説明

カードホルダー

【課題】従来より上下方向でコンパクトにすることが可能なカードホルダーを提供する。
【解決手段】本発明のカードホルダー30は、コンテナの外側面に重ねられる後側対向板40と、後側対向板40を間に挟んでコンテナの外側面に重ねられる前側対向板35とを備えて、それら前側対向板35及び後側対向板40の間で印字カードを狭持する。また、後側対向板40のうち印字カードに覆われる部分には、ICタグ90を収容可能なタグ収容部30Sが設けられ、前側対向板35及びタグ収容部30Sには、印字カードを外した状態でICタグ90のワイヤーアンテナを露出させるためのアンテナ露出窓40Bがそれぞれ形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送器具の外側面に重ねた状態に固定され、印字カードとICタグとを保持可能な樹脂製のカードホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のカードホルダーは、ICタグを収容可能なタグ収容ケースからベース板を垂下し、そのベース板の下端部から上方に延びた可撓片とベース板との間で印字カードを挟持する構造になっていた(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
意匠公報 第1302519号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のカードホルダーは、ICタグを保持する部分(タグ収容ケース)と、印字カードを保持する部分(可撓片及びベース)とが上下に並んで上下方向に大きくなるため、カードホルダー取り付け用のスペースを、搬送器具の外側面に広く確保しなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来より上下方向でコンパクトにすることが可能なカードホルダーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るカードホルダーは、荷物を搬送するための搬送器具の外側面に重ねた状態に固定されると共に、荷物の情報が印字された印字カードと荷物又は搬送器具の情報を有しかつ印字カードより小さいカード形のICタグとを保持可能な樹脂製のカードホルダーであって、搬送器具の外側面に重ねられる後側対向板と、後側対向板を間に挟んで搬送器具の外側面に重ねられる前側対向板と、前側対向板及び後側対向板の下端部同士を連結する下端連結壁とを備えて、前側対向板及び後側対向板の間で印字カードを狭持可能とすると共に、後側対向板のうち印字カードに覆われる部分に、ICタグを収容可能なタグ収容部を設けたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のカードホルダーにおいて、前側対向板及びタグ収容部に、印字カードを外した状態でICタグのアンテナ部を露出させることが可能なアンテナ露出部を設けたところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のカードホルダーにおいて、タグ収容部は、後側対向板のうち搬送器具の外側面と対向する後面に配置され、そのタグ収容部には、後側対向板から後方に突出し、ICタグを全側方から位置決めするタグ側方位置決突部と、タグ側方位置決突部のうちICタグを挟んで対向した1対の対向面から互いに接近する側に突出し、後側対向板との間でICタグの1対の外縁部を狭持可能なタグ係止片と、後側対向板に貫通形成されたアンテナ露出部としてのアンテナ露出窓とが備えられ、ICタグを、その一端側から後側対向板とタグ係止片との間に挿入してタグ収容部に収容可能としたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載のカードホルダーにおいて、アンテナ露出窓の1対の対向面に連結されて、ICタグのうちICチップの周辺部分に突き合わされる環状保護壁を備えたところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載のカードホルダーにおいて、後側対向板から突出してICタグに部分的に当接することで、ICタグ全体を後側対向板から浮かせた状態に保持するフローチングリブを備えたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
[請求項1の発明]
請求項1のカードホルダーでは、前側対向板と後側対向板の間に印字カードが挟まれて保持され、その後側対向板のうち印字カードに覆われる部分にタグ収容部が収容されて保持される。即ち、本発明のカードホルダーでは、印字カードを保持する部分と、ICタグを保持する部分とが、共に搬送器具の外側面に重ねて配置され、これにより従来より上下方向でコンパクトにすることができる。
【0012】
[請求項2の発明]
請求項2のカードホルダーの構成によれば、前側対向板及びタグ収容部には、印字カードを外した状態でICタグのアンテナ部を露出させるアンテナ露出部が設けられているので、カードホルダーによる無線妨害が抑えられ、ICタグにて良好な無線通信を行うことができる。なお、印字カードによる無線妨害が問題になる場合には、印字カードをカードホルダーから外した状態でICタグにて無線通信を行えばよく、印字カードによる無線妨害が問題にならない場合には、印字カードをカードホルダーに保持した状態でICタグにて無線通信を行ってもよい。また、ICタグに水が付着してもアンテナ露出部によりICタグを速やかに乾燥させることができ、無線妨害を回避することができる。
【0013】
[請求項3の発明]
請求項3のカードホルダーでは、本発明においてタグ収容部にICタグを収容するには、ICタグをその一端側から後側対向板とタグ係止片との間に挿入すればよい。すると、その挿入過程で、ICタグの一端側が後側対向板とタグ係止片との間に挟まれると共に、他端側がタグ側方位置決突部に乗り上がって、ICタグ又は後側対向板の一部が弾性変形する。そして、ICタグがタグ収容部における正規位置に収まると、ICタグ又は後側対向板が弾性変形から復元し、ICタグがタグ側方位置決突部によって全側方から位置決めされ、タグ収容部内に保持される。
【0014】
このように、タグ収容部が後側対向板のうち搬送器具の外側面と対向する後面に配置され、後側からICタグが収容されるので、ICタグをタグ収容部に収容してからカードホルダーを搬送器具に固定すると、そのカードホルダーを搬送器具から外さない限り、ICタグをタグ収容部から取り出すことができなくなる。これにより、印字カードと共に誤ってICタグをカードホルダーから取り外すような事態を防ぐことができる。また、タグ収容部は、後側対向板の後面と搬送器具の外側面との間に配置されるので、タグ収容部を後側対向板の前面に配置した場合よりICタグの保護が厚くなる。
【0015】
[請求項4の発明]
請求項4のカードホルダーでは、後側対向板におけるアンテナ露出窓の内側に備えた環状保護壁が、ICタグのうちICチップの周辺部分に突き合わされているので、その環状保護壁により異物がICチップに当接することを防ぐことができると共に、環状保護壁自体がICチップに当接することも防がれる、
【0016】
[請求項5の発明]
請求項5のカードホルダーでは、後側対向板から突出したフローチングリブが、ICタグに部分的に当接して、ICタグ全体が後側対向板から浮いた状態に保持される。ここで、仮にICタグ全体が後側対向板に当接していると、毛細管現象によってICタグと後側対向板との隙間の広い範囲に水が溜まり、無線通信が妨げられるという事態が生じるが、本発明の構成によれば、ICタグ全体が後側対向板から浮いた状態に保持されて水はけがよくなるので、上記事態を回避することができ、良好な無線通信が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るカードホルダーの前側斜視図
【図2】カードホルダーの後側斜視図
【図3】カードホルダーの側面図
【図4】(A)ICタグを保持したカードホルダーの前側斜視図、(B)ICタグを保持したカードホルダーの後側斜視図
【図5】コンテナに固定されたカードホルダーの斜視図
【図6】(A)コンテナに固定され、ICタグを保持したカードホルダーの斜視図、(B)コンテナに固定され、印字カードを保持したカードホルダーの斜視図
【図7】カードホルダーの側断面図
【図8】パレットに固定されたカードホルダーの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。本実施形態のカードホルダー30は、連結ベース板31から前側対向板35及び後側対向板40を上方に起立させて対向配置した構造になっている。連結ベース板31は、本発明の「下端連結壁」に相当し、帯板状をなして横方向に延び、その板厚方向は鉛直方向と平行になっている。以下、連結ベース板31の幅方向を前後方向といい、その連結ベース板31の幅方向の一端側を前側、他端側を後側ということとする。
【0019】
連結ベース板31には、長手方向における3カ所に上方膨出部34がそれぞれ設けられている。これら3つの上方膨出部34のうち中央の上方膨出部34は、連結ベース板31を前方から見て左寄りに配置され、その中央の上方膨出部34に対して左右の上方膨出部34,34が同一間隔となるように配置されている。即ち、上方膨出部34群全体が、例えば、カードホルダー30の前方から見て連結ベース板31に対して左側に寄せて配置されている。
【0020】
各上方膨出部34は、連結ベース板31の一部を全体に対して僅かに上方に平行移動させるように湾曲させた構造になっている。また、図2に示すように、各上方膨出部34は、連結ベース板31の幅方向で略半分の大きさをなしている。さらに、連結ベース板31のうち各上方膨出部34の後側には、それぞれ切り欠き31Kが形成されている。そして、連結ベース板31のうち隣り合った切り欠き31K,31Kの間に残された部位が、後方に向かって突出した1対の後方突片33,33になっている。
【0021】
連結ベース板31の下面には、1対の下面係止突起32,32が突出形成されている。図3に示すように、各下面係止突起32は、連結ベース板31の長手方向の一端側から見ると楔形状になっている。そして、下面係止突起32の前側部分は連結ベース板31の下面と直行した係止面32Aをなし、下面係止突起32の後側部分は傾斜面32Bになっている。
【0022】
前側対向板35は、連結ベース板31の上面における前端寄り位置から立ち上がり、上方に向かうに従って後側に向かうように鉛直方向に対して僅かに傾斜している。また、前側対向板35は、図1に示すように、連結ベース板31の左右両端寄り位置に配置された1対の主板部35X,35Yにおける上下方向の中間部を横長の連絡板部35Zにて連絡した形状になっている。そして、前側対向板35のうち両主板部35X,35Yと連絡板部35Zと連結ベース板31によって囲まれた部分が、本発明の「アンテナ露出部」に相当するアンテナ露出窓35Aになっている。なお、連絡板部35Zより上方における両主板部35X,35Y同士の間隔は、アンテナ露出窓35Aの横幅より狭くなっている。
【0023】
また、前側対向板35全体は、例えば、カードホルダー30の前方から見て連結ベース板31に対して左側に寄せて配置され、アンテナ露出窓35Aの横方向における中央に、前記した3つの上方膨出部34における中央の上方膨出部34が位置している。なお、前から見て右側に位置した一方の主板部35Yの外側の側縁部は、下端部が末広がり状に右側に広がった形状になっている。
【0024】
前側対向板35の外縁部全体には、縁部補強リブ35Lが前方に向かって突出形成されている。また、前側対向板35のうちアンテナ露出窓35Aの開口上縁部とその開口上縁部の両端角部にも、同様の縁部補強リブ35Lが形成されている。さらに、前側対向板35全体の上縁部は全体に対して前側に屈曲している。これにより、後述する印字カード95を前側対向板35と後側対向板40との間にスムーズに挿入することができる。
【0025】
図2に示すように、後側対向板40は、連結ベース板31のうち前記した3つの切り欠き31K内にそれぞれ配置された3つのヒンジ部40Hで連結されている。詳細には、カードホルダー30は、成形金型にて成形された直後は、連結ベース板31の板厚方向で前側対向板35と後側対向板40とが連結ベース板31を間に挟んで並んだ状態になっている。そして、その成形後に後側対向板40が、連結ベース板31に対してヒンジ部40Hを中心にして略180度、折り返されて、後側対向板40と前側対向板35とが対向配置された状態になる。また、各ヒンジ部40Hは、連結ベース板31のうち上方膨出部34の後端面の下端縁に繋がっている。そして、後側対向板40を曲げ起こすと、後側対向板40のうちヒンジ部40H寄りの前面が、上方膨出部34の後面に当接して後側対向板40が連結ベース板31に対して一定姿勢に位置決めされる。また、後側対向板40のうち隣り合ったヒンジ部40H,40Hの間には、後側対向板40を曲げ起こす際に1対の後方突片33,33を通過させるための下端窓40D,40Dが形成されている。
【0026】
後側対向板40は、前側対向板35より上方に大きく、前側対向板35より横方向で小さくなっている。また、図3に示すように、後側対向板40のうち上下方向の略中央には、横方向全体に延びた折り曲げ部40Kが備えられ、後側対向板40の上端部が下端部に対して僅かに後側に折れ曲がっている。なお、折り曲げ部40Kは、前側対向板35のうち連絡板部35Zの上縁部と略同一の高さに位置している。
【0027】
後側対向板40のうち折り曲げ部40Kより上側部分には、1対の矩形窓40A,40Aが横並びに形成されている。なお、各矩形窓40Aは、横長の長方形状をなし、その角部は丸みを帯びている。
【0028】
図2に示すように、後側対向板40の後面のうち折り曲げ部40Kより下側部分には、枠形突条41が設けられている。枠形突条41は、後側対向板40の後面から突出した突条を横長の長方形に配置してなる。詳細には、枠形突条41の上辺部分を構成する突条は、矩形窓40Aの下縁部に位置し、枠形突条41の下辺部分を構成する突条は、下端窓40Dの上縁部に位置している。また、枠形突条41の横方向の両端部の両側辺は、後側対向板40の横方向の両端寄り位置に位置している。
【0029】
枠形突条41の下辺部分を構成する突条は、一端部が枠形突条41の一側辺より外側に突出し、その一端突出部分から上方にメイン縦リブ42Cが延びている。そのメイン縦リブ42Cの上端は、矩形窓40Aの上辺部分と略同一の高さに位置している。また、枠形突条41の上辺部分を構成する突条のうち長手方向の中央と前記メイン縦リブ42Cと反対側の端部には、上方に向かって延びたサブ縦リブ42Aが設けられている。各サブ縦リブ42Aは、メイン縦リブ42Cの上半分と同じ形状をなし、各サブ縦リブ42Aの上端は、矩形窓40Aの上辺部分と略同一の高さに位置している。さらに、枠形突条41の下辺部分を構成する突条の下面には、長手方向の両端部と中央の3カ所に三角リブ42Bが設けられている。
【0030】
後側対向板40のうち枠形突条41の内側領域には、メイン縦リブ42Cと反対側の端部にタグ抜止可撓片44が設けられている。タグ抜止可撓片44は、後側対向板40にスリット40Sを形成することで、後側対向板40の一部を横方向に延びた片持ち梁状に切り離してなる。また、タグ抜止可撓片44の先端縁からは、後方にタグ抜止突部44Aが突出している。そのタグ抜止突部44Aは、上下方向に延びた突条構造をなし、枠形突条41の上下方向の幅の略1/2の長さになって枠形突条41の上下方向における中央に配置されている。
【0031】
後側対向板40のうち枠形突条41の内側領域には、本発明に係るアンテナ露出窓40Bが貫通形成されている。アンテナ露出窓40Bは、枠形突条41の横方向の一端寄り位置から他端側のタグ抜止可撓片44寄り位置まで延びた横長の長方形になっている。また、アンテナ露出窓40Bの上下方向の幅は、枠形突条41の上下方向の幅の略1/2になっていて、枠形突条41の上下方向における中央に配置されている。
【0032】
アンテナ露出窓40Bの横方向の中央には環状保護壁46が設けられている。環状保護壁46は、アンテナ露出窓40Bの上下の対向面に内接した円形リング状をなして、後側対向板40に一体形成されている。
【0033】
アンテナ露出窓40Bの開口縁全体から後方に向けて開口突条49が突出している。後側対向板40からの開口突条49の突出量は、枠形突条41及びタグ抜止突部44Aの後側対向板40からの突出量より小さくなっている。また、図7に示すように、開口突条49の先端は、その開口突条49の幅方向で先細り状になっている。なお、環状保護壁46の後端面は、開口突条49の後端面より僅かに前側に位置している。
【0034】
図2に示すように、枠形突条41の内側領域のうち開口突条49の上側と下側とには、開口突条49と枠形突条41とを繋ぐように上下方向延びた連絡突条48が1対ずつ備えられている。図示しないが、各連絡突条48の先端も、開口突条49と同様に幅方向で先細り状になっている。そして、各連絡突条48の後端面は、開口突条49の後端面と面一になっている。
【0035】
後側対向板40における枠形突条41の内側領域のうち上縁部と下縁部とには、型抜孔40Cが横並びに3つずつ形成されている。それら型抜孔40Cは、横に細長く延びた矩形状をなし、上縁側の3つの型抜孔40Cと、下縁側の3つの型抜孔40Cは、上下方向で対称配置されている。そして、各型抜孔40Cの後方側には、枠形突条41の後端部から内側に張り出した横長のタグ係止片43が対向配置されている。
【0036】
なお、本実施形態では、本発明に係る「フローチングリブ」が、上記した開口突条49と連絡突条48とによって構成されている。また、本発明に係る「タグ側方位置決突部」は、上記した枠形突条41における上辺部分及び下辺部分とメイン縦リブ42C側の側辺部分、及び、タグ抜止突部44Aとによって構成されている。そして、それら「タグ側方位置決突部」が構成する部位と複数のタグ係止片43とによって、本発明に係るタグ収容部30S(図2参照)が構成されている。カードホルダー30の構成に関する説明は以上である。
【0037】
本実施形態のカードホルダー30は、図5に示すように、例えば、コンテナ10の外側面に取り付けられる。そのコンテナ10は、上面開放の直方体状になっていて、その外側面の上端、上端寄り位置及び下端からそれぞれ上端フランジ16、中間フランジ15及び下端フランジ14が側方に張り出している。また、コンテナ10の外側面からは、上下方向に延びた複数の縦リブ17も張り出している。そして、コンテナ10の各側面の横方向における中央部に、縦リブ17,17と下端フランジ14と中間フランジ15とに四方を囲まれたホルダー固定部10Hが設けられている。
【0038】
各ホルダー固定部10Hにおける下端フランジ14には、カードホルダー30の下面係止突起32,32(図3参照)を係止させるため1対のホルダー係合孔22,22が貫通形成されている。また、コンテナ10の横方向の中央と両端部には、カードホルダー30の連結ベース板31を下端フランジ14との間で上下方向から挟むためのホルダー中央係止突部21及び1対のホルダー端部係止突部20,20が備えられている。各ホルダー端部係止突部20は、縦リブ17とコンテナ10の外側面とに跨ったL字形状になっている。なお、コンテナ10に対向配置された1対の外側面には、ホルダー固定部10Hの上方に持ち手部18が設けられている。
【0039】
図1に示すように、タグ収容部30Sに収容可能なICタグ90が示されている。ICタグ90は、RFID(Radio Frequency Identification)とも呼ばれ、情報と共に電力を無線で受け、それに対して情報を無線返信する。その無線の周波数帯域は、例えば、860〜960[Mhz]のUHF帯域が使用されている。また、ICタグ90は、可撓性に富んだ四角形のフィルム回路基盤91に、例えば、ICチップ92とワイヤーアンテナ93とを実装して樹脂フィルムでラミネートしてなり、全体が横長のカード形状になっている。そのICチップ92は、フィルム回路基盤91の前面の図心に配置され、ICタグ90全体から前方に僅かに突出している。ワイヤーアンテナ93は、フィルム回路基盤91の幅方向の中央寄り位置で矩形波状に折り曲げられて、フィルム回路基盤91の長手方向に中心から両端寄り位置まで延びている。
【0040】
図6(B)に示すように、カードホルダー30は、前側対向板35と後側対向板40との間に印字カード95を差し込んで保持することができる。印字カード95は、例えば、生産管理用の所謂「カンバン」であって、ICタグ90より縦横が共に大きな長方形の紙製カードにコンテナ10に収容される荷物の部品名、個数、ロットナンバー、バーコード等を印字してなる。
【0041】
本実施形態のカードホルダー30、コンテナ10等の構成に関する説明は以上である。次に、カードホルダー30の作用効果について説明する。カードホルダー30を使用する際には、例えば、カードホルダー30をコンテナ10に取り付ける前にICタグ90をタグ収容部30Sに収容する。そして、カードホルダー30をコンテナ10のホルダー固定部10Hに取り付けた状態にして、印字カード95をカードホルダー30の前側対向板35と後側対向板40の間に差し込む。
【0042】
具体的には、ICタグ90をタグ収容部30Sに収容するには、図2の2点鎖線で示すように、ICタグ90を一端側から後側対向板40とタグ係止片43との間に挿入すればよい。すると、ICタグ90の一端側が後側対向板40とタグ係止片43との間に挟まれる一方、他端側がタグ抜止突部44Aに乗り上がった状態になって、ICタグ90及びタグ抜止可撓片44が弾性変形する。そして、ICタグ90がタグ収容部30Sにおける正規位置に収まると、ICタグ90及びタグ抜止可撓片44が弾性変形から復元してICタグ90が枠形突条41及びタグ抜止突部44Aにて全側方から位置決めされ、タグ収容部30S内に保持される(図4(B)参照)。すると、図4(A)に示すように、ICタグ90のワイヤーアンテナ93が、前側対向板35及び後側対向板40のアンテナ露出窓35A,40Bを介して前方に露出した状態になる。また、アンテナ露出窓40Bの内側に備えた環状保護壁46は、ICタグ90のうちICチップ92の周辺部分に突き合わされた状態になる。
【0043】
次いで、カードホルダー30を、例えば、図6(A)に示すように、コンテナ10のうち持ち手部18の下方のホルダー固定部10Hに取り付ける。そのためには、連結ベース板31の両端部をホルダー端部係止突部20,20と下端フランジ14との間に挿入する。すると、その過程で下面係止突起32の傾斜面32B(図3参照)の案内により、下面係止突起32が下端フランジ14の上に載り上がり、連結ベース板31の中央部が上方に膨らむように弾性変形すると共に、後側対向板40の上端部がコンテナ10の外側面に当接して後側対向板40全体及びヒンジ部40H(図2参照)が弾性変形する。そして、カードホルダー30を更にコンテナ10の外側面側に押すと、連結ベース板31が弾性変形状態から復元して、図7に示すように、下面係止突起32がホルダー係合孔22に突入し、下面係止突起32の係止面32Aがホルダー係合孔22の内面に係止してカードホルダー30がホルダー固定部10Hに固定される。このとき、後側対向板40の上端部は、コンテナ10の外側面に当接した状態に保持され、後側対向板40全体及びヒンジ部40Hの弾発力によって、カードホルダー30とホルダー固定部10Hとの間のガタが排除された状態に維持される。また、カードホルダー30の枠形突条41の後端面全体がコンテナ10の外側面に密着し、ICタグ90が閉ざされた空間に保持された状態になるので、ICタグ90がカードホルダー30から脱落することを確実に防ぐことができる。
【0044】
次いで、図6(B)に示すように、印字カード95をカードホルダー30の前側対向板35と後側対向板40との間に差し込む。すると、印字カード95の下端部が連結ベース板31に当接して上下で位置決めされ、印字カード95の両横端部が、コンテナ10の縦リブ17,17の内面に突き合わされて、印字カード95の横方向の移動が規制された状態で、印字カード95がカードホルダー30に保持される。また、印字カード95の上端部は、前側対向板35から上方に突出して露出し、印字カード95の下端部は、前側対向板35のアンテナ露出窓35Aを介して前方に露出した状態になり、印字カード95に印字された情報の一部が視認可能になる。また、印字カード95を保持する前はアンテナ露出窓35A,40Bを介して前方に露出していたICタグ90が、印字カード95によって覆われた状態になる。
【0045】
さて、コンテナ10にて荷物を搬送する際に、ICタグ90及び印字カード95は以下のように取り扱われる。コンテナ10に荷物を収容する前は、ICタグ90のみをカードホルダー30にてコンテナ10に取り付けた状態にする。また、そのICタグ90には、例えば、コンテナ10の所有者である会社に係る情報、そのコンテナ10の使用開始年月日等を、RFIDリーダー/ライターによって書き込んでおく。ここで、カードホルダー30には、前側対向板35及び後側対向板40のうちICタグ90のワイヤーアンテナ93との対向位置に、アンテナ露出窓35A,40Bが形成されているので、カードホルダー30による無線妨害が抑えられ、ICタグ90にて良好な無線通信を行うことができる。また、ICタグ90に水が付着してもアンテナ露出窓35A,40Bにより速やかにICタグ90を乾燥させることができ、無線妨害を回避することができる。
【0046】
また、連絡突条48及び開口突条49によって、ICタグ90が後側対向板40から浮いた状態に保持され、さらに、タグ係止片43によってコンテナ10の外側面からもICタグ90が浮いた状態に保持される。ここで、仮にICタグ90全体が後側対向板40及びコンテナ10の外側面に当接していると、毛細管現象によってICタグと後側対向板及びコンテナ10との隙間の広い範囲に水が溜まり、無線通信が妨げられるという事態が生じる。しかしながら、本実施形態の構成によれば、ICタグ90全体が後側対向板40及びコンテナ10の外側面から浮いた状態に保持されて水はけがよくなるので、上記事態を回避することができ、良好な無線通信が可能になる。
【0047】
次いで、コンテナ10に荷物を収容したら、その荷物に係る情報を印字した印字カード95をカードホルダー30に保持させる。このとき、RFIDリーダー/ライターによりICタグ90にも荷物に関する同じ情報を書き込んでもよい。また、本実施形態の印字カード95は、紙製であるので無線波が容易に貫通し、印字カード95にてICタグ90の前面を覆った状態でも、ICタグ90にて良好な無線通信を行うことができる。仮に、印字カード95が樹脂製であったとしても、カードホルダー30の後側対向板40が、ICタグ90の前面と印字カード95との密着を防いでいるので、樹脂製の印字カード95による無線妨害が抑えられ、良好な無線通信を行うことができる。なお、印字カード95をカードホルダー30に保持させた状態で、ICタグ90による無線通信が不可能になった場合には、印字カード95をカードホルダー30から抜いた状態で、ICタグ90による無線通信を行えばよい。
【0048】
ところで、搬送中にコンテナ10のカードホルダー30に異物が衝突する場合がある。しかしながら、本実施形態のカードホルダー30では、前側対向板35及び後側対向板40がICタグ90の前方を覆っているので、異物の衝突からICタグ90を保護することができる。しかも、アンテナ露出窓40Bの内側に備えた環状保護壁46が、ICタグ90のうちICチップ92の周辺部分に突き合わされているので、その環状保護壁46により異物がICチップ92に当接することを確実に防ぐことができると共に、環状保護壁46自体がICチップに当接することも防がれる。
【0049】
コンテナ10を収容した荷物の搬入先では、作業者は、印字カード95に印字された情報によりコンテナ10に収容された荷物の内容を容易に知ることができる。また、その荷物をコンピュータで管理する場合には、RFIDリーダー/ライターによってICタグ90から荷物に係る情報を受信してコンピュータに取り込めばよい。また、印字カード95に印字されたバーコードから荷物に係る情報をコンピュータに取り込んでもよい。なお、先作業者がコンテナ10から荷物を取り出したら、カードホルダー30から印字カード95を抜けばよい。ここで、ICタグ90は、カードホルダー30をコンテナ10から外さない限りタグ収容部30Sから取り出すことができないので、印字カード95と共に誤ってICタグ90をカードホルダー30から取り外してしまう事態が防がれる。
【0050】
以上、説明したように本実施形態のカードホルダー30によれば、そのカードホルダー30による無線波伝搬の妨害が抑えられ、ICタグ90にて良好な無線通信を行うことができる。また、本実施形態のカードホルダー30では、印字カード95を保持する部分(前側対向板35及び後側対向板40)と、ICタグ90を保持する部分(30S)とが、共にコンテナ10の外側面に重ねて配置される構造になっているので、従来より上下方向でコンパクトになる。これにより、高さの低いコンテナ10にもカードホルダー30を取り付けることができる。
【0051】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0052】
(1)前記実施形態のカードホルダー30は、コンテナ10に固定されていたが、図8に示すように、フォークリフト用のパレット80の外側面に例えばホルダー固定部80Hを設けて、そこに前記実施形態で説明したカードホルダー30を固定してもよい。
【0053】
(2)前記実施形態のカードホルダー30は、その下端部(連結ベース板31)がコンテナ10に固定されていたが、例えば、カードホルダーの上端部(例えば、後側対向板の上端部)をコンテナ等に固定する構成としてもよい。
【0054】
(3)前記実施形態では、後側対向板40の後面にタグ収容部30Sが配置されていたが、後側対向板の前面側にタグ収容部を配置した構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 コンテナ
10H ホルダー固定部
30 カードホルダー
30S タグ収容部
31 連結ベース板(下端連結壁)
35 前側対向板
35A,40B アンテナ露出窓
40 後側対向板
41 枠形突条(タグ側方位置決突部)
43 タグ係止片
44 タグ抜止可撓片
44A タグ抜止突部(タグ側方位置決突部)
46 環状保護壁
48 連絡突条(フローチングリブ)
49 開口突条(フローチングリブ)
90 ICタグ
93 ワイヤーアンテナ(アンテナ部)
95 印字カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を搬送するための搬送器具の外側面に重ねた状態に固定されると共に、前記荷物の情報が印字された印字カードと前記荷物又は前記搬送器具の情報を有しかつ前記印字カードより小さいカード形のICタグとを保持可能な樹脂製のカードホルダーであって、
前記搬送器具の外側面に重ねられる後側対向板と、
前記後側対向板を間に挟んで前記搬送器具の外側面に重ねられる前側対向板と、
前記前側対向板及び前記後側対向板の下端部同士を連結する下端連結壁とを備えて、前記前側対向板及び前記後側対向板の間で前記印字カードを狭持可能とすると共に、前記後側対向板のうち前記印字カードに覆われる部分に、前記ICタグを収容可能なタグ収容部を設けたことを特徴とするカードホルダー。
【請求項2】
、前記前側対向板及び前記タグ収容部に、前記印字カードを外した状態で前記ICタグのアンテナ部を露出させることが可能なアンテナ露出部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のカードホルダー。
【請求項3】
前記タグ収容部は、前記後側対向板のうち前記搬送器具の外側面と対向する後面に配置され、そのタグ収容部には、前記後側対向板から後方に突出し、前記ICタグを全側方から位置決めするタグ側方位置決突部と、前記タグ側方位置決突部のうち前記ICタグを挟んで対向した1対の対向面から互いに接近する側に突出し、前記後側対向板との間で前記ICタグの1対の外縁部を狭持可能なタグ係止片と、前記後側対向板に貫通形成された前記アンテナ露出部としてのアンテナ露出窓とが備えられ、
前記ICタグを、その一端側から前記後側対向板と前記タグ係止片との間に挿入して前記タグ収容部に収容可能としたことを特徴とする請求項2に記載のカードホルダー。
【請求項4】
前記アンテナ露出窓の1対の対向面に連結されて、前記ICタグのうちICチップの周辺部分に突き合わされる環状保護壁を備えたことを特徴とする請求項3に記載のカードホルダー。
【請求項5】
前記後側対向板から突出して前記ICタグに部分的に当接することで、前記ICタグ全体を前記後側対向板から浮かせた状態に保持するフローチングリブを備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のカードホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−163186(P2010−163186A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6452(P2009−6452)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】