カード及びその製造方法
【課題】 本発明は、所有する個人の顔写真や自分の好みの図案や絵柄からなる任意の鮮明なオリジナル画像を形成したカード及び簡単な工程で迅速に作製することができるカードの製造方法を提供することである。
【解決手段】 熱転写シート基材層と離型層と耐水性樹脂層と水性インキ受容層とインクジェット印刷層が順に積層された熱転写シートを使用して、カード基材に形成された熱接着性樹脂層面にインクジェット印刷層と水性インキ受容層と耐水性樹脂層を熱転写することにより作製される、カード基材に熱接着性樹脂層とインクジェット印刷層と水性インキ受容層と耐水性樹脂層が順に形成された構成、又は、カード基材に磁気層と隠蔽性熱接着性樹脂層とインクジェット印刷層と水性インキ受容層と耐水性樹脂層が順に形成された構成からなるカードである。
【解決手段】 熱転写シート基材層と離型層と耐水性樹脂層と水性インキ受容層とインクジェット印刷層が順に積層された熱転写シートを使用して、カード基材に形成された熱接着性樹脂層面にインクジェット印刷層と水性インキ受容層と耐水性樹脂層を熱転写することにより作製される、カード基材に熱接着性樹脂層とインクジェット印刷層と水性インキ受容層と耐水性樹脂層が順に形成された構成、又は、カード基材に磁気層と隠蔽性熱接着性樹脂層とインクジェット印刷層と水性インキ受容層と耐水性樹脂層が順に形成された構成からなるカードである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、所有する個人の顔写真や希望する絵柄からなるオリジナル画像をインクジェット印刷方式により印刷されたカード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、水性インクを使用したインクジェット記録方式により画像を形成したカード及びその製造方法に関しては、例えば、基材と前記基材上に熱転写により転写された画像形成が可能な受像層とを具備するカード素材の受像層にインクジェット記録方式等により画像を形成することを特徴とするカードまたはカード素材及びその製造方法（例えば、特許文献１参照）、転写型画像形成シート材を被貼着体に貼着するための多孔質の接着剤層と、接着剤層を介してインクジェットプリンターからのインクを受容して定着するための接着剤下面に形成したインク受容層と、インク受容層を保護するためにインク受容層の下面に形成した透明なトップコート層と、トップコート層の下面に形成した透明な剥離コート層と、剥離コート層の下面に形成した基材シートからなる転写型画像形成シート材（例えば、特許文献２参照）等が知られている。
【特許文献１】特開平１０−２４４７８８号
【特許文献２】特開平９−２４０１９６号
【０００３】
しかしながら、前者の方法では、カード基材面に転写方式によりインクジェット記録方式等により画像を形成することができる受像層を形成したカード素材を使用してその受像層にインクジェット記録方式等により画像を形成する方法であるため、画像が形成された受像層は水系インクジェット受像層が露出した状態となるので、水に濡れると膨潤しやすく、また画像も滲みやすく、爪で擦る程度で受像層ごと剥がれやすいという欠点を有しており、耐水性、耐摩耗性をよくするには水系インクジェット受像層面にコーテイングまたはフィルムのラミネーションにより保護層を形成する必要があった。また、カード基材面上の受像層に直接インクジェット記録方式にて画像を形成するため、カード自体の異物付着や受像層の異物付着、ムラ、インクジェット印刷時の乾燥不良、インクの滲み等で不良が発生しやすいという問題がある。後者の方法では、インクジェットプリンターからのインクを受容して定着するためのインク受容層面に形成された多孔質の接着剤層面にインクジェットプリンターを使用して画像を形成し、形成した画像が多孔質の接着剤層を透過してインク受容層に定着させるものであるが、プラスチックフィルム等に熱接着させるための熱接着性樹脂からなる接着剤層の表面は水性インクの受容性がよくないので、接着剤層面に水性インクからなるインクジェットプリントにより鮮明な画像を形成するのが困難になるという欠点を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
本発明の目的は、画像をインクジェット印刷方式により形成して転写することにより、所有する個人の顔写真や自分の好みの図案や絵柄からなる耐水性及び耐摩耗性に優れたオリジナル画像を形成したカード、及び、製造枚数が少ないカードを簡単な工程で迅速に低コストで作製することができるカードの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
カード基材の一方の面に熱接着性樹脂層とインクジェット印刷層と水性インキ受容層と耐水性樹脂層が順に形成された構成のカードである。
【０００６】
カード基材と熱接着性樹脂層間に磁気層が形成された構成のカードである。
【０００７】
熱接着性樹脂層が隠蔽性熱接着性樹脂層である構成のカードである。
【０００８】
熱転写シート基材と離型層と耐水性樹脂層と水性インキ受容層とインクジェット印刷層が順に形成された構成の熱転写シートと、カード基材上に熱接着性樹脂層が形成されたカード素材を使用し、熱転写シートのインクジェット印刷層面とカード素材の熱接着性樹脂層面を重ね合わせて熱プレスした後、熱転写シート基材と離型層を剥離することにより、カード素材の熱接着性樹脂層面にインクジェット印刷層と水性インキ受容層と耐水性樹脂層を熱転写により形成する工程を備えたことを特徴とするカードの製造方法である。
【発明の効果】
【０００９】
本発明のカードでは、記号、文字、絵柄等からなるオリジナル画像をインクジェット印刷方式によりプリントしたインクジェット印刷層を有する熱転写シートを使用して熱転写によりカードに画像が形成されるので、所有する個人の顔写真や好みの図案や絵柄からなる任意のオリジナル画像を形成したオリジナルな個人専用カードとすることができる。また、インクジェット印刷層の耐水性、耐磨耗性の優れたカードとすることができる。
【００１０】
請求項２に係る発明では、磁気層を有する磁気カードとすることができる。
【００１１】
請求項３に係る発明では、隠蔽性熱接着性樹脂層により磁気層を隠蔽することができるので色彩効果のよい意匠性に優れた磁気カードとすることができる。
【００１２】
本発明の製造方法とすることにより、所有する個人の顔写真や自分の好みの図案や絵柄からなる耐水性、耐磨耗性の優れたオリジナル画像を有するカードを簡単な工程で迅速に低コストで作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図１は本発明のカードの第１実施形態の積層構成を示す断面図、図２は本発明のカードの第２実施形態の積層構成を示す断面図、図３は実施形態のカードの製造に使用する熱転写シートを示す断面図、図４は第１実施形態のカードの製造に使用するカード基材を示す断面図、図５は第２実施形態のカードの製造に使用するカード基材を示す断面図、図６は第１実施形態のカードを製造する際の熱転写工程を示す断面図、図７は第１実施形態のカードを製造する際の熱転写工程において熱転写シート基材と離型層を剥離する状態を示す断面図であって、１は熱転写シート、11は熱転写シート基材、12は離型層、13は耐水性樹脂層、14は水性インク受容層、15はインクジェット印刷層、２，2'はカード素材、21はカード基材、22は熱接着性樹脂層、22' は隠蔽性熱接着性樹脂層、23は磁気層を表す。
【００１４】
本発明の第１実施形態のカードは、図１に示すとおりであり、カード基材21と熱接着性樹脂層22が積層されたカード素材２の熱接着性樹脂層22面にインクジェット印刷層15と水性インク受容層14と耐水性樹脂層13が順に積層された構成である。インクジェット印刷層15は、各種の文字や記号やカードを所有する個人の顔写真や希望する絵柄等のオリジナル画像がインクジェット記録方式によりプリントされた印刷層である。
【００１５】
本発明の第２実施形態のカードは、図２に示すとおりであり、カード基材21と磁気層23と隠蔽性熱接着性樹脂層22' が積層されたカード素材2'の隠蔽性熱接着性樹脂層22' 面にインクジェット印刷層15と水性インク受容層14と耐水性樹脂層13が順に積層された構成であって、第２実施形態のカードは磁気カードとして使用できるものである。インクジェット印刷層15は、各種の文字や記号やカードを所有する個人の顔写真や希望する絵柄等のオリジナル画像がインクジェット記録方式によりプリントされた印刷層である。
【００１６】
第１、第２実施形態のカードを製造するために使用する熱転写シート１の構成は、図３に示すように、熱転写シート基材11面に離型層12と耐水性樹脂層13と水性インク受容層14とインクジェット印刷層15が順に形成された構成である。
【００１７】
第１実施形態のカードに使用するカード素材２は、図４に示すように、カード基材21と熱接着性樹脂層22が積層された構成であり、第２実施形態のカードに使用するカード素材2'は、図５に示すように、カード基材21と磁気層23と隠蔽性熱接着性樹脂層22' が積層された構成である。
【００１８】
熱転写シート１を使用してカード素材２に熱転写して第１実施形態のカードを作製するには、図６に示すように、カード素材２の熱接着性樹脂層22面に熱転写シート１のインクジェット印刷層15面を重ねて熱プレスした後に、図７に示すように、熱転写シート１の熱転写シート基材11と離型層12を剥離することにより、カード基材21と熱接着性樹脂層22からなるカード素材２の熱接着性樹脂層22面にインクジェット印刷層15と水性インク受容層14と耐水性樹脂層13が転写される。また、第２実施形態のカードを作製するには、図示しないが、カード基材21と磁気層23と隠蔽性熱接着性樹脂層22' からなるカード素材2'の隠蔽性熱接着性樹脂層22' 面に熱転写シート１のインクジェット印刷層15面を重ねて熱プレスした後に、熱転写シート１の熱転写シート基材11と離型層12を剥離することにより、カード素材2'の隠蔽性熱接着性樹脂層22' 面にインクジェット印刷層15と水性インク受容層14と耐水性樹脂層13が転写される。熱転写シート１を使用してカード素材２，2'にインクジェット印刷層15と水性インク受容層14と耐水性樹脂層13を転写するには、ロール状の熱転写シートを使用して熱ロールによりプレスする方法ないしは熱板によりプレスする方が使用される。
【００１９】
熱転写シートに使用される熱転写シート基材としては２軸延伸ポリエチレンテレフタレート等の耐熱性の優れたフィルムが一般的に使用される。離型層を形成する樹脂としては基材層との接着性が優れ且つ耐水性樹脂層との離型性のよい樹脂、例えば、ニトロセルロース，エチルセルロース，シセチルセルロース等のセルローズ系樹脂、又はこれらのセルローズ系樹脂とアクリル樹脂，メラミン樹脂，ポリエステル樹脂，エボキシ樹脂等の混合物が使用される。耐水性樹脂層としては、離型層との離型性がよく且つ水性インク受容層との接着性に優れた樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート，ポリブチルメタクリレート，ポリエチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂が使用される。耐水性樹脂層はカード素材に転写された際にインクジェット印刷層が形成された水性インク受容層を保護する層となるので、耐水性、耐磨耗性に優れたものが使用される。また、耐水性樹脂に必要に応じてワックス、シリコーンオイル、シリカ微粉末、界面活性剤が添加される。
【００２０】
熱転写シートに使用される水性インク受容層としては、例えば、特開平５−２２９２４６号公報に記載されているような、重合性二重結合を有する化合物の重合体によって変性されたポリエステル樹脂水分散体であり、その重合体中に不飽和カルボン酸アミド及び／又はその誘導体の中から選ばれた１種又は２種以上を共重合した組成からなるもの、特開平７−２９９９５９号公報に記載されているような、平均粒子径が０．０５〜０．５０μｍ、０．０３〜１．０μｍの粒子径の粒度分布が９０％以上、酸価が５〜１００ｍｇＫＯＨ／ｇ、ガラス転移温度（Ｔｇ）が４０〜１３０℃の非造膜性のポリアクリル酸エステルエマルジョンと、平均粒子径が３．５〜１０．０μｍ、１．５〜２０．０μｍの粒子径の粒度分布が９０％以上、吸油量が１００〜２５０ｍｌ／ｇ、１３０〜１８０Åの細孔径を有する無定形シリカとを、充填剤として含有している組成からなるもの等を使用することができる。上記のような組成物を、熱転写シートを構成する耐水性樹脂層面に６〜１０μｍの厚さとなるようにコーティングして水性インク受容層を形成する。水性インク受容層としては、高松油脂（株）製ＮＳ−６２０Ｘ、日本化工塗料（株）製ＦＷ−８２８等を使用することかできる。
【００２１】
カード基材として使用できる樹脂は、剛性があり強度的に優れた熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ＰＥＴ−Ｇ等の共重合ポリエステル樹脂、ＡＢＳ樹脂等が使用できる。カード基材は白色に着色されたものや白色ベタ印刷されたものが一般的に使用される。
【００２２】
カード基材に積層される熱接着性樹脂層又は隠蔽性熱接着性樹脂層を形成する樹脂としては、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が使用される。隠蔽性熱接着性樹脂層を形成する樹脂には上記の樹脂にアルミニウムフレーク，アルミニウム粉末を一定量添加した隠蔽性を有する樹脂が使用される。
【００２３】
熱転写シートは、２５μｍの２軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる熱転写シート基材に、日本化工塗料製ＡＶＥ−３２０を塗布量が１ｇ／ｍ2 となるようにグラビアリバース方式でコーテイングし１３０℃３０秒乾燥させて離型層を形成し、離型層面に日本化工塗料製ＦＡ−２１５を塗布量が３ｇ／ｍ2 となるようにグラビアリバース方式でコーテイングし１５０℃で３０秒乾燥させて耐水性樹脂層を形成し、耐水性樹脂層面に日本化工塗料製ＦＷ−８２８を塗布膜厚８μｍとなるように塗布してインクジェット受像層を形成し、インクジェット受像層面に、市販のインクジェットプリンター（ＥＰＳＯＮ製；型番ＰＸ−Ｇ９２０）を使用して画像を印刷することにより製造される。一方、ポリ塩化ビニルからなるカード基材面に塩酢ビ系樹脂をスクリーン印刷にて印刷し４０℃で３０分間乾燥させて熱接着性樹脂層を形成してカード素材を作製する。得られたカード素材の熱接着性樹脂層面に、熱転写シートのインクジェットプリンターにより画像が形成されたインクジェット受像層面を重ね合わせて、ロール表面を２００〜２３０℃に加熱したシリコーンゴム転写ロールと支持ロール間を、線圧１〜２ｋｇ／ｃｍ、速度２〜３ｍ／分で熱プレスして転写し、転写シート基材と離型層を剥離することにより、インクジェット画像を形成した耐水性に優れたカードが得られる。
【図面の簡単な説明】
【００２４】
【図１】本発明のカードの第１実施形態の積層構成を示す断面図。
【図２】本発明のカードの第２実施形態の積層構成を示す断面図。
【図３】実施形態のカードの製造に使用する熱転写シートを示す断面図。
【図４】第１実施形態のカードの製造に使用するカード素材を示す断面図。
【図５】第２実施形態のカードの製造に使用するカード素材を示す断面図。
【図６】第１実施形態のカードを製造する際の熱転写工程を示す断面図。
【図７】第１実施形態のカードを製造する際の熱転写工程において熱転写シート基材と離型層を剥離する状態を示す断面図。
【符号の説明】
【００２５】
１ 熱転写シート ２，2' カード素材
11 熱転写シート基材 21 カード基材
12 離型層 22 熱接着性樹脂層
13 耐水性樹脂層 22' 隠蔽性熱接着性樹脂層
14 水性インク受容層 23 磁気層
15 インクジェット印刷層
【技術分野】
【０００１】
本発明は、所有する個人の顔写真や希望する絵柄からなるオリジナル画像をインクジェット印刷方式により印刷されたカード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、水性インクを使用したインクジェット記録方式により画像を形成したカード及びその製造方法に関しては、例えば、基材と前記基材上に熱転写により転写された画像形成が可能な受像層とを具備するカード素材の受像層にインクジェット記録方式等により画像を形成することを特徴とするカードまたはカード素材及びその製造方法（例えば、特許文献１参照）、転写型画像形成シート材を被貼着体に貼着するための多孔質の接着剤層と、接着剤層を介してインクジェットプリンターからのインクを受容して定着するための接着剤下面に形成したインク受容層と、インク受容層を保護するためにインク受容層の下面に形成した透明なトップコート層と、トップコート層の下面に形成した透明な剥離コート層と、剥離コート層の下面に形成した基材シートからなる転写型画像形成シート材（例えば、特許文献２参照）等が知られている。
【特許文献１】特開平１０−２４４７８８号
【特許文献２】特開平９−２４０１９６号
【０００３】
しかしながら、前者の方法では、カード基材面に転写方式によりインクジェット記録方式等により画像を形成することができる受像層を形成したカード素材を使用してその受像層にインクジェット記録方式等により画像を形成する方法であるため、画像が形成された受像層は水系インクジェット受像層が露出した状態となるので、水に濡れると膨潤しやすく、また画像も滲みやすく、爪で擦る程度で受像層ごと剥がれやすいという欠点を有しており、耐水性、耐摩耗性をよくするには水系インクジェット受像層面にコーテイングまたはフィルムのラミネーションにより保護層を形成する必要があった。また、カード基材面上の受像層に直接インクジェット記録方式にて画像を形成するため、カード自体の異物付着や受像層の異物付着、ムラ、インクジェット印刷時の乾燥不良、インクの滲み等で不良が発生しやすいという問題がある。後者の方法では、インクジェットプリンターからのインクを受容して定着するためのインク受容層面に形成された多孔質の接着剤層面にインクジェットプリンターを使用して画像を形成し、形成した画像が多孔質の接着剤層を透過してインク受容層に定着させるものであるが、プラスチックフィルム等に熱接着させるための熱接着性樹脂からなる接着剤層の表面は水性インクの受容性がよくないので、接着剤層面に水性インクからなるインクジェットプリントにより鮮明な画像を形成するのが困難になるという欠点を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
本発明の目的は、画像をインクジェット印刷方式により形成して転写することにより、所有する個人の顔写真や自分の好みの図案や絵柄からなる耐水性及び耐摩耗性に優れたオリジナル画像を形成したカード、及び、製造枚数が少ないカードを簡単な工程で迅速に低コストで作製することができるカードの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
カード基材の一方の面に熱接着性樹脂層とインクジェット印刷層と水性インキ受容層と耐水性樹脂層が順に形成された構成のカードである。
【０００６】
カード基材と熱接着性樹脂層間に磁気層が形成された構成のカードである。
【０００７】
熱接着性樹脂層が隠蔽性熱接着性樹脂層である構成のカードである。
【０００８】
熱転写シート基材と離型層と耐水性樹脂層と水性インキ受容層とインクジェット印刷層が順に形成された構成の熱転写シートと、カード基材上に熱接着性樹脂層が形成されたカード素材を使用し、熱転写シートのインクジェット印刷層面とカード素材の熱接着性樹脂層面を重ね合わせて熱プレスした後、熱転写シート基材と離型層を剥離することにより、カード素材の熱接着性樹脂層面にインクジェット印刷層と水性インキ受容層と耐水性樹脂層を熱転写により形成する工程を備えたことを特徴とするカードの製造方法である。
【発明の効果】
【０００９】
本発明のカードでは、記号、文字、絵柄等からなるオリジナル画像をインクジェット印刷方式によりプリントしたインクジェット印刷層を有する熱転写シートを使用して熱転写によりカードに画像が形成されるので、所有する個人の顔写真や好みの図案や絵柄からなる任意のオリジナル画像を形成したオリジナルな個人専用カードとすることができる。また、インクジェット印刷層の耐水性、耐磨耗性の優れたカードとすることができる。
【００１０】
請求項２に係る発明では、磁気層を有する磁気カードとすることができる。
【００１１】
請求項３に係る発明では、隠蔽性熱接着性樹脂層により磁気層を隠蔽することができるので色彩効果のよい意匠性に優れた磁気カードとすることができる。
【００１２】
本発明の製造方法とすることにより、所有する個人の顔写真や自分の好みの図案や絵柄からなる耐水性、耐磨耗性の優れたオリジナル画像を有するカードを簡単な工程で迅速に低コストで作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図１は本発明のカードの第１実施形態の積層構成を示す断面図、図２は本発明のカードの第２実施形態の積層構成を示す断面図、図３は実施形態のカードの製造に使用する熱転写シートを示す断面図、図４は第１実施形態のカードの製造に使用するカード基材を示す断面図、図５は第２実施形態のカードの製造に使用するカード基材を示す断面図、図６は第１実施形態のカードを製造する際の熱転写工程を示す断面図、図７は第１実施形態のカードを製造する際の熱転写工程において熱転写シート基材と離型層を剥離する状態を示す断面図であって、１は熱転写シート、11は熱転写シート基材、12は離型層、13は耐水性樹脂層、14は水性インク受容層、15はインクジェット印刷層、２，2'はカード素材、21はカード基材、22は熱接着性樹脂層、22' は隠蔽性熱接着性樹脂層、23は磁気層を表す。
【００１４】
本発明の第１実施形態のカードは、図１に示すとおりであり、カード基材21と熱接着性樹脂層22が積層されたカード素材２の熱接着性樹脂層22面にインクジェット印刷層15と水性インク受容層14と耐水性樹脂層13が順に積層された構成である。インクジェット印刷層15は、各種の文字や記号やカードを所有する個人の顔写真や希望する絵柄等のオリジナル画像がインクジェット記録方式によりプリントされた印刷層である。
【００１５】
本発明の第２実施形態のカードは、図２に示すとおりであり、カード基材21と磁気層23と隠蔽性熱接着性樹脂層22' が積層されたカード素材2'の隠蔽性熱接着性樹脂層22' 面にインクジェット印刷層15と水性インク受容層14と耐水性樹脂層13が順に積層された構成であって、第２実施形態のカードは磁気カードとして使用できるものである。インクジェット印刷層15は、各種の文字や記号やカードを所有する個人の顔写真や希望する絵柄等のオリジナル画像がインクジェット記録方式によりプリントされた印刷層である。
【００１６】
第１、第２実施形態のカードを製造するために使用する熱転写シート１の構成は、図３に示すように、熱転写シート基材11面に離型層12と耐水性樹脂層13と水性インク受容層14とインクジェット印刷層15が順に形成された構成である。
【００１７】
第１実施形態のカードに使用するカード素材２は、図４に示すように、カード基材21と熱接着性樹脂層22が積層された構成であり、第２実施形態のカードに使用するカード素材2'は、図５に示すように、カード基材21と磁気層23と隠蔽性熱接着性樹脂層22' が積層された構成である。
【００１８】
熱転写シート１を使用してカード素材２に熱転写して第１実施形態のカードを作製するには、図６に示すように、カード素材２の熱接着性樹脂層22面に熱転写シート１のインクジェット印刷層15面を重ねて熱プレスした後に、図７に示すように、熱転写シート１の熱転写シート基材11と離型層12を剥離することにより、カード基材21と熱接着性樹脂層22からなるカード素材２の熱接着性樹脂層22面にインクジェット印刷層15と水性インク受容層14と耐水性樹脂層13が転写される。また、第２実施形態のカードを作製するには、図示しないが、カード基材21と磁気層23と隠蔽性熱接着性樹脂層22' からなるカード素材2'の隠蔽性熱接着性樹脂層22' 面に熱転写シート１のインクジェット印刷層15面を重ねて熱プレスした後に、熱転写シート１の熱転写シート基材11と離型層12を剥離することにより、カード素材2'の隠蔽性熱接着性樹脂層22' 面にインクジェット印刷層15と水性インク受容層14と耐水性樹脂層13が転写される。熱転写シート１を使用してカード素材２，2'にインクジェット印刷層15と水性インク受容層14と耐水性樹脂層13を転写するには、ロール状の熱転写シートを使用して熱ロールによりプレスする方法ないしは熱板によりプレスする方が使用される。
【００１９】
熱転写シートに使用される熱転写シート基材としては２軸延伸ポリエチレンテレフタレート等の耐熱性の優れたフィルムが一般的に使用される。離型層を形成する樹脂としては基材層との接着性が優れ且つ耐水性樹脂層との離型性のよい樹脂、例えば、ニトロセルロース，エチルセルロース，シセチルセルロース等のセルローズ系樹脂、又はこれらのセルローズ系樹脂とアクリル樹脂，メラミン樹脂，ポリエステル樹脂，エボキシ樹脂等の混合物が使用される。耐水性樹脂層としては、離型層との離型性がよく且つ水性インク受容層との接着性に優れた樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート，ポリブチルメタクリレート，ポリエチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂が使用される。耐水性樹脂層はカード素材に転写された際にインクジェット印刷層が形成された水性インク受容層を保護する層となるので、耐水性、耐磨耗性に優れたものが使用される。また、耐水性樹脂に必要に応じてワックス、シリコーンオイル、シリカ微粉末、界面活性剤が添加される。
【００２０】
熱転写シートに使用される水性インク受容層としては、例えば、特開平５−２２９２４６号公報に記載されているような、重合性二重結合を有する化合物の重合体によって変性されたポリエステル樹脂水分散体であり、その重合体中に不飽和カルボン酸アミド及び／又はその誘導体の中から選ばれた１種又は２種以上を共重合した組成からなるもの、特開平７−２９９９５９号公報に記載されているような、平均粒子径が０．０５〜０．５０μｍ、０．０３〜１．０μｍの粒子径の粒度分布が９０％以上、酸価が５〜１００ｍｇＫＯＨ／ｇ、ガラス転移温度（Ｔｇ）が４０〜１３０℃の非造膜性のポリアクリル酸エステルエマルジョンと、平均粒子径が３．５〜１０．０μｍ、１．５〜２０．０μｍの粒子径の粒度分布が９０％以上、吸油量が１００〜２５０ｍｌ／ｇ、１３０〜１８０Åの細孔径を有する無定形シリカとを、充填剤として含有している組成からなるもの等を使用することができる。上記のような組成物を、熱転写シートを構成する耐水性樹脂層面に６〜１０μｍの厚さとなるようにコーティングして水性インク受容層を形成する。水性インク受容層としては、高松油脂（株）製ＮＳ−６２０Ｘ、日本化工塗料（株）製ＦＷ−８２８等を使用することかできる。
【００２１】
カード基材として使用できる樹脂は、剛性があり強度的に優れた熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ＰＥＴ−Ｇ等の共重合ポリエステル樹脂、ＡＢＳ樹脂等が使用できる。カード基材は白色に着色されたものや白色ベタ印刷されたものが一般的に使用される。
【００２２】
カード基材に積層される熱接着性樹脂層又は隠蔽性熱接着性樹脂層を形成する樹脂としては、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が使用される。隠蔽性熱接着性樹脂層を形成する樹脂には上記の樹脂にアルミニウムフレーク，アルミニウム粉末を一定量添加した隠蔽性を有する樹脂が使用される。
【００２３】
熱転写シートは、２５μｍの２軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる熱転写シート基材に、日本化工塗料製ＡＶＥ−３２０を塗布量が１ｇ／ｍ2 となるようにグラビアリバース方式でコーテイングし１３０℃３０秒乾燥させて離型層を形成し、離型層面に日本化工塗料製ＦＡ−２１５を塗布量が３ｇ／ｍ2 となるようにグラビアリバース方式でコーテイングし１５０℃で３０秒乾燥させて耐水性樹脂層を形成し、耐水性樹脂層面に日本化工塗料製ＦＷ−８２８を塗布膜厚８μｍとなるように塗布してインクジェット受像層を形成し、インクジェット受像層面に、市販のインクジェットプリンター（ＥＰＳＯＮ製；型番ＰＸ−Ｇ９２０）を使用して画像を印刷することにより製造される。一方、ポリ塩化ビニルからなるカード基材面に塩酢ビ系樹脂をスクリーン印刷にて印刷し４０℃で３０分間乾燥させて熱接着性樹脂層を形成してカード素材を作製する。得られたカード素材の熱接着性樹脂層面に、熱転写シートのインクジェットプリンターにより画像が形成されたインクジェット受像層面を重ね合わせて、ロール表面を２００〜２３０℃に加熱したシリコーンゴム転写ロールと支持ロール間を、線圧１〜２ｋｇ／ｃｍ、速度２〜３ｍ／分で熱プレスして転写し、転写シート基材と離型層を剥離することにより、インクジェット画像を形成した耐水性に優れたカードが得られる。
【図面の簡単な説明】
【００２４】
【図１】本発明のカードの第１実施形態の積層構成を示す断面図。
【図２】本発明のカードの第２実施形態の積層構成を示す断面図。
【図３】実施形態のカードの製造に使用する熱転写シートを示す断面図。
【図４】第１実施形態のカードの製造に使用するカード素材を示す断面図。
【図５】第２実施形態のカードの製造に使用するカード素材を示す断面図。
【図６】第１実施形態のカードを製造する際の熱転写工程を示す断面図。
【図７】第１実施形態のカードを製造する際の熱転写工程において熱転写シート基材と離型層を剥離する状態を示す断面図。
【符号の説明】
【００２５】
１ 熱転写シート ２，2' カード素材
11 熱転写シート基材 21 カード基材
12 離型層 22 熱接着性樹脂層
13 耐水性樹脂層 22' 隠蔽性熱接着性樹脂層
14 水性インク受容層 23 磁気層
15 インクジェット印刷層
【特許請求の範囲】
【請求項１】
カード基材上に熱接着性樹脂層とインクジェット印刷層と水性インキ受容層と耐水性樹脂層が順に形成された構成からなることを特徴とするカード。
【請求項２】
前記カード基材と前記熱接着性樹脂層間に磁気層が形成された構成からなることを特徴とする請求項１記載のカード。
【請求項３】
前記熱接着性樹脂層が隠蔽性熱接着性樹脂層である構成からなることを特徴とする請求項２記載のカード。
【請求項４】
熱転写シート基材と離型層と耐水性樹脂層と水性インキ受容層とインクジェット印刷層が順に形成された構成の熱転写シートと、カード基材上に熱接着性樹脂層が形成されたカード素材を使用し、熱転写シートのインクジェット印刷層面とカード素材の熱接着性樹脂層面を重ね合わせて熱プレスした後、熱転写シート基材と離型層を剥離することにより、カード素材の熱接着性樹脂層面にインクジェット印刷層と水性インキ受容層と耐水性樹脂層を熱転写により形成する工程を備えたことを特徴とするカードの製造方法。
【請求項１】
カード基材上に熱接着性樹脂層とインクジェット印刷層と水性インキ受容層と耐水性樹脂層が順に形成された構成からなることを特徴とするカード。
【請求項２】
前記カード基材と前記熱接着性樹脂層間に磁気層が形成された構成からなることを特徴とする請求項１記載のカード。
【請求項３】
前記熱接着性樹脂層が隠蔽性熱接着性樹脂層である構成からなることを特徴とする請求項２記載のカード。
【請求項４】
熱転写シート基材と離型層と耐水性樹脂層と水性インキ受容層とインクジェット印刷層が順に形成された構成の熱転写シートと、カード基材上に熱接着性樹脂層が形成されたカード素材を使用し、熱転写シートのインクジェット印刷層面とカード素材の熱接着性樹脂層面を重ね合わせて熱プレスした後、熱転写シート基材と離型層を剥離することにより、カード素材の熱接着性樹脂層面にインクジェット印刷層と水性インキ受容層と耐水性樹脂層を熱転写により形成する工程を備えたことを特徴とするカードの製造方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００６−２０５４８９（Ｐ２００６−２０５４８９Ａ）
【公開日】平成１８年８月１０日（２００６．８．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１９２２５（Ｐ２００５−１９２２５）
【出願日】平成１７年１月２７日（２００５．１．２７）
【出願人】（０００００２８９７）大日本印刷株式会社 (14,506)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年８月１０日（２００６．８．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年１月２７日（２００５．１．２７）
【出願人】（０００００２８９７）大日本印刷株式会社 (14,506)
【Ｆターム（参考）】
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