説明

カード用コネクタ

【課題】カードの種類を識別し、カードを上下に振分ける揺動板部材と、上下に振分けられたカードの通路の底板又は天板となる上下動板部材とを有することによって、構造が簡素でコストを低くすることができ、小型化することができ、複数種類のカードを容易に、かつ、確実に装填(てん)することができるようにする。
【解決手段】第2接続端子よりも挿入開口寄りの位置においてハウジングに揺動可能に取付けられ、第1カードと第2カードとを識別して、各々を上方と下方とに振分ける揺動板部材と、ハウジングの揺動板部材よりも挿入開口と反対側寄りの位置においてハウジングに上下動可能に取付けられ、第1カードの通路の底板及び第2カードの通路の天板となる上下動板部材とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant:個人用携帯情報端末)、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音楽プレーヤ、ゲーム機、車両用ナビゲーション装置等の電子機器においては、SIM(Subscriber Identity Module)カード、MMC(R)(Multi Media Card)、SD(R)(Secure Digital)カード、miniSD(R)カード、xDピクチャーカード(R)(xD−Picture card)、メモリスティック(R)、メモリスティックDuo(R)、スマートメディア(R)等の各種メモリカードを利用するために、カード用コネクタを備えている。
【0003】
近年、メモリカードは、電子機器の急速な小型化に伴って、急速に小型化される傾向にある。そのため、一種類のメモリカードだけでなく、より小型化されたメモリカードにも対応することができる、いわゆる2イン1タイプのカード用コネクタが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0004】
図19は従来のカード用コネクタを示す図である。
【0005】
図において、302は大型メモリカードであり、303は小型メモリカードである。そして、カード用コネクタは、ハウジング304、該ハウジング304に取付けられる端子セット305、及び、ハウジング304の上面を覆うようにハウジング304に取付けられるシェル310を有する。ここで、前記端子セット305は、大型メモリカード302のパッドと接触する第1接続端子306、小型メモリカード303のパッドと接触する第2接続端子307、並びに、大型メモリカード302及び小型メモリカード303の側面を両側から弾性的に把持するレバー部材308を備える。また、前記ハウジング304は、大型メモリカード302及び小型メモリカード303の上面に当接して下方に付勢する付勢部材311を備える。
【0006】
そして、前記カード用コネクタは、図における左下端に開口を備え、該開口から大型メモリカード302及び小型メモリカード303を挿入して装填(てん)するようになっている。なお、カード用コネクタに装填された状態において、大型メモリカード302の後端が前記開口から突出する量と、小型メモリカード303の後端が前記開口から突出する量とは等しくなる。そして、大型メモリカード302の先端近傍に配設されたパッドは、カード用コネクタの奥寄りに位置する第1接続端子306と接触し、小型メモリカード303の先端近傍に配設されたパッドは、カード用コネクタの開口寄りに位置する第2接続端子307と接触する。
【0007】
このようにして、カード用コネクタには、大型メモリカード302及び小型メモリカード303を装填することができる。
【特許文献1】特開2004−311416号公報
【特許文献2】実用新案登録第3105276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来のカード用コネクタは、挿入されたメモリカードの種類を識別し、種類に応じた位置にメモリカードを案内する識別案内機構を有していないので、メモリカードがカード用コネクタ内の不適切な位置に挿入されてしまい、電気的に適切に接続されなかったり、カード用コネクタの部材を損傷したりしてしまうことがある。また、前記従来のカード用コネクタは、メモリカードを挿入する際にも取外す際にもメモリカードを押込むように操作するプッシュ/プッシュ構造を有していないので、使い勝手の悪いものになっている。
【0009】
もっとも、特許文献1に示されるように、識別案内機構及びプッシュ/プッシュ構造を有する2イン1タイプのカード用コネクタも提案されている。しかし、この場合、部品点数が多く、構造が複雑になり、大型化し、重量が増加してしまう。そのため、小型化された電子機器に実装することが困難になってしまう。
【0010】
本発明は、前記従来のカード用コネクタの問題点を解決して、カードの種類を識別し、カードを上下に振分ける揺動板部材と、上下に振分けられたカードの通路の底板又は天板となる上下動板部材とを有することによって、構造が簡素でコストを低くすることができ、小型化することができ、複数種類のカードを容易に、かつ、確実に装填することができるカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、本発明のカード用コネクタにおいては、外形寸法が互いに相違する第1カード及び第2カードが挿入される挿入開口と、前記第1カード及び第2カードを収容するハウジングと、前記挿入開口と反対側寄りの位置に配設され、前記第1カードのカード側接続端子と接触する第1接続端子と、該第1接続端子よりも挿入開口寄りの位置に配設され、前記第2カードのカード側接続端子と接触する第2接続端子と、前記第1カード及び第2カードを挿入方向と反対の方向に付勢する付勢部材を備え、前記第1カード及び第2カードをロック位置で停止させるとともに、前記第1カード及び第2カードを挿入方向に押込むプッシュ動作によって第1カード及び第2カードが挿入方向に移動して終端点まで到達すると、前記付勢部材の付勢力によって、前記第1カード及び第2カードを終端点から挿入方向と反対の方向に移動させて排出するカード案内機構とを有するカード用コネクタであって、前記第2接続端子よりも挿入開口寄りの位置においてハウジングに揺動可能に取付けられ、前記第1カードと第2カードとを識別して、各々を上方と下方とに振分ける揺動板部材と、前記ハウジングの揺動板部材よりも挿入開口と反対側寄りの位置においてハウジングに上下動可能に取付けられ、前記第1カードの通路の底板及び第2カードの通路の天板となる上下動板部材とを有する。
【0012】
本発明の他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記揺動板部材は、初期状態において該揺動板部材の揺動を不能とするストッパーを備え、該ストッパーは挿入開口からの第1カードの挿入によって解除され、前記揺動板部材の揺動を可能とする。
【0013】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記揺動板部材は、初期状態に戻るように付勢部材によって付勢されている。
【0014】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記揺動板部材は平板状のゲート部を備え、該ゲート部は、初期状態においてハウジングの挿入開口と反対側に向けて斜め下方に傾斜し、前記揺動板部材が初期状態から揺動すると、上方に移動して挿入方向と平行になる。
【0015】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記揺動板部材は挿入方向に関する中心位置を揺動中心として揺動し、前記ストッパーは揺動中心より挿入開口寄りに位置し、前記ゲート部は揺動中心より挿入開口と反対側寄りに位置する。
【0016】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記第1カードの挿入方向先端が前記ゲート部に当接すると、前記揺動板部材が初期状態から揺動し、前記ゲート部は上方に移動して前記第1カードの通路の天板となり、前記第2カードの挿入方向先端が前記ゲート部に当接すると、前記揺動板部材が初期状態から揺動せず、前記ゲート部は前記第2カードを斜め下方にガイドする。
【0017】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記上下動板部材は、該上下動板部材を上方に付勢する付勢部材、及び、平板状の受圧部を備え、初期状態において前記付勢部材によって付勢させられて、前記受圧部が第2カードの通路の天板となる。
【0018】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記受圧部は前記第2接続端子の上方に位置する。
【0019】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記上下動板部材は、前記第1カードの挿入方向先端の下端縁に形成された面取部が受圧部の挿入開口側の端縁に当接すると下方に移動し、前記受圧部が第1カードの通路の底板となる。
【0020】
本発明の更に他のカード用コネクタにおいては、さらに、前記第1カードの挿入によって揺動した前記揺動板部材の挿入開口と反対側の端縁は、上方に移動し、前記上下動板部材の挿入開口側の端縁との間に、前記第1カードの厚さ寸法よりも小さな上下方向の寸法を備える(すき)を生じさせる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、カード用コネクタは、カードの種類を識別し、カードを上下に振分ける揺動板部材と、上下に振分けられたカードの通路の底板又は天板となる上下動板部材とを有する。そのため、構造が簡素でコストを低くすることができ、小型化することができ、複数種類のカードを容易に、かつ、確実に装填することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタを示す斜視図、図2は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタのシェルを取除いた状態を示す斜視図、図3は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタのシェルを取除いた状態を示す上面図、図4は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタのハウジングを示す斜視図、図5は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタのチェンジャーを示す斜視図、図6は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタのインナーシェルを示す斜視図である。
【0024】
図において、10は本実施の形態におけるカード用コネクタであり、図示されない電子機器に取付けられた回路基板14の表面に実装されている。そして、前記カード用コネクタ10の内部には後述される第1カード51a及び第2カード51bが装填され、前記カード用コネクタ10を介して、前記電子機器に第1カード51a及び第2カード51bが装着される。ここで、前記カード用コネクタ10は、いわゆる2イン1タイプであり、第1カード51a又は第2カード51bを排他的に装填することができる。なお、前記電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音楽プレーヤ、ゲーム機、車両用ナビゲーション装置等であるが、いかなる種類の機器であってもよい。
【0025】
また、第1カード51a及び第2カード51bは、例えば、SIMカード、MMC(R)、SD(R)カード、miniSD(R)カード、xDピクチャーカード(R)、メモリスティック(R)、メモリスティックDuo(R)、スマートメディア(R)等のICカードであり、いかなる種類のカードであってもよいが、本実施の形態においては、それぞれ、メモリスティック(R)及びメモリスティックDuo(R)であるものとして説明する。なお、メモリスティック(R)の外形寸法は、長さ50〔mm〕、幅21.5〔mm〕、厚さ2.8〔mm〕であり、メモリスティックDuo(R)の外形寸法は、長さ31〔mm〕、幅20〔mm〕、厚さ1.6〔mm〕である。この場合、第1カード51aは、第2カード51bよりも外形寸法が大きく、特に、長さ及び厚さにおいてかなり大きくなっているが、幅においてもわずかに大きくなっている。そして、挿入方向先端近傍の裏面に配設されたコンタクトパッド、すなわち、カード側接続端子の数及び配列の形態は、第1カード51aと第2カード51bとにおいて同様である。なお、第1カード51a及び第2カード51bを統合的に説明する場合には、カード51として説明する。
【0026】
また、本実施の形態において、カード用コネクタ10の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、カード用コネクタ10又はその部品が図に示される姿勢である場合に適切であるが、カード用コネクタ10又はその部品の姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0027】
ここで、前記カード用コネクタ10は、図1に示されるように、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に成形されたカード51を収容するハウジング11と、金属等の導電性材料から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施すことによって成形され、ハウジング11の上側に取付けられたシェル12とを有する。前記カード用コネクタ10は、概略、扁(へん)平な直方体形状を備え、前記電子機器に取付けられ、前方(図1における右下方)からカード51が挿入される。なお、前記シェル12には、カード51が挿入される挿入開口を閉止するシャッタ板13が、回動軸13aを介して、回転可能に取付けられている。該回動軸13aには、渦巻状のトルクばね等から成る図示されないシャッタスプリングが配設され、該シャッタスプリングによって、前記シャッタ板13は、挿入開口を閉止する方向に付勢されている。そして、カード用コネクタ10にカード51が挿入される際には、カード用コネクタ10の利用者の手指等によってカード51を挿入開口に押込む力がシャッタスプリングの付勢力に打勝つので、シャッタ板13は、回動軸13aを中心に回転し、挿入開口を開放する。
【0028】
また、図2及び3には、説明のためにシェル12を除去した状態のカード用コネクタ10が示されている。そして、図2及び3に示されるように、ハウジング11には、第1カード51aと第2カード51bとを識別して、各々を上方と下方とに振分ける揺動板部材としてのチェンジャー21、該チェンジャー21によって上下に振分けられた第1カード51aの通路の底板及び第2カード51bの通路の天板となる上下動板部材としてのインナーシェル31、及び、コネクタ側接続端子としての端子15が取付けられている。
【0029】
図4に示されるように、ハウジング11は、前縁側(図4における右下側)が略U字状に切取られた形状を備える底壁部11a、該底壁部11aの後縁に沿って延在し、底壁部11aから立設する後壁部11b、底壁部11aの一方の側縁に沿って前後方向に延在する側壁部としての第1側壁部11c、及び、底壁部11aの他方の側縁に沿って前後方向に延在する側壁部としての第2側壁部11eを有する。そして、底壁部11a、後壁部11b、第1側壁部11c及び第2側壁部11eとシェル12とによって、カード51の少なくとも前端を含む一部を収容するためのカード用コネクタ10のカード収容空間が画定される。
【0030】
なお、前記底壁部11aは、後縁寄りの部分の板厚が前縁寄りの部分の板厚より厚く、後縁寄りの部分の上面が前縁寄りの部分の上面より高くなっている。そして、前記底壁部11aの後縁寄りの部分の上面には、前後方向に延在するように形成された端子装填溝11fが複数本形成されている。また、前記後壁部11bには、該後壁部11bを前後方向に貫通する端子装填孔(こう)11gが複数個形成されている。そして、各端子装填溝11fと各端子装填孔11gとは互いに連通し、各端子装填溝11fには端子15の本体部が挿入されて取付けられ、各端子装填孔11gには端子15の根本部が挿入されて取付けられている。
【0031】
ここで、端子15は、図2及び3に示されるように、金属製の板材から成る細長い帯状の部材であり、根本部の後端が後壁部11bから後方に向けて突出するソルダーテール部15cになっている。該ソルダーテール部15cは、回路基板14に形成された信号線、コンタクトパッド、端子等、すなわち、相手側端子部材にはんだ付されて電気的に接続される。また、端子15の本体部は、後壁部11bから前方に向けて延在し、本体部の先端には、前縁に向けて斜め上方に延在して底壁部11aの上面より上方に突出する第2接続端子としての第2接触部15bが形成されている。該第2接触部15bは、底壁部11aの前縁寄りの部分の上方に位置し、第2カード51bのカード側接続端子と接触するようになっている。この場合、第2接触部15bは、それ自体が弾性を備えるカンチレバーとして機能し、第2カード51bのカード側接続端子に弾性的に押付けられ、確実に接触する。
【0032】
また、本体部の後壁部11b寄りの部分には、先端が後壁部11bに向けて斜め上方に延在する第1接続端子としての第1接触部15aが形成されている。該第1接触部15aは、細長い帯状の本体部の中心を舌片状に切断して曲げることによって形成され、基端が本体部に接続されて先端が自由なカンチレバー形状を有する。そして、本体部は、第1接触部15aの前後で切断されることなく連続している。また、第1接触部15aは、それ自体が弾性を備えるカンチレバーとして機能し、第1カード51aのカード側接続端子に弾性的に押付けられ、確実に接触する。
【0033】
なお、底壁部11aの前縁寄りの部分における各第2接触部15bの下方には、接触部収容開口11hが各々形成され、該接触部収容開口11hの直前の位置には上方に突出する誤挿入防止用突起としての第2カード用誤挿入防止用突起11sが形成されている。第2カード51bが表裏又は前後逆向きで挿入されると、第2カード用誤挿入防止用突起11sが、第2カード51bに当接してその前進を阻止するので、第2接触部15bが損傷を受けることがない。また、第1接触部15aの直前の位置には、上方に突出する誤挿入防止用突起としての第1カード用誤挿入防止用突起11rが、端子装填溝11fを跨(また)ぐようにして形成されている。第1カード51aが表裏又は前後逆向きで挿入されると、第1カード用誤挿入防止用突起11rが、第1カード51aに当接してその前進を阻止するので、第1接触部15aが損傷を受けることがない。なお、第1カード用誤挿入防止用突起11r及び第2カード用誤挿入防止用突起11sは、必ずしもすべての端子15に対応する数だけ形成される必要はない。
【0034】
そして、図2及び3に示されるように、第1側壁部11cには、カード用コネクタ10内に挿入されたカード51を案内するためのカード案内機構の案内部材としてのカムスライダ41が前後方向にスライド可能に取付けられている。ここで、前記カード用コネクタ10は、カード用コネクタ10内にカード51を挿入する際にも、カード用コネクタ10内からカード51を排出する際にも、カード51を押込む動作を必要とする、いわゆる、プッシュインプッシュアウトタイプ、又は、プッシュ/プッシュタイプと通称されるものであるとする。そして、前記第1側壁部11cには、カムスライダ41を前方に向けて付勢するための部材であって、コイルスプリングから成る付勢部材45、及び、前記カムスライダ41と係合して該カムスライダ41の前方への移動を停止させるピン部材44が取付けられている。なお、前記付勢部材45の両端は、第1側壁部11cに形成された係止部11d及びカムスライダ41に係止されている。
【0035】
図5に示されるように、チェンジャー21は、金属製の板材に打抜加工、曲げ加工等を施して一体的に形成された部材であり、概略矩(く)形の平板状のゲート部22を有する。図示される例において、ゲート部22は、主として軽量化のために形成された開口部22aを備えているが、該開口部22aは省略することもできる。また、前記ゲート部22は、図2に示されるように、ハウジング11に取付けられた初期状態において、ハウジング11の後壁部11bに向けて斜め下方に傾斜するようになっている。
【0036】
そして、前記ゲート部22の後端(図5における左端)の左右両側には、前方に向けて延在する揺動腕としての第1腕部材23a及び第2腕部材23bが各々接続されている。前記第1腕部材23a及び第2腕部材23bは、ゲート部22がなす面と直交する面上を延在するように形成されている。さらに、前記第1腕部材23aの先端には、ハウジング11の第1側壁部11cに形成された第1チェンジャー支持軸11kに係合する第1腕係合部24aが形成され、前記第2腕部材23bの先端には、ハウジング11の第2側壁部11eに形成された図示されない第2チェンジャー支持軸に係合する第2腕係合部24bが形成されている。ここで、前記第1腕係合部24aは、円形の開口を備える環状部材であり、第1チェンジャー支持軸11kの周囲に回転可能に取付けられる。また、前記第2腕係合部24bは、下方部に切欠きを備える環状部材であり、第2チェンジャー支持軸の周囲に回転可能に取付けられる。これにより、チェンジャー21は、第1チェンジャー支持軸11k及び第2チェンジャー支持軸を中心として揺動可能に、ハウジング11に取付けられる。なお、図2に示されるように、第1チェンジャー支持軸11kには、渦巻状のトルクばね等から成るチェンジャースプリング27が配設され、該チェンジャースプリング27によって、前記チェンジャー21は、初期状態において、ゲート部22が後壁部11bに向けて斜め下方に傾斜する初期位置となるように付勢されている。
【0037】
また、前記第1腕部材23a及び第2腕部材23bには、更に前方に向けて延在する細長い帯状の形状を備えるストッパー支持部材としての第1ストッパー支持部材25a及び第2ストッパー支持部材25bが各々接続されている。さらに、第1ストッパー支持部材25a及び第2ストッパー支持部材25bの先端近傍には、ストッパーとしての第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bが各々形成されている。ここで、該第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bは、第1ストッパー支持部材25a及び第2ストッパー支持部材25bの本体部よりも下方に突出するとともに、内側に向けて互いに接近する方向に突出している。そのため、第1ストッパー突起26aと第2ストッパー突起26bとの間隔は、第1ストッパー支持部材25aの本体部と第2ストッパー支持部材25bの本体部との間隔よりも狭くなっている。また、第1ストッパー突起26aと第2ストッパー突起26bとの間隔は、図3に示されるように、ハウジング11に取付けられた初期状態において、第1カード51aの幅よりは狭く、第2カード51bの幅よりは広くなるように設定されている。そして、第1ストッパー支持部材25a及び第2ストッパー支持部材25bが弾性を備えるカンチレバーとして機能するので、第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bは第1カード51aの幅方向に弾性的に変位可能であり、第1ストッパー突起26aと第2ストッパー突起26bとの間隔を押広げることができる。
【0038】
ここで、第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bは、第1腕係合部24a及び第2腕係合部24bよりも前方に位置するので、チェンジャー21が揺動すると、ゲート部22の後端と反対の方向に移動する。すなわち、ゲート部22の後端が図2に示されるような初期位置から上方に移動すると、第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bは、図2に示されるような初期位置から下方に移動する。なお、第1腕係合部24a及び第2腕係合部24bの中心からゲート部22の後端縁までの距離と、第1腕係合部24a及び第2腕係合部24bの中心から第1腕部材23a及び第2腕部材23bの先端縁までの距離とはほぼ等しくなっている。すなわち、チェンジャー21は挿入方向に関する中心位置を揺動中心として揺動する。そのため、チェンジャー21が揺動する際に、ゲート部22の後端縁の上下方向の移動量と第1腕部材23a及び第2腕部材23bの先端縁の上下方向の移動量とが等しくなるので、チェンジャー21を収容するカード用コネクタ10の上下方向の寸法を短く、すなわち、厚さを薄くすることができる。
【0039】
図3及び4に示されるように、ハウジング11は、先端のカード誘い用テーパ部11o及び11zを除いて、第1側壁部11c及び第2側壁部11eに沿って前縁から後方に向けて延在する第1カード51aの裏面ガイド部としてのカード裏面第1ガイド部11m及びカード裏面第2ガイド部11nを有する。前記カード裏面第1ガイド部11m及びカード裏面第2ガイド部11nは、板厚が底壁部11aにおける後縁寄りの部分の板厚より薄く、前縁寄りの部分の板厚より厚く、上面が底壁部11aにおける後縁寄りの部分より低く、前縁寄りの部分より高くなっている。
【0040】
そして、前記カード裏面第1ガイド部11m及びカード裏面第2ガイド部11nの上面には、ストッパー待避部としての第1ストッパー収容凹部11p及び第2ストッパー収容凹部11qが各々形成されている。図3に示されるように、前記第1ストッパー収容凹部11p及び第2ストッパー収容凹部11qは、各々、第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bの横断面に対応する形状の開口を備え、第1カード51aによって互いの間隔が押広げられた状態における第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bの位置に対応する位置に形成されている。そのため、初期状態においては、第1ストッパー突起26aと第2ストッパー突起26bとの間隔が狭くなっているので、チェンジャー21を揺動させてゲート部22の後端を上方に移動させようとしても、第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bの下面がカード裏面第1ガイド部11m及びカード裏面第2ガイド部11nの上面に当接して、それ以上下方に移動することができず、チェンジャー21の揺動が停止させられることになる。
【0041】
しかし、幅が広い第1カード51aをカード用コネクタ10に挿入して第1ストッパー突起26aと第2ストッパー突起26bとの間を通過させると、第1カード51aの両側面に当接した第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bは、互いの間隔が押広げられた状態になり、第1ストッパー収容凹部11p及び第2ストッパー収容凹部11qの上方にまで変位する。この状態で、チェンジャー21を揺動させてゲート部22の後端を上方に移動させると、第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bが第1ストッパー収容凹部11p及び第2ストッパー収容凹部11qの中に各々収容されて下方に移動する。そのため、チェンジャー21の揺動が停止させられることがなく、ゲート部22の後端を上方に移動させることができる。
【0042】
また、前記カード裏面第1ガイド部11m及びカード裏面第2ガイド部11nの上面には、前縁から後方に向けて延在するカード側面第1ガイド壁11t及びカード側面第2ガイド壁11uが立設されている。前記カード側面第1ガイド壁11t及びカード側面第2ガイド壁11uは、互いの間隔が第1カード51aの幅とほぼ等しいかわずかに広い程度に設定され、第1カード51aの両側面のガイドとして機能する。そして、第1ストッパー支持部材25aの本体部及び第2ストッパー支持部材25bの本体部は、各々、カード側面第1ガイド壁11t及びカード側面第2ガイド壁11uの外側に配設されるが、カード側面第1ガイド壁11t及びカード側面第2ガイド壁11uの先端近傍には、切欠部が形成されており、第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bは、初期状態において、カード側面第1ガイド壁11t及びカード側面第2ガイド壁11uの切欠部11α及び11βから、各々、内側に向けて突出している。
【0043】
なお、前記カード裏面第1ガイド部11m及びカード裏面第2ガイド部11nの互いに対向する側面は、前縁から後方に向けて延在するカード側面第1ガイド部11v及びカード側面第2ガイド部11wとなっている。該カード側面第1ガイド部11v及びカード側面第2ガイド部11wは、互いの間隔が第1カード51aの幅より狭く、第2カード51bの幅とほぼ等しいかわずかに広い程度に設定され、第2カード51bの両側面のガイドとして機能する。
【0044】
図6に示されるように、インナーシェル31は、金属製の板材に打抜加工、曲げ加工等を施して一体的に形成された部材であり、概略矩形の平板状の受圧部32を有する。図示される例において、受圧部32は、主として軽量化のために形成された開口部32aを備えているが、該開口部32aは省略することもできる。また、受圧部32の両側端には、立設する第1側壁部33a及び第2側壁部33bが各々接続されている。そして、インナーシェル31がハウジング11に取付けられた状態において、インナーシェル31の第1側壁部33a及び第2側壁部33bの外側面は、ハウジング11の第1側壁部11c及び第2側壁部11eの内側面と摺接する。
【0045】
さらに、第1側壁部33a及び第2側壁部33bの先端(図6における右端)には、外方に向けて延在する第1先端壁部33c及び第2先端壁部33dが接続されている。なお、ハウジング11の第1側壁部11c及び第2側壁部11eには、図4に示されるように、先端側を向いて立設するインナーシェル第1ガイド部11x及びインナーシェル第2ガイド部11yが形成されている。そして、インナーシェル31がハウジング11に取付けられた状態において、インナーシェル31の第1先端壁部33c及び第2先端壁部33dの後側面は、ハウジング11のインナーシェル第1ガイド部11x及びインナーシェル第2ガイド部11yと摺接する。
【0046】
また、第1側壁部33a及び第2側壁部33bの上端縁には、先端が外方下向きに延在し、断面が倒立したU字状又はJ字状の第1係合片35a及び第2係合片35bが接続されている。なお、ハウジング11の第1側壁部11c及び第2側壁部11eは、図4に示されるように、上端に切欠きが形成されたインナーシェル第1係合部11i及びインナーシェル第2係合部11jを備える。そして、インナーシェル31がハウジング11に取付けられた状態において、インナーシェル31の第1係合片35a及び第2係合片35bは、ハウジング11のインナーシェル第1係合部11i及びインナーシェル第2係合部11jと係合する。
【0047】
さらに、第1先端壁部33c及び第2先端壁部33dの下端には、更に前方下方向に向けて延在する細長い帯状の形状を備えるインナーシェル付勢部材としての第1板ばね部材34a及び第2板ばね部材34bが各々接続されている。ここで、該第1板ばね部材34a及び第2板ばね部材34bは、弾性を備えるカンチレバーとして機能し、自由端である先端が受圧部32よりも下方に突出して、底壁部11aの前縁寄りの部分の上面に当接するようになっている。そのため、図2に示されるように、インナーシェル31がハウジング11に取付けられた初期状態において、インナーシェル31は、第1板ばね部材34a及び第2板ばね部材34bによって上方に付勢されて持上げられた状態となり、受圧部32の裏面が底壁部11aの前縁寄りの部分の上面から離間している。そして、初期状態において、受圧部32の先端縁は、チェンジャー21のゲート部22の後端縁とほぼ等しい高さに位置する。また、前後方向に関しても、受圧部32の先端縁とゲート部22の後端縁との隙間は極めて狭くなっている。さらに、図示されていないが、第1係合片35a及び第2係合片35bの下面も、インナーシェル第1係合部11i及びインナーシェル第2係合部11jの切欠きの上端から離間している。
【0048】
そして、初期状態において、受圧部32の裏面と底壁部11aの前縁寄りの部分の上面との距離は、第1カード51aの上下方向の寸法より短く、第2カード51bの上下方向の寸法とほぼ等しいかわずかに長い程度に設定されている。すなわち、受圧部32の裏面と底壁部11aの前縁寄りの部分の上面との間の隙間の厚さは、第1カード51aの厚さより薄く、第2カード51bの厚さとほぼ等しいかわずかに厚くなっている。そのため、初期状態における受圧部32の裏面と底壁部11aの前縁寄りの部分の上面との間の隙間に第2カード51bを挿入することができる。この場合、受圧部32は、第2カード51bを挿入する通路の天板として機能する。なお、インナーシェル31は、上方への動きがハウジング11に取付けられたシェル12によって規制されるので、図2に示される位置よりも上方に移動することがない。すなわち、初期状態において、インナーシェル31は上側に位置している。
【0049】
また、インナーシェル31は、第1板ばね部材34a及び第2板ばね部材34bによって上方に付勢されて持上げられた状態となっているので、第1板ばね部材34a及び第2板ばね部材34bの付勢力に打勝つ大きさの下向きの力が付与されると、下方に移動する。そして、インナーシェル31は下死点に位置しているとき、受圧部32の上面とシェル12の天板の下面との距離は、第1カード51aの上下方向の寸法とほぼ等しいかわずかに長い程度に設定されている。すなわち、受圧部32の上面とシェル12の天板の下面との間の隙間の厚さは、第1カード51aの厚さとほぼ等しいかわずかに厚くなっている。そのため、下方に移動させられた受圧部32の上面とシェル12の天板の下面との間の隙間に第1カード51aを挿入することができる。この場合、受圧部32は、第1カード51aを挿入する通路の底板として機能する。なお、第1側壁部33a及び第2側壁部33bは、互いの間隔が第1カード51aの幅とほぼ等しいかわずかに広い程度に設定され、第1カード51aの両側面のガイドとして機能する。
【0050】
次に、前記カムスライダ41の構成について詳細に説明する。
【0051】
図7は本発明の実施の形態におけるカムスライダを示す上方から観た斜視図、図8は本発明の実施の形態におけるカムスライダを示す下方から観た斜視図、図9は本発明の実施の形態におけるロック端子を示す斜視図である。
【0052】
図7に示されるように、カムスライダ41は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に成形されたスライダ部材42と、金属製の板材から成る細長い帯状の部材であるロック端子43とを有する。前記スライダ部材42は、前後方向に延在する細長い矩形の板状の本体部における後端(図7における右上端)に形成された肉厚の第1ブロック部42a、及び、該第1ブロック部42aより肉薄の第2ブロック部42cを有する。
【0053】
そして、前記第1ブロック部42aは、本体部の上面に対して垂直な側面であって、本体部の長軸方向に対して垂直で前方(図7における左下方)を向く面及び該面から前方斜め方向に延在する面から成る第1係合部としての第1突当て部42bを備える。該第1突当て部42bは、第1カード51aの挿入方向先端における左側角部の形状に対応した形状を備え、カード用コネクタ10内に挿入された第1カード51aの挿入方向先端における左側角部の前面及び側面が当接するようになっている。
【0054】
また、前記第2ブロック部42cは、本体部の上面に対して垂直な側面であって、本体部の長軸方向に対して垂直で前方を向く面から成る誤挿入防止面としての第1カード用誤挿入防止部42dを備える。第1カード51aが表裏又は前後逆向きで挿入された場合、ハウジング11の第1カード用誤挿入防止用突起11rが第1カード51aに当接してもその前進を阻止することができないときには、第1カード用誤挿入防止部42dが第1カード51aの前進を阻止するので、第1接触部15aが損傷を受けることがない。なお、前記第1カード用誤挿入防止部42dは、スライダ部材42の後端がハウジング11の後壁部11bに当接して、スライダ部材42がそれ以上後方に移動不能となった状態で、表裏又は前後逆向きで挿入された第1カード51aの前進を阻止する機能を十分に発揮する。また、第1カード51aの挿入方向先端における左側角部の裏面には、第2ブロック部42cに対応するような形状の凹部が形成されているので、第1カード51aが正しい向きで挿入された場合、第2ブロック部42cは前記凹部内に収容される。
【0055】
さらに、前記スライダ部材42は、本体部における前端から前方に突出する突出部42eを有する。また、前記スライダ部材42は、突出部42eの側方に形成された切欠部における本体部の上面に対して垂直な側面であって、本体部の長軸方向に対して垂直で前方を向く面から成る第2係合部としての第2突当て部42fを備える。該第2突当て部42fは、第2カード51bの挿入方向先端における左側角部の前面の下側部分が当接するようになっている。さらに、前記スライダ部材42は、突出部42eの先端における本体部の上面に対して垂直な側面であって、本体部の長軸方向に対して垂直で前方を向く面から成る第2係合部としての第3突当て部42hを備える。該第3突当て部42hは、第2カード51bの挿入方向先端における左側角部の裏面に形成された凹部の奥側の面が当接するようになっている。
【0056】
なお、前記第3突当て部42hは、第2カード用誤挿入防止部としても機能する。第2カード51bが表裏又は前後逆向きで挿入された場合、ハウジング11の第2カード用誤挿入防止用突起11sが第2カード51bに当接してもその前進を阻止することができないときには、第3突当て部42hが第2カード51bの前進を阻止するので、第2接触部15bが損傷を受けることがない。なお、前記第3突当て部42hは、スライダ部材42の後端がハウジング11の後壁部11bに当接して、スライダ部材42がそれ以上後方に移動不能となった状態で、表裏又は前後逆向きで挿入された第2カード51bの前進を阻止する機能を十分に発揮する。
【0057】
また、前記スライダ部材42は、本体部後端において第1ブロック部42aの側方に形成されたカムブロック部42iを有する。そして、該カムブロック部42iは、上面に形成されたカム溝42qを備え、該カム溝42qと係合するピン部材44と協働することによって、カード51とともに移動するスライダ部材42にプッシュ/プッシュの動作を行わせるようになっている。なお、前記ピン部材44は、一端がカム溝42qと係合し、他端がハウジング11の後壁部11bに係合している。また、前記カムブロック部42iのようなプッシュ/プッシュの動作を行うためのカム機構は従来周知であるので、その説明を省略する。さらに、前記カムブロック部42iの前端には、付勢部材45の一端が係止される係止部42pが形成されている。
【0058】
図9に示されるように、ロック端子43は、前後方向に延在する細長い帯状の本体部43a、該本体部43aの後端部から前方に向けて延在する細長いカンチレバー状の第1レバー部43b、及び、本体部43aの前端部から更に前方に向けて延在する細長いカンチレバー状の第2レバー部43cを有する。そして、第1レバー部43bは本体部43aに対してほぼ直角になるように曲げられ、スライダ部材42の本体部の上面と平行となっている。また、第1レバー部43bの前端には、上方に突出する第1ロック作用部43dが形成され、第2レバー部43cの前端には、内側で側方に、例えば、山形に突出する第2ロック作用部43eが形成されている。なお、第1レバー部43b及び第2レバー部43cが弾性を備えるカンチレバーとして機能するので、第1ロック作用部43d及び第2ロック作用部43eは弾性的に変位可能である。また、第1レバー部43bの後端及び側面には、スライダ部材42と係合するために、上方に突出する第1圧入突起43g及び第2圧入突起43fが接続されている。
【0059】
そして、スライダ部材42の裏面には、図8に示されるように、ロック端子収容凹部42kが形成されており、ロック端子43は、第1レバー部43b及び本体部43aの一部がロック端子収容凹部42k内に収容されるようにして、スライダ部材42に取付けられる。また、スライダ部材42の第1ブロック部42a及び第2ブロック部42cには第1圧入凹部42m及び第2圧入凹部42nが各々形成されており、ロック端子43は、第1圧入突起43g及び第2圧入突起43fが第1圧入凹部42m及び第2圧入凹部42nに各々圧入されて係止されることによって、スライダ部材42に固定される。さらに、該スライダ部材42の本体部にはロック用開口42jが形成されており、第1ロック作用部43dは、本体部の上面より上方に突出するように、ロック用開口42j内に収容されている。
【0060】
ここで、第1ロック作用部43dは、第1レバー部43bの弾性力によって付勢されているので、上下方向に弾性的に変位可能であり、カード用コネクタ10内に挿入された第1カード51aの裏面における挿入方向先端近傍の左側端に形成された係合用凹部と係合することができる。なお、該係合用凹部は第1カード51aの裏面から左側面に亘(わた)って連続する開口を備え、上方に突出する第1ロック作用部43dは第1カード51aの裏面の開口から係合用凹部内に進入して係合する。なお、第1ロック作用部43dは、第1カード51aの挿入方向先端における左側角部の前面及び側面が第1突当て部42bに当接した状態で係合用凹部と係合するようになっている。これにより、カムスライダ41は、第1カード51aを保持して、該第1カード51aとともに前後方向に移動することができる。
【0061】
また、第2ロック作用部43eは、第2レバー部43cの弾性力によって付勢されているので、左右方向に弾性的に変位可能であり、カード用コネクタ10内に挿入された第2カード51bの裏面における挿入方向先端近傍の左側端に形成された係合用凹部と係合することができる。なお、該係合用凹部は第2カード51bの裏面から左側面に亘って連続する開口を備え、側方に突出する第2ロック作用部43eは第2カード51bの左側面の開口から係合用凹部内に進入して係合する。なお、第2ロック作用部43eは、第2カード51bの挿入方向先端における左側角部の前面の下側部分が第2突当て部42fに当接し、挿入方向先端における左側角部の裏面に形成された凹部の奥側の面が第3突当て部42hに当接した状態で係合用凹部と係合するようになっている。これにより、カムスライダ41は、第2カード51bを保持して、該第2カード51bとともに前後方向に移動することができる。
【0062】
カムスライダ41に一端が係止された付勢部材45は、カムスライダ41をカード51の挿入方向と反対の方向、すなわち、前方に向けて付勢するようになっている。そして、前記カムスライダ41は、カード51を挿入方向に押込むプッシュ動作によってカード51が挿入方向に移動して終端点まで到達すると、前記付勢部材45の付勢力によって、前記カード51を終端点から挿入方向と反対の方向に移動させる。
【0063】
カード51をカード用コネクタ10に装填するためのプッシュ動作において、カムスライダ41は、利用者の手指等によってカード51に付与される力を受けることにより、カード51とともに移動し、カード用コネクタ10内を後壁部11bに向けて移動させられ、最も前進した位置である終端点に到達してフルストローク状態となる。続いて、利用者によってカード51に付与される力が解除されると、カムスライダ41及びカード51は、付勢部材45の反発力を受けて後壁部11bから離脱する向き、すなわち、カード用コネクタ10の挿入開口に向けて移動させられる。そして、カムスライダ41及びカード51は、カード用コネクタ10内でカード51をロックした状態で保持するロック位置で停止する。これにより、カード51がカード用コネクタ10内の所定の位置に装填される。
【0064】
また、カード51をカード用コネクタ10から排出するためのプッシュ動作において、カムスライダ41は、利用者の手指等によってカード51に付与される力を受けることにより、カード51とともに、ロック位置からカード用コネクタ10内を後壁部11bに向けて移動させられ、最も前進した位置である終端点に到達してフルストローク状態となる。続いて、利用者によってカード51に付与される力が解除されると、カムスライダ41及びカード51は、付勢部材45の反発力を受けて、カード用コネクタ10の挿入開口に向けて移動させられる。そして、ロック位置を通過し、カード51の挿入方向と反対の方向に向けて更に移動する。これにより、カード51がカード用コネクタ10から排出される。
【0065】
このようなプッシュ動作におけるカムスライダ41の動作は、カード51が第1カード51aである場合も第2カード51bである場合も同様である。すなわち、カムスライダ41は、第1カード51a及び第2カード51bに共用の装置である。
【0066】
ところで、ロック位置では、カムスライダ41がカード51を保持する機能を強化して、装填されたカード51がロック位置からずれないようにする、すなわち、カード51をロックすることが望ましい。
【0067】
ここで、該カード51が第1カード51aである場合、カムスライダ41が第1カード51aが保持する機能を強化することは、第1レバー部43bの弾性力を強くして、第1ロック作用部43dが第1カード51aの係合用凹部と係合する力を強くすることによって実現することができる。そして、第1レバー部43bの弾性力を強くすることは、第1レバー部43bの自由長を短くすることによって実現することができる。そこで、カムスライダ41がロック位置にあるときの第1レバー部43bの裏側に対応するハウジング11の箇所に、第1レバー部43bの下方向への変位を部分的に規制するための部材、例えば、第1レバー部43bの中間部の裏側に当接する突起のような部材を配設することが望ましい。
【0068】
また、カード51が第2カード51bである場合、カムスライダ41が第2カード51bが保持する機能を強化することは、第2レバー部43cの弾性力を強くして、第2ロック作用部43eが第2カード51bの係合用凹部と係合する力を強くすることによって実現することができる。そして、第2レバー部43cの弾性力を強くすることは、第2レバー部43cの自由長を短くすることによって実現することができる。そこで、カムスライダ41がロック位置にあるときの第2レバー部43cの裏側に対応するハウジング11の箇所に、第2レバー部43cの左方向への変位を部分的に規制するための部材、例えば、第2レバー部43cの中間部の裏側に当接する突起のような部材を配設することが望ましい。
【0069】
これにより、ロック位置では、カムスライダ41がカード51を保持する機能が強化され、カード51がロックされた状態となる。なお、該カード51がロックされた状態であっても、第1ロック作用部43d及び第2ロック作用部43eは変位することができるので、利用者が通常よりも強い力によってカード51をカード用コネクタ10の挿入開口に向けて引出そうとした場合には、カード51の保持が解除される。すなわち、カード51の無理抜きは許容されるようになっている。また、カムスライダ41がロック位置以外の位置にある場合、カムスライダ41は、常に、ある程度の保持力によってカード51を保持している。すなわち、仮保持機能を発揮している。そのため、カード用コネクタ10から排出するためのプッシュ動作によって、カード51がカード用コネクタ10から排出されたときでも、カード51は、カムスライダ41によって保持されているので、カード用コネクタ10の挿入開口から飛出してしまうことがない。なお、排出されたカード51は、仮保持されているだけなので、利用者が手指等によってカード用コネクタ10から取出すときは、力を入れる必要がなく、容易に取出すことができる。
【0070】
なお、ここでは、第1レバー部43bが本体部43aに対してほぼ直角になるように曲げられ、第1レバー部43bと第2レバー部43cとが互いに直交する2平面上に延在し、第1ロック作用部43dの突出方向及び変位方向と、第2ロック作用部43eの突出方向及び変位方向とが互いに直交するように形成されたロック端子43について説明したが、該ロック端子43は、第1レバー部43bと第2レバー部43cとが互いに平行な2平面上に延在し、第1ロック作用部43dの突出方向及び変位方向と、第2ロック作用部43eの突出方向及び変位方向とが同一方向となるように形成されたものであってもよい。さらに、ロック端子43がスライダ部材42と別個に形成された部材である場合について説明したが、ロック端子43はスライダ部材42と一体的に形成されたものであってもよい。例えば、スライダ部材42とロック端子43とを金属や合成樹脂によって一体成形することもできる。
【0071】
次に、前記構成のカード用コネクタ10の動作について説明する。まず、第1カード51aを挿入する場合の動作について説明する。
【0072】
図10は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタに外形寸法の大きなカードを挿入する前の状態を示す側面図、図11は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタに外形寸法の大きなカードを挿入する途中の状態を示す第1の側面図、図12は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタに外形寸法の大きなカードを挿入する途中の状態を示す第2の側面図、図13は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタに外形寸法の大きなカードを挿入する途中の状態を示す第3の側面図、図14は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタへの外形寸法の大きなカードの装填が完了した状態を示す上面図である。
【0073】
図10〜14は、説明のためにシェル12を除去した状態を示している。また、図10〜13は、部分的に断面を示している。そして、第1カード51aをカード用コネクタ10の挿入開口の手前に位置させて挿入する直前の状態が図10に示されている。なお、図示される例において、第1カード51aは、表裏又は前後逆向きでなく、カード用コネクタ10に対して、適切な向きとなっているものとする。すなわち、第1カード51aは、図10における右端近傍の下側の面に図示されないカード側接続端子が位置するような姿勢となっている。図10から、第1カード51aの挿入方向先端の下端縁には、面取部としての第1面取部52aが形成されていることが分かる。図示される例において、該第1面取部52aは、挿入方向先端から後方下向きに傾斜した傾斜平面であり、第1カード51aの幅方向に延在する。なお、前記第1面取部52aは、幅方向に延在する第1カード51aの挿入方向先端の下端縁の角を滑らかにする面であれば、いかなる形状の面であってもよく、例えば、いわゆるR面と称されるような曲面であってもよい。
【0074】
この場合、カード用コネクタ10は初期状態になっており、図10には示されていないシャッタ板13はシャッタスプリングによって付勢されて挿入開口を閉止し、チェンジャー21のゲート部22はチェンジャースプリング27によって付勢されてハウジング11の後壁部11bに向けて斜め下方に傾斜する初期位置にあり、インナーシェル31の受圧部32は第1板ばね部材34a及び第2板ばね部材34bによって付勢されて前記ゲート部22の後端縁と等しい高さにまで持上げられた初期位置にある。
【0075】
続いて、第1カード51aをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて移動させ、挿入開口からカード用コネクタ10のカード収容空間内に第1カード51aの挿入方向先端近傍を挿入した状態が図11に示されている。この状態において、第1カード51aの挿入方向先端はチェンジャー21のゲート部22の先端縁の直前に位置している。また、チェンジャー21の第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bは、第1カード51aの両側面に当接して、互いの間隔が押広げられ、ハウジング11のカード裏面第1ガイド部11m及びカード裏面第2ガイド部11nの上面に形成された第1ストッパー収容凹部11p及び第2ストッパー収容凹部11qの上方にまで変位する。すなわち、ストッパーは解除される。なお、第1カード51aの裏面は、カード裏面第1ガイド部11m及びカード裏面第2ガイド部11nの上面に当接してガイドされ、第1カード51aの両側面は、カード側面第1ガイド壁11t及びカード側面第2ガイド壁11uによってガイドされている。
【0076】
続いて、第1カード51aをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて更に移動させると、第1カード51aの挿入方向先端の上端縁が斜め下方に傾斜するゲート部22に当接し、該ゲート部22を上方に押圧する。この場合、ストッパーが解除され、チェンジャー21が揺動可能な状態になっているので、第1カード51aからゲート部22に付与される押圧力がチェンジャースプリング27の付勢力に打勝つと、チェンジャー21が揺動してゲート部22が上方に移動し、第1カード51aがゲート部22の下方を通過することができるようになる。なお、第1カード51aは、裏面がカード裏面第1ガイド部11m及びカード裏面第2ガイド部11nの上面に当接してガイドされているので、ゲート部22からの反力を受けても下方に移動することがない。また、チェンジャー21が揺動したことによって、第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bは、第1ストッパー収容凹部11p及び第2ストッパー収容凹部11qの中に各々収容されて下方に移動する。この際、第1カード51aは、ゲート部22によって、上方向への動きが規制されるとともに、上から付勢される。
【0077】
続いて、第1カード51aをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて更に移動させると、第1カード51aの挿入方向先端の第1面取部52aがインナーシェル31の受圧部32の前端縁に当接する。ここで、第1面取部52aの少なくとも上端は、初期位置にある受圧部32の位置よりも高い位置にある。そして、第1面取部52aが受圧部32の前端縁に当接した状態で第1カード51aを移動させると、第1面取部52aが後方下向きに傾斜しているので、受圧部32を下方に押付ける押圧力が生じる。なお、第1カード51aは、上面がゲート部22の裏面に当接してガイドされているので、受圧部32からの反力を受けても上方に移動することがない。そして、第1カード51aから受圧部32に付与される押圧力が第1板ばね部材34a及び第2板ばね部材34bの付勢力に打勝つと、図12に示されるように、受圧部32が下方に移動し、第1カード51aが受圧部32の上方を通過することができるようになる。すなわち、ゲート部22の後端縁と受圧部32の前端縁との間における第1カード51aの厚さ方向の隙間寸法は、第1カード51aの厚さ寸法よりも小さくなっている。このように構成することによって、後述のように、誤挿入を防止することができる。
【0078】
続いて、第1カード51aをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて更に移動させると、図13に示されるように、第1カード51aは、その裏面が下方に移動させられた受圧部32の上面に当接してガイドされる。この場合、受圧部32の裏面とハウジング11における底壁部11aの前縁寄りの部分の上面との間に隙間が生じ、該隙間に第2接触部15bが位置している。しかし、インナーシェル31が下死点に位置しており、第1係合片35a及び第2係合片35bがハウジング11のインナーシェル第1係合部11i及びインナーシェル第2係合部11jと係合しているので、受圧部32はそれ以上下方に移動することがない。そのため、第2接触部15bは、受圧部32又は第1カード51aによって、下方に強く押圧されることがない。さらに、間に受圧部32が介在するので、第1カード51aが受圧部32上を通過する際に、第2接触部15bが第1カード51aの裏面に接触することがない。そのため、第2接触部15bが第1カード51aの裏面と干渉することを防止することができ、第2接触部15bが損傷を受けることがない。
【0079】
続いて、第1カード51aをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて更に移動させると、第1カード51aの挿入方向先端における左側角部の前面及び側面がカムスライダ41の第1突当て部42bに当接し、第1カード51aの裏面における挿入方向先端近傍の左側端に形成された係合用凹部がカムスライダ41の第1ロック作用部43dと係合する。これにより、第1カード51aは、カムスライダ41によって仮保持された状態となり、該カムスライダ41とともに移動する。この場合、底壁部11aの第1接触部15aの直前の位置には第1カード用誤挿入防止用突起11rが配設されているが、第1カード51aの挿入方向先端において後方下向きに傾斜している第1面取部52aが第1カード用誤挿入防止用突起11rに当接するので、第1カード51aは第1カード用誤挿入防止用突起11rの上にスムーズに乗上げることができ、抵抗を受けることなく、移動することができる。
【0080】
続いて、第1カード51aをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて更に移動させると、カムスライダ41は、第1カード51aとともに移動し、最も前進した位置である終端点に到達してフルストローク状態となる。
【0081】
続いて、第1カード51aをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて移動させる力が解除されると、カムスライダ41及び第1カード51aは、付勢部材45の反発力を受けて後壁部11bから離脱する向き、すなわち、カード用コネクタ10の挿入開口に向けて移動させられる。そして、カムスライダ41及び第1カード51aは、カード用コネクタ10内で第1カード51aをロックした状態で保持するロック位置で停止する。これにより、第1カード51aは、図14に示されるように、カード用コネクタ10内の所定の位置に装填される。第1カード51aがカード用コネクタ10内に装填された状態において、端子15の第1接触部15aは、第1カード51aの挿入方向先端近傍の裏面に配設されたカード側接続端子と接触して、電気的に接続される。また、カムスライダ41がロック位置にあるので、カード51は、カムスライダ41によってロックされた状態となっており、前後方向に移動することが防止されている。
【0082】
このように、第1カード51aをカード用コネクタ10のカード収容空間内に挿入すると、チェンジャー21は、挿入されたカード51が外形寸法の大きな第1カード51aであることを識別して揺動し、第1カード51aをカード収容空間内の上側に振分け、インナーシェル31の上側の通路を通過させる。この場合、前記インナーシェル31は、上側の通路の底板となり、第1カード51aの通路を画定するとともに、第2接触部15bの損傷を防止する。
【0083】
また、カード用コネクタ10内に装填された第1カード51aを取出す場合には、第1カード51aをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて移動させる。カムスライダ41は、第1カード51aとともに移動し、最も前進した位置である終端点に到達してフルストローク状態となる。
【0084】
続いて、第1カード51aをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて移動させる力が解除されると、カムスライダ41及び第1カード51aは、付勢部材45の反発力を受けて、カード用コネクタ10の挿入開口に向けて移動させられる。そして、カムスライダ41は、図2及び3に示される初期位置まで戻ると停止する。この場合、第1カード51aは、カムスライダ41によって仮保持された状態となっているので、カムスライダ41とともに停止し、慣性によってカード用コネクタ10の外に飛出してしまうことがない。なお、第1カード51aは、仮保持されているだけなので、利用者が手指等によって挿入開口の方に引出すことにより、力を入れる必要がなく、容易にカード用コネクタ10から取出すことができる。
【0085】
この場合、チェンジャー21及びインナーシェル31は、第1カード51aが挿入開口の方に向けて移動するに伴い、第1カード51aを挿入する場合と逆の動作を行って、初期位置に復帰する。なお、カード用コネクタ10内に装填されたカムスライダ41によってロックされた状態となっている第1カード51aを利用者が通常よりも強い力によって無理矢理にカード用コネクタ10から引出した場合、すなわち、第1カード51aの無理抜きが行われた場合でも、チェンジャー21及びインナーシェル31は、第1カード51aが挿入開口の方に向けて移動するに伴い、第1カード51aを挿入する場合と逆の動作を行って、初期位置に復帰する。
【0086】
次に、第1カード51aが表裏又は前後逆向きで挿入された場合、すなわち、誤挿入された場合の動作について説明する。なお、前述した適切な向きとなっている第1カード51aを挿入する場合の動作と同じ動作については、説明を省略する。
【0087】
表裏又は前後逆向きで挿入された場合でも、第1カード51aをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて移動させると、チェンジャー21が揺動してゲート部22が上方に移動し、第1カード51aはゲート部22の下方を通過することができる。しかし、第1カード51aをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて更に移動させると、第1面取部52a以外の面、すなわち、上下方向に延在する垂直な面がインナーシェル31の受圧部32の前端縁に当接してしまう。そのため、第1カード51aは、受圧部32によって前進を阻止され、後壁部11bに向けてそれ以上移動することができず、第1接触部15aや第2接触部15bが損傷を受けることがない。この場合、第1カード51aを挿入する力が強くても、インナーシェル31全体がその前後方向に第1カード51aからの力を受けるので、受圧部32は、頑強な誤挿入防止部材として機能する。このように、インナーシェル31の受圧部32が誤挿入防止部材として機能し、第1カード51aの誤挿入が防止される。なお、受圧部32の前端縁は、両端部分に対して、中央部分が後壁部11bに向けて後退するように凹入した曲線状の端辺32bを形成する。これは、受圧部32が平板状の形状から変形して上方向又は下方向に突出するように変形した場合、すなわち、反り返った場合に、受圧部32の前端縁の中央部分が適切に第1カード51aに当接しなくなり得ることを考慮したためである。
【0088】
もっとも、何らかの原因によって、受圧部32が下方に移動し、第1カード51aが受圧部32の上方を通過することも考えられる。なお、この場合も、間に受圧部32が介在するので、第1カード51aが受圧部32の上方を通過する際に、第2接触部15bが損傷を受けることがない。しかし、第1カード51aをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて更に移動させると、第1面取部52a以外の上下方向に延在する垂直な面が底壁部11aの第1接触部15aの直前の位置に配設されている第1カード用誤挿入防止用突起11rに当接してしまう。そのため、第1カード51aは、第1カード用誤挿入防止用突起11rによって前進を阻止され、後壁部11bに向けてそれ以上移動することができず、第1接触部15aや第2接触部15bが損傷を受けることがない。このように、第1カード用誤挿入防止用突起11rが誤挿入防止部材として機能し、第1カード51aの誤挿入が防止される。
【0089】
もっとも、何らかの原因によって、第1カード51aが第1カード用誤挿入防止用突起11rの上に乗上げることができ、更に移動することも考えられる。しかし、この場合には、カムスライダ41の第1カード用誤挿入防止部42dが第1カード51aの前進を阻止するので、第1接触部15aが損傷を受けることがない。このように、第1カード用誤挿入防止部42dが誤挿入防止部材として機能し、第1カード51aの誤挿入が防止される。なお、前記第1カード用誤挿入防止部42dは、カムスライダ41の後端がハウジング11の後壁部11bに当接して、カムスライダ41がそれ以上後方に移動不能となった状態で、表裏又は前後逆向きで挿入された第1カード51aの前進を阻止する機能を十分に発揮する。
【0090】
このように、インナーシェル31の受圧部32、第1カード用誤挿入防止用突起11r及びカムスライダ41の第1カード用誤挿入防止部42dが誤挿入を防止するための機能を発揮するので、誤挿入された第1カード51aの前進を確実に阻止することができる。
【0091】
次に、第2カード51bを挿入する場合の動作について説明する。
【0092】
図15は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタに外形寸法の小さなカードを挿入する前の状態を示す側面図、図16は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタに外形寸法の小さなカードを挿入する途中の状態を示す第1の側面図、図17は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタに外形寸法の小さなカードを挿入する途中の状態を示す第2の側面図、図18は本発明の実施の形態におけるカード用コネクタへの外形寸法の小さなカードの装填が完了した状態を示す側面図である。
【0093】
図15〜18は、説明のためにシェル12を除去した状態を示し、部分的に断面を示している。なお、図示される例において、第2カード51bは、表裏又は前後逆向きでなく、カード用コネクタ10に対して、適切な向きとなっているものとする。すなわち、第2カード51bは、図15における右端近傍の下側の面に図示されないカード側接続端子が位置するような姿勢となっている。図15から、第2カード51bの挿入方向先端の下端縁には、面取部としての第2面取部52bが形成されていることが分かる。図示される例において、前記第2面取部52bは、挿入方向先端から後方下向きに傾斜した傾斜平面であり、第2カード51bの幅方向に延在する。なお、前記第2面取部52bは、幅方向に延在する第2カード51bの挿入方向先端の下端縁の角を滑らかにする面であれば、いかなる形状の面であってもよく、例えば、いわゆるR面と称されるような曲面であってもよい。
【0094】
この場合、カード用コネクタ10は、前述の図10に示される状態と同様に、初期状態になっており、シャッタ板13はシャッタスプリングによって付勢されて挿入開口を閉止し、チェンジャー21のゲート部22はチェンジャースプリング27によって付勢されてハウジング11の後壁部11bに向けて斜め下方に傾斜する初期位置にあり、インナーシェル31の受圧部32は第1板ばね部材34a及び第2板ばね部材34bによって付勢されて前記ゲート部22の後端縁と等しい高さにまで持上げられた初期位置にある。
【0095】
続いて、第2カード51bをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて移動させ、挿入開口からカード用コネクタ10のカード収容空間内に第2カード51bの挿入方向先端近傍を挿入した状態が図16に示されている。この状態において、第2カード51bの挿入方向先端はチェンジャー21のゲート部22の先端縁の直前に位置している。そして、第2カード51bの幅は、初期状態における第1ストッパー突起26aと第2ストッパー突起26bとの間隔よりも狭い。そのため、チェンジャー21の第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bは、第2カード51bの両側面に当接せず、初期状態のままとなっている。すなわち、ストッパーは解除されていない。なお、第2カード51bの裏面は、底壁部11aにおける前縁寄りの部分の上面に当接してガイドされ、第2カード51bの両側面は、カード側面第1ガイド部11v及びカード側面第2ガイド部11wによってガイドされている。
【0096】
続いて、第2カード51bをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて更に移動させると、第2カード51bは、ゲート部22に当接することなく移動し、図17に示されるように、挿入方向先端がゲート部22の後端縁の下方であって、インナーシェル31の受圧部32の先端縁の直前の位置に到達する。初期状態におけるゲート部22の後端縁と底壁部11aの前縁寄りの部分の上面との距離が第2カード51bの厚さとほぼ等しいかわずかに厚くなっているので、第2カード51bは、ゲート部22に当接することなく移動することができる。また、初期状態におけるインナーシェル31の受圧部32の裏面と底壁部11aの前縁寄りの部分の上面との距離も、第2カード51bの厚さとほぼ等しいかわずかに厚くなっている。
【0097】
もっとも、第2カード51bが、その裏面が底壁部11aにおける前縁寄りの部分の上面に当接せずに、カード収容空間内の比較的上方を移動させられた場合には、第2カード51bの挿入方向先端の上端縁が斜め下方に傾斜するゲート部22に当接し、該ゲート部22を上方に押圧する。しかし、チェンジャー21の第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bが初期状態のままで、ストッパーが解除されていないので、ゲート部22を上方に移動させようとしても、第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bの下面がカード裏面第1ガイド部11m及びカード裏面第2ガイド部11nの上面に当接して、それ以上下方に移動することができず、ゲート部22は上方に移動不能となっている。そのため、第2カード51bをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて更に移動させると、挿入方向先端の上端縁が斜め下方に傾斜するゲート部22に当接している第2カード51bは、ゲート部22の裏面に沿って下方に移動させられ、図17に示されるような位置に到達する。すなわち、第2カード51bは、ゲート部22によって斜め下方に移動するようにガイドされる。
【0098】
続いて、第2カード51bをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて更に移動させると、インナーシェル31の受圧部32が第2カード51bの上面より高い位置にあるので、第2カード51bは受圧部32の下方に進入する。ここで、受圧部32の先端縁とゲート部22の後端縁との隙間が極めて狭くなっているので、第2カード51bは、ゲート部22によって斜め下方に移動するようにガイドされた場合であっても、受圧部32の下方にスムーズに進入することができる。また、第2カード51bは受圧部32の下方を通過すると、第2カード51bの上面が受圧部32の裏面に当接してガイドされているので、受圧部32は第2カード51bから上方への押圧力を受けることがある。しかし、インナーシェル31は、上方への動きがハウジング11に取付けられたシェル12によって規制されるので、初期状態における位置よりも上方に移動することがない。
【0099】
続いて、第2カード51bをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて更に移動させると、第2カード51bの挿入方向先端における左側角部の前面の下側部分及び左側角部の裏面に形成された凹部の奥側の面がカムスライダ41の第2突当て部42f及び第3突当て部42hに各々当接し、第2カード51bの裏面における挿入方向先端近傍の左側端に形成された係合用凹部がカムスライダ41の第2ロック作用部43eと係合する。これにより、第2カード51bは、カムスライダ41によって仮保持された状態となり、該カムスライダ41とともに移動する。この場合、底壁部11aの第2接触部15bの直前の位置には第2カード用誤挿入防止用突起11sが配設されているが、第2カード51bの挿入方向先端において後方下向きに傾斜している第2面取部52bが第2カード用誤挿入防止用突起11sに当接するので、第2カード51bは第2カード用誤挿入防止用突起11sの上にスムーズに乗上げることができ、抵抗を受けることなく、移動することができる。
【0100】
続いて、第2カード51bをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて更に移動させると、カムスライダ41は、第2カード51bとともに移動し、最も前進した位置である終端点に到達してフルストローク状態となる。
【0101】
続いて、第2カード51bをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて移動させる力が解除されると、カムスライダ41及び第2カード51bは、付勢部材45の反発力を受けて後壁部11bから離脱する向き、すなわち、カード用コネクタ10の挿入開口に向けて移動させられる。そして、カムスライダ41及び第2カード51bは、カード用コネクタ10内で第2カード51bをロックした状態で保持するロック位置で停止する。これにより、第2カード51bは、図18に示されるように、カード用コネクタ10内の所定の位置に装填される。また、カムスライダ41がロック位置にあるので、カード51は、カムスライダ41によってロックされた状態となっており、前後方向に移動することが防止されている。
【0102】
第2カード51bがカード用コネクタ10内に装填された状態において、端子15の第2接触部15bは、第2カード51bの挿入方向先端近傍の裏面に配設されたカード側接続端子と接触して、電気的に接続される。この場合、第2接触部15bは、それ自体が弾性を備えるカンチレバーとして機能し、第2カード51bのカード側接続端子に弾性的に押付けられる。なお、第2接触部15bがカード側接続端子と接触する圧力、すなわち、接圧は、第2カード51bの上面が当接している受圧部32によって受止められるので、第2接触部15bとカード側接続端子とは確実に接触を維持することができる。
【0103】
なお、第2カード51bがロック位置にある状態でのカード用コネクタ10の前端から第2カード51bの挿入方向後端までの距離、すなわち、第2カード51bのカード用コネクタ10の挿入開口からの突出量は、第1カード51aがロック位置にある状態での第1カード51aのカード用コネクタ10の挿入開口からの突出量と等しくなっている。換言すると、カード用コネクタ10に装填された状態で、外形寸法の大きい第1カード51aの挿入方向先端は、カード収容空間の奥まで到達し、外形寸法の小さい第2カード51bの挿入方向先端は、カード収容空間の奥まで到達せず、手前に近い位置で停止するようになっている。
【0104】
このように、第2カード51bをカード用コネクタ10のカード収容空間内に挿入すると、チェンジャー21は、挿入されたカード51が外形寸法の小さな第2カード51bであることを識別して揺動せず、第2カード51bをカード収容空間内の下側に振分け、インナーシェル31の下側の通路を通過させる。この場合、前記インナーシェル31は、下側の通路の天板となり、第2カード51bの通路を画定するとともに、第2接触部15bの接圧を受止め、第2接触部15bとカード側接続端子との接触を維持する。
【0105】
また、カード用コネクタ10内に装填された第2カード51bを取出す場合には、第2カード51bをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて移動させる。カムスライダ41は、第2カード51bとともに移動し、最も前進した位置である終端点に到達してフルストローク状態となる。
【0106】
続いて、第2カード51bをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて移動させる力が解除されると、カムスライダ41及び第2カード51bは、付勢部材45の反発力を受けて、カード用コネクタ10の挿入開口に向けて移動させられる。そして、カムスライダ41は、図2及び3に示される初期位置まで戻ると停止する。この場合、第2カード51bは、カムスライダ41によって仮保持された状態となっているので、カムスライダ41とともに停止し、慣性によってカード用コネクタ10の外に飛出してしまうことがない。なお、第2カード51bは、仮保持されているだけなので、利用者が手指等によって挿入開口の方に引出すことにより、力を入れる必要がなく、容易にカード用コネクタ10から取出すことができる。
【0107】
この場合、チェンジャー21及びインナーシェル31は、第2カード51bが挿入開口の方に向けて移動するに伴い、第1カード51aを挿入する場合と逆の動作を行い、初期位置を維持する。なお、カード用コネクタ10内に装填されたカムスライダ41によってロックされた状態となっている第2カード51bを利用者が通常よりも強い力によって無理矢理にカード用コネクタ10から引出した場合、すなわち、第2カード51bの無理抜きが行われた場合でも、チェンジャー21及びインナーシェル31は、第2カード51bが挿入開口の方に向けて移動するに伴い、第2カード51bを挿入する場合と逆の動作を行って、初期位置を維持する。
【0108】
次に、第2カード51bが表裏又は前後逆向きで挿入された場合、すなわち、誤挿入された場合の動作について説明する。なお、前述した適切な向きとなっている第2カード51bを挿入する場合の動作と同じ動作については、説明を省略する。
【0109】
表裏又は前後逆向きで挿入された場合でも、第2カード51bをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて移動させると、第2カード51bは、ゲート部22の下方を通過し、受圧部32の下方に進入することができる。しかし、第2カード51bをカード用コネクタ10の後壁部11bに向けて更に移動させると、第2面取部52b以外の面、すなわち、上下方向に延在する垂直な面が底壁部11aの第2接触部15bの直前の位置に配設されている第2カード用誤挿入防止用突起11sに当接してしまう。そのため、第2カード51bは、第2カード用誤挿入防止用突起11sによって前進を阻止され、後壁部11bに向けてそれ以上移動することができず、第2接触部15bが損傷を受けることがない。このように、第2カード用誤挿入防止用突起11sが誤挿入防止部材として機能し、第2カード51bの誤挿入が防止される。
【0110】
もっとも、何らかの原因によって、第2カード51bが第2カード用誤挿入防止用突起11sの上に乗上げることができ、更に移動することも考えられる。しかし、この場合には、カムスライダ41の第3突当て部42hが第2カード51bの前進を阻止するので、第2接触部15bが損傷を受けることがない。このように、第3突当て部42hが第2カード用誤挿入防止部として機能し、第2カード51bの誤挿入が防止される。なお、前記第3突当て部42hは、カムスライダ41の後端がハウジング11の後壁部11bに当接して、カムスライダ41がそれ以上後方に移動不能となった状態で、表裏又は前後逆向きで挿入された第2カード51bの前進を阻止する機能を十分に発揮する。
【0111】
このように、第2カード用誤挿入防止用突起11s及びカムスライダ41の第3突当て部42hが誤挿入を防止するための機能を発揮するので、誤挿入された第2カード51bの前進を確実に阻止することができる。
【0112】
このように、本実施の形態においては、カード用コネクタ10が、第2接触部15bよりも挿入開口寄りの位置、すなわち、前方においてハウジング11に揺動可能に取付けられ、第1カード51aと第2カード51bとを識別して、各々を上方と下方とに振分けるチェンジャー21と、ハウジング11のチェンジャー21よりも挿入開口と反対側寄りの位置、すなわち、後方においてハウジング11に上下動可能に取付けられ、第1カード51aの通路の底板及び第2カード51bの通路の天板となるインナーシェル31とを有する。
【0113】
そして、チェンジャー21は、初期状態において該チェンジャー21の揺動を不能とするストッパーとしての第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bを備える。該第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bは挿入開口から第1カード51aを挿入することによって解除され、チェンジャー21の揺動を可能とするようになっている。
【0114】
また、チェンジャー21は、初期状態に戻るように付勢部材としてのチェンジャースプリング27によって付勢されている。
【0115】
さらに、チェンジャー21は平板状のゲート部22を備え、該ゲート部22は、初期状態において後方に向けて斜め下方に傾斜し、チェンジャー21が初期状態から揺動すると、上方に移動して挿入方向と平行になる。
【0116】
さらに、前記チェンジャー21は挿入方向に関する中心位置を揺動中心として揺動し、第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bは揺動中心より前方に位置し、ゲート部22は揺動中心より後方に位置している。
【0117】
さらに、第1カード51aの挿入方向先端がゲート部22に当接すると、チェンジャー21が初期状態から揺動し、ゲート部22は上方に移動して第1カード51aの通路の天板となり、第2カード51bの挿入方向先端がゲート部22に当接すると、チェンジャー21が初期状態から揺動せず、ゲート部22は第2カード51bを斜め下方にガイドするようになっている。
【0118】
さらに、インナーシェル31は、該インナーシェル31を上方に付勢する付勢部材としての第1板ばね部材34a及び第2板ばね部材34b、及び、平板状の受圧部32を備え、初期状態において第1板ばね部材34a及び第2板ばね部材34bによって付勢させられて、受圧部32が第2カード51bの通路の天板となる。
【0119】
さらに、受圧部32は第2接触部15bの上方に位置している。
【0120】
さらに、インナーシェル31は、第1カード51aの挿入方向先端の下端縁に形成された第1面取部52aが受圧部32の挿入開口側の端縁に当接すると下方に移動し、受圧部32が第1カード51aの通路の底板となる。
【0121】
そのため、カード用コネクタ10の構造が簡素化してコストを低くすることができ、カード用コネクタ10を小型化することができる。例えば、チェンジャー21及びインナーシェル31は、各々、一体的に形成されているので、部品点数が少なく、構造が簡素で、組立が容易で、コストが低くなっている。また、複数種類のカード51、すなわち、第1カード51aと第2カード51bとを容易に、かつ、確実にカード用コネクタ10に装填することができる。さらに、チェンジャー21及びインナーシェル31が作動しても、カード用コネクタ10の外方に部品が突出することがない。そのため、カード用コネクタ10を電子機器内に実装するために必要な実装容積は、カード51を装填した場合であっても、変化することがない。
【0122】
また、チェンジャー21及びインナーシェル31は、常に初期状態となるように付勢されているので、カード51が適正に排出された場合であっても、無理抜きされた場合であっても、次にカード51が挿入されるときには、第1カード51aと第2カード51bとを識別して、確実に振分けることができる。そのため、第1カード51aと第2カード51bが誤った方向に振分けられることがない。
【0123】
さらに、チェンジャー21には、平板状のゲート部22と第1ストッパー突起26a及び第2ストッパー突起26bとが一体に設けられているので、揺動を不能又は可能とする動作と、第1カード51aと第2カード51bとを識別して各々を上方と下方とに振分ける動作とを確実に連動させることができる。
【0124】
なお、本実施の形態においては、説明の都合上、第1カード51a及び第2カード51bが、それぞれ、メモリスティック(R)及びメモリスティックDuo(R)であるものとして説明したが、第1カード51a及び第2カード51bが他の種類のカードであってもよいことは、当業者であれば、容易に理解することができる。例えば、第1カード51a及び第2カード51bが、それぞれ、SD(R)カード及びminiSD(R)カードである場合にも、本実施の形態において説明した各部材の形状、寸法、配列等を調整するだけで、本質を変更することなく、本発明を適用することができる。
【0125】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタのシェルを取除いた状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタのシェルを取除いた状態を示す上面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタのハウジングを示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタのチェンジャーを示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタのインナーシェルを示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるカムスライダを示す上方から観た斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるカムスライダを示す下方から観た斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるロック端子を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタに外形寸法の大きなカードを挿入する前の状態を示す側面図である。
【図11】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタに外形寸法の大きなカードを挿入する途中の状態を示す第1の側面図である。
【図12】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタに外形寸法の大きなカードを挿入する途中の状態を示す第2の側面図である。
【図13】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタに外形寸法の大きなカードを挿入する途中の状態を示す第3の側面図である。
【図14】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタへの外形寸法の大きなカードの装填が完了した状態を示す上面図である。
【図15】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタに外形寸法の小さなカードを挿入する前の状態を示す側面図である。
【図16】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタに外形寸法の小さなカードを挿入する途中の状態を示す第1の側面図である。
【図17】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタに外形寸法の小さなカードを挿入する途中の状態を示す第2の側面図である。
【図18】本発明の実施の形態におけるカード用コネクタへの外形寸法の小さなカードの装填が完了した状態を示す側面図である。
【図19】従来のカード用コネクタを示す図である。
【符号の説明】
【0127】
10 カード用コネクタ
11、304 ハウジング
11a 底壁部
11b 後壁部
11c、33a 第1側壁部
11d、42p 係止部
11e、33b 第2側壁部
11f 端子装填溝
11g 端子装填孔
11h 接触部収容開口
11i インナーシェル第1係合部
11j インナーシェル第2係合部
11k 第1チェンジャー支持軸
11m カード裏面第1ガイド部
11n カード裏面第2ガイド部
11o、11z カード誘い用テーパ部
11p 第1ストッパー収容凹部
11q 第2ストッパー収容凹部
11r 第1カード用誤挿入防止用突起
11s 第2カード用誤挿入防止用突起
11t カード側面第1ガイド壁
11u カード側面第2ガイド壁
11v カード側面第1ガイド部
11w カード側面第2ガイド部
11x インナーシェル第1ガイド部
11y インナーシェル第2ガイド部
11α、11β 切欠部
12、310 シェル
13 シャッタ板
13a 回動軸
14 回路基板
15 端子
15a 第1接触部
15b 第2接触部
15c ソルダーテール部
21 チェンジャー
22 ゲート部
22a、32a 開口部
23a 第1腕部材
23b 第2腕部材
24a 第1腕係合部
24b 第2腕係合部
25a 第1ストッパー支持部材
25b 第2ストッパー支持部材
26a 第1ストッパー突起
26b 第2ストッパー突起
27 チェンジャースプリング
31 インナーシェル
32 受圧部
32b 端辺
33c 第1先端壁部
33d 第2先端壁部
34a 第1板ばね部材
34b 第2板ばね部材
35a 第1係合片
35b 第2係合片
41 カムスライダ
42 スライダ部材
42a 第1ブロック部
42b 第1突当て部
42c 第2ブロック部
42d 第1カード用誤挿入防止部
42e 突出部
42f 第2突当て部
42h 第3突当て部
42i カムブロック部
42j ロック用開口
42k ロック端子収容凹部
42m 第1圧入凹部
42n 第2圧入凹部
42q カム溝
43 ロック端子
43a 本体部
43b 第1レバー部
43c 第2レバー部
43d 第1ロック作用部
43e 第2ロック作用部
43f 第2圧入突起
43g 第1圧入突起
44 ピン部材
45、311 付勢部材
51 カード
51a 第1カード
51b 第2カード
52a 第1面取部
52b 第2面取部
302 大型メモリカード
303 小型メモリカード
305 端子セット
306 第1接続端子
307 第2接続端子
308 レバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)外形寸法が互いに相違する第1カード(51a)及び第2カード(51b)が挿入される挿入開口と、
(b)前記第1カード(51a)及び第2カード(51b)を収容するハウジング(11)と、
(c)前記挿入開口と反対側寄りの位置に配設され、前記第1カード(51a)のカード側接続端子と接触する第1接続端子(15a)と、
(d)該第1接続端子(15a)よりも挿入開口寄りの位置に配設され、前記第2カード(51b)のカード側接続端子と接触する第2接続端子(15b)と、
(e)前記第1カード(51a)及び第2カード(51b)を挿入方向と反対の方向に付勢する付勢部材(45)を備え、前記第1カード(51a)及び第2カード(51b)をロック位置で停止させるとともに、前記第1カード(51a)及び第2カード(51b)を挿入方向に押込むプッシュ動作によって第1カード(51a)及び第2カード(51b)が挿入方向に移動して終端点まで到達すると、前記付勢部材(45)の付勢力によって、前記第1カード(51a)及び第2カード(51b)を終端点から挿入方向と反対の方向に移動させて排出するカード案内機構(41)とを有するカード用コネクタ(10)であって、
(f)前記第2接続端子(15b)よりも挿入開口寄りの位置においてハウジング(11)に揺動可能に取付けられ、前記第1カード(51a)と第2カード(51b)とを識別して、各々を上方と下方とに振分ける揺動板部材(21)と、
(g)前記ハウジング(11)の揺動板部材(21)よりも挿入開口と反対側寄りの位置においてハウジング(11)に上下動可能に取付けられ、前記第1カード(51a)の通路の底板及び第2カード(51b)の通路の天板となる上下動板部材(31)とを有することを特徴とするカード用コネクタ(10)。
【請求項2】
前記揺動板部材(21)は、初期状態において該揺動板部材(21)の揺動を不能とするストッパー(26a、26b)を備え、該ストッパー(26a、26b)は挿入開口からの第1カード(51a)の挿入によって解除され、前記揺動板部材(21)の揺動を可能とする請求項1に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項3】
前記揺動板部材(21)は、初期状態に戻るように付勢部材(27)によって付勢されている請求項2に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項4】
前記揺動板部材(21)は平板状のゲート部(22)を備え、該ゲート部(22)は、初期状態においてハウジング(11)の挿入開口と反対側に向けて斜め下方に傾斜し、前記揺動板部材(21)が初期状態から揺動すると、上方に移動して挿入方向と平行になる請求項2に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項5】
前記揺動板部材(21)は挿入方向に関する中心位置を揺動中心として揺動し、前記ストッパー(26a、26b)は揺動中心より挿入開口寄りに位置し、前記ゲート部(22)は揺動中心より挿入開口と反対側寄りに位置する請求項4に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項6】
(a)前記第1カード(51a)の挿入方向先端が前記ゲート部(22)に当接すると、前記揺動板部材(21)が初期状態から揺動し、前記ゲート部(22)は上方に移動して前記第1カード(51a)の通路の天板となり、
(b)前記第2カード(51b)の挿入方向先端が前記ゲート部(22)に当接すると、前記揺動板部材(21)が初期状態から揺動せず、前記ゲート部(22)は前記第2カード(51b)を斜め下方にガイドする請求項5に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項7】
前記上下動板部材(31)は、該上下動板部材(31)を上方に付勢する付勢部材(34a、34b)、及び、平板状の受圧部(32)を備え、初期状態において前記付勢部材(34a、34b)によって付勢させられて、前記受圧部(32)が第2カード(51b)の通路の天板となる請求項1に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項8】
前記受圧部(32)は前記第2接続端子(15b)の上方に位置する請求項7に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項9】
前記上下動板部材(31)は、前記第1カード(51a)の挿入方向先端の下端縁に形成された面取部(52a)が受圧部(32)の挿入開口側の端縁に当接すると下方に移動し、前記受圧部(32)が第1カード(51a)の通路の底板となる請求項8に記載のカード用コネクタ(10)。
【請求項10】
前記第1カード(51a)の挿入によって揺動した前記揺動板部材(21)の挿入開口と反対側の端縁は、上方に移動し、前記上下動板部材(31)の挿入開口側の端縁との間に、前記第1カード(51a)の厚さ寸法よりも小さな上下方向の寸法を備える隙間を生じさせる請求項1に記載のカード用コネクタ(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−87769(P2007−87769A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274943(P2005−274943)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(591043064)モレックス インコーポレーテッド (441)
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
【Fターム(参考)】