説明

カード処理装置

【課題】搬送部品のメンテナンス作業を容易に行い得るようにした搬送部品取付部の開閉構造を備えたカード処理装置を提供する。
【解決手段】カード処理装置は、装置本体ユニット2の裏カバー2aに開口2cを設け、ここから搬送部品取付部内のローラーユニット65のメンテナンスを行う。開口2cにはローラーカバー61を着脱可能に取り付ける。搬送部品取付部内のローラーユニット装着部64の両端には軸受装着部が形成され、ローラーカバー61の軸受装着部に正対する位置には軸受固定部66Bが形成される。ローラーカバー61を取り付けると、軸受装着部と軸受固定部66Bの間にローラーシャフト65aの端部に装着されたブッシュ65cが挟み込まれて固定される。これにより、ローラーユニット65を精度良く回転可能に取り付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技用台間機などに組み込まれるカード処理装置に関し、特にカード搬送機構のメンテナンス性を考慮して構成されたカード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店などの遊技施設では、遊技台に隣接配置された台間機において遊技台でプレーをするために遊技媒体の貸出が行われるようになっている。近年においては現金の代わりに磁気カード、ICカードなどの記録媒体を用いて遊技媒体の貸出を行うことのできる台間機が普及している。このような台間機には、紙幣識別機などの金銭処理装置と共にカードリーダライターとカードスタッカを備えたカード処理装置が内蔵されている。例えば投入金額に応じた金額(有価価値情報)が記憶されたプリペイドカードを発行し、プリペイドカードが挿入されると、そこに担持されている金銭情報などを読み込んで遊技媒体の貸出処理を行うように構成されている。
【0003】
特許文献1には、RFアンテナを備えたリードライト部を備えたカード発行装置が提案されており、このカード発行装置では、カード挿入排出口から挿入されたカードを、搬送ベルトからなる搬送機構によってリードライト部に送り込み、リードライト部から更に奥に送り込まれたカードを搬送方向に直交する方向に積層状態で収納するようにしている。このように、直線状の搬送路に沿ってリードライト部およびカード収納部を縦列状態に配置することによって、カード発行装置を偏平な構成にすることができる。
【0004】
このようなカード処理装置においては、そのカード搬送路に沿ってカードを搬送するためのベルトやローラーなどの搬送部品、搬送されるカードの位置を検出するための複数の検出部品が内蔵されている。これらの部品はカード搬送路に露出しているので、長期使用により埃などの異物が付着し、搬送性能、検出性能が低下する。また、反りなどの変形のあるカードが挿入されると、カード搬送路内においてカードが詰まることがある。そこで、カード搬送路などに扉を設けて、汚れの除去、摩耗した部品の交換、詰まったカードの除去などのメンテナンスを行うことが考えられる。特許文献2には、ドア部材を配置して、これを開けて搬送路を開放状態にできる搬送路開放構造を備えたカード処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3832176号公報
【特許文献2】特開2010−240269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のカード処理装置では、搬送路開放構造を設けたことにより、ベルトやローラーなどの搬送部品を露出させることができるものの、搬送部品の一部のみが搬送路面から露出しており、他の部分が搬送路面に覆われているような場合には、搬送路を開放しただけでは磨耗した搬送部品を交換することはできない。このような場合、従来の構造では、装置本体の裏カバーを外し、カード搬送路の裏側から搬送部品を取り外して交換するように構成している。
【0007】
しかしながら、装置本体の裏カバーは、通常は、専用の工具でのみ取り外し可能な特殊なネジ(いたずら防止ネジ)を用いてネジ止めされている。このため、搬送部品の交換のために専用の工具を準備しなければならず、簡単に交換作業を行うことができなかった。また、裏カバーを外すと、搬送部品やその取付部だけでなく、その周囲にある配線や他の部品までも露出されるため、周囲の部品や配線に接触して動かしてしまったり、これらを損傷させて不具合を発生させるおそれがあった。よって、搬送部品のメンテナンス性が良好とはいえないという問題点があった。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、搬送部品のメンテナンス作業を容易に行い得るようにした搬送部品取付部の開閉構造を備えたカード処理装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の搬送部品取付部の開閉構造を備えたカード処理装置は、
装置本体ユニットと、
当該装置本体ユニットに開閉可能に取り付けられた開閉ユニットと、
前記装置本体ユニットに沿った閉じ位置にある前記開閉ユニットと前記装置本体ユニットの間に形成され、前記開閉ユニットを開くと開放状態に切り替わるカード搬送路と、
当該カード搬送路に沿ってカードを搬送するカード搬送機構とを有し、
当該カード搬送機構は、前記装置本体ユニットに配置された搬送部品を備え、
前記装置本体ユニットは、
前記搬送部品が交換可能に取り付けられる搬送部品取付部と、
当該搬送部品取付部のみを外部に露出させる開口と、
当該開口に着脱可能に取り付けられるカバーとを備えることを特徴としている。
【0010】
本発明のカード処理装置は、装置本体ユニットに搬送部品を配置するにあたって、装置本体ユニットに搬送部品取付部のみを外部に露出させる開口を設け、ここから搬送部品のメンテナンスを行い得るようにしている。そして、この開口に着脱可能なカバーを設けて、メンテナンス時以外は搬送部品取付部を閉鎖可能にしている。このようにすると、カバーの着脱によって搬送部品取付部のみを開閉でき、メンテナンスすべき部品のみを露出させることができる。また、周囲の重要な部品(配線や電気部品など)が露出することがないため、カバーの取り付けに特殊なネジを用いて簡単に開けられない構成にする必要もない。従って、搬送部品のみを簡単に露出させることができ、メンテナンスが容易である。
【0011】
ここで、前記搬送部品として、ローラーシャフトおよびこれに取り付けられた搬送ローラーならびに従動歯車を備えるローラーユニットを用いる場合には、前記搬送部品取付部を、前記ローラーユニットが交換可能に取り付けられる構成にすることができる。このようにすると、摩耗しやすいゴム製の搬送ローラーを容易に交換できるため、便利である。
【0012】
本発明において、前記搬送部品取付部は、前記ローラーシャフトの端部に取り付けられた軸受を嵌め込む軸受装着部を備え、前記カバーは、前記軸受装着部に対峙する部分に形成された軸受固定部を備え、前記軸受装着部および前記軸受固定部は、前記開口に前記カバーを取り付けたとき、前記軸受を挟み込んで保持する軸受保持部を形成するように構成することが望ましい。このようにすると、ローラーユニットの端部に取り付けられた軸受を軸受装着部に位置決めしてローラーユニットを嵌め込み、その後にカバーを取り付けるだけで、軸受を精度良く確実に固定できる。従って、ローラーユニットを簡単に交換でき、取付精度も良好である。
【0013】
また、本発明において、前記装置本体ユニットに、前記カバーを外側から覆った状態に取付可能な外部カバーを設け、当該外部カバーを板金部材とした場合には、電磁波などの遮蔽効果が高まる。従って、装置本体ユニットに設けられた部品への電磁波の影響を低減させることができる。
【0014】
更に、本発明において、前記搬送部品取付部を、前記装置本体ユニットにおける前記開閉ユニットを取り付けた側に対して裏側に位置する面に前記開口が設けられるように構成することが望ましい。このようにすると、開閉ユニットを開けることなくカバーを取り外すことができるため、ローラーユニットの交換作業をより簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、装置本体ユニットに搬送部品取付部のみを外部に露出させる開口を設け、ここから搬送部品のメンテナンスを行い得るようにしており、この開口に着脱可能なカバーを設けている。このため、カバーの着脱によって搬送部品取付部のみを開閉でき、メンテナンスすべき部品のみを露出させることができる。また、周囲の重要な部品(配線や電気部品など)が露出することがないため、カバーの取り付けに特殊なネジを用いて簡単に開けられない構成にする必要もない。従って、搬送部品のみを簡単に露出させることができ、メンテナンスが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明を適用したカード処理装置が組み込まれた遊技台用台間機を示す斜視図であり、(b)は遊技台用台間機の台間機本体を台間機ホルダーから引き出した状態を示す斜視図である。
【図2】(a)は図1の遊技台用台間機に組み込まれているカード処理装置を示す斜視図であり、(b)はその分解斜視図である。
【図3】(a)は図2のカード処理装置の内部構造を示す断面図であり、(b)はその装置本体ユニットの側の搬送路面を示す側面図である。
【図4】図2のカード処理装置におけるカード送り出し動作を示す説明図である。
【図5】図2のカード処理装置における待機状態からカード取り込み完了までの動作を示す説明図である。
【図6】(a)は図2のカード処理装置において着脱式の開閉ユニットのロックを解除した状態を示す斜視図であり、(b)は開閉ユニットを開けた状態を示す斜視図であり、(c)は開閉ユニットを装置本体ユニットから外した状態を示す分解斜視図であり、(d)は取り外した開閉ユニットを内側から見た場合の斜視図である。
【図7】装置本体ユニットの搬送部品取付部を示す斜視図であり、(a)はローラーカバーを取り付けた状態を示す斜視図であり、(b)はローラーカバーを外した状態を示す分解斜視図であり、(c)はローラーユニットを取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図8】ローラーユニットを示す斜視図である。
【図9】軸受保持部の断面図(図7(c)のA−A部分断面図)であり、(a)はローラーカバー61を外した場合の部分断面図であり、(b)はローラーカバー61を取り付けた場合の部分断面図である。
【図10】実施例2の搬送部品取付部を示す斜視図であり、(a)はローラーカバーを取り付けた状態を示す斜視図であり、(b)は外部カバーを外した状態を示す分解斜視図であり、(c)はローラーカバーを外した状態を示す分解斜視図であり、(d)はローラーユニットを取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図11】実施例2のローラーユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して本発明を適用したカード処理装置の実施の形態を説明する。本実施の形態に係るカード処理装置は遊技台用台間機に組み込まれるものであるが、本発明は遊技台用台間機以外の機器に用いるカード処理装置に対しても同様に適用可能なことは勿論である。
【0018】
(遊技台用台間機)
図1(a)は本発明を適用したカード処理装置が組み込まれた遊技台用台間機を示す斜視図であり、図1(b)は遊技台用台間機の台間機本体を台間機ホルダーから引き出した状態を示す斜視図である。本実施の形態に係るカード処理装置1が組み込まれている遊技台用台間機100は、パチンコ店などの遊技施設において遊技島を構成している遊技台(図示せず)の間に配置されるものであり、遊技島構成枠(図示せず)に固定される台間機ホルダー101と、この台間機ホルダー101に対して前側から取り外し可能な状態で挿入されている台間機本体102とを備えている。
【0019】
台間機本体102は偏平で縦長の直方体形状の板金製のケース103と、この前面に取り付けたプラスチック製の前面パネル104とを備えており、ケース103の内部には、制御ユニット、電源ユニット、金銭処理ユニットと共に、カード処理装置1が組み込まれている。カード処理装置1の前面に位置する前面パネル104の部分にはカード挿入排出用のカードスロット105が形成されており、ここを介して、カード、本例ではRFICチップが搭載されている非接触型ICカードC(以下、単に「カードC」と呼ぶ場合もある。)の挿入、排出が行われる。なお、遊技台用台間機100の構成、動作は一般的に知られているものと同様であるので、これ以上の説明は省略する。
【0020】
(カード処理装置)
図2(a)は図1の遊技台用台間機100に組み込まれているカード処理装置1を示す斜視図であり、図2(b)はその分解斜視図である。これらの図を参照して説明すると、カード処理装置1は、全体として前後方向に長い偏平な直方体形状をしており、装置本体ユニット2と、この装置本体ユニット2に取り付けられた着脱式の開閉ユニット3とを備えている。装置本体ユニット2は装置前後方向に長い偏平な直方体形状をしたユニットであり、その一方の側面には前後方向に延びる一定幅で一定深さの凹部4が形成されている。開閉ユニット3は凹部4に丁度嵌り込む大きさの直方体形状をしており、その後端部における装置上下方向に延びる開閉中心軸線5を中心として、当該凹部4に装着された閉じ位置3Aから後述の開き位置3B(図6(b)参照)までの範囲内で開閉可能であり、後述のロック機構によって閉じ位置3Aにロックされている。また、開閉ユニット3は装置本体ユニット2から取り外すことが可能である。凹部4の装置前面部分には、装置本体ユニット2に対して入口ガイドユニット6が固定ネジ7によって固定されている。
【0021】
図3(a)はカード処理装置1の内部構造を示す断面図であり、図3(b)はその装置本体ユニット2の側の搬送路面を示す側面図である。図2および図3を参照してカード処理装置1の内部構造を説明する。カード処理装置1の前端面11には、その前端面11における幅方向の中央に上下に延びる一定幅のカード挿入排出口12が形成されている。本例では、装置本体ユニット2と、ここに形成した凹部4の前端部分に取り付けた入口ガイドユニット6との間にカード挿入排出口12が形成されている。カード挿入排出口12を介して、カードCをその長手方向に沿って挿入、排出することができる。
【0022】
カード処理装置1の内部には、カード挿入排出口12から後方に直線状に延びる一定幅のカード搬送路13が形成されている。カード搬送路13はカードCをその長手方向に1枚ずつ搬送可能な幅の通路であり、入口側カード搬送路13Aと、この入口側カード搬送路13Aの後端から後方に延びるカード搬送路13Bとを備えている。カード搬送路13Bの後端13bは、装置前後方向の中程の位置において、当該カード搬送路13Bよりも広幅のカードスタッカ14に繋がっており、当該後端13bがカードスタッカ14のカード送り出し口となっている。カードスタッカ14はカード搬送路13Bから送り込まれるカードCをカード搬送路13の搬送方向に直交する装置幅方向に重ねた状態、換言するとカードCの厚さ方向に重ねた状態で収納可能である。
【0023】
入口側カード搬送路13Aは装置本体ユニット2と入口ガイドユニット6の間に形成されており、後側のカード搬送路13Bは装置本体ユニット2と開閉ユニット3の間に形成されている。すなわち、入口側カード搬送路13Aは、装置本体ユニット2の凹部4の底面を規定している全体として平坦な第1搬送路面15の前側部分と、これに装置幅方向において一定の間隔で対峙している入口ガイドユニット6の内側側面によって規定される平坦な第2搬送路面部分16との間に形成されている。カード搬送路13Bは、装置本体ユニット2の側の第1搬送路面15と、これに対峙している開閉ユニット3の内側側面によって規定される平坦な第2搬送路面部分17との間に形成されている。第1搬送路面15の後側部分は第2搬送路面部分17の後端13b(カードスタッカ14のカード送り出し口)よりも後方に延びている後側搬送路面部分15aとなっている。この後側搬送路面部分15aには、開閉ユニット3の側に形成されているカードスタッカ14の矩形輪郭のスタッカ開口部14aが対峙している。
【0024】
カード搬送路13Bおよびカードスタッカ14にはカードCを搬送するためのカード搬送機構20が配置されている。カード搬送機構20は、第1搬送ローラー21および第2搬送ローラー22と、第1搬送ローラー21に押し付け可能なアイドラローラー23と、第1、第2搬送ローラー21、22を駆動するための駆動モーター24と、駆動モーター24の駆動力を第1、第2搬送ローラー21、22に伝達するための歯車列25とを備えている。駆動モーター24によって第1、第2搬送ローラー21、22が同期して回転駆動されるようになっている。また、第1搬送ローラー21はカード搬送路13B上に配置されているが、第2搬送ローラー22は、カードスタッカ14に対峙している後側搬送路面部分15aにおいて、カード搬送路13Bの後端13bの後側近傍位置に配置されている。また、第1、第2搬送ローラー21、22の間隔はカードCの搬送方向の長さよりも短い寸法に設定されている。カード搬送機構20の構成部品のうち、アイドラローラー23は開閉ユニット3の側に搭載されているが、それ以外は装置本体ユニット2の側に搭載されている。
【0025】
装置本体ユニット2において、入口側カード搬送路13Aにおけるカード挿入排出口12と第1搬送ローラー21の間には、ソレノイド駆動式の入口シャッター26が配置されている。入口シャッター26が開くとカードCの挿入が可能になり、挿入されたカードCにおける搬送路搬入方向の先端側の端面Caが第1搬送ローラー21およびアイドラローラー23のニップ部に押し込まれると、カード搬送機構20によるカード搬送が可能になる。
【0026】
装置本体ユニット2における第1搬送路面15の背面側には、これと平行に回路基板27が配置されている。回路基板27には、カード処理装置1の駆動制御を司る制御回路が搭載されていると共に、カードCに対して非接触状態で情報のリードライトを行うためのRFアンテナ28(リードライト部)が搭載されている。このRFアンテナ28は、図3(b)において想像線で示すように、カード搬送路13Bにおける第1、第2搬送ローラー21、22の間の部位に対峙している回路基板27の表面に搭載されているループ状のアンテナである。
【0027】
ここで、回路基板27にはカードCの搬送制御を行うために用いる複数のカード検出器が搭載されている。主に図3(b)を参照して、これらのカード検出器によるカード検出位置を説明する。まず、入口側カード搬送路13Aにおけるカード挿入排出口12の近傍位置には、フォトインタラプタ方式のカード検出器の入口レバー31が配置されている。入口レバー31は入口側カード搬送路13A内に突出した状態に付勢されており、カード挿入排出口12に挿入されるカードCによって装置幅方向に押されて入口側カード搬送路13Aから退避する方向に押し込み可能となっている。入口レバー31の動きによって、回路基板27に実装されているフォトインタラプタは、入口側カード搬送路13AにカードCが挿入されたこと、および、当該カード挿入排出口12からカードCが完全に引き抜かれたことを検出できる。
【0028】
入口側カード搬送路13Aにおける入口シャッター26と第1搬送ローラー21の間の部位には、入口側カード搬送路13Aにおける上端および下端に、一対のフォトセンサ32、33が配置されている。これらのフォトセンサ32、33は、カードCがRFアンテナ28によるカードリードライト位置に位置したことを検出するためのものである。本例では、カードCがカードリードライト位置に位置決めされると、リードライト対象のカードC(28)における搬送路搬入方向の後端縁部分が、上側のフォトセンサ32の検出位置に位置し、下側のフォトセンサ33の検出位置からは搬入方向に外れた位置になる。これら双方のフォトセンサ32、33の検出信号に基づき、カードCがカードリードライト位置に位置決めされたことを検出できる。
【0029】
次に、カード搬送路13Bにおける第1搬送ローラー21およびアイドラローラー23のニップ位置に対応するカード搬送路13Bの下端の部位には、1個のフォトセンサ34が配置されている。このフォトセンサ34の検出信号に基づき、カード挿入排出口12から挿入されたカードCの先端が第1搬送ローラー21、アイドラローラー23のニップ部にくわえ込まれたこと(搬送開始時点)、および、排出されるカードCが当該ニップ部を通過し終えたこと(搬送終了時点)を検出できる。
【0030】
カード搬送路13Bの後端13bには、その下端部分に1個のフォトセンサ35が配置されている。このフォトセンサ35の検出信号に基づき、カード搬送路13Bに沿ってカードスタッカ14に送り込まれるカードCが当該カードスタッカ14内に収納され終わったことを検出できる。
【0031】
(カードスタッカ)
次に、主に図3(a)を参照してカードスタッカ14の構造を説明する。開閉ユニット3に形成されているカードスタッカ14は、その第2搬送路面部分17の後側に形成されており、1枚のカードCを厚さ方向に挿入して積層状態で収納可能な矩形形状をした一定深さの凹部である。このカードスタッカ14のスタッカ開口部14aが装置本体ユニット2の側の第1搬送路面15の後側搬送路面部分15aに対峙している。カードスタッカ14には、後側搬送路面部分15aに対峙する状態で、カードスタッカ14の底面を規定している矩形のカード押し上げ板41が配置されている。カード押し上げ板41は背面側から円錐台状の圧縮コイルバネ42によって後側搬送路面部分15aに向けて押し上げられている。圧縮コイルバネ42による押し上げ位置42Aは、カード搬送方向に沿って見た場合に、カード押し上げ板41の中心位置あるいは当該中心位置よりも後方側の位置とされ、本例では中心位置に一致している。
【0032】
これに対して、後側搬送路面部分15aにおいては、カード搬送路13Bの後端13b(カード送り出し口)の近傍位置に第2搬送ローラー22が露出しており、この第2搬送ローラー22よりも後側の位置には、装置幅方向に沿ってカードスタッカ14内に突入可能な一対のソレノイド駆動式の押し下げ部材43、44が配置されている。押し下げ部材43、44はカードスタッカ14の上下方向(収納されているICカードCの短辺方向)において対称の位置に配置されている。
【0033】
これらの押し下げ部材43、44は、非励磁状態では、図3(a)に示すように、後側搬送路面部分15aの背面側に後退した退避位置にあり、励磁されると後側搬送路面部分15aからカードスタッカ14内に向けて、少なくともカードCの1枚分以上の厚さ寸法だけ突入したカード押し下げ位置に切り替わる。また、これらの押し下げ部材43、44によるカード押し下げ位置43Aは、カード搬送方向に沿って見た場合に、圧縮コイルバネ42の押し上げ位置42Aよりも装置前方側にオフセットした位置であり、第2搬送ローラー22の収納カードC(14)に対する当接位置22Aよりも装置後方側の位置となっている。
【0034】
カード押し下げ部材43、44をカードスタッカ14内に突出させると、押し上げ板41の押し上げ力に逆らって収納カードC(14)が押し下げられる。本例では、圧縮コイルバネ42による押し上げ板41の押し上げ位置42Aよりも装置前側にオフセットしたカード押し下げ位置43Aにおいて、カード押し下げ部材43、44によって収納カードC(14)が押し下げられる。この結果、収納カードC(14)における装置前側の部分が圧縮コイルバネ42による押し上げ位置42Aを支点にして押し下げられる。よって、収納カードC(14)の全体を押し下げる場合に比べて、小さな押し下げ力で確実に、後側搬送路面部分15aと収納カードC(14)の最上位カードC1との間に、カード搬送路13BからカードCを送り込むための隙間を形成できる。
【0035】
次に、カードスタッカ14における装置前後方向の後端部には、カードスタッカ14に収納されている収納カードC(14)のうち最も上に積層されている最上位カードC1を、そのカード厚さ方向に直交する押し出し方向、本例では後側搬送路面部分15aに沿ったカード搬送方向に押し出してカード搬送路13Bに送り出す収納カード繰り出し機構90が配置されている。収納カード繰り出し機構90は、後側搬送路面部分15aの後端部分から突出している一対のカード係合爪91、92と、これらのカード係合爪91、92を圧縮コイルバネ93、94を介して支持している爪スライド機構95とを備えている。
【0036】
カード係合爪91、92は、後側搬送路面部分15aにおいて上下方向の対称位置に配置されており、最上位カードC1の後側の端面に対して後側から係合可能である。また、カード係合爪91、92は、爪スライド機構95によって、装置前後方向に一定の範囲内で往復移動可能となっている。この構成の収納カード繰り出し機構90と、カード搬送機構20の第2搬送ローラー22とによって、カードスタッカ14に積層状態で収納されている収納カードC(14)から、その最上位カードC1を確実に分離し、当該カードC1をカード搬送路13Bに向けて送り出すことが可能である。
【0037】
(カード搬送路の長さ寸法)
上記構成のカード処理装置1において、RFアンテナ28によるカードリードライト位置に位置決めされたリードライト対象のICカードC(28)は、図3に示すように、その搬送路搬入方向の先端部分がカードスタッカ14のカード送り出し口(カード搬送路13Bの後端13b)から所定の距離だけ奥に入り込んだ状態になる。このカードリードライト位置では、ICカードC(28)の搬送路搬入方向の先端側の端面Caが一対の押し下げ部材43、44の直前に位置し、その後端側の端面Cbが一対のフォトセンサ32、33の間に位置している。したがって、カードリードライト位置にあるICカードC(28)の搬送路搬入方向における先端部分は、カードスタッカ14に収納されている収納カードC(14)の最上位カードC1の搬送路搬入方向における後端部分に所定長さ分だけ重なった状態になる。また、リードライト位置にあるカードC(28)には双方の第1、第2搬送ローラー21、22が当接した状態となる。
【0038】
これらのカードの重なり寸法ΔLは、カードリードライト位置にあるカードC(28)をRFアンテナ28によってリードライトする際に、収納カードC(14)との間でコリジョンが発生しない最大寸法に設定されている。このため、カード搬送路13(13A、13B)を短くすることができ、カード処理装置1の前後方向の長さ寸法を小さくすることができる。このようにすると、短いカード搬送路13に沿ってカードCを搬送すればよいので、搬送ベルトの代わりに、一対の搬送ローラー21、22を用いてカードCを搬送することができる。すなわち、一対の搬送ローラー21、22をカードCの搬送方向の長さL(C)よりも狭い間隔に配置してカード搬送を確実に行うことができる。搬送ベルトを使用する場合には長期使用によってベルトの伸びなどに起因して搬送不良、カード詰まりなどが発生するおそれが高いが、搬送ローラーを用いることにより搬送機構の耐久性を高めることができる。
【0039】
さらに、第2搬送ローラー22はカードスタッカ14に対峙している後側搬送路面部分15aに配置されている。したがって、第2搬送ローラー22は、図3に示すように、リードライト位置にあるカードC(28)における後側の部分に当接する。また、リードライト位置にカードC(28)が無い場合には、収納カードC(14)の最も上に位置している最上位カードC1の前側の部分に当接する。したがって、第2搬送ローラー22を用いて、リードライト位置にあるカードC(28)をカードスタッカ14内に送り込むことができ、また、カードスタッカ14内のカードC1をカード搬送路13に向けて送り出すことができる(図4、図5参照)。
【0040】
(カード処理動作)
次に、図4はカード処理装置1におけるカード送り出し動作を示す説明図であり、図5はカード処理装置1における待機状態からカード取り込み完了までの動作を示す説明図である。これらの図を参照して、カード処理装置1によるカード処理動作を説明する。まず、図4(a1)〜(a3)に示すように、電源オフ状態においてカードスタッカ14内に複数枚の収納カードC(14)が収納された状態にあるものとする。この状態では、カードスタッカ14内の収納カードC(14)はカード押し上げ板41によって第1搬送路面15の後側搬送路面部分15aの側に押し上げられており、その最も上側に位置する最上位のカードC1が後側搬送路面部分15aと、ここからカードスタッカ14内に僅かに外周面が露出している第2搬送ローラー22に押し付けられている。また、最上位のカードC1の搬送路搬入方向の先端側の端面Caには一対のカード係合爪91、92が付勢され、これらが、カード先端側の端面Caに後側から係合している。
【0041】
電源がオンされると、図4(b1)、(b2)に示すように、収納カード繰り出し機構90の一対のカード係合爪91、92が前方にスライドを開始し、これらが係合しているカードスタッカ14内の最上位のカードC1が前方に押し出される。これと同時に、カード搬送機構20が駆動され、第1、第2搬送ローラー21、22が反時計回りに回転を開始する。この結果、カードC1が、それ以外のカードC(14)から分離されてカードスタッカ14からカード搬送路13に送り出される。カードC1が所定距離だけ送り出された後はスライダ96が後退して元の位置に戻る。これに対して、搬送ローラー21、22の回転は継続され、カードC1が継続して送り出される。
【0042】
送り出されたカードC1の送り出し側の端面Cbが一対のフォトセンサ32、33の間に位置する状態にまで前進すると、当該カードC1の搬送が止まる。これにより、カードC1はカードリードライト位置に位置決めされる。この結果、図5(a1)、(a2)に示す待機状態が形成される。この状態では、第1、第2搬送ローラー21、22の双方が、カードリードライト位置にあるカードC1に当接している。
【0043】
待機状態にあるカード処理装置1において、図5(b1)、(b2)に示すように、カード挿入排出口12からカードC2が挿入されると、当該カードC2の挿入が入口レバー31によって検知される。カード挿入が検知されると、カード搬送機構20が駆動され、カード搬送路13上のカードリードライト位置に保留されているカードC1を第1、第2搬送ローラー21、22によってカードスタッカ14の収納位置まで戻す。
【0044】
フォトセンサ35によってカードC1がカードスタッカ14内に戻ったことが検知されると、図5(c1)、(c2)に示すように、入口シャッター26が開き、カードC2を第1搬送ローラー21のニップ位置まで挿入可能になる。カードC2を押し込むと、回転している第1搬送ローラー21によってカードC2が取り込まれ、カード搬送路13に沿って後側に向けて搬送される。
【0045】
ここで、第1搬送ローラー21のニップ部に配置されているフォトセンサ34によってカードC2の取り込みが検知されると、カードスタッカ14においてはカード押し下げ部材43、44がカードスタッカ14内に突出して、収納カードCを第1搬送路面15から離れる方向に押し込む。この結果、図5(d1)、(d2)に示すように、カードスタッカ14において、後側搬送路面部分15aの側には、取り込まれたカードC2を挿入可能な隙間が形成される。取り込まれたカードC2の送り込み側の先端部分がカードスタッカ14内に挿入され、その送り込み方向の後側の端面Cbが一対のフォトセンサ32、33の間に至ると、カード搬送が止まり、カード取り込みが完了する。
【0046】
このようにしてカードリードライト位置に取り込まれたカードC2に対する情報のリードライトが行われる。取り込まれたカードC2の搬送路搬入方向の先端側の端面Caは、カード押し下げ位置に突出している一対のカード押し下げ部材43、44に当たり、カードリードライト位置に位置決めされる。したがって、カード押し下げ部材43、44は、取り込まれたカードC2をカードリードライト位置に位置決めするためのストッパとしても機能する。
【0047】
(開閉ユニットの開閉・着脱機構、ロック機構)
図6(a)は着脱式の開閉ユニット3のロックを解除した状態を示す斜視図であり、図6(b)は開閉ユニット3を開けた状態を示す斜視図であり、図6(c)は開閉ユニット3を装置本体ユニット2から外した状態を示す分解斜視図であり、図6(d)は取り外した開閉ユニット3を内側から見た場合の斜視図である。これらの図を参照して開閉ユニット3の開閉・着脱機構を説明する。
【0048】
開閉ユニット3には、その上面部分3aおよび下面部分3bの後端側の部位に、上下に突出したピボット軸51、52が同軸状態に形成されている。装置本体ユニット2の側には、その凹部4の上側の下面部分4aおよび下側の上面部分4bにおける後端側の部位に、軸装着溝53、54が上下対称の状態に形成されている。後述のロック機構によるロックが解除された状態では、これらの軸装着溝53、54に着脱可能に装着したピボット軸51、52(開閉中心軸線5)を中心として、開閉ユニット3は装置本体ユニット2の凹部4に嵌り込んだ閉じ位置3A(図2(a)参照)から図6(b)に示す略90度開いた開き位置3Bまでの間を開閉可能である。
【0049】
下側の軸装着溝54は、装置本体ユニット2の凹部4の上面部分4bにおいて装置幅方向に延びる矩形断面の直線状の溝部分54aを備え、この溝部分54aの端は装置本体ユニット2の裏側に開口している溝開口端54bとなっている。溝部分54aの奥側の端は装置後方に直角に折れ曲がった方向に延びる溝部分54cとなっている。上側の軸装着溝53も同様な構成となっているのでその説明を省略し、対応する部位については軸装着溝54における部位に使用した符号を用いて説明する。開閉ユニット3が閉じ位置3Aに位置している状態では、その上下のピボット軸51、52は、上下の軸装着溝53、54における奥の溝部分54cに回転可能な状態で装着されている。開閉ユニット3のロックを解除した後に(図6(a)参照)、上下のピボット軸51、52を対応する軸装着溝53、54に沿って一旦装置前方にスライドさせた後に、装置幅方向にスライドさせることにより、これらを軸装着溝53、54の溝開口端54bから取り外すことができる。これにより、開閉ユニット3を図6(c)に示すように、装置本体ユニット2から完全に外すことができる。
【0050】
ここで、ロックが解除されて開閉可能となった開閉ユニット3は、下向きにした場合等において、自重によって装置本体ユニット2側の軸装着溝53、54から外れて落下するおそれがある。不用意に開閉ユニット3が装置本体ユニット2から外れることのないようにするためには、ピボット軸51、52を、それらの突出方向に向けて圧縮コイルバネなどの弾性付勢部材によって付勢しておくことが望ましい。このようにすれば、ピボット軸51、52は軸装着溝53、54の溝底面に押し付けられ、溝底面に対して所定の係合力で係合した状態になる。よって、係合力を適切な値に設定しておくことにより、自重によって開閉ユニット3が装置本体ユニット2からずり落ちてしまうなどの弊害を防止できる。
【0051】
次に、図6を参照して、開閉ユニット3を装置本体ユニット2にロックしているロック機構を説明する。ロック機構は、開閉ユニット3の側に配置した一対のロックピン55、56と、装置本体ユニット2の側に配置した一対のロック溝57、58とを備えている。ロックピン55、56は、開閉ユニット3の上面部分3a、下面部分3bにおける前端側の部位に、それぞれ上方および下方に向けて同軸状態で突出している。ロック溝57、58は、装置本体ユニット2の凹部4における上側の下面部分4a、下側の上面部分4bにそれぞれ形成されており、ロックピン55、56を裏側から挿入可能である。
【0052】
ロック溝58は広幅の溝開口端58aと、ここから装置幅方向に延びている溝部分58bを備えており、この溝部分58bにおける装置前側の端面には装置後方に突出した係合面58cが形成されている。ロックピン56は装置後方にスライド可能であり、不図示の弾性付勢部材によって常に装置前方に付勢されている。上側のロック溝57およびロックピン55も同様である(以下の説明においては、ロック溝57の各部位についてはロック溝58における各部位に使用した符号を用いて説明する。)。したがって、開閉ユニット3が閉じ位置3Aにある状態では、ロックピン55、56がロック溝57、58の係合面58cに係合し、開閉ユニット3が閉じ位置3Aにロックされる。
【0053】
ここで、開閉ユニット3の外側の側面3cにおける前端側の部位には、ロック機構によるロックを解除するためのロック解除レバー59が取り付けられている。ロック解除レバー59はロックピン55、56に連結されている。ロックピン55、56に作用している付勢力に逆らってロック解除レバー59を装置後方に押し込むと、ロックピン55、56がロック溝57、58の係合面58cから外れる。したがって、ロック解除レバー59を押し込みながら開閉ユニット3を側方に引くと、図8(a)に示すように、ロックピン55、56をロック溝57、58から側方に外すことができる。
【0054】
このようにしてロックを解除した後は、図6(b)に示すように、開閉ユニット3をその後端部の開閉中心軸線5を中心として略90度開いた開き位置3Bまで開くことができる。開閉ユニット3を開くと、カード挿入排出口12の側の入口側カード搬送路13Aを除き、カード搬送路13Bが開放状態に切り替わる。また、ロックを解除した後は、図6(c)に示すように、開閉ユニット3の後端部の上下のピボット軸51、52を装置本体ユニット2の側の軸装着溝53、54から側方に外すことができ、これにより、開閉ユニット3を装置本体ユニット2から完全に切り離すことができる。開閉ユニット3を装置本体ユニット2から外すと、図6(d)に示すように、開閉ユニット3の内側表面のカードスタッカ14のスタッカ開口部14aが露出する。
【0055】
したがって、開閉ユニット3を開けることにより、カード搬送路13Bに詰まったカードの除去作業を簡単に行うことができる。また、カード搬送路13Bの各部分に付着した埃、汚れなどの清掃を簡単に行うことができる。さらに、開閉ユニット3を装置本体ユニット2から取り外せば、開閉ユニット3の側の清掃作業、カードスタッカ14の各部のメンテナンスなどを簡単に行うことができる。
【0056】
これに加えて、カード処理装置1を遊技台用台間機100から取り外した場合には、図2(b)に示すように、工具を用いて固定ネジ7を緩めて入口ガイドユニット6を装置本体ユニット2から取り外して、カード挿入排出口12および入口側カード搬送路13Aを開放状態に切り替えることができる。よって、これらの部分の清掃作業なども簡単に行うことができる。
【0057】
(搬送部品取付部およびその開閉構造:実施例1)
図7は装置本体ユニット2の搬送部品取付部を示す斜視図であり、図7(a)はローラーカバーを取り付けた状態を示す斜視図であり、図7(b)はローラーカバーを外した状態を示す分解斜視図であり、図7(c)はローラーユニットを取り外した状態を示す分解斜視図である。また、図8はローラーユニットを示す視図である。図7(a)に示すように、装置本体ユニット2は、開閉ユニット3が装着される側(カード搬送路13を形成している側)に対して裏側に位置する面が裏カバー2aによって覆われている。裏カバー2aは、専用の工具によってのみ着脱可能な特殊ネジ2b(いたずら防止ネジ)によって固定されている。
【0058】
装置本体ユニット2には、カード搬送機構20の第1、第2搬送ローラー21、22等を交換可能に取り付けるための搬送部品取付部60(図7(b)(c)参照)が設けられている。搬送部品取付部60は、裏カバー2aのほぼ中央に設けられた概略矩形状の開口2cからその内部が外部に露出されるように構成されている。搬送部品取付部60は、ここに装着される搬送部品に対応する形状に凹んでおり、カード搬送機構20のメンテナンスを行う場合を除き、図7(a)に示すように、開口2cに取り付けられたローラーカバー61(カバー)によって閉鎖されている。図7(b)に示すように、ローラーカバー61にはネジ孔61aが形成されており、このネジ孔61aに対応する搬送部品取付部60内の位置にはボス部62が形成されている。ローラーカバー61は、ボス部62に対し、固定ネジ63によって着脱可能にネジ止めされている。固定ネジ63は、プラス溝あるいはマイナス溝などが形成された一般的なネジ部材であり、ネジ止めおよび取り外しに特殊な工具を必要としないものである。このため、ローラーカバー61は、特殊な工具を用いることなく簡単に着脱できる。
【0059】
搬送部品取付部60の装置前後方向に延びる内壁部の一方は内側に張り出した形状をしており、この張り出した部分は、カード搬送機構20の歯車列25の一部を収納するギアボックス2dを形成している。ローラーカバー61は、ギアボックス2dに対応する箇所がギアボックス2dの平面形状に切り欠かれている。歯車列25は、駆動モーター24の出力軸に連結されたウォームギア(図示省略)によって駆動される平歯車25a(図3(a)参照)およびこれと噛み合う平歯車25b(従動歯車:図7(b)(c)、図8参照)を備えており、ギアボックス2dには平歯車25aが収納されている。ギアボックス2dの装置前後方向を向いた面には窓が形成され、ここから平歯車25aの歯が搬送部品取付部60内に露出している。
【0060】
図7(c)に示すように、搬送部品取付部60の装置前後方向の一端側および他端側の各位置には、ローラーユニット装着部64が形成されている。各ローラーユニット装着部64には、図8に示すローラーユニット65(搬送部品)が一体ずつ装着されている。各ローラーユニット65は、ローラーシャフト65aの一端に第1、第2搬送ローラー21、22として機能するゴムローラー65bを取り付け、他端に平歯車25b(従動歯車)を取り付けて構成されている。本例では、ローラーシャフト65aおよび平歯車25bを樹脂素材により一体に形成しており、このローラーシャフト65aがゴムローラー65bに圧入され、全体として一体回転するようになっている。ゴムローラー65bから突出しているローラーシャフト65aの端部には、樹脂製のブッシュ65cが装着されている。また、平歯車25bから突出しているローラーシャフト65aのもう一方の端部にもブッシュ65cが装着されている。
【0061】
図7(c)に示すように、ローラーユニット装着部64は、ローラーユニット65の外形に対応する凹み形状をしている。すなわち、ローラーユニット装着部64は、ローラーシャフト65aを回転可能な状態で収納するローラーシャフト装着部64aと、ゴムローラー65bを収納する搬送ローラー装着部64bと、平歯車25aを収納するギア装着部64cを備えている。搬送ローラー装着部64bの底部には、カード搬送路13内にゴムローラー65b(第1搬送ローラー21/第2搬送ローラー22)を露出させるための窓が形成されている。一方、ギア装着部64cは、上述した平歯車25aを収納するギアボックス2dに隣接している。ローラーユニット装着部64にローラーユニット65を入れると、ギアボックス2dの窓を通り、ローラーユニット65側の平歯車25bとギアボックス2d内の平歯車25aとが噛み合い、歯車列25が形成される。
【0062】
図9は軸受保持部の断面図(図7(c)のA−A部分断面図)であり、図9(a)はローラーカバー61を外した状態、図9(b)はローラーカバー61を取り付けた状態を示している。ローラーユニット装着部64の両端部分には軸受装着部66Aが形成されている。軸受装着部66Aは、ローラーシャフト65aの一端および他端に装着されたブッシュ65cを嵌め込み可能な形状の凹部であり、その底部に円弧状の支持面67Aが形成されている。一方、ローラーカバー61における各軸受装着部66Aに対峙する部分には軸受固定部66Bが形成されている。軸受固定部66Bは、軸受装着部66Aの入口部分に嵌まる凸形状をしており、その先端面が円弧状の支持面67Bとなっている。
【0063】
ローラーカバー61を取り付けて開口2cを塞ぐと、図9(b)に示すように、軸受装着部66A内に軸受固定部66Bが挿入され、支持面67Aと支持面67Bが正対して、ブッシュ65cを挟み込み可能な軸受保持部66が形成される。従って、ローラーカバー61を外した状態で、各軸受装着部66Aにローラーユニット65の各端部のブッシュ65cを位置決めして嵌め込んだ後、ローラーカバー61を取り付けることにより、ブッシュ65cが軸受保持部66に挟み込まれ、精度良く固定される。本例のブッシュ65cは、ローラーシャフト65aを回転可能に支持しており、滑り軸受けとして機能するものである。よって、ブッシュ65cを軸受保持部66によって保持することにより、ローラーユニット65が回転自在に保持された状態を形成できる。
【0064】
以上のように、本例の搬送部品取付部60は、装置本体ユニット2に第1、第2搬送ローラー21、22を配置するにあたって、開閉ユニット3を配置した側に対して裏側に位置する面に開口2cを設け、ここから搬送部品取付部20のみを外部に露出させ、周囲の配線や電気部品などは露出させないようにしている。このように、本例では、ローラーカバー61の着脱によって搬送部品取付部60のみを開閉できるため、いたずら防止のために特殊なネジでローラーカバー61を固定して搬送部品取付部20を塞ぐ必要がない。また、開閉ユニット3を開けることなくローラーカバー61を取り外すことができる。従って、簡単にローラーユニット65を露出させてメンテナンスを行うことができる。よって、メンテナンス性に優れており、磨耗しやすいゴムローラー65bを用いたカード搬送機構20に適している。
【0065】
また、搬送部品取付部60は、ローラーユニット装着部64側に軸受装着部66Aが形成され、ローラーカバー61側に軸受固定部66Bが形成されており、開口2cにローラーカバー61を取り付けると軸受保持部66が完成する。従って、ローラーユニット65の両端に設けられた軸受(ブッシュ65c)を簡単に固定でき、ローラーユニット65の交換作業を簡単に行うことができる。また、ブッシュ65cを精度良く確実に保持できるため、ローラーユニット65の取付精度も確保できる。
【0066】
(搬送ローラー取付部およびその開閉構造:実施例2)
図10は実施例2の搬送部品取付部を示す斜視図であり、図10(a)はローラーカバーを取り付けた状態を示す斜視図であり、図10(b)は外部カバーを外した状態を示す分解斜視図である。また、図10(c)はローラーカバーを外した状態を示す分解斜視図であり、図10(d)はローラーユニットを取り外した状態を示す分解斜視図である。実施例2では、搬送部品取付部60およびローラーカバー61の構成は実施例1と同様であり、ローラーカバー61を覆うように更に外部カバー68が取り付けられている点のみが実施例1と異なっている。
【0067】
外部カバー68は、ローラーカバー61よりも一回り大きい矩形状の板金部材である。外部カバー68の上端縁の両端には、係合爪68aが形成されている。また、外部カバー68の下端部分は、装置本体ユニット2の下端位置において屈曲しており、屈曲位置から装置本体ユニット2の底面に沿って延びる屈曲板部68bが形成されている。屈曲板部68bの先端縁の両端には、上向きに屈曲した係合爪68cが形成されている。更に、外部カバー68の上端縁の中央部分には、後述するラッチ部材69の係合爪69bに係合するラッチ穴68dが形成されている。
【0068】
裏カバー2aには、外部カバー68の各係合爪68aに対応する位置に、係合穴2eが形成されている。また、装置本体ユニット2の底面における各係合爪68cに対応する位置には、不図示の係合穴が形成されている。更に、ラッチ穴68dに対応する位置にはラッチ部材69が配置されている。ラッチ部材69は、上下にスライド可能に取り付けられ、不図示の付勢部材によって上向きに付勢されている。ラッチ部材69の上端には操作用の指掛け部69aが形成され、下端には係合爪69bが形成されている。
【0069】
ラッチ部材69を付勢力に逆らって下向きに移動させ、係合爪69bを外部カバー68のラッチ穴68dに差し込んだ後、裏カバー2aに沿って上向きに外部カバー68をスライドさせると、外部カバー68の上端では各係合爪68aが係合穴2cに差し込まれ、下端では各係合爪68cが装置本体ユニット2の底面における各係合穴に差し込まれる。ラッチ部材69が付勢力によって上端位置に戻ると、係合爪69bがラッチ穴68dの上端縁に係合して外部カバー68の装着が完了する。外部カバー68を外すときには、指掛け部69aを押してラッチ部材69を下向きにスライドさせ、外部カバー68を装着時とは逆向きにスライドさせて係合爪68a、68cを引き抜く。これにより、外部カバー68を取り外し可能になる。
【0070】
このような外部カバー68を取り付けると、電磁波などの遮蔽効果が高い板金部材によって搬送部品取付部60を中心とする広い範囲が覆われるため、装置本体ユニット2に設けられた部品への電磁波の影響を低減させることができる。特に、本例では、回路基板27におけるRFアンテナ28の搭載領域、および、搬送部品取付部60の下側に配置された駆動モーター24や搬送部品取付部60の周囲の配線等の設置領域と重なるように外部カバー68を配置しているため、これらの部品に対する電磁波の影響を低減させることができる。
【0071】
(ローラーユニット:実施例2)
図11は、実施例2のローラーユニットを示す斜視図である。実施例2のローラーユニット70は、金属製のローラーシャフト70aと、ローラーシャフト70aの一端が圧入された樹脂製の平歯車25bと、ローラーシャフト70aの他端が圧入された樹脂プーリ70bと、樹脂プーリ70bに被せたゴムローラー70cとを備えている。ゴムローラー70cから突出しているローラーシャフト70aの端部には、ボールベアリング70dが装着されている。また、平歯車25bから突出している側の端部にもボールベアリング70dが装着されている。この場合には、搬送部品取付部60の軸受装着部66Aおよびローラーカバー61の軸受固定部66Bを、ボールベアリング70dを挟み込んで保持可能な形状にする。このようにすると、軸受としてボールベアリング70dを用いた構成にすることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 カード処理装置
2 装置本体ユニット
2a 裏カバー
2b 特殊ネジ
2c 開口
2d ギアボックス
2e 係合穴
3 開閉ユニット
3A 閉じ位置
3B 開き位置
3a 上面部分
3b 下面部分
3c 側面
4 凹部
4a 下面部分
4b 上面部分
5 開閉中心軸線
6 入口ガイドユニット
7 固定ネジ

11 前端面
12 カード挿入排出口
13 カード搬送路
13A 入口側カード搬送路
13B カード搬送路
13b 後端
14 カードスタッカ
14a スタッカ開口部
15 第1搬送路面
15a 後側搬送路面部分
16、17 第2搬送路面部分

20 カード搬送機構
21 第1搬送ローラー
22 第2搬送ローラー
22A 当接位置
23 アイドラローラー
24 駆動モーター
25 歯車列
25a 平歯車
25b 平歯車(従動歯車)
26 入口シャッター
27 回路基板
28 RFアンテナ

31 入口レバー
32〜35 フォトセンサ

41 カード押し上げ板(カード押し上げ部材)
42 圧縮コイルバネ(付勢部材)
42A カード押し上げ位置
43、44 カード押し下げ部材
43A カード押し下げ位置

51、52 ピボット軸
53、54 軸装着溝
54a 溝部分
54b 溝開口端
54c 溝部分
55、56 ロックピン
57、58 ロック溝
58a 溝開口端
58b 溝部分
58c 係合面
59 ロック解除レバー

60 搬送部品取付部
61 ローラーカバー(カバー)
61a ネジ孔
62 ボス部
63 固定ネジ
64 ローラーユニット装着部
64a ローラーシャフト装着部
64b 搬送ローラー装着部
64c ギア装着部
65 ローラーユニット(搬送部品)
65a ローラーシャフト
65b ゴムローラー
65c ブッシュ(軸受)
66 軸受保持部
66A 軸受装着部
66B 軸受固定部
67A、67B 支持面
68 外部カバー
68a 係合爪
68b 屈曲板部
68c 係合爪
68d ラッチ穴
69 ラッチ部材
69a 指掛け部
69b 係合爪
70 ローラーユニット
70a ローラーシャフト
70b 樹脂プーリ
70c ゴムローラー
70d ボールベアリング(軸受)

90 収納カード繰り出し機構
91、92 カード係合爪
93、94 圧縮コイルバネ
95 爪スライド機構
96 スライダ

100 遊技台用台間機
101 台間機ホルダー
102 台間機本体
103 ケース
104 前面パネル
105 カードスロット

C カード
C(28) リードライト対象のカード
C(14) 収納カード
C1 最も上に収納されているカード
C2 挿入されたカード
Ca、C1a カードの端面
Cb カードの端面
ΔL カードの重なり寸法
L(C) カードの搬送方向の長さ寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体ユニットと、
当該装置本体ユニットに開閉可能に取り付けられた開閉ユニットと、
前記装置本体ユニットに沿った閉じ位置にある前記開閉ユニットと前記装置本体ユニットの間に形成され、前記開閉ユニットを開くと開放状態に切り替わるカード搬送路と、
当該カード搬送路に沿ってカードを搬送するカード搬送機構とを有し、
当該カード搬送機構は、前記装置本体ユニットに配置された搬送部品を備え、
前記装置本体ユニットは、
前記搬送部品が交換可能に取り付けられる搬送部品取付部と、
当該搬送部品取付部のみを外部に露出させる開口と、
当該開口に着脱可能に取り付けられるカバーとを備えることを特徴とする搬送部品取付部の開閉構造を備えたカード処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記搬送部品は、ローラーシャフトおよびこれに取り付けられた搬送ローラーならびに従動歯車を備えるローラーユニットであり、
前記搬送部品取付部に、前記ローラーユニットが交換可能に取り付けられることを特徴とする搬送部品取付部の開閉構造を備えたカード処理装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記搬送部品取付部は、前記ローラーシャフトの端部に取り付けられた軸受を嵌め込む軸受装着部を備え、
前記カバーは、前記軸受装着部に対峙する部分に形成された軸受固定部を備え、
前記軸受装着部および前記軸受固定部は、前記開口に前記カバーを取り付けたとき、前記軸受を挟み込んで保持する軸受保持部を形成することを特徴とする搬送部品取付部の開閉構造を備えたカード処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかの項において、
前記装置本体ユニットは、前記カバーを外側から覆った状態に取付可能な外部カバーを備え、
当該外部カバーは、板金部材であることを特徴とする搬送部品取付部の開閉構造を備えたカード処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかの項において、
前記搬送部品取付部は、前記装置本体ユニットにおける前記開閉ユニットを取り付けた側に対して裏側に位置する面に前記開口が設けられるように構成されていることを特徴とする搬送部品取付部の開閉構造を備えたカード処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−73589(P2013−73589A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214529(P2011−214529)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(311007165)マミヤ・オーピー・ネクオス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】