ガイドカテーテルおよびステントデリバリーシステム
【課題】一般的に普及している既存のステントを使用することが可能であり、かつ2つ以上のステントを連続させて配置する場合にいずれのステントをも引き戻すことが可能なステントデリバリーシステムを提供する。
【解決手段】このステントデリバリーシステムS1は、ステント1の内側に挿入され、自らの内側に挿通されるガイドワイヤ20によりステント1とともに生体内に挿入されるガイドカテーテル10と、ガイドカテーテル10を内側に挿入された上でガイドカテーテル10とともに生体内に挿入され、ステント1をガイドカテーテル10に沿って押推する管状のプッシュカテーテル30と、ステント1から突き出すガイドカテーテル10の先端部に設けられ、先端部にガイドワイヤ20を挿入した状態ではステント1を係止し、先端部からガイドワイヤ20を抜き去った状態ではステント1の係止を解く係止部15とを備える。
【解決手段】このステントデリバリーシステムS1は、ステント1の内側に挿入され、自らの内側に挿通されるガイドワイヤ20によりステント1とともに生体内に挿入されるガイドカテーテル10と、ガイドカテーテル10を内側に挿入された上でガイドカテーテル10とともに生体内に挿入され、ステント1をガイドカテーテル10に沿って押推する管状のプッシュカテーテル30と、ステント1から突き出すガイドカテーテル10の先端部に設けられ、先端部にガイドワイヤ20を挿入した状態ではステント1を係止し、先端部からガイドワイヤ20を抜き去った状態ではステント1の係止を解く係止部15とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消化器系、呼吸器系、沁尿器系または生殖器系等の管腔部位にステントを留置するためのガイドカテーテル、およびステントデリバリーシステムに関する。
本願は、2006年6月30日に出願された米国特許出願第11/479,515について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ステントは、消化器系、呼吸器系、沁尿器系または生殖器系等の管腔器官のどこかに狭窄または閉塞が生じた場合、本来その部分が担っていた機能を回復するために、その部分に配置されて通道を確保する。
【0003】
上記のような管腔器官の処置を必要とする部分にステントを配置する手技は、近年、内視鏡および専用の処置具を使用して行われるケースが多い。例えば、下記の特許文献1には、このような手技に使用されるステントデリバリーシステムが開示されている。具体的には、ガイドカテーテルと、ガイドワイヤと、プッシュカテーテルと、ステントをプッシュカテーテルの先端に離脱可能に接続するスーチャー(糸)とを備えている。ガイドカテーテルは、ステントの内側に挿入されており、ステントとともに生体内に挿入される。ガイドワイヤは、ガイドカテーテルの内側に挿入されるようにして、ガイドカテーテルおよびステントを生体内に案内する。プッシュカテーテルは、ガイドカテーテルを内側に挿入されたうえでガイドカテーテルとともに生体内に挿入され、ステントをガイドカテーテルに沿って押推する。スーチャーは、プッシュカテーテルの先端に形成された孔に通されたうえで、環をなすように両端を結ばれている。さらに、スーチャーの一部は、ステントに形成された孔を通じてステントの内側に通され、ループを形成している。このループに、ガイドカテーテルの先端が差し込まれることにより、スーチャーがステントから離脱できなくなっている。つまり、スーチャーを介してプッシュカテーテルの先端に離脱可能にステントが接続されている。
【0004】
手技にあたっては、まず、上記のように組み合わされた4つの部材、すなわちステント、ガイドカテーテル、プッシュカテーテルおよびスーチャーを、ガイドワイヤに沿って内視鏡の挿入部のチャンネルに挿入し、挿入部の先端から突出させ、ステントおよびガイドカテーテルの先端を、管腔器官の処置を必要とする部分に挿入する。
【0005】
続いて、ガイドワイヤおよびプッシュカテーテルを定位置に保持したまま、ガイドカテーテルを、内視鏡の挿入部のチャンネルから抜き出す方向に引っ張って後退させる。このとき、必ずしもガイドカテーテルをすべて抜き去る必要はない。ガイドカテーテルが引っ張られると、その先端がスーチャーのループから抜き去られるので、ガイドカテーテルによるステントの拘束が解かれる。続いて、ガイドワイヤを、ガイドカテーテルと同様に内視鏡の挿入部のチャンネルから抜き出す方向に引っ張って後退させる。このときも、必ずしもガイドワイヤをすべて抜き去る必要はない。ガイドワイヤが引っ張られると、その先端がスーチャーのループから抜き去られるので、ガイドカテーテルによるステントの拘束が解かれ、ステントとプッシュカテーテルとのスーチャーを介した係合関係が解かれる。
【0006】
続いて、プッシュカテーテルを内視鏡の挿入部のチャンネルから抜き出す方向に引っ張ると、既にプッシュカテーテルとの係合関係が解かれているので、ステントのみが管腔器官の処置を必要とする部分に留置される。
【0007】
上記の手技において、ステントおよびガイドカテーテルの先端を、管腔器官の処置を必要とする部分に挿入したとき、ステントを、処置を必要とする部分よりも奥に配置してしまった場合は、ガイドカテーテルやガイドワイヤを引っ張る前に、すなわちステントとプッシュカテーテルとの係合関係を解く前にプッシュカテーテルを少し引っ張る。これにより、プッシュカテーテルの先端に接続されているステントを所望の位置に戻すことが可能である。
【特許文献1】米国特許第5921952号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のステントデリバリーシステムにおいては、ステント、ガイドカテーテルおよびプッシュカテーテルが予め組み付けた状態で提供され、そのような器具についてのみステントの引き戻し操作を可能にしているので、一般に普及している既存のステントを適宜使用することができないという問題がある。
また、2つ以上のステントを連続させて配置する必要がある場合、2つめ以降のステントについては、これらを引き戻すことができないという問題がある。
さらに、ガイドカテーテルやプッシュカテーテルの内側に特殊な形状をした専用の器具を挿入する必要があるので、上記システムは適用可能な内視鏡の種類が限られるという問題がある。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、一般的に普及している既存のステントを使用することが可能であり、かつ2つ以上のステントを連続させて配置する場合にいずれのステントをも引き戻すことが可能なステントデリバリーシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のガイドカテーテルは、ステントの内側、および前記ステントを押推するプッシュカテーテルの内側に挿入され、自らの内側に挿通されたガイド部材に案内されて前記ステントおよび前記プッシュカテーテルとともに生体内に挿入されるものであって、前記ステントから突き出す前記ガイドカテーテルの先端部に、前記先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ステントの係止を解く係止部が設けられている。
【0011】
本発明のガイドカテーテルにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって外側に突き出すように支持されて前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って元の位置に回帰し、前記ステントの係止を解いてもよい。
【0012】
本発明のガイドカテーテルにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって内側に変位しないように支持されて前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って内側に変位可能であってもよい。
【0013】
本発明のガイドカテーテルにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の内側面に、前記ガイドカテーテルの内側に突き出すように設けられていてもよいし、前記ガイドカテーテルの管壁の外側面に、前記ガイドカテーテルの外側に突き出すように設けられていてもよい。
【0014】
本発明のガイドカテーテルにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁と一体に形成された肉厚部であってもよいし、前記ガイドカテーテルの管壁に固着された別部材であってもよい。
【0015】
本発明のガイドカテーテルにおいて、前記ガイドカテーテルの先端部に、前記係止部の変位を行い易くするための切り込みが形成されていてもよい。
【0016】
本発明のステントデリバリーシステムは、筒状のステントを生体内の所望の位置に配置するためのステントデリバリーシステムであって、前記ステントの内側に挿入され、自らの内側に挿通されるガイド部材によって前記ステントとともに前記生体内に挿入されるガイドカテーテルと、管状に形成され、前記ガイドカテーテルを内側に挿入されたうえで前記ガイドカテーテルとともに前記生体内に挿入され、前記ステントを前記ガイドカテーテルに沿って押推するプッシュカテーテルと、前記ステントから突き出す前記ガイドカテーテルの先端部に設けられ、前記先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ステントの係止を解く係止部とを備える。
【0017】
本発明のステントデリバリーシステムにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって外側に突き出すように支持されて前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って元の位置に回帰し、前記ステントの係止を解いてもよい。
【0018】
本発明のステントデリバリーシステムにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって内側に変位しないように支持されて前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って内側に変位可能であってもよい。
【0019】
本発明のステントデリバリーシステムにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の内側面に、前記ガイドカテーテルの内側に突き出すように設けられていてもよいし、前記ガイドカテーテルの管壁の外側面に、前記ガイドカテーテルの外側に突き出すように設けられていてもよい。
【0020】
本発明のステントデリバリーシステムにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁と一体に形成された肉厚部であってもよいし、前記ガイドカテーテルの管壁に固着された別部材であってもよい。
【0021】
本発明のステントデリバリーシステムにおいて、前記ガイドカテーテルの先端部には、前記係止部の変位を行い易くするための切り込みが形成されていてもよい。
【0022】
本発明のステントデリバリーシステムにおいて、前記ステントの内側面に、内側に突き出すように突起が形成され、前記係止部は、前記突起と係合することによって前記ステントを係止してもよい。
【0023】
本発明のステントデリバリーシステムにおいて、前記ステントおよび前記プッシュカテーテルは、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では、前記ガイドカテーテルの前記ガイド部材が挿入された部分に係合していてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明のガイドカテーテル、およびステントデリバリーシステムによれば、一般的に普及している既存のステントを使用することができる。さらに、2つ以上のステントを連続させて配置する場合にいずれのステントをも引き戻すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明のステントデリバリーシステムの第1の実施形態について、図1から図9を参照して説明する。
本実施形態のステントデリバリーシステムS1は、図1に示すように、ガイドカテーテル10と、プッシュカテーテル30とを備えている。
ガイドカテーテル10は、ステント1の内側に挿入されたうえで、ステント1とともに、あらかじめ目的の部位に挿入されたガイドワイヤ(ガイド部材)20に案内され、内視鏡の挿入部のチャンネルを通じて生体内に挿入される。プッシュカテーテル30は、ガイドカテーテル10を内側に挿入されたうえでガイドカテーテル10とともに生体内に挿入され、ステント1をガイドカテーテル10に沿って押推する。
【0026】
ステントデリバリーシステムS1によって生体内に配置されるステント1は、樹脂または金属からなり、円筒状に形成されている。ステント1の両端には、生体内の狭窄部分に挿入されたとき、周囲の生体組織に係止してステント1自身を定位置に保持するアンカーとしてのフラップ2が形成されている。
【0027】
ガイドカテーテル10は樹脂からなり、可撓性を有する長尺の管状に形成されている。ガイドカテーテル10の内径は、ガイドワイヤ20を抜去可能に挿入することが可能な大きさである。
【0028】
ガイドカテーテル10の先端部には、X線透視下でガイドカテーテル10の先端を造影し易くするための造影部11が設けられている。ガイドカテーテル10の基端には、ガイドカテーテル10を操作する際に術者に把持される口金12が設けられている。また、口金12に近いガイドカテーテル10の外側面には、プッシュカテーテル30に対するガイドカテーテル10の相対位置を術者に対して明らかにし、ガイドカテーテル10の引き量を認識させるための指標13が設けられている。
【0029】
さらに、ガイドカテーテル10の先端部には、係止部15が設けられている。係止部15は、ガイドカテーテル10の先端部にガイドワイヤ20を挿入した状態ではステント1を係止し、同先端部からガイドワイヤ20を抜き去った状態ではステント1の係止を解く。
【0030】
係止部15は、ガイドカテーテル10の管壁の一部に形成された切欠16と、切欠16を形成された管壁からガイドカテーテル10の半径方向の外側に向けて突き出す突起17とを備えている。切欠16は、ガイドカテーテル10の孔10aに連通している。突起17は、図2に示すように、ガイドカテーテル10と一体に形成されており、ガイドカテーテル10の先端に向けて傾斜する斜面17aと、ガイドカテーテル10の基端に向けて傾斜する斜面17bとを有している。斜面17bは、斜面17aよりも強く傾斜している。また、突起17の先端からガイドカテーテル10の中心軸線Cを挟んで反対側の管壁の外側面までの距離L1は、ステント1の内径D1よりも大きい。
【0031】
ガイドカテーテル10の内側にガイドワイヤ20が挿入された状態では、切欠16からガイドワイヤ20が露出する。また、この状態では、ガイドカテーテル10の内側に挿入されたガイドワイヤ20が、突起17を内側からサポートし、突起17がガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが阻止される。一方、ガイドカテーテル10からガイドワイヤ20が抜き出された状態では、突起17が内側からサポートされなくなるので、突起17がガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが可能になる。
【0032】
ガイドワイヤ20は、樹脂製または金属製のワイヤであって、ガイドカテーテル10の内側に挿通される。
【0033】
プッシュカテーテル30は樹脂からなり、ガイドカテーテル10と同じく可撓性を有する長尺の管状に形成されている。プッシュカテーテル30の内径は、ガイドカテーテル10を抜去可能に挿入することが可能な大きさである。プッシュカテーテル30の基端には、プッシュカテーテル30を操作する際に術者に把持される口金31が設けられている。
【0034】
ステント1およびプッシュカテーテル30は、ガイドカテーテル10の先端部にガイドワイヤ20を挿入した状態では、ガイドカテーテル10に係合している。
【0035】
上記のように構成されたステントデリバリーシステムS1を使用して、胆管に生じた狭窄部分にステントを配置する手技の手順を説明する。
手技にあたっては、まず、生体内に内視鏡の挿入部6を挿入し、挿入部6の先端を、十二指腸乳頭Aの近傍に到達させる。なお、内視鏡には側視型を使用する。この内視鏡の挿入部6の先端には、チャンネル7の開口に隣接して、起上台8が設けられている。起上台8は、自らが起き上がることにより、挿入部6の先端から突出する処置具の突出角度を調整するように湾曲させる。起上台8は、内視鏡の基端に設けられた操作部(図示略)を操作することにより駆動される。
【0036】
続いて、挿入部6のチャンネル7にカニューラを挿入し、挿入部6の先端から突出させる。さらに、起上台8によってカニューラを湾曲させ、カニューラの先端を胆管Bに挿入する。そして、カニューラを通じて胆管Bに造影剤を注入する。造影剤を注入したら、カニューラを通じて胆管Bの狭窄部分Xにガイドワイヤ20を挿入し、図3に示すように、ガイドワイヤ20だけを残して胆管Bおよびチャンネル7からカニューラを抜き去る。
【0037】
続いて、図1のように組み合わされた3つの部材、すなわちステント1、ガイドカテーテル10およびプッシュカテーテル30を、ガイドワイヤ20に沿ってチャンネル7に挿入し、挿入部6の先端から突出させる。さらに、起上台8によってガイドカテーテル10、ガイドワイヤ20およびプッシュカテーテル30を湾曲させ、図4に示すように、ステント1およびガイドカテーテル10の先端を胆管Bの狭窄部分Xに挿入する。
【0038】
続いて、図6に示すように、プッシュカテーテル30を定位置に保持したまま、ガイドワイヤ20を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させる。このとき、必ずしもガイドワイヤ20をすべて抜き去る必要はない。ガイドワイヤ20を引っ張ると、ガイドワイヤ20の先端はステント1から抜き去られ、プッシュカテーテル30の内側に後退する。ガイドワイヤ20の先端をプッシュカテーテル30の内側に後退させると、突起17を内側からサポートするガイドワイヤ20が無くなるので、突起17はガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが可能になる。
【0039】
続いて、図7に示すように、プッシュカテーテル30を定位置に保持したまま、ガイドカテーテル10を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させる。このとき、必ずしもガイドカテーテル10をすべて抜き去る必要はない。術者は、指標13を目安にして、プッシュカテーテル30に対してガイドカテーテル10を相対的に移動させればよい。ガイドカテーテル10を引っ張ると、突起17がステント1の端面に突き当たる。ガイドワイヤ20の先端がガイドカテーテル10の先端から突出した状態では、ガイドワイヤ20が突起17を内側からサポートするので、突起17がガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが阻止される。しかしながら、既にガイドワイヤ20の先端をプッシュカテーテル30の内側に後退させているので、ガイドカテーテル10を引っ張ると、突起17は、ステント1の端面1aから作用する反力によってガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位する。
【0040】
突起17がガイドカテーテル10の内側に変位すると、係止部15によるステント1の係止が解除される。指標13が口金31から外に出るまでガイドカテーテル10を引っ張ると、図8に示すように、ガイドカテーテル10の先端はステント1から抜き去られ、プッシュカテーテル30の内側に後退する。
【0041】
続いて、プッシュカテーテル30を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させると、図5に示すように、最終的にステント1のみが胆管Bの内部に留置される。
【0042】
上記の手技において、ステント1およびガイドカテーテル10の先端を狭窄部分Xに挿入したとき、ステント1を所望の位置よりも奥に配置してしまった場合は、ガイドワイヤ20を後退させる前にガイドカテーテル10およびプッシュカテーテル30を少し引っ張る。これにより、プッシュカテーテル30の先端に保持されているステント1を所望の位置に戻すことが可能である。
【0043】
上記のように構成されたステントデリバリーシステムS1によれば、ガイドカテーテル10に設けられた係止部15が、プッシュカテーテル30の先端でステント1を係止するので、ステント1を所望の位置よりも深く挿入してしまっても、ステント1の位置を正すことができる。
【0044】
ステントデリバリーシステムS1は、ガイドカテーテル10やプッシュカテーテル30の内側に特別な器具を挿入する必要がなく、従来のステントデリバリーシステムと基本的な構成が同じなので、従来のステントデリバリーシステムで使用していた内視鏡に適用することができる。すなわち、従来のステントデリバリーシステムを使用するときと同じ内径のチャンネルに挿入することができる。
【0045】
ステントデリバリーシステムS1においては、既存のステント1を使用することが可能である。また、内径および外径が、ガイドカテーテル10の外径やプッシュカテーテル30の外径と適合するのであれば、材質や長さ、フラップの形状が異なるステントであっても使用することができるので、汎用性が高い。さらに言えば、治療に適した形状および材質のステントを、手技に際して術者が自らステントデリバリーシステムに装着して使用することが可能である。
【0046】
本実施形態においては、図9に示すように、ガイドワイヤ20の外側面に、ガイドカテーテル10に対するガイドワイヤ20の相対位置を術者に対して明らかにし、ガイドワイヤ20の引き量を認識させるための指標21を設けてもよい。この場合、術者は、指標21を目安にして、ガイドカテーテル10に対してガイドワイヤ20を相対的に移動させる。指標21が口金12から外に出るまでガイドワイヤ20を引っ張ると、ガイドワイヤ20の先端はステント1から抜き去られ、プッシュカテーテル30の内側に確実に後退する。
【0047】
本発明のステントデリバリーシステムの第2の実施形態について、図10から図16を参照して説明する。なお、第1の実施形態において既に説明した構成要素には同一の符号を付し、その説明については省略する。
【0048】
本実施形態のステントデリバリーシステムS2を構成するガイドカテーテル10の先端部には、図10および図11に示すように、係止部45が設けられている。係止部45は、ガイドカテーテル10の先端部にガイドワイヤ20を挿入した状態ではステント1を係止し、同先端部からガイドワイヤ20を抜き去った状態ではステント1の係止を解く。
【0049】
係止部45は、ガイドカテーテル10の管壁の外側面からガイドカテーテル10の半径方向の外側に向けて突き出す2つの突起46,47を備えている。突起46,47は、ガイドカテーテル10の中心軸線Cを挟んでガイドカテーテル10の半径方向に離間して配置されており、ガイドカテーテル10と一体に形成された肉厚部である。また、一方の突起46の先端から他方の突起47の先端までの距離L2は、ステント1の内径D1よりも大きい。
【0050】
ガイドカテーテル10の内側にガイドワイヤ20が挿入された状態では、ガイドワイヤ20が突起46,47を内側からサポートし、突起46,47がガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが阻止される。一方、ガイドカテーテル10からガイドワイヤ20が抜き出された状態では、突起46,47が内側からサポートされなくなるので、突起46,47がガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが可能になる。
【0051】
上記のように構成されたステントデリバリーシステムS2を使用して、胆管に生じた狭窄部分にステントを配置する手技の手順を説明する。なお、ステント1およびガイドカテーテル10の先端を狭窄部分Xに挿入するまでの手順は第1の実施形態と同じなので、詳しい説明は省略する。
【0052】
ステント1およびガイドカテーテル10の先端を狭窄部分Xに挿入したら、プッシュカテーテル30を定位置に保持したまま、ガイドワイヤ20を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させる。ガイドワイヤ20の先端をプッシュカテーテル30の内側に後退させると、突起46,47を内側からサポートするガイドワイヤ20が無くなるので、図12に示すように、突起46,47はガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが可能になる。
【0053】
続いて、プッシュカテーテル30を定位置に保持したまま、ガイドカテーテル10を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させる。ガイドカテーテル10を引っ張ると、突起46,47がステント1の端面に突き当たる。ガイドワイヤ20の先端がガイドカテーテル10の先端から突出した状態では、ガイドワイヤ20が突起17を内側からサポートし、突起46,47がガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが阻止される。しかしながら、既にガイドワイヤ20の先端をプッシュカテーテル30の内側に後退させているので、ガイドカテーテル10を引っ張ると、突起46,47は、ステント1の端面1aから作用する反力によってガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位し、図13に示すように、ガイドカテーテル10の先端がステント1の内側に引き込まれ、係止部45によるステント1の係止が解除される。指標13が口金31から外に出るまでガイドカテーテル10を引っ張ると、ガイドカテーテル10の先端はステント1から抜き去られ、プッシュカテーテル30の内側に後退する。
【0054】
続いて、プッシュカテーテル30を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させると、最終的にステント1のみが胆管Bの内部に留置される。
【0055】
上記のように構成されたステントデリバリーシステムS2によれば、ガイドカテーテル10に設けられた係止部45が、プッシュカテーテル30の先端でステント1を係止するので、ステント1を所望の位置よりも深く挿入してしまっても、ステント1の位置を正すことができる。
【0056】
ステントデリバリーシステムS2は、従来のステントデリバリーシステムと基本的な構成が同じなので、従来のステントデリバリーシステムで使用していた内視鏡に適用することができる。また、既存のステント1を使用することが可能であって、治療に適した形状および材質のステントを、手技に際して術者が自らステントデリバリーシステムに装着して使用することが可能である。
【0057】
本実施形態においては、突起46,47が、ガイドカテーテル10と一体に形成された肉厚部である。しかしながら、図14に示すように、ガイドカテーテル10の管壁にガイドカテーテル10とは別の部材を固着することにより、突起46a,47aを形成してもよい。
【0058】
加えて、図15に示すように、突起46,47近傍のガイドカテーテル10の管壁に、切り込み48を形成してもよい。これにより、突起46,47がガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位するとき、図16に示すように、ガイドカテーテル10の管壁が弾性変形し易くなるので、突起46,47を変位させるためにガイドカテーテル10に作用させる力、すなわち、ガイドカテーテル10を引っ張るときに術者がガイドカテーテル10に作用させる力が、切り込み48を形成しない場合と比較して小さい。その結果、術者の負担を軽減することができる。
【0059】
本発明のステントデリバリーシステムの第3の実施形態について、図17から図19を参照して説明する。なお、第1、第2の実施形態において既に説明した構成要素には同一の符号を付し、その説明については省略する。
【0060】
本実施形態のステントデリバリーシステムS3を構成するガイドカテーテル10の先端部には、図17および図18に示すように、係止部55が設けられている。係止部55は、ガイドカテーテル10の先端部にガイドワイヤ20を挿入した状態ではステント1を係止し、同先端部からガイドワイヤ20を抜き去った状態ではステント1の係止を解く。
【0061】
係止部55は、ガイドカテーテル10の管壁の内側面からガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて突き出す2つの突起56,57を備えている。突起56,57は、ガイドカテーテル10の中心軸線Cを挟んでガイドカテーテル10の半径方向に離間して配置されており、ガイドカテーテル10と一体に形成された肉厚部である。また、一方の突起46の先端と他方の突起47の先端との間隔L3は、ガイドワイヤ20の外径D2よりも小さい。
【0062】
ガイドカテーテル10の内側にガイドワイヤ20が挿入された状態では、突起56,57の間にガイドワイヤ20が押し込まれる。この状態では、突起56,57が、ガイドワイヤ20の外径に相当する距離だけガイドカテーテル10の半径方向に離間するように、ガイドカテーテル10の管壁を弾性変形させながら変位する。突起56,57が変位すると、ガイドカテーテル10の外側面が盛り上がり、ステント1を係止する。一方、ガイドカテーテル10からガイドワイヤ20が抜き出された状態では、突起56,57がガイドワイヤ20によって内側からサポートされなくなるので、突起56,57が元の位置に回帰し、ステント1の係止を解く。
【0063】
上記のように構成されたステントデリバリーシステムS3を使用して、胆管に生じた狭窄部分にステントを配置する手技の手順を説明する。なお、ステント1およびガイドカテーテル10の先端を狭窄部分Xに挿入するまでの手順は第1の実施形態と同じなので、詳しい説明は省略する。
【0064】
ステント1およびガイドカテーテル10の先端を狭窄部分Xに挿入したら、プッシュカテーテル30を定位置に保持したまま、ガイドワイヤ20を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させる。ガイドワイヤ20の先端をプッシュカテーテル30の内側に後退させると、突起56,57を内側からサポートするガイドワイヤ20が無くなるので、図18に示すように、突起56,57が元の位置に回帰し、ステント1の係止が解除される。
【0065】
続いて、プッシュカテーテル30を定位置に保持したまま、ガイドカテーテル10を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させる。既に突起56,57によるステント1の係止は解除されるので、指標13が口金31から外に出るまでガイドカテーテル10を引っ張ると、ガイドカテーテル10の先端はステント1に干渉することなくステント1から抜き去られ、プッシュカテーテル30の内側に後退する。
【0066】
続いて、プッシュカテーテル30を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させると、最終的にステント1のみが胆管Bの内部に留置される。
【0067】
上記のように構成されたステントデリバリーシステムS3によれば、ガイドカテーテル10に設けられた係止部55が、プッシュカテーテル30の先端でステント1を係止するので、ステント1を所望の位置よりも深く挿入してしまっても、ステント1の位置を正すことができる。
【0068】
ステントデリバリーシステムS3は、従来のステントデリバリーシステムと基本的な構成が同じなので、従来のステントデリバリーシステムで使用していた内視鏡に適用することができる。また、既存のステント1を使用することが可能であって、治療に適した形状および材質のステントを、手技に際して術者が自らステントデリバリーシステムに装着して使用することが可能である。
【0069】
本実施形態においては、突起56,57が、ガイドカテーテル10と一体に形成された肉厚部である。しかしながら、図19に示すように、ガイドカテーテル10の管壁にガイドカテーテル10とは別の部材を固着することにより、突起56a,57aを形成してもよい。
【0070】
第2の実施形態と同様に、突起56,57近傍のガイドカテーテル10の管壁に、切り込み48を形成してもよい。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、筒状のステントを生体内の所望の位置に配置するためのステントデリバリーシステムであって、前記ステントの内側に挿入され、自らの内側に挿通されるガイド部材によって前記ステントとともに前記生体内に挿入されるガイドカテーテルと、管状に形成され、前記ガイドカテーテルを内側に挿入されたうえで前記ガイドカテーテルとともに前記生体内に挿入され、前記ステントを前記ガイドカテーテルに沿って押推するプッシュカテーテルと、前記ステントから突き出す前記ガイドカテーテルの先端部に設けられ、前記先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ステントの係止を解く係止部とを備えるステントデリバリーシステムに関する。
本発明のガイドカテーテル、およびステントデリバリーシステムによれば、一般的に普及している既存のステントを使用することができる。さらに、2つ以上のステントを連続させて配置する場合にいずれのステントをも引き戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、本発明のステントデリバリーシステムの第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は、第1の実施形態のステントデリバリーシステムを構成するガイドカテーテルの先端部の断面図である。
【図3】図3は、第1の実施形態のステントデリバリーシステムを用いて行う手技の手順を説明する図であって、内視鏡の挿入部の先端を、十二指腸乳頭の近傍に配置し、挿入部のチャンネルを通じてガイドワイヤを胆管の狭窄部分に挿入した状態を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態のステントデリバリーシステムを用いて行う手技の手順を説明する図であって、ステント、ガイドカテーテルを狭窄部分に挿入した状態を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態のステントデリバリーシステムを用いて行う手技の手順を説明する図であって、ステントのみを狭窄部分に留置した状態を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態のステントデリバリーシステムを用いて行う手技の手順を説明する図であって、ガイドワイヤを後退させた状態を示す断面図である。
【図7】図7は、第1の実施形態のステントデリバリーシステムを用いて行う手技の手順を説明する図であって、ガイドカテーテルを後退させる途中の状態を示す断面図である。
【図8】図8は、第1の実施形態のステントデリバリーシステムを用いて行う手技の手順を説明する図であって、ガイドカテーテルの先端をプッシュカテーテルの内側に後退させた状態を示す断面図である。
【図9】図9は、発明のステントデリバリーシステムの第1の実施形態の変形例を示す断面図である。
【図10】図10は、発明のステントデリバリーシステムの第2の実施形態を示す図であって、ガイドカテーテルの先端部の断面図である。
【図11】図11は、図10中のI−I線に沿う断面図である。
【図12】図12は、発明のステントデリバリーシステムの第2の実施形態を示す図であって、ガイドワイヤを後退させた状態を示す断面図である。
【図13】図13は、発明のステントデリバリーシステムの第2の実施形態を示す図であって、ガイドカテーテルを後退させる途中の状態を示す断面図である。
【図14】図14は、発明のステントデリバリーシステムの第2の実施形態の変形例を示す図である。
【図15】図15は、発明のステントデリバリーシステムの第2の実施形態の変形例を示す図であって、ガイドカテーテルの先端部の断面図である。
【図16】図16は、発明のステントデリバリーシステムの第2の実施形態の変形例を示す図であって、ガイドワイヤを後退させた状態を示す断面図である。
【図17】図17は、発明のステントデリバリーシステムの第3の実施形態を示す図である。
【図18】図18は、発明のステントデリバリーシステムの第3の実施形態を示す図であって、ガイドワイヤを後退させた状態を示す断面図である。
【図19】図19は、発明のステントデリバリーシステムの第3の実施形態の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1…ステント,10…ガイドカテーテル,10a…孔,13…指標,15…係止部,16…切欠,17…突起,17a,17b…斜面,20…ガイドワイヤ(ガイド部材),21…指標,30…プッシュカテーテル,45…係止部,46,47,46a,47a…突起,55…係止部,56,57,56a,57a…突起,S1,S2,S3…ステントデリバリーシステム,A…十二指腸乳頭,B…胆管,C…中心軸線,X…狭窄部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、消化器系、呼吸器系、沁尿器系または生殖器系等の管腔部位にステントを留置するためのガイドカテーテル、およびステントデリバリーシステムに関する。
本願は、2006年6月30日に出願された米国特許出願第11/479,515について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ステントは、消化器系、呼吸器系、沁尿器系または生殖器系等の管腔器官のどこかに狭窄または閉塞が生じた場合、本来その部分が担っていた機能を回復するために、その部分に配置されて通道を確保する。
【0003】
上記のような管腔器官の処置を必要とする部分にステントを配置する手技は、近年、内視鏡および専用の処置具を使用して行われるケースが多い。例えば、下記の特許文献1には、このような手技に使用されるステントデリバリーシステムが開示されている。具体的には、ガイドカテーテルと、ガイドワイヤと、プッシュカテーテルと、ステントをプッシュカテーテルの先端に離脱可能に接続するスーチャー(糸)とを備えている。ガイドカテーテルは、ステントの内側に挿入されており、ステントとともに生体内に挿入される。ガイドワイヤは、ガイドカテーテルの内側に挿入されるようにして、ガイドカテーテルおよびステントを生体内に案内する。プッシュカテーテルは、ガイドカテーテルを内側に挿入されたうえでガイドカテーテルとともに生体内に挿入され、ステントをガイドカテーテルに沿って押推する。スーチャーは、プッシュカテーテルの先端に形成された孔に通されたうえで、環をなすように両端を結ばれている。さらに、スーチャーの一部は、ステントに形成された孔を通じてステントの内側に通され、ループを形成している。このループに、ガイドカテーテルの先端が差し込まれることにより、スーチャーがステントから離脱できなくなっている。つまり、スーチャーを介してプッシュカテーテルの先端に離脱可能にステントが接続されている。
【0004】
手技にあたっては、まず、上記のように組み合わされた4つの部材、すなわちステント、ガイドカテーテル、プッシュカテーテルおよびスーチャーを、ガイドワイヤに沿って内視鏡の挿入部のチャンネルに挿入し、挿入部の先端から突出させ、ステントおよびガイドカテーテルの先端を、管腔器官の処置を必要とする部分に挿入する。
【0005】
続いて、ガイドワイヤおよびプッシュカテーテルを定位置に保持したまま、ガイドカテーテルを、内視鏡の挿入部のチャンネルから抜き出す方向に引っ張って後退させる。このとき、必ずしもガイドカテーテルをすべて抜き去る必要はない。ガイドカテーテルが引っ張られると、その先端がスーチャーのループから抜き去られるので、ガイドカテーテルによるステントの拘束が解かれる。続いて、ガイドワイヤを、ガイドカテーテルと同様に内視鏡の挿入部のチャンネルから抜き出す方向に引っ張って後退させる。このときも、必ずしもガイドワイヤをすべて抜き去る必要はない。ガイドワイヤが引っ張られると、その先端がスーチャーのループから抜き去られるので、ガイドカテーテルによるステントの拘束が解かれ、ステントとプッシュカテーテルとのスーチャーを介した係合関係が解かれる。
【0006】
続いて、プッシュカテーテルを内視鏡の挿入部のチャンネルから抜き出す方向に引っ張ると、既にプッシュカテーテルとの係合関係が解かれているので、ステントのみが管腔器官の処置を必要とする部分に留置される。
【0007】
上記の手技において、ステントおよびガイドカテーテルの先端を、管腔器官の処置を必要とする部分に挿入したとき、ステントを、処置を必要とする部分よりも奥に配置してしまった場合は、ガイドカテーテルやガイドワイヤを引っ張る前に、すなわちステントとプッシュカテーテルとの係合関係を解く前にプッシュカテーテルを少し引っ張る。これにより、プッシュカテーテルの先端に接続されているステントを所望の位置に戻すことが可能である。
【特許文献1】米国特許第5921952号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のステントデリバリーシステムにおいては、ステント、ガイドカテーテルおよびプッシュカテーテルが予め組み付けた状態で提供され、そのような器具についてのみステントの引き戻し操作を可能にしているので、一般に普及している既存のステントを適宜使用することができないという問題がある。
また、2つ以上のステントを連続させて配置する必要がある場合、2つめ以降のステントについては、これらを引き戻すことができないという問題がある。
さらに、ガイドカテーテルやプッシュカテーテルの内側に特殊な形状をした専用の器具を挿入する必要があるので、上記システムは適用可能な内視鏡の種類が限られるという問題がある。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、一般的に普及している既存のステントを使用することが可能であり、かつ2つ以上のステントを連続させて配置する場合にいずれのステントをも引き戻すことが可能なステントデリバリーシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のガイドカテーテルは、ステントの内側、および前記ステントを押推するプッシュカテーテルの内側に挿入され、自らの内側に挿通されたガイド部材に案内されて前記ステントおよび前記プッシュカテーテルとともに生体内に挿入されるものであって、前記ステントから突き出す前記ガイドカテーテルの先端部に、前記先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ステントの係止を解く係止部が設けられている。
【0011】
本発明のガイドカテーテルにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって外側に突き出すように支持されて前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って元の位置に回帰し、前記ステントの係止を解いてもよい。
【0012】
本発明のガイドカテーテルにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって内側に変位しないように支持されて前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って内側に変位可能であってもよい。
【0013】
本発明のガイドカテーテルにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の内側面に、前記ガイドカテーテルの内側に突き出すように設けられていてもよいし、前記ガイドカテーテルの管壁の外側面に、前記ガイドカテーテルの外側に突き出すように設けられていてもよい。
【0014】
本発明のガイドカテーテルにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁と一体に形成された肉厚部であってもよいし、前記ガイドカテーテルの管壁に固着された別部材であってもよい。
【0015】
本発明のガイドカテーテルにおいて、前記ガイドカテーテルの先端部に、前記係止部の変位を行い易くするための切り込みが形成されていてもよい。
【0016】
本発明のステントデリバリーシステムは、筒状のステントを生体内の所望の位置に配置するためのステントデリバリーシステムであって、前記ステントの内側に挿入され、自らの内側に挿通されるガイド部材によって前記ステントとともに前記生体内に挿入されるガイドカテーテルと、管状に形成され、前記ガイドカテーテルを内側に挿入されたうえで前記ガイドカテーテルとともに前記生体内に挿入され、前記ステントを前記ガイドカテーテルに沿って押推するプッシュカテーテルと、前記ステントから突き出す前記ガイドカテーテルの先端部に設けられ、前記先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ステントの係止を解く係止部とを備える。
【0017】
本発明のステントデリバリーシステムにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって外側に突き出すように支持されて前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って元の位置に回帰し、前記ステントの係止を解いてもよい。
【0018】
本発明のステントデリバリーシステムにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって内側に変位しないように支持されて前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って内側に変位可能であってもよい。
【0019】
本発明のステントデリバリーシステムにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の内側面に、前記ガイドカテーテルの内側に突き出すように設けられていてもよいし、前記ガイドカテーテルの管壁の外側面に、前記ガイドカテーテルの外側に突き出すように設けられていてもよい。
【0020】
本発明のステントデリバリーシステムにおいて、前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁と一体に形成された肉厚部であってもよいし、前記ガイドカテーテルの管壁に固着された別部材であってもよい。
【0021】
本発明のステントデリバリーシステムにおいて、前記ガイドカテーテルの先端部には、前記係止部の変位を行い易くするための切り込みが形成されていてもよい。
【0022】
本発明のステントデリバリーシステムにおいて、前記ステントの内側面に、内側に突き出すように突起が形成され、前記係止部は、前記突起と係合することによって前記ステントを係止してもよい。
【0023】
本発明のステントデリバリーシステムにおいて、前記ステントおよび前記プッシュカテーテルは、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では、前記ガイドカテーテルの前記ガイド部材が挿入された部分に係合していてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明のガイドカテーテル、およびステントデリバリーシステムによれば、一般的に普及している既存のステントを使用することができる。さらに、2つ以上のステントを連続させて配置する場合にいずれのステントをも引き戻すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明のステントデリバリーシステムの第1の実施形態について、図1から図9を参照して説明する。
本実施形態のステントデリバリーシステムS1は、図1に示すように、ガイドカテーテル10と、プッシュカテーテル30とを備えている。
ガイドカテーテル10は、ステント1の内側に挿入されたうえで、ステント1とともに、あらかじめ目的の部位に挿入されたガイドワイヤ(ガイド部材)20に案内され、内視鏡の挿入部のチャンネルを通じて生体内に挿入される。プッシュカテーテル30は、ガイドカテーテル10を内側に挿入されたうえでガイドカテーテル10とともに生体内に挿入され、ステント1をガイドカテーテル10に沿って押推する。
【0026】
ステントデリバリーシステムS1によって生体内に配置されるステント1は、樹脂または金属からなり、円筒状に形成されている。ステント1の両端には、生体内の狭窄部分に挿入されたとき、周囲の生体組織に係止してステント1自身を定位置に保持するアンカーとしてのフラップ2が形成されている。
【0027】
ガイドカテーテル10は樹脂からなり、可撓性を有する長尺の管状に形成されている。ガイドカテーテル10の内径は、ガイドワイヤ20を抜去可能に挿入することが可能な大きさである。
【0028】
ガイドカテーテル10の先端部には、X線透視下でガイドカテーテル10の先端を造影し易くするための造影部11が設けられている。ガイドカテーテル10の基端には、ガイドカテーテル10を操作する際に術者に把持される口金12が設けられている。また、口金12に近いガイドカテーテル10の外側面には、プッシュカテーテル30に対するガイドカテーテル10の相対位置を術者に対して明らかにし、ガイドカテーテル10の引き量を認識させるための指標13が設けられている。
【0029】
さらに、ガイドカテーテル10の先端部には、係止部15が設けられている。係止部15は、ガイドカテーテル10の先端部にガイドワイヤ20を挿入した状態ではステント1を係止し、同先端部からガイドワイヤ20を抜き去った状態ではステント1の係止を解く。
【0030】
係止部15は、ガイドカテーテル10の管壁の一部に形成された切欠16と、切欠16を形成された管壁からガイドカテーテル10の半径方向の外側に向けて突き出す突起17とを備えている。切欠16は、ガイドカテーテル10の孔10aに連通している。突起17は、図2に示すように、ガイドカテーテル10と一体に形成されており、ガイドカテーテル10の先端に向けて傾斜する斜面17aと、ガイドカテーテル10の基端に向けて傾斜する斜面17bとを有している。斜面17bは、斜面17aよりも強く傾斜している。また、突起17の先端からガイドカテーテル10の中心軸線Cを挟んで反対側の管壁の外側面までの距離L1は、ステント1の内径D1よりも大きい。
【0031】
ガイドカテーテル10の内側にガイドワイヤ20が挿入された状態では、切欠16からガイドワイヤ20が露出する。また、この状態では、ガイドカテーテル10の内側に挿入されたガイドワイヤ20が、突起17を内側からサポートし、突起17がガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが阻止される。一方、ガイドカテーテル10からガイドワイヤ20が抜き出された状態では、突起17が内側からサポートされなくなるので、突起17がガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが可能になる。
【0032】
ガイドワイヤ20は、樹脂製または金属製のワイヤであって、ガイドカテーテル10の内側に挿通される。
【0033】
プッシュカテーテル30は樹脂からなり、ガイドカテーテル10と同じく可撓性を有する長尺の管状に形成されている。プッシュカテーテル30の内径は、ガイドカテーテル10を抜去可能に挿入することが可能な大きさである。プッシュカテーテル30の基端には、プッシュカテーテル30を操作する際に術者に把持される口金31が設けられている。
【0034】
ステント1およびプッシュカテーテル30は、ガイドカテーテル10の先端部にガイドワイヤ20を挿入した状態では、ガイドカテーテル10に係合している。
【0035】
上記のように構成されたステントデリバリーシステムS1を使用して、胆管に生じた狭窄部分にステントを配置する手技の手順を説明する。
手技にあたっては、まず、生体内に内視鏡の挿入部6を挿入し、挿入部6の先端を、十二指腸乳頭Aの近傍に到達させる。なお、内視鏡には側視型を使用する。この内視鏡の挿入部6の先端には、チャンネル7の開口に隣接して、起上台8が設けられている。起上台8は、自らが起き上がることにより、挿入部6の先端から突出する処置具の突出角度を調整するように湾曲させる。起上台8は、内視鏡の基端に設けられた操作部(図示略)を操作することにより駆動される。
【0036】
続いて、挿入部6のチャンネル7にカニューラを挿入し、挿入部6の先端から突出させる。さらに、起上台8によってカニューラを湾曲させ、カニューラの先端を胆管Bに挿入する。そして、カニューラを通じて胆管Bに造影剤を注入する。造影剤を注入したら、カニューラを通じて胆管Bの狭窄部分Xにガイドワイヤ20を挿入し、図3に示すように、ガイドワイヤ20だけを残して胆管Bおよびチャンネル7からカニューラを抜き去る。
【0037】
続いて、図1のように組み合わされた3つの部材、すなわちステント1、ガイドカテーテル10およびプッシュカテーテル30を、ガイドワイヤ20に沿ってチャンネル7に挿入し、挿入部6の先端から突出させる。さらに、起上台8によってガイドカテーテル10、ガイドワイヤ20およびプッシュカテーテル30を湾曲させ、図4に示すように、ステント1およびガイドカテーテル10の先端を胆管Bの狭窄部分Xに挿入する。
【0038】
続いて、図6に示すように、プッシュカテーテル30を定位置に保持したまま、ガイドワイヤ20を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させる。このとき、必ずしもガイドワイヤ20をすべて抜き去る必要はない。ガイドワイヤ20を引っ張ると、ガイドワイヤ20の先端はステント1から抜き去られ、プッシュカテーテル30の内側に後退する。ガイドワイヤ20の先端をプッシュカテーテル30の内側に後退させると、突起17を内側からサポートするガイドワイヤ20が無くなるので、突起17はガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが可能になる。
【0039】
続いて、図7に示すように、プッシュカテーテル30を定位置に保持したまま、ガイドカテーテル10を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させる。このとき、必ずしもガイドカテーテル10をすべて抜き去る必要はない。術者は、指標13を目安にして、プッシュカテーテル30に対してガイドカテーテル10を相対的に移動させればよい。ガイドカテーテル10を引っ張ると、突起17がステント1の端面に突き当たる。ガイドワイヤ20の先端がガイドカテーテル10の先端から突出した状態では、ガイドワイヤ20が突起17を内側からサポートするので、突起17がガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが阻止される。しかしながら、既にガイドワイヤ20の先端をプッシュカテーテル30の内側に後退させているので、ガイドカテーテル10を引っ張ると、突起17は、ステント1の端面1aから作用する反力によってガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位する。
【0040】
突起17がガイドカテーテル10の内側に変位すると、係止部15によるステント1の係止が解除される。指標13が口金31から外に出るまでガイドカテーテル10を引っ張ると、図8に示すように、ガイドカテーテル10の先端はステント1から抜き去られ、プッシュカテーテル30の内側に後退する。
【0041】
続いて、プッシュカテーテル30を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させると、図5に示すように、最終的にステント1のみが胆管Bの内部に留置される。
【0042】
上記の手技において、ステント1およびガイドカテーテル10の先端を狭窄部分Xに挿入したとき、ステント1を所望の位置よりも奥に配置してしまった場合は、ガイドワイヤ20を後退させる前にガイドカテーテル10およびプッシュカテーテル30を少し引っ張る。これにより、プッシュカテーテル30の先端に保持されているステント1を所望の位置に戻すことが可能である。
【0043】
上記のように構成されたステントデリバリーシステムS1によれば、ガイドカテーテル10に設けられた係止部15が、プッシュカテーテル30の先端でステント1を係止するので、ステント1を所望の位置よりも深く挿入してしまっても、ステント1の位置を正すことができる。
【0044】
ステントデリバリーシステムS1は、ガイドカテーテル10やプッシュカテーテル30の内側に特別な器具を挿入する必要がなく、従来のステントデリバリーシステムと基本的な構成が同じなので、従来のステントデリバリーシステムで使用していた内視鏡に適用することができる。すなわち、従来のステントデリバリーシステムを使用するときと同じ内径のチャンネルに挿入することができる。
【0045】
ステントデリバリーシステムS1においては、既存のステント1を使用することが可能である。また、内径および外径が、ガイドカテーテル10の外径やプッシュカテーテル30の外径と適合するのであれば、材質や長さ、フラップの形状が異なるステントであっても使用することができるので、汎用性が高い。さらに言えば、治療に適した形状および材質のステントを、手技に際して術者が自らステントデリバリーシステムに装着して使用することが可能である。
【0046】
本実施形態においては、図9に示すように、ガイドワイヤ20の外側面に、ガイドカテーテル10に対するガイドワイヤ20の相対位置を術者に対して明らかにし、ガイドワイヤ20の引き量を認識させるための指標21を設けてもよい。この場合、術者は、指標21を目安にして、ガイドカテーテル10に対してガイドワイヤ20を相対的に移動させる。指標21が口金12から外に出るまでガイドワイヤ20を引っ張ると、ガイドワイヤ20の先端はステント1から抜き去られ、プッシュカテーテル30の内側に確実に後退する。
【0047】
本発明のステントデリバリーシステムの第2の実施形態について、図10から図16を参照して説明する。なお、第1の実施形態において既に説明した構成要素には同一の符号を付し、その説明については省略する。
【0048】
本実施形態のステントデリバリーシステムS2を構成するガイドカテーテル10の先端部には、図10および図11に示すように、係止部45が設けられている。係止部45は、ガイドカテーテル10の先端部にガイドワイヤ20を挿入した状態ではステント1を係止し、同先端部からガイドワイヤ20を抜き去った状態ではステント1の係止を解く。
【0049】
係止部45は、ガイドカテーテル10の管壁の外側面からガイドカテーテル10の半径方向の外側に向けて突き出す2つの突起46,47を備えている。突起46,47は、ガイドカテーテル10の中心軸線Cを挟んでガイドカテーテル10の半径方向に離間して配置されており、ガイドカテーテル10と一体に形成された肉厚部である。また、一方の突起46の先端から他方の突起47の先端までの距離L2は、ステント1の内径D1よりも大きい。
【0050】
ガイドカテーテル10の内側にガイドワイヤ20が挿入された状態では、ガイドワイヤ20が突起46,47を内側からサポートし、突起46,47がガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが阻止される。一方、ガイドカテーテル10からガイドワイヤ20が抜き出された状態では、突起46,47が内側からサポートされなくなるので、突起46,47がガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが可能になる。
【0051】
上記のように構成されたステントデリバリーシステムS2を使用して、胆管に生じた狭窄部分にステントを配置する手技の手順を説明する。なお、ステント1およびガイドカテーテル10の先端を狭窄部分Xに挿入するまでの手順は第1の実施形態と同じなので、詳しい説明は省略する。
【0052】
ステント1およびガイドカテーテル10の先端を狭窄部分Xに挿入したら、プッシュカテーテル30を定位置に保持したまま、ガイドワイヤ20を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させる。ガイドワイヤ20の先端をプッシュカテーテル30の内側に後退させると、突起46,47を内側からサポートするガイドワイヤ20が無くなるので、図12に示すように、突起46,47はガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが可能になる。
【0053】
続いて、プッシュカテーテル30を定位置に保持したまま、ガイドカテーテル10を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させる。ガイドカテーテル10を引っ張ると、突起46,47がステント1の端面に突き当たる。ガイドワイヤ20の先端がガイドカテーテル10の先端から突出した状態では、ガイドワイヤ20が突起17を内側からサポートし、突起46,47がガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位することが阻止される。しかしながら、既にガイドワイヤ20の先端をプッシュカテーテル30の内側に後退させているので、ガイドカテーテル10を引っ張ると、突起46,47は、ステント1の端面1aから作用する反力によってガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位し、図13に示すように、ガイドカテーテル10の先端がステント1の内側に引き込まれ、係止部45によるステント1の係止が解除される。指標13が口金31から外に出るまでガイドカテーテル10を引っ張ると、ガイドカテーテル10の先端はステント1から抜き去られ、プッシュカテーテル30の内側に後退する。
【0054】
続いて、プッシュカテーテル30を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させると、最終的にステント1のみが胆管Bの内部に留置される。
【0055】
上記のように構成されたステントデリバリーシステムS2によれば、ガイドカテーテル10に設けられた係止部45が、プッシュカテーテル30の先端でステント1を係止するので、ステント1を所望の位置よりも深く挿入してしまっても、ステント1の位置を正すことができる。
【0056】
ステントデリバリーシステムS2は、従来のステントデリバリーシステムと基本的な構成が同じなので、従来のステントデリバリーシステムで使用していた内視鏡に適用することができる。また、既存のステント1を使用することが可能であって、治療に適した形状および材質のステントを、手技に際して術者が自らステントデリバリーシステムに装着して使用することが可能である。
【0057】
本実施形態においては、突起46,47が、ガイドカテーテル10と一体に形成された肉厚部である。しかしながら、図14に示すように、ガイドカテーテル10の管壁にガイドカテーテル10とは別の部材を固着することにより、突起46a,47aを形成してもよい。
【0058】
加えて、図15に示すように、突起46,47近傍のガイドカテーテル10の管壁に、切り込み48を形成してもよい。これにより、突起46,47がガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて変位するとき、図16に示すように、ガイドカテーテル10の管壁が弾性変形し易くなるので、突起46,47を変位させるためにガイドカテーテル10に作用させる力、すなわち、ガイドカテーテル10を引っ張るときに術者がガイドカテーテル10に作用させる力が、切り込み48を形成しない場合と比較して小さい。その結果、術者の負担を軽減することができる。
【0059】
本発明のステントデリバリーシステムの第3の実施形態について、図17から図19を参照して説明する。なお、第1、第2の実施形態において既に説明した構成要素には同一の符号を付し、その説明については省略する。
【0060】
本実施形態のステントデリバリーシステムS3を構成するガイドカテーテル10の先端部には、図17および図18に示すように、係止部55が設けられている。係止部55は、ガイドカテーテル10の先端部にガイドワイヤ20を挿入した状態ではステント1を係止し、同先端部からガイドワイヤ20を抜き去った状態ではステント1の係止を解く。
【0061】
係止部55は、ガイドカテーテル10の管壁の内側面からガイドカテーテル10の半径方向の内側に向けて突き出す2つの突起56,57を備えている。突起56,57は、ガイドカテーテル10の中心軸線Cを挟んでガイドカテーテル10の半径方向に離間して配置されており、ガイドカテーテル10と一体に形成された肉厚部である。また、一方の突起46の先端と他方の突起47の先端との間隔L3は、ガイドワイヤ20の外径D2よりも小さい。
【0062】
ガイドカテーテル10の内側にガイドワイヤ20が挿入された状態では、突起56,57の間にガイドワイヤ20が押し込まれる。この状態では、突起56,57が、ガイドワイヤ20の外径に相当する距離だけガイドカテーテル10の半径方向に離間するように、ガイドカテーテル10の管壁を弾性変形させながら変位する。突起56,57が変位すると、ガイドカテーテル10の外側面が盛り上がり、ステント1を係止する。一方、ガイドカテーテル10からガイドワイヤ20が抜き出された状態では、突起56,57がガイドワイヤ20によって内側からサポートされなくなるので、突起56,57が元の位置に回帰し、ステント1の係止を解く。
【0063】
上記のように構成されたステントデリバリーシステムS3を使用して、胆管に生じた狭窄部分にステントを配置する手技の手順を説明する。なお、ステント1およびガイドカテーテル10の先端を狭窄部分Xに挿入するまでの手順は第1の実施形態と同じなので、詳しい説明は省略する。
【0064】
ステント1およびガイドカテーテル10の先端を狭窄部分Xに挿入したら、プッシュカテーテル30を定位置に保持したまま、ガイドワイヤ20を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させる。ガイドワイヤ20の先端をプッシュカテーテル30の内側に後退させると、突起56,57を内側からサポートするガイドワイヤ20が無くなるので、図18に示すように、突起56,57が元の位置に回帰し、ステント1の係止が解除される。
【0065】
続いて、プッシュカテーテル30を定位置に保持したまま、ガイドカテーテル10を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させる。既に突起56,57によるステント1の係止は解除されるので、指標13が口金31から外に出るまでガイドカテーテル10を引っ張ると、ガイドカテーテル10の先端はステント1に干渉することなくステント1から抜き去られ、プッシュカテーテル30の内側に後退する。
【0066】
続いて、プッシュカテーテル30を、内視鏡の挿入部6のチャンネル7から抜き出す方向に引っ張って後退させると、最終的にステント1のみが胆管Bの内部に留置される。
【0067】
上記のように構成されたステントデリバリーシステムS3によれば、ガイドカテーテル10に設けられた係止部55が、プッシュカテーテル30の先端でステント1を係止するので、ステント1を所望の位置よりも深く挿入してしまっても、ステント1の位置を正すことができる。
【0068】
ステントデリバリーシステムS3は、従来のステントデリバリーシステムと基本的な構成が同じなので、従来のステントデリバリーシステムで使用していた内視鏡に適用することができる。また、既存のステント1を使用することが可能であって、治療に適した形状および材質のステントを、手技に際して術者が自らステントデリバリーシステムに装着して使用することが可能である。
【0069】
本実施形態においては、突起56,57が、ガイドカテーテル10と一体に形成された肉厚部である。しかしながら、図19に示すように、ガイドカテーテル10の管壁にガイドカテーテル10とは別の部材を固着することにより、突起56a,57aを形成してもよい。
【0070】
第2の実施形態と同様に、突起56,57近傍のガイドカテーテル10の管壁に、切り込み48を形成してもよい。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、筒状のステントを生体内の所望の位置に配置するためのステントデリバリーシステムであって、前記ステントの内側に挿入され、自らの内側に挿通されるガイド部材によって前記ステントとともに前記生体内に挿入されるガイドカテーテルと、管状に形成され、前記ガイドカテーテルを内側に挿入されたうえで前記ガイドカテーテルとともに前記生体内に挿入され、前記ステントを前記ガイドカテーテルに沿って押推するプッシュカテーテルと、前記ステントから突き出す前記ガイドカテーテルの先端部に設けられ、前記先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ステントの係止を解く係止部とを備えるステントデリバリーシステムに関する。
本発明のガイドカテーテル、およびステントデリバリーシステムによれば、一般的に普及している既存のステントを使用することができる。さらに、2つ以上のステントを連続させて配置する場合にいずれのステントをも引き戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、本発明のステントデリバリーシステムの第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は、第1の実施形態のステントデリバリーシステムを構成するガイドカテーテルの先端部の断面図である。
【図3】図3は、第1の実施形態のステントデリバリーシステムを用いて行う手技の手順を説明する図であって、内視鏡の挿入部の先端を、十二指腸乳頭の近傍に配置し、挿入部のチャンネルを通じてガイドワイヤを胆管の狭窄部分に挿入した状態を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態のステントデリバリーシステムを用いて行う手技の手順を説明する図であって、ステント、ガイドカテーテルを狭窄部分に挿入した状態を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態のステントデリバリーシステムを用いて行う手技の手順を説明する図であって、ステントのみを狭窄部分に留置した状態を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態のステントデリバリーシステムを用いて行う手技の手順を説明する図であって、ガイドワイヤを後退させた状態を示す断面図である。
【図7】図7は、第1の実施形態のステントデリバリーシステムを用いて行う手技の手順を説明する図であって、ガイドカテーテルを後退させる途中の状態を示す断面図である。
【図8】図8は、第1の実施形態のステントデリバリーシステムを用いて行う手技の手順を説明する図であって、ガイドカテーテルの先端をプッシュカテーテルの内側に後退させた状態を示す断面図である。
【図9】図9は、発明のステントデリバリーシステムの第1の実施形態の変形例を示す断面図である。
【図10】図10は、発明のステントデリバリーシステムの第2の実施形態を示す図であって、ガイドカテーテルの先端部の断面図である。
【図11】図11は、図10中のI−I線に沿う断面図である。
【図12】図12は、発明のステントデリバリーシステムの第2の実施形態を示す図であって、ガイドワイヤを後退させた状態を示す断面図である。
【図13】図13は、発明のステントデリバリーシステムの第2の実施形態を示す図であって、ガイドカテーテルを後退させる途中の状態を示す断面図である。
【図14】図14は、発明のステントデリバリーシステムの第2の実施形態の変形例を示す図である。
【図15】図15は、発明のステントデリバリーシステムの第2の実施形態の変形例を示す図であって、ガイドカテーテルの先端部の断面図である。
【図16】図16は、発明のステントデリバリーシステムの第2の実施形態の変形例を示す図であって、ガイドワイヤを後退させた状態を示す断面図である。
【図17】図17は、発明のステントデリバリーシステムの第3の実施形態を示す図である。
【図18】図18は、発明のステントデリバリーシステムの第3の実施形態を示す図であって、ガイドワイヤを後退させた状態を示す断面図である。
【図19】図19は、発明のステントデリバリーシステムの第3の実施形態の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1…ステント,10…ガイドカテーテル,10a…孔,13…指標,15…係止部,16…切欠,17…突起,17a,17b…斜面,20…ガイドワイヤ(ガイド部材),21…指標,30…プッシュカテーテル,45…係止部,46,47,46a,47a…突起,55…係止部,56,57,56a,57a…突起,S1,S2,S3…ステントデリバリーシステム,A…十二指腸乳頭,B…胆管,C…中心軸線,X…狭窄部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントの内側、および前記ステントを押推するプッシュカテーテルの内側に挿入され、自らの内側に挿通されたガイド部材に案内されて前記ステントおよび前記プッシュカテーテルとともに生体内に挿入されるガイドカテーテルであって、
前記ステントから突き出す前記ガイドカテーテルの先端部に、前記先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ステントの係止を解く係止部が設けられているガイドカテーテル。
【請求項2】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって外側に突き出すように支持されて前記ステントを係止し、
前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って元の位置に回帰し、前記ステントの係止を解く請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項3】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の内側面に、前記ガイドカテーテルの内側に突き出すように設けられている請求項2に記載のガイドカテーテル。
【請求項4】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の外側面に、前記ガイドカテーテルの外側に突き出すように設けられている請求項2に記載のガイドカテーテル。
【請求項5】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁と一体に形成された肉厚部である請求項2に記載のガイドカテーテル。
【請求項6】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁に固着された別部材である請求項2に記載のガイドカテーテル。
【請求項7】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって内側に変位しないように支持されて前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って内側に変位可能である請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項8】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の内側面に、前記ガイドカテーテルの内側に突き出すように設けられている請求項7に記載のガイドカテーテル。
【請求項9】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の外側面に、前記ガイドカテーテルの外側に突き出すように設けられている請求項7に記載のガイドカテーテル。
【請求項10】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁と一体に形成された肉厚部である請求項7に記載のガイドカテーテル。
【請求項11】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁に固着された別部材である請求項7に記載のガイドカテーテル。
【請求項12】
前記ガイドカテーテルの先端部に、前記係止部の変位を行い易くするための切り込みが形成されている請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項13】
筒状のステントを生体内の所望の位置に配置するためのステントデリバリーシステムであって、
前記ステントの内側に挿入され、自らの内側に挿通されるガイド部材によって前記ステントとともに前記生体内に挿入されるガイドカテーテルと、
管状に形成され、前記ガイドカテーテルを内側に挿入されたうえで前記ガイドカテーテルとともに前記生体内に挿入され、前記ステントを前記ガイドカテーテルに沿って押推するプッシュカテーテルと、
前記ステントから突き出す前記ガイドカテーテルの先端部に設けられ、前記先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ステントの係止を解く係止部と
を備えるステントデリバリーシステム。
【請求項14】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって外側に突き出すように支持されて前記ステントを係止し、
前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って元の位置に回帰し、前記ステントの係止を解く請求項13に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項15】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の内側面に、前記ガイドカテーテルの内側に突き出すように設けられている請求項14に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項16】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の外側面に、前記ガイドカテーテルの外側に突き出すように設けられている請求項14に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項17】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁と一体に形成された肉厚部である請求項14に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項18】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁に固着された別部材である請求項14に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項19】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって内側に変位しないように支持されて前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って内側に変位可能である請求項13に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項20】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の内側面に、前記ガイドカテーテルの内側に突き出すように設けられている請求項19に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項21】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の外側面に、前記ガイドカテーテルの外側に突き出すように設けられている請求項19に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項22】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁と一体に形成された肉厚部である請求項19に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項23】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁に固着された別部材である請求項19に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項24】
前記ガイドカテーテルの先端部には、前記係止部の変位を行い易くするための切り込みが形成されている請求項13に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項25】
前記ステントの内側面に、内側に突き出すように突起が形成され、
前記係止部は、前記突起と係合することによって前記ステントを係止する請求項13に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項26】
前記ステントおよび前記プッシュカテーテルは、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では、前記ガイドカテーテルの前記ガイド部材が挿入された部分に係合している請求項13に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項1】
ステントの内側、および前記ステントを押推するプッシュカテーテルの内側に挿入され、自らの内側に挿通されたガイド部材に案内されて前記ステントおよび前記プッシュカテーテルとともに生体内に挿入されるガイドカテーテルであって、
前記ステントから突き出す前記ガイドカテーテルの先端部に、前記先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ステントの係止を解く係止部が設けられているガイドカテーテル。
【請求項2】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって外側に突き出すように支持されて前記ステントを係止し、
前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って元の位置に回帰し、前記ステントの係止を解く請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項3】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の内側面に、前記ガイドカテーテルの内側に突き出すように設けられている請求項2に記載のガイドカテーテル。
【請求項4】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の外側面に、前記ガイドカテーテルの外側に突き出すように設けられている請求項2に記載のガイドカテーテル。
【請求項5】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁と一体に形成された肉厚部である請求項2に記載のガイドカテーテル。
【請求項6】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁に固着された別部材である請求項2に記載のガイドカテーテル。
【請求項7】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって内側に変位しないように支持されて前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って内側に変位可能である請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項8】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の内側面に、前記ガイドカテーテルの内側に突き出すように設けられている請求項7に記載のガイドカテーテル。
【請求項9】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の外側面に、前記ガイドカテーテルの外側に突き出すように設けられている請求項7に記載のガイドカテーテル。
【請求項10】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁と一体に形成された肉厚部である請求項7に記載のガイドカテーテル。
【請求項11】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁に固着された別部材である請求項7に記載のガイドカテーテル。
【請求項12】
前記ガイドカテーテルの先端部に、前記係止部の変位を行い易くするための切り込みが形成されている請求項1に記載のガイドカテーテル。
【請求項13】
筒状のステントを生体内の所望の位置に配置するためのステントデリバリーシステムであって、
前記ステントの内側に挿入され、自らの内側に挿通されるガイド部材によって前記ステントとともに前記生体内に挿入されるガイドカテーテルと、
管状に形成され、前記ガイドカテーテルを内側に挿入されたうえで前記ガイドカテーテルとともに前記生体内に挿入され、前記ステントを前記ガイドカテーテルに沿って押推するプッシュカテーテルと、
前記ステントから突き出す前記ガイドカテーテルの先端部に設けられ、前記先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ステントの係止を解く係止部と
を備えるステントデリバリーシステム。
【請求項14】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって外側に突き出すように支持されて前記ステントを係止し、
前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って元の位置に回帰し、前記ステントの係止を解く請求項13に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項15】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の内側面に、前記ガイドカテーテルの内側に突き出すように設けられている請求項14に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項16】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の外側面に、前記ガイドカテーテルの外側に突き出すように設けられている請求項14に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項17】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁と一体に形成された肉厚部である請求項14に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項18】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁に固着された別部材である請求項14に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項19】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では前記ガイド部材によって内側に変位しないように支持されて前記ステントを係止し、前記先端部から前記ガイド部材を抜き去った状態では前記ガイド部材による支持を失って内側に変位可能である請求項13に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項20】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の内側面に、前記ガイドカテーテルの内側に突き出すように設けられている請求項19に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項21】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁の外側面に、前記ガイドカテーテルの外側に突き出すように設けられている請求項19に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項22】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁と一体に形成された肉厚部である請求項19に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項23】
前記係止部は、前記ガイドカテーテルの管壁に固着された別部材である請求項19に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項24】
前記ガイドカテーテルの先端部には、前記係止部の変位を行い易くするための切り込みが形成されている請求項13に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項25】
前記ステントの内側面に、内側に突き出すように突起が形成され、
前記係止部は、前記突起と係合することによって前記ステントを係止する請求項13に記載のステントデリバリーシステム。
【請求項26】
前記ステントおよび前記プッシュカテーテルは、前記ガイドカテーテルの先端部に前記ガイド部材を挿入した状態では、前記ガイドカテーテルの前記ガイド部材が挿入された部分に係合している請求項13に記載のステントデリバリーシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−12307(P2008−12307A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169276(P2007−169276)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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