カード発行装置
【課題】装置内に収納された発行前のカードの枚数を正確に自動計数することのできるカード発行装置を提供する。
【解決手段】カード収納部7に、カードを繰出す繰出し口10とカードをカード収納部7の中に回収する回収口11を設ける。繰出し口10からカードを1枚繰出し、エレベータ部22により回収口11まで搬送し、回収口11からカード収納部7に回収する。これを繰返してカード収納部7内の全てのカードを繰出し、回収することで、カード収納部7内のカード枚数を自動計数する。
【解決手段】カード収納部7に、カードを繰出す繰出し口10とカードをカード収納部7の中に回収する回収口11を設ける。繰出し口10からカードを1枚繰出し、エレベータ部22により回収口11まで搬送し、回収口11からカード収納部7に回収する。これを繰返してカード収納部7内の全てのカードを繰出し、回収することで、カード収納部7内のカード枚数を自動計数する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード収納部に収納されたカード束からカードを繰出し、カードへの印刷や磁気情報の書き込みなどを行い発行するカード発行装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャッシュカードやクレジットカードなどの発行を行うカード発行装置においては、装置内に収納された発行前のカードは、盗難にあうなどした場合、そのカードに磁気情報などを書き込まれて不正に利用される可能性もあるため、厳重な管理が必要とされている。
【0003】
装置内のカードの枚数を管理する方法として、特許文献1には、カードに付与されたシリアル番号を読み取って装置内のどこにどのカードがあるのかを管理する方法が記載されている。また、特許文献2には、カード収納部に積載されたカード束の積載高さを計測し、これをカード1枚の厚さで割ることで枚数を算出する方法が記載されている。さらに、カード収納部にカードを収納する際に枚数を数えてこれを記録しておき、カードを発行するたびに記録されている枚数から発行した枚数を減算していき回数を管理するという方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−339407号公報
【特許文献2】特開2002−324268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カードにシリアル番号を付与することはカードのコストアップにつながるという問題があり、また、カード収納部に積載されたカード束の積載高さを計測し、これをカード1枚の厚さで割ることで枚数を算出する方法ではカードの厚さのばらつきにより正確な枚数を算出できないという問題がある。さらに、カード収納部にカードを収納する際に枚数を数えてこれを記録する方法では、人手による計数のために数え間違いをする可能性や、計数を行う係員が故意に実際の枚数より少ない枚数を記録し、記録した枚数と実際の枚数との差の枚数のカードを盗むという不正行為を行えるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決する手段のひとつとして、本発明によれば、発行前のカードを収納するカード収納部と、カード表面に印字を行う印刷部と、カードに顧客情報を記録するカードリーダライタ部と、カードを搬送する搬送部と、各部を制御する制御部と、を有するカード発行装置であって、前記カード収納部は、収納されたカードを前記搬送部へ繰出す繰出し口と、前記搬送部へ繰出されたカードを該カード収納部内に回収するために、前記繰出し口と別に設けられた回収口と、を備えたことを特徴とするカード発行装置が提供される。前記搬送部は、該搬送部の移動方向と直交する方向にカードを搬送する搬送路を内部に有する構成としても良い。
【0007】
さらに、上述の構成に加え、本発明によれば、カード収納部の内部にカード束に押圧を加えるための押板と、前記押板を検知する検知手段とを備え、前記制御部は、前記検知手段によって前記押板が前記カード収納部の最下部に収納されていることを検知した場合、該カード収納部に収納されたカードの前記搬送部への繰出を停止させることを特徴とするカード発行装置が提供される。
また、前記制御部は、前記押板を前記繰出し口から前記搬送部へ繰出し、前記回収口から該カード収納部内に回収しても良い。この場合、前記押板の一部はカード1枚の厚さと同等の厚さであり、前記繰出し口の一部はカードの厚さ方向の開口寸法が、カード1枚の厚さよりも大きく、カード2枚の厚さよりも小さくしても良い。
また、前記押板は、前記搬送部の移動に連動して移動させても良い。
【発明の効果】
【0008】
上述のように構成された本発明により提供されるカード発行装置によれば、カード収納部内のカードを1枚ずつ繰出し、回収することでカードの枚数を計数でき、カードにシリアル番号を付与するなどしてカードをコストアップすることなく、カード収納部内のカードの枚数を正確に自動計数することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】カード発行装置の構成図である。
【図2】カード発行装置の機能ブロック図である。
【図3】カード収納部および搬送手段の構成例を示す図である。
【図4】カード収納部および搬送手段の構成例を示す図である。
【図5】カード収納部および搬送手段の構成例を示す図である。
【図6】実施例1に記載の動作を説明するフローチャートである。
【図7】カード収納部内のカード束、押板および検知レバーの形状と位置関係とを示す図である。
【図8】カード収納部および搬送手段の構成例を示す図である。
【図9】繰出しローラ、回収ローラの位置を説明する図である。
【図10】繰出口、回収口の形状を説明する図である。
【図11】繰出し爪、収納部底板とカード、押板の位置関係を説明する図である。
【図12】繰出し爪、収納部底板とカード、押板の位置関係を説明する図である。
【図13】実施例2に記載の動作を説明するフローチャートである。
【図14】カード収納部および搬送手段の構成例を示す図である。
【図15】カード収納部および搬送手段の構成例を示す平面図である。
【図16】エレベータ部の一部を示す斜視図である。
【図17】エレベータ部の押板レバーの動作を説明する図である。
【図18】エレベータ部の押板レバーの動作を説明する図である。
【図19】カード収納部内のカードの計数方法を説明する図である。
【図20】カード収納部内のカードの計数方法を説明する図である。
【図21】実施例3に記載の動作を説明するフローチャートである。
【図22】カード収納部内のカードの計数方法を説明する図である。
【図23】カード収納部内のカードの計数方法を説明する図である。
【図24】カード収納部内のカードの計数方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0010】
本発明の第一の実施例を、図1から図7を用いて説明する。図1および図2は、それぞれカード発行装置の構成図およびカード発行装置の機能ブロック図を示したものである。カード発行装置1は、後述する各部にカードを搬送するエレベータ式搬送部2、カード表面に印刷を行う印刷部3、カードの磁気ストライプや接触式ICチップに顧客情報を書き込むカードリーダライタ部4、発行に失敗したカードを回収する回収部5、カードを放出するカード放出口6、発行前のカードを収納するカード収納部7、8、9、カードリーダライタ部4およびカード放出口6を制御するカードリーダライタ部C2、および装置の各部を制御するカード発行装置制御部C1とにより構成されている。
【0011】
カード収納部7、8、9には、磁気ストライプや接触式ICチップが設けられたカードが収納され、各々のカード収納部には異なる種類のカードを収納することが出来る。すなわち、カード発行装置1は、最大3種類のカードを選択して発行を行うことが可能な装置である。
【0012】
カード発行を行う際には、まずカード収納部7、8、9のいずれか指定されたものよりカードを1枚繰出し、エレベータ式搬送部2に受け渡し、エレベータ式搬送部2によりカードを印刷部3へ搬送し、印刷部3でカード表面にカード番号などの情報を印刷する。その後、再びエレベータ式搬送部2にカードを受渡し、エレベータ式搬送部2によりカードをカードリーダライタ部4に搬送し、カードリーダライタ部4にてカードの磁気ストライプや接触式ICチップに情報を書き込んだ後、カード放出口6よりカードを放出する。
【0013】
図3から図5は、カード収納部7とエレベータ式搬送部2の一部を示しており、カード収納部7内のカード束20のカード長辺を正面に見る方向から見た図である。本実施例では、一例としてカード収納部7を用いて説明するが、カード収納部8、カード収納部9についても同じ構成となっている。
【0014】
カード収納部7にはカードを繰出す繰出し口10とカードをカード収納部7の中に回収する回収口11が設けられている。繰出し口10のカード厚さ方向の開口寸法は、カード1枚の厚さよりも大きく、カード2枚分の厚さよりも小さな値となっており、これにより2枚以上のカードを重ねて繰出すことがないようにしている。繰出し口10の近傍には、繰出し口10から繰出されたカードをカード収納部7の外へ引抜くための1対の引抜きローラ13および当該部位をカードが通過したことを検出する繰出しセンサ17が設けられており、回収口11の近傍には、カード収納部7の中にカードを回収するための1対の回収ローラ14および当該部位をカードが通過したことを検出する回収センサ18が設けられている。
【0015】
また、カード収納部7の下部には、繰出し爪12が設けられている。繰出し爪12にはカード1枚分の厚さよりも低い段差が設けられており、繰出し爪12を図示しない繰出し爪駆動機構により図3に示す矢印A方向に駆動すると、繰出し爪12の段差がカード収納部7の中に積載収納されたカード束20の最下部のカード1枚を引っかけ、矢印A方向に繰出し口10から繰出すよう構成されている。また、カード束20の上には押板21が置かれている。押板21は自重によりカード束20に押圧を加え、これによりカード繰出しの際のカードの浮き上がりを防止し、確実に繰出し爪12の段差にカード束20の最下部のカード1枚が引っかかるようにしている。
【0016】
以下、図6に示したフローチャートを用いて、カード収納部7内のカードの枚数を計数する方法について説明する。まず、繰出し爪12を図3に示す矢印A方向に駆動して1枚のカードを繰出し、繰出されたカードを、一対の引抜きローラ13によりカード収納部7より引抜き、エレベータ部22に受け渡す(ステップ101)。ここで、エレベータ部22は、繰出されたカードを搬送する搬送路の一部を搬送路ごと図示上下方向に移動可能に構成したものであり、2対の搬送ローラ15、16およびカードを検出する搬送センサ19を含んでいる。
【0017】
カードを受取ったエレベータ部22は、図示しない上下移動駆動機構により図4に示す位置まで上方向に移動される(ステップ102)。その後、図4に示す搬送ローラ15、16を、繰出されたカードを受取る際と逆の方向に回転させ、カードを回収ローラ14に受渡し、回収ローラ14によりカードをカード収納部7の中に回収する(ステップ103)。この際、回収センサ18でカードの通過を検出し、枚数をカウントする(ステップ104)。その後、エレベータ部22を再び図3に示す位置まで下降させる(ステップ105)。以後、このような繰出し、回収動作をカード1枚ずつ繰り返し実行しながらカードの枚数を計数してゆく。本実施例では、回収センサ18により計数を行うが、繰出しセンサ17、回収センサ18、搬送センサ19のいずれかまたは全てを使用してカードの通過枚数を計数することでも同様に計数が可能である。図4は最初に繰出されたカード26を回収する時の状態を表しており、図示の通り最初に繰出されたカード26は押板21の上に収納され、2枚目以降に繰出されたカードは、前に収納されたカードの上に堆積収納される。
【0018】
図5はカード収納部7内の全てのカードの繰出および回収が終了した状態を表しており、押板21を最下部に、その上に全てのカードが堆積収納されている。ここで、押板21がカード収納部7内で最下部に来たことは、カード収納部7の下部に配置された、検知レバー23と、バネ24と、検知レバー23の位置を検出する光学式センサであるレバーセンサ25とから構成されるカード有無検知手段により検出される。支点23aまわりに回転可能に取り付けられた検知レバー23はバネ24に引かれて先端が上方に動く方向に付勢されており、図3および図4に示す状態ではカード束20の下面に先端が当たる状態で止まっている。
【0019】
図7は、カード束20、押板21および検知レバー23の形状と位置関係とを表す平面図であり、検知レバー23の先端位置は図7にBおよびCで示す範囲に位置するよう構成されている。よって、図5に示す、押板21がカード収納部7内の最下部に来た際には、検知レバー23の先端は押板21には当たらずに押板21のすぐ上にあるカード束20の最下部のカードに当たって止まることになり、図3、図4の状態と比べると、押板21の厚さの分だけ先端が上方に回転した状態となる。検知レバー23がこの状態になったことを検出できる位置にレバーセンサ25が配置されているため、カード有無検知手段により押板21がカード収納部7内の最下部に来たこと、すなわちカード収納部7内の全てのカードの繰出し、回収が終了したことが検出される(ステップ106)。
【0020】
以上説明したような方法によりカード発行装置内の発行前のカードの枚数が自動計数される。上述の方法でそれぞれのカード収納部に対して自動計数を行うことで、カード発行装置内にある全ての発行前カードの枚数を自動計数できる。計数終了時には、カード発行装置またはカード発行装置に接続された別の装置に設けられた図示しない表示手段を用いてカードの計数が終了したことを係員に伝え(ステップ107)、カード収納部の最下部にある押板21をカード束20の上に移動するよう促す。
【実施例2】
【0021】
本発明の第二の実施例を、図1、図2、図8から図13を用いて説明する。図8は、本実施例におけるカード収納部8とエレベータ式搬送部2の一部を示している。本実施例では、一例としてカード収納部8を用いて説明するが、カード収納部7、カード収納部9についても同じ構成となっている。
【0022】
図9から図12は、カード収納部8を繰出し口30と回収口31を正面に見る方向から見た図である。図9に示す通り、引抜きローラ13と回収ローラ14は、カードを短辺方向の中央付近で挟持するよう配置されている。図示していないが、図8に示すエレベータ部22の搬送ローラ15、16についてもカード短辺方向のローラ位置は引抜きローラ13、回収ローラ14と同様である。
【0023】
図10は、図9から引抜きローラ13と回収ローラ14を表示しない状態を示しており、繰出し口30と回収口31の形状を説明する図である。繰出し口30においては、カード短辺方向の中央付近では上下方向の開口寸法Dがカード1枚の厚さよりも大きく、カード2枚の厚さよりも小さくなっており、両端部の上下方向の開口寸法EはDよりも大きくなっている。また、回収口31の上下方向の開口寸法Fは寸法Eと同等または寸法Eより大きくなっている。
【0024】
図11および図12は、図10において繰出し口30、回収口31を有する壁面を表示しない状態を示しており、カード収納部8内のカード束20、押板32、収納部底板33および繰出し爪12の形状および位置関係を説明する図である。押板32はカード短辺方向の中央付近の厚さ寸法をカード1枚の厚さと同等すなわち図10の寸法Dよりも小さく、両端部の厚さ寸法を図10の寸法Eよりも小さい範囲で中央付近よりも大きく作られており、繰出し口30を通過できる形状となっている。押板32はこのように両端を厚くすることで、カード繰出しに必要となる自重を確保している。収納部底板33は、その上面で押板32の薄い部分を受けるように配置されており、繰出し爪12は収納部底板33の上面に接したカードまたは押板32に対し、繰出し用の段差が引っかかるような位置に配置されている。
【0025】
上記のような構成することで、本実施例においては、押板32をカードと同様に繰出し口30から繰出すことを可能にしている。また、押板32には搬送センサ19で検出可能な位置に図示しない切欠きまたは穴が設けられており、繰出し口30から繰出されたものがカードであるか押板32であるかを搬送センサ19で検出することができる。本実施例では、搬送センサ19により押板32に設けられた図示しない切欠きあるいは穴を検出するが、繰出しセンサ17、回収センサ18、搬送センサ19のいずれかまたは全てを使用して検出するように構成しても同様の動作が可能である。
【0026】
以下、図14に示したフローチャートを用いて、カード収納部8内のカードの枚数を計数する方法について説明する。なお、図10は計数開始時の状態を示した図であり、図11がカード収納部8内の全てのカードの繰出し、回収を終了した状態を示した図である。
【0027】
まず、繰出し口30からカード束20の最下部のカード1枚を繰出し、エレベータ部22に受け渡す(ステップ201)。ここで、エレベータ部22内の搬送センサ19により繰出されたものがカードであるか押板32であるかを判定する(ステップ202)。判定の結果がカードであった場合には(ステップ202にてNの場合)、エレベータ部22をカード回収位置に移動し(ステップ203)、カードをカード収納部8内に回収収納し(ステップ204)、この際に回収センサ17でカードの通過を検出して枚数をカウントし(ステップ205)、エレベータ部22をカード繰出し位置に移動する(ステップ206)。その後、ステップ201以降の動作を繰り返し行う。
【0028】
一方、上記搬送センサ19による判定の結果が押板であった場合には(ステップ202にてYの場合)、エレベータ部22をカード回収位置に移動し(ステップ207)、押板32をカード収納部8内に回収収納する(ステップ208)。このとき、回収センサ17は押板32の通過を検出するが、ステップ202で通過するものがカードではなく押板32であることがわかっているので、通過を検出してもカード枚数としてはカウントしない。その後、エレベータ部22をカード繰出し位置に移動して動作を終了する(ステップ209)。このようにして、図11の状態から、図10の状態すなわちカード発行動作を開始できる状態へと自動で復帰する。
【0029】
以上説明したような方法によりカード発行装置内の発行前のカードの枚数が自動計数される。上述の方法でそれぞれのカード収納部に対して自動計数を行うことで、カード発行装置内にある全ての発行前カードの枚数を自動計数でき、計数終了後に、係員に操作を促すことなく自動でカード発行を行える状態に戻ることができる。
【実施例3】
【0030】
本発明の第三の実施例を、図1、図2、図14から図24を用いて説明する。図14は、本実施例におけるカード収納部9とエレベータ式搬送部2の一部であるエレベータ部50を示しており、カード収納部9内のカード束20のカード長辺を正面に見る方向から見た図である。本実施例では、一例としてカード収納部9を用いて説明するが、カード収納部7、カード収納部8についても同じ構成となっている。図15は図14に示すカード収納部9とエレベータ部50を上から見た平面図である。また、図16は図14に示すエレベータ部50のうち搬送ローラ54付近を示す斜視図である。
【0031】
以下、図14から図16を用いてカード収納部9およびエレベータ部50の構成を説明する。図14に示す通り、カード収納部9には前述のふたつの実施例同様、カード繰出し口40とカード回収口41が設けられている。カード収納部9内のカード束20の上に置かれている仕切りカード42は、形状や材質はカード束20を構成する発行前カードと同じものであるが、発行前カードとは別の用途に使用するものであり、仕切りカード42であることが識別できるよう、エレベータ部50内の搬送センサ51で検出できる位置に、図示しない切欠きまたは穴を設けてある。仕切りカード42の上には押板43がある。図15に示すように押板43はカード収納部9から一部が突出する形状となっており、この突出部と一体に取り付けられているスライド軸受け44を介してスライドシャフト45に上下移動可能に取り付けられている。さらに、押板43はバネ46により図14に示す下方向に力を加えられており、これによりカード束20および仕切りカード42に押圧を与えている。
【0032】
エレベータ部50は、それぞれ内側に一対の搬送ガイド64を設けたフレーム52、53、搬送センサ51、および2対の搬送ローラ54、55により構成されており、さらに搬送ローラ54の下側のローラと一体に構成された駆動シャフト56には、フレーム52の外側にトルクリミッタ58を介して押板レバー59が取り付けられている。また、搬送ローラ55の下側のローラと一体に構成されたシャフト57および駆動シャフト56にはフレーム53の外側にタイミングプーリ60が取り付けられており、図示しないモータからの動力がタイミングベルト61により伝達され、駆動される。さらにフレーム52には、押板レバー59を停止させる目的で、上ストッパ62と下ストッパ63が設けられている。
【0033】
次に、押板レバー59の動作について、図17、図18を用いて説明する。エレベータ部50が、図17に矢印Gで示す方向にカードを搬送する場合、駆動シャフト56を矢印H方向に回転駆動する。このとき、押板レバー59は駆動シャフト56同様矢印H方向に回転した後、上ストッパ62に当たり、図17に示す位置で停止する。この状態で駆動シャフト56を矢印H方向に回転させ続けると、トルクリミッタ58が空回りし、押板レバー59は図示位置に停止したまま、駆動シャフト56は回転を続け、カード搬送は継続される。同様に、エレベータ部50が、図18に矢印Iで示す方向にカードを搬送する場合、駆動シャフト56を矢印J方向に回転駆動する。このとき、押板レバー59は駆動シャフト56同様矢印J方向に回転した後、下ストッパ63に当たり、図18に示す位置で停止する。この状態で駆動シャフト56を矢印J方向に回転させ続けると、トルクリミッタ58が空回りし、押板レバー59は図示位置に停止したまま、駆動シャフト56は回転を続け、カード搬送は継続される。
【0034】
以下、図22に示したフローチャートを用いて、カード収納部9内の発行前カードの枚数を計数する方法について説明する。なお、図19は、カード収納部9内のカード束20の最下部にある1枚のカード70を繰出し、エレベータ部50に受け渡した状態を示している。
【0035】
エレベータ部50の搬送ローラ54、55を、矢印K方向にカードを搬送する方向に駆動し、繰出し爪12を矢印K方向に移動することで、カード70を繰出し口41から繰出し、搬送ローラ54へ受渡し、その後、搬送ローラ55へ受け渡す(ステップ301)。カード70の後端が搬送センサ51を通過後、図19に示すように一定距離を搬送して停止させる(ステップ302)。エレベータ部50が搬送を停止した後も、トルクリミッタの抵抗により押板レバー59は図19に示す位置にある。
【0036】
次に、図20に示すように、エレベータ部50の搬送ローラ54、55を、カード70を矢印L方向に搬送する方向に駆動し、カード70をエレベータ部50内で移動させる。具体的には、カード70の先端が搬送センサ51を通過後、一定距離を搬送して停止させる(ステップ303)。このとき、押板レバー59は図20に示す状態となる。
【0037】
上述した動作中に、搬送センサ51により当該カードが仕切りカード42かどうかを判定する(ステップ304)。判定の結果、仕切りカード42でなかった場合は(ステップ304にてNの場合)、エレベータ部50を、図22に示すようにカードをカード収納部に回収する位置まで上昇移動させる(ステップ305)。このとき、押板レバー59の先端が押板43の突出部と一体に取り付けられているスライド軸受け44の下端に当たり、押板43を図示位置にまで押し上げる。これにより、カード収納部9内の仕切りカード42と押板43との間にカードを回収収納する空間が形成される。この状態で搬送ローラ54、55をカードを回収する方向に駆動してカード70を仕切りカード42の上に回収収納し(ステップ306)、搬送センサ51でカードの通過を検出して枚数をカウントし(ステップ307)、図22に示すようにエレベータ部50を、繰出したカードを受取る位置にまで下降移動させる(ステップ308)。
【0038】
その後、ステップ301以降の動作を繰り返し行う。すなわち、搬送ローラ54、55を駆動し、繰出し爪12を移動することで、図19で説明した方法と同じように次のカードを繰出す。以上説明した動作により、カード収納部9内のカードを一枚ずつ繰出し、仕切りカード42と押板43の間に積載収納し、カード収納部9内のカードの枚数を計数する。
【0039】
図24はカード束20を構成する全てのカードの繰出し、回収を終えた状態を示している。この状態で目的とする計数を終えているが、カード発行装置としては計数終了を認識していない状態であり、引き続き仕切りカード42を繰出し、エレベータ部50に受け渡し、エレベータ部50内でカード70を処理する際と同様に仕切りカード42を移動する(ステップ301、302、303)。このときに、搬送センサ51で仕切りカード42に設けられた切欠きあるいは穴を検出し、これが仕切りカードであることを認識した場合(ステップ304にてYの場合)、エレベータ部50を回収位置に移動し(ステップ309)、仕切りカード42を、他のカードと同様に押板43の下に回収収納する(ステップ310)。このとき、搬送センサ51は仕切りカード42の通過を検出するが、ステップ304で通過するものがカードではなく仕切りカード42であることがわかっているので、通過を検出してもカード枚数としてはカウントしない。その後、エレベータ部50をカード繰出し位置に移動して動作を終了する(ステップ311)。この状態で計数動作を終了し、カード発行の指示を待つ状態となる。
【0040】
以上説明したような方法によりカード発行装置内の発行前のカードの枚数が自動計数される。上述の方法でそれぞれのカード収納部に対して自動計数を行うことで、カード発行装置内にある全ての発行前カードの枚数を自動計数でき、計数終了後に自動でカード発行を行える状態に戻ることができる。
【符号の説明】
【0041】
C1:カード発行装置制御部、C2:カードリーダライタ制御部、1:カード発行装置、2:エレベータ式搬送部、3:印字部、4:カードリーダライタ、5:回収部、6:カード放出口、7、8、9:カード収納部、10:繰出し口、11:回収口、12:繰出し爪、13:引抜きローラ、14:回収ローラ、15、16:搬送ローラ、17:繰出しセンサ、18:回収センサ、19:搬送センサ、20:カード束、21:押板、22:エレベータ部、23:検知レバー、23a:検知レバーの回転支点、24:バネ、25:レバーセンサ、26:カード、30:繰出し口、31:回収口、32:押板、33:収納部底板、40:繰出し口、41:回収口、42:仕切りカード、43:押板、44:スライド軸受け、45:スライドシャフト、46:バネ、50:エレベータ部、51:搬送センサ、52、53:フレーム、54、55:搬送ローラ、56:駆動シャフト、57:シャフト、58:トルクリミッタ、59:押板レバー、60:タイミングプーリ、61:タイミングベルト、62:上ストッパ、63:下ストッパ、64:搬送ガイド、70:カード
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード収納部に収納されたカード束からカードを繰出し、カードへの印刷や磁気情報の書き込みなどを行い発行するカード発行装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャッシュカードやクレジットカードなどの発行を行うカード発行装置においては、装置内に収納された発行前のカードは、盗難にあうなどした場合、そのカードに磁気情報などを書き込まれて不正に利用される可能性もあるため、厳重な管理が必要とされている。
【0003】
装置内のカードの枚数を管理する方法として、特許文献1には、カードに付与されたシリアル番号を読み取って装置内のどこにどのカードがあるのかを管理する方法が記載されている。また、特許文献2には、カード収納部に積載されたカード束の積載高さを計測し、これをカード1枚の厚さで割ることで枚数を算出する方法が記載されている。さらに、カード収納部にカードを収納する際に枚数を数えてこれを記録しておき、カードを発行するたびに記録されている枚数から発行した枚数を減算していき回数を管理するという方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−339407号公報
【特許文献2】特開2002−324268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カードにシリアル番号を付与することはカードのコストアップにつながるという問題があり、また、カード収納部に積載されたカード束の積載高さを計測し、これをカード1枚の厚さで割ることで枚数を算出する方法ではカードの厚さのばらつきにより正確な枚数を算出できないという問題がある。さらに、カード収納部にカードを収納する際に枚数を数えてこれを記録する方法では、人手による計数のために数え間違いをする可能性や、計数を行う係員が故意に実際の枚数より少ない枚数を記録し、記録した枚数と実際の枚数との差の枚数のカードを盗むという不正行為を行えるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決する手段のひとつとして、本発明によれば、発行前のカードを収納するカード収納部と、カード表面に印字を行う印刷部と、カードに顧客情報を記録するカードリーダライタ部と、カードを搬送する搬送部と、各部を制御する制御部と、を有するカード発行装置であって、前記カード収納部は、収納されたカードを前記搬送部へ繰出す繰出し口と、前記搬送部へ繰出されたカードを該カード収納部内に回収するために、前記繰出し口と別に設けられた回収口と、を備えたことを特徴とするカード発行装置が提供される。前記搬送部は、該搬送部の移動方向と直交する方向にカードを搬送する搬送路を内部に有する構成としても良い。
【0007】
さらに、上述の構成に加え、本発明によれば、カード収納部の内部にカード束に押圧を加えるための押板と、前記押板を検知する検知手段とを備え、前記制御部は、前記検知手段によって前記押板が前記カード収納部の最下部に収納されていることを検知した場合、該カード収納部に収納されたカードの前記搬送部への繰出を停止させることを特徴とするカード発行装置が提供される。
また、前記制御部は、前記押板を前記繰出し口から前記搬送部へ繰出し、前記回収口から該カード収納部内に回収しても良い。この場合、前記押板の一部はカード1枚の厚さと同等の厚さであり、前記繰出し口の一部はカードの厚さ方向の開口寸法が、カード1枚の厚さよりも大きく、カード2枚の厚さよりも小さくしても良い。
また、前記押板は、前記搬送部の移動に連動して移動させても良い。
【発明の効果】
【0008】
上述のように構成された本発明により提供されるカード発行装置によれば、カード収納部内のカードを1枚ずつ繰出し、回収することでカードの枚数を計数でき、カードにシリアル番号を付与するなどしてカードをコストアップすることなく、カード収納部内のカードの枚数を正確に自動計数することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】カード発行装置の構成図である。
【図2】カード発行装置の機能ブロック図である。
【図3】カード収納部および搬送手段の構成例を示す図である。
【図4】カード収納部および搬送手段の構成例を示す図である。
【図5】カード収納部および搬送手段の構成例を示す図である。
【図6】実施例1に記載の動作を説明するフローチャートである。
【図7】カード収納部内のカード束、押板および検知レバーの形状と位置関係とを示す図である。
【図8】カード収納部および搬送手段の構成例を示す図である。
【図9】繰出しローラ、回収ローラの位置を説明する図である。
【図10】繰出口、回収口の形状を説明する図である。
【図11】繰出し爪、収納部底板とカード、押板の位置関係を説明する図である。
【図12】繰出し爪、収納部底板とカード、押板の位置関係を説明する図である。
【図13】実施例2に記載の動作を説明するフローチャートである。
【図14】カード収納部および搬送手段の構成例を示す図である。
【図15】カード収納部および搬送手段の構成例を示す平面図である。
【図16】エレベータ部の一部を示す斜視図である。
【図17】エレベータ部の押板レバーの動作を説明する図である。
【図18】エレベータ部の押板レバーの動作を説明する図である。
【図19】カード収納部内のカードの計数方法を説明する図である。
【図20】カード収納部内のカードの計数方法を説明する図である。
【図21】実施例3に記載の動作を説明するフローチャートである。
【図22】カード収納部内のカードの計数方法を説明する図である。
【図23】カード収納部内のカードの計数方法を説明する図である。
【図24】カード収納部内のカードの計数方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0010】
本発明の第一の実施例を、図1から図7を用いて説明する。図1および図2は、それぞれカード発行装置の構成図およびカード発行装置の機能ブロック図を示したものである。カード発行装置1は、後述する各部にカードを搬送するエレベータ式搬送部2、カード表面に印刷を行う印刷部3、カードの磁気ストライプや接触式ICチップに顧客情報を書き込むカードリーダライタ部4、発行に失敗したカードを回収する回収部5、カードを放出するカード放出口6、発行前のカードを収納するカード収納部7、8、9、カードリーダライタ部4およびカード放出口6を制御するカードリーダライタ部C2、および装置の各部を制御するカード発行装置制御部C1とにより構成されている。
【0011】
カード収納部7、8、9には、磁気ストライプや接触式ICチップが設けられたカードが収納され、各々のカード収納部には異なる種類のカードを収納することが出来る。すなわち、カード発行装置1は、最大3種類のカードを選択して発行を行うことが可能な装置である。
【0012】
カード発行を行う際には、まずカード収納部7、8、9のいずれか指定されたものよりカードを1枚繰出し、エレベータ式搬送部2に受け渡し、エレベータ式搬送部2によりカードを印刷部3へ搬送し、印刷部3でカード表面にカード番号などの情報を印刷する。その後、再びエレベータ式搬送部2にカードを受渡し、エレベータ式搬送部2によりカードをカードリーダライタ部4に搬送し、カードリーダライタ部4にてカードの磁気ストライプや接触式ICチップに情報を書き込んだ後、カード放出口6よりカードを放出する。
【0013】
図3から図5は、カード収納部7とエレベータ式搬送部2の一部を示しており、カード収納部7内のカード束20のカード長辺を正面に見る方向から見た図である。本実施例では、一例としてカード収納部7を用いて説明するが、カード収納部8、カード収納部9についても同じ構成となっている。
【0014】
カード収納部7にはカードを繰出す繰出し口10とカードをカード収納部7の中に回収する回収口11が設けられている。繰出し口10のカード厚さ方向の開口寸法は、カード1枚の厚さよりも大きく、カード2枚分の厚さよりも小さな値となっており、これにより2枚以上のカードを重ねて繰出すことがないようにしている。繰出し口10の近傍には、繰出し口10から繰出されたカードをカード収納部7の外へ引抜くための1対の引抜きローラ13および当該部位をカードが通過したことを検出する繰出しセンサ17が設けられており、回収口11の近傍には、カード収納部7の中にカードを回収するための1対の回収ローラ14および当該部位をカードが通過したことを検出する回収センサ18が設けられている。
【0015】
また、カード収納部7の下部には、繰出し爪12が設けられている。繰出し爪12にはカード1枚分の厚さよりも低い段差が設けられており、繰出し爪12を図示しない繰出し爪駆動機構により図3に示す矢印A方向に駆動すると、繰出し爪12の段差がカード収納部7の中に積載収納されたカード束20の最下部のカード1枚を引っかけ、矢印A方向に繰出し口10から繰出すよう構成されている。また、カード束20の上には押板21が置かれている。押板21は自重によりカード束20に押圧を加え、これによりカード繰出しの際のカードの浮き上がりを防止し、確実に繰出し爪12の段差にカード束20の最下部のカード1枚が引っかかるようにしている。
【0016】
以下、図6に示したフローチャートを用いて、カード収納部7内のカードの枚数を計数する方法について説明する。まず、繰出し爪12を図3に示す矢印A方向に駆動して1枚のカードを繰出し、繰出されたカードを、一対の引抜きローラ13によりカード収納部7より引抜き、エレベータ部22に受け渡す(ステップ101)。ここで、エレベータ部22は、繰出されたカードを搬送する搬送路の一部を搬送路ごと図示上下方向に移動可能に構成したものであり、2対の搬送ローラ15、16およびカードを検出する搬送センサ19を含んでいる。
【0017】
カードを受取ったエレベータ部22は、図示しない上下移動駆動機構により図4に示す位置まで上方向に移動される(ステップ102)。その後、図4に示す搬送ローラ15、16を、繰出されたカードを受取る際と逆の方向に回転させ、カードを回収ローラ14に受渡し、回収ローラ14によりカードをカード収納部7の中に回収する(ステップ103)。この際、回収センサ18でカードの通過を検出し、枚数をカウントする(ステップ104)。その後、エレベータ部22を再び図3に示す位置まで下降させる(ステップ105)。以後、このような繰出し、回収動作をカード1枚ずつ繰り返し実行しながらカードの枚数を計数してゆく。本実施例では、回収センサ18により計数を行うが、繰出しセンサ17、回収センサ18、搬送センサ19のいずれかまたは全てを使用してカードの通過枚数を計数することでも同様に計数が可能である。図4は最初に繰出されたカード26を回収する時の状態を表しており、図示の通り最初に繰出されたカード26は押板21の上に収納され、2枚目以降に繰出されたカードは、前に収納されたカードの上に堆積収納される。
【0018】
図5はカード収納部7内の全てのカードの繰出および回収が終了した状態を表しており、押板21を最下部に、その上に全てのカードが堆積収納されている。ここで、押板21がカード収納部7内で最下部に来たことは、カード収納部7の下部に配置された、検知レバー23と、バネ24と、検知レバー23の位置を検出する光学式センサであるレバーセンサ25とから構成されるカード有無検知手段により検出される。支点23aまわりに回転可能に取り付けられた検知レバー23はバネ24に引かれて先端が上方に動く方向に付勢されており、図3および図4に示す状態ではカード束20の下面に先端が当たる状態で止まっている。
【0019】
図7は、カード束20、押板21および検知レバー23の形状と位置関係とを表す平面図であり、検知レバー23の先端位置は図7にBおよびCで示す範囲に位置するよう構成されている。よって、図5に示す、押板21がカード収納部7内の最下部に来た際には、検知レバー23の先端は押板21には当たらずに押板21のすぐ上にあるカード束20の最下部のカードに当たって止まることになり、図3、図4の状態と比べると、押板21の厚さの分だけ先端が上方に回転した状態となる。検知レバー23がこの状態になったことを検出できる位置にレバーセンサ25が配置されているため、カード有無検知手段により押板21がカード収納部7内の最下部に来たこと、すなわちカード収納部7内の全てのカードの繰出し、回収が終了したことが検出される(ステップ106)。
【0020】
以上説明したような方法によりカード発行装置内の発行前のカードの枚数が自動計数される。上述の方法でそれぞれのカード収納部に対して自動計数を行うことで、カード発行装置内にある全ての発行前カードの枚数を自動計数できる。計数終了時には、カード発行装置またはカード発行装置に接続された別の装置に設けられた図示しない表示手段を用いてカードの計数が終了したことを係員に伝え(ステップ107)、カード収納部の最下部にある押板21をカード束20の上に移動するよう促す。
【実施例2】
【0021】
本発明の第二の実施例を、図1、図2、図8から図13を用いて説明する。図8は、本実施例におけるカード収納部8とエレベータ式搬送部2の一部を示している。本実施例では、一例としてカード収納部8を用いて説明するが、カード収納部7、カード収納部9についても同じ構成となっている。
【0022】
図9から図12は、カード収納部8を繰出し口30と回収口31を正面に見る方向から見た図である。図9に示す通り、引抜きローラ13と回収ローラ14は、カードを短辺方向の中央付近で挟持するよう配置されている。図示していないが、図8に示すエレベータ部22の搬送ローラ15、16についてもカード短辺方向のローラ位置は引抜きローラ13、回収ローラ14と同様である。
【0023】
図10は、図9から引抜きローラ13と回収ローラ14を表示しない状態を示しており、繰出し口30と回収口31の形状を説明する図である。繰出し口30においては、カード短辺方向の中央付近では上下方向の開口寸法Dがカード1枚の厚さよりも大きく、カード2枚の厚さよりも小さくなっており、両端部の上下方向の開口寸法EはDよりも大きくなっている。また、回収口31の上下方向の開口寸法Fは寸法Eと同等または寸法Eより大きくなっている。
【0024】
図11および図12は、図10において繰出し口30、回収口31を有する壁面を表示しない状態を示しており、カード収納部8内のカード束20、押板32、収納部底板33および繰出し爪12の形状および位置関係を説明する図である。押板32はカード短辺方向の中央付近の厚さ寸法をカード1枚の厚さと同等すなわち図10の寸法Dよりも小さく、両端部の厚さ寸法を図10の寸法Eよりも小さい範囲で中央付近よりも大きく作られており、繰出し口30を通過できる形状となっている。押板32はこのように両端を厚くすることで、カード繰出しに必要となる自重を確保している。収納部底板33は、その上面で押板32の薄い部分を受けるように配置されており、繰出し爪12は収納部底板33の上面に接したカードまたは押板32に対し、繰出し用の段差が引っかかるような位置に配置されている。
【0025】
上記のような構成することで、本実施例においては、押板32をカードと同様に繰出し口30から繰出すことを可能にしている。また、押板32には搬送センサ19で検出可能な位置に図示しない切欠きまたは穴が設けられており、繰出し口30から繰出されたものがカードであるか押板32であるかを搬送センサ19で検出することができる。本実施例では、搬送センサ19により押板32に設けられた図示しない切欠きあるいは穴を検出するが、繰出しセンサ17、回収センサ18、搬送センサ19のいずれかまたは全てを使用して検出するように構成しても同様の動作が可能である。
【0026】
以下、図14に示したフローチャートを用いて、カード収納部8内のカードの枚数を計数する方法について説明する。なお、図10は計数開始時の状態を示した図であり、図11がカード収納部8内の全てのカードの繰出し、回収を終了した状態を示した図である。
【0027】
まず、繰出し口30からカード束20の最下部のカード1枚を繰出し、エレベータ部22に受け渡す(ステップ201)。ここで、エレベータ部22内の搬送センサ19により繰出されたものがカードであるか押板32であるかを判定する(ステップ202)。判定の結果がカードであった場合には(ステップ202にてNの場合)、エレベータ部22をカード回収位置に移動し(ステップ203)、カードをカード収納部8内に回収収納し(ステップ204)、この際に回収センサ17でカードの通過を検出して枚数をカウントし(ステップ205)、エレベータ部22をカード繰出し位置に移動する(ステップ206)。その後、ステップ201以降の動作を繰り返し行う。
【0028】
一方、上記搬送センサ19による判定の結果が押板であった場合には(ステップ202にてYの場合)、エレベータ部22をカード回収位置に移動し(ステップ207)、押板32をカード収納部8内に回収収納する(ステップ208)。このとき、回収センサ17は押板32の通過を検出するが、ステップ202で通過するものがカードではなく押板32であることがわかっているので、通過を検出してもカード枚数としてはカウントしない。その後、エレベータ部22をカード繰出し位置に移動して動作を終了する(ステップ209)。このようにして、図11の状態から、図10の状態すなわちカード発行動作を開始できる状態へと自動で復帰する。
【0029】
以上説明したような方法によりカード発行装置内の発行前のカードの枚数が自動計数される。上述の方法でそれぞれのカード収納部に対して自動計数を行うことで、カード発行装置内にある全ての発行前カードの枚数を自動計数でき、計数終了後に、係員に操作を促すことなく自動でカード発行を行える状態に戻ることができる。
【実施例3】
【0030】
本発明の第三の実施例を、図1、図2、図14から図24を用いて説明する。図14は、本実施例におけるカード収納部9とエレベータ式搬送部2の一部であるエレベータ部50を示しており、カード収納部9内のカード束20のカード長辺を正面に見る方向から見た図である。本実施例では、一例としてカード収納部9を用いて説明するが、カード収納部7、カード収納部8についても同じ構成となっている。図15は図14に示すカード収納部9とエレベータ部50を上から見た平面図である。また、図16は図14に示すエレベータ部50のうち搬送ローラ54付近を示す斜視図である。
【0031】
以下、図14から図16を用いてカード収納部9およびエレベータ部50の構成を説明する。図14に示す通り、カード収納部9には前述のふたつの実施例同様、カード繰出し口40とカード回収口41が設けられている。カード収納部9内のカード束20の上に置かれている仕切りカード42は、形状や材質はカード束20を構成する発行前カードと同じものであるが、発行前カードとは別の用途に使用するものであり、仕切りカード42であることが識別できるよう、エレベータ部50内の搬送センサ51で検出できる位置に、図示しない切欠きまたは穴を設けてある。仕切りカード42の上には押板43がある。図15に示すように押板43はカード収納部9から一部が突出する形状となっており、この突出部と一体に取り付けられているスライド軸受け44を介してスライドシャフト45に上下移動可能に取り付けられている。さらに、押板43はバネ46により図14に示す下方向に力を加えられており、これによりカード束20および仕切りカード42に押圧を与えている。
【0032】
エレベータ部50は、それぞれ内側に一対の搬送ガイド64を設けたフレーム52、53、搬送センサ51、および2対の搬送ローラ54、55により構成されており、さらに搬送ローラ54の下側のローラと一体に構成された駆動シャフト56には、フレーム52の外側にトルクリミッタ58を介して押板レバー59が取り付けられている。また、搬送ローラ55の下側のローラと一体に構成されたシャフト57および駆動シャフト56にはフレーム53の外側にタイミングプーリ60が取り付けられており、図示しないモータからの動力がタイミングベルト61により伝達され、駆動される。さらにフレーム52には、押板レバー59を停止させる目的で、上ストッパ62と下ストッパ63が設けられている。
【0033】
次に、押板レバー59の動作について、図17、図18を用いて説明する。エレベータ部50が、図17に矢印Gで示す方向にカードを搬送する場合、駆動シャフト56を矢印H方向に回転駆動する。このとき、押板レバー59は駆動シャフト56同様矢印H方向に回転した後、上ストッパ62に当たり、図17に示す位置で停止する。この状態で駆動シャフト56を矢印H方向に回転させ続けると、トルクリミッタ58が空回りし、押板レバー59は図示位置に停止したまま、駆動シャフト56は回転を続け、カード搬送は継続される。同様に、エレベータ部50が、図18に矢印Iで示す方向にカードを搬送する場合、駆動シャフト56を矢印J方向に回転駆動する。このとき、押板レバー59は駆動シャフト56同様矢印J方向に回転した後、下ストッパ63に当たり、図18に示す位置で停止する。この状態で駆動シャフト56を矢印J方向に回転させ続けると、トルクリミッタ58が空回りし、押板レバー59は図示位置に停止したまま、駆動シャフト56は回転を続け、カード搬送は継続される。
【0034】
以下、図22に示したフローチャートを用いて、カード収納部9内の発行前カードの枚数を計数する方法について説明する。なお、図19は、カード収納部9内のカード束20の最下部にある1枚のカード70を繰出し、エレベータ部50に受け渡した状態を示している。
【0035】
エレベータ部50の搬送ローラ54、55を、矢印K方向にカードを搬送する方向に駆動し、繰出し爪12を矢印K方向に移動することで、カード70を繰出し口41から繰出し、搬送ローラ54へ受渡し、その後、搬送ローラ55へ受け渡す(ステップ301)。カード70の後端が搬送センサ51を通過後、図19に示すように一定距離を搬送して停止させる(ステップ302)。エレベータ部50が搬送を停止した後も、トルクリミッタの抵抗により押板レバー59は図19に示す位置にある。
【0036】
次に、図20に示すように、エレベータ部50の搬送ローラ54、55を、カード70を矢印L方向に搬送する方向に駆動し、カード70をエレベータ部50内で移動させる。具体的には、カード70の先端が搬送センサ51を通過後、一定距離を搬送して停止させる(ステップ303)。このとき、押板レバー59は図20に示す状態となる。
【0037】
上述した動作中に、搬送センサ51により当該カードが仕切りカード42かどうかを判定する(ステップ304)。判定の結果、仕切りカード42でなかった場合は(ステップ304にてNの場合)、エレベータ部50を、図22に示すようにカードをカード収納部に回収する位置まで上昇移動させる(ステップ305)。このとき、押板レバー59の先端が押板43の突出部と一体に取り付けられているスライド軸受け44の下端に当たり、押板43を図示位置にまで押し上げる。これにより、カード収納部9内の仕切りカード42と押板43との間にカードを回収収納する空間が形成される。この状態で搬送ローラ54、55をカードを回収する方向に駆動してカード70を仕切りカード42の上に回収収納し(ステップ306)、搬送センサ51でカードの通過を検出して枚数をカウントし(ステップ307)、図22に示すようにエレベータ部50を、繰出したカードを受取る位置にまで下降移動させる(ステップ308)。
【0038】
その後、ステップ301以降の動作を繰り返し行う。すなわち、搬送ローラ54、55を駆動し、繰出し爪12を移動することで、図19で説明した方法と同じように次のカードを繰出す。以上説明した動作により、カード収納部9内のカードを一枚ずつ繰出し、仕切りカード42と押板43の間に積載収納し、カード収納部9内のカードの枚数を計数する。
【0039】
図24はカード束20を構成する全てのカードの繰出し、回収を終えた状態を示している。この状態で目的とする計数を終えているが、カード発行装置としては計数終了を認識していない状態であり、引き続き仕切りカード42を繰出し、エレベータ部50に受け渡し、エレベータ部50内でカード70を処理する際と同様に仕切りカード42を移動する(ステップ301、302、303)。このときに、搬送センサ51で仕切りカード42に設けられた切欠きあるいは穴を検出し、これが仕切りカードであることを認識した場合(ステップ304にてYの場合)、エレベータ部50を回収位置に移動し(ステップ309)、仕切りカード42を、他のカードと同様に押板43の下に回収収納する(ステップ310)。このとき、搬送センサ51は仕切りカード42の通過を検出するが、ステップ304で通過するものがカードではなく仕切りカード42であることがわかっているので、通過を検出してもカード枚数としてはカウントしない。その後、エレベータ部50をカード繰出し位置に移動して動作を終了する(ステップ311)。この状態で計数動作を終了し、カード発行の指示を待つ状態となる。
【0040】
以上説明したような方法によりカード発行装置内の発行前のカードの枚数が自動計数される。上述の方法でそれぞれのカード収納部に対して自動計数を行うことで、カード発行装置内にある全ての発行前カードの枚数を自動計数でき、計数終了後に自動でカード発行を行える状態に戻ることができる。
【符号の説明】
【0041】
C1:カード発行装置制御部、C2:カードリーダライタ制御部、1:カード発行装置、2:エレベータ式搬送部、3:印字部、4:カードリーダライタ、5:回収部、6:カード放出口、7、8、9:カード収納部、10:繰出し口、11:回収口、12:繰出し爪、13:引抜きローラ、14:回収ローラ、15、16:搬送ローラ、17:繰出しセンサ、18:回収センサ、19:搬送センサ、20:カード束、21:押板、22:エレベータ部、23:検知レバー、23a:検知レバーの回転支点、24:バネ、25:レバーセンサ、26:カード、30:繰出し口、31:回収口、32:押板、33:収納部底板、40:繰出し口、41:回収口、42:仕切りカード、43:押板、44:スライド軸受け、45:スライドシャフト、46:バネ、50:エレベータ部、51:搬送センサ、52、53:フレーム、54、55:搬送ローラ、56:駆動シャフト、57:シャフト、58:トルクリミッタ、59:押板レバー、60:タイミングプーリ、61:タイミングベルト、62:上ストッパ、63:下ストッパ、64:搬送ガイド、70:カード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発行前のカードを収納するカード収納部と、カード表面に印字を行う印刷部と、カードに顧客情報を記録するカードリーダライタ部と、カードを搬送する搬送部と、各部を制御する制御部と、を有するカード発行装置であって、
前記カード収納部は、収納されたカードを前記搬送部へ繰出す繰出し口と、前記搬送部へ繰出されたカードを該カード収納部内に回収するために、前記繰出し口と別に設けられた回収口と、を備えたことを特徴とするカード発行装置。
【請求項2】
請求項1記載のカード発行装置であって、
前記搬送部は、該搬送部の移動方向と直交する方向にカードを搬送する搬送路を内部に有することを特徴とするカード発行装置。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2に記載のカード発行装置であって、
前記カード収納部は、内部にカード束に押圧を加えるための押板と、前記押板を検知する検知手段とを備え、
前記制御部は、前記検知手段によって前記押板が前記カード収納部の最下部に収納されていることを検知した場合、該カード収納部に収納されたカードの前記搬送部への繰出を停止させることを特徴とするカード発行装置。
【請求項4】
請求項1あるいは請求項2に記載のカード発行装置であって、
前記カード収納部は、内部にカード束に押圧を加えるための押板を備え、
前記制御部は、前記押板を前記繰出し口から前記搬送部へ繰出し、前記回収口から該カード収納部内に回収することを特徴とするカード発行装置。
【請求項5】
請求項4記載のカード発行装置であって、
前記押板の一部はカード1枚の厚さと同等の厚さであり、前記繰出し口の一部はカードの厚さ方向の開口寸法が、カード1枚の厚さよりも大きく、カード2枚の厚さよりも小さいことを特徴とするカード発行装置。
【請求項6】
請求項1あるいは請求項2記載のカード発行装置であって、
前記カード収納部は、内部にカード束に押圧を加えるための押板を備え、
前記押板は、前記搬送部の移動に連動して移動することを特徴とするカード発行装置。
【請求項1】
発行前のカードを収納するカード収納部と、カード表面に印字を行う印刷部と、カードに顧客情報を記録するカードリーダライタ部と、カードを搬送する搬送部と、各部を制御する制御部と、を有するカード発行装置であって、
前記カード収納部は、収納されたカードを前記搬送部へ繰出す繰出し口と、前記搬送部へ繰出されたカードを該カード収納部内に回収するために、前記繰出し口と別に設けられた回収口と、を備えたことを特徴とするカード発行装置。
【請求項2】
請求項1記載のカード発行装置であって、
前記搬送部は、該搬送部の移動方向と直交する方向にカードを搬送する搬送路を内部に有することを特徴とするカード発行装置。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2に記載のカード発行装置であって、
前記カード収納部は、内部にカード束に押圧を加えるための押板と、前記押板を検知する検知手段とを備え、
前記制御部は、前記検知手段によって前記押板が前記カード収納部の最下部に収納されていることを検知した場合、該カード収納部に収納されたカードの前記搬送部への繰出を停止させることを特徴とするカード発行装置。
【請求項4】
請求項1あるいは請求項2に記載のカード発行装置であって、
前記カード収納部は、内部にカード束に押圧を加えるための押板を備え、
前記制御部は、前記押板を前記繰出し口から前記搬送部へ繰出し、前記回収口から該カード収納部内に回収することを特徴とするカード発行装置。
【請求項5】
請求項4記載のカード発行装置であって、
前記押板の一部はカード1枚の厚さと同等の厚さであり、前記繰出し口の一部はカードの厚さ方向の開口寸法が、カード1枚の厚さよりも大きく、カード2枚の厚さよりも小さいことを特徴とするカード発行装置。
【請求項6】
請求項1あるいは請求項2記載のカード発行装置であって、
前記カード収納部は、内部にカード束に押圧を加えるための押板を備え、
前記押板は、前記搬送部の移動に連動して移動することを特徴とするカード発行装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図9】
【図10】
【図11】
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【図15】
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【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−8653(P2011−8653A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153189(P2009−153189)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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