説明

カーテン開閉装置

【課題】構造の異なる2種類のランナーも2本のレールも必要とせず、1本のレールにおいて襞溜を少なくし、カーテン生地の表裏を反転可能にし、更に、2種類のカーテン生地を選択的に開閉操作し得るようにする。
【解決手段】ランナーの頭部19の横断面の最大寸法をレール内部の遊嵌腔20の内幅以上、又は、ランナーの脚部21の横断面の最大寸法を走行溝24の溝幅以上にする。ランナーの頭部の軸芯X−Xとから扁心した位置にカム軸25を突設する。走行溝24の端末部を二条の分岐溝28a・28bに分岐し、その分岐箇所26にカム軸25と協働して分岐溝へと走行溝24からランナーを導く固定カム27を設ける。そうすると、1本のレールにおいても襞溜が少なくなり、カーテン生地を表裏反転し得、又、2種類のカーテン生地を選択的に開閉操作し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテン生地に直接または治具を介して取り付けてカーテンレールに走行可能に装着するランナーと、ランナーを側縁間に挟んで走行可能に保持する一対の平行に並んだレール部と、ランナーを挟む側縁に対応する各レール部の他の側縁側から立ち上がって平行に続く一対の内壁部と、その一対の内壁部の間を連結する連結部によってレール本体が構成されるカーテン開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のカーテン開閉装置として、レール部とは別に、レール本体の端末にカムレール部が設けられており、ランナーがカムレール部に導かれて走行する第1ランナーと、カムレール部に沿って走行することなくレール部にだけ導かれて走行する第2ランナーとの2種類に分けられており、カーテンを開けた際に、第1ランナーはレール部に、第2ランナーはカムレール部に、それぞれ分かれてレール本体の端部に寄せ集められるように構成されたカーテン開閉装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このカーテン開閉装置では、そのようにランナーがレール部とカムレール部に分かれてレール本体の端末部に寄せ集められるので、レール本体の端末部に寄せ集められて出来るカーテン布帛の襞溜を少なくなる。
【0003】
又、カーテン開閉装置として、2本のレール本体を前後二列に平行に並べ、それらレール本体の走行溝の端末同士を接続溝で連続させ、前列のレール本体と後列のレール本体の間でカーテン生地を循環可能にし、カーテン生地を循環して表裏反転し得るようにしたカーテン開閉装置も知られている(例えば、特許文献2と3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平2002−320547号公報
【特許文献2】特開平2001−095675号公報
【特許文献3】特開平2004−313713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された第1ランナーと第2ランナーを用いて襞溜を少なくする方法では、第1ランナーと第2ランナーを交互にレール本体に装着することになる。
しかし、第1ランナーと第2ランナーとの2種類のランナーが必要になるので、製造上ランナーがコストアップになる。
【0006】
上記特許文献2と3に記載された2本のレール本体を用いてカーテン生地をレール本体の端末部で表裏反転する方法では、室内側に突き出ている前列レール本体に吊り下げられているカーテン生地を開閉操作するときは、その前列レール本体が室内側に突き出ている分だけ室内スペースが狭くなる。
【0007】
そこで本発明は、第1ランナーと第2ランナーとの2種類のランナーを必要とせず、1種類のランナーを使用し、レール本体の端末部でのカーテン生地の襞溜を少なくすることを第1の目的とする。
本発明の第2の目的は、2本のレール本体を使用せずにカーテン生地の表裏を反転可能にすることである。
本発明の第3の目的は、1本のレール本体において、2種類のカーテン生地を選択的に開閉操作し得るようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るカーテン開閉装置は、(イ) カーテン生地11を直接または治具を介してカーテンレール12に走行可能に装着するランナー13と、ランナー13を側縁間に挟んで走行可能に保持する平行に並んだ一対のレール部14・14と、ランナー13を挟む各レール部14・14の側縁15・15に対応する各レール部14・14の他の側縁側16・16から立ち上がって続く一対の内壁部17・17と、その一対の内壁部17・17の間を連結する連結部18とによって構成されているレール本体22を具備するカーテン開閉装置23において、
(ロ) 一対のレール部14・14と一対の内壁部17・17と連結部18によって囲まれており、ランナーの頭部19の遊嵌する遊嵌腔20が、レール本体22の内部に形成されており、
(ハ) ランナー13を挟む一対のレール部の側縁15と側縁15の間が、レール本体22から外部に突出しているランナーの脚部21が走行可能に遊嵌する走行溝24となっており、
(ニ) ランナーがレール本体22に装着された状態において、走行溝の溝幅(s)を二等分するレール本体の分割線Y−Yと、ランナーの軸芯X−Xとから扁心した位置において、レール本体の連結部18に向けてランナーの頭部19からカム軸25が突出しており、
(ホ) レール本体22の端末部において、走行溝24が二条の分岐溝28a・28bに分岐しており、
(ヘ) その分岐箇所26において、ランナーのカム軸25と協働して分岐した分岐溝28a・28bへと走行溝24からランナー13を導く固定カム27を具備することを第1の特徴とする。
【0009】
本発明に係るカーテン開閉装置の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、一対のレール部14・14の間と一対の内壁部17・17の間を二等分するレール本体22の分割線Y−Yに対応するランナーの軸芯X−Xに直交する頭部19の横断面の最大寸法qが、一対の内壁部17・17の間の遊嵌腔20の内幅(t)以上、又は、ランナーの軸芯X−Xに直交する脚部21の横断面の最大寸法nが、走行溝24の溝幅(s)以上である点にある。
【0010】
本発明に係るカーテン開閉装置の第3の特徴は、上記第1および第2の何れかの特徴に加えて、レール本体22の分割線Y−Y上において、連結部18から走行溝24に向けて仕切り材30が突出している点にある。
【0011】
本発明に係るカーテン開閉装置の第4の特徴は、上記第1、第2および第3の何れかの特徴に加えて、分岐溝28の端末が封鎖材34によって封鎖されている点にある。
【0012】
本発明に係るカーテン開閉装置の第5の特徴は、上記第1、第2および第3の何れかの特徴に加えて、分岐した二条の分岐溝28a・28bの各端末間を接続する接続溝33が設けられている点にある。
【発明の効果】
【0013】
カーテン生地11は、その上縁に一定の間隔をおいて複数個のフックが取り付けられており、そのフックとランナー13を介してカーテンレール12に走行可能に吊り下げられているので、個々のランナーの軸芯X−Xの回りにカーテン生地11が回転することはない。
従って、カム軸25を交互に一方の内壁部側に偏らせて、即ち、ランナー13aはカム軸25aを右側の内壁部側に偏らせ、次のランナー13bはカム軸25bを左側の内壁部側に偏らせ、次のランナー13aはカム軸25aを右側の内壁部側に偏らせ、次のランナー13bはカム軸25bを左側の内壁部側に偏らせると言うように、カム軸25の偏る方向を交互に変えて全てのランナー13a、13b、13a、13b………に、一定の間隔をおいてカーテン生地の上縁に取り付けられている複数個のフックを順次引っ掛けてカーテン生地をレール本体に装着すると、カーテン生地11をレール本体の片隅へと引き寄せてカーテンを開くとき、カム軸25aが右側の内壁部側に偏っているランナー13aは右側に分岐した分岐溝28aへ、カム軸25bを左側の内壁部側に偏っているランナー13bは左側に分岐した分岐溝28bへと固定カム27に分けられて導き入れられることになる(図2)。
そのように、全てのランナー13a、13b、13a、13b………が左右二条の分岐溝28a・28bに順次分かれて引き込められるので、レール本体の端末部でのカーテン生地の襞溜10の嵩が少なく(低く)なる。
【0014】
特に、ランナーの頭部19の横断面の最大寸法nが遊嵌腔20の内幅(t)以上であれば、ランナー13がレール本体22を走行中に軸芯X−Xを中心に回転することはなく、又、ランナーの脚部21の横断面の最大寸法qが走行溝24の溝幅(s)以上であっても、ランナー13がレール本体22を走行中に軸芯X−Xを中心に回転することはない。
そのため、カーテンを開くとき、全てのランナー13a、13b、13a、13b………は、順次右側に分岐した分岐溝28aと左側に分岐した分岐溝28bへと確実に分けられて導き入れられることになる(図2)。
【0015】
更に、レール本体22の分割線Y−Y上において連結部18から走行溝24に向けて仕切り材30が突出しているカーテン開閉装置では、長期使用によって頭部19や脚部21が摩耗し、頭部19の横断面の最大寸法nが遊嵌腔20の内幅(t)以下になったり、脚部21の横断面の最大寸法qが走行溝24の溝幅(s)以下になっても、カム軸25が仕切り材30に妨げられて一方の内壁部側から他方の内壁部側へと移動することがなく、従って、ランナー13が軸芯X−Xを中心に回転することがなく、カーテン生地11の上縁に沿って続く全てのランナー13a、13b、13a、13b………が、交互に左右何れか一方の内壁部側に偏った状態のままになり、交互に左右二条の分岐溝28a・28bに一層確実に分かれて引き込まれる。
【0016】
このように、カム軸25が左右何れの内壁部側に偏っているかによって二条の分岐溝28a・28bに分かれてランナーがカーテンレール12の端末部に寄せ集められるので、第1カーテン生地11aと第2カーテン生地11bとの2枚のカーテン生地11a・11bのランナーを、例えば、第1カーテン生地11aの全てのランナー13aのカム軸25aを右側の内壁部側に向けてレール本体22に順次装着し、次いで、第2カーテン生地11bの全てのランナー13bをカム軸25bを左側の内壁部側に向けてレール本体22に順次装着し、それらの第1カーテン生地11aと第2カーテン生地11bをカーテンレール12の片隅に引き寄せると、第1カーテン生地11aは右側の分岐溝28aに寄せ集められ、第2カーテン生地11bは右側の分岐溝28bに分けられて寄せ集められることになる(図3)。
【0017】
この寄せ集められた第1カーテン生地11aと第2カーテン生地11bは、適宜選択的にレール本体22へと引き出すことが出来る(図3)。
従って、1本のレール本体22へと、第1カーテン生地11aと第2カーテン生地11bを選択的に引き出し、それぞれの美観を選択的に看得することが出来る(図5)。
そして、その際、必要とするレール本体22が一本で済むので、室内スペースが狭くなることはない(図3)。
【0018】
分岐した二条の分岐溝28a・28bの各端末間を接続する接続溝33が設けられているカーテン開閉装置では、カーテン生地11aの全てのランナー13aのカム軸25aを右側の内壁部側に向けてレール本体22に順次装着し、そのカーテン生地11aをカーテンレール12の片隅に引き寄せると右側の分岐溝28aに寄せ集められる。
そのランナー13aを接続溝33を経由して他方の左側の分岐溝28bへと導入すると、ランナー13のカム軸25が左側の内壁部側に向けて偏ることになり、カーテン生地11の表裏が反転し、その左側の分岐溝28bから表裏が反転したカーテン生地11bがレール本体22へと引き出されることになる(図4)。
従って、1本のレール本体22を使用して、カーテン生地11の表裏の美観を選択的に観賞することが出来る。
【0019】
このように、本発明によると、形の異なる2種類のランナーを使用することなくレール本体の端末部でのカーテン生地の襞溜10の嵩を少なくすることが出来、又、2本のレール本体を使用することなく第1カーテン生地11aと第2カーテン生地11bの美観を選択的に観賞することが出来、更に、1本のレール本体22を使用してカーテン生地11の表裏の美観を選択的に観賞することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
ランナー13は、レール部14の上を回転する車輪29を具備する車輪付きランナーであってもよい(図1)。
その場合、頭部19の横断面の最大寸法nは、その車輪29の横断面を含めて測定される(図1)。
【0021】
図1において、「31」は、カーテン生地11に装着されたフックを係止するリングであり、「p」は、ランナーの軸芯X−Xに直交するランナーの頭部19の横断面の頭部の最小寸法を示し、遊嵌腔20の内幅(t)よりも狭く設定され、「m」は、ランナーの脚部21の横断面の最小寸法を示し、走行溝24の溝幅(s)よりも狭く設定される。
【0022】
カーテンレール12は、分岐溝28a・28bと固定カム27を具備する分岐レール32とレール本体22を係脱自在に組み立てて構成することが出来る(図5)。
カーテン開閉装置23は、2本のカーテンレール12・12を縦長に向い合せに配置し、カーテン生地11を昇降操作して開閉するために使用することも出来る(図6)。
その場合、カーテン生地11に支架桿35を横長に取り付け、支架桿35の両端にランナーを取り付け、向き合うカーテンレール12とカーテンレール12の間にカーテン生地11を支架桿35を介して張設する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るカーテン開閉装置の要部分解斜視図である。
【図2】本発明に係るカーテン開閉装置の要部横断面図である。
【図3】本発明に係るカーテン開閉装置の要部横断面図である。
【図4】本発明に係るカーテン開閉装置の要部横断面図である。
【図5】本発明に係るカーテン開閉装置の斜視図である。
【図6】本発明に係るカーテン開閉装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
10:襞溜
11:カーテン生地
12:カーテンレール
13:ランナー
14:レール部
15:側縁
16:側縁
17:内壁部
18:連結部
19:頭部
20:遊嵌腔
21:脚部
22:レール本体
23:カーテン開閉装置
24:走行溝
25:カム軸
26:分岐箇所
27:固定カム
28:分岐溝
29:車輪
30:仕切り材
31:リング
32:分岐レール
33:接続溝
34:封鎖材
35:支架桿
X−X:ランナー軸芯
Y−Y:レール本体分割線
m:頭部の最小寸法
n:頭部の最大寸法
p:脚部の最小寸法
q:脚部の最大寸法
s:走行溝の溝幅
t:遊嵌腔の内幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ) カーテン生地(11)を直接または治具を介してカーテンレール(12)に走行可能に装着するランナー(13)と、ランナー(13)を側縁間に挟んで走行可能に保持する平行に並んだ一対のレール部(14・14)と、ランナー(13)を挟む各レール部(14・14)の側縁(15・15)に対応する各レール部(14・14)の他の側縁側(16・16)から立ち上がって続く一対の内壁部(17・17)と、その一対の内壁部(17・17)の間を連結する連結部(18)とによって構成されているレール本体(22)を具備するカーテン開閉装置(23)において、
(ロ) 一対のレール部(14・14)と一対の内壁部(17・17)と連結部(18)によって囲まれており、ランナーの頭部(19)の遊嵌する遊嵌腔(20)が、レール本体(22)の内部に形成されており、
(ハ) ランナー(13)を挟む一対のレール部の側縁(15)と側縁(15)の間が、レール本体(22)から外部に突出しているランナーの脚部(21)が走行可能に遊嵌する走行溝(24)となっており、
(ニ) ランナーがレール本体(22)に装着された状態において、走行溝の溝幅(s)を二等分するレール本体の分割線(Y−Y)と、ランナーの軸芯(X−X)とから扁心した位置において、レール本体の連結部(18)に向けてランナーの頭部(19)からカム軸(25)が突出しており、
(ホ) レール本体(22)の走行溝(24)が二条の分岐溝(28a・28b)に分岐しており、
(ヘ) その分岐箇所(26)において、ランナーのカム軸(25)と協働して分岐した分岐溝(28a・28b)へと走行溝(24)からランナー(13)を導く固定カム(27)を具備するカーテン開閉装置。
【請求項2】
一対のレール部(14・14)の間と一対の内壁部(17・17)の間を二等分するレール本体(22)の分割線(Y−Y)に対応するランナーの軸芯(X−X)に直交する頭部(19)の横断面の最大寸法(q)が、一対の内壁部(17・17)の間の遊嵌腔(20)の内幅(t)以上、又は、ランナーの軸芯(X−X)に直交する脚部(21)の横断面の最大寸法(n)が、走行溝(24)の溝幅(s)以上である前記請求項1に記載のカーテン開閉装置。
【請求項3】
レール本体(22)の分割線(Y−Y)上において、連結部(18)から走行溝(24)に向けて仕切り材(30)が突出している前記請求項1と2の何れかに記載のカーテン開閉装置。
【請求項4】
分岐溝(28)の端末が封鎖材(34)によって封鎖されている前記請求項1と2と3の何れかに記載のカーテン開閉装置。
【請求項5】
分岐した二条の分岐溝(28a・28b)の各端末間を接続する接続溝(33)が設けられている前記請求項1と2と3の何れかに記載のカーテン開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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