説明

カーテンの襞形成・安定化装置及び襞形成・安定化方法

【課題】大量のカーテンの襞形成・安定化の能率を向上させ、カーテンを連続的に襞形成・安定化に有効なカーテンの襞形成・安定化装置及び襞形成・安定化方法を提供する。
【解決手段】未処理カーテンKbに強制的に襞形を付ける状態で保持し、構造体として組み付けて自由移動可能な被搬送体とする形付ユニット形成部12と、未処理カーテンKbを保持した形付ユニット18を受け入れて蒸気を充満させた閉鎖空間S内で所要時間蒸気処理してカーテンの襞形状を安定化する蒸気処理部14と、蒸気処理部14で処理された形付ユニット18のカーテンを乾燥させる乾燥部16と、を含むことを特徴とするカーテンの襞形成・安定化装置10から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンに襞形を形成し、該襞形状を安定化させるカーテンの襞形成・安定化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、高級さや優美さのある外観を有する点等から、生地上端側をタック取りし、丈方向に渡って横断面円弧状の複数の縦襞を形成した襞付けカーテンが好まれている。カーテンに襞を形成させる方法としては、例えば、カーテンに襞付け用の型を付けた状態で蒸気を当ててその襞形状を安定化する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されているカーテンの襞付け方法では、密閉可能な上型および下型の内側空間に封入した熱可塑性のカーテン生地に、上型に固定されたビーム状ヒータと、下型に固定されたビーム状ヒータと、を交互に圧接して該カーテン生地を波板状に屈曲させ、内側空間内に過熱蒸気を供給しながらビーム状ヒータを内側から加熱してカーテン生地を加熱し、しかる後、内側空間内に冷風を供給しながらビーム状ヒータを内側から冷却してカーテン生地を急冷して、カーテンに襞付けを行なうものであった。
【特許文献1】特開平9−316773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のカーテンの襞付け方法は、一つの密閉空間内で、カーテンを波板状に配置させる工程、加熱・蒸気工程、冷却工程の順に一括して処理するものであるから、一回の襞付けでは、密閉空間内へカーテンを配置させる時間、加熱・蒸気処理時間、冷却処理時間、及びカーテンの取り出し時間、を合計した時間を必要としていた。したがって、一枚のカーテンの襞付けが終わるまで襞付け装置が専有される結果、能率が劣るものであり、特に大量のカーテンを襞付け加工する際には長時間かかり、実用性が低かった。
【0004】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、カーテンの襞形成・安定化の能率を向上させ、大量のカーテンを連続的に襞形成・安定化する場合にも有効に利用できるカーテンの襞形成・安定化装置及び襞形成・安定化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、複数の襞山、襞谷を交互に繰返し形成させてその形態を安定化させるカーテンの襞形成・安定化装置であり、未処理カーテンKbに強制的に襞形を付ける状態で保持し、構造体として組み付けて自由移動可能な被搬送体とする形付ユニット形成部12と、未処理カーテンKbを保持した形付ユニット18を受け入れて蒸気を充満させた閉鎖空間S内で所要時間蒸気処理してカーテンの襞形状を安定化する蒸気処理部14と、蒸気処理部14で処理された形付ユニット18のカーテンを乾燥させる乾燥部16と、を含むことを特徴とするカーテンの襞形成・安定化装置10から構成される。カーテンの襞形成・安定化装置10は、各処理のための機能を担持させた手段をそれぞれ分割させて構成し、流れ作業のごとく該各処理工程を並列して行なわせることができる。蒸気処理部での蒸気の温度及び処理する所要時間等は、カーテンの生地、素材等により適宜設定される。
【0006】
その際、保持する未処理カーテンKbが形付ユニット18の外部に露出する部分を形成するように該未処理カーテンKbが形付ユニット18に装着保持されていることとするとよい。特に、カーテンの襞の内側だけに襞形の保持部分を当接させ、襞の外側となる部分の略全体が露出するようにすると好適である。
【0007】
また、形付ユニット18は、未処理カーテンKbを蛇行させるように交互に掛け回させる複数の整列単杆部材20,21と、これらの整列単杆部材20,21の両端に着脱自在に取付けられて未処理カーテンKbを掛け回した状態で形付ユニット18全体を1つの構造体として着脱自在に保持させる保持ブラケット22と、を備えることとするとよい。単杆部材20,21や保持ブラケット22は、カーテンとともに蒸気処理部に移動されることから耐熱性のある素材で形成される。単杆部材20,21の形状は、例えば、断面が円形、楕円形、半円形、紡錘形、或いは断面に円弧部を有する任意形状等その他任意の目的とする襞形状に対応させた形状でよい。特に断面円形の丸パイプであれば、カーテンに装着させる断面方向が限定されず、装着が容易である。
【0008】
また、形付ユニット形成部14は、中間に未処理カーテンKbを広げて配置しその上下両側から差違え状に個々の単杆部材20,21を配置させる第1の態様Xと、未処理カーテンKbに強制的に襞形を付けた状態を保持させて形付ユニット18全体を1つの構造体とする第2の態様Yと、を含むこととしてもよい。
【0009】
また、形付ユニット形成部14は、未処理カーテンKb及び単杆部材20,21を下面側から受けて第1の態様Xを実行する受手段30と、差違え状に配置した個々の単杆部材間20,21の間隔を狭めて未処理カーテンKbを交互に掛け回した状態(Y0)とし、保持ブラケット22により1つの構造体として組付けて個々の単杆部材20,21を支持させる掛け回し形成支持手段32と、を備えたこととしてもよい。
【0010】
また、受手段30は、個々の単杆部材20,21を下面側から受けるように一定間隔で直列状に配置された複数の受片からなり、さらに、掛け回し形成支持手段は、それらの受片34,35の間隔を同期して横方向に伸縮駆動し縮長状態で支持させる駆動機構38を含むこととしてもよい。
【0011】
また、蒸気処理部14は、蒸気を充満させた閉鎖空間S内でカーテンを保持した形付ユニットを所要の時間その空間S内に存在させるようにして連続的に通過させることにより蒸気処理することとしてもよい。閉鎖空間S内を上又は下或いは前後、左右その他の任意方向に移動させるケース内移動機構60を備えるとよい。その際、ケース内移動機構は、例えば、チェーンコンベア、ベルトコンベア、ローラコンベア、その他任意のコンベア装置、スライド装置、リフト装置等その他任意の搬送機構でもよい。さらに、搬送する際に形付ユニット18は、縦置き、横置き、又は吊支状態等その他任意の支持状態でもよい。
【0012】
また、カーテン(Kb、Ka)を保持した形付ユニット18を形付ユニット形成部12と蒸気処理部14、蒸気処理部14と乾燥部16間で搬送する搬送手段72,88と、乾燥後に単杆部材20,21を保持ブラケットから分離させてカーテンを取り外した後に単杆部材20(21)のみを形付ユニット形成部14に返送させる他の搬送手段(96)と、を含むこととしてもよい。搬送手段(72、88)又は他の搬送手段(96)は、例えば、チェーンコンベア、ベルトコンベア、ローラコンベア、その他任意のコンベア装置、スライド装置、リフト装置等その他任意の搬送機構でもよい。さらに、形付ユニット18は、縦置き、横置き、又は吊支等その他任意の支持状態でもよい。また、一つ又は複数の搬送装置により搬送手段又は他の搬送手段を構成してもよい。
【0013】
また、他の回収手段(96)から回収された単杆部材20(21)を形付ユニット形成部12の受手段30に設置させる復帰装置108が設けられたこととしてもよい。
【0014】
さらに、本発明は、未処理カーテンKbに強制的に襞形を付ける状態で保持し、構造体として組み付けて自由移動可能な、カーテンを担持した形付ユニット18を形成する工程と、カーテンを担持した形付ユニット18を蒸気が充満した密閉空間内で移動させて、カーテンを所要時間蒸気処理して襞形状を安定化させる工程と、蒸気処理後のカーテンを担持した形付ユニットを乾燥部で乾燥させる工程と、を含むことを特徴とするカーテンの襞形成・安定化方法から構成される。
【0015】
また、表裏面を上下とするように未処理カーテンKbを広げて配置し、その上下両側から差違え状に個々の単杆部材20,21を配置させ、その状態で、個々の単杆部材20,21の間隔を狭めるように移動させて着脱組付け機構(22)を介してカーテンを担持した形付ユニット18を形成することとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のカーテンの襞形成・安定化装置によれば、複数の襞山、襞谷を交互に繰返し形成させてその形態を安定化させるカーテンの襞形成・安定化装置であり、未処理カーテンに強制的に襞形を付ける状態で保持し、構造体として組み付けて自由移動可能な被搬送体とする形付ユニット形成部と、未処理カーテンを保持した形付ユニットを受け入れて蒸気を充満させた閉鎖空間内で所要時間蒸気処理してカーテンの襞形状を安定化する蒸気処理部と、蒸気処理部で処理された形付ユニットのカーテンを乾燥させる乾燥部と、を含むことから、形付ユニット形成部、蒸気処理部、乾燥部を含む各処理部を機能ごとに分割して構成し、それらの間を未処理カーテンに襞形を付けた状態を保持した被搬送体として自由に移動させることで、各処理を並行して行なわせて処理能率を向上させることができる。特に、大量のカーテンを連続的に襞形成・安定化する場合に有利であり、確実なカーテンの襞付け安定化を維持しつつ大幅に処理時間を短縮させうる。
【0017】
また、保持する未処理カーテンが形付ユニットの外部に露出する部分を形成するように該未処理カーテンが形付ユニットに装着保持されている構成とすることにより、例えば、蒸気処理部において蒸気を、又は乾燥部において風を直接かつ容易にカーテンに作用させることができ、短時間で確実に処理することができる。
【0018】
また、形付ユニットは、未処理カーテンを蛇行させるように交互に掛け回させる複数の整列単杆部材と、これらの整列単杆部材の両端に着脱自在に取付けられて未処理カーテンを掛け回した状態で形付ユニット全体を1つの構造体として着脱自在に保持させる保持ブラケットと、を備えることにより、確実な襞形の形成及びその形態を保持できる形付ユニットを構成できる。例えば、単杆部材は、丸パイプ等の単純構造のものでよく、構造が簡単で製造コストを低減させうる。また、カーテンの乾燥後にはカーテンを離脱させた形付ユニットを再利用することができるので実用性が高く経済的である。加えて、未処理カーテンを掛け回すことで、該カーテンを形付ユニットの外部に露出させた状態を容易に実現できる。
【0019】
また、形付ユニット形成部は、中間に未処理カーテンを広げて配置しその上下両側から差違え状に個々の単杆部材を配置させる第1の態様と、未処理カーテンに強制的に襞形を付けた状態を保持させて形付ユニット全体を1つの構造体とする第2の態様と、を含むことにより、未処理カーテンを横に広げた状態で設置することができるので、蒸気処理前の襞形の形成を例えば、カーテンを吊るす場合と比較しても極めて手軽に行なうことができ、省力、短時間で行なうことができる。さらに、未処理カーテンを単杆部材の間に蛇行状に誘導しながら掛け回すといった煩雑な作業をすることなく、該カーテンや単杆部材を簡便に扱いやすい。
【0020】
また、形付ユニット形成部は、未処理カーテン及び単杆部材を下面側から受けて第1の態様を実行する受手段と、差違え状に配置した個々の単杆部材間の間隔を狭めて未処理カーテンを交互に掛け回した状態とし、保持ブラケットにより1つの構造体として組付けて個々の単杆部材を支持させる掛け回し形成支持手段と、を備えることにより、上述の第1の態様及び第2の態様を具体的に実行できる。また、それらを人手で行わせる際に簡便に行える。さらに、掛け回し形成支持手段を介して、未処理カーテンの単杆部材への掛け回し作業を簡便に行える。
【0021】
また、受手段は、個々の単杆部材を下面側から受けるように一定間隔で直列状に配置された複数の受片からなり、さらに、掛け回し形成支持手段は、それらの受片の間隔を同期して横方向に伸縮駆動し縮長状態で支持させる駆動機構を含む構成とすることにより、第1の態様から簡単かつスムーズにカーテンを単杆部材に掛け回し状態を形成することができる。その際、単杆部材を同期させながら間隔を狭めることで、未処理カーテンに襞の大小や間隔のばらつきや皺等が無いように襞形を形成させることができるので、カーテンの商品価値が高い。また、受片の間隔を縮長状態で支持させておくことで、受片に配置させている単杆部材に保持ブラケットを簡単かつ確実に装着できる。
【0022】
また、蒸気処理部は、蒸気を充満させた閉鎖空間内でカーテンを保持した形付ユニットを所要の時間その空間内に存在させるようにして連続的に通過させることにより蒸気処理する構成とすることにより、複数の形付ユニットを連続的に蒸気処理させて、装置全体の処理効率の向上、時間短縮化に貢献できる。さらに一つの蒸気処理部だけの簡易な構造で多くのカーテンを処理でき、装置を低コスト化できる。
【0023】
また、カーテンを保持した形付ユニットを形付ユニット形成部と蒸気処理部、蒸気処理部と乾燥部間で搬送する搬送手段と、乾燥後に単杆部材を保持ブラケットから分離させてカーテンを取り外した後に単杆部材のみを形付ユニット形成部に返送させる他の搬送手段と、を含む構成とすることにより、形付ユニットの搬送を自動化させて、作業者の労力の低減、短時間での大量処理を行なえ、装置の能率を向上しうる。
【0024】
また、他の回収手段から回収された単杆部材を形付ユニット形成部の受手段に設置させる復帰装置が設けられたことにより、回収した単杆部材を受片へ自動的に設置でき、労力の低減化、効率化を図ることができる。
【0025】
さらに、本発明のカーテンの襞形成・安定化方法によれば、未処理カーテンに強制的に襞形を付ける状態で保持し、構造体として組み付けて自由移動可能な、カーテンを担持した形付ユニットを形成する工程と、カーテンを担持した形付ユニットを蒸気が充満した密閉空間内で移動させて、カーテンを所要時間蒸気処理して襞形状を安定化させる工程と、蒸気処理後のカーテンを担持した形付ユニットを乾燥部で乾燥させる工程と、を含むことから、各工程を機能ごとに分割して構成し、それらの間を未処理カーテンに襞形を付けた状態を保持した被搬送体として自由に移動させることで、各処理を並行して行なわせて処理能率を向上させる。特に、大量のカーテンを連続的に襞形成・安定化する場合に有利であり、大幅に処理時間を短縮させうる。
【0026】
また、表裏面を上下とするように未処理カーテンを広げて配置し、その上下両側から差違え状に個々の単杆部材を配置させ、その状態で、個々の単杆部材の間隔を狭めるように移動させて着脱組付け機構を介してカーテンを担持した形付ユニットを形成することにより、未処理カーテンを横に広げた状態で単杆部材と装着させて、その後、単杆部材の間隔を狭めるように移動させて襞形を形成できるので、煩雑な作業を必要とすることなく、簡便、短時間作業で確実かつ皺なく整った襞形を形成させて、簡易に形付ユニットを形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下添付図面を参照しつつ本実施形態のカーテンの襞形成・安定化装置及び方法について説明する。本発明のカーテンの襞形成・安定化装置は、例えば、図13に示すような襞付カーテンKの襞形を形成する際に利用され、カーテン生地に複数の襞山、襞谷を交互に繰返し形成させてその形態を安定化させる装置である。
【0028】
図1ないし図11は、カーテンの襞形成・安定化装置の実施形態を示している。本実施形態において、カーテンの襞形成・安定化装置10は、図1、図2に示すように、形付ユニット形成部12と、蒸気処理部14と、乾燥部16と、を含む。本実施形態では、形付ユニット形成部12、蒸気処理部14、乾燥部16は、前方側に向けて順次併設されており、機枠で組み付けられている。なお、本実施形態では、図1の右側に対応する方向を前方側とし、図1の紙面に垂直な方向に対応する方向を幅方向としている。本実施形態では、カーテンは、上端側のタック取りする前の状態で襞形成・安定化が行なわれる。
【0029】
図1、図2に示すように、形付ユニット形成部12は、未処理カーテンKbに強制的に襞形を付ける状態で保持し、構造体として組み付けて自由移動可能な被搬送体、すなわち、形付ユニット18を形成する。形付ユニット18は、襞を形成させた未処理カーテンを担持した状態で簡易に移動させうる可搬性構造体である。このカーテンを保持させた形付ユニット18を介して該カーテンを後述の蒸気処理部14、乾燥部16へと容易に移動させながら各工程を行なわせて、該襞形を安定化させる。
【0030】
図3、図4、図5に示すように、本実施形態では、形付ユニット18は、複数の整列された単杆部材20,21と、単杆部材の両端側に取り付けられる保持ブラケット22と、を備えている。単杆部材20,21は、長手軸方向をカーテンの丈となる方向に沿わせつつ、該未処理カーテンKbを蛇行させるように交互に掛け回させて、所要の襞形を形成させる形付手段である。本実施形態では、複数の単杆部材20,21は、2列に直列されるとともに第1列目の単杆部材20と第2列目の単杆部材21が互いに差違え状に位置ずれされてそれぞれ整列配置されている。各列の単杆部材同士は、比較的近接して配置され、該未処理カーテンは幅方向に畳んだ状態で掛け回される。なお、本実施形態では、第1列目の単杆部材20が未処理カーテンの裏面側に、第2列目の単杆部材21が未処理カーテンの表面側に当接される。各単杆部材20,21は、カーテンに円弧曲面の襞形を形成する円弧部及び剛性を有するとともに、互いに独立して自在に取り扱うことのできる単一の直杆部材からなる。本実施形態では、単杆部材20,21は、例えば、ステンレス等の金属製素材で形成され、両端側を開口しつつ断面を円形とした中空丸パイプからなる。よって、単杆部材に掛け回された未処理カーテンKbは襞形の円弧凸面側を外部に露出させた状態で装着される。カーテンが外部に露出されるので、後述の蒸気処理において、蒸気にカーテンを直接に曝すことができ、襞形を確実に安定化させることができる。さらに、単杆部材20,21はカーテンの丈の長さよりも長く設けられており、未処理カーテンの両外側に突出された部分を後述の補助搬送装置48との係合部分としている。なお、本実施形態では、未処理カーテンを単杆部材に係着保持させておく例えば、クリップ部材23等の補助保持具が取り付けられている。クリップ部材23は、未処理カーテンの外側から最外側の単杆部材20に該カーテンを挟み込んで装着される。
【0031】
保持ブラケット22は、単杆部材20,21の両端に着脱自在に取り付けられて未処理カーテンKbを掛け回した状態で形付ユニット18全体を1つの構造体として保持させる。すなわち、保持ブラケット22は、それぞれ独立している単杆部材20,21を整列状態で一体的に組み付けて保持する着脱組み付け機構を構成する。図3、図5において、保持ブラケット22は、例えば、矩形状の縦板部24に整列した単杆部材20,21の位置に対応して複数の突起部26を突設させて設けられている。単杆部材20,21を横倒し状態で、それらの両端側からこの保持ブラケット22の突起部26を単杆部材20,21の端部開口から内部に挿入させて、個々の単杆部材20,21が支持される。さらに、保持ブラケット22の縦板部24の両側と下側には、突起部26の突出方向に向けて一体的に設けられた側板部27、底板部28が形成されている。この側板部27、底板部28は、形付ユニット18での後述の第1搬送機構72等と係合する部位となる。なお、保持ブラケットは、本実施形態のような突起部を有する構成に限らず、単杆部材の端部を嵌合状に受け入れる複数の凹部や孔等のその他任意の単杆部材の端部を受けて支持する構成でもよい。
【0032】
図1、図2に戻って、形付ユニット形成部12は、未処理カーテンKbを単杆部材20,21に掛け回した後、該単杆部材20,21に保持ブラケット22を装着させて上述の形付ユニット18を形成する構成となっている。詳細には、形付ユニット形成部12は、中間に未処理カーテンKbを広げて配置しその上下両側から差違え状に個々の単杆部材20,21を配置させる第1の態様Xと、未処理カーテンKbに強制的に襞形を付けた状態を保持させて形付ユニット18全体を一つの構造体とする第2の態様Yと、を含む。そして、形付ユニット形成部12は、第1の態様Xを実行する受手段30と、第1の態様Xから単杆部材20,21に未処理カーテンを掛け回させた状態(掛け回し態様Y0)の形成及び第2の態様Yを実行する掛け回し形成支持手段32と、を備えている。
【0033】
図6、図11にも示すように、受手段30は、本実施形態では、横に広げた状態の未処理カーテンKb及び単杆部材20,21を下面側から受けて第1の態様を実行する。本実施形態では、受手段30は、個々の単杆部材20,21を下面側から受けるように一定間隔で配置された複数の受片34,35を含む。これらの受片群(34,35・・・)は、機枠の幅両端側に対向して直列状に配置されて、幅方向一対の受片により各単杆部材20,21の両端側を受け、該単杆部材を直列状に受ける。受片34,35は、横に広げた未処理カーテンKbを受ける際には、略同一の水平面上になるように設定されて、同じ高さで単杆部材20を支持し、該単杆部材20の上に未処理カーテンを略水平な状態で配置させる。受片34,35は、例えば、強度のある金属又は合成樹脂等からなる円弧板部材からなり、円弧凹部を上方に向けて機枠側に支持された縦支持杆36の上端側に固定されている。本実施形態では、上述の形付ユニット18を形成した際に第1列目となる単杆部材20を受ける第2列目となる第1受片34と単杆部材21を受ける第2受片35とが交互に配置されている。図6において、第1受片34で単杆部材20を受けさせ、該単杆部材20の上に未処理カーテンKbを配置させ、さらに、該未処理カーテンKbの上に他の単杆部材21を配置させて、第1の態様Xが行なれる。なお、未処理カーテンは端部をクリップ部材23(図3参照)等により単杆部材20に挟み込まれて保持される。
【0034】
掛け回し形成支持手段32は、第1の態様において差違え状に配置した個々の単杆部材20,21間の間隔を狭めて未処理カーテンを交互に掛け回した状態(掛け回し態様Y0)とし、その状態で保持ブラケット22により1つの構造体として組み付けて個々の単杆部材20,21を支持させて第2の態様Yを実行する。本実施形態では、掛け回し形成支持手段32は、単杆部材20,21を受ける受片34,35の間隔を同期して横方向に伸縮可能に駆動し縮長状態で支持させる駆動機構38を含み、この駆動機構38により第1の態様から掛け回し態様Y0に移行させる。駆動機構38は、本実施形態では、例えば、受片34,35を支持する縦支持杆36を互いに連結支持させるパンタグラフ状リンク40を含む。図6、図7において、縦支持杆36は、機枠に設けられるレール部44に沿って横方向にスライド移動自在なスライダ46に中間位置を接続されて受片34,35を横移動自在に支持している。なお、図上、最も前端側となる縦支持杆は、レール部44に固定された固定子47に接続されて横移動不可となっている。縦支持杆36は、単杆部材20,21の端部よりも幅方向両外側に配置されており、受片34,36を対向内向きに配置している。パンタグラフ状リンク40は、縦支持杆36どうしの間隔を同期して伸縮させるとともに、伸張状態では受片34,35が同じ高さとし、縮長状態では受片34と受片35とが高低差が付くようにリンク連結されている。さらに、縦支持杆36を強制的横移動及びその位置を保持する例えば、機枠に支持されたシリンダ42等の移動保持装置が設けられている。これにより、シリンダ42のロッドを縮退させてパンタグラフ状リンク40を伸張させた状態で上述の第1の態様が実行される。そしてシリンダ42をロッドを伸張させて該パンタグラフ状リンクを介して受片の間隔を縮長し未処理カーテンKbを蛇行状に掛け回した状態として襞形成し、その状態が保持される。
【0035】
図1、図2に示すように、本実施形態では、掛け回し形成支持手段32は、受手段30による単杆部材20,21の支持位置とは異なる位置(Y)で保持ブラケット22を装着させて、個々の単杆部材を支持する。本実施形態では、例えば、上述のような未処理カーテンKbを単杆部材20,21に掛け回した状態を保持しながら受片の前方側に併設された後述の第1搬送機構72側に搬送されて、その搬送位置で保持ブラケット22を単杆部材の両側から作業者の人手で装着させて1つの構造体とすることにより第2の態様Yが実行される。なお、保持ブラケットの組み付けは、例えば、保持ブラケットを機械的に取り付けるようにしてもよい。本実施形態では、受片34,35から保持ブラケット装着位置(Y)に移動させる補助搬送機構48が設けられている。補助搬送機構48としては、例えば、機枠側に固定される搬送レール50にスライダ51を介して接続されたF字杆52を有している。F字杆52は、受片34,35より幅方向内側に配置されており、スライダ51に対して例えば図示しないシリンダ等により上下移動できるようになっている。F字杆52は、上述の第1の態様では後方側に退避されている。図8に示すように、未処理カーテンKbを単杆部材に掛け回した状態で搬送させる際には、前方側に横移動されてF字の上下2連の水平支持片52a、52bを第1、第2列の単杆部材20,21のカーテンから突出された両端部分の下側に配置させる。その挿し込み状態でF字杆52を上方に移動させることにより、単杆部材20,21を下から支持しつつ受片34,35から離脱させ、その後第1搬送機構72側に搬送する。
【0036】
蒸気処理部14は、未処理カーテンKbを保持した形付ユニット18を受け入れて蒸気を充満させた閉鎖空間S内で所要時間蒸気処理して、形付ユニット18により形成させた襞形状を安定化する蒸気処理工程を行なう。図1、図2、図9に示すように、蒸気処理部14は、閉鎖空間Sを形成する箱形のケース体54と、ケース体54内に蒸気を供給する蒸気噴出装置55と、を有している。本実施形態では、ケース体54は、形付ユニット18を横置き状態で縦方向にある程度移動でき、かつ階層状に複数個受け入れうる大きさで設けられている。ケース体54には形付ユニット18を横置き状態で搬入、搬出させる搬入口56、排出口57が設けられており、各搬入口56、搬出口57にはそれぞれシャッタ58、59が取り付けられて開閉自在となっている。搬入口56は、ケース体54の1つの側壁の上部側に設けられており、搬出口57は搬入口56とは他端側の側壁の下部側に設けられている。そして、ケース内移動機構60により、上側の搬入口56から搬入された形付ユニットを下側の搬出口57の位置まで支持しながら移動させるようになっており、下方側への移動時間が処理時間となっている。蒸気噴出装置55は、ケース体54の内壁面側には設けられており、図示しないボイラ等の蒸気発生装置から送られる例えば、温度が200℃程度の蒸気を閉鎖空間S内に噴出させる。また、ケース体54には排気口61が設けられており、閉鎖空間内は常時。温度等の所要の蒸気雰囲気条件を一定に維持するようになっている。なお、排気口61から排気された蒸気は図示しない管を介して蒸気発生装置へ戻される。
【0037】
なお、ケース内移動機構60は、例えば、ケース体54内部の幅方向両側に対向して配置され、形付ユニット18の保持ブラケットを支持しながら同期回転により下方移動させるチェーン式リフト装置62を含む。リフト装置62は、ケース体54に上下側に前後方向に支持された回転軸63に上下に離隔対向したスプロケット64に掛けられた無端チェーン66を前後方向に一対配置し、それらの前後の無端チェーン66の外周面に複数の載せ杆68を水平方向に架設状に固定させている。リフト装置62は、幅方向に対向する無端チェーンの対向内側が下方向に移動するように回転駆動装置69を介してスプロケットが回転駆動される。そして該対向内側の載せ杆68上に保持ブラケット22を載置させて形付ユニット18を支持しながら下方に移動させる。
【0038】
乾燥部16は、蒸気処理部14で処理された形付ユニット18を受け入れてカーテンを乾燥させる乾燥工程を行う。乾燥部16は、本実施形態では、例えば、形付ユニット18を下から受ける台又はフレームと、冷風又は熱風を形付ユニットに吹付ける送風機70と、を有している。そして、最終的には風による乾燥とともに、高温の蒸気で処理したカーテンを手で扱える程度まで冷却する。上述のように、カーテンは形付ユニット18の外部に露出するように担持されているので、乾燥風がカーテンに直接にあたり、短時間で確実に乾燥できる。
【0039】
乾燥部16でカーテンを乾燥させた後には、形付ユニット18は乾燥部16から前方側に取り出される。そして、ユニット離脱部71において作業者が人手で保持ブラケット22を単杆部材20,21から取り外し、単杆部材20,21を処理済カーテンKaから離脱される。
【0040】
図1に示すように、カーテンを保持した形付ユニットを形付ユニット形成部12と蒸気処理部14との間を搬送させる第1搬送機構72が設けられている。本実施形態では、第1搬送機構72は、上述の保持ブラケット22の装着位置からケース体54の搬入口56の高さ位置まで移動させる上動装置74と、該高さ位置で形付ユニットを横移動させて搬入口56から蒸気処理部14に搬入させる搬入横移動装置76と、を含む。上動装置74は、例えば、幅方向に対向して配置されており、上下に離隔配置されて幅方向に軸支された回転軸に固定されたスプロケット78に無端チェーン80が掛け回され、該無端チェーン80に形付ユニット18の保持ブラケットを載せる載せ杆82が水平に固定されている。スプロケット78を回転駆動装置83に正逆に回転させることで、載せ杆を上下移動させる。搬入横移動装置76は、例えば、形付ユニット18を後方側から前方に押動させる腕部84を備えたピニオン・ラック機構からなる。そして、ピニオン86を図示しない回転駆動装置で回転させて腕部84が固定されたラック85を前後に移動させることにより、形付ユニット18を搬入口56からケース体54内に搬送させて、ケース内移動機構60に受け渡す。
【0041】
さらに、カーテンを保持した形付ユニットを蒸気処理部14と乾燥部16との間を搬送させる第2搬送機構88が設けられている。第2搬送機構80は、ケース内移動機構60により排出口位置まで移動された形付ユニット18を横移動させて搬出口から搬出させる搬出横移動装置90を含む。搬出横移動装置90は、腕部92を備えたピニオン・ラック機構からなり、ピニオン94を図示しない回転駆動装置を介して回転させて、腕部92が固定されたラック93を移動させることにより、形付ユニット18を搬出口から乾燥部16側へ搬送する。
【0042】
なお、本実施形態では、第1、第2搬送機構78,88及びケース内移動機構60は、図示しないシーケンサで制御されている。それらの制御は、例えば、第1搬送機構78の上動装置74により形付ユニット18が搬入口位置まで移動されると、図示しないリミットスイッチやセンサにより感知され、上動装置74を停止させて、搬入口56のシャッタ58が開く。それと同時にケース内移動機構60が載せ杆を搬入口と位置合わせた状態で停止する、そして、搬入横移動装置76により形付ユニット18がケース体内に搬送され、その後シャッタ58が閉じ、ケース内移動機構が稼動する。形付ユニットがケース内移動機構により搬出口まで移動されると、図示しないリミットスイッチやセンサにより感知され、載せ杆を停止し、搬出口のシャッタ59が開く。そして、搬出横移動装置88により形付ユニット18がケース体外に搬送されて乾燥部へ搬送され、その後シャッタが閉じる。以上のような制御を繰り返して蒸気処理部18の閉鎖空間内で移動させながら連続的な蒸気処理を行なえる。
【0043】
また、図1に示すように、カーテンの襞形成・安定化装置10には単杆部材20用の返送機構96が設けられている。返送機構96は、ユニット離脱部71で単杆部材20,21を保持ブラケットから分離させてカーテンKaを取り外した後に第1単杆部材20のみを形付ユニット形成部に返送させる他の搬送手段である。本実施形態では、返送機構96は、形付ユニット形成部12、蒸気処理部14、乾燥部16の下方側に配置され、幅方向に対向した1対のチェーン式コンベア装置98を含み、単杆部材の中間2点位置を下から支持した状態で形付ユニット形成部側に連続搬送する。コンベア装置98は、回転駆動装置99で回転される前後1対のスプロケット100に掛けられた無端チェーン102に一定間隔で単杆部材20を受ける受部104が固定されて構成されている。受部104の離隔幅は、例えば、上記第1単杆部材20を受ける受片34の第1の態様における離隔幅に設定されている。106は、単杆部材20をコンベア装置側に投入するシュータであり、ユニット離脱部71から下方側に伸びて単杆部材20の投入をガイドしている。なお、返送機構は、第1単杆部材20のみならず、第2単杆部材21、保持ブラケットをも回収して形付ユニット形成部側に返送するように構成してもよい。又、装置の下方側に限らず、装置の上方側を搬送させる構成としてもよい。
【0044】
さらに、図10、図11に示すように、返送機構94から回収された単杆部材20を形付ユニット形成部12の受片34に設定させる復帰装置108が設けられている。本実施形態では、復帰装置108は、コンベア装置98の内側に配置されており、回収単杆部材を所定間隔で受片34の位置まで上昇させる昇降装置を含む。昇降装置は、例えば、テーブル109をX字状のパンタグラフ状のリンクアーム111で支持しつつ、シリンダ113の伸縮で該テーブル109を昇降可能なテーブルリフタ110からなる。テーブルリフタ110のテーブル109の上面側には、単杆部材20を受ける受フレーム112が該テーブル109に対して横方向にスライド可能に設けられており、受フレーム112はスライド用シリンダ114を介して移動される。受フレーム112の上側縁側には、コンベア装置98の受部104(受片34)の離隔幅と同じ間隔で設定された単杆部材20を受ける複数の受凹部115が形成されている。テーブルリフタ110は、コンベア装置により単杆部材20が返送されるまでは、テーブル109を下方側に位置させておく。復帰させる際には、受片の下方側でコンベア装置を停止させ、テーブル109を上昇させ、受フレーム112に単杆部材20を下から受けさせる。さらに上昇させて直列配置される受片34,35の間を通って単杆部材20は受片34よりも一旦上方位置まで上昇される。その後、受フレーム112をテーブル109に対してスライド移動させて、単杆部材20を受片34の上に位置合わせする。テーブル109を下降させると、単杆部材20が受片34に受け渡される。さらにテーブル109は最下位置まで下降し元の状態となる。コンベア装置98が再び駆動されて、次の単杆部材が返送されるまで待機される。なお、復帰装置は、受片の上方側から該受片上に自動的に配置させる構成としてもよい。
【0045】
次に、図12をも参照しつつ、本実施形態に係るカーテンの襞形成・安定化装置の作用について、カーテン襞形成・安定化方法と合わせて説明する。まず、図6に示すように、形付ユニット形成部12において、受片34,35の間隔を伸長した状態で、第1受片34の上に第1単杆部材20を配置させる。その上に、例えば作業者が、表裏面を上下とするようにタックをする前の未処理カーテンKbを広げて配置する。そして、未処理カーテンの上側から第1単杆部材20に対して差違え状に第2単杆部材21を配置する(p11)。図7に示すように、駆動機構38を介して受片に配置した単杆部材20,21の間隔を狭めるように移動させて、未処理カーテンを単杆部材20,21に掛け回させて未処理カーテンに強制的に襞形を付けた状態で保持する。図8に示すように、補助搬送機構48のF字杆52により、単杆部材20,21の両端部側を支持させて、第1搬送機構72側に移動される。図3、図4に示すように、保持ブラケット22をカーテンを掛け回した単杆部材の両端側に装着させて(p12)、1つの構造体として組み付けて自由移動可能な、カーテンを担持した形付ユニット18を形成する(形付ユニット形成工程P1)。形付ユニットが形成されると、該形付ユニットは上動装置74に渡され、受片34,35及びF字杆52は元の位置に戻る。
【0046】
第1搬送機構72に支持された形付ユニット18は、上動装置を介して上方に移動され、蒸気処理部14の搬入口56の位置で停止する。そして、シャッタ58が開き、搬入横移動装置76を介して蒸気が充満された蒸気処理部14内に搬送されて、ケース内移動機構60に受け渡される。蒸気処理部14では、ケース内移動機構60が、形付ユニット18を上側の搬入口から下側に設けられた搬出口の位置まで支持しながら所要時間、例えば、1〜2分程度かけて移動させながら、カーテンを蒸気処理して襞形状を安定化させる(蒸気処理工程P2)。形付ユニットが搬出口位置まで移動されると、ケース内移動機構60は停止し、搬出口のシャッタ59が開く。そして、第2搬送機構88を介して形付ユニット18は乾燥部へ搬送されて、シャッタ59が再度閉じられる。
【0047】
乾燥部16では、形付ユニット18に例えば、風を当てて乾燥、冷却させる(乾燥工程P3)。乾燥後には、形付ユニットはユニット離脱部71で作業者の手によって保持ブラケットから単杆部材が分離されて処理済カーテンが取り外される(形付ユニット離脱工程P4)。なお、この処理済カーテンKaは、図13に示すように、上端側をタック取り、耳部、裾部その他所要の縫製等が施されて仕上げられ、商品として包装、出荷される。処理後に保持ブラケットから分離された単杆部材20は、他の搬送手段としての返送機構96を介して、形付ユニット形成部の受片の下方位置まで搬送される(単杆部材返送工程P5)。そして、図10に示すように、復帰装置108により、単杆部材は、互いに間隔をあけて離隔配置された受片34上に配置される(復帰工程P6)。そして、上述同様に、未処理カーテン及び他の単杆部材(21)の設置等を含む形付ユニット形成工程に戻り、以後同様に繰り返して、連続的にカーテンに安定化された襞を形成する。このように本実施形態では、襞形成、蒸気処理、乾燥等を含む各処理(機能)ごとに分割させて構成され、流れ作業のごとく該各工程を並列して行なわせるので、大量のカーテンを襞付けする際に短時間で処理することができる。
【0048】
以上説明した本発明のカーテンの襞形成・安定化装置及び襞形成・安定化方法は、上記した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のカーテンの襞形成・安定化装置及び襞形成・安定化方法は、大量のカーテンに均一な襞形を形成し、その形態を安定化させるのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係るカーテンの襞形成・安定化装置の要部を示した一部省略正面説明図である。
【図2】図1のカーテンの襞形成・安定化装置の要部を示した一部省略平面説明図である。
【図3】カーテンを装着保持した形付ユニットの斜視説明図である。
【図4】図3の形付ユニットの分離説明図である。
【図5】図3のA−A線断面拡大図である。
【図6】形付ユニット形成部の受手段側の概略を示す説明図である。
【図7】図6の作用説明図である。
【図8】図6の作用説明図である。
【図9】図1のB−B線断面の一部省略説明図である。
【図10】形付ユニット形成部の一部及び復帰装置を示した説明図並びにその作用説明図である。
【図11】図10のC−C線矢視の一部省略説明図である。
【図12】本実施形態に係るカーテンの襞形成・安定化方法の概略ブロック図である。
【図13】襞付きカーテンの概略斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
10 カーテンの襞形成・安定化装置
12 形付ユニット形成部
14 蒸気処理部
16 乾燥部
18 形付ユニット
20,21 単杆部材
22 保持ブラケット
30 受手段
32 掛け回し形成支持手段
34,35 受片
38 駆動機構
78,88 第1、第2搬送機構
96 返送機構
108 復帰装置
K,Kb,Ka カーテン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の襞山、襞谷を交互に繰返し形成させてその形態を安定化させるカーテンの襞形成・安定化装置であり、
未処理カーテンに強制的に襞形を付ける状態で保持し、構造体として組み付けて自由移動可能な被搬送体とする形付ユニット形成部と、
未処理カーテンを保持した形付ユニットを受け入れて蒸気を充満させた閉鎖空間内で所要時間蒸気処理してカーテンの襞形状を安定化する蒸気処理部と、
蒸気処理部で処理された形付ユニットのカーテンを乾燥させる乾燥部と、を含むことを特徴とするカーテンの襞形成・安定化装置。
【請求項2】
保持する未処理カーテンが形付ユニットの外部に露出する部分を形成するように該未処理カーテンが形付ユニットに装着保持されていることを特徴とする請求項1記載のカーテンの襞形成・安定化装置。
【請求項3】
形付ユニットは、未処理カーテンを蛇行させるように交互に掛け回させる複数の整列単杆部材と、
これらの整列単杆部材の両端に着脱自在に取付けられて未処理カーテンを掛け回した状態で形付ユニット全体を1つの構造体として着脱自在に保持させる保持ブラケットと、を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のカーテンの襞形成・安定化装置。
【請求項4】
形付ユニット形成部は、中間に未処理カーテンを広げて配置しその上下両側から差違え状に個々の単杆部材を配置させる第1の態様と、未処理カーテンに強制的に襞形を付けた状態を保持させて形付ユニット全体を1つの構造体とする第2の態様と、を含む請求項3記載のカーテンの襞形成・安定化装置。
【請求項5】
形付ユニット形成部は、未処理カーテン及び単杆部材を下面側から受けて第1の態様を実行する受手段と、
差違え状に配置した個々の単杆部材間の間隔を狭めて未処理カーテンを交互に掛け回した状態とし、保持ブラケットにより1つの構造体として組付けて個々の単杆部材を支持させる掛け回し形成支持手段と、を備えたことを特徴とする請求項4記載のカーテンの襞形成・安定化装置。
【請求項6】
受手段は、個々の単杆部材を下面側から受けるように一定間隔で直列状に配置された複数の受片からなり、さらに、掛け回し形成支持手段は、それらの受片の間隔を同期して横方向に伸縮駆動し縮長状態で支持させる駆動機構を含むことを特徴とする請求項5記載のカーテンの襞形成・安定化装置。
【請求項7】
蒸気処理部は、蒸気を充満させた閉鎖空間内でカーテンを保持した形付ユニットを所要の時間その空間内に存在させるようにして連続的に通過させることにより蒸気処理することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のカーテンの襞形成・安定化装置。
【請求項8】
カーテンを保持した形付ユニットを形付ユニット形成部と蒸気処理部、蒸気処理部と乾燥部間で搬送する搬送手段と、乾燥後に単杆部材を保持ブラケットから分離させてカーテンを取り外した後に単杆部材のみを形付ユニット形成部に返送させる他の搬送手段と、を含むことを特徴とする請求項3ないし7のいずれかに記載のカーテンの襞形成・安定化装置。
【請求項9】
他の回収手段から回収された単杆部材を形付ユニット形成部の受部に設置させる復帰装置が設けられた請求項8記載のカーテンの襞形成・安定化装置。
【請求項10】
未処理カーテンに強制的に襞形を付ける状態で保持し、構造体として組み付けて自由移動可能な、カーテンを担持した形付ユニットを形成する工程と、
カーテンを担持した形付ユニットを蒸気が充満した密閉空間内で移動させて、カーテンを所要時間蒸気処理して襞形状を安定化させる工程と、
蒸気処理後のカーテンを担持した形付ユニットを乾燥部で乾燥させる工程と、
を含むことを特徴とするカーテンの襞形成・安定化方法。
【請求項11】
表裏面を上下とするように未処理カーテンを広げて配置し、その上下両側から差違え状に個々の単杆部材を配置させ、その状態で、個々の単杆部材の間隔を狭めるように移動させて着脱組付け機構を介してカーテンを担持した形付ユニットを形成することを特徴とする請求項10記載のカーテンの襞形成・安定化方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−169847(P2007−169847A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371501(P2005−371501)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(503113913)株式会社興栄産業 (1)
【Fターム(参考)】