説明

カード再発行システム、顧客端末およびカード再発行方法

【課題】発行するカードをエンボス加工するためのエンボス処理機構を備えていない顧客端末でカードの再発行ができるようにする。
【解決手段】顧客端末1が、入力された顧客属性情報および発行用に予めカード番号が記録されたプレエンボスカードの磁気ストライプから読取ったカード番号をホストコンピュータ5へ送信し、そのホストコンピュータ5が、受信した顧客属性情報に関連付けてカード番号をデータベース6に記憶させるとともにその顧客属性情報に基づいてデータベース6から抽出した口座番号を顧客端末1へ送信し、顧客端末1が、受信した口座番号をプレエンボスカードに記録し、口座番号が記録されたプレエンボスカードを顧客へ再発行するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客の操作によりカードの再発行の手続きを受付けるとともにカードの再発行を行う顧客端末およびその顧客端末からカード再発行依頼を受信してカードの再発行を許可する上位装置からなるカード再発行システム、顧客端末およびカード再発行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術は、例えば消費者金融会社や銀行等の金融機関の店舗に配置され、顧客の操作により新規契約の申込みやローンの申込み等の各種契約を行う無人契約端末や相談端末等の顧客端末と事務センタ等のセンタに設置され、顧客端末との応対を行うセンタ端末と、顧客との間で各種契約を締約するための契約情報や顧客属性情報等を管理するホストコンピュータからなり、顧客端末は通信回線等を介してセンタ端末へ接続し、センタ端末は通信回線等を介してホストコンピュータに接続されている。その顧客端末は、顧客の操作により新規契約を受付けると発行用にカード番号等が予めエンボスされたプレエンボスカードをカードカセットから取り出して顧客へ発行するようにしている。
【0003】
また、発行するカードをエンボス処理等するカード加工部を顧客端末に備え、契約時にカードを加工し、そのカードを顧客に発行するようにしているものもある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−285799号公報(段落「0050」〜段落「0057」、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術において、プレエンボスされたカードを発行する顧客端末では、既に顧客に発行されているカード番号等を新たに発行するカードにエンボス処理することができないため、顧客がカードを紛失した場合や破損した場合にカードの再発行を行うことができないという問題がある。この場合、顧客は金融機関の店頭に出向き本人確認等のカード発行手続きを行い、後日自宅や勤務先等へ再発行されたカードを郵送等で受け取る必要があり、他人に契約自体を知られたくない顧客にとって心理的に抵抗感を抱くものであった。
【0005】
また、カード加工部を備えた顧客端末は、既に発行されているカード番号等を発行するカードにエンボス処理することができるのでカードを再発行することができるが、エンボス機構等を備える必要があるため顧客端末が大型化してしまうという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、顧客端末を大型化することなく、顧客端末でカードの再発行ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明によるカード再発行システムは、顧客の操作により該顧客を識別する顧客属性情報の入力を受付ける入力部と、エンボス処理されたプレエンボスカードから予め記録されているカード番号を読取るとともに該プレエンボスカードに口座番号を記録し、そのプレエンボスカードを顧客に発行するカード発行部とを備えた顧客端末と、前記顧客属性情報に関連付けて口座番号および発行したカード番号を記憶する記憶部を有する上位装置とを設け、前記顧客端末が、入力された前記顧客属性情報およびプレエンボスカードから読取った前記カード番号を前記上位装置へ送信し、前記上位装置が、受信した顧客属性情報に関連付けてカード番号を前記記憶部に記憶させるとともに前記顧客属性情報に基づいて前記記憶部から抽出した口座番号を前記顧客端末へ送信し、前記顧客端末が、受信した口座番号をプレエンボスカードに記録し、前記口座番号が記録されたプレエンボスカードを顧客へ再発行するようにしたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明による顧客端末は、顧客の操作により該顧客を識別する顧客属性情報の入力を受付ける入力部と、エンボス処理されたプレエンボスカードから予め記録されているカード番号を読取るとともに該プレエンボスカードに口座番号を記録し、そのプレエンボスカードを顧客に発行するカード発行部とを備え、入力された前記顧客属性情報およびプレエンボスカードから読取った前記カード番号を上位装置へ送信し、前記上位装置が、受信した顧客属性情報に関連付けてカード番号を記憶部に記憶させるとともに前記顧客属性情報に基づいて前記記憶部から口座番号を抽出し、該口座番号を前記上位装置から受信してプレエンボスカードに記録し、前記口座番号が記録されたプレエンボスカードを顧客へ再発行するようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明によるカード再発行方法は、顧客の操作により該顧客を識別する顧客属性情報の入力を受付ける入力部と、エンボス処理されたプレエンボスカードから予め記録されているカード番号を読取るとともに該プレエンボスカードに口座番号を記録し、そのプレエンボスカードを顧客に発行するカード発行部とを備えた顧客端末が、入力された前記顧客属性情報およびプレエンボスカードから読取った前記カード番号を送信するステップと、前記顧客属性情報に関連付けて口座番号および発行したカード番号を記憶する記憶部を有する上位装置が、前記顧客端末から受信した顧客属性情報に関連付けてカード番号を前記記憶部に記憶させるとともに前記顧客属性情報に基づいて前記記憶部から抽出した口座番号を前記顧客端末へ送信するステップと、前記顧客端末が、受信した口座番号をプレエンボスカードに記録し、前記口座番号が記録されたプレエンボスカードを顧客へ再発行するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このようにした本発明は、顧客端末を大型化することなく、顧客端末でカードの再発行ができるようになるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明によるカード再発行システム、顧客端末およびカード再発行方法の実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
図1は実施例におけるカード再発行システムの構成を示すブロック図である。
図1において、1は顧客端末であり、消費者金融会社や銀行等の金融機関の営業店や無人化店等の拠点に設置され、顧客が操作する無人契約端末装置や相談端末装置等である。この顧客端末1はCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の演算および制御を行う制御部、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶部、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ等の表示部、その表示部の画面上に設けたタッチパネル等の入力部を備えたタッチパネル入力付表示部、および公衆電話回線や専用電話回線等の通信回線2を介して画像データ、音声データ等の各種データの通信制御を行う通信制御部等を備えるものである。
【0012】
また、顧客の音声を入力し、また、音声を出力して顧客に情報を伝達するハンドセット等を備えた通話部、証明書としての書類を画像データ(イメージデータ)として読取る証明書スキャナ部、顧客の画像を撮影する撮影部、およびカードを発行するカード処理部等も備えている。
3はセンタ端末であり、金融機関の事務センタ等のセンタに設置され、その金融機関の係員であるオペレータ等が操作するものである。このセンタ端末3はCPU、MPU等の演算および制御を行う制御部、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶部、CRT、液晶ディスプレイ等の表示部、その表示部の画面上に設けたタッチパネル、キーボード、マウス等の入力部および通信回線2を介して画像データ、音声データ等の各種データの通信制御を行う通信制御部等を備えるものである。
【0013】
また、オペレータの音声を入力するマイク等の音声入力部および音声を出力してオペレータに情報を伝達するスピーカ等の音声出力部からなるヘッドセット等も備えている。
顧客が顧客端末1の通話部で入力した音声情報や撮影部、証明書スキャナ部で取得した画像データ(イメージデータ)はセンタ端末3の音声出力部または表示部で出力することができ、また、オペレータがセンタ端末3の入力部、音声入力部で入力した情報および音声情報は顧客端末1の表示部または通話部で出力することができ、顧客が操作する顧客端末1とオペレータが操作するセンタ端末3との間で画像情報や音声情報や取引電文を送受信して顧客が記入した申込書の確認、本人確認、審査、決済等を行い、契約取引やカードの再発行取引等の処理を進めることができるようになっている。
【0014】
なお、本実施例においては、センタに複数台のセンタ端末3が設置されるものとして説明するが、それに限られるものでなく1台のみ設置されるものであってもよい。
4は運用管理サーバであり、金融機関の事務センタ等のセンタに設置され、顧客端末1から取引処理の要求を受信すると当該取引処理を処理することができるセンタ端末3にその顧客端末1を振り分ける着信制御処理を行うとともに、取引情報の蓄積や集計を行うものである。
【0015】
この運用管理サーバ4はCPU、MPU等の演算および制御を行う制御部、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶部、CRT、液晶ディスプレイ等の表示部、キーボード、マウス等の入力部および通信回線2を介して各種データの通信制御を行う通信制御部等を備えるものである。
なお、運用管理サーバ4に備えられた着信制御処理をACD(Automatic Call Distributor)として別個のサーバで構成するようにしてもよい。
【0016】
5は上位装置としてのホストコンピュータであり、金融機関の本部等に設置され、専用電話回線等の勘定系の通信回線7を介して接続されたセンタ端末3から契約取引やカード再発行取引等の取引処理の要求を受信し、その取引の可否をセンタ端末3へ送信し、また許可した取引の処理等を行うものである。
このホストコンピュータ5はCPU、MPU等の演算および制御を行う制御部、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶部、通信回線7を介して各種データの通信制御を行う通信制御部等を備えるものである。
【0017】
6はデータベースであり、ホストコンピュータ5に備えられ、本システムを利用する顧客の顧客属性情報を記憶するものである。このデータベース6は、例えば顧客のカナ氏名、生年月日、電話番号、暗証番号、口座番号、カード番号、カード再発行回数等の顧客に関する情報を顧客毎に記憶するものである。
ここで、カード番号とは顧客に発行するカードを識別するための情報であり、カード毎に付与されている番号である。
【0018】
なお、データベース6に記憶する顧客属性情報は上述したものに限られるものでなく、顧客の住所や勤務先等の顧客に関する様々な情報が採用されるものとする。
また、データベース6の情報は、ホストコンピュータ5に内蔵される図示しない記憶部に格納されていてもよい。
ホストコンピュータ5は、データベース6に記憶されている顧客属性情報に基づいてセンタ端末3から受信した契約取引やカード再発行取引等の取引処理の要求に対してその取引の可否を判定する。
【0019】
このようにカード再発行システムは、顧客端末1、センタ端末3、運用管理サーバ4、ホストコンピュータ5、およびデータベース6等で構成され、顧客端末1、センタ端末3、および運用管理サーバ4は通信回線2を介し、またセンタ端末3とホストコンピュータ5は通信回線7を介して相互に通信可能に接続されている。
なお、センタ端末3とホストコンピュータ5が通信回線7を介して接続されていないオフラインの場合は、ホストコンピュータ5と通信回線7を介して接続された勘定系端末が設けられ、その勘定系端末がオペレータの操作を受付けて取引の処理を行うものとする。
【0020】
図2は実施例における顧客端末の外観を示す斜視図である。
図2において、11はタッチパネル入力付表示部であり、顧客の操作による入力を受け付け、所定の処理を実行させる入力部としてのタッチパネルを有し、顧客に対するガイダンス等を表示するディスプレイを備えたものである。
12は証明書スキャナ部であり、顧客の自動車運転免許証や健康保険証等の証明書のイメージデータを読取るものである。
【0021】
13は申込契約書読取印字部であり、イメージセンサにより申込書を読取る申込書読取部および印字機構により申込書に印字を行う申込書印字部からなるものである。
14はカード挿入排出口であり、顧客の操作によりカードの挿入を受付け、また挿入されたカードや後述するカード発行部としてのカード処理部で発行されたカードを排出するための開口部である。
【0022】
15は撮影部であり、レンズ付CCD(Charge Coupled Devices)カメラ等を備え、顧客を撮影して顧客の画像データ(イメージデータ)を生成するものである。
16は近接センサであり、接近する顧客を検知する超音波センサ等で構成されたものである。
【0023】
17は通話部であり、図示しない電話回線等の通信回線を介してセンタ端末3等との間で音声情報(音声データ)や制御情報等の情報の授受を行い、センタ端末3から受信した音声データを音声としてハンドセット(通話機)から出力し、また、顧客の音声をハンドセット(通話機)で入力する音声入出力手段等で構成されたものである。
この通話部17により顧客端末1とセンタ端末3の間でハンドセット等の通話機を使用して通話することができる。
【0024】
18は前面扉開閉錠であり、顧客端末1の前面扉の開閉をロックするためのものである。
ここで、カード処理部を図3の実施例における顧客端末のカード処理部の説明図に基づいて説明する。
図3(a)において、21はカード発行部としてのカード処理部であり、カード挿入排出口14から挿入されたカードを引き込み、また引き込んだカードや発行するカードをカード挿入排出口14から排出するカード搬送機構、引き込んだカードや発行するカードの磁気ストライプに記録されている情報を読取り、また所定の情報を磁気ストライプに書込むカード読取り書込み機構、予めカード番号がエンボス処理され、またそのカード番号が磁気ストライプに記録された発行用のカードであるプレエンボスカードを収納するカードカセット22、そのカードカセット22に収納されたプレエンボスカードを1枚ずつ取り出して発行するためのカード発行機構等を備えたものである。
【0025】
このカード処理部21は、前面扉開閉錠18のロックを解除して前面扉を開放すると引き出せるようになっており、また引き出したカード処理部21に装着されたカードカセット22を取外してそのカードカセット22にプレエンボスカードを装填することができるようになっている。
そして、プレエンボスカードが装填されたカードカセット22をカード処理部21に装着し、そのカード処理部21を顧客端末1の内部に押し込み、前面扉を閉塞してプレエンボスカードを発行する準備が完了する。なお、収納されたプレエンボスカードに第三者が容易に触手できないようにカードカセット22の扉にも開閉錠が設けられている。
【0026】
このカードカセット22に収納されるプレエンボスカードは、図3(b)に示すように予めカード毎に付与されたカード番号がカード23のおもて面の所定の位置24にエンボス加工されており、またそのカード番号が磁気ストライプ25の所定の記録位置に記録さている。
このようにカード処理部21は構成され、カードカセット22に収納されているプレエンボスカードを1枚ずつ取り出して発行することができるようになっている。
【0027】
また、顧客端末1は、顧客端末1全体を制御する制御プログラム(ソフトウェア)やタッチパネル入力付表示部11に表示する画面データ、撮影部15で生成された画像情報等を記憶する記憶部、およびCPU等の演算および制御手段、通信回線2を介してセンタ端末3や運用管理サーバ4との間で通信を行う通信手段等を備え、記憶部に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)にしたがって、タッチパネル入力付表示部11、証明書スキャナ部12、申込契約書読取印字部13、カード発行部21、撮影部15、近接センサ16、通話部17、ならびに記憶部を含め顧客端末1全体を制御する制御部を有している。
【0028】
上述した構成の作用を図4の実施例におけるカード再発行処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。
なお、以下に説明する各部の動作は、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶手段に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しない中央処理装置等の制御手段により制御される。
【0029】
S1:顧客端末1が顧客の接近を近接センサ16で検知するとタッチパネル入力付表示部11は「カードローン契約」、「カード発行」、「カード再発行」等の取引を選択することができる画面を表示する。
顧客端末1のタッチパネル入力付表示部11が取引を選択する画面を表示すると顧客は希望する取引を選択して入力する。本実施例では、「カード再発行」が選択されるものとする。
【0030】
S2:入力を受付けたタッチパネル入力付表示部11はご案内画面を表示して受付を行う。この受付画面には取引を行う上での条件等の案内が表示され、また、「確認」等の操作ボタンも表示され、顧客の操作により「確認」ボタンが押下されるものとする。
また、顧客端末1の制御部は選択された取引を示す情報とともに来客があった旨を知らせる通知を運用管理サーバ4へ送信する。
【0031】
その通知を受信した運用管理サーバ4はそれぞれのセンタ端末3の処理状況を確認し、その通知に含まれる取引を処理することができるセンタ端末3を選出し、選出したセンタ端末3と接続することにより取引を開始する。
S3:取引を開始すると顧客端末1のタッチパネル入力付表示部11はカードを再発行するために必要な顧客属性情報を入力する画面を表示する。
【0032】
顧客属性情報を入力する画面を表示するとタッチパネル入力付表示部11は顧客の操作により顧客のカナ氏名の入力を受付ける。
S4:カナ氏名の入力を受付けるとタッチパネル入力付表示部11は顧客の操作により顧客の生年月日の入力を受付ける。
S5:生年月日の入力を受付けるとタッチパネル入力付表示部11は顧客の操作により顧客の電話番号の入力を受付ける。
【0033】
電話番号の入力を受付けると顧客端末1の制御部は入力されたカナ氏名、生年月日、および電話番号とともにカードの再発行を依頼する通知をセンタ端末3へ送信する。
なお、本実施例では顧客属性情報をカナ氏名、生年月日および電話番号として説明するが、これに限られるものでなく顧客を特定することができる情報であれば如何なる情報であってもよい。
【0034】
S6:カードの再発行を依頼する通知を受信したセンタ端末3は、顧客属性情報としてのカナ氏名、生年月日、および電話番号を表示し、そのカナ氏名、生年月日、および電話番号とともにカード再発行の可否を照会する通知をホストコンピュータ5へ送信する。
S7:ホストコンピュータ5は、受信した顧客属性情報としてのカナ氏名、生年月日、および電話番号に基づいてデータベース6を検索してその顧客に関する他の顧客情報を抽出し、抽出した顧客情報に基づいて当該顧客にカードの再発行を許可するか否かの判定を行う。
【0035】
ホストコンピュータ5が行うカードの再発行を許可するか否かの判定は、例えば顧客のカードの不正使用を目的とするカードの再発行の依頼であるか等の判定であり、不正使用を目的とした依頼であると判定されたとき、カードの再発行を禁止するようにするものとする。なお、カードの再発行を許可するか否かの判定は、これに限られるものでなく金融機関や社会情勢等の種々の要因により顧客情報に基づいた様々な判定方法が考えられる。
【0036】
カード再発行の可否の判定を行ったホストコンピュータ5は、その結果をセンタ端末3へ送信し、センタ端末3は受信した判定の結果を表示する。
その判定の結果がカード再発行を禁止する旨である場合、センタ端末3はオペレータによるカード再発行取引を中止させる操作を受付け、そのカード再発行取引を中止させる通知を顧客端末1へ送信し、顧客端末1はその取引を終了させる。
【0037】
なお、判定の結果がカード再発行を禁止する旨である場合、センタ端末3から自動的にカード再発行取引を中止させる通知を顧客端末1に送信するようにしてもよい。
一方、判定の結果がカード再発行を許可する旨である場合、センタ端末3は証明書を読取る通知を顧客端末1へ送信して処理をS8へ移行する。
S8:証明書を読取る通知を受信した顧客端末1は、タッチパネル入力付表示部11に顧客が本人であることを証明するための証明書を読取部に載置することを誘導する画面を表示する。
【0038】
顧客端末1の証明書スキャナ部12は証明書が載置されるとその証明書を読取り、読取った証明書のイメージデータをセンタ端末3へ送信する。
S9:証明書のイメージデータを受信したセンタ端末3は、その証明書のイメージデータを表示部に表示し、オペレータは表示された証明書を参照して顧客端末1を操作する顧客が本人であるか否かを確認する。
【0039】
その結果、顧客が本人であることが確認できない場合、センタ端末3は証明書を再度読取らせる旨の通知、または本人であることが確認できないためカード再発行の取引を中止する旨の通知を顧客端末1へ送信する。
証明書を再度読取らせる旨の通知を送信した場合、再度証明書を読取らせるため処理をS8へ移行し、カード再発行の取引を中止する旨の通知を送信した場合、その通知を受信した顧客端末1はカード再発行の取引を終了させる。
【0040】
S10:一方、顧客が本人であることが確認できた場合、センタ端末3は図示しない印刷装置で証明書を印刷し、顧客の暗証番号を再登録する処理を行うことの通知を顧客端末1へ送信する。
S11:顧客の暗証番号を再登録する処理を行うことの通知を受信した顧客端末1は、タッチパネル入力付表示部11に暗証番号の再登録を受付ける画面を表示する。
【0041】
その画面において再登録が不要であるとする顧客の操作をタッチパネル入力付表示部11で受付けると処理をS13へ移行し、再登録が必要とする顧客の操作をタッチパネル入力付表示部11で受付けると処理をS12へ移行する。
S12:再登録が必要であるとする顧客の操作をタッチパネル入力付表示部11で受付けると続いて顧客の操作による暗証番号の入力を受付ける。このとき顧客端末1はタッチパネル入力付表示部11で暗証番号の入力を2回受付け、入力された暗証番号が一致することを確認する。
【0042】
S13:次に、顧客端末1は、タッチパネル入力付表示部11に処理中であることを顧客に知らせる画面を表示するし、カード処理部21はプレエンボスカードをカードカセット22から1枚取り出し、取り出したプレエンボスカードの磁気ストライプの所定の記録位置に記録されているカード番号を読取る。なお、プレエンボスカードにはカード毎にカード番号が付与され、そのカード番号(例えば、「12345」)がエンボス加工され、またそのカード番号が磁気ストライプの所定の記録位置に記録されている。
【0043】
顧客端末1は、プレエンボスカードから読取ったカード番号(例えば、「12345」)および、S12において暗証番号が入力された場合、その暗証番号をセンタ端末3へ送信する。
S14:カード番号等を受信したセンタ端末3は、カード発行処理を行っている旨を表示するカード発行画面を表示し、カード番号および暗証番号(暗証番号が入力されている場合)をホストコンピュータ5へ送信する。
【0044】
S15:ホストコンピュータ5は、既に受信している顧客属性情報としてのカナ氏名、生年月日、電話番号に関連付けて受信したカード番号および暗証番号(暗証番号を受信した場合)をデータベース6に格納して登録する。
また、ホストコンピュータ5は顧客属性情報としてのカナ氏名、生年月日、電話番号に基づいてデータベース6を検索し、顧客の口座番号を抽出する。
【0045】
ホストコンピュータ5は、抽出した顧客の口座番号を発行カードに上書きするためのカードストライプデータを生成し、そのストライプデータとともにカードの発行を許可する通知をセンタ端末3へ送信する。このようにしてホストコンピュータ5はカード再発行処理を行う。
ここで、発行カードに上書きするためのカードストライプデータとは、口座番号を含んだデータを想定しており、既に記録されているカード番号を書き換えるカードストライプデータのことをいうものとする。
【0046】
なお、発行カードに上書きするためのカードストライプデータとは、発行カードであるプレエンボスカードの磁気ストライプの所定の記録位置に記録された口座番号のみを書き換え、既に記録されているカード番号等の記録情報は書き換えないカードストライプデータをいうものとしてもよい。
ストライプデータとともにカードの発行を許可する通知を受信したセンタ端末3は、そのストライプデータを上書きしたカードを発行する旨の通知を顧客端末1へ送信する。
【0047】
S16:カードを発行する旨の通知を受信した顧客端末1は、タッチパネル入力付表示部11にカードを発行する旨を顧客に知らせる画面を表示するとともにカード処理部21で受信したストライプデータ(このストライプデータには口座番号を含んでいる)をプレエンボスカードの磁気ストライプに記録し、そのプレエンボスカードをカード挿入排出口14から排出して顧客へ発行する。
【0048】
このようにしてカード再発行システムは、予めカード番号がエンボス処理され、そのカード番号が磁気ストライプに記録されたプレエンボスカードを顧客へ発行するカード再発行取引を行う。
上述したように本カード再発行システムでは、プレエンボスカードの磁気ストライプに記録されたカード番号を顧客端末1で読取り、そのカード番号を顧客属性情報に関連付けてデータベース6に登録するとともにその顧客属性情報に関連付けて既にデータベース6に登録されている口座番号を顧客端末1でプレエンボスカードの磁気ストライプに上書きし、そのプレエンボスカードを顧客へ発行するカード再発行取引を行うようにしたことにより、顧客端末1に発行カードにエンボス処理するエンボス機構を設けることなく、カードの再発行取引ができるようになる。
【0049】
また、発行されたカードのカード番号が即時にデータベース6に登録されるため、発行されたカードを使用して現金自動預払機(ATM)で現金の引き出し等の取引を行うことができるようになる。
さらに、発行するカードの磁気ストライプデータを発行前の磁気ストライプデータから変更するようにしたことにより、万が一カードカセットに装填される前のカードが盗難された場合や紛失した場合であってもそのカードを使用することができないため、安全性を確保することができる。
【0050】
なお、本実施例では、顧客端末を無人契約機として説明したが、センタ端末に接続された相談端末としてもよい。
また、本実施例では、口座番号等をカードの磁気ストライプに記録するものとして説明したが、カードのICチップ等に記録するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施例では、プレエンボスカードの磁気ストライプに記録されたカード番号を顧客端末1で読取り、そのカード番号を顧客属性情報に関連付けてデータベース6に登録するとともにその顧客属性情報に関連付けて既にデータベース6に登録されている口座番号を顧客端末1でプレエンボスカードの磁気ストライプに上書きし、そのプレエンボスカードを顧客へ発行するカード再発行取引を行うようにしたことにより、顧客端末を大型化することなく、顧客端末でカードの再発行ができるようになるという効果が得られる。
【0051】
また、契約済顧客のカード再発行処理を簡単に行うことができ、従来店頭で行っていた事務処理を大幅に削減することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施例におけるカード再発行システムの構成を示すブロック図
【図2】実施例における顧客端末の外観を示す斜視図
【図3】実施例における顧客端末のカード処理部の説明図
【図4】実施例におけるカード再発行処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0053】
1 顧客端末
2、7 通信回線
3 センタ端末
4 運用管理サーバ
5 ホストコンピュータ
6 データベース
11 タッチパネル入力付表示部
12 証明書スキャナ部
13 申込契約書読取印字部
14 カード挿入排出口
15 撮影部
16 近接センサ
17 通話部
21 カード処理部
22 カードカセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の操作により該顧客を識別する顧客属性情報の入力を受付ける入力部と、エンボス処理されたプレエンボスカードから予め記録されているカード番号を読取るとともに該プレエンボスカードに口座番号を記録し、そのプレエンボスカードを顧客に発行するカード発行部とを備えた顧客端末と、
前記顧客属性情報に関連付けて口座番号および発行したカード番号を記憶する記憶部を有する上位装置とを設け、
前記顧客端末が、入力された前記顧客属性情報およびプレエンボスカードから読取った前記カード番号を前記上位装置へ送信し、前記上位装置が、受信した顧客属性情報に関連付けてカード番号を前記記憶部に記憶させるとともに前記顧客属性情報に基づいて前記記憶部から抽出した口座番号を前記顧客端末へ送信し、前記顧客端末が、受信した口座番号をプレエンボスカードに記録し、前記口座番号が記録されたプレエンボスカードを顧客へ再発行するようにしたことを特徴とするカード再発行システム。
【請求項2】
請求項1のカード再発行システムにおいて、
前記上位装置が、前記記憶部に記憶された顧客属性情報に基づいてカード再発行の可否を判定するようにしたことを特徴とするカード再発行システム。
【請求項3】
顧客の操作により該顧客を識別する顧客属性情報の入力を受付ける入力部と、エンボス処理されたプレエンボスカードから予め記録されているカード番号を読取るとともに該プレエンボスカードに口座番号を記録し、そのプレエンボスカードを顧客に発行するカード発行部とを備え、
入力された前記顧客属性情報およびプレエンボスカードから読取った前記カード番号を上位装置へ送信し、前記上位装置が、受信した顧客属性情報に関連付けてカード番号を記憶部に記憶させるとともに前記顧客属性情報に基づいて前記記憶部から口座番号を抽出し、該口座番号を前記上位装置から受信してプレエンボスカードに記録し、前記口座番号が記録されたプレエンボスカードを顧客へ再発行するようにしたことを特徴とする顧客端末。
【請求項4】
顧客の操作により該顧客を識別する顧客属性情報の入力を受付ける入力部と、エンボス処理されたプレエンボスカードから予め記録されているカード番号を読取るとともに該プレエンボスカードに口座番号を記録し、そのプレエンボスカードを顧客に発行するカード発行部とを備えた顧客端末が、入力された前記顧客属性情報およびプレエンボスカードから読取った前記カード番号を送信するステップと、
前記顧客属性情報に関連付けて口座番号および発行したカード番号を記憶する記憶部を有する上位装置が、前記顧客端末から受信した顧客属性情報に関連付けてカード番号を前記記憶部に記憶させるとともに前記顧客属性情報に基づいて前記記憶部から抽出した口座番号を前記顧客端末へ送信するステップと、
前記顧客端末が、受信した口座番号をプレエンボスカードに記録し、前記口座番号が記録されたプレエンボスカードを顧客へ再発行するステップとを有することを特徴とするカード再発行方法。
【請求項5】
請求項4のカード再発行方法において、
前記上位装置が、前記記憶部に記憶された顧客属性情報に基づいてカード再発行の可否を判定するステップを有することを特徴とするカード再発行方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−61240(P2010−61240A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224056(P2008−224056)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】