説明

カーエアコン用消臭フィルター、携帯用消臭具、消臭用タバコケース、消臭用パネル、観賞用消臭具、消臭用ペット腹巻き、消臭用ペット足当て、天日干し用補助シート、消臭装置、及び、ダクト用フィルター

【目的】着脱が容易で、消臭効果を長期間持続させることができるカーエアコン用フィルターを提供すること。
【解決手段】カーエアコン吹出口4の外側に配置されるフィルター本体5と、フィルター本体5を保持する枠体6と、フィルター本体5と枠体6とをカーエアコン吹出口4の外側に配置させるために、これらをインストルメントパネル3に取り付ける取付具2とからなる。フィルター本体5は、金属線の太さが0.14mm、メッシュ目が40/インチのステンレス製の金網によって構成する。フィルター本体5には、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質を塗布しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒を活用した各種民生品に関し、更に詳しくは、カーエアコンの吹出口から出る悪臭や、コミュニケーション空間でのタバコの煙の消臭、居住空間における雑菌排除を行うための各種民生品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンをかけてカーエアコンのスイッチを入れると、エアコンかけ始めの最初の数分間はカーエアコンの吹出口から悪臭が出る。この悪臭には、自動車内の空気のほか、他車の排気ガス(窒素酸化物)が含まれる。そのため、この悪臭を除去するための技術が各方面から提案されている。
例えば、特許文献1には、自動車の空調装置に組み付けられるカーエアコン用フィルターとして、塵や埃を除去するフィルター本体と、芳香・消臭・殺菌・マイナスイオン発生等の機能を付与した機能材と、フィルター本体及び機能材を収容する枠体とを備えたものが開示されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のカーエアコン用フィルターは、インストルメントパネル内にビルトインされることが前提となっており、運転手が手軽にそのカーエアコン用フィルターを着脱することができないという問題があった。また、特許文献1に記載のカーエアコン用フィルターは、インストルメントパネル内にビルトインされるため、紫外線に当たることがない。そのため、光触媒を活用することができないという問題があった。
【0004】
また、禁煙は、職場や公共場所等のコミュニケーション空間においては、もはや常識となっている。しかしながら、個人的な社交の場や酒席等においては、禁煙を徹底しすぎると却って場の雰囲気を悪くする。一方、禁煙エリアでなければ当たり前のように喫煙をするのも、タバコの煙を嫌う人がいれば、また場の雰囲気を悪くする。
【0005】
そこで、各種のタバコの消臭技術が開示されている。例えば、特許文献2には、合成繊維の不織布からなる消臭性のフィルター材として、該フィルター材を構成する繊維表面に、合成樹脂バインダーを介して、ポリアミン化合物、ヒドラジド化合物から選ばれた少なくとも1種類の消臭性有機化合物および消臭性無機系化合物とが固着されているものが開示されている。また、特許文献3には、無機系化合物(銅、亜鉛、銀、鉛、鉄等)及びポリビニルアミン化合物等を繊維材料の表面に塗布し、熱処理を行って得られる消臭性繊維材料が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載のタバコ等の消臭用の合成繊維の不織布からなるフィルター材は、製造に際して合成樹脂バインダーを介する必要があるため製造に手間がかかるという問題があった。また、特許文献3に記載のタバコ等の消臭用の消臭性繊維材料は、製造に際して熱処理を行う必要がある。従って、そのための特別の設備が必要となるほか、作業のための人件費も必要となり、全体としてコストが嵩むという問題があった。
【0007】
また、近年、マンション暮らしが増加しており、屋内でペットを飼育する世帯が増加している。犬等のペットは、毎日散歩させる必要がある。そのため、雑菌を屋外から屋内へ知らないうちに持ち込んでいる可能性がある。そこで、ペットの体が汚れるのを防ぐためにペット用の衣服や靴がペットショップで見られるようになっている。
【0008】
しかしながら、このような従来のペット用の衣服や靴は、ペットの体が汚れるのを防止することはできるが、散歩後そのまま室内へ入れば、衣服や靴に付着した雑菌を屋内に持ち込むことになる。そのため、雑菌を完全に除去するには、屋外で脱がせて洗濯しなければならなかった。天日乾燥させたとしても、汚れや悪臭の原因となる有機物が分解されるわけではなく、砂・埃・雑菌の死骸等は残るという問題があった。また、銀等の抗菌剤が付与されたものも知られているが、既に付着した砂・埃・雑菌の死骸等の上に散歩等で屋外の雑菌等が付着すると、抗菌剤が作用しなくなるという問題があった。
【0009】
また、一般的にダニは、その体調が成虫で約0.3mmから0.4mmと小さく、人間のフケや垢を餌にして繁殖し、高温多湿(温度20℃から30℃、湿度60%から80%)の環境を好むことが知られている。特に、布団の中にダニがわきやすい。そのため、このダニを少しでも駆除したり、ダニの発生を防止するため、布団干しが数日おきに行われる。
しかしながら、このダニを完全に死滅させるためには、40℃以上の環境に数十分から数時間おく必要がある。そのため、単に天気の良い日に布団を干すだけでは、かかる条件を満たすことはできず、真夏でも不十分であるという問題があった。
【0010】
また、排気用・空調用のダクトは、油汚れ等が溜まりやすい。一般にダクトには、ダクト汚れを防止するために、フィルターが設けられるが、フィルターを設けても汚れを完全に除去することはできない。そのため、頻繁に、フィルターを取り替えたり、ダクトを掃除したりする必要があった。事業用のダクトの場合、メンテナンスは、専用の作業員に行わせるため、回数が増えればそれだけランニングコストが増加するという問題があった。
【0011】
【特許文献1】特開2001−213157
【特許文献2】特開2000−312809
【特許文献3】特開平10−60778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、近年、光触媒技術が着目されている。例えば、光触媒活性を有する酸化チタンを含有する物質(以下単に「光触媒活性を有する酸化チタン含有物質」という。)として、特許第2875993号公報に開示されたアナターゼ分散液およびその製造方法が周知である。この特許に係るアナターゼ分散液(以下単に「アナターゼ分散液」という。)は、光触媒活性を有する薄黄色の半透明又は不透明液体であり、表面をペルオキソ基で修飾したアナターゼ微粒子が水中に分散したものである。
【0013】
アナターゼ分散液は、チタン含有液体から沈殿形成によって形成した水酸化チタン、もしくはチタン酸化物を水中に分散した液に、過酸化物を添加してペルオキソチタン溶液とした後に、ペルオキソチタン溶液を、85℃〜200℃において、40時間〜2時間の加熱処理を得て得られるものである。
【0014】
アナターゼ分散液は、日光(紫外線)や蛍光灯の光を用いて、空気中の水と酸素から活性酸素を作り出し、有機物質を分解し、無害な炭素ガスと水に変えて放出する機能を有する。その効果は、光が当たる限り続く。また、アナターゼ分散液は、ハロゲンや有機物を含まず、常温において安定性も高い。
【0015】
従って、アナターゼ分散液を、タバコの煙や悪臭、屋外から持ち込まれる雑菌の除去に活用すれば、より清潔で快適な環境を作ることができる。更に、排気用・空調用のダクトに取り付けられるフィルターにもこれを応用すれば、フィルターやダクト内の悪臭や油汚れ等を低減することができる。しかしながら、アナターゼ分散液の利点を活用した商品開発は殆ど行われていない。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。
【0016】
本発明の第一の目的は、着脱が容易で、消臭効果を長期間持続させることができ、ドライバーの健康を維持することができるカーエアコン用フィルターを提供することにある。
本発明の第二の目的は、タバコの煙の臭気を除去することができ、周囲の人々に対する気配りの意思表示が可能な携帯用消臭具、消臭用タバコケース、消臭用パネル、観賞用消臭具及び消臭装置を提供することにある。
本発明の第三の目的は、管理が容易で、簡単に雑菌除去が可能な消臭用ペット腹巻き、消臭用ペット足当て、及び、天日干し用補助シートを提供することにある。
本発明の第四の目的は、排気用・空調用のダクト及びそのフィルター自体の悪臭や油汚れを除去することができるダクト用フィルターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明に係るカーエアコン用消臭フィルターは、カーエアコン吹出口の外側に配置されるフィルター本体であって、織布、不織布及び金網からなる群の少なくともいずれか一からなるフィルター本体と、前記フィルター本体を保持する枠体と、前記フィルター本体と前記枠体とを前記カーエアコン吹出口の外側に配置させるために、これらを当該自動車内のインストルメントパネルに取り付ける取付手段とからなるカーエアコン用消臭フィルターであって、前記フィルター本体は、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されていることを特徴とする。
【0018】
この場合において、前記フィルター本体は、ステンレス製の金網であり、当該金網を構成するメッシュの目開きは0.388mmより広く、0.515mmより狭いものであるとよい。
【0019】
ここで、「光触媒活性を有する酸化チタン含有物質」とは、これに含有される酸化チタンが日光や蛍光灯の紫外線を受けて、水や溶存酸素などとの反応により活性酸素を生じ、この活性酸素により有機物質を分解して炭酸ガスと水に変えて放出させる物質をいう(以下同様)。好適なものとして、例えば、アナターゼ分散液、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯用消臭具は、クッション材と、前記クッション材の外表面に施される、織布、不織布及び金網からなる群の少なくともいずれか一の被覆材とからなる携帯用消臭具であって、前記被覆材は、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されているとともに、当該携帯用消臭具は、その形態が動植物の形態の全部又は一部に基づいて構成されていることを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するために、本発明に係る消臭用タバコケースは、織布、不織布及び金網からなる群の少なくともいずれか一の材料からなる開口した筐体からなる消臭用タバコケースであって、前記筐体は、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されていることを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明に係る消臭用パネルは、板状体と、前記板状体の外表面に施される、織布、不織布及び金網からなる群の少なくともいずれか一の表面材と、前記表面材が施された板状体を起立させた状態に保持する保持手段とからなる消臭用パネルであって、前記表面材は、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されるとともに、当該消臭用パネルの少なくとも一表面には文字、図形その他の情報が表示されていることを特徴とする。
【0023】
上記課題を解決するために、本発明に係る観賞用消臭具は、タバコの煙を吐く場所であることを示す指標提示手段と、織布、不織布及び金網からなる群の少なくともいずれか一の材料からなる被観賞手段であって、その形態が動植物の形態の全部又は一部に基づいて構成された被観賞手段とからなる観賞用消臭具であって、前記被観賞手段は、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されていることを特徴とする。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明に係る消臭用ペット腹巻きは、長方形の全ての角部をその長手方向及び幅方向に対して45度傾斜で、長手方向又は幅方向の中心線を基準として線対称になるように、折りたたんだ形状を有する織布又は不織布であって、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布された織布又は不織布と、前記織布又は不織布を環状に連結させるための連結手段とからなることを特徴とする。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明に係る消臭用ペット足当ては、エ字状の形状を有し、クッション材を間に挟んで重なり合わされた織布又は不織布であって、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布された織布又は不織布と、前記エ字状の形状の各端部に設けられた連結手段とからなることを特徴とする。
【0026】
上記課題を解決するために、本発明に係る天日干し用補助シートは、暗色で無数の孔が形成された織布又は不織布からなる殺菌分解手段であって、その表裏両面に、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布された殺菌分解手段と、前記殺菌分解手段の両側の側端部に架け渡される弾性部材とからなることを特徴とする。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明に係る消臭装置は、光を通す筒状の筐体と、前記筐体の上端面又は下端面に設けられる吸気ファンと、前記筐体に収容される金属製の綿状体とを備えた消臭装置であって、前記綿状体の表面には、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されていることを特徴とする。
【0028】
上記課題を解決するために、本発明に係る消臭装置は、筒状の筐体と、前記筐体の上端面又は下端面に設けられる吸気ファンと、前記筐体に収容される金属製の綿状体と、前記筐体に収容される紫外線照射手段とを備えた消臭装置であって、前記綿状体の表面には、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されていることを特徴とする。
【0029】
上記課題を解決するために、本発明に係るダクト用フィルターは、金網からなるフィルター本体と、前記フィルター本体を保持する枠体と、前記フィルター本体と前記枠体とをダクトに取り付ける取付手段とからなるダクト用フィルターであって、前記フィルター本体は、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るカーエアコン用フィルターによれば、着脱が容易で、消臭効果を長期間持続させることができ、ドライバーの健康を維持することができるという効果がある。
本発明に係る携帯用消臭具、消臭用タバコケース、消臭用パネル、観賞用消臭具及び消臭装置によれば、タバコの煙の臭気を除去することができ、周囲の人々に対する気配りの意思表示をすることができるという効果がある。
本発明に係る消臭用ペット腹巻き、消臭用ペット足当て、及び、天日干し用補助シートによれば、その管理が容易で、簡単に雑菌除去が可能であるという効果がある。
本発明に係るダクト用フィルターによれば、排気用・空調用のダクト及びそのフィルター自体の悪臭や油汚れを除去することができるという効果がある。また、ランニングコストを低減させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、図面を参照して、本発明の各種実施形態について説明する。
(カーエアコン用フィルター)
図1は、本発明の一実施形態に係るカーエアコン用フィルター1の外観を示し、図2は、カーエアコン用フィルター1の取付具2を上面及び側面からみた状態を示し、図3は、カーエアコン用フィルター1を自動車のインストルメントパネル3に取り付けた状態を示す。
図1に示したカーエアコン用フィルター1は、カーエアコン吹出口4の外側に配置されるフィルター本体5と、フィルター本体を保持する枠体6と、フィルター本体5と枠体6とをカーエアコン吹出口4の外側に配置させるためにインストルメントパネル3に取り付けるための取付具2とからなる。
【0032】
フィルター本体5は、金属線の太さが0.14mm、メッシュ目が40/インチ(1インチあたり左右にそれぞれ40の升目がある)、目開きが0.495のステンレス製の金網からなる。このフィルター本体5の表裏両面には、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されている。本実施形態においては、特許第2875993号公報に記載のアナターゼ分散液に係る、2005年7月現在販売時点における商品「セレクトクリーン」(以下単に「商品「セレクトクリーン」」という。)(商標登録出願中)(販売者「コムクリエイト株式会社」)の原液が1m当たり16cc〜20ccの割合で塗布されている。
【0033】
商品「セレクトクリーン」は、コンプレッサー(株式会社アサヒペン製造の商品名「トーマス851」)(ガンは口径0.9mmの動式ガン(有限会社北伸精機製造))を用いて、原液で1m当たり16cc〜20ccの量になるように噴出及び乾燥を数回繰り返すことにより塗布される。
【0034】
フィルター本体5としては、ステンレス製の金網の他に、織布や不織布を用いることもできる。例えば、不織布として、ポリプロピレン(PP)を原料とした連続長不織布を用いることができる。具体的には、日本不織布株式会社製造の製品名「ポリプロピレン スパンボンド不織布 スプリトップ」(品番「SP−1040E」)に径3mmの孔を1cm間隔で空けたものが用いられる。商品「セレクトクリーン」の塗布方法及び塗布量は、フィルター本体5としてステンレス製の金網を用いた場合と同様である。
【0035】
枠体6は、布が用いられる。布の種類は特に限定されない。取付具2には、伸縮性の紐状の引掛部7と、高分子樹脂製の鈎状部材8が含まれる(図1及び図2参照)。枠体6及び引掛部7は、ミシン等によってフィルター本体5に縫いつけられる。
【0036】
取付具2を構成する鈎状部材8には、両面接着テープ9が貼り付けられている。図3に示したように、鈎状部材8を含む部分は、この両面接着テープ9によって自動車のインストルメントパネル3のカーエアコン吹出口4の両側に取り付けられる。すなわち、カーエアコン用フィルター1は、引掛部7を鈎状部材8に引っ掛けるという簡単な作業で取り付けることができる。
【0037】
ここで、カーエアコン用フィルター1の製造手順について説明する。まず、商品「セレクトクリーン」の原液をステンレス製の金網に1m当たり16cc〜20ccの割合で塗布する。次に、その原液塗布後のステンレス製の金網を所定の大きさ(カーエアコン吹出口4の形状に合わせる。)に裁断する。次に、得られたフィルター本体5の周りに枠体6を宛って、引掛部7を挟み込みつつ縫い合わせる。鈎状部材8については、耐熱温度の高い市販品を用いる。このようにして、カーエアコン用フィルター1が完成する。商品「セレクトクリーン」の塗布に際しては、熱処理や事前のバインダー塗布が不要である。従って、カーエアコン用フィルター1は、簡単な手法で製造ができる。
【0038】
次に、カーエアコン用フィルター1の作用について説明する。カーエアコン用フィルター1を取り付けた状態で、自動車のエンジンをかけ、カーエアコンのスイッチを入れると、カーエアコン吹出口4から排出される気流のうち悪臭成分は、フィルター本体5に被覆された光触媒活性を有する酸化チタンによって吸着される。光触媒活性を有する酸化チタンは、自動車窓やフロントガラスから差し込む日光によって触媒活性を示す。そのため、光触媒活性を有する酸化チタンの光触媒活性によって、その悪臭成分が分解される。
【0039】
この光触媒活性を有する酸化チタンの効果は、日光が降り注ぐ限り永久に持続する。そのため、長期間の使用が可能になり、頻繁に取り替えをしなくてよいため、経済的である。また、着脱は、引掛部7を鈎状部材8に引っ掛けたり、鈎状部材8から取り外すというだけで済むため簡単である。
【0040】
(携帯用消臭具及び消臭用タバコケース)
図4は、本発明の一実施形態に係るタバコの消臭に用いられる携帯用消臭具10,11、すなわち、(a)消臭用マスコット10、及び、(b)消臭用リストバンド11の外観を示す。これらの携帯用消臭具10,11の表面には、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質として商品「セレクトクリーン」が原液で1m当たり16cc〜20ccの割合で塗布されている。
【0041】
消臭用マスコット10は、綿の塊の外表面にフェルトを施した携帯用消臭具である。消臭用マスコット10は、その形態が動植物の形態の全部又は一部に基づいて構成されている。消臭用リストバンド11は、伸縮性のあるパイル地を縫い加工して製造された携帯用消臭具である。いずれも人目を引きやすい形態をしているため、一旦、一般大衆がこれをタバコの臭気を除去する消臭グッズであることを認知すれば、喫煙者はこれを使用することによって周囲の人に対する気配りの意思表示をすることができる。
【0042】
図5は、本発明の一実施形態に係る消臭用タバコケース12にタバコを入れた状態の外観を示し、図6は、消臭用タバコケース12の製造手順を説明するための工程を示す。消臭用タバコケース12は、不織布からなる開口した筐体からなる。そして、その不織布には、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質として商品「セレクトクリーン」が原液で1個あたり2ccの割合で塗布されている。原液塗布量は、1m当たり16cc〜20ccの割合である。不織布としては、日本不織布株式会社製造の製品名「ポリプロピレン スパンボンド不織布 スプリトップ」(品番「SP−1040E」)が用いられている。
【0043】
消臭用タバコケース12の製造手順について説明する。まず、不織布の両面及び中敷き13(図6参照)の片面に商品「セレクトクリーン」を原液で1m当たり16cc〜20ccの割合で塗布しておく。そして、図6(a)に示したように消臭用タバコケース12の型紙14を切り出し、同図(b)に示したように消臭用タバコケース12の開口部分となる箇所に芯材15(針金に高分子樹脂を被覆)を縫いつける。次に、同図(c)(d)に示したように、型紙14を所定の形状に折りたたんで縫いつける。最後に、同図(e)に示したように、消臭用タバコケース12の内側の底に中敷き13を接着材や両面テープを介して取り付ける。これによって消臭用タバコケース12が完成する。
【0044】
携帯用消臭具10,11及び消臭用タバコケース12の使い方は次の通りである。喫煙者が煙を吐くときに携帯用消臭具10,11又は消臭用タバコケース12を口から10cm〜20cmのところに持って行き、煙を吐く。これによって、煙の臭気成分が塗布された光触媒活性を有する酸化チタンによって吸着され、日光や蛍光灯の光が当たることによってその酸化チタンが光触媒活性を示し、煙の臭気成分が分解される。そのため、タバコの臭気が除去される。また、周囲の人は、喫煙者が携帯用消臭具10,11又は消臭用タバコケース12を口に近づけていって煙りを吐く仕草から、喫煙者の気遣いに気付くことができる。
【0045】
図7は、本発明の一実施形態に係る消臭用パネル16の外観を示す。消臭用パネル16は、不織布17が表裏両面に被覆された板状体18と、板状体18を起立させた状態に保持する保持部材19とからなる。消臭用パネル16の裏表面には、何らかの文字、図形その他の情報20が表示されている。
【0046】
そして、消臭用パネル16の裏表両面(すなわち、不織布17又は情報20が表示された面)の上から、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質として商品「セレクトクリーン」の原液が1m当たり16cc〜20ccの割合で塗布されている。不織布としては、日本不織布株式会社製造の製品名「ポリプロピレン スパンボンド不織布 スプリトップ」(品番「SP−1040E」)が用いられている。
【0047】
次に、消臭用パネル16の製造手順について説明する。不織布17又は情報20の上に予め商品「セレクトクリーン」を上記の所定量で塗布しておく。そして、所定の大きさに裁断された不織布17を厚紙からなる板状体18の上に被覆して、接着材や縫いつけによって不織布17が剥がれないようにする。また、アクリル樹脂からなる保持部材19を別途製造しておく。この保持部材19に板状体18を差し込めば消臭用パネル16ができあがる。
【0048】
消臭用パネル16の使い方は次の通りである。消臭用パネル16は、レストランや喫茶店に配置される。そして、喫煙者は消臭用パネル16を自分の前、10cm〜50cm程度の距離において、タバコの煙をこれに向かって吐く。これによって、タバコの煙が不織布17や情報20に塗布された光触媒活性を有する酸化チタンによって吸着され、日光や蛍光灯の光が当たることによってその酸化チタンが光触媒活性を示し、タバコの臭気成分が分解される。
【0049】
そのため、タバコの臭気が除去される。また、周囲の人は、喫煙者が消臭用パネル16に顔を近づけていって煙りを吐く仕草から、喫煙者の気遣いに気付くことができる。更に、周囲の人は、消臭用パネル16の反対側の面にも何らかの情報が表示されているため、これを眺めることによって飽きることがない。
【0050】
(観賞用消臭具)
図8は、本発明の一実施形態に係る観賞用消臭具39の外観を示す。
観賞用消臭具39は、タバコの煙を吐く場所であることを示すマーク40と、織布や不織布によって形成された葉、茎や花の形態をあしらった造花等の目で見て楽しむことができる被観賞体41とによって構成される。この被観賞体41は、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質として商品「セレクトクリーン」が原液で1m当たり16cc〜20ccの割合で塗布されている。
【0051】
観賞用消臭具39の使い方は次の通りである。観賞用消臭具39は、レストランや喫茶店に配置される。喫煙者は、煙を吐く対象であるか否かをマーク40の有無によって判断できる。そして、喫煙者は観賞用消臭具39を自分の前、10cm〜50cm程度の距離において、タバコの煙をこれに向かって吐く。これによって、タバコの煙が被観賞体41に塗布された光触媒活性を有する酸化チタンによって吸着され、日光や蛍光灯の光が当たることによってその酸化チタンが光触媒活性を示し、タバコの臭気成分が分解される。
【0052】
そのため、タバコの臭気が除去される。また、周囲の人は、喫煙者が観賞用消臭具39に顔を近づけていって煙りを吐く仕草から、喫煙者の気遣いに気付くことができる。
【0053】
図9は、本発明の一実施形態に係る消臭用ペット腹巻き21及び消臭用ペット足当て22の外観を示す図である。消臭用ペット腹巻き21は、長方形の全ての角部をその長手方向及び幅方向に対して45度傾斜で、長手方向又は幅方向の中心線を基準として線対称になるように、折りたたんだ形状を有する腹巻き本体23と、腹巻き本体を環状に連結させるための連結紐24a,24bとからなる。腹巻き本体23の裏表両面には、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質として商品「セレクトクリーン」が原液で1m当たり16cc〜20ccの割合で塗布されている。腹巻き本体23の材質は特に限定されないが、織布又は不織布を用いることができる。
【0054】
消臭用ペット腹巻き21は、腹巻き本体23を犬等のお腹部分に当てて、連結紐24aと24a、及び、連結紐24bと24bをそれぞれ結ぶことによってその犬等に装着することができる。
【0055】
消臭用ペット足当て22は、エ字状の形状を有し、クッション材を間に挟んで重なり合わされたフェルト25からなる。フェルト25には、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質として商品「セレクトクリーン」が原液で1m当たり16cc〜20ccの割合で塗布されている。また、エ字状の形状の各端部26には面ファスナーからなる連結部27a,27b及び連結部28a,28bが設けられる。連結部27a,28aがフック部分、連結部27b,28bがループ部分である。
【0056】
消臭用ペット足当て22は、図9の足跡のマークが付いているところに犬等の足を載せて、犬等の爪よりも足の甲側のところで連結部27aと27bをつなぎ合わせ、連結部28aと28bとを足首の周りでつなぎ合わせることによって犬等に装着することができる。
【0057】
犬等のペットに消臭用ペット腹巻き21と消臭用ペット足当て22を装着させると、犬等がアスファルトの上を歩いたり走ったりしても、アスファルトの熱がお腹や足に直接伝わるのが遮られるとともに、お腹や足の裏に付着するはずの塵やゴミは全て腹巻き本体23や消臭用ペット足当て22に付着する。そして、表面に塗布された光触媒活性を有する酸化チタンによって、その塵やゴミが吸着され、日光等によって光触媒活性が得られ、それらは分解される。散歩から帰ったら、この分解作用を完全なものとするために、天日干しを行えばよい。日光によって光触媒活性が得られ、付着した塵やゴミが分解されるからである。そのため、洗濯等をしなくても次回使用が可能となる。
以上説明したように、消臭用ペット腹巻き21や消臭用ペット足当て22は、その管理が容易で、簡単に雑菌除去が可能である。
【0058】
(天日干し用補助シート)
図10は、本発明の一実施形態に係る天日干し用補助シートの(a)外観図及び(b)使用状態を示す。同図(a)に示す天日干し用補助シート42は、暗色(黒色)の不織布43と、両側の側端部に架け渡されるゴム紐44からなる。不織布43には、紫外線を布団45の表面へ通すための径3mmの孔が1cm間隔で形成されている。また、不織布43の表裏両面に、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質として商品「セレクトクリーン」が原液で1m当たり16cc〜20ccの割合で塗布されている。不織布43としては、黒色の日本不織布株式会社製造の製品名「ポリプロピレン スパンボンド不織布 スプリトップ」(品番「SP−1040E」)が好適である。
【0059】
天日干し用補助シート42は、同図(b)に示したように、ベランダ等に布団45を干すときに、布団45に被せて使用する。天日干し用補助シート42は、ゴム紐44と不織布43とによって布団45を挟んでこれを狭持する。かかる状態で布団45を天日干しすると、不織布43を黒色にしたために、熱を吸収して、布団45と不織布43との間の温度として40℃以上が確保される。そのため、ダニを死滅させることができる。
【0060】
また、不織布43には、無数の孔を形成したので布団45と不織布43との間にも紫外線を到達させることができる。そのため、布団45の表面のダニの死骸や塵等を酸化チタンによる光触媒活性作用によって分解することができる。従って、死滅したダニの残骸が分解除去される。
【0061】
図11は、本発明の一実施形態に係る消臭装置29の一部切り欠き外観斜視図である。同図に示したように、消臭装置29は、光を通す筒状の筐体30と、筐体30の上端面に設けられる吸気ファン31と、筐体30に収容されるスチールウール32と、筐体30の下方に形成される通気孔33と、電源装置34、及び、吸気ファン31の上に被せられるステンレス製のフィルター35を備える。スチールウール32及びフィルター35の表裏両面には、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質として商品「セレクトクリーン」が原液で1mあたり16cc〜20ccの割合で塗布されている。
【0062】
次に、消臭装置29の使用方法及びその動作について説明する。まず、消臭装置29をレストランや喫茶店等のコミュニケーション空間にあるテーブル等の上にスイッチを入れて置いておく。喫煙者は、タバコを吸うときに、消臭装置29の上でタバコの煙を吐いたり、タバコをふかしたりする。すると、吸気ファン31によってタバコの煙が吸い込まれる。タバコの臭気成分は、スチールウール32の隙間を通り抜ける際に、その表面に塗布された光触媒活性を有する酸化チタンによって吸着され、日光や室内蛍光灯によって光触媒活性が得られ、分解される。タバコの臭気成分以外の成分は、通気孔33を通って外へ排出される。
【0063】
図12は、本発明の一実施形態に係る消臭装置36の一部切り欠き外観斜視図である。消臭装置36は、筒状の筐体37と、筐体37の上端面に設けられる吸気ファン31と、筐体37に収容されるスチールウール32と、スチールウール32の中心に配置される蛍光灯38と、筐体37の下方に形成される通気孔33と、電源装置34、及び、吸気ファン31の上に被せられるステンレス製のフィルター35を備える。スチールウール32及びフィルター35の表裏両面には、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質として商品「セレクトクリーン」が原液で1mあたり16cc〜20ccの割合で塗布されている。尚、筐体37は光を通さなくてもよい。蛍光灯38が紫外線を照射するため、光触媒活性を得ることができるからである。
【0064】
次に、消臭装置36の使用方法及びその動作について説明する。まず、消臭装置36をレストランや喫茶店等のコミュニケーション空間にあるテーブル等の上に載置し、スイッチを入れて吸気ファン31を作動させ、蛍光灯38を点灯させる。喫煙者は、タバコを吸うときに、消臭装置36の上でタバコの煙を吐いたり、タバコをふかしたりする。すると、吸気ファン31によってタバコの煙が吸い込まれる。
【0065】
タバコの臭気成分は、スチールウール32の隙間を通り抜ける際に、その表面に塗布された光触媒活性を有する酸化チタンによって吸着され、蛍光灯38の紫外線によって光触媒活性が得られ、分解される。タバコの臭気成分以外の成分は、通気孔33を通って外へ排出される。
【0066】
以上説明したように、消臭装置29,36によれば、タバコの臭気成分は、光触媒活性を有する酸化チタンによって吸着され、光触媒活性によって分解されるため、煙の臭気を除去することができる。そのため、周囲の人はタバコの臭気を気にしなくてもよい。消臭装置29,36の上でタバコの煙を吐いたりふかしたりすれば、周囲の人々に対する気配りの意思表示も可能となり、コミュニケーションの一助となる。
【0067】
尚、変形例として、消臭装置29,36を灰皿と一体化して、灰皿の中心部分に取り付けてもよい。これにより、灰を落とすのに、わざわざ別の灰皿を使用することがない。また、消臭装置29,36用のスペースが不要となるため、スペースの有効活用を図ることができる。
【0068】
図示は省略するが、他の変形例として、吸気ファン31は下端面に設けても良い。この場合には、下端面の下に灰皿(図示略)等を配置して、下端面と灰皿との間にタバコの吸い殻を捨てることができる程度の空間を設けておく。かかる構成により、灰皿で吸い殻を受け止め、タバコの煙を吸気ファン31によって吸い込ませる。タバコの臭気成分は、スチールウール32の隙間を通り抜ける際に、その表面に塗布された光触媒活性を有する酸化チタンによって吸着され、日光又は蛍光灯等を受けて分解される。タバコの臭気成分以外の成分は、上端面又は筐体30,37の上部に形成される通気孔を通って外へ排出される。
【0069】
(ダクト用フィルター)
図13は、本発明の一実施形態に係るダクト用フィルターの外観を使用状態と併せて示したものである。同図において、ダクト用フィルター46,47は、ステンレス製の金網からなるフィルター本体48と、フィルター本体48を保持する枠体49と、フィルター本体48と枠体49とをダクト51に取り付ける取付具50とからなる。フィルター本体48としては、カーエアコン用フィルター1と同じ材料のものを用いることができる。
【0070】
フィルター本体48は、光触媒活性を有する二酸化チタン含有物質として、商品「セレクトクリーン」が原液で1m当たり16cc〜20ccの割合で塗布されている。また、フィルター本体48は、商品「セレクトクリーン」を塗布する前後に500℃で熱処理(電気炉に入れる。)することによって硬度や、商品「セレクトクリーン」の付着性を高めることができる。ダクト用フィルター47は、室内に設置されるため、フィルター本体48に紫外線を照射するための、蛍光灯52が更に設けられている。
【0071】
ダクト用フィルター46,47は、同図に示したようにダクト51の入口と出口の両方に取り付けられる。いずれか一方に取り付けるよりも良い光触媒活性効果が得られるからである。
【0072】
次に、ダクト用フィルター46,47の使用方法及びその動作について説明する。まず、ダクト用フィルター46,47を厨房のダクトに取り付ける。厨房で発生した油汚れや蒸気が図示しない換気扇等によってダクトに吸い込まれる。すると、油汚れや蒸気の臭気成分は、フィルター本体48を通り抜ける際に、その表面に塗布された光触媒活性を有する酸化チタンによって吸着され、日光、蛍光灯52又は室内蛍光灯によって光触媒活性が得られ、分解される。
【0073】
ダクト用フィルター46,47によれば、悪臭や油汚れ等が除去される。そして、更に、ダクト用フィルター46,47自体に付着した汚れが分解されることから、そのランニングコストを低減させることができる。フィルター本体48は、ステンレス製の金網からなるものであるため、中性洗剤によって水洗いするだけで簡単にメンテナンスすることができる。
【0074】
(実施例及び評価試験)
表1〜表2は、カーエアコン用フィルター1のフィルター本体5の各種の実施形態における特性及び評価試験の結果を示したものである。各表において、ブランクとあるのは、フィルター本体5を用いないで臭気測定を行った結果を示したものである。
【0075】
評価試験は、株式会社テックジャム製造販売の臭いモニター(商品名「TJ−110」)(以下単に「臭気測定器」という。)を用いて行った。表1〜表3においては、臭気を示すタバコ欄及びアンモニア欄は単に数値のみで表され、単位がない。その理由は、臭気測定器の測定方法が0接点を基準にして、0からどれだけ強い臭気があるかを数値で表すものであるからである。
【0076】
表1においては、タバコ及びアンモニアの臭気測定は次の方法によって行った。ブランクについては、臭気測定器から30cm離れたところから、これに向かって、(1)タバコの煙を吹きかけるか、又は、(2)袋にアンモニア水を詰めて、そこから、アンモニア気体を送り出すことによって測定した。
【0077】
次に、実施例1及び比較例1〜3については、次の手順で測定した。まず、臭気測定器から10cm離れたところに商品「セレクトクリーン」を原液で1m当たり20ccの割合で塗布したステンレス製の金網を載置した。そして、ステンレス製の金網から20cm離れたところ(臭気測定器の反対側)からタバコの煙又はアンモニア気体を臭気測定器に向かって送り出した。そのときに臭気測定器が示した数値を測定した。
【0078】
実施例1及び比較例1〜3の結果によれば、ステンレス製の金網のうち、当該金網を構成するメッシュの目開きが0.388mmより広く0.515mmより狭いものであれば適用可能であることが判明した。0.515mmより大きい場合、タバコやアンモニアの臭気を完全に除去できず、目開きが0.388以下の場合、カーエアコン吹出口4からの送風が不十分となるからである。尚、エアコン送風が充分か否かについては、各ステンレス製の金網をカーエアコン吹出口4に取り付けて、体感測定を行うことにより判定した。
【0079】
【表1】

【0080】
表2においては、タバコの臭気の測定は次の方法によって行った。ブランクについては、タバコの煙を自動車内に充満させてから自動車内の空気を循環させて3分経過後の自動車内の臭気を臭気測定器を用いて測定した。次に、実施例2については、次の手順で測定した。まず、商品「セレクトクリーン」を原液で1m当たり20ccの割合で塗布したフィルター本体5としての不織布(ミシン加工によって径3mmの孔が1cm毎に形成されている。)をカーエアコン吹出口4に取り付けた。そして、自動車のエンジンをかけてカーエアコンのスイッチを入れて、タバコの煙を自動車内に充満させてから自動車内の空気を循環させて3分経過後のフィルター本体5としての不織布から10cm離れたところでのカーエアコン吹出口4から排出される臭気を臭気測定器により測定した。実施例2の結果によれば、フィルター本体5としての不織布によってタバコの臭気を大幅に除去できることが判った。
【0081】
【表2】

【0082】
表3は、消臭パネル16(大きさは、縦25.5cm×横18.3cm)の不織布17の特性及び評価試験の結果を示したものである。同表において、測定装置として上述の臭気測定器を用いた。また、ブランクとあるのは、消臭パネル16を用いないで臭気測定を行った結果を示したものである。
【0083】
表3におけるタバコの臭気測定は、実施例1と同様の手法によって行った。ただし、実施例3においては、商品「セレクトクリーン」の塗布量は原液で1m当たり20ccの割合とした。実施例3の結果によれば、不織布によってタバコの臭気を大幅に除去できることが判った。
【表3】

【0084】
天日干し用補助シート42の評価試験の結果は次の通りであった。
外気温度36.5℃の状態で、上記実施例2の不織布と同じ材質・構成の不織布を用いて製造した天日干し用補助シート42を取り付けて測定した結果、30分後には41℃迄上昇した。これによりダニは死滅したと判断される。紫外線測定器(扶桑理化製品株式会社製造 品番UV−340)による不織布43を通した紫外線の量は、三分の一程度に減少したが、消臭、抗菌効果には十分の量であった。
【0085】
ダクト用フィルター46,47の評価試験の結果は次の通りであった。
飲食店(スパゲティハウス)のダクトに、ダクト用フィルター46,47のフィルター本体48の裏表両面に1m当たり20ccの割合で商品「セレクトクリーン」を塗布したものを取り付けて、ランチタイムに臭気測定器にて臭気を測定したところ、130の数値を示した。一方、ダクト用フィルター46,47の未使用時において、ランチタイムに臭気測定器にて臭気を測定したところ、350の数値を示した。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。光触媒活性を有する酸化チタン含有物質を塗布できるものであれば、不織布、織布、網等の材質は何ら限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係るカーエアコン用消臭フィルター、携帯用消臭具、消臭用タバコケース、消臭用パネル、観賞用消臭具、消臭用ペット腹巻き、消臭用ペット足当て、天日干し用補助シート、消臭装置、及び、ダクト用フィルターは自動車内の悪臭やタバコの臭気だけではなく、医療関係施設、学校、オフィス、工場その他の各種の活動空間において適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施形態に係るカーエアコン用フィルター1の外観を示す図である。
【図2】カーエアコン用フィルター1の取付具2を上面及び側面からみた図である。
【図3】カーエアコン用フィルター1を自動車のインストルメントパネル3に取り付けた状態を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る消臭用マスコット10及び消臭用リストバンド11の外観を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る消臭用タバコケース12にタバコを入れた状態の外観を示す図である。
【図6】消臭用タバコケース12の製造手順を説明するための工程図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る消臭用パネル16の外観を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る観賞用消臭具39の外観図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る消臭用ペット腹巻き21及び消臭用ペット足当て22の外観を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る天日干し用補助シート42の外観図及び使用状態を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る消臭装置29の一部切り欠き外観斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る消臭装置36の一部切り欠き外観斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態に係るダクト用フィルター46,47の外観を使用状態と併せて示したものである。
【符号の説明】
【0089】
1 カーエアコン用フィルター
2 取付具
3 インストルメントパネル
4 カーエアコン吹出口
5 フィルター本体
6 枠体
7 引掛部
8 鈎状部材
9 両面接着テープ
10 消臭用マスコット
11 消臭用リストバンド
12 消臭用タバコケース
13 中敷き
14 型紙
15 芯材
16 消臭用パネル
17 不織布
18 板状体
19 保持部材
20 情報
21 消臭用ペット腹巻き
22 消臭用ペット足当て
23 腹巻き本体
24a,24b 連結紐
25 フェルト
26 各端部
27a,28a 連結部
27b,28b 連結部
29 消臭装置
30 筐体
31 吸気ファン
32 スチールウール
33 通気孔
34 電源装置
35 フィルター
36 消臭装置
37 筐体
38 蛍光灯
39 観賞用消臭具
40 マーク
41 被観賞体
42 天日干し用補助シート
43 不織布
44 ゴム紐
45 布団
46,47 ダクト用フィルター
48 フィルター本体
49 枠体
50 取付具
51 ダクト
52 蛍光灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーエアコン吹出口の外側に配置されるフィルター本体であって、織布、不織布及び金網からなる群の少なくともいずれか一からなるフィルター本体と、
前記フィルター本体を保持する枠体と、
前記フィルター本体と前記枠体とを前記カーエアコン吹出口の外側に配置させるために、これらを当該自動車内のインストルメントパネルに取り付ける取付手段とからなるカーエアコン用消臭フィルターであって、
前記フィルター本体は、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されていることを特徴とするカーエアコン用消臭フィルター。
【請求項2】
前記フィルター本体は、ステンレス製の金網であり、当該金網を構成するメッシュの目開きは0.388mmより広く、0.515mmより狭いものであることを特徴とする請求項1に記載のカーエアコン用消臭フィルター。
【請求項3】
クッション材と、
前記クッション材の外表面に施される、織布、不織布及び金網からなる群の少なくともいずれか一の被覆材とからなる携帯用消臭具であって、
前記被覆材は、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されているとともに、
当該携帯用消臭具は、その形態が動植物の形態の全部又は一部に基づいて構成されていることを特徴とする携帯用消臭具。
【請求項4】
織布、不織布及び金網からなる群の少なくともいずれか一の材料からなる開口した筐体からなる消臭用タバコケースであって、
前記筐体は、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されていることを特徴とする消臭用タバコケース。
【請求項5】
板状体と、
前記板状体の外表面に施される、織布、不織布及び金網からなる群の少なくともいずれか一の表面材と、
前記表面材が施された板状体を起立させた状態に保持する保持手段と、
からなる消臭用パネルであって、
前記表面材は、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されるとともに、
当該消臭用パネルの少なくとも一表面には文字、図形その他の情報が表示されていることを特徴とする消臭用パネル。
【請求項6】
タバコの煙を吐く場所であることを示す指標提示手段と、
織布、不織布及び金網からなる群の少なくともいずれか一の材料からなる被観賞手段であって、その形態が動植物の形態の全部又は一部に基づいて構成された被観賞手段とからなる観賞用消臭具であって、
前記被観賞手段は、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されていることを特徴とする観賞用消臭具。
【請求項7】
長方形の全ての角部をその長手方向及び幅方向に対して45度傾斜で、長手方向又は幅方向の中心線を基準として線対称になるように、折りたたんだ形状を有する織布又は不織布であって、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布された織布又は不織布と、
前記織布又は不織布を環状に連結させるための連結手段と、
からなることを特徴とする消臭用ペット腹巻き。
【請求項8】
エ字状の形状を有し、クッション材を間に挟んで重なり合わされた織布又は不織布であって、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布された織布又は不織布と、
前記エ字状の形状の各端部に設けられた連結手段と、
からなることを特徴とする消臭用ペット足当て。
【請求項9】
暗色で無数の孔が形成された織布又は不織布からなる殺菌分解手段であって、その表裏両面に、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布された殺菌分解手段と、
前記殺菌分解手段の両側の側端部に架け渡される弾性部材とからなることを特徴とする天日干し用補助シート。
【請求項10】
光を通す筒状の筐体と、
前記筐体の上端面又は下端面に設けられる吸気ファンと、
前記筐体に収容される金属製の綿状体とを備えた消臭装置であって、
前記綿状体の表面には、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されていることを特徴とする消臭装置。
【請求項11】
筒状の筐体と、
前記筐体の上端面又は下端面に設けられる吸気ファンと、
前記筐体に収容される金属製の綿状体と、
前記筐体に収容される紫外線照射手段とを備えた消臭装置であって、
前記綿状体の表面には、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されていることを特徴とする消臭装置。
【請求項12】
金網からなるフィルター本体と、
前記フィルター本体を保持する枠体と、
前記フィルター本体と前記枠体とをダクトに取り付ける取付手段とからなるダクト用フィルターであって、
前記フィルター本体は、光触媒活性を有する酸化チタン含有物質が塗布されていることを特徴とするダクト用フィルター。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−29900(P2007−29900A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219463(P2005−219463)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(505140719)コムクリエイト株式会社 (1)
【Fターム(参考)】