ガイド装置およびインプラント装置
【課題】尿失禁の治療のための埋設可能なインプラントを生体内に埋設する際に用いられ、患者の負担が少なく、患者の安全性が高いガイド装置およびインプラント装置を提供すること。
【解決手段】ガイド装置3は、インプラント2を生体内に埋設する際に用いるものであり、尿道に挿入される長手形状の尿道挿入部7と、膣壁に当接する膣壁当接部として、膣に挿入される膣挿入部8と、尿道挿入部7と膣挿入部8とを連結する連結部9と、尿道挿入部7に対して平行な第1の方向に第1の穿刺部材である針を移動可能に支持し得るとともに、第1の方向に交差する第2の方向に第2の穿刺部材である針を移動可能に支持し得るガイド手段6とを備えている。
【解決手段】ガイド装置3は、インプラント2を生体内に埋設する際に用いるものであり、尿道に挿入される長手形状の尿道挿入部7と、膣壁に当接する膣壁当接部として、膣に挿入される膣挿入部8と、尿道挿入部7と膣挿入部8とを連結する連結部9と、尿道挿入部7に対して平行な第1の方向に第1の穿刺部材である針を移動可能に支持し得るとともに、第1の方向に交差する第2の方向に第2の穿刺部材である針を移動可能に支持し得るガイド手段6とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイド装置およびインプラント装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
尿失禁、特に、腹圧性尿失禁になると、通常の運動中や、笑い、咳、くしゃみ等により腹圧がかかることで、尿漏れが生じる。この原因は、例えば、出産等により、尿道を支える筋肉である骨盤底筋が緩むこと等が挙げられる。
【0003】
尿失禁の治療には、外科的療法が有効であり、例えば、「スリング」と呼ばれるテープ状のインプラントを用い、スリングを体内に留置し、そのスリングで尿道を支持する(例えば、特許文献1参照)。スリングを体内に留置するには、術者がメスで膣を切開し、尿道と膣の間を剥離し、穿刺針等を用いて、その剥離した部位と外部とを閉鎖孔を介し連通させる。そして、このような状態で、スリングを体内に留置する。
【0004】
しかしながら、メス等の従来の医療用器具を用いてスリングを留置する方法では、侵襲が大きく、患者への負担が大きいという欠点がある。また、術者による手技の最中に尿道等を損傷する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−99499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、尿失禁の治療のための埋設可能なインプラントを生体内に埋設する際に用いられ、患者の負担が少なく、患者の安全性が高いガイド装置およびインプラント装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜(20)の本発明により達成される。
(1) 女性の尿失禁の治療のための埋設可能なインプラントを生体内に埋設する際に用いるガイド装置であって、
尿道に挿入される長手形状の尿道挿入部と、
膣壁に当接する膣壁当接部と、
前記尿道挿入部に対して平行な第1の方向に第1の穿刺部材を移動可能に支持し得るとともに、前記第1の方向に交差する第2の方向に第2の穿刺部材を移動可能に支持し得るガイド手段とを備えることを特徴とするガイド装置。
【0008】
(2) 前記ガイド手段は、ガイド部材と、
前記ガイド部材に沿って、前記第1の方向に第1の穿刺部材を移動可能に支持する第1の位置と、前記第2の方向に第2の穿刺部材を移動可能に支持する第2の位置とに移動可能な移動部材とを有する上記(1)に記載のガイド装置。
【0009】
(3) 前記移動部材には貫通孔が形成されており、
前記第1の穿刺部材は、前記貫通孔に挿入され、該貫通孔により前記第1の方向に移動可能に案内されるよう構成されている上記(2)に記載のガイド装置。
【0010】
(4) 前記ガイド部材は、湾曲している上記(2)または(3)に記載のガイド装置。
【0011】
(5) 前記ガイド部材は、円弧状をなしている上記(2)または(3)に記載のガイド装置。
【0012】
(6) 前記ガイド部材は、円弧状をなしており、
前記貫通孔は、その中心軸が前記円弧の中心に向くように形成されている上記(3)に記載のガイド装置。
【0013】
(7) 前記ガイド手段は、前記第1の穿刺部材に沿って移動する管体を有し、
前記第2の穿刺部材は、前記管体に挿入され、該管体により前記第2の方向に移動可能に案内されるよう構成されている上記(2)ないし(6)のいずれかに記載のガイド装置。
【0014】
(8) 前記ガイド手段は、前記管体に挿入して用いられる誘導部材を有し、
前記第2の穿刺部材は、前記誘導部材により前記第2の方向に移動可能に案内されるよう構成されており、
前記誘導部材は、前記管体の軸線と異なる方向に前記第2の穿刺部材を突出させる機能を有する上記(7)に記載のガイド装置。
【0015】
(9) 前記第2の穿刺部材は、外力が付与されていない自然状態で、湾曲しており、前記第2の穿刺部材が前記管体から突出すると、前記管体の軸線と異なる方向に進むよう構成されている上記(7)に記載のガイド装置。
【0016】
(10) 前記ガイド部材は、前記尿道挿入部の基端側に支持されている上記(2)ないし(9)のいずれかに記載のガイド装置。
【0017】
(11) 前記ガイド部材は、前記尿道挿入部の基端側に支持されおり、前記尿道挿入部の軸線からずれた位置を回動中心として、前記尿道挿入部の軸回りの方向に回動し得るよう構成されている上記(2)ないし(9)のいずれかに記載のガイド装置。
【0018】
(12) 前記膣壁当接部は、前記尿道挿入部または前記ガイド部材に支持されている上記(2)ないし(11)のいずれかに記載のガイド装置。
【0019】
(13) 前記膣壁当接部と前記尿道挿入部との間の離間距離を調節する調節機構を有する上記(12)に記載のガイド装置。
【0020】
(14) 前記膣壁当接部は、該膣壁当接部を前記膣壁に押し付けたとき、前記膣壁を隆起させる空間を有する上記(1)ないし(13)のいずれかに記載のガイド装置。
【0021】
(15) 前記膣壁当接部は、互いに離間するように配置された1対の突出部を有しており、該1対の突出部の間の空間が、前記膣壁を隆起させる空間である上記(14)に記載のガイド装置。
【0022】
(16) 前記各突出部は、それぞれ、前記尿道挿入部に対して平行に配置されている上記(15)に記載のガイド装置。
【0023】
(17) 前記ガイド手段は、隆起した前記膣壁を前記第1の穿刺部材が穿刺するように該第1の穿刺部材を移動可能に案内するよう構成されている上記(14)ないし(16)のいずれかに記載のガイド装置。
【0024】
(18) 前記膣壁当接部は、膣内に挿入されるものである上記(1)ないし(17)のいずれかに記載のガイド装置。
【0025】
(19) 前記尿道挿入部と前記膣壁当接部が互いに接近・離間する方向に相対的に移動可能に、前記尿道挿入部と前記膣壁当接部とを連結する連結部を有する上記(1)ないし(18)のいずれかに記載のガイド装置。
【0026】
(20) 女性の尿失禁の治療のための埋設可能なインプラントと、
上記(1)ないし(19)のいずれかに記載のガイド装置とを備えることを特徴とするインプラント装置。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、インプラントを埋設する際、患者の負担が少なく、また、患者の安全性が高い。
【0028】
すなわち、尿道挿入部を尿道に挿入し、膣壁当接部を膣壁に当接した状態で、尿道挿入部に対して平行な第1の方向に第1の穿刺部材を移動させることができるので、その第1の穿刺部材が尿道を穿刺してしまうことを防止することができ、また、容易かつ確実に、尿道と交差する方向に第2の穿刺部材を移動さることができ、これにより、低侵襲の手技で、インプラントを埋設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のガイド装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図3】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図4】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図5】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図6】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図7】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図8】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図9】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図10】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図11】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図12】本発明のインプラント装置の第2実施形態を示す図である。
【図13】本発明のインプラント装置の第3実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明のガイド装置およびインプラント装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0031】
<第1実施形態>
図1は、本発明のガイド装置の第1実施形態を示す図、図2〜図11は、それぞれ、図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。また、各図の(a)は、側面図、(b)は、背面図である。また、図1(c)は、ガイド装置の底面図であるが、その図1(c)には、さらに、インプラントが記載されている。また、図1(d)は、図1(a)中のA−A線での断面図である。
【0032】
なお、以下では、図1(a)〜11(a)中の左側を「先端」、右側を「基端」、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。また、図7〜図11には、柔軟部を破線で示す。
【0033】
これらの図に示すインプラント装置1は、女性の尿失禁の治療に用いる装置である。各図に示すように、インプラント装置1は、インプラント(生体内留置器具)2と、インプラント2を生体内に埋設する際に用いるガイド装置3とを備えている。
【0034】
インプラント2は、女性の尿失禁の治療のための埋設可能な器具、すなわち、尿道を膣壁から離間する方向へ引っ張るようにして支持する器具である。このインプラント2としては、例えば、可撓性を有する長尺物を用いることができる。本実施形態では、インプラント2は、図1に示すように、2本の糸(糸状体)5で構成されている。なお、各糸5の構成は、同様であるので、以下では、代表的に、一方の糸5について説明する。
【0035】
糸5は、その一方の端部に、生体(生体組織)に固定される固定部51を有している。この固定部51は、生体に穿刺される部位である。
【0036】
固定部51は、糸5の固定部51以外の部位よりも生体から引き抜こうとしたときの抵抗が大きくなるように構成されている。本実施形態では、固定部51は、V字状をなす複数の単位固定部511で構成されている。そして、各単位固定部511は、糸5の長手方向に沿って、等間隔で並設されている。なお、各単位固定部511の「V」の向きは、それぞれ、糸5を生体に穿刺するときにその糸5が進む方向と反対の方向に、Vの開いた方が向くように設定されている(図9〜図11参照)。
【0037】
また、各糸5の構成材料としては、それぞれ、特に限定さないが、例えば、生体適合性を有する各種樹脂材料、繊維等を用いることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、インプラント2は、2本の糸5で構成されているが、これに限らず、インプラント2は、例えば、1本の糸で構成されていてもよい。この場合は、その糸の両方の端部に、それぞれ、生体に固定される固定部が設けられている。
【0039】
また、インプラントとしては、糸5に限らず、例えば、紐、帯等の可撓性を有する他の長尺物を用いることができる。
【0040】
なお、糸5は、その横断面形状が円形のものである場合、直径が0.3〜3mm程度のものが好ましく、0.5〜2mm程度のものがより好ましい。
【0041】
また、長尺物として帯を用いる場合は、幅が2〜10mm程度、厚さが0.3〜1.5mm程度のものが好ましい。
【0042】
また、インプラントは、前記長尺物の他に、尿道に当接するパッドを有していてもよい。また、そのパッドと長尺物とは、一体化されていてもよく、また、別体であってもよいが、別体であることが好ましい。なお、パッドとしては、拡張可能であり、拡張した状態での外形の形状が板状をなすものが好ましく、さらに、折り畳んだ状態から自己の復元力で拡張するものであることがより好ましい。また、パッドとしては、網状をなしているものが好ましい。
【0043】
次に、ガイド装置3について説明する。
各図に示すように、ガイド装置3は、尿道に挿入される長手形状の尿道挿入部7と、膣壁に当接する膣壁当接部として、膣に挿入される膣挿入部8と、尿道挿入部7と膣挿入部8とを連結する連結部9と、各糸5をそれぞれ目的部位まで移動する針(第2の穿刺部材)16と、後述するシース15を目的部位まで移動する際に、そのシース15を案内する針(第1の穿刺部材)17と、各針16および17をそれぞれ案内するガイド手段6とを備えている。なお、連結部9は、尿道挿入部7と膣壁挿入部8が互いに接近・離間する方向に相対的に移動可能に、その尿道挿入部7と膣壁挿入部8とを連結している。
【0044】
尿道挿入部7および連結部9は、それぞれ、棒状をなしており、尿道挿入部7の図1(a)中の右側の端部には、支持部11が固定されている。そして、連結部9の図1(a)中の上側の端部は、尿道挿入部7と直交するように、支持部11に固定されている。なお、連結部9は、尿道挿入部7よりも図1(c)中の下側に配置されている。
【0045】
膣挿入部8は、板状をなしており、その図1(a)中の左側が二股に分かれ、先端方向に向かって突出した1対の突出片(突出部)81、82を有している。突出片81と突出片82とは、図1(c)中の上下方向に互いに離間するように配置されている。また、図示の構成では、突出片81は、図1(c)において、L次状をなし、突出片82は、図1(c)において、長方形をなしている。
【0046】
この突出片81と突出片82との間の空間は、膣壁を隆起させるための空間である。すなわち、膣挿入部8を膣壁に押し付けると、突出片81と突出片82との間の空間から、膣壁が隆起して突出する。この膣挿入部8、すなわち突出片81、82は、それぞれ、尿道挿入部7と平行に配置されている。
【0047】
この膣挿入部8は、その基端側、すなわち図1(a)中の右側の端部が、間接的に、尿道挿入部7またはガイド部材61に、移動可能に支持されている。
【0048】
すなわち、膣挿入部8の図1(a)中の右側の端部が、連結部9に移動可能に支持されている。具体的には、膣挿入部8の図1(a)中の右側の端部に、開口83が形成されており、その開口83に、連結部9が挿通している。これにより、膣挿入部8は、連結部9に沿ってその連結部9に直交する方向に移動することができ、これにより、膣挿入部8と尿道挿入部7との間の離間距離を調整することができる。しがたって、連結部9および開口83等により、調節機構が構成される。
【0049】
また、膣挿入部8には、連結部9に対して膣挿入部8が移動し得る状態と、膣挿入部8の移動が阻止された状態とに切り替えるロック部12が設けられている。
【0050】
ロック部12は、雌ネジが形成された雌ネジ部13と、その雌ネジと螺合する雄ネジ14とを有しており、その雌ネジ部13が、膣挿入部8の開口83の近傍に固定されている。
【0051】
雄ネジ14を所定方向に回転させると、その雄ネジ14の先端が連結部9に圧接し、膣挿入部8の移動が阻止される。また、雄ネジ14を前記と逆方向に回転させると、その雄ネジ14の先端が連結部9から離間し、膣挿入部8の移動が可能となる。
【0052】
ガイド手段6は、尿道挿入部7に対して平行な第1の方向に針17を移動可能に支持し得るとともに、第1の方向に交差する第2の方向に針16を移動可能に支持し得るものであり、ガイド部材61と、ガイド部材61に対して移動可能に設置された移動部材62と、針17に沿って移動する管体であるシース15とを有している。なお、移動部材62は、ガイド部材61に沿って移動するようになっており、前記第1の方向に針17を移動可能に支持する第1の位置(図4参照)と、前記第2の方向に針16を移動可能に支持する第2の位置(図8参照)とに移動する。
【0053】
ガイド部材61は、移動部材62が移動する際、移動部材62を案内するものであり、湾曲した長手形状をなしている。本実施形態では、ガイド部材61は、円弧状をなしている。この円弧の中心角は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、90°以上に設定されることが好ましく、例えば、90°または90°よりも若干大きく設定されることがより好ましい。
【0054】
また、ガイド部材61の円弧の半径は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、後述する移動部材62の貫通孔621に挿入されたシース15の移動部材62からの突出長と略等しく設定されることが好ましい。これにより、貫通孔621を後述する条件に設定することで、移動部材62を第1の位置から第2の位置に移動する際、シース15の先端は、移動しないか、または、移動したとしてもその移動量は、極僅かである(図6、図7参照)。
【0055】
また、図1(d)に示すように、ガイド部材61の図1(d)中上側には、レール611がそのガイド部材61の長手方向に沿って、すなわち円弧に沿って形成されている。このレール611は、後述する移動部材62の溝622内に挿入され、これにより、移動部材62の移動方向が規制され、移動部材62は、そのレール611に沿って移動する。なお、レール611の横断面において、レール611の図1(d)中上側の部位は、下側の部位よりも大きく形成されており、これによりガイド部材61からの移動部材62の離脱を阻止することができる。
【0056】
また、ガイド部材61の図1(a)中の上側の端部は、支持部11に固定されている。これにより、ガイド部材61は、間接的に、尿道挿入部7の図1(a)中の右側の端部、すなわち基端側に支持される。なお、ガイド部材61は、連結部9よりも図1(c)中の上側に配置されている。
【0057】
また、ガイド部材61は、尿道挿入部8の軸線からずれた位置を回動中心として、尿道挿入部8の軸回りの方向に回動し得るよう構成されている。本実施形態では、ガイド部材61の尿道挿入部8の近傍に、柔軟性な部位、すなわち可撓性を有する柔軟部612が設けられており(図7参照)、柔軟部612が弾性変形することにより、その柔軟部612を回動中心として、ガイド部材61が回動するようになっている。
【0058】
移動部材62は、ガイド部材61の図1(d)中上側に配置されており、その移動部材62の図1(d)中下側には、前記ガイド部材61のレール611が挿入される溝622が形成されている。
【0059】
また、ガイド手段6は、雄ネジ63を有しており、移動部材62には、その雄ネジ63と螺合する雌ネジを有する雌ネジ部623形成されている。
【0060】
雄ネジ63を所定方向に回転させると、その雄ネジ63の先端がガイド部材61のレール611に圧接し、ガイド部材61に対する移動部材62の移動が阻止される。また、雄ネジ63を前記と逆方向に回転させると、その雄ネジ63の先端がレール611から離間し、ガイド部材61に対する移動部材62の移動が可能となる。
【0061】
なお、雄ネジ63および雌ネジ部623により、ガイド部材61に対して移動部材62が移動し得る状態と、移動部材62の移動が阻止された状態とに切り替えるロック部が構成される。
【0062】
また、移動部材62には、針16、17およびシース15を案内する貫通孔621が形成されている。この貫通孔621は、本実施形態では、円柱状をなしている。そして、この貫通孔621は、その中心軸がガイド部材61の円弧の中心に向くように形成されている。また、貫通孔621の中心軸と、尿道挿入部7の軸線とは、同一水平面上に位置している。なお、図4に示すように、移動部材62が第1の位置に位置しているとき、貫通孔621の中心軸と、尿道挿入部7の軸線とが、平行になる。また、図8に示すように、移動部材62が第2の位置に位置しているとき、貫通孔621の中心軸と、尿道挿入部7の軸線とが、交差、本実施形態では直交する。
【0063】
移動部材62が第1の位置に位置しているとき、針17は、貫通孔621に挿入され、貫通孔621により、その移動方向が規制され、第1の方向に移動可能に案内されるようになっている(図4参照)。すなわち、ガイド手段6は、後述するように、膣挿入部8により隆起した膣壁を針17が穿刺するようにその針17を移動可能に案内する。
【0064】
また、移動部材62が第2の位置に位置しているとき、針16は、貫通孔621に挿入されたシース15に挿入され、シース15により、その移動方向が規制され、第2の方向に移動可能に案内されるようになっている(図8参照)。すなわち、ガイド手段6は、後述するように、針17が尿道を避けて、尿道と交差する方向に進むようにその針16を移動可能に案内する。
【0065】
なお、ガイド部材61と移動部材62とには、移動部材62が第1の位置に位置する際に互いの位置が一致する第1のマーカと、移動部材62が第2の位置に位置する際に互いの位置が一致する第2のマーカとを設けてもよい。これにより、移動部材62を確実に第1の位置と第2の位置とに移動させることができる。
【0066】
また、ガイド部材61と移動部材62とには、移動部材62が第2の位置側から第1の位置まで移動すると、その移動部材62を第1の位置に停止させる第1のストッパと、移動部材62が第1の位置側から第2の位置まで移動すると、その移動部材62を第2の位置に停止させる第2のストッパとを設けてもよい。これにより、移動部材62を確実に第1の位置と第2の位置とに移動させることができる。
【0067】
また、シース15の先端部の外径は、先端方向に向かって漸減している。これにより、シース15を容易かつ円滑に膣壁に穿刺することができる。このシース15は、後述するように、2本の糸5をそれぞれ目的部位まで移動する際等に用いられる。
【0068】
また、針16の先端部には、糸5を離脱可能に保持する図示しない保持部が形成されている。針16は、2本の糸5をそれぞれ目的部位まで移動する際に、シース15に挿入して用いる。なお、針16および17は、それぞれ、中実であってもよく、また、管状であってもよい、
次に、インプラント装置1の操作手順について説明する。
【0069】
まず、図2に示すように、ガイド装置3のガイド手段6の雄ネジ63を緩む方向に回転させ、ガイド部材61に対して移動部材62を移動し得るようにし、移動部材62を図2(a)中の上側に移動させる。すなわち、移動部材62を第1の位置に移動させる。そして、雄ネジ63を締まる方向に回転させ、ガイド部材61に対する移動部材62の移動が阻止された状態とする。
【0070】
次に、ロック部12の雄ネジ14を緩む方向に回転させ、連結部9に対して膣挿入部8を移動し得るようにし、その膣挿入部8を連結部9に対して図3(a)中、上側または下側に移動させ、尿道挿入部7と膣挿入部8との間の間隔を、患者の尿道口110と膣口210との間の間隔に合うように調整する。そして、ロック部12の雄ネジ14を締まる方向に回転させ、連結部9に対する膣挿入部8の移動が阻止された状態とする。なお、この尿道挿入部7と膣挿入部8との間の間隔の調整を前記移動部材62の第1の位置への移動よりも先に行ってもよい。
【0071】
次に、ガイド装置3の尿道挿入部7を尿道口110から尿道100内に挿入し、膣挿入部8を膣口210から膣200内に挿入する。
【0072】
次に、図3に示すように、ロック部12の雄ネジ14を緩む方向に回転させ、連結部9に対して膣挿入部8を移動し得るようにし、その膣挿入部8を連結部9に対して図3(a)中、上側に移動させる。これにより、膣挿入部8の突出片81と突出片82との間の空間から膣壁300が隆起して図3(a)中、下側に突出する。そして、ロック部12の雄ネジ14を締まる方向に回転させ、連結部9に対する膣挿入部8の移動が阻止された状態とする。
【0073】
次に、図4に示すように、針17を移動部材62の貫通孔621に挿入し、先端方向に、目的部位まで移動させ、その針17で隆起した膣壁300を穿刺する。この際、針17は、貫通孔621により、その移動方向が規制され、尿道挿入部7と平行となった状態を維持しつつ先端方向に移動するので、針17が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。
【0074】
次に、図5に示すように、シース15を針17の基端部から被せ、その針17に沿って先端方向に移動させる。この際、シース15の先端部が針17の先端部と一致するまでシース15を移動させる。なお、シース15を先端方向に移動させる際は、そのシース15は、貫通孔621に挿入され、貫通孔621によってもその移動方向が規制される。そして、図6に示すように、針17を抜去する。また、ロック部12の雄ネジ14を緩む方向に回転させ、連結部9に対して膣挿入部8を移動し得るようにし、その膣挿入部8を連結部9に対して図6(a)中、下側に移動させ、連結部9から取り外す。
【0075】
次に、図7に示すように、ガイド装置3のガイド手段6の雄ネジ63を緩む方向に回転させ、ガイド部材61に対して移動部材62を移動し得るようにし、移動部材62を第1の位置から第2の位置に移動させる。これにより、シース15は、その先端を中心として、図7(a)中の時計回りに90°回転し、尿道挿入部7および尿道100に対して直交する。そして、雄ネジ63を締まる方向に回転させ、ガイド部材61に対する移動部材62の移動が阻止された状態とする。
【0076】
次に、図8に示すように、ガイド部材61を柔軟部612を回動中心として、図8(b)中の反時計回りに所定角度回動させる。この角度は、針17が尿道100を穿刺しないように設定される。
【0077】
次に、針16の先端部の図示しない保持部に、2本の糸5のうちの一方の固定部51を保持し、その針16をシース15内に挿入し、先端方向に移動させる。
【0078】
針16を先端方向に移動させると、シース15により、針16の移動方向が規制され、図8(b)に示すように、針16の先端部は、尿道100に直交する方向で、かつ尿道100を避けて、図8(b)中の左上方向に進む。これより、針16が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。なお、糸5の固定部51が目的部位に到達するまで針16を移動する。このようにして、糸5の固定部51が生体に穿刺される。
【0079】
次に、図9に示すように、針16を抜去する。この際、糸5の固定部51の各単位固部511が生体に穿刺され、その固定部51が生体に固定され、固定部51が生体から抜けてしまうことを防止することができる。このようにして、一方の糸5の固定部51が生体に固定される。
【0080】
次に、図10に示すように、針16の先端部の図示しない保持部に、他方の糸5の固定部51を保持し、その針16をシース15内に挿入し、先端方向に移動させる。
【0081】
針16を先端方向に移動させると、シース15により、針16の移動方向が規制され、図10(b)に示すように、針16の先端部は、尿道100に直交する方向で、かつ尿道100を避けて、図10(b)中の右上方向に進む。これより、針16が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。なお、糸5の固定部51が目的部位に到達するまで針16を移動する。このようにして、糸5の固定部51が生体に穿刺される。
【0082】
次に、図11に示すように、針16を抜去する。この際、糸5の固定部51の各単位固部511が生体に穿刺され、その固定部51が生体に固定され、固定部51が生体から抜けてしまうことを防止することができる。このようにして、他方の糸5の固定部51が生体に固定される。
【0083】
次に、図示しない装置を用いて、2本の糸5を合わせて、図示しない結び目を形成する。この結び目の結び方としては、例えば、クリンチ・ノット等の一方向にのみ移動可能な結び方とする。そして、前記結び目を図11中上側に移動させる。この際、術者は、結び目の移動による各糸5の締め付け具合を調整する。尿道100と膣200の間は、比較的容易に剥離するようになっているので、結び目は、尿道100と膣200の間に位置し、尿道100の周囲の生体組織に当接する。そして、各糸5の張力により、尿道100が膣壁300から離間する方向に引っ張られ、各糸5でその尿道100が支持される。
【0084】
次に、シース15を抜去し、糸5、6の不要な部分を切除し、所定の縫合等を行って、手技を終了する。
【0085】
以上説明したように、このインプラント装置1によれば、インプラント2を留置する際、針16、17、シース15の穿刺等の低侵襲の手技のみで対応することができ、侵襲の大きい切開等を行わなくてよいので、患者の負担が少なく、また、患者の安全性も高い。
【0086】
また、ガイド手段6により、針16および17が尿道を穿刺してしまうことを防止することができるので、患者の安全性が高い。
【0087】
なお、ガイド部材を回動させるための手段は、本実施形態では、ガイド部材の一部に設けられた柔軟部612であるが、これに限らず、例えば、ヒンジ構造等であってもよい。
【0088】
また、本実施形態では、突出片81、82により、膣壁を隆起させる空間を形成したが、これに限らず、例えば、膣挿入部8に、開口や溝を設け、これにより膣壁を隆起させる空間を形成してもよい。
【0089】
また、本実施形態では、膣壁当接部として、膣挿入部8を設けたが、これに限らず、例えば、膣壁当接部は、膣壁には当接するが、膣内には挿入されないか、または、膣内に僅かに挿入されるように構成されていてもよい。
【0090】
また、本実施形態では、膣挿入部8は、直接的には、連結部9に支持されているが、これに限らず、例えば、膣挿入部8は、直接、尿道挿入部7またはガイド部材61に支持されていてもよい。
【0091】
<第2実施形態>
図12は、本発明のインプラント装置の第2実施形態を示す図であり、図12(a)は、側面図、図12(b)は、背面図、図12(c)は、誘導部材、針およびシースを示す断面図、図12(d)は、誘導部材の他の構成例を示す断面図である。
なお、以下では、図12中の上側を「先端」、下側を「基端」として説明を行う。
【0092】
以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0093】
図12(a)〜(c)に示すように、第2実施形態のインプラント装置1では、ガイド手段6は、シース15内に挿入して用いる長尺状の誘導部材18を有している。図示の構成では、誘導部材18の横断面での輪郭は、円形をなしている。
【0094】
針16は、誘導部材18により、第2の方向に移動可能に案内されるようになっている。そして、この誘導部材18は、さらに、シース15の軸線と異なる方向に針16を突出させる機能を有している。
【0095】
すなわち、誘導部材18には、針16が挿入される2つのルーメン181、182が、それぞれ、誘導部材18の長手方向に沿って、互いに平行となるように形成されている。また、ルーメン181、182の先端部は、外側に向って屈曲している。すなわち、図12(c)中左側のルーメン181の先端部は、図12(c)中左側に屈曲し、図12(c)中右側のルーメン182の先端部は、図12(c)中右側に屈曲している。
【0096】
このインプラント装置1では、シース15内に針16を挿入するのに先立って、まず、誘導部材18をシース15内に挿入する。
【0097】
次に、針16の先端部の図示しない保持部に、2本の糸5のうちの一方の固定部51を保持し、針16を誘導部材18のルーメン181内に挿入し、先端方向に移動させる。この際、図12(b)に示すように、針16の先端部は、ルーメン181の先端部において、図12(b)中左側に屈曲し、これにより、針16の先端部は、尿道100を避けて、図12(b)の左上方向に進む。これによって、針16が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。
【0098】
そして、針16を抜去した後、針16の先端部の図示しない保持部に、他方の糸5の固定部51を保持し、針16をルーメン182内に挿入し、先端方向に移動させる。この際、針16の先端部は、ルーメン181の先端部において、図12(b)中右側に屈曲し、これにより、針16の先端部は、尿道100を避けて、図12(b)中の右上方向に進む。これによって、針16が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。
【0099】
このインプラント装置1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0100】
なお、誘導部材の構成は、前記のものには限定されない。誘導部材の他の構成例は、例えば、図12(d)に示される。すなわち、図12(d)に示すように、誘導部材19は、単一のルーメン191を有し、シース15に対して、その軸回りに回転し得るようになっている。
【0101】
この誘導部材19を使用する場合は、2本の糸5のうちの一方を固定した後、誘導部材19をシース15に対して180°回転させる。これにより、単一のルーメン191が、前記2つのルーメン181、182と同様の機能を発揮する。
【0102】
<第3実施形態>
図13は、本発明のインプラント装置の第3実施形態を示す図であり、図13(a)は、側面図、図13(b)は、背面図である。
なお、以下では、図13中の上側を「先端」、下側を「基端」として説明を行う。
【0103】
以下、第3実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0104】
図13に示すように、第3実施形態のインプラント装置1では、針16は、その先端部が途中まで湾曲した状態に形状付けされている。すなわち、針16は、外力が付与されていない自然状態で、その先端部が途中まで湾曲している。
【0105】
これにより、針16は、シース15から突出すると、シース15の軸線と異なる方向に進むようになっている。 このインプラント装置1では、図13に示すように、針16の先端部の図示しない保持部に、2本の糸5のうちの一方の固定部51を保持し、その針16の軸回りの回転方向の位置を、針16の先端部が図13(b)中の左上方向を向くように設定し、針16をシース15内に挿入し、先端方向に移動させる。なお、針16は、弾性を有しているので、直線状となってシース15内に挿入される。
【0106】
針16を先端方向に移動させると、針16の先端部がシース15の先端から突出し、その先端部が自己の復元力により元の形状に戻る。これにより、図13(b)に示すように、針16の先端部は、尿道100を避けて、図13(b)中の左上方向に、湾曲しつつ進む。これによって、針16が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。
【0107】
そして、針16を抜去した後、針16の先端部の図示しない保持部に、他方の糸5の固定部51を保持し、その針16の軸回りの回転方向の位置を、針16の先端部が図13(b)中の右上方向を向くように設定し、針16をシース15内に挿入し、先端方向に移動させる。
【0108】
針16を先端方向に移動させると、針16の先端部がシース15の先端から突出し、その先端部が自己の復元力により元の形状に戻る。これにより、針16の先端部は、尿道100を避けて、図13(b)中の右上方向に、湾曲しつつ進む。これによって、針16が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。
このインプラント装置1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0109】
以上、本発明のガイド装置およびインプラント装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0110】
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 インプラント装置
2 インプラント
3 ガイド装置
5 糸
51 固定部
511 単位固定部
6 ガイド手段
61 ガイド部材
611 レール
612 柔軟部
62 移動部材
621 貫通孔
622 溝
623 雌ネジ部
63 雄ネジ
7 尿道挿入部
8 膣挿入部
81、82 突出片
83 開口
9 連結部
11 支持部
12 ロック部
13 雌ネジ部
14 雄ネジ
15 シース
16、17 針
18 誘導部材
181、182 ルーメン
19 誘導部材
191 ルーメン
100 尿道
110 尿道口
200 膣
210 膣口
300 膣壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイド装置およびインプラント装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
尿失禁、特に、腹圧性尿失禁になると、通常の運動中や、笑い、咳、くしゃみ等により腹圧がかかることで、尿漏れが生じる。この原因は、例えば、出産等により、尿道を支える筋肉である骨盤底筋が緩むこと等が挙げられる。
【0003】
尿失禁の治療には、外科的療法が有効であり、例えば、「スリング」と呼ばれるテープ状のインプラントを用い、スリングを体内に留置し、そのスリングで尿道を支持する(例えば、特許文献1参照)。スリングを体内に留置するには、術者がメスで膣を切開し、尿道と膣の間を剥離し、穿刺針等を用いて、その剥離した部位と外部とを閉鎖孔を介し連通させる。そして、このような状態で、スリングを体内に留置する。
【0004】
しかしながら、メス等の従来の医療用器具を用いてスリングを留置する方法では、侵襲が大きく、患者への負担が大きいという欠点がある。また、術者による手技の最中に尿道等を損傷する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−99499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、尿失禁の治療のための埋設可能なインプラントを生体内に埋設する際に用いられ、患者の負担が少なく、患者の安全性が高いガイド装置およびインプラント装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜(20)の本発明により達成される。
(1) 女性の尿失禁の治療のための埋設可能なインプラントを生体内に埋設する際に用いるガイド装置であって、
尿道に挿入される長手形状の尿道挿入部と、
膣壁に当接する膣壁当接部と、
前記尿道挿入部に対して平行な第1の方向に第1の穿刺部材を移動可能に支持し得るとともに、前記第1の方向に交差する第2の方向に第2の穿刺部材を移動可能に支持し得るガイド手段とを備えることを特徴とするガイド装置。
【0008】
(2) 前記ガイド手段は、ガイド部材と、
前記ガイド部材に沿って、前記第1の方向に第1の穿刺部材を移動可能に支持する第1の位置と、前記第2の方向に第2の穿刺部材を移動可能に支持する第2の位置とに移動可能な移動部材とを有する上記(1)に記載のガイド装置。
【0009】
(3) 前記移動部材には貫通孔が形成されており、
前記第1の穿刺部材は、前記貫通孔に挿入され、該貫通孔により前記第1の方向に移動可能に案内されるよう構成されている上記(2)に記載のガイド装置。
【0010】
(4) 前記ガイド部材は、湾曲している上記(2)または(3)に記載のガイド装置。
【0011】
(5) 前記ガイド部材は、円弧状をなしている上記(2)または(3)に記載のガイド装置。
【0012】
(6) 前記ガイド部材は、円弧状をなしており、
前記貫通孔は、その中心軸が前記円弧の中心に向くように形成されている上記(3)に記載のガイド装置。
【0013】
(7) 前記ガイド手段は、前記第1の穿刺部材に沿って移動する管体を有し、
前記第2の穿刺部材は、前記管体に挿入され、該管体により前記第2の方向に移動可能に案内されるよう構成されている上記(2)ないし(6)のいずれかに記載のガイド装置。
【0014】
(8) 前記ガイド手段は、前記管体に挿入して用いられる誘導部材を有し、
前記第2の穿刺部材は、前記誘導部材により前記第2の方向に移動可能に案内されるよう構成されており、
前記誘導部材は、前記管体の軸線と異なる方向に前記第2の穿刺部材を突出させる機能を有する上記(7)に記載のガイド装置。
【0015】
(9) 前記第2の穿刺部材は、外力が付与されていない自然状態で、湾曲しており、前記第2の穿刺部材が前記管体から突出すると、前記管体の軸線と異なる方向に進むよう構成されている上記(7)に記載のガイド装置。
【0016】
(10) 前記ガイド部材は、前記尿道挿入部の基端側に支持されている上記(2)ないし(9)のいずれかに記載のガイド装置。
【0017】
(11) 前記ガイド部材は、前記尿道挿入部の基端側に支持されおり、前記尿道挿入部の軸線からずれた位置を回動中心として、前記尿道挿入部の軸回りの方向に回動し得るよう構成されている上記(2)ないし(9)のいずれかに記載のガイド装置。
【0018】
(12) 前記膣壁当接部は、前記尿道挿入部または前記ガイド部材に支持されている上記(2)ないし(11)のいずれかに記載のガイド装置。
【0019】
(13) 前記膣壁当接部と前記尿道挿入部との間の離間距離を調節する調節機構を有する上記(12)に記載のガイド装置。
【0020】
(14) 前記膣壁当接部は、該膣壁当接部を前記膣壁に押し付けたとき、前記膣壁を隆起させる空間を有する上記(1)ないし(13)のいずれかに記載のガイド装置。
【0021】
(15) 前記膣壁当接部は、互いに離間するように配置された1対の突出部を有しており、該1対の突出部の間の空間が、前記膣壁を隆起させる空間である上記(14)に記載のガイド装置。
【0022】
(16) 前記各突出部は、それぞれ、前記尿道挿入部に対して平行に配置されている上記(15)に記載のガイド装置。
【0023】
(17) 前記ガイド手段は、隆起した前記膣壁を前記第1の穿刺部材が穿刺するように該第1の穿刺部材を移動可能に案内するよう構成されている上記(14)ないし(16)のいずれかに記載のガイド装置。
【0024】
(18) 前記膣壁当接部は、膣内に挿入されるものである上記(1)ないし(17)のいずれかに記載のガイド装置。
【0025】
(19) 前記尿道挿入部と前記膣壁当接部が互いに接近・離間する方向に相対的に移動可能に、前記尿道挿入部と前記膣壁当接部とを連結する連結部を有する上記(1)ないし(18)のいずれかに記載のガイド装置。
【0026】
(20) 女性の尿失禁の治療のための埋設可能なインプラントと、
上記(1)ないし(19)のいずれかに記載のガイド装置とを備えることを特徴とするインプラント装置。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、インプラントを埋設する際、患者の負担が少なく、また、患者の安全性が高い。
【0028】
すなわち、尿道挿入部を尿道に挿入し、膣壁当接部を膣壁に当接した状態で、尿道挿入部に対して平行な第1の方向に第1の穿刺部材を移動させることができるので、その第1の穿刺部材が尿道を穿刺してしまうことを防止することができ、また、容易かつ確実に、尿道と交差する方向に第2の穿刺部材を移動さることができ、これにより、低侵襲の手技で、インプラントを埋設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のガイド装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図3】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図4】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図5】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図6】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図7】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図8】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図9】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図10】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図11】図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。
【図12】本発明のインプラント装置の第2実施形態を示す図である。
【図13】本発明のインプラント装置の第3実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明のガイド装置およびインプラント装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0031】
<第1実施形態>
図1は、本発明のガイド装置の第1実施形態を示す図、図2〜図11は、それぞれ、図1に示すガイド装置を有するインプラント装置の操作手順を説明するための図である。また、各図の(a)は、側面図、(b)は、背面図である。また、図1(c)は、ガイド装置の底面図であるが、その図1(c)には、さらに、インプラントが記載されている。また、図1(d)は、図1(a)中のA−A線での断面図である。
【0032】
なお、以下では、図1(a)〜11(a)中の左側を「先端」、右側を「基端」、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。また、図7〜図11には、柔軟部を破線で示す。
【0033】
これらの図に示すインプラント装置1は、女性の尿失禁の治療に用いる装置である。各図に示すように、インプラント装置1は、インプラント(生体内留置器具)2と、インプラント2を生体内に埋設する際に用いるガイド装置3とを備えている。
【0034】
インプラント2は、女性の尿失禁の治療のための埋設可能な器具、すなわち、尿道を膣壁から離間する方向へ引っ張るようにして支持する器具である。このインプラント2としては、例えば、可撓性を有する長尺物を用いることができる。本実施形態では、インプラント2は、図1に示すように、2本の糸(糸状体)5で構成されている。なお、各糸5の構成は、同様であるので、以下では、代表的に、一方の糸5について説明する。
【0035】
糸5は、その一方の端部に、生体(生体組織)に固定される固定部51を有している。この固定部51は、生体に穿刺される部位である。
【0036】
固定部51は、糸5の固定部51以外の部位よりも生体から引き抜こうとしたときの抵抗が大きくなるように構成されている。本実施形態では、固定部51は、V字状をなす複数の単位固定部511で構成されている。そして、各単位固定部511は、糸5の長手方向に沿って、等間隔で並設されている。なお、各単位固定部511の「V」の向きは、それぞれ、糸5を生体に穿刺するときにその糸5が進む方向と反対の方向に、Vの開いた方が向くように設定されている(図9〜図11参照)。
【0037】
また、各糸5の構成材料としては、それぞれ、特に限定さないが、例えば、生体適合性を有する各種樹脂材料、繊維等を用いることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、インプラント2は、2本の糸5で構成されているが、これに限らず、インプラント2は、例えば、1本の糸で構成されていてもよい。この場合は、その糸の両方の端部に、それぞれ、生体に固定される固定部が設けられている。
【0039】
また、インプラントとしては、糸5に限らず、例えば、紐、帯等の可撓性を有する他の長尺物を用いることができる。
【0040】
なお、糸5は、その横断面形状が円形のものである場合、直径が0.3〜3mm程度のものが好ましく、0.5〜2mm程度のものがより好ましい。
【0041】
また、長尺物として帯を用いる場合は、幅が2〜10mm程度、厚さが0.3〜1.5mm程度のものが好ましい。
【0042】
また、インプラントは、前記長尺物の他に、尿道に当接するパッドを有していてもよい。また、そのパッドと長尺物とは、一体化されていてもよく、また、別体であってもよいが、別体であることが好ましい。なお、パッドとしては、拡張可能であり、拡張した状態での外形の形状が板状をなすものが好ましく、さらに、折り畳んだ状態から自己の復元力で拡張するものであることがより好ましい。また、パッドとしては、網状をなしているものが好ましい。
【0043】
次に、ガイド装置3について説明する。
各図に示すように、ガイド装置3は、尿道に挿入される長手形状の尿道挿入部7と、膣壁に当接する膣壁当接部として、膣に挿入される膣挿入部8と、尿道挿入部7と膣挿入部8とを連結する連結部9と、各糸5をそれぞれ目的部位まで移動する針(第2の穿刺部材)16と、後述するシース15を目的部位まで移動する際に、そのシース15を案内する針(第1の穿刺部材)17と、各針16および17をそれぞれ案内するガイド手段6とを備えている。なお、連結部9は、尿道挿入部7と膣壁挿入部8が互いに接近・離間する方向に相対的に移動可能に、その尿道挿入部7と膣壁挿入部8とを連結している。
【0044】
尿道挿入部7および連結部9は、それぞれ、棒状をなしており、尿道挿入部7の図1(a)中の右側の端部には、支持部11が固定されている。そして、連結部9の図1(a)中の上側の端部は、尿道挿入部7と直交するように、支持部11に固定されている。なお、連結部9は、尿道挿入部7よりも図1(c)中の下側に配置されている。
【0045】
膣挿入部8は、板状をなしており、その図1(a)中の左側が二股に分かれ、先端方向に向かって突出した1対の突出片(突出部)81、82を有している。突出片81と突出片82とは、図1(c)中の上下方向に互いに離間するように配置されている。また、図示の構成では、突出片81は、図1(c)において、L次状をなし、突出片82は、図1(c)において、長方形をなしている。
【0046】
この突出片81と突出片82との間の空間は、膣壁を隆起させるための空間である。すなわち、膣挿入部8を膣壁に押し付けると、突出片81と突出片82との間の空間から、膣壁が隆起して突出する。この膣挿入部8、すなわち突出片81、82は、それぞれ、尿道挿入部7と平行に配置されている。
【0047】
この膣挿入部8は、その基端側、すなわち図1(a)中の右側の端部が、間接的に、尿道挿入部7またはガイド部材61に、移動可能に支持されている。
【0048】
すなわち、膣挿入部8の図1(a)中の右側の端部が、連結部9に移動可能に支持されている。具体的には、膣挿入部8の図1(a)中の右側の端部に、開口83が形成されており、その開口83に、連結部9が挿通している。これにより、膣挿入部8は、連結部9に沿ってその連結部9に直交する方向に移動することができ、これにより、膣挿入部8と尿道挿入部7との間の離間距離を調整することができる。しがたって、連結部9および開口83等により、調節機構が構成される。
【0049】
また、膣挿入部8には、連結部9に対して膣挿入部8が移動し得る状態と、膣挿入部8の移動が阻止された状態とに切り替えるロック部12が設けられている。
【0050】
ロック部12は、雌ネジが形成された雌ネジ部13と、その雌ネジと螺合する雄ネジ14とを有しており、その雌ネジ部13が、膣挿入部8の開口83の近傍に固定されている。
【0051】
雄ネジ14を所定方向に回転させると、その雄ネジ14の先端が連結部9に圧接し、膣挿入部8の移動が阻止される。また、雄ネジ14を前記と逆方向に回転させると、その雄ネジ14の先端が連結部9から離間し、膣挿入部8の移動が可能となる。
【0052】
ガイド手段6は、尿道挿入部7に対して平行な第1の方向に針17を移動可能に支持し得るとともに、第1の方向に交差する第2の方向に針16を移動可能に支持し得るものであり、ガイド部材61と、ガイド部材61に対して移動可能に設置された移動部材62と、針17に沿って移動する管体であるシース15とを有している。なお、移動部材62は、ガイド部材61に沿って移動するようになっており、前記第1の方向に針17を移動可能に支持する第1の位置(図4参照)と、前記第2の方向に針16を移動可能に支持する第2の位置(図8参照)とに移動する。
【0053】
ガイド部材61は、移動部材62が移動する際、移動部材62を案内するものであり、湾曲した長手形状をなしている。本実施形態では、ガイド部材61は、円弧状をなしている。この円弧の中心角は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、90°以上に設定されることが好ましく、例えば、90°または90°よりも若干大きく設定されることがより好ましい。
【0054】
また、ガイド部材61の円弧の半径は、特に限定されず、諸条件に応じて適宜設定されるものであるが、後述する移動部材62の貫通孔621に挿入されたシース15の移動部材62からの突出長と略等しく設定されることが好ましい。これにより、貫通孔621を後述する条件に設定することで、移動部材62を第1の位置から第2の位置に移動する際、シース15の先端は、移動しないか、または、移動したとしてもその移動量は、極僅かである(図6、図7参照)。
【0055】
また、図1(d)に示すように、ガイド部材61の図1(d)中上側には、レール611がそのガイド部材61の長手方向に沿って、すなわち円弧に沿って形成されている。このレール611は、後述する移動部材62の溝622内に挿入され、これにより、移動部材62の移動方向が規制され、移動部材62は、そのレール611に沿って移動する。なお、レール611の横断面において、レール611の図1(d)中上側の部位は、下側の部位よりも大きく形成されており、これによりガイド部材61からの移動部材62の離脱を阻止することができる。
【0056】
また、ガイド部材61の図1(a)中の上側の端部は、支持部11に固定されている。これにより、ガイド部材61は、間接的に、尿道挿入部7の図1(a)中の右側の端部、すなわち基端側に支持される。なお、ガイド部材61は、連結部9よりも図1(c)中の上側に配置されている。
【0057】
また、ガイド部材61は、尿道挿入部8の軸線からずれた位置を回動中心として、尿道挿入部8の軸回りの方向に回動し得るよう構成されている。本実施形態では、ガイド部材61の尿道挿入部8の近傍に、柔軟性な部位、すなわち可撓性を有する柔軟部612が設けられており(図7参照)、柔軟部612が弾性変形することにより、その柔軟部612を回動中心として、ガイド部材61が回動するようになっている。
【0058】
移動部材62は、ガイド部材61の図1(d)中上側に配置されており、その移動部材62の図1(d)中下側には、前記ガイド部材61のレール611が挿入される溝622が形成されている。
【0059】
また、ガイド手段6は、雄ネジ63を有しており、移動部材62には、その雄ネジ63と螺合する雌ネジを有する雌ネジ部623形成されている。
【0060】
雄ネジ63を所定方向に回転させると、その雄ネジ63の先端がガイド部材61のレール611に圧接し、ガイド部材61に対する移動部材62の移動が阻止される。また、雄ネジ63を前記と逆方向に回転させると、その雄ネジ63の先端がレール611から離間し、ガイド部材61に対する移動部材62の移動が可能となる。
【0061】
なお、雄ネジ63および雌ネジ部623により、ガイド部材61に対して移動部材62が移動し得る状態と、移動部材62の移動が阻止された状態とに切り替えるロック部が構成される。
【0062】
また、移動部材62には、針16、17およびシース15を案内する貫通孔621が形成されている。この貫通孔621は、本実施形態では、円柱状をなしている。そして、この貫通孔621は、その中心軸がガイド部材61の円弧の中心に向くように形成されている。また、貫通孔621の中心軸と、尿道挿入部7の軸線とは、同一水平面上に位置している。なお、図4に示すように、移動部材62が第1の位置に位置しているとき、貫通孔621の中心軸と、尿道挿入部7の軸線とが、平行になる。また、図8に示すように、移動部材62が第2の位置に位置しているとき、貫通孔621の中心軸と、尿道挿入部7の軸線とが、交差、本実施形態では直交する。
【0063】
移動部材62が第1の位置に位置しているとき、針17は、貫通孔621に挿入され、貫通孔621により、その移動方向が規制され、第1の方向に移動可能に案内されるようになっている(図4参照)。すなわち、ガイド手段6は、後述するように、膣挿入部8により隆起した膣壁を針17が穿刺するようにその針17を移動可能に案内する。
【0064】
また、移動部材62が第2の位置に位置しているとき、針16は、貫通孔621に挿入されたシース15に挿入され、シース15により、その移動方向が規制され、第2の方向に移動可能に案内されるようになっている(図8参照)。すなわち、ガイド手段6は、後述するように、針17が尿道を避けて、尿道と交差する方向に進むようにその針16を移動可能に案内する。
【0065】
なお、ガイド部材61と移動部材62とには、移動部材62が第1の位置に位置する際に互いの位置が一致する第1のマーカと、移動部材62が第2の位置に位置する際に互いの位置が一致する第2のマーカとを設けてもよい。これにより、移動部材62を確実に第1の位置と第2の位置とに移動させることができる。
【0066】
また、ガイド部材61と移動部材62とには、移動部材62が第2の位置側から第1の位置まで移動すると、その移動部材62を第1の位置に停止させる第1のストッパと、移動部材62が第1の位置側から第2の位置まで移動すると、その移動部材62を第2の位置に停止させる第2のストッパとを設けてもよい。これにより、移動部材62を確実に第1の位置と第2の位置とに移動させることができる。
【0067】
また、シース15の先端部の外径は、先端方向に向かって漸減している。これにより、シース15を容易かつ円滑に膣壁に穿刺することができる。このシース15は、後述するように、2本の糸5をそれぞれ目的部位まで移動する際等に用いられる。
【0068】
また、針16の先端部には、糸5を離脱可能に保持する図示しない保持部が形成されている。針16は、2本の糸5をそれぞれ目的部位まで移動する際に、シース15に挿入して用いる。なお、針16および17は、それぞれ、中実であってもよく、また、管状であってもよい、
次に、インプラント装置1の操作手順について説明する。
【0069】
まず、図2に示すように、ガイド装置3のガイド手段6の雄ネジ63を緩む方向に回転させ、ガイド部材61に対して移動部材62を移動し得るようにし、移動部材62を図2(a)中の上側に移動させる。すなわち、移動部材62を第1の位置に移動させる。そして、雄ネジ63を締まる方向に回転させ、ガイド部材61に対する移動部材62の移動が阻止された状態とする。
【0070】
次に、ロック部12の雄ネジ14を緩む方向に回転させ、連結部9に対して膣挿入部8を移動し得るようにし、その膣挿入部8を連結部9に対して図3(a)中、上側または下側に移動させ、尿道挿入部7と膣挿入部8との間の間隔を、患者の尿道口110と膣口210との間の間隔に合うように調整する。そして、ロック部12の雄ネジ14を締まる方向に回転させ、連結部9に対する膣挿入部8の移動が阻止された状態とする。なお、この尿道挿入部7と膣挿入部8との間の間隔の調整を前記移動部材62の第1の位置への移動よりも先に行ってもよい。
【0071】
次に、ガイド装置3の尿道挿入部7を尿道口110から尿道100内に挿入し、膣挿入部8を膣口210から膣200内に挿入する。
【0072】
次に、図3に示すように、ロック部12の雄ネジ14を緩む方向に回転させ、連結部9に対して膣挿入部8を移動し得るようにし、その膣挿入部8を連結部9に対して図3(a)中、上側に移動させる。これにより、膣挿入部8の突出片81と突出片82との間の空間から膣壁300が隆起して図3(a)中、下側に突出する。そして、ロック部12の雄ネジ14を締まる方向に回転させ、連結部9に対する膣挿入部8の移動が阻止された状態とする。
【0073】
次に、図4に示すように、針17を移動部材62の貫通孔621に挿入し、先端方向に、目的部位まで移動させ、その針17で隆起した膣壁300を穿刺する。この際、針17は、貫通孔621により、その移動方向が規制され、尿道挿入部7と平行となった状態を維持しつつ先端方向に移動するので、針17が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。
【0074】
次に、図5に示すように、シース15を針17の基端部から被せ、その針17に沿って先端方向に移動させる。この際、シース15の先端部が針17の先端部と一致するまでシース15を移動させる。なお、シース15を先端方向に移動させる際は、そのシース15は、貫通孔621に挿入され、貫通孔621によってもその移動方向が規制される。そして、図6に示すように、針17を抜去する。また、ロック部12の雄ネジ14を緩む方向に回転させ、連結部9に対して膣挿入部8を移動し得るようにし、その膣挿入部8を連結部9に対して図6(a)中、下側に移動させ、連結部9から取り外す。
【0075】
次に、図7に示すように、ガイド装置3のガイド手段6の雄ネジ63を緩む方向に回転させ、ガイド部材61に対して移動部材62を移動し得るようにし、移動部材62を第1の位置から第2の位置に移動させる。これにより、シース15は、その先端を中心として、図7(a)中の時計回りに90°回転し、尿道挿入部7および尿道100に対して直交する。そして、雄ネジ63を締まる方向に回転させ、ガイド部材61に対する移動部材62の移動が阻止された状態とする。
【0076】
次に、図8に示すように、ガイド部材61を柔軟部612を回動中心として、図8(b)中の反時計回りに所定角度回動させる。この角度は、針17が尿道100を穿刺しないように設定される。
【0077】
次に、針16の先端部の図示しない保持部に、2本の糸5のうちの一方の固定部51を保持し、その針16をシース15内に挿入し、先端方向に移動させる。
【0078】
針16を先端方向に移動させると、シース15により、針16の移動方向が規制され、図8(b)に示すように、針16の先端部は、尿道100に直交する方向で、かつ尿道100を避けて、図8(b)中の左上方向に進む。これより、針16が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。なお、糸5の固定部51が目的部位に到達するまで針16を移動する。このようにして、糸5の固定部51が生体に穿刺される。
【0079】
次に、図9に示すように、針16を抜去する。この際、糸5の固定部51の各単位固部511が生体に穿刺され、その固定部51が生体に固定され、固定部51が生体から抜けてしまうことを防止することができる。このようにして、一方の糸5の固定部51が生体に固定される。
【0080】
次に、図10に示すように、針16の先端部の図示しない保持部に、他方の糸5の固定部51を保持し、その針16をシース15内に挿入し、先端方向に移動させる。
【0081】
針16を先端方向に移動させると、シース15により、針16の移動方向が規制され、図10(b)に示すように、針16の先端部は、尿道100に直交する方向で、かつ尿道100を避けて、図10(b)中の右上方向に進む。これより、針16が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。なお、糸5の固定部51が目的部位に到達するまで針16を移動する。このようにして、糸5の固定部51が生体に穿刺される。
【0082】
次に、図11に示すように、針16を抜去する。この際、糸5の固定部51の各単位固部511が生体に穿刺され、その固定部51が生体に固定され、固定部51が生体から抜けてしまうことを防止することができる。このようにして、他方の糸5の固定部51が生体に固定される。
【0083】
次に、図示しない装置を用いて、2本の糸5を合わせて、図示しない結び目を形成する。この結び目の結び方としては、例えば、クリンチ・ノット等の一方向にのみ移動可能な結び方とする。そして、前記結び目を図11中上側に移動させる。この際、術者は、結び目の移動による各糸5の締め付け具合を調整する。尿道100と膣200の間は、比較的容易に剥離するようになっているので、結び目は、尿道100と膣200の間に位置し、尿道100の周囲の生体組織に当接する。そして、各糸5の張力により、尿道100が膣壁300から離間する方向に引っ張られ、各糸5でその尿道100が支持される。
【0084】
次に、シース15を抜去し、糸5、6の不要な部分を切除し、所定の縫合等を行って、手技を終了する。
【0085】
以上説明したように、このインプラント装置1によれば、インプラント2を留置する際、針16、17、シース15の穿刺等の低侵襲の手技のみで対応することができ、侵襲の大きい切開等を行わなくてよいので、患者の負担が少なく、また、患者の安全性も高い。
【0086】
また、ガイド手段6により、針16および17が尿道を穿刺してしまうことを防止することができるので、患者の安全性が高い。
【0087】
なお、ガイド部材を回動させるための手段は、本実施形態では、ガイド部材の一部に設けられた柔軟部612であるが、これに限らず、例えば、ヒンジ構造等であってもよい。
【0088】
また、本実施形態では、突出片81、82により、膣壁を隆起させる空間を形成したが、これに限らず、例えば、膣挿入部8に、開口や溝を設け、これにより膣壁を隆起させる空間を形成してもよい。
【0089】
また、本実施形態では、膣壁当接部として、膣挿入部8を設けたが、これに限らず、例えば、膣壁当接部は、膣壁には当接するが、膣内には挿入されないか、または、膣内に僅かに挿入されるように構成されていてもよい。
【0090】
また、本実施形態では、膣挿入部8は、直接的には、連結部9に支持されているが、これに限らず、例えば、膣挿入部8は、直接、尿道挿入部7またはガイド部材61に支持されていてもよい。
【0091】
<第2実施形態>
図12は、本発明のインプラント装置の第2実施形態を示す図であり、図12(a)は、側面図、図12(b)は、背面図、図12(c)は、誘導部材、針およびシースを示す断面図、図12(d)は、誘導部材の他の構成例を示す断面図である。
なお、以下では、図12中の上側を「先端」、下側を「基端」として説明を行う。
【0092】
以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0093】
図12(a)〜(c)に示すように、第2実施形態のインプラント装置1では、ガイド手段6は、シース15内に挿入して用いる長尺状の誘導部材18を有している。図示の構成では、誘導部材18の横断面での輪郭は、円形をなしている。
【0094】
針16は、誘導部材18により、第2の方向に移動可能に案内されるようになっている。そして、この誘導部材18は、さらに、シース15の軸線と異なる方向に針16を突出させる機能を有している。
【0095】
すなわち、誘導部材18には、針16が挿入される2つのルーメン181、182が、それぞれ、誘導部材18の長手方向に沿って、互いに平行となるように形成されている。また、ルーメン181、182の先端部は、外側に向って屈曲している。すなわち、図12(c)中左側のルーメン181の先端部は、図12(c)中左側に屈曲し、図12(c)中右側のルーメン182の先端部は、図12(c)中右側に屈曲している。
【0096】
このインプラント装置1では、シース15内に針16を挿入するのに先立って、まず、誘導部材18をシース15内に挿入する。
【0097】
次に、針16の先端部の図示しない保持部に、2本の糸5のうちの一方の固定部51を保持し、針16を誘導部材18のルーメン181内に挿入し、先端方向に移動させる。この際、図12(b)に示すように、針16の先端部は、ルーメン181の先端部において、図12(b)中左側に屈曲し、これにより、針16の先端部は、尿道100を避けて、図12(b)の左上方向に進む。これによって、針16が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。
【0098】
そして、針16を抜去した後、針16の先端部の図示しない保持部に、他方の糸5の固定部51を保持し、針16をルーメン182内に挿入し、先端方向に移動させる。この際、針16の先端部は、ルーメン181の先端部において、図12(b)中右側に屈曲し、これにより、針16の先端部は、尿道100を避けて、図12(b)中の右上方向に進む。これによって、針16が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。
【0099】
このインプラント装置1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0100】
なお、誘導部材の構成は、前記のものには限定されない。誘導部材の他の構成例は、例えば、図12(d)に示される。すなわち、図12(d)に示すように、誘導部材19は、単一のルーメン191を有し、シース15に対して、その軸回りに回転し得るようになっている。
【0101】
この誘導部材19を使用する場合は、2本の糸5のうちの一方を固定した後、誘導部材19をシース15に対して180°回転させる。これにより、単一のルーメン191が、前記2つのルーメン181、182と同様の機能を発揮する。
【0102】
<第3実施形態>
図13は、本発明のインプラント装置の第3実施形態を示す図であり、図13(a)は、側面図、図13(b)は、背面図である。
なお、以下では、図13中の上側を「先端」、下側を「基端」として説明を行う。
【0103】
以下、第3実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0104】
図13に示すように、第3実施形態のインプラント装置1では、針16は、その先端部が途中まで湾曲した状態に形状付けされている。すなわち、針16は、外力が付与されていない自然状態で、その先端部が途中まで湾曲している。
【0105】
これにより、針16は、シース15から突出すると、シース15の軸線と異なる方向に進むようになっている。 このインプラント装置1では、図13に示すように、針16の先端部の図示しない保持部に、2本の糸5のうちの一方の固定部51を保持し、その針16の軸回りの回転方向の位置を、針16の先端部が図13(b)中の左上方向を向くように設定し、針16をシース15内に挿入し、先端方向に移動させる。なお、針16は、弾性を有しているので、直線状となってシース15内に挿入される。
【0106】
針16を先端方向に移動させると、針16の先端部がシース15の先端から突出し、その先端部が自己の復元力により元の形状に戻る。これにより、図13(b)に示すように、針16の先端部は、尿道100を避けて、図13(b)中の左上方向に、湾曲しつつ進む。これによって、針16が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。
【0107】
そして、針16を抜去した後、針16の先端部の図示しない保持部に、他方の糸5の固定部51を保持し、その針16の軸回りの回転方向の位置を、針16の先端部が図13(b)中の右上方向を向くように設定し、針16をシース15内に挿入し、先端方向に移動させる。
【0108】
針16を先端方向に移動させると、針16の先端部がシース15の先端から突出し、その先端部が自己の復元力により元の形状に戻る。これにより、針16の先端部は、尿道100を避けて、図13(b)中の右上方向に、湾曲しつつ進む。これによって、針16が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。
このインプラント装置1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0109】
以上、本発明のガイド装置およびインプラント装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0110】
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 インプラント装置
2 インプラント
3 ガイド装置
5 糸
51 固定部
511 単位固定部
6 ガイド手段
61 ガイド部材
611 レール
612 柔軟部
62 移動部材
621 貫通孔
622 溝
623 雌ネジ部
63 雄ネジ
7 尿道挿入部
8 膣挿入部
81、82 突出片
83 開口
9 連結部
11 支持部
12 ロック部
13 雌ネジ部
14 雄ネジ
15 シース
16、17 針
18 誘導部材
181、182 ルーメン
19 誘導部材
191 ルーメン
100 尿道
110 尿道口
200 膣
210 膣口
300 膣壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性の尿失禁の治療のための埋設可能なインプラントを生体内に埋設する際に用いるガイド装置であって、
尿道に挿入される長手形状の尿道挿入部と、
膣壁に当接する膣壁当接部と、
前記尿道挿入部に対して平行な第1の方向に第1の穿刺部材を移動可能に支持し得るとともに、前記第1の方向に交差する第2の方向に第2の穿刺部材を移動可能に支持し得るガイド手段とを備えることを特徴とするガイド装置。
【請求項2】
前記ガイド手段は、ガイド部材と、
前記ガイド部材に沿って、前記第1の方向に第1の穿刺部材を移動可能に支持する第1の位置と、前記第2の方向に第2の穿刺部材を移動可能に支持する第2の位置とに移動可能な移動部材とを有する請求項1に記載のガイド装置。
【請求項3】
前記移動部材には貫通孔が形成されており、
前記第1の穿刺部材は、前記貫通孔に挿入され、該貫通孔により前記第1の方向に移動可能に案内されるよう構成されている請求項2に記載のガイド装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、湾曲している請求項2または3に記載のガイド装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、円弧状をなしている請求項2または3に記載のガイド装置。
【請求項6】
前記ガイド部材は、円弧状をなしており、
前記貫通孔は、その中心軸が前記円弧の中心に向くように形成されている請求項3に記載のガイド装置。
【請求項7】
前記ガイド手段は、前記第1の穿刺部材に沿って移動する管体を有し、
前記第2の穿刺部材は、前記管体に挿入され、該管体により前記第2の方向に移動可能に案内されるよう構成されている請求項2ないし6のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項8】
前記ガイド手段は、前記管体に挿入して用いられる誘導部材を有し、
前記第2の穿刺部材は、前記誘導部材により前記第2の方向に移動可能に案内されるよう構成されており、
前記誘導部材は、前記管体の軸線と異なる方向に前記第2の穿刺部材を突出させる機能を有する請求項7に記載のガイド装置。
【請求項9】
前記第2の穿刺部材は、外力が付与されていない自然状態で、湾曲しており、前記第2の穿刺部材が前記管体から突出すると、前記管体の軸線と異なる方向に進むよう構成されている請求項7に記載のガイド装置。
【請求項10】
前記ガイド部材は、前記尿道挿入部の基端側に支持されている請求項2ないし9のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項11】
前記ガイド部材は、前記尿道挿入部の基端側に支持されおり、前記尿道挿入部の軸線からずれた位置を回動中心として、前記尿道挿入部の軸回りの方向に回動し得るよう構成されている請求項2ないし9のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項12】
前記膣壁当接部は、前記尿道挿入部または前記ガイド部材に支持されている請求項2ないし11のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項13】
前記膣壁当接部と前記尿道挿入部との間の離間距離を調節する調節機構を有する請求項12に記載のガイド装置。
【請求項14】
前記膣壁当接部は、該膣壁当接部を前記膣壁に押し付けたとき、前記膣壁を隆起させる空間を有する請求項1ないし13のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項15】
前記膣壁当接部は、互いに離間するように配置された1対の突出部を有しており、該1対の突出部の間の空間が、前記膣壁を隆起させる空間である請求項14に記載のガイド装置。
【請求項16】
前記各突出部は、それぞれ、前記尿道挿入部に対して平行に配置されている請求項15に記載のガイド装置。
【請求項17】
前記ガイド手段は、隆起した前記膣壁を前記第1の穿刺部材が穿刺するように該第1の穿刺部材を移動可能に案内するよう構成されている請求項14ないし16のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項18】
前記膣壁当接部は、膣内に挿入されるものである請求項1ないし17のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項19】
前記尿道挿入部と前記膣壁当接部が互いに接近・離間する方向に相対的に移動可能に、前記尿道挿入部と前記膣壁当接部とを連結する連結部を有する請求項1ないし18のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項20】
女性の尿失禁の治療のための埋設可能なインプラントと、
請求項1ないし19のいずれかに記載のガイド装置とを備えることを特徴とするインプラント装置。
【請求項1】
女性の尿失禁の治療のための埋設可能なインプラントを生体内に埋設する際に用いるガイド装置であって、
尿道に挿入される長手形状の尿道挿入部と、
膣壁に当接する膣壁当接部と、
前記尿道挿入部に対して平行な第1の方向に第1の穿刺部材を移動可能に支持し得るとともに、前記第1の方向に交差する第2の方向に第2の穿刺部材を移動可能に支持し得るガイド手段とを備えることを特徴とするガイド装置。
【請求項2】
前記ガイド手段は、ガイド部材と、
前記ガイド部材に沿って、前記第1の方向に第1の穿刺部材を移動可能に支持する第1の位置と、前記第2の方向に第2の穿刺部材を移動可能に支持する第2の位置とに移動可能な移動部材とを有する請求項1に記載のガイド装置。
【請求項3】
前記移動部材には貫通孔が形成されており、
前記第1の穿刺部材は、前記貫通孔に挿入され、該貫通孔により前記第1の方向に移動可能に案内されるよう構成されている請求項2に記載のガイド装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、湾曲している請求項2または3に記載のガイド装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、円弧状をなしている請求項2または3に記載のガイド装置。
【請求項6】
前記ガイド部材は、円弧状をなしており、
前記貫通孔は、その中心軸が前記円弧の中心に向くように形成されている請求項3に記載のガイド装置。
【請求項7】
前記ガイド手段は、前記第1の穿刺部材に沿って移動する管体を有し、
前記第2の穿刺部材は、前記管体に挿入され、該管体により前記第2の方向に移動可能に案内されるよう構成されている請求項2ないし6のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項8】
前記ガイド手段は、前記管体に挿入して用いられる誘導部材を有し、
前記第2の穿刺部材は、前記誘導部材により前記第2の方向に移動可能に案内されるよう構成されており、
前記誘導部材は、前記管体の軸線と異なる方向に前記第2の穿刺部材を突出させる機能を有する請求項7に記載のガイド装置。
【請求項9】
前記第2の穿刺部材は、外力が付与されていない自然状態で、湾曲しており、前記第2の穿刺部材が前記管体から突出すると、前記管体の軸線と異なる方向に進むよう構成されている請求項7に記載のガイド装置。
【請求項10】
前記ガイド部材は、前記尿道挿入部の基端側に支持されている請求項2ないし9のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項11】
前記ガイド部材は、前記尿道挿入部の基端側に支持されおり、前記尿道挿入部の軸線からずれた位置を回動中心として、前記尿道挿入部の軸回りの方向に回動し得るよう構成されている請求項2ないし9のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項12】
前記膣壁当接部は、前記尿道挿入部または前記ガイド部材に支持されている請求項2ないし11のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項13】
前記膣壁当接部と前記尿道挿入部との間の離間距離を調節する調節機構を有する請求項12に記載のガイド装置。
【請求項14】
前記膣壁当接部は、該膣壁当接部を前記膣壁に押し付けたとき、前記膣壁を隆起させる空間を有する請求項1ないし13のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項15】
前記膣壁当接部は、互いに離間するように配置された1対の突出部を有しており、該1対の突出部の間の空間が、前記膣壁を隆起させる空間である請求項14に記載のガイド装置。
【請求項16】
前記各突出部は、それぞれ、前記尿道挿入部に対して平行に配置されている請求項15に記載のガイド装置。
【請求項17】
前記ガイド手段は、隆起した前記膣壁を前記第1の穿刺部材が穿刺するように該第1の穿刺部材を移動可能に案内するよう構成されている請求項14ないし16のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項18】
前記膣壁当接部は、膣内に挿入されるものである請求項1ないし17のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項19】
前記尿道挿入部と前記膣壁当接部が互いに接近・離間する方向に相対的に移動可能に、前記尿道挿入部と前記膣壁当接部とを連結する連結部を有する請求項1ないし18のいずれかに記載のガイド装置。
【請求項20】
女性の尿失禁の治療のための埋設可能なインプラントと、
請求項1ないし19のいずれかに記載のガイド装置とを備えることを特徴とするインプラント装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−70813(P2013−70813A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211609(P2011−211609)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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