説明

ガイド可能血管内血液ポンプおよび関連する方法

【課題】患者の循環器系(すなわち、心臓および/または血管構造)内の、所定の位置に、血管内血液ポンプを選択的にガイドするための統合された特徴を備えた、改良された血管内血液ポンプを提供する。
【解決手段】ガイド可能血管内血液ポンプシステムシステム10は、血管内血液ポンプ12、カニューレ14、および「オーバーワイヤ」型のガイド機構16を備える。駆動ケーブルアセンブリ18およびモーターアセンブリ20は、血管内血液ポンプ12を駆動するために提供される。「オーバーワイヤ」ガイド機構16は、駆動ケーブル18、血液ポンプ12、およびカニューレ14を通って伸長する中心管腔をスライド可能に通過する寸法にされた適切なガイド要素を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、通常、血液ポンプに関し、そしてより具体的には、ガイド機構を有する、改良された血管内血液ポンプに関し、このガイド機構は、患者の循環器系内の所望の位置に血管内ポンプを選択的にガイドする能力を提供する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の記述)
数年にわたって、損傷したまたは病気の心臓の血液を送り込む機能を補強または置換する目的のために、種々の型の血液ポンプが開発されてきた。血液ポンプは、一般に、(1)心臓−肺手術の間の急なサポートのため;(2)手術からの心臓の回復を待つ間の、短期間のサポートのため;または(3)心臓移植を待つ間、患者を生存させておくためのつなぎとして、の3つの状況に使用される。ポンプは、右および/または左の心室補助を提供するように設計され得る。もっとも、左の心室補助は、右心室よりも、左心室が病気になったりまたは損傷したりすることがずっとより一般的なので、最も一般的な適用である。
【0003】
血液ポンプは、漏れのない操作を提供しなくてはならず、そしてポンプの構成要素および外の環境による流体の汚染を避けなければならない。このようなポンプはまた、流体に過剰なレイノルズ剪断応力を与えることなく、適切な速さで流体を送り込まなくてはならない。細胞溶解または細胞破壊が、細胞膜に剪断応力を与えることによって生じることは、当業者に周知である。赤血球の細胞膜は、細胞の形を保持するための強化細胞骨格を含まないので、赤血球は、特に剪断応力損傷を被り易い。白血球および血小板の細胞溶解もまた、高い剪断応力を与えることによって起こる。赤血球の細胞溶解は、細胞内容物の放出を引き起こし得、この細胞内容物は、引き続いて、血小板の凝縮を誘導し得る。準溶解性剪断応力は、細胞の変化、そして、血小板および白血球の、活性化および凝集を引き起こす。
【0004】
血管内血液ポンプは、典型的に、左および/または右の心臓のサポートを提供するために、患者の血管系へ、経皮的または外科的に導入され得る、小型化された血液ポンプを含む。血管内ポンプの1つの型は、保護シュラウドに囲まれた、ケーブルを搭載したローターを含む軸方向流血液ポンプである。ポンプは、ローターおよびシュラウドと共に、伸長された可撓性カテーテルの端に搭載される。このカテーテルは、離れた入口点(例えば、大腿動脈へのアクセスを提供する鼡径部の下の切開)から大動脈へ挿入される。次いで、カテーテルは、心臓近くの上行大動脈に達するまで、下行大動脈を通過する。カテーテルデバイスは、回転する駆動ケーブルを含み、このケーブルは、一方の端でインペラーブレードに連結し、そして他方の端で、患者の鼡径部近くの、カテーテルの露出端から現れる。この駆動ケーブルの露出端は、患者の体の外側に設置されたデバイスを用いて、機械的に回転され、カテーテルの長さにわたって回転力を伝達し、インペラーを、心臓の近くで高速でスピンさせる。この型の血液ポンプは、手術の間の心室の補助を提供するか、または患者が危機を切り抜けるのを助けるための一時的なつなぎのサポートを提供する際に、特別な適用が見い出される。
【0005】
先行技術の血管内血液ポンプは、通常、心室補助機能を提供する際に、効果的であるが、それにもかかわらず、種々の欠陥を有する。重要な欠陥は、先行技術の血管内血液ポンプは、患者の循環器系内の適切な位置にガイドすることが難しい、ということである。これは、伸長されたカテーテルが、心臓まで、そして心臓内へと続く蛇行する経路を通って、このポンプに容易に扱うために必要な程度の制御を提供し得ない、という事実に大きく起因する。血液ポンプを、弁を横切る(trans−valvular)配置(この配置は、入口を左心室に、そしてポンプ出口を上行大動脈に有する)において設置しようとする場合、カテーテルが真っ直ぐのままとどまろうとする自然の傾向によって、ポンプは、不注意にも頚動脈口に配置され得、このことは、ポンプが脳からの血液を回収するように操作されると、危険となり得る。
【0006】
これらの困難性を克服するために、特定のガイド機構は、医者が、循環器系内の適切な位置にポンプを配置するのを補助するために利用され得る。1つの型の補助的ガイド機構は、ガイドカテーテルである。ガイドカテーテルは、医者が、ガイドカテーテルを血管構造または心臓内に、比較的容易に、選択的に配置し得るように、特定のガイド可能性を特徴として有して設計される。中心管腔は、血管内ポンプが、ガイドカテーテル内に導入され、そして所定の循環部位に向かって進む間、ガイドされ得るように、ガイドカテーテル内に提供される。このような補助的ガイド機構を利用することは、通常、このような血管内血液ポンプに対してガイドする特徴を提供する場合に効果的であるが、それにもかかわらず、このような補助的ガイド機構が血管内の貴重な空間を占領するという点で不利である。例えば、ガイドカテーテルは、ポンプおよび保護シュラウドの構成要素の十分な通過を提供するために、これらの直径よりも、直径が必ず大きい。理解されるように、このことは、血液が特定の血管内で流れるために利用可能な空間の体積を制限し、そして血管にアクセスするために必要とされる刺創のサイズを大きくする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、先行技術の血管内血液ポンプの前述する欠陥の影響を取り除き、および/または減らすことに向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(本発明の要旨)
本発明は、患者の循環器系(すなわち、心臓および/または血管構造)内の、所定の位置に、血管内血液ポンプを選択的にガイドするための統合された特徴を備えた、改良された血管内血液ポンプを提供することによって、先行技術の欠陥を克服する。このようにする際に、本発明の血管内血液ポンプは、補助的なガイド機構(例えば、先行技術で使用されるような分離した、大きな直径のガイドカテーテル)に対する必要性を取り除く。
【0009】
本発明の第1の広範な局面において、血管内血液ポンプシステムは、血管内血液ポンプであって、それに連結されたカニューレを有する血管内血液ポンプ、および、患者の循環器系内の所定の位置に、血管内血液ポンプおよびカニューレを選択的に配置するための、「オーバーワイヤ(over−the−wire)」型のガイド機構を含んで、提供される。これを確立するために、中心管腔は、血管内血液ポンプシステムの少なくとも一部分を通じて形成され、その結果、ガイドワイヤのようなガイド要素は、その部分を通って前に進められ、そして患者の循環器系の所定の位置まで推し進められ得る。このガイド要素は、このような所望の位置に進められた後、血管内血液ポンプおよびカニューレは、その後、ガイド要素に沿って所望の位置まで進められ得る。
【0010】
本発明の第2の広範な局面としては、血管内血液ポンプシステムは、血管内血液ポンプであって、それに連結されたカニューレを有する血管内血液ポンプ、および、患者の循環器系内の所定の位置に、血管内血液ポンプおよびカニューレを選択的に配置するための、「側部装備(side−rigger)」または「迅速交換(rapid exchange)」型のガイド機構を含んで、提供される。これを確立するために、側部管腔は、血管内血液ポンプおよびカニューレの少なくとも一部分の長さに沿って形成される。ガイドワイヤのようなガイド要素は、患者の循環器系内の所定の位置に進められ得る。ガイド要素がこのような所望の位置に進められた後、血管内血液ポンプおよびカニューレは、その後、ガイド要素に沿って所望の位置まで進められ得る。
【0011】
本発明の第3の広範な局面としては、血管内血液ポンプシステムは、血管内血液ポンプであって、それに連結されたカニューレを有する血管内血液ポンプ、および、患者の循環器系内の所定の位置に、血管内血液ポンプおよびカニューレを選択的に配置するための、「ガイドカテーテル(guide catheter)」型のガイド機構を含んで、提供される。この広範な局面のポンプシステムは、導管アセンブリおよび分離したポンプアセンブリを含む。導管アセンブリは、ガイドカテーテル、ローターシュラウド、およびカニューレ(このカニューレおよびガイドカテーテルは、ローターシュラウドのいずれかの端に配置されている)を備える。ポンプアセンブリは、ローター、ローターに連結された駆動部材、およびローターと駆動部材との間に配置されたポンプを備える。ガイドカテーテルは、使用できる血液ポンプを形成するために、ポンプアセンブリを受容し、そしてローターシュラウド内にローターがドッキングする点まで、ポンプアセンブリをガイドするように寸法決めされる。この配置は、導管アセンブリが、介入的心臓病学において周知の、従来のガイド技術の使用を通じて、体内の所望の位置へ正確かつ効果的にガイドされるのを可能とする。その後、ポンプアセンブリは、導管へ導入され、ポンプアセンブリがローターシュラウド内でドッキングされるまで、導管内でガイドされ得る。この二重の構築アレンジメントは、ガイド機構として導管を使用することによって、ポンプアセンブリの改良された配置を提供する。
【0012】
本発明の前述される広範な局面は、以下の詳述に従って明らかにされ得る。
【0013】
本発明の第1の広範な詳述によると、血管内血液ポンプシステムは、血管内血液ポンプに連結されたカニューレを有する血管内血液ポンプ、および、患者の循環器系内の所定の位置に、血管内血液ポンプおよびカニューレをガイドするために適合されるガイド機構を含んで、提供される。
【0014】
さらなる実施形態において、血管内血液ポンプは、ローター、ローターを受容するためのシュラウド、およびシュラウド内でローターを駆動するための、ローターに連結した駆動ケーブルを備える。
【0015】
さらなる実施形態において、カニューレは、血管内血液ポンプのシュラウドに連結される。
【0016】
さらなる実施形態において、ガイド機構は、シュラウドに連結されたガイドカテーテルを備える。
【0017】
さらなる実施形態において、ガイドカテーテルは、患者の循環器系内の所定の位置に、シュラウドおよびカニューレをガイドするために使用され得、その後、血管内血液ポンプのローターおよび駆動ケーブルは、ポンプ操作のために、シュラウド内でドッキングされ得る。
【0018】
さらなる実施形態において、駆動ケーブルシースは、駆動ケーブルを受容するための中心管腔を有して、提供され、そしてここで、パージ流体送達システムが、駆動ケーブルシースに連結され、ローターにパージ流体を送達する。
【0019】
さらなる実施形態において、駆動ケーブルシースは、パージ流体をローターに送達するための少なくとも1つの側部管腔を備える。
【0020】
さらなる実施形態において、一部分のパージ流体は、少なくとも1つの側部管腔を介して、そしてローターを経て送達され、そして一部分のパージ流体はローターから駆動ケーブルの中心管腔を介して経路変更されて戻る。
【0021】
さらなる実施形態において、灌流アセンブリは、ガイドカテーテル内から、患者の血管構造へのガイドカテーテルの導入位置から下流の位置まで、血液を選択的に経路変更するために、ガイドカテーテルに相互連絡して連結されて、提供される。
【0022】
さらなる実施形態において、灌流アセンブリは、ガイドカテーテルに相互連絡して連結された第1の導管、患者の血管構造へ導入されるように寸法決めされた第2の導管、ならびに、第1の導管と第2の導管との間に配置された選択的に操作可能な弁を備える。
【0023】
さらなる実施形態において、血管内血液ポンプおよびカニューレの少なくとも1つに近接する、血液の圧力を検出するために、血圧検出機構が提供される。
【0024】
さらなる実施形態において、血圧検出機構は、カニューレの少なくとも一部分内に配置された、液体充填カラム、血管内血液ポンプおよびカニューレの少なくとも1つに連結された圧電素子、および血管内血液ポンプおよびカニューレの少なくとも1つに連結されたひずみゲージを含む。
【0025】
さらなる実施形態において、血圧検出機構は、ローターを駆動するために使用されるモーターのトルクとモーター電流との間の関係に基づいて、血圧を計算することを包含する。
【0026】
さらなる実施形態において、ガイド機構は、カニューレ内に少なくとも部分的に配置されたガイド要素を含む。
【0027】
さらなる実施形態において、ガイド機構は、カニューレ内に形成された側部管腔を通過するためのガイドワイヤを含む。
【0028】
さらなる実施形態において、ガイド要素は、カニューレ内に少なくとも部分的に配置された、選択的に変形可能な要素を含む。
【0029】
さらなる実施形態において、血管内血液ポンプおよびカニューレは、まず、所定の位置までガイドワイヤを通し、その後、血管内血液ポンプおよびカニューレをガイドワイヤに沿って所定の位置まで滑らせることによって、患者の血管構造内の所定の位置まで、選択的に進められ得る。
【0030】
さらなる実施形態において、ガイド要素は、駆動ケーブルおよびローターを介して延びる管腔を通る通路のためのガイドワイヤを含む。
【0031】
さらなる実施形態において、血管内血液ポンプおよびカニューレは、血管内血液ポンプおよびカニューレは、まず、所定の位置までガイドワイヤを通し、その後、血管内血液ポンプおよびカニューレをガイドワイヤに沿って所定の位置まで滑らせることによって、患者の血管構造内の所定の位置まで、選択的に進められ得る。
【0032】
さらなる実施形態において、ガイド機構は、患者の血管構造内の所定の位置へのシュラウドおよびカニューレの配置を容易にするために、ガイドカテーテルを通過するためのガイド要素をさらに含む。
【0033】
さらなる実施形態において、ガイド機構は、ガイドカテーテルの少なくとも一部分に沿って形成された側部管腔を通過するためのガイド要素をさらに含む。
【0034】
さらなる実施形態において、ガイド要素は、ガイドワイヤおよびバルーンカテーテルの少なくとも1つを含む。
・本発明はさらに、以下を提供する:
・(項目1) 改良された血管内血液ポンプシステムであって、
血管内血液ポンプであって、上記血管内血液ポンプに連結されたカニューレを備える、血管内血液ポンプ;および
ガイド機構であって、上記血管内血液ポンプおよびカニューレを患者の循環器系内の所定の位置にガイドするように適合された、ガイド機構、
を備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目2) 項目1に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記血管内血液ポンプが、ローター、上記ローターを受容するシュラウド、および上記シュラウド内の上記ローターを駆動するために上記ローターに連結された駆動ケーブルを備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目3) 項目2に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記カニューレが、上記血管内血液ポンプの上記シュラウドに連結されている、血管内血液ポンプシステム。
・(項目4) 項目3に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記ガイド機構が、上記シュラウドに連結されているガイドカテーテルを備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目5) 項目4に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記ガイドカテーテルが、上記シュラウドおよびカニューレを上記患者の循環器系内の上記所定の位置にガイドするために使用され得、その後、上記血管内血液ポンプの上記ローターおよび駆動ケーブルが、ポンプ操作のために上記シュラウド内に入れられ得る、血管内血液ポンプシステム。
・(項目6) 項目2に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記駆動ケーブルを受容するための中心管腔を有する駆動ケーブルシースを備え、そしてパージ流体送達システムが、パージ流体を上記ローターに送達するために上記駆動ケーブルシースに連結されている、血管内血液ポンプシステム。
・(項目7) 項目6に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記駆動ケーブルシースが、上記パージ流体を上記ローターに送達するために少なくとも1つの側部管腔を備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目8) 項目7に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記パージ流体の一部が、上記少なくとも1つの側部管腔を通り上記ローターを通過して送達され、そしてパージ流体の一部が、上記ローターから上記駆動ケーブルの上記中心管腔を通って戻される、血管内血液ポンプシステム。
・(項目9) 項目4に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、血液を上記ガイドカテーテル内から、上記患者の血管構造内への上記ガイドカテーテルの導入部位よりも下流の点へと選択的に向ける(reroute)ために、上記ガイドカテーテルに連絡して連結された灌流アセンブリを備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目10) 項目9に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記灌流アセンブリが、上記ガイドカテーテルに連絡して連結された第1導管、上記患者の血管構造に導入されるような寸法にされた第2導管、および上記第1導管と上記第2導管との間に配置された選択的操作可能バルブを備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目11) 項目1に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記血管内血液ポンプおよび上記カニューレのうちの少なくとも1つの近位において血圧を検出するための血圧検出機構を備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目12) 項目11に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記血圧検出機構が、上記カニューレの少なくとも一部の中に配置された流体充填カラム;上記血管内血液ポンプおよび上記カニューレのうちの少なくとも1つに連結された圧電素子;ならびに上記血管内血液ポンプおよびカニューレのうちの少なくとも1つに連結されたひずみゲージ;のうちの少なくとも1つを備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目13) 項目11に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記血圧検出機構が、上記ローターを駆動するために使用されるモーターのトルクとモーター電流との間の関係に基づいて、血圧を計算する工程を包含する、血管内血液ポンプシステム。
・(項目14) 項目1に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記ガイド機構が、上記カニューレ内に少なくとも部分的に配置された、ガイド要素を備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目15) 項目14に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記ガイド要素が、
上記カニューレ内に形成される側部管腔を通る通過のためのガイドワイヤ、
を備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目16) 項目14に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記ガイド要素が、上記カニューレ内に少なくとも部分的に配置された選択的に変形可能な要素を備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目17) 項目15に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記血管内血液ポンプおよび上記カニューレが、最初に上記ガイドワイヤを上記所定の位置に通過させ、その後、上記血管内血液ポンプおよび上記カニューレを上記ガイドワイヤに沿って上記所定の位置に滑らせることによって、上記患者の血管構造内の上記所定の位置に選択的に進み得る、血管内血液ポンプシステム。
・(項目18) 項目2に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記ガイド要素が、上記駆動ケーブルおよび上記ローターを通って延びる管腔を通る通過のためのガイドワイヤを備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目19) 項目18に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記血管内血液ポンプおよび上記カニューレが、最初に上記ガイドワイヤを上記所定の位置に通過させ、その後、上記血管内血液ポンプおよび上記カニューレを上記ガイドワイヤに沿って上記所定の位置に滑らせることによって、上記患者の血管構造内の上記所定の位置に選択的に進み得る、血管内血液ポンプシステム。
・(項目20) 項目4に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記ガイド機構が、上記患者の血管構造内の上記所定の位置への上記シュラウドおよび上記カニューレの配置を容易にするために、上記ガイドカテーテルを通る通過のためのガイド要素をさらに備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目21) 項目20に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記ガイド要素が、ガイドワイヤおよびバルーンカテーテルのうちの少なくとも1つを備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目22) 項目4に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記ガイド機構が、上記ガイドカテーテルの少なくとも一部に沿って形成される側部管腔を通る通過のためのガイド要素を備える、血管内血液ポンプシステム。
・(項目23) 項目22に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、上記ガイド要素が、ガイドワイヤおよびバルーンカテーテルのうちの少なくとも1つを備える、血管内血液ポンプシステム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(発明の詳細な説明)
本発明の例示的実施形態が以下に記載される。明瞭性の目的で、実際の実施の全ての特徴が本明細書に記載され得るわけではない。もちろん、任意のこのような実際の実施形態の開発において、多くの実施特異的決定が、開発者の特定の目的(例えば、システム関連の制限および商業関連の制限(これらは実施間で異なる)に従う)を達成するためになされなければならないことが理解される。さらに、このような開発の努力は、複雑で時間を消費し得るが、それにもかかわらず本開示の利益を有する当業者が慣用的に行うことが理解される。
【0036】
本発明は、患者の循環器系内の血流の増強を含む多くの幅広い範囲の適用における使用のための血管内ポンプシステムを含む。以下に記載されるように、本発明の血管内血液ポンプシステムは、血管内血液ポンプの一部としてガイド機構を提供することによって先行技術の欠点を克服する。これによって、血管内血液ポンプが、かさ高い補足ガイド機構(例えば、別のガイドカテーテル)の必要なしに患者の循環器系内の所定の位置に選択的にガイドされ得る。
【0037】
本発明の血管内ポンプアセンブリは、弁を横切る使用(例えば、左心室および/または右心室補助処置)に特に適する。単なる例示として、このような心室補助処置は、冠状動脈バイパス移植(GABG)、心肺バイパス(CPB)、開胸および非開胸(最小限の侵襲性)手術、移植への橋渡しの状況および/またはバイパスから離すことの失敗の状況が挙げられるがこれらに限定されない心臓手術において使用され得る。さらに、左心臓補助適用に関して大いに例示および記載されているが、本発明の原理が右心臓補助適用に関して等しく適用されることが容易に理解され、これは、本発明の範囲内として意図される。これらおよび他の変更およびさらなる特徴は、全体を通して記載される。
【0038】
図1を参照すると、単なる例示として示されるヒトの心臓内の左心臓補助構成で、本発明の最初の幅広い局面に従ったガイド可能血管内血液ポンプシステム10が示される。システム10は、血管内血液ポンプ12、カニューレ14、および「オーバーワイヤ」型のガイド機構16を備える。駆動ケーブルアセンブリ18およびモーターアセンブリ20は、血管内血液ポンプ12を駆動するために提供される。「オーバーワイヤ」ガイド機構16は、駆動ケーブル18、血液ポンプ12、およびカニューレ14を通って伸長する中心管腔をスライド可能に通過する寸法にされた適切なガイド要素を備える。適切なガイド要素には、多数の従来のガイドデバイス(心臓病学に使用されるデバイスを含むがこれに限定されない)が挙げられ得る。単なる例示として、ガイド要素は、ガイドワイヤ22として示される。本発明に従って、「オーバーワイヤ」ガイド機構16は、患者の循環器系内の所定の位置(例えば、示される弁を横切る位置)に血液ポンプ12およびカニューレ14を選択的にガイドする能力を提供する。
【0039】
これを達成するために、ガイドワイヤ22は、最初に任意の適切なアクセスポイントを通して患者の血管系に導入される(例えば、周知のセルディンガー技術を使用する)。次いで、ガイドワイヤ22は、患者の循環器系内の所望の位置に患者内を進み得る。これは、ガイドワイヤ22自身の制御特徴を使用してなされ得るか、またはガイドワイヤ22の適切かつ効率的な配置を確実にするために多数の補足ガイダンス機構または技術の使用によって容易にされ得る。このような補足ガイダンス技術には、ガイドカテーテルおよび/または超音波またはX透視検査を含む技術が挙げられえるが、必ずしもこれらに限定されない。一旦、ガイドワイヤ22が所望の位置(例えば、示されるような左心室)に配置されると、血液ポンプ12およびカニューレ14は、その後、ガイドワイヤ22に沿って進められ得、そして示される弁を横切る構成で位置付けられ得る。モーターアセンブリ20の操作下において、血液ポンプ12は、血液ポンプ12に形成される拍出装置を通って外側に送達するために左心室から(カニューレ14の内側を通って)血液を選択的に引き込むことによって左心臓補助に使用され得る。血液ポンプ12からのこの拍出は、身体中を通って動脈分布について実質的な軸様式で駆動ケーブルアセンブリ18の外側に沿って流れる。
【0040】
図2〜5を参照すると、図1の血管内血液ポンプシステム10の例示的な実施形態がここで記載される。図2に示されるように、血管内血液ポンプシステム10は、モーター連結器24、および以下にさらに詳細に記載されるように、ポンプ操作の間、駆動ケーブルアセンブリ18内に二通路流体フローを提供するためのパージ流体送達システム26を備える。パージ流体送達システム26は、血液ポンプ12への送達のための流体供給源(図示せず)からの加圧パージ流体を導入するための流体入口導管28、および血液ポンプ12からパージ流体の戻りのフローを引き込むための流体出口導管30を備える。モーター連結器24は、ポンプ操作のために血液ポンプ12に起動力を提供するためにモーター(図示せず)と駆動ケーブル(図示せず)との間に機械的接続を確立する。駆動ケーブルアセンブリ18は、駆動ケーブルシース32を備え、これはまた、パージ流体送達機能を提供することに加えて、駆動ケーブル(図示せず)に対する保護性のハウジングとして役立つ。明瞭性のために分解されて示されるが、駆動ケーブルアセンブリ18(およびその全ての構成要素)は、血管内適用に十分な任意の適切な長さで提供され得る。すなわち、駆動ケーブルアセンブリ18の長さは、患者の外側に配置されるモーター連結器24およびパージ流体送達システム26と血液ポンプ12が配置される患者の循環器系内の所望の位置との間に達するのに十分でなければならない。
【0041】
血管内血液ポンプ12は、軸方向フロー血管内血液ポンプとして(例示として)示される。血液ポンプ12は、ポンプ本体34、フローポート38を有するローターシュラウド36、ならびにポンプ本体34内に回転可能に配置されるシャフトおよびローターシュラウド36内に回転可能に配置されるインペラーを有する内部に配置されたローター(図示せず)を備える。カニューレ14は、ローターシュラウド36に固定的に接続され、そして特定の血管内適用に依存してそこから任意の適切な長さで伸長し得る。カニューレ14は、好ましくは、その遠位領域のあたりに複数のポートまたは窓(fenestration)40、ならびに端部ポート42(これは血液ポンプ12の操作に依存して血液をカニューレ14に入れるかまたはカニューレ14から出すことを可能にする)を備える。すなわち、ポンプ12が、図1に示される左心臓補助のために構成される場合、ポート40、42が、左心室からカニューレ14へ血液が入ることを可能にする。他方で、血液ポンプ12が右心臓補助のために構成される(すなわち、ポンプ12が右心房に配置され、そしてカニューレ14の遠位端が肺動脈内に配置される)場合、ポート40、42は、カニューレ14から肺動脈へ血液が入ることを可能にする。(右心臓補助適用についての詳細は、以下にさらに詳細に議論される)。ポンプ12およびカニューレ14は、血管内適用に適切な任意の直径の寸法であり得る。例えば、サイズの範囲は、9French〜30Frenchを含み得るが、これらに必ずしも限定されない。その範囲は、好ましくは14French〜24French、最も好ましくは18French〜20Frenchである。
【0042】
「オーバーワイヤ」型ガイド機構16は、ガイドワイヤ22を備え、以下にさらに詳細に説明されるように、カニューレ14を通って伸長する中心管腔、血液ポンプ12、駆動ケーブルアセンブリ18、パージ流体送達システム26、およびモーター連結器24を備える。上で示すように、中心管腔は、ガイドワイヤ22をスライド可能に受容するような寸法であり、その結果、ガイドワイヤ22が従来のガイダンス技術を使用して位置付けられた後に、血液ポンプ12およびカニューレ14がガイドワイヤ22に沿って患者の循環器系内の所望の位置にスライド可能に進み得る。従来のガイドワイヤ22として示されるが、本発明のガイド機構16の一部を形成するガイド要素が、適用(中心管腔を通ってスライド可能に受容されるような寸法のバルーンカテーテル、イメージングワイヤ、およびガイドカテーテルを含むがこれらに限定されない)に依存して多数の周知のガイダンス機構を備え得ることが容易に理解される。例えば、逆行性の進行(例えば、図1に示される左心臓適用)に適切ではないが、バルーンカテーテルは、右心臓補助適用に適切なガイダンス機構であり得る。このような場合、バルーンは、カテーテルを所望の位置(例えば、肺動脈)に向けるように膨張されそして「セイル(sail)」として使用され得、その後、血液ポンプ12およびカニューレ14が、血液ポンプ12が右心房にあり、そしてカニューレ14のポート38、40が肺動脈にある弁を横切る構成にカテーテルを越えて進み得る。
【0043】
図3および4は、さらに血液ポンプ12、カニューレ14、駆動ケーブルアセンブリ18、および「オーバーワイヤ」ガイド機構16の構成を詳述する。血液ポンプ12は、シャフト46を有するローター44およびインペラー48を備える。シャフト46は、例示としてボールベアリングアセンブリ50、52およびバネ54を含むベアリングパックによってポンプ本体34内に回転可能に配置される。ボールベアリングアセンブリ50、52は、当該分野において周知であり、それぞれローターシャフト46に沿って回転する内側レース、ポンプ本体34の内側表面に対して静的かつ固定された位置に保持する外側レース、および内側レースと外側レースの間に配置される複数のボールベアリングを備える。バネ54は、ポンプ操作の間の軸方向のあそびを減少するために互いに軸方向に離れるように各ベアリングアセンブリ50、52を付勢する。シャフト46は、一般的に中空であり、そして駆動ケーブルアセンブリ18の一部を形成する駆動ケーブル62にローター44を連結するために、このシャフト内にケーブルアダプタ60を受容するような寸法である。駆動ケーブル62は、多数の適切な形式(接着剤、クリンピング、およびレーザー溶接の使用を含むがこれらに限定されない)でケーブルアダプタ60に固定され得る。これらの同じ技術を使用して、ローター44のシャフト46内にケーブルアダプタ60を固定し得る。ラジアルシール64は、ポンプ本体34の壁とローターシャフト46の遠位段状領域66との間に提供され、その機能は、以下に記載される。
【0044】
インペラー48は、ハブ56およびそこから伸びる複数のブレード58を備える。ハブ56は、ほぼ円錐形であり、本発明の第1の幅広い局面に従って、ガイド機構16の中心管腔の一部を形成するために全体にわたって中空である。これに関して、ハブ56は、好ましくは、その遠位先端においてガスケットまたはシール部材68を備える。シール部材68は、任意の適切なシール材料(シリコーンを含むがこれに限定されない)から形成され得、その結果、ポンプ12およびカニューレ14は、所望の循環部位への送達のためにガイドワイヤ22に沿って容易に進み得る。シール部材68はまた、ガイドワイヤ22が適所のままにあるか、または完全に引き抜かれるかにかかわらず、ポンプ操作の間、ローターハブ56の内側への血液の侵入を妨げるのに十分丈夫であるべきである。ブレード58は、シュラウド36の内側表面と近い許容差(tolerance)であるような寸法である。操作において、ブレード58は、血液に軸方向ベクトルと半径方向ベクトルとの両方を与え、これによって、血液はシュラウド36に形成されるフローポート38を通って外に流れる。本明細書中で使用されるように、用語「軸方向フロー」は、図3に示されるようなフロー特徴を含むと考えられ、これは、軸方向成分と少しの半径方向成分の両方を含む。軸方向フロー型として示されているが、血液ポンプ12は、本発明の範囲から離れることなく、多数の適切な型の血管内血液ポンプを含み得る(これには、いわゆる「混合フロー」血管内血液ポンプが挙げられるが、これには限定されない)ことが容易に理解される。
【0045】
カニューレ14は、その近位端において、ローターシュラウド36に接続される。これは、接着剤の使用が挙げられるがこれに限定されない、多数の様式で達成され得る。これはまた、シュラウド36を、カニューレ14の近位端の内部に同一面に受容され得る狭い入口領域70を含むような寸法にすることによって、容易にされ得る。シュラウド36の入口領域70は、カニューレ14とインペラブレード58を含む領域との間の滑らかなフロー移行を確立するために、好ましくは、テーパ状の内部表面を有するべきである。単一の一体的な要素として示されるが、ポンプ本体34およびシュラウド36は、2つの別個の(そして時々は分離可能な)構成要素を備え得ることが、理解されるべきである。このことの重要性は、以下で明らかとなる。ポンプ本体34およびシュラウド36は、多数の適切な材料(ステンレス鋼または他の医療等級の組成物もしくはアロイが挙げられるがこれらに限定されない)から構成され得る。カニューレ14もまた、多数の適切な材料(医療等級のプラスチックが挙げられるがこれに限定されない)から構成され得る。示されるように、カニューレ14はまた、カニューレ14の壁の内部の螺旋状に巻かれた補強ワイヤ72で強化され得る。
【0046】
駆動ケーブルアセンブリ18は、駆動ケーブル62および駆動ケーブルシース32を備える。駆動ケーブル62は、ケーブルアダプタ60を介してローター44に接続される。駆動ケーブルシース32は、中心管腔74および複数の側部管腔76を備える。中心管腔74は、駆動ケーブル62のための保護的カバリングとして働く。中心管腔74はまた、側部管腔76とともに、上記図2に示すパージ流体送達システム26の一部を形成し、このことは、以下でさらに詳細に記載される。側部管腔76は流体入口導管28と流体連絡して提供され、一方で中心管腔74は、流体出口導管30と流体連絡して提供される。従って、側部管腔76は、パージ流体をポンプ12内へと駆動するよう構成され、一方で中心管腔74は、パージ流体を駆動ケーブル62の長さに沿ってポンプ12から離れるように移送するよう構成される。
【0047】
側部管腔76の内部の加圧されたパージ流体は、ポンプ12に入る際に、2つの流路のうちの一方をとり得る。一方の流路は、ポンプ12の内部を通過し、そしてラジアルシール64を外向きに通過して、ポンプの作動中に血液がポンプ本体34に入ることを防止する。より具体的には、パージ流体は、ケーブルアダプタ10の周囲を遠位方向に流れ、ボールベアリングアセンブリ50、52を通過し、そしてラジアルシール64を外向きに通過する。このようにパージ流体を強制的にラジアルシール64を通過させることは、血液がラジアルシール64を通過して入ることを効果的に妨害するよう制御され得る。血液が入ることは、妨害されない場合には、凝固および/またはポンプの損傷を引き起こし得る。外側の流路は、流体出口導管30に送達するために、中心管腔74の外側を戻るよう指向される。このようにする際に、この流路は、ポンプ12および/または駆動ケーブル62の構成要素を浸漬し、これによって、ポンプの作動中に、ポンプ12および/またはシース32の中心管腔74の内部の摩擦加熱を減少させる。
【0048】
「オーバーワイヤ」ガイド機構16は、中心管腔を備え、この管腔を通して、ガイドワイヤ22が、血液ポンプ12およびカニューレ14を患者の循環器系内の所望の位置にスライド可能に進めるために、延び得る。示される実施形態において、この中心管腔は、駆動ケーブル62、ケーブルアダプタ60、ローター44のシャフト46およびハブ56、ならびにカニューレ14の各々の内部に個々の中心管腔を形成し、そしてこれらの中心管腔をともに整列させることによって、確立される。この点に関して、駆動ケーブル62は、好ましくは、内部に中心管腔が形成された巻かれたワイヤの構成である。ケーブルアダプタ60、ローター44、およびガスケット68の内部の中心管腔は、機械加工プロセスまたは成形プロセスによって、形成され得る。これらの中心管腔は、好ましくは、ポンプの作動中に、これらに沿ったポンプ12およびカニューレ14のスライド可能な通過を可能にするが、ガイドワイヤ22がガイドワイヤ22の不注意による回転を引き起こすことを妨害も制限もしないような大きさにされるべきである。上記のように、ポンプ12およびカニューレ14が患者内で適切に配置された後に、ガイドワイヤ22を取り除くこともまた、意図される。この場合には、ハブ56のガスケットまたはシール68は、ガイドワイヤ22が引き抜かれた後に再シールし、そして血液がローター44の内部に入ることを防止するよう十分に丈夫であるべきである。
【0049】
図5を参照すると、モーター連結器24は、ハウジング78、駆動シャフトアダプタ80、およびベアリングアセンブリ82を備える。駆動シャフトアダプタ80は、駆動シャフト連結器84および駆動ケーブル連結器86を備え、この駆動シャフト連結器84は、モーター(図示せず)の駆動シャフトを受容するような寸法にされ、そしてこの駆動ケーブル連結器86は、駆動ケーブル62を受容するような寸法にされる。種々の取り付け技術(接着剤、圧着、およびレーザー溶接が挙げられるが、これらに限定されない)の任意のものを使用して、駆動ケーブル62を駆動ケーブル連結器86にしっかりと固定し得る。駆動シャフトアダプタ80は、ベアリングアセンブリ82によって、ハウジング78の内部に回転可能に配置される。ベアリングアセンブリ82は、ボールベアリングアセンブリ90、92の対、および上記の型のバネ94を保持するための、スリーブ88を備える(あるいは、このスリーブ88は、ハウジング78の一体的な部分として形成され得る)。すなわち、各ベアリングアセンブリ90、92は、一般に、内側レース、外側レース、および複数のボールベアリングを備え、この内側レースは、駆動シャフトアダプタ80とともに回転し、そして外側レースは、静止したままであり、そして保持スリーブ88の内側表面に対して固定されて位置し、そして複数のボールベアリングは、内側レースと外側レースとの間に配置される。バネ94は、各ベアリングアセンブリ90、92を互いに軸方向に離して付勢するために提供され、これによって作動中の軸方向の遊びを減少させる。
【0050】
パージ流体送達システム26は、中心管腔98、流入ポート100、および流出ポート102を有するハウジング96を備える。ハウジング96はまた、モーター連結器24の一部を嵌合して受容するような寸法にされる。この点に関して、シール要素104が、ハウジング96とハウジング78との間に挟まれて提供され、そして開口部を有し、この開口部は、駆動シャフトアダプタ80がハウジング78を出るにつれて、駆動シャフトアダプタ80の周囲に延びて、パージ流体がモーター連結器24に入ることを防止する。流体ガイド構造体106もまた、流入ポート100および流出ポート102を分離するために、中心管腔98の内部に提供される。流体ガイド構造体106は、中心管腔108および上昇部分110を備え、この中心管腔108を通って、駆動ケーブル62が延び、そしてこの上昇部分110は、Oリング112を、ハウジング96の中心管腔98の内側表面に対して保持する。駆動ケーブルシース32は、ハウジング96に固定され、その結果、流入ポート100が、側部管腔76と連絡して接続され、そして流出ポート102が、中心管腔74と連絡して接続される。この様式で、加圧されたパージ流体は、流入導管28を通して流入ポート100へと導入され得、そして流出ポート102を通って流出導管30を通して除去され得る。例示として、流入導管28および流出導管30は、それらのそれぞれのポート100、102に、鉤付きコネクタ114を介して接続され得る。同様に、流入導管28および流出導管30は、加圧された流体の供給源(図示せず)との流体連絡を確立するための、任意の数の適切なコネクタ(例えば、図2に例示として示されるもの)を備え得る。加圧された流体の供給源(図示せず)としては、加圧された流体の必要な送達を提供するための、シリンジ、インデフレータ(indeflator)、流体送達ポンプ、またはアキュムレータ配置の使用が挙げられ得るが、これらに必ずしも限定されない。従って、パージ流体送達システム26は、血液ポンプ12を冷却し、そして血液がラジアルシール64を通過して血液ポンプ12に入ることを防止する目的で、駆動ケーブルシース32の内部に、パージ流体の2方向伝達を提供する。
【0051】
図6を参照すると、本発明の第二の広い局面による、ガイド可能な血管内血液ポンプシステム120が示される。本明細書中以下に記載されるように、血管内血液ポンプシステム120は、利用されるガイド機構の型に関してのみ、上記血管内血液ポンプシステム10と異なる。ここで、明瞭さおよび一貫性のために、類似の参照番号は類似の要素を示すために使用され、そして必要である場合に、違いを指摘する。さらに、両方の血管内血液ポンプシステム10、120において使用される原理の共通性に起因して、上記の細部のレベルの議論は、血管内血液ポンプシステム120に関しては、必要であるとはみなされない。その代わりに、血管内血液ポンプ10と共通の局面を、ここで血管内血液ポンプシステム120の議論に援用する。
【0052】
その最も一般的な形態において、本発明のこの第二の広い局面の血管内血液ポンプシステム120は、血液ポンプ12およびカニューレ14の配置を備え、ここで、カニューレ14は、「側部装備(side−rigger)」または「迅速交換」ガイド機構122を備える。本発明の重要な局面において、「迅速交換」または「側部装備」ガイド機構122は、ガイドキャリッジ124および適切なガイド要素(例えば、ガイドワイヤ22)を備え、ここで、このガイドキャリッジ124は、カニューレ14の少なくとも一部に沿って形成され、そしてこのガイド要素は、ガイドキャリッジ124を通って延びる管腔(図示せず)をスライドして通過する寸法にされる。これによって、「迅速交換」ガイド機構122は、血液ポンプ12およびカニューレ14を、上記様式で、患者の循環器系内の所定の位置に選択的にガイドするための能力を提供する。すなわち、ガイドワイヤ22は、任意の適切なアクセスポイントを通して患者の血管系に最初に導入され、そしてこの患者の循環器系内の所望の位置(すなわち、図示されるような左心室)にガイドされ得る。その後、血液ポンプ12およびカニューレ14は、ガイドワイヤ22に沿って進められ得、そして左心の補助を提供するために、示される弁を通過する構成に配置され得る。
【0053】
図7〜9は、本発明のこの第二の広い局面の「側部装備」または「迅速交換」ガイド機構122をさらに説明する。好ましい実施形態において、「側部装備」ガイド機構122は、ガイドキャリッジ124の内部に形成された管腔126を備える。ガイドキャリッジ124は、好ましくは、カニューレ14の壁の一体的な拡張部として形成される。図7および8は、図6に示す実施形態と一致する。すなわち、カニューレ14の外側表面に沿って形成されるガイドキャリッジ124を示す。図9は、ガイドキャリッジ124は、カニューレ14の内側表面に沿って形成され得る、代替の実施形態を示す。いずれの場合においても、ガイドワイヤ22は、患者の血管構造内の所望の位置に進められ、その時点の後に、血液ポンプ12およびカニューレ14は、本発明に従って、所望の位置へと送達するために、このガイドワイヤ22に沿ってスライド可能に進められ得る。ガイドワイヤ22は、その後、患者から引き抜かれ得る。ガイドキャリッジ124がカニューレ14の外側表面に沿って形成される(図7〜8に示すように)場合には、カニューレ14は、好ましくは、ガイドキャリッジ124が弁を通過する様式で延びないように、配置されるべきである。例えば、図6を参照して、ガイドキャリッジ124は、心拍手順の間の拍動性血流が側部管腔126を不注意に通過せず、そして大動脈弁を通過するように、左心室の完全に内部に位置するべきである。
【0054】
血管内血液ポンプシステム120は、上で示し、そして説明した血管内血液ポンプシステム10と、それぞれのガイド機構16、122の位置を除いて実際的に同じ様式で構成される。より具体的には、ガイド機構122は、カニューレ14の側部に沿って配置されるので、血管内血液ポンプシステム10に関して上に詳述したように、血液ポンプ12、駆動ケーブルアセンブリ18、パージ流体送達システム26、およびモーター連結器24を通って延びる中心管腔を形成する必要がない。それ自体で、これらの構成要素は、上記血管内血液ポンプシステム10に関して必要であったような中心管腔を含むように、特に機械加工または成形される必要がない。
【0055】
図10を参照すると、本発明の第三の広い局面によるガイド可能な血管内血液ポンプシステム130が示される。再度、上記血管内血液ポンプシステムと血管内血液ポンプシステム130との間の、多くの同じ構成要素および特徴の共通性に起因して、類似の参照番号は、類似の要素を表すために使用され、そして必要な場合に、違いを指摘する。以下にさらに詳細に説明されるように、血管内血液ポンプシステム130は、本発明による、独自かつ有用ななお別のガイド機構を使用する。しかし、多くの同じ構成要素が使用されているので、上記の細部のレベルの議論は、血管内血液ポンプシステム130に関しては、必要であるとはみなされない。その代わりに、上記の血管内血液ポンプと共通の局面を、ここで、血管内血液ポンプシステム130の議論に援用する。
【0056】
その最も一般的な形態において、本発明のこの第三の広い局面の血管内血液ポンプシステム130は、血液ポンプ12およびカニューレ14の配置を備え、ここで、「ガイドカテーテル」132が、ポンプ12およびカニューレ14を患者の循環器系の内部の所望の位置に配置するためのガイド機構として、提供される。より具体的には、図12を簡単に参照して、血管内血液ポンプシステム130は、本発明に従って、2つの別個のアセンブリに形成される:導管アセンブリ134およびポンプアセンブリ136である。その最も基本的な形態において、導管アセンブリ134は、ガイドカテーテル132およびカニューレ14を備え、これらは、ローターシュラウド36に接続される。ポンプアセンブリ136は、ポンプ本体34およびローター44が、ローターシュラウド26から脱係合され、そして導管アセンブリ134から完全に取り外されるように、構成される。再度図10を参照すると、この二重の構成は、本発明の有意な特徴を形成する。なぜならこれは、血液ポンプ12を、患者の所望の位置において、2つの別個のかつ区別された工程を使用して、形成する能力を提供するからである。第一の工程は、シュラウド36およびカニューレ14が各々所望の位置(例えば、心臓補助手順については弁を通過する配置)に配置されるように、導管アセンブリ134を(ポンプアセンブリ136が取り外された状態で)患者内に配置する工程を包含する。重要な局面において、導管アセンブリ134を患者の内部で配置する作業は、多数の周知の案内機構(ガイドワイヤ、バルーンカテーテル、画像化ワイヤ、ガイドカテーテル、および/または超音波もしくは蛍光透視法を含む技術が挙げられるが、これらに限定されない)の使用によって、有利に容易にされ得る。本発明の血管内血液ポンプシステム130を提供する工程における第二工程は、ローター44がシュラウド36の内部に合体して所望の位置でポンプ12を形成するように、ポンプアセンブリ136を導管アセンブリ134に通して進める工程を包含する。
【0057】
説明として、用語「カニューレ」とは、カニューレ14を表すために使用される。なぜなら、このカニューレが、血液ポンプ12の内部に流体を移送するために主として働くからである。一方で、用語「カテーテル」とは、カテーテル132を表すために使用される。なぜなら、このカテーテルが、デバイスまたは構成要素(すなわち、ポンプアセンブリ136)を身体内の所望の位置に案内または指向するために主として働くからである。しかし、これらの用語は、本発明の範囲から逸脱することなく、カニューレ14が特定のガイド機構を果たし得、そしてカテーテル132が特定の流体移送機能を果たし得るように、簡便なため、および一般的な様式でのみに使用されることが、容易に理解されるべきである。例えば、カニューレ14は、種々のガイド機構(例えば、ガイドワイヤ、バルーンカテーテル、Nitonolのような選択的に変形可能な要素など)を受容するための専用の管腔を備え得る。類似の様式で、ガイドカテーテル132を使用して、例えば、開口部138をカテーテル132の所定の領域に沿って提供することによって、流体を患者へおよび/または患者から送達し得る。
【0058】
図11は、患者におよび/または患者から流体を輸送するためのガイドカテーテル132の使用を包含する、本発明の有意な特徴を例示する。任意の灌流アセンブリ140は、本発明の血管内血液ポンプシステム130の一部として提供される。この灌流アセンブリ140は、開口138と流体連絡した導管142を備え、この場合、この導管は血液ポンプ12から短距離下流のガイドカテーテル132の遠位領域付近で形成される。使用中、血液は身体全体にわたる分配のためのガイドカテーテル132の外部に沿って通過し、開口138を通過した後ガイドカテーテル132の内部内を通過する。灌流アセンブリ140は、次いで、ガイドカテーテル132内から、ガイドカテーテル132が身体に入る点から下流の患者の血管内の点に血液を選択的に再変更するために用いられ得る。灌流アセンブリ140の止血バルブアセンブリ146により、駆動ケーブルアセンブリ18は、灌流アセンブリ140以外に血液が流れるのを防止しつつ、パージ流体送達システム26まで通過し得る。パージ流体送達システム26のシールアセンブリ150によって、駆動ケーブル62は、パージ流体送達システム26へおよびこれから以外のパージ流体の流れを防止しつつ、モーター20まで通過し得る。灌流アセンブリ140は、灌流アセンブリ140から患者への灌流血流の分配を選択的に制御するための制御機構148を備える。この制御機構148は、特定のフィードバック基準に基づいて自動化されるか、または手動で作動され得る。
【0059】
図12〜17は、本発明の第3の広範な局面に従う血管内血液ポンプシステム130の代表的な構成を例示する。図12に示されるように、導管アセンブリ134は、この導管アセンブリからポンプアセンブリ136を取り外すように選択的に外され得る。本発明によると、導管アセンブリ134は、患者の循環器系に導入され(ポンプアセンブリ136を使用することなく)、そしてローターシュラウド36およびカニューレ14が所望の位置に配置されるように、選択的にガイドされ得る。その後、ポンプアセンブリ136は、導管アセンブリ134に選択的に導入され得る。このような「バックローディング(back−loading)」配置における挑戦は、ポンプアセンブリ136が概してローターシュラウド36内でドッキングし、そして得られたポンプ12の作動中、適切な係合を維持されることを保証することである。
【0060】
代表的なドッキング配置は、ここで図14に関して記載される。好ましい実施形態において、このローター44は、シュラウド36およびポンプ本体34の対応する位置上に角度付けした接合表面を形成することによって、シュラウド36内で適切かつ正確にドッキングされ得る。より詳細には、この角度を付けられた接合表面は、フロー開口38から近位に伸長している部分に沿ってローターシュラウド36の内面上に形成され得る。対応する角度をつけられた接合表面は、その遠位部分に沿ったポンプ本体34の外面に沿って設けられる。図14に示される接合表面は、好ましくは、約2°〜約10°の範囲で形成され、そしてより好ましくは、約3°〜約6°の範囲で形成される。これらの範囲内の接合角は、図14に示されるようなフロー開口38の近位端とほぼ同一平面にある点まで、ポンプ本体34の遠位端をガイドするのに適切である。この様式において、ポンプアセンブリ136およびローターシュラウド36が結合して、血液ポンプ12を形成する。より重要なことに、このドッキングは、ローター44およびローターブレード58が、効果的かつ安全なポンプ作動のために適切な位置に維持されるように行われる。
【0061】
ポンプアセンブリ136をこのドッキングされた関係に維持するための例示的な付勢スキームは、ここで、図12〜13および16〜17に関して記載される。導管アセンブリ134には、好ましくは、本発明の灌流アセンブリ140の一部を形成する雌型クイックコネクト継手154と係合し得る雄型クイックコネクト継手152が装着される。バイアスバネ156は、灌流アセンブリ140とパージ流体送達システム26のハウジング96との間に備えられる。このバイアスバネ156は、好ましくは、この雄型クイックコネクト継手152が、本発明のドッキングプロセスの一部として雌型クイックコネクト継手154と係合した場合の張力となるように寸法決めされる。このように、バイアスバネ156は、ローターシュラウド36内のドッキング位置にポンプアセンブリ136を維持するように働く。このバイアスバネ156は、任意の数の適切な様式で、パージ流体送達システム26のハウジング96と連結され得る。1つのこのような連結配置は、ハウジング96に取り付けられた雌型クイックコネクト継手158、およびバイアスバネ156に取り付けられた雄型クイックコネクト継手160を備え得る。
【0062】
灌流アセンブリ140の例示的な実施形態は、図12〜13および17に関して示される。示される灌流アセンブリ140は、雌型クイックコネクト継手154に連結された止血バルブ146を備える。ある長さのチューブ162は、止血バルブ146の対立するバーブコネクタと雌型クイックコネクト継手154との間を伸長する。雄型クイックコネクト継手152の内側、雌型クイックコネクト継手154、チューブ162、および止血バルブ146を通って伸長する連続管腔が、形成される。駆動ケーブルアセンブリ18は、この連続管腔を通って伸長し、Touehy−Borst止血シール164(これは、灌流アセンブリ140の近位端からの血液の移動を防ぐ)を通って出る。側部ポート166は、灌流アセンブリ140の中心管腔と流体連絡して配置される。一実施形態において、この側部ポート166には、止め栓170に連結された灌流導管(すなわち、図11の導管142)を通る血液の分配を選択的に制御するための止め栓170を有する導管168が備えられる。患者を選択的に灌流するためのこの型の手動制御システムは、灌流の速度を自動的に制御するための制御回路と置き換えられ得る。このような自動還流は、同時フィードバックまたは予めプログラムされた閾値に基づく制御アルゴリズムに依存し得る。
【0063】
前記の議論は、本発明の一部を形成する本発明の多数の局面を詳述する。広範な本発明の概念から逸脱することなく、変更が上記の実施形態において行われ得ることが当業者に理解される。例示の目的のみで、以下の証拠の様々なさらなる局面が本発明の一部を形成する。
【0064】
図18は、代替のベアリングアセンブリ、パージ流体送達、およびドッキングスキームを有する本発明の第3の広範な局面の血管内血液ポンプシステムの代替の構成を例示する。このベアリングアセンブリは、シールバネ182およびベアリングアセンブリ180を備える。このベアリングアセンブリ180は、内側レース184、外側レース186、および複数のボール188(これにより、この内側レース184はローターシャフト46と共に回転し得、一方、外側レース186はポンプ本体34の内面に対して静的な固定された位置に維持され得る)を備える。Oリング190は、ベアリングアセンブリ180をシールバネ182に対して維持するようにローターシャフト46内に形成された溝部内に配置される。このOリング190は、ケーブルアダプタ60の遠位端から伸長している湾曲したリップ部分を介してローターシャフト46内の溝部内にさらに固定される。ケーブルアダプタ60の近位端は、駆動ケーブル62と同一平面で係合する。
【0065】
図18に示される実施形態のパージ流体送達システムは、血液ポンプ12へのパージ流体の1つの送達方法を提供する。すなわち、加圧流体(すなわち、周囲容器内の血圧より上に上昇されたあるレベルまで加圧された流体)は、作動中、駆動ケーブル62と保護シース32の内側との間に注入される。これは、駆動ケーブル62とシース32との間に存在する任意の摩擦熱を減少するように働く。この加圧流体はまた、シールが192で破壊した場合、この加圧流体が開口シール192を通過しシュラウド36内に形成される血流ポート38を通って前向きに流れるように、ポンプ12の内部を通って流れる。このことは、凝固および/またはポンプ12の破損を回避するために、血液がポンプ12に入らないように働く。
【0066】
ポンプアセンブリ136は、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の数の異なる様式で、導管アセンブリ134内でドッキングされ得る。すなわち、図18に示されるドッキングスキームは、例示のみのために記載され、そして導管アセンブリ134内でポンプアセンブリ136と一時的に係合または「ドッキング」する多数の方法を制限または制約することを意図しない。唯一の要件は、ポンプアセンブリ136および導管アセンブリ134が、ローター44がシュラウド36内に配置されて、カニューレ14を通りシュラウド36から出る所望の軸方向フローを提供するようにドッキングすることである。例示的なドッキングスキームは、シュラウド36の内部に沿ってカニューレ係合溝部194を形成する工程、およびポンプ本体34の外面に沿って相補的環状リッジ96を形成する工程を包含する。挿入中、ポンプアセンブリ136は、ポンプ本体34上の環状リッジ196が、シュラウド36内で形成される溝部194内で係合するまで、導管アセンブリ134内に押し進められる。このドッキングスキームは、一般的に、ポンプアセンブリ136を導管アセンブリ134に挿入するプロセスの間、環状リッジ196と溝部194との間の係合作用が医師に触覚フィードバックを提供するという点において有利であり、その結果、この医師は、ドッキングがいつ完了したかを決定し得る。
【0067】
当業者に理解されるように、環状リッジ196および係合溝部196の位置は、これらがフロー開口38に接近してかまたはさらに離れて配置されるように変動し得る。シュラウド36の内面とポンプ本体34の外面との間を伸長する接合部に血液が侵入するのを妨げるために、これらのドッキング構造をフロー開口38に接近して形成することが有利であり得る。ポンプアセンブリ136を導管アセンブリ134内で一時的に係合またはドッキングするために、選択的に膨張可能な構造体(例えば、バルーン)を用いることもまた企図される。この点において、1つ以上の管腔が、ポンプ本体34の外面に沿って配置されたバルーンと流体連絡したポンプ本体34の内部から伸長するポンプ本体34内で形成される。ポンプ本体34の内側を流れる加圧流体は、次いで、バルーンを膨張するために使用され、このバルーンは次いで、シュラウド36内の環状溝部(例えば、194)内で係合する。もちろん、係合構造は、本発明の範囲から逸脱することなく入れ替えられ得る。例えば、シュラウド36は、その中に、シュラウド36の内面上に配置されたバルーンを膨張するための流体送達管腔を備えられ、これは次いで、ポンプ本体34の外面に沿って形成される環状係合溝部内に配置され得る。
【0068】
本発明は、大部分が左心臓適用の間における使用において示されてきたが、これは本発明の適用を左心臓支持のみにおける使用に制限しないことが容易に理解されるべきである。さらに本発明のガイド可能な血管内血液ポンプは、右心臓支持適用および当業者に明らかな広範な他の適用において利用され得る。例えば、図19に関して、右心臓支持適用における使用のために構成された(図2〜5に関して上記に示されそして記載される型の)血管内血液ポンプ200が示される。この実施形態において、血管内血液ポンプシステム200は、例えば、バルーンカテーテル202を備える「オーバーワイヤ(over−the−wire)」ガイド機構16を装着される。図2〜5に示される型の実施形態の観点において以下で示されそして記載されてきたが、本明細書中で開示される血管内血液ポンプシステム120、130はまた、右心臓適用において使用するために構成され得ることが容易に理解されるべきである。このような右心臓構成、および本願に列挙される広範な原理に基づく当業者に明らかな他の構成は、本発明の範囲内にあることが意図される。
【0069】
心臓内に配置された血管内血液ポンプシステム200が、示され、拍動心臓手術の間に右心臓の支持を提供するのに利点があり得る。これは、本発明に従って右心臓にガイド可能な血管内血液ポンプシステム200を配置するために、適切なガイド要素(例えば、バルーンカテーテル202)は、膨張可能なバルーンの「セイル(sail)」作動を介して心臓内の所望の位置にまず進められる。このバルーンカテーテル202は、所望の位置(例えば、示されるような肺動脈)内に位置決めされた後、本発明に従う血管内血液ポンプシステム200は、バルーンカテーテル202によって進められ、そして所望の配置にガイドされ得る。右心臓の支持のために、流体入口204が大静脈(または右心房)内に配置され、そして流体出口206が肺動脈内に配置されるまで、バルーンカテーテル202によってポンプ12およびカニューレ14を進めることを包含する。次いで、このポンプ12は、肺動脈内の沈着物のために、三尖弁、右心室、および肺動脈弁を介して弁を横切る様式(trans−valvular fashion)で、血液を大動脈(または右心房)から輸送するために選択的(すなわち、自動的にまたは必要なときに)制御され得る。拍動心臓手術の間に右心臓の支持を提供することは、心拍出量が拍動心臓手術の間に下がり得る状態を有利に克服し、例えば、心臓が、後部の血管へのアクセスを得るために持ち上げられる場合、これにより、心肺バイパスの必要性が避けられる。
【0070】
このガイド可能な血管内血液ポンプシステムが患者の血管系に導入され、任意の数のアクセスポイントを介して右心臓または左心臓に血管内アクセスを達成し得ることはまた、本発明の一部として意図される。このアクセスポイントには、内頸静脈、腕頭静脈、頸動脈、腋窩動脈、大腿静脈、大腿動脈、および鎖骨下動脈が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の血管内血液ポンプシステムはまた、直接的な導入を介して、例えば、大動脈、心房、および心室へ導入され得る。当該分野で周知であるが、このような血管内アクセスは、セルディンガー技術の使用して皮膚を介して、または手動浸襲性アクセス技術の使用を直接的に介して達成され得る。
【0071】
当業者はまた、用語「軸方向フロー(axial flow)」について上で示しそして議論したが、本発明は、軸方向フロー型血管内血液ポンプに限定されないことが理解される。むしろ、この血管内血液ポンプ12は、任意の数の適切な型の血管内血液ポンプを含み得、このポンプは、本発明の範囲から逸脱しない、いわゆる「混合流(mixed flow)」血管内血液ポンプを含むが、これに限定されない。
【0072】
図10〜17に示される実施形態に関して、ポンプアセンブリ136が患者の循環器系内の所望の位置において、ポンプ12を形成するためにシュラウド36内に搭載された後、ガイドカテーテル132は、導管アセンブリ134から分離され得ることがさらに意図される。これは、任意の数の適切な配置を介して、検出可能な様式でガイドカテーテル132を提供することによって達成され得る。ポンプ12を構築した後、ガイドカテーテル132を取り外すことによって、患者の血管内へのアクセスポイントでの創傷管理が改善され得る。これは、部分的に、患者へ延びるデバイス(すなわち、より大きな直径のガイドカテーテル132に対向するようなドライブケイブルアセンブリ18)のサイズの実質的な減少に起因する。
【0073】
種々の圧力検出および/またはガイド可能な特徴を少なくとも1つのカニューレ14およびポンプ12に取り込むことがまた、意図される。このような特徴としては、共有であり、かつ同時係属中の以下に示されそして記載される特徴が挙げられるが、これらに必ずしも限定されるわけではない:1999年3月30に出願の米国特許出願第09/280,988(表題「Steerable Cannula」)、1999年3月30日出願の米国特許出願第09/280,970(表題「Pressure Sensing Cannula」)(これらの開示は、本明細書中でその全体を記載する場合に参考として明確に援用される)。これらの圧力検出特徴には、流体充填管腔の使用、圧電検出要素、ストレインゲージ、およびトルク/電流の関係の分析(ポンプの入口と出口との間の動的圧力差に基づく)の使用が挙げられるが、これらに限定されない。ガイド可能な特徴には、スライド管腔および変形可能材料(すなわち、Nitonol)の使用が挙げられるが、これらに必ずしも限定されるわけではない。
【0074】
種々のポンプおよびカニューレ配置は、右心臓および/または左心臓の支持を提供するために上に記載および示されており、ここで、血液を、故意に経路を再び決定させ、特定の心室によって汲み上げられる血液の容積を減少させる試みにおいて、右心室および/または左心室を通過させる。この様式で心室に「未充填」とは、特定の例において好ましいが、本明細書中に記載されるポンプおよびカニューレ配置はまた、心室に「予充填」するために使用され得ることが容易に理解され得る。血管内予充填は、ポンプから所定の心室に流出カニューレを配置することによって達成され得、ポンプは、心室を血液で充填または予充填するために使用され得る。これは、右心室で特に有用であり得る。時々、右心室は、右心房から十分なレベルの血液を供給されず、その結果、収縮の際、右心室は、肺動脈に不充分な量の血液を供給する。右心室および/または左心房が、手術の間に圧迫された状態または変形された状態にある場合に、これが生じ得る。予充填は、血液を右心室に活動的に供給することによってこの問題を克服し、これにより、血液の肺動脈への送達を容易にする。この同一の技術を使用して左心室を予充填し、次いで、左心室から大動脈への血液の送達を容易にし得る。
【0075】
本発明の多くの利点は、添付の図面と組み合わせて本明細書を読んで当業者に明らかであり、ここで、同様な参照番号は、同様な要素に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、例示として、左心臓補助を提供するために弁を横切る構成で位置付けられる本発明の第1の幅広い局面に従って「オーバーワイヤ」型ガイド機構を有する血管内血液ポンプシステムを例示するヒト心臓の部分断面図である。
【図2】図2は、本発明の例示の実施形態に従うモーター連結器およびパージ流体送達システムを含む図1に示される型のガイド可能血管内血液ポンプシステムの側面図である。
【図3】図3は、本発明の第1の幅広い局面に従う、血管内血液ポンプシステムの血液ポンプ、駆動ケーブルアセンブリ、およびカニューレの例示的な構成を例示する断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1の幅広い局面に従う、駆動ケーブルアセンブリおよびガイド機構の例示的構成を示す図3の線4−4に沿って取られた断面図である。
【図5】図5は、本発明の第1の幅広い局面に従う、モーター連結器およびパージ流体送達システムの例示的構成を例示する断面図である。
【図6】図6は、例示として、左心臓補助を提供するために弁を横切る構成で位置付けられる本発明の第2の幅広い局面に従って「迅速交換」または「側部装備」型ガイド機構を有する血管内血液ポンプシステムを例示するヒト心臓の部分断面図である。
【図7】図7は、本発明の例示の実施形態に従うモーター連結器およびパージ流体送達システムを含む図6に示される型のガイド可能血管内血液ポンプシステムの側面図である。
【図8】図8は、本発明の第2の幅広い局面に従う、「側部装備」または「迅速交換」型ガイド機構を示す図7の線8−8に沿って取られた断面図である。
【図9】図9は、本発明の第2の幅広い局面に従う、ガイド機構の代替の構成を示す図8に示される型の断面図である。
【図10】図10は、例示として、左心臓補助を提供するために弁を横切る構成で位置付けられる本発明の第3の幅広い局面に従って「ガイドカテーテル」型ガイド機構を有する血管内血液ポンプシステムを例示するヒト心臓の部分断面図である。
【図11】図11は、大腿動脈を通して挿入され、そしてガイドカテーテルが大腿動脈に入る切開部位から下流の血管構造を灌流するための任意の灌流アセンブリを含む、図10に示される型の血管内血液ポンプシステムを例示するヒトの概略図である。
【図12】図12は、本発明の第3の幅広い局面に従う、血管内血液ポンプシステムを集合的に形成するポンプアセンブリおよび導管アセンブリの分離可能な性質を例示する図10〜11に示される血管内血液ポンプシステムの側面図である。
【図13】図13は、本発明の第3の幅広い局面に従う、導管アセンブリにドッキングされたポンプアセンブリを有する図12に示される血管内血液ポンプシステムを例示する側面図である。
【図14】図14は、図13に示される血管内血液ポンプシステムの血液ポンプ、駆動ケーブル、カニューレ、およびガイドカテーテルの例示的な構成を例示する断面図である。
【図15】図15は、本発明の第3の幅広い局面に従う、駆動ケーブルアセンブリおよびガイドカテーテルの例示的構成を例示する図14の線15〜15に沿って取られた断面図である。
【図16】図16は、本発明の第3の幅広い局面に従う、モーター連結器、パージ流体送達システム、およびガイドカテーテル付勢アセンブリの近位部分の例示的構成を例示する断面図である。
【図17】図17は、本発明の第3の幅広い局面に従う、灌流アセンブリおよびガイドカテーテル付勢アセンブリの遠位部分の例示的な構成を例示する断面図である。
【図18】図18は、本発明の原理に従う、シュラウド内にローターをドッキングするための代替の構成を有する、図12〜13に示される型の血管内血液ポンプシステムの断面図である。
【図19】図19は、例示として、右心臓補助を提供するために弁を横切る構成で位置付けられる本発明の第1の幅広い局面に従って「オーバーワイヤ」型ガイド機構を有する代替の血管内血液ポンプシステムを例示するヒト心臓の部分断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良された血管内血液ポンプシステムであって、
血管内血液ポンプであって、該血管内血液ポンプに連結されたカニューレを備える、血管内血液ポンプ;および
ガイド機構であって、該血管内血液ポンプおよびカニューレを患者の循環器系内の所定の位置にガイドするように適合された、ガイド機構、
を備え、
さらに、該ガイド機構は、
該カニューレ内に少なくとも部分的に配置された、ガイド要素
を備える、
血管内血液ポンプシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、前記ガイド要素が、
前記カニューレ内に形成される側部管腔を通る通過のためのガイドワイヤ、
を備える、血管内血液ポンプシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、前記ガイド要素が、
前記カニューレ内に少なくとも部分的に配置された選択的に変形可能な要素
を備える、血管内血液ポンプシステム。
【請求項4】
請求項2に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、該血管内血液ポンプおよび前記カニューレが、最初に前記ガイドワイヤを前記所定の位置に通過させ、その後、該血管内血液ポンプおよび該カニューレを該ガイドワイヤに沿って該所定の位置に滑らせることによって、前記患者の血管構造内の該所定の位置に選択的に進み得る、血管内血液ポンプシステム。
【請求項5】
改良された血管内血液ポンプシステムであって、
血管内血液ポンプであって、該血管内血液ポンプに連結されたカニューレを備える、血管内血液ポンプ;および
ガイド機構であって、該血管内血液ポンプおよびカニューレを患者の循環器系内の所定の位置にガイドするように適合された、ガイド機構、
を備え、さらに、該血管内血液ポンプは、
ローター、該ローターを受容するシュラウド、および該シュラウド内の該ローターを駆動するために該ローターに連結された駆動ケーブル
を備え、さらに、該ガイド要素は、
該駆動ケーブルおよび該ローターを通って延びる管腔を通る通過のためのガイドワイヤ
を備える、血管内血液ポンプシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の血管内血液ポンプシステムであって、さらに、該血管内血液ポンプおよび前記カニューレが、最初に前記ガイドワイヤを前記所定の位置に通過させ、その後、該血管内血液ポンプおよび該カニューレを該ガイドワイヤに沿って該所定の位置に滑らせることによって、前記患者の血管構造内の該所定の位置に選択的に進み得る、血管内血液ポンプシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2008−178690(P2008−178690A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12999(P2008−12999)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【分割の表示】特願2001−521368(P2001−521368)の分割
【原出願日】平成12年9月1日(2000.9.1)
【出願人】(500018228)エイ−メド システムズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】