説明

カーテン開閉装置

【課題】長期間の使用に耐えるとともに、構成が簡単でかつ安価なカーテン開閉装置を提供することを目的とする。
【解決手段】カーテン開閉装置10は、円筒状の軸11と、軸11の外周部に形成されたねじ溝12と、ねじ溝12に係合するねじ係合部14を内周部に有する先端リング13aと、軸11を回転するためのモータとを含む。先端リング13aにはカーテン16の上端部を保持する輪15aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はカーテン開閉装置に関し、特に、容易にカーテンの開閉が可能なカーテン開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカーテン開閉装置が、例えば、特開平11−113734号公報(特許文献1)に開示されている。図7は特許文献1に開示されたカーテン開閉装置を示す図である。図7(A)は正面図であり、図7(B)は図7(A)において矢印B−Bで示す部分の断面図である。
【0003】
図7を参照して、従来のカーテン開閉装置は、断面が逆U字状のカーテンレール100を含む。カーテンレール100は、上壁101と、その前後に対向した前後壁102a,102bとからなる。前壁102aの下部にはランナー走行ガイド103が設けられ、ランナー走行ガイド103に沿ってランナー104に接続されたローラ105が走行する。カーテンレール100には、断面が長方形の板自身が螺旋状にねじられ、それによって軸身自身が送りねじとして作動する板状の送り軸106が設けられている。ランナー104はモータ108によって軸106を介して駆動される1つの駆動ランナー104aと、従動ランナー104bとを含み、これらのランナー104は図示のないカーテンを吊り下げるカーテン吊り部107を有する。ランナー104が送り軸106と係合する部分には送り軸106の断面の長方形よりわずかに寸法の大きい長方形の開口が設けられ、送り軸106の回転によって駆動ランナー104aが移動する。駆動ランナー104aは送り軸106と走行ガイド103とに係合し、カーテンレール100に沿って往復動が可能である。従来のカーテン開閉装置においては、モータ108で送り軸106を回転し、駆動ランナー104aを駆動することによってカーテンを自動で開閉することが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−113734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のカーテン開閉装置は上記のように構成されていた。しかしながら、従来のカーテン開閉装置においては、カーテンを開閉するための送り軸自身がその断面の幅が狭いねじとなっており、それがランナーの開口部と係合していたため、送り軸自身のねじとしての精度やそれに係合するランナーの開口部の形状が正確でないとランナーが送り軸の回転によって滑らかに移動できない。したがって、送り軸を精度高く作成する必要があり、カーテン開閉装置のコストがかかるという問題があった。また、経時的に送り軸が変形し、カーテンの滑らから開閉ができない虞があるという問題もあった。
【0006】
この発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、長期間の使用に耐えるとともに、構成が簡単でかつ安価なカーテン開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るカーテン開閉装置は、円筒状の軸と、軸の外周部に形成されたねじ部と、ねじ部に係合するねじ係合部と、軸を回転するための回転軸駆動手段とを含む。ねじ係合部にはカーテンの一部を保持するための保持部が設けられている。
【0008】
軸の外周部に形成されたねじ部は、軸の外周部に形成された溝であってもよいし、軸の外周部に形成された突起であってもよい。
【0009】
好ましくは、回転軸駆動手段は電動モータを含む。
【発明の効果】
【0010】
回転可能な円筒状の軸の外周部にねじ部を形成し、ねじ部に係合するねじ係合部を設け、ねじ係合部でカーテンの一部を保持するようにしたため、円筒状の軸を回転させるだけでカーテンを移動できる。円筒状の軸の外周部に形成したねじ部を駆動部とするため、従来のように駆動部が容易に変形することはない。また、駆動部となるねじ部の形成は容易である。
【0011】
その結果、長期間の使用に耐えるとともに、構成が簡単でかつ安価なカーテン開閉装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明に係るカーテン開閉装置の原理を説明するための模式図である。
【図2】この発明の一実施の形態に係るカーテン開閉装置の正面図である。
【図3】カーテン開閉装置の一部拡大図である。
【図4】カーテン開閉装置の制御部を示すブロック図である。
【図5】カーテン開閉装置の制御部の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の他の実施の形態を示す図である。
【図7】従来のカーテン開閉装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。図1はこの発明の一実施の形態に係るカーテン開閉装置の原理を説明するための斜視図である。図1を参照して、カーテン開閉装置10は円筒状の軸11を含む。軸11の外周部にはねじ溝(ねじ部)12が形成されている。カーテン開閉装置はさらに、ねじ溝12に係合する矩形の板(ねじ係合部)14をその内径部に有するカーテンリング13aと、軸11を回転する図示のない回転駆動手段とを含む。カーテンリング13aにはカーテン16の上端部を吊り下げるための輪(保持部)15aが設けられている。カーテン16は、その先端部がカーテンリング13aに設けられた輪15aで支持される。カーテン16の先端部に続く上側の端部には所定の間隔を開けて輪15b,15c,…が設けられ、これらの輪15b,15c,…は軸11に支持された複数のカーテンリング13b,13c,…で支持されている。なお、先端部に設けられたカーテンリング13aのみにねじ溝12に係合する板14が設けられ、他のカーテンリングには板14は設けられていない。すなわち、カーテンリング13aのみが駆動され、他のカーテンリングは駆動されない。
【0014】
図1において、軸11を図示のない回転駆動手段を用いて図中矢印Aで示す方向に回転すると、それによってねじ溝12に係合する板14が移動し、それに伴ってカーテンリング13aが移動し、回転方向に応じて、カーテン16は図中矢印Bで示す方向に移動する。したがって、カーテン16の図示のない後端部を固定しておけば、カーテン16の開閉が可能になる。
【0015】
すなわち、この実施の形態においては、ねじ溝12が形成された軸11を回転するだけで、カーテン16の開閉が可能になる。
【0016】
次に、具体的な構成について説明する。図2は図1に示した原理を用いたカーテン開閉装置10aの全体構成を示す図である。(A)は正面図であり、(B)は図2(A)において、矢印B−Bで示す部分の矢視図である。ここでは、カーテン開閉装置10aは図示のない壁に設けられた壁取付金具18a,18bに取り付けられている。なお、ここでは、カーテン開閉装置10aを片開きカーテンに適用している。図示のないカーテンは図中の右側端部が所定の位置に固定され、左側端部が先端リング(図1におけるカーテンリング13aに対応)31aに設けられた輪15aに固定されている。
【0017】
図2を参照して、カーテン開閉装置10aは、円筒状の回転可能な軸11と、軸11を回転するための回転駆動手段20とを含む。軸11の両端部19a,19bは軸11よりも細い径を有する円筒状であり、軸受17a,17bで壁取付け金具18a,18bに取り付けられている。
【0018】
軸11の外周部材にはねじ溝12が形成されている。このねじ溝12に係合するように、先端ガイドリング31aが設けられている。先端ガイドリング31aはその内周部分に、図1に示した板14と同様に、ねじ溝12に係合する突出部分を有する。なお、この部分の構成は図1と同様にしてもよい。また、ねじ溝12に係合しないガイドリング31b,31c,…(図1におけるカーテンリング13b,13c,…に対応)、および、先端ガイドリング31aやその他のガイドリング31b,31c,…の下部には、図示のないカーテンを吊り下げるための輪15a,15b,15c,…が設けられているのは図1と同様である。
【0019】
図2(A)に示した軸11の右側の端部には軸11を回転駆動するための回転駆動手段20が設けられている。回転駆動手段20は、回転駆動手段20全体を支持するためのモータベース21と、モータベース21に固定された軸受部22と、軸受部22に支持されたモータ23と、モータ23と同軸に設けられ、モータ23の回転を検出する回転数センサ24と、軸11の一方側の端部19bとモータ23とを接続するためのカップリング25とを含む。ここでは、モータベース21は壁取付け金具18bに取り付けられているが、別途、図示のない壁面に取り付けてもよい。
【0020】
なお、軸11の両端部と壁取付け金具18a,18bとの間に、軸11の回転の障害にならないように、所定の隙間が設けられている。
【0021】
図2(A)に示すように、軸11が正回転(壁取付け金具18aから見て右回転)するとねじ溝12によってガイドされ、先端ガイドリング31aは左方向に移動し、軸11が逆回転すると、先端ガイドリング31aは右方向に移動する。
【0022】
次に、このねじ溝12、先端ガイドリング31a、および、他のガイドリング31b等との寸法関係について説明する。
【0023】
図3は上記の関係を示す模式図である。図3を参照して、軸11に設けられたねじ溝12は断面が台形状である。ねじ溝12の開口部の幅寸法はd1であり、底の幅寸法をd2とすると、d1>d2である。また、先端ガイドリング31aは矩形の断面を有する外周部と台形の断面を有する内周部とが組み合わさった形状であり、それによって内周部に突出部分32を形成している。また、外周部が一定の幅寸法d3を有し、内周部の先端部にはd3より幅の狭くなった幅寸法d4の突出部分32を有する。寸法d4は溝の幅寸法d1より小さく、また、寸法d3>d1である。したがって、先端ガイドリング31aはねじ溝12に沿って移動可能である。また、ガイドリング31bの断面形状は円であり、その径はd5である。径d5は溝の幅寸法d1に比べて大きくd5>d1×3であるのが好ましい。
【0024】
なお、先端ガイドリング31aの突出部分の断面は、先端部の寸法が上記の条件を満たし、ねじ溝12の底に当接しなければ、V字状を含む任意の形状としてもよい。また、先端部が曲率を有していてもよい。
【0025】
次に、回転駆動手段20について説明する。図4は回転駆動手段20を制御する部分の構成を示すブロック図である。図4を参照して、回転駆動手段20の制御部分は、軸11を回転するためのモータ23と、モータ23の回転数を検出するための回転数センサ24と、回転数センサ24の検出した回転数のパルス信号をカウントするための回転数カウンタ26と、モータ23の回転等を制御するCPU27と、CPU27に接続されカーテンの開閉を行なう開閉スイッチ29と、CPU27に接続され、CPU等に電源を供給する電源部28とを含む。開閉スイッチ29はカーテンの移動を停止するための停止スイッチを含む。なお、回転数カウンタ26と、CPU27と、電源部28と、開閉スイッチ29とは図2には示していない制御部30に設けられている。
【0026】
CPU27は回転数カウンタの26の回転数が所定の設定値になると停止信号を出力する。また、CPU27は、開閉スイッチ29に応じて、モータ23の正転、逆転、および、停止を指示する。
【0027】
次に、制御部30の動作について説明する。図5は、制御部30のCPU27の動作を示すフローチャートである。図5を参照して、開閉スイッチがONされたか否かを判断する(ステップS11、以下、ステップを省略する)。ここでは、カーテンが閉じられており、開スイッチがONされた場合について説明する。開スイッチがONされたと判断したときは(S11でYES)、モータ23が逆回転方向に駆動される(S12)。停止スイッチが押されたか否かを判断する(S13)。押されたときは(S13でYES)、モータ23の駆動を停止する(S15)。押されなかったときは(S13でNO)、回転数カウンタの値が所定の「開」と判断される値になるまでモータ23を駆動する(S14,S15)。なお、閉じるときも基本的に同じである。
【0028】
すなわち、この実施の形態においては、カーテンが開閉するために必要な回転数が予め設定され、図示のないメモリに格納されている。したがって、ユーザは開閉スイッチ29をONするだけで、自動的にカーテンの開閉が可能になる。また、ユーザは自分の好きな位置でカーテンの移動を停止できる。
【0029】
そのため、通常の電動カーテン開閉装置に必要なカーテンの位置を検出するためのセンサ等は必要なく安価に製造できる。
【0030】
なお、ここでは、カーテン開閉装置を、モータで軸を回転駆動する場合について説明したが、これに限らす、軸を手動で回転してもよい。この場合はロールカーテンのように軸に紐を固定し、これを引いて軸を回転させてもよい。
【0031】
また、この実施の形態においては、モータとモータを制御するためのCPUを含むチップのみで成り立つために安価に製造が可能、駆動方式もシンプルであることから、規定の寸法を有する窓枠の長さに合わせた製品を販売すればユーザが個人で取付け可能である。
【0032】
以上のように、この実施の形態によれば、軸11がモータ23により回転した場合、カーテンや先端ガイドリング31a、従動ガイドリング31b,31c,…が何かで引っ掛かったり固定された場合においても、軸11の外周に設けられたねじ溝12より浮き上がって空転し、軸11やモータ23に過度の負荷がかからず、各部品の故障や破損等を防ぐことができる。
【0033】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。上記実施の形態においては、カーテン開閉装置はカーテンを片開きカーテンに適用した。この実施の形態においては、カーテン開閉装置を両開きカーテンに適用する。
【0034】
図6はこの実施の形態におけるカーテン開閉装置の全体構成を示す図4に対応する図である。図6を参照して、基本的な構成は図4に示したカーテン開閉装置と同様であるが、軸に設けられたねじ溝12が、軸の中央部でそれぞれ逆方向に形成されている点のみが異なる。したがって、同一部分には同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0035】
この実施の形態においては、軸に設けられたねじ溝12a、12bが中央部を境として逆向きに形成されており、中央部で対向する2つの先端ガイドリング31a,33aをそれぞれの溝12a,12bに係合させることにより、軸11を一方向に回転するだけで、先端ガイドリング31a,33aに設けられた輪15a,35aによって吊り下げられたカーテンの開閉が可能になる。
【0036】
なお、上記実施の形態においては、軸にねじ溝を設けた場合について説明したが、これに限らず、軸の外周面にねじ状の突起を設け、この突起に係合する先端ガイドリングを設けてもよい。この場合は、円筒状の軸の外周に係合するばねを取付けて突起としてもよい。
【0037】
また、同じモータを用いて、ねじ溝のピッチを変えることによってカーテンの開閉速度を容易に調整可能である。
【0038】
また、上記実施の形態においては、横開きのカーテンに適用した場合について説明したが、これに限らず、上下方向に開閉するカーテンに用いてもよい。
【0039】
さらに、カーテンに限らず、任意の方向に開閉するスクリーン等に用いてもよい。
【0040】
また、カーテン開閉装置の制御部にタイマーを設け、毎日決まった時間にカーテンを開閉してもよい。
【0041】
また、リモコンに無線発信装置を設け、制御部に無線受信装置を設け、無線で開閉信号を出力するようにし、カーテンを遠隔で制御してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明に係るカーテン開閉装置は長期間の使用に耐えるとともに、構成が簡単でかつ安価であるため、カーテン開閉装置として有利に利用される。
【符号の説明】
【0043】
10 カーテン開閉装置、11 軸、12 ねじ溝、13 カーテンリング、14 板、15 輪、16 カーテン、20 回転駆動手段、23 モータ、24 回転数センサ、26 回転数カウンタ、27 CPU、29 開閉スイッチ、30 制御部、31 ガイドリング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の軸と、
前記軸の外周部に形成されたねじ部と、
前記ねじ部に係合するねじ係合部とを含み、
前記ねじ係合部にはカーテンの一部を保持するための保持部が設けられ、
前記軸を回転するための回転軸駆動手段とを含む、カーテン開閉装置。
【請求項2】
前記軸の外周部に形成されたねじ部は、前記軸の外周部に形成された溝である、請求項1に記載のカーテン開閉装置。
【請求項3】
前記軸の外周部に形成されたねじ部は、前記軸の外周部に形成された突起である、請求項1に記載のカーテン開閉装置。
【請求項4】
前記回転軸駆動手段はモータを含む、請求項1〜3のいずれかに記載のカーテン開閉装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−206147(P2011−206147A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74834(P2010−74834)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(510086383)
【Fターム(参考)】