説明

カーペット裏材

【課題】易リサイクル性、環境負荷低減化に加えて、吸音特性に優れたカーペット裏材の提供。
【解決手段】ポリ乳酸を主としてなる短繊維により構成されたニードルパンチ不織布であって、該短繊維の平均繊度が0.8〜8dtexで、平均繊維長が30〜100mmであるものを用いられてなり、該不織布の少なくとも片面が、前記短繊維同士の融着により微細孔を有するフィルムを形成してなることを特徴とするカーペット裏材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然循環型の環境対応素材で構成された吸音性に優れたカーペット裏材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、石油資源の大量消費によって生じる地球温暖化や、大量消費に伴う石油資源の枯渇が懸念されており、地球規模にて環境に対する意識が高まりつつある。このような背景において、植物由来原料(バイオマス)からなり、使用後は自然環境中で最終的に水と二酸化炭素にまで分解する、自然循環型の環境対応素材が切望されている。
【0003】
しかしながら、このようなバイオマス利用の生分解性ポリマーは、製造コストが高く、また力学特性や耐熱性が低いという問題があり、汎用プラスチックとして利用されることはなかった。これらを解決できるバイオマス利用の生分解性ポリマーとして、現在、最も注目されているのは脂肪族ポリエステルの一種であるポリ乳酸である。ポリ乳酸は、植物から抽出したでんぷんを発酵することにより得られる乳酸を原料としたポリマーであり、バイオマス利用の生分解性ポリマーの中では、力学特性、耐熱性およびコストのバランスが最も優れている。そして、これを利用した樹脂製品、繊維、フィルムおよびシート等の開発が急ピッチで行われている。
【0004】
かかる状況下において、ポリ乳酸繊維の開発としては、生分解性を活かした農業資材や土木資材等が先行しているが、それに続く大型の用途として衣料用途や衛生材料用途、寝装用途、さらには自動車用途への応用も期待されている。
【0005】
特に、2005年1月に自動車リサイクル法の施行が決定されてより、自動車およびその部材の易リサイクル性、環境負荷低減化が強く求められている。
【0006】
周知のように、自動車内装材においては、搭乗者に対する車外からの騒音を低減するために吸音材が大量に使用されている。これらの自動車吸音材料としては、ガラス繊維、ウレタンフォームや雑フェルト、さらには高融点熱可塑性繊維と低融点熱可塑性繊維を用いたものなど多数提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0007】
しかし、これらの素材を用いた吸音材は、吸音性は十分満たしているが、易リサイクル性、低環境負荷という観点から自動車素材の適合性を勘案した場合は不十分であった。このように、易リサイクル性を有し、環境に対する負荷が低い原料からなる吸音材は未だ提案されていないのが現状である。
【0008】
また、熱処理により表面が膜状となった不織布吸音材が提案されているが(例えば特許文献3参照)吸音材表面を完全にフィルム化した、無孔膜状としたものが記載されており、かかる吸音材をカーペット裏材として用いた場合、床材との摩擦抵抗性が弱く、カーペットが固定できない等の懸念があった。
【特許文献1】特開平7−3599号公報
【特許文献2】特開2004−145180号公報
【特許文献3】特開2000−199161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、易リサイクル性、環境負荷低減化に加えて、吸音特性に優れたカーペット裏材を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のカーペット裏材は、ポリ乳酸を主としてなる短繊維により構成されたニードルパンチ不織布であって、該短繊維の平均繊度が0.8〜8dtexで、平均繊維長が30〜100mmであるものを用いられてなり、該不織布の少なくとも片面が、前記短繊維同士の融着により微細孔を有するフィルムを形成してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、易リサイクル性、低環境負荷、および良好な吸音特性を有するカーペット裏材を得ることができ、かかるカーペット裏材は、特に自動車用フロアマット裏材として好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、上記課題、つまり易リサイクル性、環境負荷低減化に加えて、吸音特性に優れたカーペット裏材について、鋭意検討し、ポリ乳酸を主としてなる短繊維より構成された不織布において、その少なくとも片面を特定な通気性を持たせる形で溶融・融着加工してフィルム化してみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0013】
まず、本発明カーペット裏材に使用される繊維としては、ポリ乳酸から製造されたものであることが必要である。かかるポリ乳酸繊維は、コスト、紡糸性、カード通過性などの点で、他の非石油系ポリマーより優れているためである。ここで「ポリ乳酸繊維」とは、乳酸やラクチド等の乳酸のオリゴマーを重合したものをいい、L体あるいはD体の光学純度は、融点が高くなり、耐熱性が向上する90重量%以上が好ましく、97重量%以上がより好ましい。また、L体の光学純度90重量%以上のポリ乳酸とD体の光学純度90重量%以上のポリ乳酸を70/30〜30/70の比率でブレンドしたものは融点がさらに向上するため好ましい態様である。また、ポリ乳酸の性質を損なわない範囲で、乳酸以外の成分を共重合していてもよいし、またポリ乳酸以外のポリマーや粒子、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、消臭剤、抗菌剤、抗酸化剤あるいは着色顔料等の添加物を含有していてもよい。また、染色等の熱水処理によるポリ乳酸の加水分解抑制や製品の経時による物性低下抑制を目的として、カルボジイミド化合物等の末端封鎖剤を含有していてもよい。
【0014】
かかるポリ乳酸ポリマーの分子量は、力学特性と成形性のバランスがよい、重量平均分子量で5万〜50万が好ましく、10万〜35万がより好ましい。
【0015】
また、不織布としたときの摩耗性、形態安定性を向上させるといった点から、他のポリマーからなる繊維を50重量%を超えない範囲の混率で混合されていてもよい。かかる他のポリマーからなる繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、芳香族ポリアミド繊維、耐炎化繊維など公知の繊維を使用することができる。ただし、これらの素材の中で、非石油系原料を用いて製造された繊維は、環境負荷低減という本発明のコンセプトに反しない範囲において、50重量%を超えて用いても構わない。かかる非石油系原料からなる繊維としては、例えば、ポリトリメチレンテレフタレート繊維を使用することができる。
【0016】
本発明の不織布を構成する繊維は、その平均繊度が0.8〜8dtexの範囲内の繊維で形成されたものであることが必要である。平均繊度が8dtexより大きくなると、カーペット裏材としての十分な吸音性を得ることができず、0.8dtexより小さくなると、通常の溶融紡糸法では製造が困難となり、コストアップとなるだけでなく、取り扱い性も低下するといった問題が発生する。かかる不織布を形成する繊維の断面形状は、特に限定されず、例えば、丸、三角、扁平など、公知のものを用いることができる。また、その平均繊維長は、短繊維をカードに通過させるときの通過性が良好であることから、30〜100mmの範囲にあるものが好ましく、35〜60mmがより好ましく採用される。さらに、不織布を構成する繊維は、厚み、目付の調整が行いやすいということから、捲縮を付与した短繊維を用いるのが好ましい。
【0017】
また、本発明の不織布は、目付が100〜1000g/mで、かつ厚みが1〜50mmの範囲内であるものが好ましく使用される。すなわち、目付が100g/mよりも小さく、かつ、厚みが1mmよりも小さくなると、吸音効果を得るための密度、厚みが損なわれ、十分な吸音性を得ることができなくなる。一方、目付が1000g/mよりも大きく、かつ、厚みが50mmよりも大きくなると、重量、厚みが大きくなりすぎて、カーペット裏材として用いることが難しくなる。
【0018】
さらに、本発明の不織布には、熱接着成分として、該不織布の主体構成繊維であるポリ乳酸繊維よりも低い融点を有する熱可塑性ポリマーを鞘部分に配された芯鞘複合繊維を混合することが、不織布にしたときの強度および形態安定性を高める上で好ましく使用される。この熱接着性芯鞘複合繊維は、低融点成分を30〜70重量%の範囲で鞘成分として構成されたものであることが熱接着の効果が良好であることから好ましい。さらに、低融点成分の融点は、溶融・融着加工後の形態安定性の点から、ポリ乳酸繊維よりも40℃以上低いものが好ましく使用される。
【0019】
さらに、本発明の不織布は、開繊後、カーディングを行い、得られたウェブをクロスラッパーにて積層し、得られた繊維集合体をニードルパンチ加工施すことで製造することができる。かかるニードルパンチ加工における針打ち込み密度は、80〜400本/cmが好ましい。かかる針打ち込み密度が、80本/cmより少ないと、カーペット裏材として必要な強度を得ることができず、逆に400本/cmを越えると、カーペット裏材としての柔らかさを損なうことになる。
【0020】
ところで、本発明のカーペット裏材は、かくして得られるニードルパンチ不織布の少なくとも片側の表面を、特定な表面状態に溶融・融着加工することによって得ることができる。つまり、該表面を構成する短繊維を溶融し、かつ、融着してフィルム化させたものである。かかる特定な表面状態に溶融・融着加工処理を施すことにより、この層が、音波と共振をすることにより、特定の音波を吸収する層となりカーペット裏材として好適な吸音性を得ることができる。
【0021】
すなわち、表面を特定な表面状態に溶融・融着加工するための加熱処理する方法としては、ホットロールによる加熱が好ましく採用される。ホットロールによる加熱によれば、不織布片面のみを均一に溶融・融着処理することができる。ホットロールの表面温度は、ポリ乳酸の融点より高い、170〜210℃の範囲で行う。170℃よりも低温であると、ニードルパンチ不織布表面の融着が十分でなく、210℃より高いとニードルパンチ不織布の風合いが堅くなるばかりか、表面の微細な細孔が形成されず十分な吸音性を得ることができなくなる。ロール間距離は、加工前不織布の厚みよりも小さくし、加工前不織布の厚みよりも1〜5mm小さく設定することが好ましい。ロール間距離を加工前不織布の厚みよりも5mm以上小さくした場合、製品の風合いが堅くなるばかりか、表面の微細な細孔が形成されず、十分な吸音性を得ることができなくなる。さらに、ホットロールの加工速度は、1〜10m/min、さらに好ましくは1〜5m/min以下であることが好ましい。加工速度が10m/min以上であると、表面の溶融状態が十分でなく、フィルム状に加工することが難しい。また、1m/min以下であると、製品の風合いが堅くなるばかりか、表面の細孔が形成されず、必要な吸音性を得ることができなくなる。またホットロールの表面温度は、可能な限り均一であることが好ましく、その温度差は、中央部と端部で±3℃以内が好ましい。より好ましくは、±1℃以内である。
【0022】
前記の条件下によるホットロールによる加熱によれば、表面をフィルム状に溶融・融着させた後、微細な細孔が無数に点在する表面となり、良好な吸音性を有するカーペット裏材を得ることができる。つまり、溶融されてフィルム化されているが通気性を有する微細孔を有する溶融フィルムで構成されている形に形成することができる。
【0023】
細孔の口径は、1〜250μmであることが好ましい。さらに好ましくは、5〜100μmである。細孔の口径が250μmよりも大きくなると、カーペット裏材としての通気度が大きくなり、良好な吸音性を得ることができなくなる。
【0024】
カーペット裏材は、JIS L 1096に基づいて測定される通気度として、1〜150cm/cm・secであるものが、対象とする吸音領域に最適の吸音ピーク持つ不織布を提供することができる点で好ましい。
【0025】
さらにフィルム状に溶融された部分の厚みは、50〜250μmであれば、フィルム状の部分が、特定周波数と共振することで、カーペット裏材として必要な1000Hz近傍に吸音ピークが発現する。
【0026】
続いて、カーペット裏材とカーペット基材を積層させる工程であるが、この積層は生分解性の接着剤により接着されることが、廃棄時の処理の利便性から好ましい。
【0027】
かかる生分解性の接着剤としては、デンプンやポリブチレンサクシネート、ポリカクロラクトンなどからなるものが挙げられるが、易リサイクルの観点からポリ乳酸系の接着剤を使用することが好ましいが、通常用いられているSBR、NBR樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の接着剤を用いることができる。
【0028】
接着の方法としては、特に限定されず、熱接着シートを用いて積層後、熱接着させる方法、繊維構造体中に熱接着短繊維を混合し、不織布同士を熱接着する方法、接着剤をスプレー噴霧し不織布同士を接着する方法などが挙げられる。中でも、取り扱い易さの点で接着剤をスプレー噴霧し、不織布同士を接着させる方法が好ましい。
【0029】
本発明の吸音材の製造方法により、易リサイクル性、低環境負荷性に加え、低周波領域から高周波領域といった広範囲において優れた吸音性を有するカーペット裏材を容易に得ることができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の吸音材の実施例を説明する。
【0031】
なお、実施例中における特性の測定方法としては、以下の方法を用いた。
【0032】
A.平均繊度(dtex)
JIS L 1015(1999) 8.5.1 A法に基づき、試料若干量を金ぐしで平行に引きそろえ、これを切断台上に載せ、適度の力でまっすぐに張ったままゲージ板を圧着し、安全かみそりなどの刃で30mmの長さに切断し、繊維を数えて300本を一組とし、その質量を量り、見掛け繊度を求めた。この見掛け繊度と別に測定した平衡水分率とから、次の式によって繊度を算出し、正量繊度を算出した。
正量繊度(dtex)=D'×(100+Rc)/(100+Re)
ここに、D':見かけ繊度(dtex)
Rc:公定水分率(%)
Re:平衡水分率(%)。
【0033】
B.平均繊維長
JIS L 1015(1999) 8.4.1 A法に基づき、200mgの資料を金ぐしで平行に引きそろえ、ペア形ソーターでステープルダイヤグラムを約25cm幅に作成した。作成の際、繊維を全部ビロード板上に配列するためにグリップでつかんで引き出す回数は、約70回とした。この上に目盛りを刻んだセルロイド板を置き、方眼紙上に図記した。この方法で図記したステープルダイヤグラムを50の繊維長群に等分し、各区分の境線および両端の繊維長を測定し、両端繊維長の平均に49の境界繊維長を加えて50で除し、平均繊維長を算出した。
【0034】
C.目付(g/m
JIS L 1096(1999) 8.4.2に基づき、20cm×20cmの試験片3枚を採取し、それぞれの標準状態における質量(g)を量り、次の式によって、1m当たりの質量(g/m)を求めた。
=W/A
:目付(g/m
W:標準状態における試験片の質量(g)
A:試験片の面積(m)。
【0035】
D.厚み(mm)
JIS L 1096(1999) 8.5.1に基づき、試料の異なる5カ所について、厚さ測定器を用いて、10秒間、23.5kPaの圧力をかけ厚みを測定した。
【0036】
E.通気度 (cm/cm・sec)
JIS L 1096(1999) 8.27.1 A法に基づき、フラジール形試験器を用い、円筒の一端に試験片を取り付けた後、加減抵抗器によって傾斜形気圧機が125Paの圧力を示すように吸込みファンを調整し、そのときの垂直形気圧計の示す圧力と、使用した空気孔の種類とから、試験機に附属の表によって試験片を通過する空気量を求めた。
【0037】
F.吸音性
JIS A 1405:1998に拠って測定した。
カーペット基材とカーペット裏材とを貼り合わせてカーペットとした試料から直径90mmの円形の試験片を3枚採取した。
試験装置としては、電子測器株式会社製の自動垂直入射吸音率測定器(型式10041A)を用いた。この試験装置におけるインピーダンス管は、外径101.6mm、内径91.6mm、全長2160mmであった。
試験片を、カーペット裏材側を音波の入射面として、インピーダンス管の一端に金属反射板との間に空気層がないように設置した。そして、100〜2000Hzの周波数域の音波を段階的に試験片に垂直に入射させ、その周波数の平面波について入射音響パワーに対して試験体表面に入る(戻ってこない)音響パワーの比(垂直入射吸音率)を測定し、3枚の試験片についての平均値を算出した。
【0038】
G.平均孔径
フィルム状の面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して、100倍に拡大し、縦800μm、横1000μmの視野の中から、面内の島数が30を超える場合にはn数30を無作為に抽出し、島一つ一つの横断を画像解析ソフトウェアにて測定し、当該面積から、真円換算にて直径を算出した。
【0039】
[実施例1]
(カーペット裏材)
繊度1.7dtex、繊維長38mmのポリ乳酸短繊維を用い、開繊機を2回通過させ、繊維を開繊させた後、この繊維を計量し、パラレルカードマシンにてウェブを作成した。作成したウェブをニードルパンチマシン(針本数40本/cm)にて片面1回ずつ通過させ、繊維を絡合させ、目付374g/m、厚み2.8mmのニードルパンチ不織布を作成した。
【0040】
得られた不織布をロール中央部と端部にて温度差170℃±1℃に設定し、クリアランスを不織布の厚みより1.8mm小さい1.0mmに設定したホットロールにて加工速度2m/minにて片面を溶融・融着加工して、通気度4cm/cm・sec、厚み1.1mmのカーペット裏材を得た。繊維同士の融着により形成されたフィルム表面における微細孔の平均孔径は35μmであった。
【0041】
(カーペット基材)
ポリ乳酸からなるかさ高加工糸(BCF)(繊度2000dtex、96フィラメント)を2本合糸し、160回/m撚糸を行った後、目付100g/mのポリエチレンテレフタレートスパンボンド一次基布に1/10ゲージ、ステッチ7.5、パイル長10mmにタフトマシンを用いてタフトを行い、カーペット基材を得た。
【0042】
(カーペット)
上記で得られたカーペット裏材にアクリル樹脂を20g/cmスプレー塗布し、上記で得られたカーペット基材と貼り合わせてカーペットとした。
吸音性を測定したところ、1000Hzにて88%、1250Hzにて96%と良好なものであった。
【0043】
[実施例2]
(カーペット裏材)
ホットロール加工時のクリアランスを1.8mmとした以外は実施例1と同様にして、通気度7cm/cm・sec、厚み2.7mmのカーペット裏材を得た。繊維同士の融着により形成されたフィルム表面における微細孔の平均孔径は、44μmであった。
【0044】
(カーペット基材)
実施例1と同様にしてカーペット基材を得た。
【0045】
(カーペット)
上記で得られたカーペット裏材を用いた以外は実施例1と同様にして、カーペットを得た。
その吸音性は、1000Hzにて76%、1250Hzにて100%と良好なものであった。
【0046】
[実施例3]
(カーペット裏材)
繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリ乳酸短繊維を用いた以外は実施例1と同様にして、通気度17cm/cm・sec、厚み1.6mmのカーペット裏材を得た。繊維同士の融着により形成されたフィルム表面における微細孔の平均孔径は75μmであった。
【0047】
(カーペット基材)
実施例1と同様にしてカーペット基材を得た。
【0048】
(カーペット)
上記で得られたカーペット裏材を用いた以外は実施例1と同様にして、カーペットを得た。
その吸音性は、1000Hzにて95%、1250Hzにて90%と良好なものであった。
【0049】
[実施例4]
(カーペット裏材)
繊度6.6dtex、繊維長51mmのポリ乳酸短繊維を用いた以外は実施例1と同様にして、通気度130cm/cm・sec、厚み2.4mmのカーペット裏材を得た。繊維同士の融着により形成されたフィルム表面における微細孔の平均孔径は、212μmであった。
【0050】
(カーペット基材)
実施例1と同様にしてカーペット基材を得た。
【0051】
(カーペット)
上記で得られたカーペット裏材を用いた以外は実施例1と同様にして、カーペットを得た。
その吸音性は、1000Hzにて80%、1250Hzにて100%と良好なものであった。
【0052】
[比較例1]
(カーペット裏材)
繊度1.7dtex、繊維長51mmのポリ乳酸短繊維を用い、開繊機を2回通過させ、繊維を開繊させた後、この繊維を計量し、パラレルカードマシンにてウェブを作成した。作成したウェブをニードルパンチマシン(針本数40本/cm)にて片面1回ずつ通過させ、繊維を絡合させ、目付374g/m、厚み2.8mmのニードルパンチ不織布を作成し、カーペット裏材とした。
【0053】
(カーペット基材)
実施例1と同様にしてカーペット基材を得た。
【0054】
(カーペット)
上記で得られたカーペット裏材を用いた以外は実施例1と同様にして、カーペットを得た。
【0055】
[比較例2]
(カーペット裏材)
繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリ乳酸短繊維を用い、開繊機を2回通過させ、繊維を開繊させた後、この繊維を計量し、パラレルカードマシンにてウェブを作成した。作成したウェブをニードルパンチマシン(針本数40本/cm)にて片面1回ずつ通過させ、繊維を絡合させ、目付377g/m、厚み2.5mmのニードルパンチ不織布を作成し、カーペット裏材とした。
【0056】
(カーペット基材)
実施例1と同様にしてカーペット基材を得た。
【0057】
(カーペット)
上記で得られたカーペット裏材を用いた以外は実施例1と同様にして、カーペットを得た。
【0058】
[比較例3]
(カーペット裏材)
繊度6.6dtex、繊維長51mmのポリ乳酸短繊維を用い、開繊機を2回通過させ、繊維を開繊させた後、この繊維を計量し、パラレルカードマシンにてウェブを作成した。作成したウェブをニードルパンチマシン(針本数40本/cm)にて片面1回ずつ通過させ、繊維を絡合させ、目付374g/m、厚み3.4mmのニードルパンチ不織布を作成し、カーペット裏材とした。
【0059】
(カーペット基材)
実施例1と同様にしてカーペット基材を得た。
【0060】
(カーペット)
上記で得られたカーペット裏材を用いた以外は実施例1と同様にして、カーペットを得た。
【0061】
【表1】

【0062】
表1から明らかなように、実施例1〜4のカーペット裏材は、優れた吸音性を発現したが、比較例のカーペット裏材は、実施例のものに比して吸音性に劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の吸音材は、優れた吸音性を発現し、易リサイクル性、低環境負荷性を両立するため、自動車用途、建築用途、土木用途、家電用途、オーディオ機器用途に好適に用いることができる。
【0064】
また、本発明の吸音材の製造方法により、易リサイクル性、低環境負荷性に加え、優れた吸音性を有する吸音材を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】この図は、本発明のカーペット裏材を構成する不織布の一例における表面形状を示す写真図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸を主としてなる短繊維により構成されたニードルパンチ不織布であって、該短繊維の平均繊度が0.8〜8dtexで、平均繊維長が30〜100mmであるものを用いられてなり、該不織布の少なくとも片面が、前記短繊維同士の融着により微細孔を有するフィルムを形成してなることを特徴とするカーペット裏材。
【請求項2】
前記微細孔が平均孔径1〜250μmである、請求項1に記載のカーペット裏材。
【請求項3】
JIS L1096に基づいて測定される通気度が1〜150cm/cm・secである、請求項1または2に記載のカーペット裏材。
【請求項4】
該カーペット裏材が、自動車用フロアマット裏材として用いられる自動車内装材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカーペット裏材。

【図1】
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【公開番号】特開2007−314906(P2007−314906A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145027(P2006−145027)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】