説明

ガスの透過を減少させるために基材上に薄いガラス様の被膜を形成する方法

a)次式(I)
-(SiR'R''-NR''')n- (1)
[式中、R'、R''、R'''は、同一かまたは異なり、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、nは整数であり、そしてnは、該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定めされる]
で表されるポリシラザン、及び
b)有機溶剤中の触媒、
を含む溶液で基材を被覆し、次いで溶剤を蒸発させて除去し、それによって0.05〜3.0μmの層厚のポリシラザン層を基材上に残し、そして水蒸気を含む雰囲気中において、酸素、活性酸素、場合によっては及び窒素の存在下において、上記のポリシラザン層を、<230nmの波長成分を含むVUV放射線及び230〜300nmの波長成分を含むUV放射線で照射することによって、基材上にガラス様の透明被膜を形成する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーヒドロポリシラザン(PHPSとも言う)または有機ポリシラザンを主成分として含む薄い(0.05〜5μm)の被膜を、透明性及びガスに対する高いバリヤ作用に優れる緻密なガラス様の層に転化するための方法に関する。上記の転化は、<230nmの波長のVUV光及び300nm未満の波長のUV光の照射によって、各々の基材に適合したできるだけ低い温度において、できるだけ短い処理時間(0.1〜10分間)で行われる。
【背景技術】
【0002】
PHPS−層の熱処理の際に、ポリマー骨格中に交互に存在する珪素及び窒素原子の結合が加水分解により切断され、窒素、及び珪素に結合している水素の一部がガス状の化合物、例えばアンモニアとして漏出し、そして生じたシラノールが縮合によって架橋し、それによって、[≡Si−O−]構造単位からなるガラス様の性質を有する3D格子が生じることが知られている(K. Kamiya, T. Tange, T. Hashimoto, H. Nasu, Y. Shimizu, Res. Rep. Fac. Eng.Mie. Univ., 26, 2001, 23-31):
【0003】
【化1】

【0004】
このプロセスは、消失するSi−NH−Si及びSi−H結合並びに生ずるSi−OH及びSi−O−Si結合に基づいてATR−IR分光分析によって監視することができる。
【0005】
従来技術では、上記の転化は熱により開始することができる(欧州特許第0899091 B1号明細書、国際公開第2004/039904 A1号パンフレット)。上記プロセスを促進するためまたは反応温度を低下させるために、アミン及び/または金属カルボキシレート(Pt,Pd)及び/またはN−ヘテロ環式化合物に基づく触媒が加えられる(例えば国際公開第2004/039904 A1号パンフレット)。上記の転化プロセスには、30分から24時間までの暴露時間において、室温から400℃までの温度が必要であり、この際、低い温度は長い暴露時間、高い温度は短い暴露時間を必要とする。
【0006】
更に、欧州特許第0 899 091 B1号明細書では、水性3%トリエチルアミン浴中で触媒なしで層の硬化(3分間)を行い得ることが記載されている。
【0007】
特開平11-166157号公報には、UV照射によってアミンを解離する光吸収剤を、プレセラミックポリシラザン層に加える方法が記載されている。150〜400nmの波長、50〜200mWcm-2のこの放射線の出力、及び0.02〜10分間の処理時間が提案されている。
【0008】
特開平11-092666号公報では、0.01〜30重量%の光開始剤の添加によって、50mWcm-2の出力の300nmを超える波長を有するUV光及び約30秒間の処理時間でポリシラザン層を転化している。更に、硬化速度を速めるために、酸化性金属触媒を加えることができる(Pt、Pd、Niなど)。
【0009】
特開平10−279 362号公報では、ポリエステルフィルム(5nm〜5μm)をポリシラザン層(平均分子量100〜50,000)で被覆している。この場合も、PtまたはPd触媒及び/またはアミン化合物を用いて、低温度で酸化反応を促進している。アミン化合物は、ポリシラザン塗膜の構成分として、浸漬浴中の水溶液として、または熱処理の際の周囲空気中の蒸気成分として導入することができる。加えて、光吸収剤として働くアミン触媒を活性化するために、150〜400nmのUV光で同時に照射することも提案されている。UV源としては、高圧もしくは低圧水銀蒸気ランプ、炭素及びキセノンアークランプ、エキシマランプ(波長範囲:172nm、222nm及び308nm)並びにUVレーザーが挙げられている。0.05〜3分間の処理時間において、20〜300mWcm-2のUV出力が必要である。高い水蒸気含有率(50〜100%相対湿度)において150℃までの温度で10〜60分間の熱処理を次に行うことによって、ガスバリア作用に関して層の性質が更に大きく改良されるとのことである。セラミック化されたポリシラザン層のキャリア材料としては、PET、PI、PC、PS、PMMAなどのプラスチック材料からなるフィルムも挙げられている。ポリシラザン層の塗布法は、浸漬塗布法、ロール塗布法、バー塗布、ウェブ塗布、刷毛塗り、スプレー塗布、流し塗りなどである。転化後に得られる層厚は約0.4μmである。
【0010】
熱に弱いプラスチックフィルムをコーティングする目的で、特開平10-212114号公報には、場合により含まれるアミンまたは金属カルボキシレートの活性化のためにIR照射によってポリシラザン層を転化することが記載されている。このアミン及び金属カルボキシレートは、ポリシラザン層の転化を加速することが狙いである。特開平10-279 362号公報には、層の転化には、UV放射線及びIR放射線を同時に使用することが有利であることも記載されている。この際、支持体フィルムがそれほど強く加熱されないという理由から遠赤外線(4〜1000μm)が好ましい。
【0011】
電子照射によるポリシラザンの転化が特開平08-143 689号公報に記載されている。
【0012】
欧州特許第0 745 974 B1号明細書には、磁気ストリップの薄い保護層の製造のために、酸素及び水蒸気の存在下にオゾン、原子状酸素及び/またはVUV光子での照射を使用した酸化方法が記載されている。この方法によって、室温下での処理時間を数分間まで短縮することができる。この際、機序としてはオゾンまたは酸素原子の酸化作用が記載されている。場合により使用されるVUV放射線は、これらの反応性種を発生させるためだけに使用される。基材の許容限界(PET 180℃)まで同時に熱を供給することによって、約20nmのポリシラザン層において、数秒間から数分間の範囲の転化時間が達成された。記載されているストリップの被覆においては、熱の供給は、加熱されたロールとの密な接触によって行うことができる。
【0013】
UV放射線源としては、200nm未満の波長を有する放射線成分を含むランプ、例えば約185nmの放射線成分を有する低圧水銀蒸気ランプ及び約172nmの放射線成分を有するエキシマランプが記載されている。層の性質を改良するための可能性として、微細な(5nm〜40nm)の無機粒子(酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなど)を混入させることも記載されている。
【0014】
上記の方法で形成された被膜は、5〜20nmの層厚しか有しないにもかかわらず、比較的長い硬化時間を必要とする。薄い層厚のために、不良部位の形成が非常に多く、そして被膜のバリヤ作用は不十分である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
それゆえ、熱に敏感な基材も簡単に及び経済的に被覆することができ、そしてそうして得られる被膜がガスに対する高いバリヤ作用に優れる、透明な被膜の製造方法を提供するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記の課題を解決するものであり、そして
a) 次式(I)
-(SiR'R''-NR''')n- (1)
[式中、R'、R''、R'''は、同一かまたは異なり、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基、好ましくは水素、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、フェニル、ビニルまたは3−(トリエトキシシリル)プロピル、3−(トリメトキシシリルプロピル)からなる群から選択される基を表し、この際、nは整数であり、そしてnは、該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる]
で表されるポリシラザン、及びb)有機溶剤中の触媒、を含む溶液で基材を被覆し、そしてこの溶剤を蒸発させて除去し、それによって基材上に0.05〜3.0μmの層厚を有するポリシラザン層を残し、そして、水蒸気を含む雰囲気中で酸素、活性酸素、場合によっては及び窒素の存在下に、上記のポリシラザン層を、<230nmの波長成分を有するVUV放射線及び230〜300nmの波長成分を有するUV放射線で照射することによって、基材上にガラス様の透明な被膜を形成する方法に関する。
【0017】
触媒としては、好ましくは、塩基性触媒、特にN,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミンまたはN−複素環式化合物が使用される。触媒濃度は、ポリシラザンを基準にして通常0.1〜10モル%、好ましくは0.5〜7モル%の範囲である。
【0018】
好ましい態様の一つでは、次式2の少なくとも一種のパーヒドロポリシラザンを含む溶液が使用される。
【0019】
【化2】

【0020】
更に別の好ましい態様の一つでは、本発明によるコーティングは、次式(3)の少なくとも一種のポリシラザンを含む。
【0021】
-(SiR'R''-NR''')n-(SiR*R**-NR***)p - (3)
式中、R'、R''、R'''、R*、R**及びR***は、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、n及びpは整数であり、そしてnは、該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。
【0022】
特に好ましいものは、
− R'、R'''及びR***が水素を表し、そしてR''、R*及びR**がメチルを表す化合物;
−R'、R'''及びR***が水素を表し、そしてR''、R*がメチルを表し、そしてR**がビニルを表す化合物;
− R'、R'''、R*及びR***が水素を表し、そしてR''及びR**がメチルを表す化合物、
である。
【0023】
また、次式(4)の少なくとも一種のポリシラザンを含む溶液も同様に好ましい。
【0024】
-(SiR'R''-NR''')n-(SiR*R**-NR***)p -(SiR1, R2-NR3)q- (4)
上記式中、R'、R''、R'''、R*、R**、R***、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、n、p及びqは整数であり、そしてnは、該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。
【0025】
特に好ましいものは、R'、R'''及びR***が水素を表し、そしてR''、R*、R**及びR2がメチルを表し、R3が(トリエトキシシリル)プロピルを表し、そしてR1がアルキルまたは水素を表す化合物である。
【0026】
溶剤中のポリシラザンの割合は、一般的にはポリシラザン1〜80重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは10〜40重量%である。
【0027】
溶剤としては、特に、水及び反応性基(例えばヒドロキシル基またはアミン基)を含まずそしてポリシラザンに対して不活性の有機系で好ましくは非プロトン性の溶剤が好適である。これは、例えば、脂肪族または芳香族炭化水素、ハロゲン炭化水素、エステル、例えば酢酸エチルまたは酢酸ブチル、ケトン、例えばアセトンまたはメチルエチルケトン、エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジブチルエーテル、並びにモノ−及びポリアルキレングリコールジアルキルエ
ーテル(ジグライム類)またはこれらの溶剤からなる混合物である。
【0028】
上記ポリシラザン溶液の追加の成分は、塗料の製造に慣用されているもののような更に別のバインダーであることができる。これは、例えば、セルロースエーテル及びセルロースエステル、例えばエチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテートまたはセルロースアセトブチレート、天然樹脂、例えばゴムもしくはロジン樹脂、または合成樹脂、例えば重合樹脂もしくは縮合樹脂、例えばアミノプラスト、特に尿素樹脂及びメラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステルもしくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、またはポリシロキサンである。
【0029】
該ポリシラザン調合物の更に別の成分は、例えば、調合物の粘度、下地の濡れ、成膜性、潤滑作用または排気性に影響を与える添加剤、あるいは無機ナノ粒子、例えばSiO2、TiO2、ZnO、ZrO2またはAl2O3であることができる。
【0030】
本発明の方法を用いることによって、亀裂及び孔が無いためにガスに対する高いバリヤ作用に優れる緻密なガラス様の層を製造することができる。
【0031】
形成された被膜は、100nm〜2μmの層厚を有する。
【0032】
本発明においては、基材としては、10〜100μmの厚さを有する熱に弱いプラスチック製フィルムまたはプラスチック製基材(例えば、三次元構造の基材、例えばPETボトル)、特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)製のフィルムまたは基材が一部の例としてのみ挙げられる。更に別の好ましい態様の一つでは、金属フィルム、例えばアルミニウムフィルム及びチタンフィルムなどの基材もコーティングすることができる。
【0033】
ガス、特に水蒸気、酸素および二酸化炭素に対する優れたバリヤ作用は、本発明の被膜を、特に、包装材料のためのバリヤ層として及び腐食性ガスに対する保護層として、例えば食品工業用の容器またはフィルムのコーティングに有用なものとする。本発明の方法を用いることにより、第一段階において塗布された非晶質ポリシラザン層が、100℃以下の温度において0.1〜10分間内で、ガラス様の二酸化ケイ素網状構造体に首尾良く転化される。それによって、ロールからロールにフィルムを移送させて行うフィルムのコーティングを1m/分以上の移送速度で実施することができる。これに対して、従来公知の方法を用いた場合は、より多くの工程が必要であるか、あるいは転化を、より高い温度及びより長い時間消費量で行わなければならないかのいずれかである。
【0034】
ポリシラザン骨格から三次元SiOx網状構造への酸化的転化をVUV光子によって直接開始することによって、単一の段階において非常に短い時間で成功裏にこの転化が行われる。この転化プロセスの機序は、VUV光子の浸透深さの範囲において、Si−N結合が切断されそして酸素及び水蒸気の存在下において層の転化が起こる程に強く−SiH2−NH−構成要素がそれの吸収によって励起されるということで説明することができる。
【0035】
本発明において好適な放射線源は、約172nmに最大放射を有するエキシマラジエータ、約185nmに輝線を有する低圧水銀蒸気ランプ、並びに230nm以下の波長成分を有する中圧及び高圧水銀蒸気ランプ、及び約222nmに最大放射を有するエキシマランプである。
【0036】
180nm以下の波長の放射線成分を有する放射線源、例えば約172nmに最大放射を有するXe2*エキシマラジエータを使用すると、酸素及び/または水蒸気の存在下において、上記の波長範囲におけるこれらのガスの高い吸光係数の故に光分解によってオゾン並びに酸素ラジカル及びヒドロキシルラジカルが非常に効率よく生じ、これらがポリシラザン層の酸化を促進する。しかし、両機序、すなわちSi−N結合の解裂と、オゾン、酸素ラジカル及びヒドロキシルラジカルの作用は、ポリシラザン層の表面上にもVUV放射線が到達して初めて起こり得る。
【0037】
それゆえ、層表面上にVUV放射線を出来る限り高い線量で適用するためには、場合によってはVUV処理経路を窒素で置換し、そこに酸素及び水蒸気を調整可能な様に供給することによって、上記放射線のパス長の酸素及び水蒸気濃度を相応して目的通りに減少することが上記波長範囲には必要である。
【0038】
この際、酸素濃度は、好ましくは500〜210,000ppmの範囲である。
【0039】
転化プロセスの間の水蒸気濃度は、これが好ましくは1000〜4000ppmであると有利でありかつ反応を促進することが判明した。
【0040】
本発明の好ましい態様の一つでは、層の照射はオゾンの存在下に行われる。このようにすることで、該方法の実施に必要な活性酸素を、照射中のオゾンの分解によって簡単に生成することができる。
【0041】
HgLPランプ(185nm)またはKrCl*エキシマランプ(222nm)からの180nm以下の波長成分を含まないUV光の作用は、Si−N結合に対する直接的な光分解作用に限定され、すなわち、酸素ラジカルまたはヒドロキシルラジカルを生成しない。この場合、吸収は無視し得る程度に過ぎないので、酸素及び水蒸気濃度に関しての制限は要求されない。より短波長の光に対する更に別の利点は、ポリシラザン層中への浸透深度がより大きい点にある。
【0042】
本発明において、VUV放射線及びUV放射線での照射は、同時にまたは相前後してあるいは交互に、200nm以下のVUV放射線、特に180nm以下のVUV放射線、または180〜200nmの波長成分を含むVUV放射線を用いて、及び230〜300nmの波長成分を含むUV放射線、特に240〜280nmの範囲のUV放射線を用いて行われる。この場合、200nm以下の波長成分を含む放射線によって生ずるオゾンが230〜300nmの波長成分を含む放射線により分解されて酸素ラジカル(活性酸素)を生成することによって相乗効果が生じ得る。
【0043】
【化3】

【0044】
層の表面上でまたは層自体中で上記のプロセスが進行すると、層の転化プロセスが加速され得る。このような組み合わせのための放射線源としては、約172nmの波長成分を含むXe2*エキシマラジエータ及び約254nmもしくは230〜280nmの範囲の波長成分を含む水銀低圧もしくは水銀中圧ランプが好適である。
【0045】
本発明においては、SiOx格子の形のガラス様の層の形成は、層の温度を同時に高めることによって加速され、そして層の品質は、それのバリヤ性に関して向上される。
【0046】
熱の入力は、使用されたUVランプによってまたは赤外線ラジエータを用いて被膜及び基材を介して行われるか、あるいはヒートレジスタを用いて気相空間を介して行うことができる。温度の上限は、使用した基材の耐熱性によって決定される。PETフィルムの場合には約180℃である。
【0047】
本発明の好ましい態様の一つでは、酸化転化プロセスの間に、基材は、赤外線によって50〜200℃の温度(被覆するべき基材の耐熱性に依存する)に加熱され、そしてこれと同時に放射線に曝される。更に別の好ましい態様の一つでは、転化プロセスの間の照射室中のガス温度は50〜200℃の温度に高められる。そうすることで、被膜が基材上で同時に加熱されて、ポリシラザン層の転化が加速される。
【0048】
ガスに対する層のバリヤ作用は、透過実験によって、及びSi−H結合及びSi−NH−Si結合の残留含有量並びに生成したSi−OH結合及びSi−O−Si結合に関してはATR−IR測定によって測定することができる。層の形状は、通常はREM測定によって測定される。層表面に対して垂直方向の窒素及びSiOx濃度勾配は、SIMSによって測定するのが最も簡単である。
【0049】
本発明の方法は、プラスチックフィルム上でポリシラザン層を照射することによって塗布、乾燥及び酸化転化を一つの作業工程で行うこと、すなわち例えばフィルムのコーティングにおいてこれを“ロール・ツゥ・ロール(Roll to Roll)”方式で行うことを可能にする。本発明に従い得られる被膜は、酸素、二酸化炭素、空気などのガスまたは水蒸気に対する高いバリヤ作用に優れる。
【0050】
このバリヤ作用は、必要ならば、本発明の方法を相前後して複数回行うことによって更に高めることができるが、これは通常は必要ではない。
【実施例】
【0051】
基材:
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)。
ポリシラザン液:
キシレン中のパーヒドロポリシラザン液(Clariant GmbH製のNP110、NN110)、またはジブチルエーテル中のパーヒドロポリシラザン液(Clariant GmbH製のNL120、NN120)。
塩基性触媒(例えば、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N−複素環式カルベン)の添加(ポリシラザン固形物に基づいて触媒1〜5%)。
塗布法:
浸漬塗布法、ロール・ツゥ・ロール塗布法、スピンコート法。その後、100℃で5分間乾燥。
酸化転化法:
SiOx網状構造へのパーヒドロポリシラザン(PHPS)の転化は、Xe2*エキシマラジエータ(放射:約172nm、VUV出力:30mWcm-2)、水銀蒸気低圧ランプ(HgLPランプ)(輝線:185nm、VUV出力:10mWcm-2)を用いてVUV放射線により行う。
形成されたSiOxフィルムは、200〜500nmの層厚を有する(REM、エリプソメトリ)。
バリヤ値の測定:
OTR(酸素透過速度)、23℃、及び0%相対湿度もしくは85%相対湿度。
【0052】
WVTR(水蒸気透過速度)、23℃もしくは40℃、及び90%相対湿度。
【0053】
約200nmのSiOx層の場合は、OTRは0.5〜0.8cm3-2-1bar-1である。
【0054】
約300nmのSiOx層の場合は、値は、OTR=0.1〜0.4cm3-2-1bar-1及びWVTR=0.5〜1.0g m-2-1bar-1の間である。
【0055】
二重SiOx層(合計約400nm)の場合は、OTR=0.05〜0.15cm3-2-1bar-1、WVTR=0.2〜0.4g m-2-1bar-1である。
【0056】
三重SiOx層(合計約500nm)の場合は、OTR<0.03cm3-2-1bar-1、WVTR<0.03g m-2-1bar-1である。
【0057】
例1
36μmPETフィルム、キシレン中(NP110)またはジブチルエーテル中(NL120)の3%パーヒドロポリシラザン液を用いて浸漬塗布法で被覆、100℃で5分間乾燥、Xe2*エキシマ放射線 30mWcm-2で酸化転化(1分間、2500ppmO2、10%相対湿度)、層厚 約300nm。
OTR(23℃、0%相対湿度)=0.2及び0.3cm3 -2-1bar-1
未被覆の比較用フィルム:36μmPETフィルムのOTR=45〜50cm3 -2-1bar-1
バリヤ改善因子(Barriere Improvement Factor (BIF))= OTR(未被覆)/OTR(被覆): BIF(NP110)=225〜250、BIF(NL120)=150〜167。
【0058】
例2
36μmPETフィルム、キシレン中(NP110)またはジブチルエーテル中(NL120)の3%パーヒドロポリシラザン液で被覆、アミノ触媒(PHPSを基準に5%のトリエタノールアミン)を添加、浸漬塗布法により被覆、100℃で5分間乾燥、Xe2*エキシマ放射線 30mWcm-2で酸化転化(1分間、2500ppmO2、10%相対湿度)、層厚:約300nm。
OTR(23℃、0%相対湿度)=0.14及び0.24cm3-2-1bar-1
未被覆の比較用フィルム:OTR=45〜50cm3-2-1bar-1
BIF(NP110+触媒)=321〜357、BIF(NL120+触媒)=188〜208。
WVTR(23℃、90%相対湿度)=1.0g m-2-1bar-1
【0059】
例3
36μmPETフィルム、キシレン中(NN110)またはジブチルエーテル中(NN120)の3%パーヒドロポリシラザン液で被覆、アミノ触媒(PHPSを基準にして5%のN,N−ジエチルエタノールアミン)を添加、浸漬塗布法により被覆、100℃で5分間乾燥、Xe2*エキシマ放射線 30mWcm-2で酸化転化(1分間、2500ppmO2、10%相対湿度)、層厚 約300nm。
OTR(23℃、0%相対湿度)=0.4及び0.2cm3-2-1bar-1
未被覆の比較用フィルム:OTR=45〜50cm3-2-1bar-1
BIF(NN110+触媒)=113〜125、BIF(NN120+触媒)=225〜250。
【0060】
例4
36μmPETフィルム、キシレン中の3%パーヒドロポリシラザン液(NP110)で被覆、PHPSを基準にして5%のアミノ触媒(N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン)を添加、浸漬塗布法により被覆、100℃で5分間乾燥、Xe2*エキシマ放射線 30mWcm-2で(1分間、2500ppm O2、10%相対湿度)または65℃で30分間熱により酸化転化、層厚 約300nm。
【0061】
【表1】

【0062】
例5
36μmPETフィルム、キシレン中の3%パーヒドロポリシラザン液(NP110)で被覆、PHPSを基準にして5%のアミノ触媒(N,N−ジエチルエタノールアミン)を添加、浸漬塗布法により被覆、100℃で5分間乾燥、Xe2*エキシマ放射線 30mWcm-2で酸化転化(1分間、2500ppm O2、10%相対湿度)、次いで同じ方法でもう一度被覆、乾燥及び酸化転化: 全部で二層のSiOx層、層厚 400〜500nm。
OTR(23℃、0%相対湿度)=0.05〜0.1cm3-2-1bar-1
WVTR(23℃、90%相対湿度)=0.2g m-2-1bar-1
【0063】
例6
36μmPETフィルム、キシレン中の3%パーヒドロポリシラザン液(NP110)で被覆、PHPSを基準にして5%のアミノ触媒(N,N−ジエチルエタノールアミン)を添加、浸漬塗布法により被覆、100℃で5分間乾燥、Xe2*エキシマ放射線 30mWcm-2で酸化転化(1分間、2500ppm O2、10%相対湿度)、次いで同じ方法で更にもう二度被覆、乾燥及び酸化転化: 全部で三層のSiOx層、層厚 500〜600nm。
OTR(23℃、0%相対湿度)=0.01〜0.03cm3 -2-1bar-1
WVTR(23℃、90%相対湿度)=0.03g m-2-1bar-1
【0064】
例7
36μmPETフィルム、キシレン中の3%パーヒドロポリシラザン液(NP110)で被覆、PHPSを基準にして5%のアミノ触媒(N,N−ジエチルエタノールアミン)を添加、浸漬塗布法により被覆、100℃で5分間乾燥、HgLP放射線、VUV出力 10mWcm-2で酸化転化(10分間、2500ppm O2、10%相対湿度)、層厚 約300nm。
OTR(23℃、0%相対湿度)=0.2cm3 -2-1bar-1
【0065】
例8:
23μmPETフィルム、キシレン中(NP110)またはジブチルエーテル中(NL120)の3%パーヒドロポリシラザン液で被覆、PHPSを基準にして5%のアミノ触媒(N,N−ジエチルエタノールアミン)を添加、ロール・ツゥ・ロール塗布法、Xe2*エキシマ放射線(ダブルランプ、120cm 傾斜) 33mWcm-2で酸化転化(3m/分、2500ppm O2、6%相対湿度)、層厚 約400nm。
OTR(23℃、0%相対湿度)=0.65及び0.35cm3 -2-1bar-1
【0066】
例9
PETフィルム、キシレンまたはジブチルエーテル中のポリシラザン液で被覆、アミノ触媒を添加、ロール・ツゥ・ロール被覆法、Xe2*エキシマ放射線 30mWcm-2(O2、H2O)+熱で酸化転化、層厚 約300nm。
【0067】
例10
PETボトル、キシレンまたはジブチルエーテル中のポリシラザン液で被覆、アミノ触媒を添加、浸漬塗布法で被覆、65℃で5分間乾燥、Xe2*エキシマ放射線 30mWcm-2で酸化転化(5分間、2500ppm O2、10%相対湿度)、層厚: 約400nm。
バリヤ改善因子(BIF): O2に対しては10、CO2に対しては3である。
【0068】
例11
23μmPETフィルム、ジブチルエーテル中の3%パーヒドロポリシラザン液(NL120)で被覆、PHPSに基づき5%のアミノ触媒(N,N−ジエチルエタノールアミン)を添加、ロール・ツゥ・ロール塗布法、Xe2*エキシマ放射線 250mJcm-2及びHg−LP放射線 250mJcm-2(1m/分、2500ppm O2、7%相対湿度)で酸化転化、層厚 約400nm。エキシマラジエータからHg−LPラジエータへの進行方向とは反対にガスを供給する。OTR(23℃、0%相対湿度)=1.3cm3-2-1bar-1
【0069】
例12
23μmPETフィルム、ジブチルエーテル中3%のパーヒドロポリシラザン液(NL120)で被覆、PHPSを基準にして5%のアミノ触媒(N,N−ジエチルエタノールアミン)の添加、ロール・ツゥ・ロール塗布法により被覆、Xe2*エキシマ放射線 250mJcm-2及びHg−LP放射線 250mJcm-2で酸化転化(1m/分、10000ppm O2、7%相対湿度)、層厚 約400nm。エキシマラジエータからHg−LPラジエータへの進行方向とは反対にガスを供給する。OTR(23℃、0%相対湿度)=1.0cm3 -2-1bar-1
【0070】
例13
23μmPETフィルム、ジブチルエーテル中の3%パーヒドロポリシラザン液(NL120)で被覆、PHPSを基準にして5%のアミノ触媒(N,N−ジエチルエタノールアミン)を添加、ロール・ツゥ・ロール塗布法で被覆、Xe2*エキシマ放射線 100mJcm-2及びHg−LP放射線 250mJ cm-2で酸化転化(1m/分、2500ppm O2、250ppm オゾン、7%相対湿度)、層厚 約400nm。エキシマラジエータからHg−LPラジエータへの進行方向とは反対にガスを供給する。OTR(23℃、0%相対湿度)=0.75cm3 -2-1bar-1
【0071】
例14
23μm PETフィルム、ジブチルエーテル中の3%パーヒドロポリシラザン液(NL120)で被覆、PHPSを基準にして5%のアミノ触媒(N,N−ジエチルエタノールアミン)を添加、ロール・ツゥ・ロール塗布法で被覆、Xe2*エキシマ放射線 500mJcm-2及びHg−LP放射線 250mJ cm-2で酸化転化(1m/分、2500ppm O2、100ppm オゾン、7%相対湿度)、層厚 約400nm。エキシマラジエータからHg−LPラジエータへの進行方向とは反対にガスを供給する。OTR(23℃、0%相対湿度)。
【0072】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)次式(I)
-(SiR'R''-NR''')n- (1)
[式中、R'、R''、R'''は、同一かまたは異なり、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、nは整数であり、そしてnは、該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる]
で表されるポリシラザン、及び
b)有機溶剤中の触媒、
を含む溶液で基材を被覆し、次いで溶剤を蒸発させて除去し、それによって0.05〜3.0μmの層厚のポリシラザン層を基材上に残し、そして水蒸気を含む雰囲気中において、酸素、活性酸素、場合によっては及び窒素の存在下において、上記のポリシラザン層を、<230nmの波長成分を含むVUV放射線及び230〜300nmの波長成分を含むUV放射線で照射することによって、基材上にガラス様の透明被膜を形成する方法。
【請求項2】
触媒として、塩基性触媒、特にN,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミンまたはN−複素環式化合物が使用されることを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項3】
溶剤として、ポリシラザンに対して不活性の非プロトン性溶剤が使用されることを特徴とする、請求項1または2の方法。
【請求項4】
溶液が、1〜80重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは10〜40重量%の割合でポリシラザンを含むことを特徴とする、請求項1〜3の少なくとも一つの方法。
【請求項5】
<180nmの波長成分を有するVUV放射線が使用されることを特徴とする、請求項1〜4の少なくとも一つの方法。
【請求項6】
180〜230nmの範囲の波長成分を含むVUV放射線が使用されることを特徴とする、請求項1〜4の少なくとも一つの方法。
【請求項7】
VUV放射線及びUV放射線による照射が、同時に、相前後にまたは交互に行われることを特徴とする、請求項1〜6の少なくとも一つの方法。
【請求項8】
酸素濃度が500〜210,000ppmであることを特徴とする、請求項1〜7の少なくとも一つの方法。
【請求項9】
水蒸気濃度が1000〜4000ppmであることを特徴とする、請求項1〜8の少なくとも一つの方法。
【請求項10】
照射の間に、追加的にオゾンが供給されることを特徴とする、請求項1〜9の少なくとも一つの方法。
【請求項11】
上記式(1)中、R'、R''、R'''が、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、フェニル、ビニルまたは3−(トリエトキシシリル)プロピル、3−(トリメトキシシリルプロピル)からなる群から選択される基を表すことを特徴とする、請求項1〜10の少なくとも一つの方法。
【請求項12】
上記溶液が、次式(2)
【化1】

で表される少なくとも一種のパーヒドロポリシラザンを含むことを特徴とする、請求項1〜11の少なくとも一つの方法。
【請求項13】
上記溶液が、次式(3)
-(SiR'R''-NR''')n-(SiR*R**-NR***)p - (3)
[式中、R'、R''、R'''、R*、R**及びR***は、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されているアルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、n及びpは整数であり、そしてnは、該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる]
で表される少なくとも一種のポリシラザンを含むことを特徴とする、請求項1〜12の少なくとも一つの方法。
【請求項14】
上記式(3)において、
− R'、R'''、及びR***が水素を表しかつR''、R*及びR**がメチルを表すか、
− R'、R'''、及びR***が水素を表しかつR''、R*がメチルを表しかつR**がビニルを表すか、または
− R'、R'''、R*及びR***が水素を表し、かつR''及びR**がメチルを表す、
ことを特徴とする、請求項1〜13の少なくとも一つの方法。
【請求項15】
上記溶液が、次式(4)
-(SiR'R''-NR''')n-(SiR*R**-NR***)p -(SiR1, R2-NR3)q- (4)
[式中、R'、R''、R'''、R*、R**、R***、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、n、p及びqは整数であり、そしてnは、該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる]
で表される少なくとも一種のポリシラザンを含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つの方法。
【請求項16】
酸化転化プロセスの間に、基材を、赤外線ラジエータによる照射の際に基材の熱安定性に応じて50〜200℃の温度に加熱することを特徴とする、請求項1〜15の少なくとも一つの方法。
【請求項17】
酸化転化プロセスの間に、ガス温度を、照射室内での照射の際に基材の熱安定性に応じて50〜200℃の温度に加熱することを特徴とする、請求項1〜16の少なくとも一つの方法。
【請求項18】
基材が10〜100μmの範囲の厚さを有するプラスチックフィルムであることを特徴とする、請求項1〜17の少なくとも一つの方法。
【請求項19】
基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリプロピレンフィルムまたはポリエチレンフィルムであることを特徴とする、請求項1〜18の少なくとも一つの方法。
【請求項20】
被覆、乾燥及び酸化転化が、プラスチックフィルム上でポリシラザン層を照射することによって、ロール・ツゥ・ロール方式で一つの作業工程で行われることを特徴とする、請求項1〜19の少なくとも一つの方法。
【請求項21】
水蒸気、酸素及び二酸化炭素に対する高いバリヤ作用を有し、そして容器またはフィルムの被覆に使用されることを特徴とする、請求項1〜20の少なくとも一つに記載の方法に従い製造される被膜。

【公表番号】特表2009−503157(P2009−503157A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523167(P2008−523167)
【出願日】平成18年7月8日(2006.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006696
【国際公開番号】WO2007/012392
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(398025878)クラリアント・インターナシヨナル・リミテッド (74)
【Fターム(参考)】