説明

カードゲーム装置用のカード読取機及びそのカード読取機を用いたカードゲーム装置

【課題】
多数のカードを容易かつ確実に操作し、所望のカードを機敏に選び出し、そのゲーム情報を確実に入力し得るカード読取機、及びそのようなカード読取機を備えたカードゲーム装置を提供することである。
【解決手段】
叙上の課題を解決するため、本発明に係るカード読取機においては、その筐体に、ディスプレイ装置と、決定押しボタンと、複数のカードを保持して回転する円筒形又は円板形の回転体から成るカードプロセッサと、その回転するカードプロセッサに保持されたカードに記録されたゲーム情報を順次読取り得るデータリーダーと、そのデータリーダーによって読取られたゲーム情報を演算処理し、上記ディスプレイに所要の画像を表示すると共に、決定押しボタンが押されたときはゲームに必要なゲーム情報をメインのカードゲーム装置に伝達する演算装置とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードゲーム装置で用いられるカード読取機及びそのカード読取機を備えたカードゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレイヤが所持するカードを受け入れそのゲームデータを読取るカード読取機と、
プレイヤにより操作されるゲーム入力装置と、
ゲームの進展状況を示す画像を表示するディスプレイと、
カード読取機により読取られたゲームデータ及びゲーム入力装置の操作信号とに応動し、予め定められたゲームプログラムに従ってゲーム演算を行い、その演算結果により上記ディスプレイに所要の画像を表示するゲーム演算装置とを具備するカードゲーム装置は広く普及しており、好評を博している。
これらのカードゲーム機では、1人のプレーヤが単独でプレイできる1Pゲームと、2人で対戦する2Pゲームが可能である。
【0003】
これらのカードゲーム機に設けられるカード読取機には様々なものがあり、又、ゲームに使用するカードの種類、用途、数等も区々である。
一回のゲームで使用するカードが1〜2枚のゲームの場合、プレイヤがカードを挿入しゲームデータを読取らせるリーダーライターが設けられ、プレイヤはこの読取機にカードを挿入し、ゲーム情報を読取らせるようになっている
【0004】
一方、多数枚のゲームカードを用いてゲームを行う対戦型カードゲーム機の場合、対戦するプレイヤがそれぞれ複数のカードを載置し、ゲームを行うためのプレイボードが設けられ、各プレイヤはそれぞれのプレイボードに所定のカードを配置し、ゲームを行うものがある。
【0005】
この種のカードゲーム装置には、プレイボードの背面にプレイボード上に配置されたカードの読取機が設けられており、この読取機によりカードに記録されたゲーム情報が読取られ、これらのゲーム情報に基づいて、ゲームが行われる。
カードのゲーム情報の記録は、非接触式の記録方法、例えばバーコードやQRコードなどの光学式方法、又は、ICタグのような電子式方法で記録されている。
【0006】
これら従来の方法では、プレイヤは複数のカードを手に持ち、所望のものを選んでプレイボード上に置いたり、読取機に挿入したりしなければならず、又、他のプレイヤと対戦する場合などにあっては、他のプレイヤに手の内を見せずに、かつ機敏にカードを捌かねばならないが、このような操作は幼児には困難であるという問題がある上、本来のゲーム能力以外の手先の器用さなどにより、対戦成績が大きく左右されるという問題もあった。
【0007】
又、複数のカードを手に持って捌く間に、プレイヤがカードを取り落としたり、破損したりして、ゲームの進行が妨げられることもあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、叙上の問題点を解決するためなされたものであり、その課題とするところは、多数のカードを容易かつ確実に操作し、所望のカードを機敏に選び出し、そのゲーム情報を確実に入力し得るカード読取機、及びそのようなカード読取機を備えたカードゲーム装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
叙上の課題を解決するため、本発明に係るカード読取機においては、その筐体に、ディスプレイ装置と、決定押しボタンと、複数のカードを保持して回転する円筒形又は円板形の回転体から成るカードプロセッサと、その回転するカードプロセッサに保持されたカードに記録されたゲーム情報を順次読取り得るデータリーダーと、そのデータリーダーによって読取られたゲーム情報を演算処理し、上記ディスプレイに所要の画像を表示すると共に、決定押しボタンが押されたときはゲームに必要なゲーム情報をメインのカードゲーム装置に伝達する演算装置とが設けられる。
【0010】
最も簡単な実施例においては、カードプロセッサは、手動回転式であり、プレイヤが手で回転すると、カードの移動経路に臨んで設けられているデータリーダーによりその前を通過するカードのゲーム情報が読取られ、その情報に基づいて、例えばゲームに登場するキャラクタの画像などがディスプレイに表示される。
【0011】
プレイヤは、所望の画像がディスプレイの表示されたとき、決定ボタンを押して、そのカードをゲームに使用することを決定する。
然るときは、そのカードからゲームに必要な情報が読み出され、メインのカードゲーム装置に伝達される。
【0012】
他の一実施例においては、カードプロセッサは、適宜の回転駆動装置例えば、ステッピングモータなどにより回転駆動され、更に、その回転駆動装置は、プレイヤにより制御される回転制御装置により制御されるよう構成される。
【0013】
このため、筐体には、プレイヤによって操作される正転用及び逆転用の回転制御ボタンが設けられ、回転制御装置は、これらの回転制御ボタンの制御信号に応じて、回転駆動装置を作動させ、カードプロセッサを正方向又は逆方向に回転させる。
【0014】
カードプロセッサの内部、若しくは外周辺部には、カードの移動経路に臨ませてその前方を通過するカードに記録されたゲーム情報を読取るデータリーダーが設けられ、その読取データの対応する画像がディスプレイに表示される。
プレイヤは所望の画像がディスプレイに現れたとき、決定ボタンを押して、そのカードを用いてゲームを行う。
【0015】
本発明の別異の実施例においては、カードプロセッサは、メインのカードゲーム装置の筐体に直接取り付けられる。
この場合、そのカードプロセッサは、カードゲーム機の筐体に直接回転自在に取り付けられ、その回転中心軸の廻りには、夫々所定のカードを保持し得る複数のカードホルダーが回転対称の位置に配置され、手回し或いはステッピングモータ等の回転駆動装置により回転駆動され、そのカードホルダーに保持されたカードの移動経路に臨んで、その前面のデータ読取領域を通過するカードのデータを読取るデータリーダーが設けられる。
【0016】
この実施例においては、カード読取機の読取ったデータの処理は、メインのカードゲーム装置のゲーム演算装置により行われ、カードに対応する画像もカードゲーム装置のディスプレイの画面の一部に表示され、当該カードをゲームに使用するときの決定がカードゲーム装置のゲーム入力装置の操作により行われる。
【0017】
カードプロセッサには、少なくとも6枚程度、望ましくは10枚又はそれ以上のカードを挿入できるようにすることが推奨される。
カードプロセッサにカードを挿入する操作は、例えば1回のゲームにつき1回のみと制限することもでき、又、ゲーム中自由にカードの差し替え、補充ができるよう設定することができる。
【0018】
このように構成すると、ゲーム中、複数のカードを手で捌く必要がなくなり、そのため初心者や、少々不器用なプレイヤもゲームに集中することができるように成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下図面により本発明の望ましい実施態様について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、メインのカードゲーム機とは別体に構成されたカード読取機の一例を示す正面図、
図2は、図1に示したカード読取機の側面図、
図3は、図1及び図2に示したカード読取機で用いられるカードプロセッサの部分断面図である。
【0021】
而して、これらの図中、1はカード読取機であり、このカード読取機1は、筐体10と、その筐体10に設けられたディスプレイ11、決定ボタン12、正転指令ボタン13、逆転指令ボタン14、コイン投入口15、コイン受け16、電源端子17、出力端子18、カードプロセッサ20などから成る。
【0022】
カードプロセッサ20は、その回転中心軸21が、筐体10に回転自在に取り付けられており、回転中心軸21の周りにはそれぞれ挿入されたカード3-1、3-2、3-3、…3-6を受け入れるカードホルダー2-1、2-2、2-3、…2-6を具備する。
本実施例において、カードプロセッサ20は、リボルバー式拳銃の弾倉のような形状で、外周面に指をかけて回転させるための溝20aが6箇所設けられている。
【0023】
ゲームに先立って、プレイヤは、手持ちのカードの中から選定した最大限6枚のカードを、カードプロセッサ20のカードホルダー2-1、2-2、2-3、…2-6に指し込み、固定する。
このとき、カードプロセッサ20がロックされているときは、そのロックを外し、手動で回転できるようにすることが望ましい。
カードゲーム機によっては、挿入されるカードの表裏や天地によって、読取られるゲーム情報が異なる場合がある。
【0024】
図3に示されているように、カードプロセッサ20の内部には、回転するカードの移動経路に臨ませて、CCDカメラ4が設けられている。
カードプロセッサ20は、手動式であっても良いが、この実施例では、図示されていないステッピングモータのような回転駆動装置により、中心軸21の廻りに正逆両方向に回転し得るよう構成されており、正転指令ボタン13又は逆転指令ボタン14が押圧され開放される都度、正方向又は逆方向に60度宛回動せしめられるよう構成されている。
【0025】
CCDカメラ4は、常時、その前面に回動してきたカード3-iに記録されたゲームデータを読取り、これを図示されていない演算装置に入力する。
演算装置は、CCDカメラ4から送られたゲームデータを解析し、当該カード3-iに対応する画像データをディスプレイに送り、その画像を表示させると共に、決定ボタン12が押圧され開放されたときは、出力端子19から、図示されていないカードゲーム装置に所要のゲームデータを送信する。
然るときは、プレイヤは、このとき送られたゲーム条件の下で、カードゲーム機のゲーム入力装置を操作し、プレイを行うことができる。
【0026】
カードプロセッサ20を手動回転式とした場合の作用は、上記と同断である。
上記には、このカード読取機1を、メインのカードゲーム機とは別異に構成する例を示したが、これはカードゲーム機と一体に構成し得ること当然である。
この場合、上記のカード読取機の筐体10は用いられず、カードプロセッサ20は、直接又は適宜のアダプタを介して、メインのカードゲーム機の筐体、望ましくはそのゲーム操作盤に回転自在に取り付けられる。
【0027】
而して、この実施例においては、カードプロセッサ20の回転駆動装置やCCDカメラは、前述の独立型カード読取機と同様に設けられるが、ディスプレイとしてはカードゲーム機のディスプレイ画面の一部を利用することができ、カードプロセッサ20の回転駆動装置には、カードゲーム機のゲーム入力装置を利用することができる。
【0028】
尚、本発明の構成は、叙上の実施例に限定されるものでなく、例えば、カードのゲームデータ記録には無線式のICタグが利用でき、その場合には、そのゲームデータ読取機としては、公知のリーダーライタが用いられるものであり、カードプロセッサの回転駆動装置にはステッピングモータに限らず、例えば直流モータなどが利用でき、カードプロセッサの回転制御装置にも様々な装置を利用しうるものであって、本発明はこれら周知の先行技術を利用した変更例の総てを包摂するものである。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は叙上の如く構成されるので、本発明によるときは、カード操作が極めて容易で、器用、不器用によるハンデキャップが少なく、幼児でも不器用なプレイヤでも、ゲームを楽しめる新規なカードゲーム装置を提供し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】メインのカードゲーム機とは別体に構成されたカード読取機の一例を示す正面図である。
【図2】図1に示したカード読取機の側面図である。
【図3】図1及び図2に示したカード読取機で用いられるカードプロセッサの部分断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 カード読取機
10 筐体
11 ディスプレイ
12 決定ボタン
13 正転指令ボタン
14 逆転指令ボタン
15 コイン投入口
16 コイン受け
17 電源端子
18 出力端子
20 カードプロセッサ
21 回転軸
2-1、2-2、2-3、…カードホルダー
3-1、3-2、3-3、…カード
4 CCDカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤが所持するカードを受け入れそのゲームデータを読取るカード読取機と、
プレイヤにより操作されるゲーム入力装置と、
ゲームの進展状況を示す画像を表示するディスプレイと、
カード読取機により読取られたゲームデータ及びゲーム入力装置の操作信号とに応動し、予め定められたゲームプログラムに従ってゲーム演算を行い、その演算結果により上記ディスプレイに所要の画像を表示するゲーム演算装置とを具備するカードゲーム装置用のカード読取機(1)であって、
ディスプレイ(11)と、決定ボタン(12)とを具備した筐体(10)と、
回転中心軸(21)の廻りに回転対称の位置に配置され、夫々所定のカード(3-1、3-2、3-3、…3-n)を保持し得る複数のカードホルダー(2-1、2-2、2-3、…2-n)を具備し、筐体(10)に設けた回転軸の周りに回転自在に取り付けられるカードプロセッサ(20)と、
カードプロセッサ(20)のカードホルダー(2-1、2-2、2-3、…2-n)に保持されたカード(3-1、3-2、3-3、…3-n)の移動経路に臨んで設けられ、その前面のデータ読取領域に位置するカード(3-i)のデータを読取るデータリーダー(4)と、
データリーダー(4)の読取ったデータを処理し、ディスプレイ(11)に所定の画像を表示させると共に、決定ボタン(12)が押圧されたときは、ゲームに必要なデータをカードゲーム装置に出力する演算装置と、
を備えた上記のカード読取機(1)
【請求項2】
カードプロセッサ(20)が、プレイヤの手によって回転される手動回転式カードプロセッサである、請求項1に記載のカード読取機(1)。
【請求項3】
筐体(10)が、正転指令ボタン(13)と、逆転指令ボタン(14)とを具備し、更に、それらの指令ボタン(13、14)の操作に応じて、カードプロセッサ(20)を回転駆動し、カード(3-1、3-2、3-3、…3-n)を順次データリーダー(4)のデータ読取領域を通過させる回転制御装置(40)が設けられた、請求項1に記載のカード読取機(1)。
【請求項4】
データリーダー(4)がCCDカメラである請求項1ないし3の何れか一に記載のカード読取機(1)。
【請求項5】
データリーダー(4)がICタグ用のリーダーライターである請求項1ないし3の何れか一に記載のカード読取機(1)。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一に記載のカード読取機(1)を具備するカードゲーム装置。
【請求項7】
プレイヤが所持するカードを受け入れそのゲームデータを読取るカード読取機と、
プレイヤにより操作されるゲーム入力装置と、
ゲームの進展状況を示す画像を表示するディスプレイと、
カード読取機により読取られたゲームデータ及びゲーム入力装置の操作信号とに応動し、予め定められたゲームプログラムに従ってゲーム演算を行い、その演算結果により上記ディスプレイに所要の画像を表示するゲーム演算装置とを具備するカードゲーム装置において、
そのカード読取機が、
カードゲーム機の筐体に設けた回転軸の周りに回転自在に取り付けられ、その回転中心軸の廻りに回転対称の位置に配置され、夫々所定のカードを保持し得る複数のカードホルダーを具備するカードプロセッサと、
カードプロセッサのカードホルダーに保持されたカードの移動経路に臨んで設けられ、その前面のデータ読取領域を通過するカードのデータを読取るデータリーダーと、
を具備することを特徴とする上記のカードゲーム装置。
【請求項8】
カードプロセッサが、手回し式である、請求項7に記載のカードゲーム装置。
【請求項9】
カードプロセッサを回転駆動する装置を具備した、請求項7に記載のカードゲーム装置。
【請求項10】
データリーダーがCCDカメラである請求項7ないし9の何れか一に記載のカードゲーム装置。
【請求項11】
データリーダーがICタグ用のリーダーライターである請求項7ないし9の何れか一に記載のカードゲーム装置。
【請求項12】
カード読取機の読取ったデータの処理が上記ゲーム演算装置により行われ、カードに対応する画像が上記ディスプレイの画面の一部に表示され、当該カードをゲームに使用するときの決定が上記ゲーム入力装置の操作により行われる、請求項7ないし11の何れか一に記載のカードゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−23012(P2008−23012A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197639(P2006−197639)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】