説明

カード用コネクタ

【課題】カード用コネクタの外形寸法を薄型化でき、当該カード用コネクタが装着される空間を縮小すること。
【解決手段】カード用コネクタ1は、カード6を排出可能なスライダ7と、スライダ7を排出方向へ付勢する付勢ばね8と、付勢ばね8の付勢力に抗してスライダ7を所定の位置に保持するカム機構9とを備える。カム機構9は、スライダ7に形成されたカム溝91と、カム溝91に沿って一端が案内されると共に他端が一定位置で回動自在に保持される係合ピン92と、係合ピン92をカム溝91に付勢する付勢部31とで構成され、係合ピン92の一端と他端との間に付勢部31が係合する凹み部を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関し、特に、カードを排出可能なスライダを所定位置に保持するカム機構を備えたカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードの挿入及び排出方向にスライド移動可能なスライダを含むカード排出機構を有するカード用コネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなカード用コネクタのカード排出機構においては、図10及び図11に示すように、スライダに形成されたカム溝101と、このカム溝101に沿って案内される係合ピン102とを利用して所定の装着位置におけるカードのロック、並びに、カード用コネクタからのカードの排出を行っている。なお、図10及び図11においては、それぞれカム溝101内で最も低い位置に係合ピン102が配置された場合及びカム溝101内で最も高い位置に係合ピン102が配置された場合の従来のカード用コネクタを示している。
【0003】
また、このようなカード用コネクタにおいては、図10及び図11に示すように、係合ピン102をカム溝101に付勢する付勢部103を、カード装着部を覆う金属カバー104の一部を切り起こして形成している。このように金属カバー104の一部に形成した付勢部103により係合ピン102をカム溝101に付勢することにより、カード用コネクタの薄型化を確保しつつ、カム溝101における適切な位置で係合ピン102を係合させるようにしている。
【特許文献1】特開2006−179462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来のカード用コネクタにおいては、その薄型化を進めていくと、係合ピン102がカム溝101に沿って移動する際に、その移動に伴って板ばね103の一部が金属カバー104の上面よりも上方側の位置に配置されることがある。図12(a)及び図12(b)は、それぞれ図10及び図11に示す状態の従来のカード用コネクタの側面図である。例えば、図12(b)に示すように、カム溝101内で最も高い位置に係合ピン102が配置された場合に付勢部103の一部が金属カバー104の上面よりも上方側の位置に配置される。この場合には、金属カバー104から突出する付勢部103の位置に対応するための外部空間を形成しなければならない。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、カード用コネクタの外形寸法を薄型化でき、当該カード用コネクタが装着される空間を縮小することができるカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカード用コネクタは、カードを排出可能なスライダと、前記スライダを排出方向へ付勢する付勢手段と、前記付勢手段の付勢力に抗して前記スライダを所定の位置に保持するカム機構とを備えたカード用コネクタであって、前記カム機構は、前記スライダに形成されたカム溝と、前記カム溝に沿って一端が案内されると共に他端が一定位置で回動自在に保持される係合部材と、前記係合部材を前記カム溝に付勢する付勢部とを有し、前記係合部材の一端と他端との間に前記付勢部が係合する凹み部を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記カード用コネクタによれば、係合部材の凹み部に付勢部を係合させることにより重なった部分の厚さだけカム機構の寸法を小さくすることができるので、カード用コネクタの外形寸法を薄型化でき、当該カード用コネクタが装着される空間を縮小することが可能となる。
【0008】
上記カード用コネクタにおいては、前記凹み部の凹み寸法を、前記カム溝の内底面における最も低い位置から最も高い位置までの寸法よりも大きくすることが好ましい。この場合には、係合部材の一端がカム溝の内底面における最も高い位置に配置された場合においても、付勢部は、カード用コネクタの不動作時における外形寸法の外側に配置されることがなくなるので、カード用コネクタの外形寸法を薄型化することが可能となる。
【0009】
また、上記カード用コネクタにおいて、前記凹み部の凹み寸法を、前記付勢部の厚さ寸法よりも大きくすることが好ましい。この場合には、凹み部内に付勢部を収容できることから、カードの挿入動作に伴って係合部材が上下移動した場合においても、付勢部をカード用コネクタの不動作時における高さ寸法内で移動させることができるので、カード用コネクタの外形寸法を薄型化することが可能となる。
【0010】
さらに、上記カード用コネクタにおいて、前記付勢部は、前記カードの装着部の一部を形成するカバーに形成され、前記係合部材の凹み部のみに接触する形状を有することが好ましい。この場合には、付勢部が係合部材の凹み部のみに接触することから、係合部材と付勢部とを上下方向に重ならないように配置することができるので、その分だけカム機構の厚さ寸法を小さくでき、カード用コネクタの外形寸法を薄型化することが可能となる。
【0011】
例えば、上記カード用コネクタにおいて、前記付勢部は、前記係合部材の一端に対応する開口部を形成する枠形状を有し、前記カードの排出方向側の一部で前記係合部材の凹み部に接触することが考えられる。この場合には、枠形状を有する付勢部の一部で係合部材をカム溝に付勢することができるので、係合部材がカム溝から脱落する事態を効果的に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カム機構を構成する係合部材の一部に、この係合部材をカム溝に付勢する付勢部が係合する凹み部を設けたことから、係合部材の凹み部に付勢部を係合させることにより重なった部分の厚さだけカム機構の寸法を小さくすることができるので、カード用コネクタの外形寸法を薄型化でき、当該カード用コネクタが装着される空間を縮小することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係るカード用コネクタ(以下、「コネクタ」という)は、コネクタ内に配設されるスライダに形成されたハート型カムを利用して、所謂、プッシュプッシュ方式でカードを挿入及び排出可能とするものである。
【0014】
図1は、本実施の形態に係るコネクタ1の構成を示す分解斜視図である。図2は、本実施の形態に係るコネクタ1が有するケース2の上面図である。以下においては、適宜、図2に示す紙面上方側を「コネクタ1の前方側」又は単に「前方側」と呼び、同図に示す紙面下方側を「コネクタ1の後方側」又は単に「後方側」と呼ぶものとする。また、図2に示す紙面右方側を「コネクタ1の右方側」又は単に「右方側」と呼び、同図に示す紙面左方側を「コネクタ1の左方側」又は単に「左方側」と呼ぶものとする。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態に係るコネクタ1は、合成樹脂材料などの絶縁材料を成型して形成されるケース2を備えている。ケース2は、概して偏平な形状を有しており、その上方側及び後方側に開口した空間を有している。このケース2の上方側の開口部に後述するカバー3を被せることにより、コネクタ1は、後方側にのみ開口した形状となり、この開口部でカード挿入口4が構成される。そして、このカード挿入口4の内部にカードが装着される装着部が形成される。
【0016】
コネクタ1の底面部を構成するベース部21には、コネクタ1の左右方向に並べて複数のコンタクト端子5が設けられている。これらのコンタクト端子5は、上述した装着部における所定の装着位置に装着されたカード6の下面の接触パッドと接続されるものである。これらのコンタクト端子5を介して、コネクタ1を搭載する装置と、カード6との間で信号を送受信することが可能となっている。
【0017】
ケース2の内部における右方側の側面部近傍には、カード6の挿入及び排出動作に伴ってコネクタ1の前後方向にスライド移動可能なスライダ7と、このスライダ7をカード6の排出方向側に付勢する付勢手段としての付勢ばね8と、この付勢ばね8の付勢力に抗してスライダ7を所定の位置に保持するカム機構9の一部とが配設されている。なお、このカム機構9は、スライダ7に形成されたカム溝91と、このカム溝91に一端が係合する係合部材としての係合ピン92と、後述するカバー3の付勢部31とにより構成される。
【0018】
カバー3は、例えば、金属製の板部材に対して打ち抜き加工及び曲げ加工を施すことにより形成される。カバー3における右方側の側面部近傍には、カム機構9の一部を構成する付勢部31が設けられている。この付勢部31は、カバー3における係合ピン92に対応する一部を切り起こして形成されるものであり、その後方側端部が下方側に僅かに延出するように曲げ加工が施されている。付勢部31は、その内側に開口部32を形成する枠形状部33で構成されている。付勢部31においては、この枠形状部33のうち、後方側に配置される係合部33aが係合ピン92に接触し、係合ピン92をカム溝91に付勢するものとなっている。
【0019】
図2に示すように、スライダ7をカード6の排出方向に付勢する付勢ばね8は、ケース2の内壁に設けられた保持片22により前方側の一端が保持されると共に、スライダ7から前方側に向けて突出して設けられた保持片71により後方側の一端が保持されている。スライダ7には、コネクタ1に挿入されるカード6の側面に形成された凹部61と係合する突出部72aを有する板ばね72が埋め込まれている。カム溝91は、スライダ7の後方側部分の上面に形成されている。係合ピン92は、前方側の一端がカム溝91に係合する一方、後方側の一端がケース2の後端部に形成された保持穴23に回動自在に保持されている。
【0020】
ここで、スライダ7に形成されるカム溝91の構成について説明する。図3は、本実施の形態に係るコネクタ1が有するスライダ7の上面図(同図(a)及びそのカム溝91の高低差を説明するための図(同図(b))である。なお、図3(b)においては、同図(a)で付与した符号を用いてその高低差を表している。
【0021】
図3に示すように、カム溝91の中央領域には、概してハート形状を有するハート型カム91aが設けられている。カム溝91は、ハート型カム91aの左方側に配置される第1ガイド溝91b、右方側に配置される第2ガイド溝91c、並びに、第1及び第2ガイド溝91b、91cに連結され、係止ピン92の一端を係止する係止部を有する凹み溝91dで構成される。
【0022】
これらの第1ガイド溝91b、第2ガイド溝91c及び凹み溝91dの内底面は、平面部と斜面部とで構成されている。図3(b)に示すように、第1ガイド溝91bにおけるA及びC、第2ガイド溝91cにおけるJ及びL、凹み溝91dにおけるD、F、G及びIは平面部を構成する。また、第1ガイド溝91bにおけるB、第2ガイド溝91cにおけるK、凹み溝91dにおけるE及びHは斜面部を構成する。さらに、第1ガイド溝91bにおけるCと凹み溝91dにおけるDとの間、凹み溝91dにおけるFとGとの間、凹み溝91dにおけるIと第2ガイド溝91cにおけるJとの間、並びに、第2ガイド溝91cにおけるLと第1ガイド溝91bにおけるAとの間には段差が設けられている。
【0023】
このようなカム溝91に係合する係合ピン92の一端は、カード6の挿入動作に伴って第1ガイド溝91bに沿って案内され、凹み溝91dの係止部に係止された状態でロック状態とされる。また、ロック状態からの排出動作に伴って第2ガイド溝91cに沿って案内される。すなわち、係合ピン92の一端は、図3(b)に示すA〜Lの順にカム溝91上を案内されることとなる。なお、カム溝91内における係合ピン92の逆方向への移動は、上述した平面部間に設けられた段差により規制されている。
【0024】
次に、このようなスライダ7に形成されるカム溝91に係合する係合ピン92の構成について説明する。図4は、本実施の形態に係るコネクタ1が有する係合ピン92の上面図(同図(a))及び側面図(同図(b))である。なお、図4においては、同図に示す右方側がコネクタ1の前方側に対応し、同図に示す左方側がコネクタ1の後方側に対応するものとする。
【0025】
図4に示すように、係合ピン92は、例えば、金属製の棒状部材に対して曲げ加工を施すことにより形成される。係合ピン92は、概ねコネクタ1の前後方向に延伸する軸状部92aを有している。軸状部92aにおける前端部92b及び後端部92cは、図4(b)に示すように、下方側に折り曲げられ、共にケース2のベース部21側に延出している。前端部92bは、カム溝91に上方側から係合し、後端部92cは、ケース2の保持穴23に上方側から挿入された状態で保持される(図2参照)。
【0026】
軸状部92aにおける前端部92bと後端部92cとの間には、凹み部92dが形成されている。図4においては、軸状部92aの中央の一部分が他の部分よりも僅かに下方側の位置を通るように曲げ加工を施すことによって凹み部92dを形成している。この凹み部92dは、付勢部31を構成する枠形状部33の係合部33aと係合可能な長さの凹みを構成している。なお、凹み部92dを形成する場合には、これに限定されるものではなく、軸状部92aの上方側の一部分に潰し加工を施すようにしても良い。
【0027】
この凹み部92dにおける凹み寸法lは、上述したカム溝91の内底面における最も低い部分(例えば、平面部A)から最も高い部分(例えば、平面部C)までの寸法よりも大きく設定されている。また、この凹み部92dにおける凹み寸法lは、上述したカバー3の付勢部31の厚さ寸法(すなわち、カバー3の厚さ寸法)よりも大きく設定されている。
【0028】
このような構成を有するコネクタ1を組み立てると、図5及び図6に示すようになる。図5及び図6は、本実施の形態に係るコネクタ1の外観を示す斜視図及び上面図である。なお、図5及び図6においては、カード6が押し込まれていない状態(初期状態)であり、係合ピン92の前端部92bが図3(b)に示すカム溝91の平面部Aに配置された状態、すなわち、係合ピン92がカム溝91における最も低い部分に配置された状態について示している。
【0029】
図5及び図6に示すように、カバー3は、付勢部31の係合部33aが係合ピン92の凹み部92dに対応する位置に配置されるようにケース2に対して取り付けられる。このようにカバー3が取り付けられた場合において、係合部33aは、凹み部92dに係合し、その付勢力により係合ピン92をカム溝91に付勢するものとなっている。なお、上述のように、凹み部92dにおける凹み寸法lは、付勢部31の厚さ寸法よりも大きく設定されていることから、凹み部92dに係合した状態において、付勢部31の上端は、係合ピン92の上端よりも上方側の位置に配置されることはない。
【0030】
図5及び図6に示す状態からカード6が前方側に押し込まれると、これに伴ってスライダ7が前方側に移動し、係合ピン92の前端部92bがカム溝91の第1ガイド溝91bに沿って案内される。図7及び図8は、カード6が前方側に僅かに押し込まれた状態のコネクタ1の斜視図及び上面図である。なお、図7及び図8においては、係合ピン92の前端部92bが図3(b)に示すカム溝91の平面部Cに配置された状態、すなわち、係合ピン92がカム溝91における最も高い部分に配置された状態について示している。
【0031】
係合ピン92の前端部92bが第1ガイド溝91bに沿って案内されると、その前端部92bが第1ガイド溝91bの内底面(平面部A、斜面部B及び平面部C)を摺動しながら上方側に移動する。これに伴って凹み部92dも上方側に移動するため、これに係合する付勢部31も押し上げられることとなる。なお、上述のように、凹み部92dにおける凹み寸法lは、カム溝91の内底面における最も低い部分から最も高い部分までの寸法よりも大きく設定されていることから、前端部92dがカム溝91における最も高い部分に配置された場合においても、付勢部31の上端は、カバー3の上面よりも上方側の位置に配置されることはない。
【0032】
図9(a)及び図9(b)は、それぞれ図7及び図8に示す状態のコネクタ1の側面図を示している。なお、図9においては、同図に示す右方側がコネクタ1の前方側に対応し、同図に示す左方側がコネクタ1の後方側に対応するものとする。図9(a)に示すように、係合ピン92の前端部92bがカム溝91の最も低い部分に配置されている場合、付勢部31の係合部33aは、コネクタ1の内側に配置された状態となっている。一方、図9(b)に示すように、係合ピン92の前端部92bがカム溝91の最も高い部分に配置された場合においても、付勢部31の係合部33aは、カバー3の上面よりも下方側の位置に配置されている。
【0033】
本実施の形態に係るコネクタ1においては、カム機構9を構成する係合ピン92の一部に、この係合ピン92をカム溝91に付勢する付勢部31が係合する凹み部92dを設けたことから、係合ピン92の凹み部92dに付勢部31を係合させることにより重なった部分の厚さだけカム機構9の寸法を小さくすることができるので、コネクタ1の外形寸法を薄型化でき、当該コネクタ1が装着される空間を縮小することが可能となる。
【0034】
特に、本実施の形態に係るコネクタ1においては、係合ピン92の凹み部92dの凹み寸法を、カム溝91の内底面における最も低い位置から最も高い位置までの寸法よりも大きく設定している。このため、係合ピン92の前端部92bがカム溝91の内底面における最も高い位置に配置された場合においても、付勢部31は、コネクタ1の不動作時における外形寸法の外側に配置されることがなくなるので、コネクタ1の外形寸法を薄型化することが可能となる。
【0035】
また、本実施の形態に係るコネクタ1においては、係合ピン92の凹み部92dの凹み寸法を、付勢部31の厚さ寸法よりも大きく設定している。このため、凹み部92d内に付勢部31を収容できることから、カード6の挿入動作に伴って係合ピン92が上下移動した場合においても、付勢部31をコネクタ1の不動作時における高さ寸法内で駆動させることができるので、コネクタ1の外形寸法を薄型化することが可能となる。
【0036】
さらに、本実施の形態に係るコネクタ1においては、カバー3に形成した付勢部31を、係合ピン92の一端に対応する開口部32を形成する枠形状部33で構成し、その後方側に配置される係合部33aで係合ピン92の凹み部92dに接触するようにしている。これにより、枠形状部33の一部で係合ピン92をカム溝91に付勢することができるので、係合ピン92がカム溝91から脱落する事態を効果的に防止することが可能となる。
【0037】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0038】
例えば、上記実施の形態においては、係合ピン92をカム溝91に付勢する付勢部31を枠形状部33で構成しているが、付勢部31の形状については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。枠形状部33のように、係合ピン92の凹み部92dのみに接触する形状であればどのような形状を採用しても良い。このように付勢部31を係合ピン92の凹み部92dのみに接触する形状とすることにより、係合ピン92と付勢部31とを上下方向に重ならないように配置することができるので、その分だけカム機構9の厚さ寸法を小さくでき、コネクタ1の外形寸法を薄型化することが可能となる。
【0039】
例えば、係合ピン92の凹み部92dのみに接触する形状としては、後方側の一定位置まで延出する一方、当該位置から右方側(左方側)に延出する形状(例えば、L字形状)を有し、その右方側に延出する部分で凹み部92dに接触し、係合ピン92をカム溝91に付勢するようにしても良い。付勢部31にこのような形状を採用した場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0040】
また、上記実施の形態においては、係合ピン92の凹み部92dの凹み寸法lをカム溝91の内底面における最も低い部分から最も高い部分までの寸法よりも大きく設定すると共に、付勢部31の厚さ寸法よりもよりも大きく設定する場合について説明している。しかしながら、凹み部92dの凹み寸法lにいずれか一方を設定するようにしても良い。この場合にも、コネクタ1の外形寸法の薄型化という効果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施の形態に係るコネクタの構成を示す分解斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係るコネクタが有するケースの上面図である。
【図3】上記実施の形態に係るコネクタが有するスライダの上面図(a)及びそのカム溝の高低差を説明するための図(b)である。
【図4】上記実施の形態に係るコネクタが有する係合ピンの上面図(a)及び側面図(b)である。
【図5】上記実施の形態に係るコネクタの外観を示す斜視図である。
【図6】上記実施の形態に係るコネクタの外観を示す上面図である。
【図7】上記実施の形態に係るコネクタの外観を示す斜視図である。
【図8】上記実施の形態に係るコネクタの外観を示す上面図である。
【図9】図7及び図8に示す状態のコネクタの側面図である。
【図10】従来のコネクタの外観を示す斜視図である。
【図11】従来のコネクタの外観を示す斜視図である。
【図12】図10及び図11に示す状態の従来のコネクタの側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 カード用コネクタ(コネクタ)
2 ケース
21 ベース部
22 保持片
23 保持穴
3 カバー
31 付勢部
32 開口部
33 枠形状部
33a 係合部
4 カード挿入口
5 コンタクト端子
6 カード
61 凹部
7 スライダ
71 保持片
72 板ばね
8 付勢ばね
9 カム機構
91 カム溝
91a ハート形カム
91b 第1ガイド溝
91c 第2ガイド溝
91d 凹み溝
92 係合ピン
92a 軸状部
92b 前端部
92c 後端部
92d 凹み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを排出可能なスライダと、前記スライダを排出方向へ付勢する付勢手段と、前記付勢手段の付勢力に抗して前記スライダを所定の位置に保持するカム機構とを備えたカード用コネクタであって、
前記カム機構は、前記スライダに形成されたカム溝と、前記カム溝に沿って一端が案内されると共に他端が一定位置で回動自在に保持される係合部材と、前記係合部材を前記カム溝に付勢する付勢部とを有し、前記係合部材の一端と他端との間に前記付勢部が係合する凹み部を設けたことを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項2】
前記凹み部の凹み寸法を、前記カム溝の内底面における最も低い位置から最も高い位置までの寸法よりも大きくしたことを特徴とする請求項1記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記凹み部の凹み寸法を、前記付勢部の厚さ寸法よりも大きくしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
前記付勢部は、前記カードの装着部の一部を形成するカバーに形成され、前記係合部材の凹み部のみに接触する形状を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
前記付勢部は、前記係合部材の一端に対応する開口部を形成する枠形状を有し、前記カードの排出方向側の一部で前記係合部材の凹み部に接触することを特徴とする請求項4記載のカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−266639(P2009−266639A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115141(P2008−115141)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】