユニットに対して1.6mol%のもの)を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を100℃として15分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、実施例7−2(同様に1.0mol%のもの)に対して実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線:加熱温度依存性)を作成した。得られた感度曲線を図12(B)に示す。図12(B)に示すように、塩基発生剤の添加量を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0171】
[試験例9]
光不溶化挙動の確認(9)(加熱時間依存性):
実施例7−2で得られた感光性樹脂組成物を1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ約0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を100℃として5分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定した。そして、同様な操作を、ポストベイクの時間を15分間に変化させて実施し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。得られた感度曲線を図12(C)に示す。図12(C)に示すように、加熱時間を増加させるにつれてポリグリシジルメタクリレート(PGMA)の不溶化効率が向上することが確認できた。
【0172】
[試験例10]
塩基発生剤の比較:
実施例6−1及び実施例7−1で得られた感光性樹脂組成物をそれぞれ1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ約0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を100℃として30分間実施し、クロロホルムで30秒間現像し、残っている膜の厚さを測定し、それぞれについて露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。結果を図13に示す。
【0173】
図13は、実施例6−1及び実施例7−1で得られた感光性樹脂組成物の感度評価結果を比較した図である。同じ製膜条件で比較した場合、実施例6−1の方が少ない露光量で不溶化挙動を示し、残像率が高くなることが確認できた。
【0174】
[試験例11]
感光性樹脂組成物の光不溶化挙動の確認:
実施例6−2で得られた感光性樹脂組成物について、1.5gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で1分間プリベイクすることにより、厚さ約0.6μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、露光量を8000mJ/cm2として照射し、ポストベイクの温度を100℃として、15、30、60分間加熱し、反応をFT−IRで反応追跡した。
【0175】
文献値からは、エポキシ基由来のピーク=907cm−1である。907cm−1における加熱時間とピーク面積比の減少率の関係を図14に示す。なお、ピーク面積比の減少率は、加熱時間=0分の面積を1として算出した。
【0176】
図14に示すように、加熱時間が長くなるに従って、907cm−1におけるピーク面積比は減少している。これは、エポキシ基と、光照射により発生する塩基が反応することにより、エポキシ基が硬化して不溶化していることが確認できた。
【0177】
なお、[試験例1]〜[試験例11]、及び後記する試験例([試験例14]も参照)で評価した、実施例に係る膜については、露光した場合における炭酸ガス発生による凸凹も見られなかった。
【0178】
[製造例3]
カルボン酸の製造(3):
下記(1)、(2)の操作を用いて、式(III−3)に示すカルボン酸を製造した。
【0179】
(1)中間体(1)の製造:
ナスフラスコにアセトニトリル(CH3CN)50ml、下記式(R)に示す7−メトキシ−1−テトラロン8.0g(454mmol)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)9.6g(542mmol)を入れ、遮光した状態で30時間混合・撹拌した。撹拌後、チオ硫酸ナトリウム水溶液で抽出した後、酢酸エチルとヘキサンを酢酸エチル/ヘキサン=1/7の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより分離し、下記式(H−4)に示す中間体(1)の黄色固体を収量7.7g、収率67%で得た。
【0180】
【化47】
【0181】
【化48】
【0182】
(2)中間体(2)の製造:
二口フラスコに式(P)に示すホスホニウム塩8.7g(234mmol)、カリウム ter−ブトキシド((CH3)3COK、t−BuOK)2.0g(178mmol)を入れ、さらにテトラヒドロフラン40mlを入れ、室温で6時間混合・撹拌した。撹拌後、(1)で得られた式(H−4)で示す中間体4.7g(185mmol)とテトラヒドロフラン20mlを入れ、室温で24時間撹拌した後、塩酸を入れて反応を停止させ、ジクロロメタンで3回抽出した後、酢酸エチルとヘキサンを酢酸エチル/ヘキサン=1/5の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより分離し、下記式(H−5)に示した中間体(2)を収量2.69g、収率54%で得た。
【0183】
【化49】
【0184】
(3)カルボン酸の製造:
四つ口フラスコにマグネシウム(Mg)0.34g(0.014mol)とテトラヒドロフラン40mlを入れ、室温で10分混合・撹拌した。撹拌後、この四つ口フラスコにテトラヒドロフラン20mlに入れた(2)で得られた、式(H−5)に示す中間体(2)2.69g(0.010mol)を、室温、窒素雰囲気下で滴下した後、1時間加熱環流した。また、ビーカーにドライアイスと加熱環流後の反応液を入れ、ドライアイスが溶けるまで放置した後、塩酸を入れて反応を停止させ、ジクロロメタンで3回抽出した後、酢酸エチルとヘキサンを酢酸エチル/ヘキサン=1/5の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより分離し、式(III−3)で表されるカルボン酸の黄色固体を収量0.859g、収率37%で得た。
【0185】
[実施例8]
塩基発生剤の製造(5):
前記の方法で得られた式(III−3)に示したカルボン酸0.25g(1.05mmol)と、塩基であり式(IV−c)で示した1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン(TBD)0.14g(1.00mmol)をエーテル50mlに入れて混合し、室温で1時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、下記式(X−5)で表される本発明の塩基発生剤の黄色固体を収量0.31g(0.82mmol)、収率80%で得た。
【0186】
【化50】
【0187】
(分解点の測定)
実施例1、実施例4及び実施例8で得られた塩基発生剤について、示差熱熱重量同時測定装置(Tg−DTA)により分解点(熱分解温度)を測定した。結果を表3に示す。表3に示すように、式(III−3)に示したカルボン酸を用いた実施例8に示す塩基発生剤は、320℃と高い分解点を示した。なお、いずれの塩基発生剤の分解点は200℃以上であったが、感光性ポリイミドなどの高温加熱(200℃前後)を必要とする感光性樹脂組成物には、分解点が200℃を超える本発明に係る塩基発生剤は好適である。
【0188】
(分解点)
【表3】
【0189】
光分解挙動の確認(UVスペクトル測定):
実施例8で得られた塩基発生剤について、溶媒としてメタノールを用いて、下記の測定法を用いて光分解挙動の確認を行った。
【0190】
(測定方法)
6.0×10−5mol/lとした実施例8の塩基発生剤のメタノール溶液に波長が254nm及び313nmの光を照射し、紫外可視分光光度計(MultiSpec−1500/(株)島津製作所製)を用いてUVスペクトルの経時変化を確認した。結果を図15(254nm)及び図16(313nm)に示す。図15及び図16に示すように、実施例8で得られた本発明の塩基発生剤は、光照射の露光量に伴って吸収が変化して、光分解挙動が確認できた。なお、図15及び図16に表される315nm付近のピークは、環化反応を起こすときに発生するピークであり、実施例8の塩基発生剤は露光により光環化反応が行われていることが確認できた。
【0191】
また、図17は実施例8の塩基発生剤と、式(III−2)に示すカルボン酸とシクロヘキシルアミンからなる下記式(X−6)で表されるシクロヘキシルアミン塩(実施例X)に関し、それぞれ濃度を6.0×10−5mol/lとしたメタノール溶液に254nmの光を照射し、露光量を、実施例8について0、10、20、40、80、160、320、640mJ/cm2、実施例Xについて0、150、300、600、1200mJ/cm2とするとともに、実施例8については315nm、実施例Xについては318nmにおけるピークの強度を確認した結果(露光量とピーク強度の関係)を示した図である。図17に示すように、両者とも光分解挙動が起こるが、実施例8の塩基発生剤については、比較的小さい(320mJ/cm2程度)露光量で光環化反応がほぼ完結することが確認できた。
【0192】
【化51】
【0193】
[実施例9]
感光性樹脂組成物の製造(4):
式(No.5−6)に表されるケイ素系化合物であるポリメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(PMAS,MW=14000、MW/Mn=1.67)0.1gに対して、実施例1で得られた塩基発生剤を0.0050g(PMAS100質量部に対して5.0質量部)(PMASのモノマーユニットに対して4.0mol%)含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
【0194】
[実施例10]
感光性樹脂組成物の製造(5):
式(No.5−6)に表されるケイ素系化合物であるポリメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(PMAS,MW=14000、MW/Mn=1.67)0.1gに対して、実施例4で得られた塩基発生剤を0.0064g(PMAS100質量部に対して6.4質量部)(PMASのモノマーユニットに対して4.0mol%)含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
【0195】
[実施例11]
感光性樹脂組成物の製造(6):
式(No.5−6)に表されるケイ素系化合物であるポリメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(PMAS,MW=14000、MW/Mn=1.67)0.1gに対して、実施例8で得られた塩基発生剤を0.0062g(PMAS100質量部に対して6.2質量部)(PMASのモノマーユニットに対して4.0mol%)含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
【0196】
[試験例12]
硬化試験(加熱温度依存性)
実施例9、実施例10、実施例11で得られた感光性樹脂組成物を1.0mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、50℃で1分間加熱してプリベイクし、厚さ14μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、1000及び10000mJ/cm2として、室温、50℃、70℃で30分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行い、比較・評価した。結果を図18(実施例9)、図19(実施例10)、図20(実施例11)に示す。
【0197】
図18ないし図20は、試験例12における露光量と鉛筆硬度との関係を示した図であり、露光量を大きくし、加熱温度を高くするに従って硬化が進行することが確認できた。また、実施例11の感光性樹脂組成物は、感度が良好であり、他のものより小さい露光量ないし低い温度で硬化する傾向が見られ、最高硬度として4Hのものが得られた(加熱温度 50℃及び70℃、露光量 10000mJ/cm2)。
【0198】
[試験例13]
硬化試験(加熱時間依存性)
実施例9、実施例10、実施例11で得られた感光性樹脂組成物を1.0mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、50℃で1分間加熱してプリベイクし、厚さ14μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、1000及び10000mJ/cm2として、50℃で15分、30分、60分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行い、比較・評価した。結果を図21(実施例9)、図22(実施例10)、図23(実施例11)に示す。また、加熱時間を60分としたものについて、実施例9、実施例10、実施例11の結果を比較したものをあわせて図24に示す。
【0199】
図21ないし図23は、試験例13における露光量と鉛筆硬度との関係を示した図であり、また、図24は、実施例9ないし実施例11で得られた感光性樹脂組成物の鉛筆硬度測定の結果を比較した図である。露光量を大きくし、加熱時間を長くするに従って硬化が進行することが確認できた。また、実施例11の感光性樹脂組成物は、感度が良好であり、他のものより小さい露光量(特に図24参照)ないし短い加熱時間で硬化する傾向が見られ、最高硬度として4Hのものが得られた(露光量 10000mJ/cm2)。
【0200】
[実施例12]
感光性樹脂組成物の製造(7):
式(No.5−6)に表されるケイ素系化合物であるポリメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(PMAS,MW=14000、MW/Mn=1.67)0.2gに対して、実施例8で得られた塩基発生剤を0.01g(PMAS100質量部に対して5質量部)含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
【0201】
[参考例1]
感光性樹脂組成物の製造(8):
(1)塩基発生剤の製造:
カルボン酸としてケトプロフェン2.0g(7.9mmol)と、塩基であり式(IV−c)で示した1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン(TBD)1.1g(7.9mmol)を溶媒としてテトラヒドロフランに入れて混合し、室温で1時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、エーテルを加えて攪拌後、デカンテーションを行い、未反応のケトプロフェンとTBDを除去した。除去した後、減圧乾燥を行い、下記式(Y)で表される塩基発生剤の白色固体を収量1.8g、収率58%で得た。
【0202】
【化52】
【0203】
(2)感光性樹脂組成物の製造:
式(No.5−6)に表されるケイ素系化合物であるポリメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(PMAS,MW=14000、MW/Mn=1.67)0.2gに対して、(1)により得られた塩基発生剤を0.01g(PMAS100質量部に対して5質量部)含有させることにより感光性樹脂組成物を得た。
【0204】
[試験例14]
炭酸ガス発生の有無の確認:
実施例12及び参考例1で得られた感光性樹脂組成物を0.5mlのメタノールに溶解させて試料溶液とした。この試料溶液を3分間減圧乾燥して溶媒(メタノール)をできる限り飛ばした後、ガラス基板上にバーコートして製膜した。製膜後、上方から石英ガラスで挟み、クリップで固定した状態で、露光量を0(ブランク)、1000及び10000mJ/cm2として、Hg−Xeランプ(フィルターなし)で露光後、50℃×30分間加熱を行い、膜を目視で観察して、炭酸ガスの発生の有無を確認した。また、製膜したものについては、同様な露光・加熱条件における鉛筆硬度を測定し、照射時間に対応する鉛筆硬度を確認した。結果を表4に示す。
【0205】
(結果)
【表4】
【0206】
表4に示すように、カルボン酸としてケトプロフェンを用いた参考例1の塩基発生剤については、露光量を1000、10000mJ/cm2とすると炭酸ガスが発生する。一方、実施例12の塩基発生剤では、同様な露光量であっても炭酸ガスを発生せず、2H、3Hの鉛筆硬度を呈することが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明は、高感度の光硬化材料やレジスト材料(パターン形成材料)等を提供する感光
性樹脂材料として有利に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボン酸と塩基類からなるカルボン酸化合物であって、下記式(X)で表されること
を特徴とするカルボン酸化合物。
【化1】
(式(X)中、R1、R2、R3はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、または有機基を示し、同一であっても異なっていてもよい。R1、R2、R3は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。R4、R5、R6、R7はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アルコキシ基、アミド基または有機基を示し、同一であっても異なっていてもよい。R4、R5、R6、R7は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、Bは塩基としてはたらく塩基類、を示す。)
【請求項2】
下記式(X’)からなることを特徴とする請求項1に記載のカルボン酸化合物。
【化2】
(式(X’)中、R1、R2、R4、R5、R6は前記式(X)に示した基と同じであり、また、R1、R2は、結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。R4、R5、R6は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、nは0〜6の整数を示す。)
【請求項3】
前記請求項1または請求項2に記載のカルボン酸化合物からなることを特徴とする塩基発生剤。
【請求項4】
前記塩基類が下記式(I)、式(II)、式(IV)及び式(V)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の塩基発生剤。
【化3】
(式(I)中、nは1〜3の整数を示す。)
【化4】
(式(II)中、Rはそれぞれ、独立して水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基(S等のヘテロ原子を含んでもよい。)、またはフェニル基、を示す。)
【化5】
(式(IV)中、R1〜R5はそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示す。)
【化6】
(式(V)中、R1〜R7はそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示す。)
【請求項5】
前記請求項3または請求項4に記載の塩基発生剤と、塩基反応性化合物とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記塩基反応性化合物がエポキシ系化合物、ケイ素系化合物及びオキセタン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、チオール化合物を含むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項1】
カルボン酸と塩基類からなるカルボン酸化合物であって、下記式(X)で表されること
を特徴とするカルボン酸化合物。
【化1】
(式(X)中、R1、R2、R3はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、または有機基を示し、同一であっても異なっていてもよい。R1、R2、R3は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。R4、R5、R6、R7はそれぞれ、独立して水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アルコキシ基、アミド基または有機基を示し、同一であっても異なっていてもよい。R4、R5、R6、R7は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、Bは塩基としてはたらく塩基類、を示す。)
【請求項2】
下記式(X’)からなることを特徴とする請求項1に記載のカルボン酸化合物。
【化2】
(式(X’)中、R1、R2、R4、R5、R6は前記式(X)に示した基と同じであり、また、R1、R2は、結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。R4、R5、R6は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。また、nは0〜6の整数を示す。)
【請求項3】
前記請求項1または請求項2に記載のカルボン酸化合物からなることを特徴とする塩基発生剤。
【請求項4】
前記塩基類が下記式(I)、式(II)、式(IV)及び式(V)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の塩基発生剤。
【化3】
(式(I)中、nは1〜3の整数を示す。)
【化4】
(式(II)中、Rはそれぞれ、独立して水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基(S等のヘテロ原子を含んでもよい。)、またはフェニル基、を示す。)
【化5】
(式(IV)中、R1〜R5はそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示す。)
【化6】
(式(V)中、R1〜R7はそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示す。)
【請求項5】
前記請求項3または請求項4に記載の塩基発生剤と、塩基反応性化合物とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記塩基反応性化合物がエポキシ系化合物、ケイ素系化合物及びオキセタン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、チオール化合物を含むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の感光性樹脂組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−250969(P2012−250969A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196094(P2011−196094)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【Fターム(参考)】
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