説明

ガスカプセルのテストのための装置、及び方法

カプセル内の圧力が予め決定された値にあるか、或いはその値以上であるかを決定する方法を提供する。テストされるべきカプセルは、カプセルの口からのガス漏れを防止する一時的なシールとして作用する可動シール部材を有するタイプのものである。カプセルは、プレナムに連結され、プレナムの圧力は、引き続いて高められる。カプセルがこの高圧にさらされるとき、プレナム内の圧力は監視される。監視された圧力から、高圧力下でシール部材がカプセルと密封接触しているかを決定することができる。これは、カプセル内の圧力が予め決定された値以上であるかを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスカプセルのテストに関する。本発明は、比較的高圧でガスが充填されたガスカプセルをテストすることに用途を見出す。このようなカプセルは、典型的には、予め決定された少量の物質をユースエンドポイントに送出するためのキャリアガスを小出しするために使用される。医療分野においては、物質は、薬であってもよく、ユースエンドポイントは、患者の皮膚であってもよい。しかし、その他の分野、例えば産業分野におけるテスト手順もこのようなガスカプセルを使用する。
【背景技術】
【0002】
この種のガスカプセルは、ガスカプセルに充填する方法と共に、WO2004/063622に説明されている。この種のカプセルの製造では、カプセルは典型的には、一連の工程を経験するが、これら工程のうちの二つは、(i)例えば、医療分野に向けられたボンベ内のヘリウムのような高圧ガスを、カプセルの口からカプセルに充填し、(ii)引き続いて、高圧ガスの流出を防止するために、ガスカプセルの口を閉じる恒久的なシールを形成することがある。これら二つの工程は、典型的には、生産ラインの別々の場所で実施される。カプセルの加圧内容物が、カプセルを充填ステーションから、恒久的なシールを形成するための溶接ステーションへの搬送中に流出するのを防止するために、一時的な、可動のシール部材が使用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カプセルは、通常、少なくとも本体部分、及び流体密の方法で組み立てられたステム付キャップ部分から形成される。これら部分の組み立てが不完全であることがきっかけで、構成要素間に流体密シールが達成されない状況が生じるかもしれない。カプセルに加圧ガスを充填するときには、カプセル内の圧力が、カプセルが配置される大気の周囲圧力と等しくなるので、カプセルからのガス漏れが起こる。その結果、カプセル内の圧力は、典型的に、約1気圧(1bar)まで低下する。或いは、ガスカプセルが不正確に充填され、或いは実際に全く充填されないような充填ステーションが誤作動を起こす可能性がある。何れの状況でもカプセルは、典型的には、溶接ステーションに依然として、その場所でカプセルの口がシールされて閉められる。その結果、欠陥のあるカプセルが生産される可能性がある。欠陥のあるカプセルが、エンドユーザによって送出デバイス内に組み込まれると、例えば一回分の薬のようなペイロードの企てられた送出は失敗し、ペイロードは無駄になるかもしれない。従って、カプセルの恒久的な閉鎖に先立って、ガスカプセルがうまく充填され、その内容物を保持しているかをチェックすることができることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1側面によれば、カプセル内の圧力が少なくとも予め決定された値にあるかを決定する方法であって、前記カプセルは、前記カプセルの口からのガス漏れを防止するように作用する可動シール部材を有し、
前記カプセルをプレナムに連結するステップ、
前記プレナム内の圧力を予め決定された値に向かって高めて前記シール部材に力をかけるステップ、
前記プレナム内の圧力を監視するステップ、及び
前記監視された圧力から、前記カプセル内の圧力が少なくとも前記予め決定された値にあるかを決定するステップを含む前記方法を提供する。
【0005】
この方法でカプセルをテストすることによって、プレナム内の圧力によって、可動シール部材に力をかける。プレナム内の圧力を監視することによって、可動シール部材が、ガスカプセルの加圧内容物によって適所に保持されているかを決定することができる。これは、カプセルが適切に充填されて内容物を保持しているかを示すことができる。ガスカプセルの生産の品質のこの追加の信頼は、ガスカプセルを最終的に組み込む送出デバイスのうまい操作の信頼を高めることができる。
【0006】
プレナムは、チャンバ、導管、又は圧力が高められるその他の包囲により提供されるのがよい。大気圧以上に高められた圧力を有するガスがプレナム内に保持されることができるように、プレナムの流入口とカプセルの間にシールが形成されているのがよい。このシールは、プレナムの流入口とカプセルのステムの間に形成されてもよく、或いはプレナムの流入口とカプセルの本体の間に形成されてもよい。プレナム内の圧力の上昇は、加圧ガスをプレナムに導入することによって、及び/又はプレナムの容積を減少させてプレナムに収容されたガスを圧縮することによって達成される。プレナムの容積は、予め決定された量だけ減少させられ、プレナム体積のこの減少は、プレナム内に配置されたピストンを移動させることで達成されるのがよい。
【0007】
プレナム内の監視された圧力は、カプセル内の圧力が予め決定された値にあるか或いはそれ以上であるかを確立するために、予め決定された圧力と比較されるのがよい。カプセル内の圧力が予め決定された値未満であるならば、カプセルは排除される。加えて、又は変形例として、プレナム内の監視された圧力が予め決定された値以上に上昇したことが確立されたならば、カプセルは、監視された圧力値の上昇が、高圧ガスがカプセルからプレナムに漏れていることを示唆しているので、排除される。
【0008】
本発明の第2の側面によれば、カプセル内の圧力が少なくとも予め決定された値にあるかを決定する方法であって、前記カプセルは、前記カプセルの口からのガス漏れを防止するように作用する可動シール部材を有し、前記シール部材は、カプセルのガス状内容物によって第1圧力が付与される内面、及び前記カプセルの口を通じて周囲の大気によって第2圧力が付与される外面を有し、
前記第2圧力を前記予め決定された値に向かって高めるステップ、
前記第2圧力を監視するステップ、
前記監視された圧力から、前記第1圧力が前記高められた第2圧力を超えているかを決定するステップを含む前記方法を提供する。
【0009】
前述のカプセル内の圧力が予め決定された値又はそれ以上であるかを決定する方法の一つを用いることによって、ガスカプセルが予め決定された量のガスを収容しているかをテストする方法も提供する。
【0010】
本発明の第3の側面によれば、ガスカプセルが予め決定された量のガスを収容しているかをテストするための装置であって、前記カプセルは、前記カプセルの口からのガス漏れを防止するように作用する可動シール部材を有し、
プレナムであって、前記カプセルの口が前記プレナムと流体連通しているようにテストされるべきカプセルと連結可能な流入口を有するプレナム、
前記プレナム内の圧力を高めるための手段、
前記プレナム内の圧力を監視するための手段、及び
前記監視された圧力から、前記ガスカプセルが前記予め決定された量のガスを収容するかを決定するための手段を備える、前記装置を提供する。
【0011】
プレナムの流入口は、本体か受け入れたカプセルのステムの何れかを受け入れるように形成されるのがよい。監視手段は、プレナム内の圧力を監視し、且つプレナム内の圧力を示す信号を出力するためのセンサを含むのがよい。装置は、センサからの信号を受信するコントローラを含むのがよい。コントローラは、プレナム内の圧力の上昇を制御し、ガスカプセルが予め決定された量のガスを収容するかを決定するのがよい。或いは、個々のコントローラがこれらの機能を行ってもよい。
【0012】
圧力を高めるための手段は、加圧ガス源、及び/又は収容されたガスを圧縮するようにプレナムの有効容積を減少させるための手段からなるのがよい。装置は、有効容積が、予め決定された圧力増加に相当する予め決定された量だけ減ぜられるように形作られるのがよい。プレナムの有効容積を減少させるための手段は、プレナム内に位置するピストンを含むのがよい。変形例として、圧力を高めるための手段は、プレナムに連結されたチャンバの有効容積を減少させるための手段を含んでもよい。チャンバは、チャンバの有効容積を減少させるために、チャンバ内で変位するために配置された可動ピストンを含んでもよい。
【0013】
プレナムは、複数のプレナムのうちの一つであってもよく、各プレナムは、カプセルの口がプレナムと流体連通しているように、それぞれのカプセルに連結可能な流入口を有し、且つプレナムと関連していて、プレナム内の圧力を監視するための手段を有する。
【0014】
第4の側面では、本発明は、ガスカプセルにガスを充填し、且つシールするための装置であって、カプセルはその口からのガス漏れを防止するように作用する可動シール部材を有するタイプのものであり、
ガスカプセルにガスを充填するための手段、
充填されたガスカプセルが予め決定された量のガスを有するかを決定するための前述の装置、
予め決定された量のガスを収容しない、テストされたガスカプセルを排除するための手段、及び
少なくとも予め決定された量のガスを含む、テストされたガスカプセルを恒久的にシールするための手段とを備える前記装置を提供する。
【0015】
第1及び第2側面と関連して上述した特徴は、等しく第3及び第4の側面の何れにも適用され、逆も同様である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発明は、一例として、添付図面を参照して下記でより詳細に説明される。
【0017】
図1は、ガスカプセル15が予め決定された量のガスを収容していることをテストするための装置10の第1実施形態を示し、カプセル15は、カプセル15の口65からガス漏れを防止するように作用する可動シール部材60を有するタイプのものである。装置10は、プレナム20を含み、該プレナム20の壁30に形成された流入口25を有する。プレナム20は、プレナム20の容積を変えるように、プレナムの壁30と共同して作用する可動ピストン35をさらに含む。このような容積の変化は、予め決定されたシーケンスに従い、或いはその代わりとして、監視されたパラメータに依存して容積の変化を引き起こすコントローラ40によって制御される。例えば、プレナム20内の圧力を、プレナム20内の圧力を示す信号をコントローラ40に出力するための、プレナム20内に配置されたセンサ45を介してコントローラ40によって監視することができ、プレナム20内の圧力に応答してコントローラ40は、プレナム20内のピストン35の移動を制御する。
【0018】
カプセル15は、本体から加圧ガスを吐出させるために、互いに分離されるように構成された本体50と、ステム55を有する在来の形態のものである。図2は、このタイプのカプセル15を製造するための装置100を略図形態で示す。カプセル15は、初めに組立ステーション110で、複数の構成要素から、組立てられて、カプセル15の本体50及びステム55を形成する。WO2004/063622に記載されその内容をここに援用する一つの特定の製造技術では、可動シール部材60の寸法は、カプセル15の口65の寸法よりも大きい。従ってシール部材60、典型的には弾性球体は、ステム55がカプセルの本体50に連結される前に、カプセル15の本体内に配置される。
【0019】
次いでカプセル15は、加圧ガスを充填すべき充填ステーション120に運搬される。カプセル15には、加圧ガスが充填され、引き続いてシール部材60が重力でカプセル15のステム55の中に落ち込むように、カプセル15は逆さにされる。ステム55は、図3に詳細に示されているようにテーパー状にされても、或いはシール部材60がステム55の口65を通過して失われることを防止す肩を含んでいてもよい。その結果、シール部材60は、このテーパー又は肩に着座され、カプセル15と密封接触を行って加圧ガスがカプセル15から漏れ出すのを防止する。
【0020】
変形構成では(図示せず)、シール部材60は、シール部材60が本体50とステム55との界面でカプセル15の本体50に着座するようになり、カプセル15からのガス漏れを防止するシールを形成するように、ステム55の直径よりも大きい直径を有してもよい。
【0021】
充填ステーション120でのカプセル15の充填中、ステム55の口65に、高圧ガス源が適用される。充填ステップが完了した後、シール部材60が、上で論じたように適切に着座されるまで、高圧ガス源との接触は維持される。シール部材60が適所に配置されたとき、高圧ガス源は取り外される。
【0022】
従って、図3に示すように、シール部材60の対向する面は、異なる荷重を経験する。内面70は、カプセル15に貯蔵された加圧ガスにより分布荷重72を経験し、これに対して、外面75は、カプセル15が配置された周辺大気により分布荷重77を経験する。カプセルが正確に充填されていたならば、外面75に作用する荷重77は、内面70に作用する荷重72よりも低い。この荷重の差により、シール部材60がその座部内に追い込まれて、それらの間に形成された密封を更に高める。
【0023】
シール部材60は、カプセルからガスが即座に失われるのを防止するが、一般的には、恒久的なシールを形成するように信頼されない一時的なシールを形成する。図2に戻ると、従ってカプセル15は、シールステーション140に運搬され、この位置でカプセル15の口65が溶接されて閉じられて恒久的なシールが形成される。シール工程は、溶接段階に先立って、又は溶接段階と組み合わせてステム55に沿って一以上のクリンピング工程を含んでもよい。
【0024】
何らかの理由で、充填手順が失敗し、カプセル15に高圧ガスが充填されず、或いは本体50とステム55との間の連結が不完全でこれらの間に漏れ路を形成するならば、空の又は低圧カプセル15が生じる。このような欠陥のあるカプセルが、その後、送出デバイスで使用されるならば、送出工程は失敗し、潜在的に、送出されるべき一回分の物質が失われる結果となる。従って、充填ステップと恒久的なシールを形成するステップとの間にテストステップを導入して、カプセル15が、少なくとも予め決定された量のガスを収容していることを決定することが望ましい。従って装置10を含むテストステーション130は、充填ステーション120とシールステーション140との間に設けられる。カプセル15がテストステーション130でのテスト手順に落ちたならば、カプセルは、その後のシールステーション140に運搬されず、それどころか、図2の150で示すように不合格にされ、一般的には廃棄される。
【0025】
図1の装置は、以下の方法で使用される。テストされるべきガスカプセル15を、カプセル15とプレナム20の間に流体密シールが形成されるように、プレナム20の流入口25に差し込む。換言すれば、カプセルとプレナムの流入口25の間に連結を形成する。図示した例では、ステム55とプレナム20の壁30との間にシール又は連結を形成する。しかしながら、ステム55の口65がプレナム20の中へ突出する限り、流入口25とカプセル15の本体50の間にシールが形成される。カプセルとプレナムとの間にこのような連結を形成することによって、カプセルを、間継なくプレナムに差し込み、再び引き抜くことができ、かくしてテスト手順の速度を高める。
【0026】
引き続いてプレナム20内の圧力を上昇させて、可動シール部材60の外面75に作用する荷重が増大させる。この例では、プレナム20内の圧力を、プレナム20の容積を減少させてプレナム内に収容されたガスを加圧することによって上昇させる。容積のこの減少は、ピストン35をプレナム20の長さに沿って変位させることによって成し遂げられる。ピストンを、モータ(図示せず)の回転を引き起こす、コントローラ40によって出される指示に応答して作動するのがよく、モータは、プレナム20内のピストン35の変位を成し遂げえる歯車機構(やはり図示せず)を駆動する。
【0027】
ガスカプセルを使用することになっている特定の用途に応じて、約10気圧(10bar)乃至約200気圧(200bar)の間の圧力のガスをガスカプセル15に充填するのがよい。好ましくは、ガスカプセルに、約10気圧(10bar)乃至約100気圧(100bar)の間の圧力のガスを充填し、より好ましくは、ガスカプセルに、約10気圧(10bar)乃至約60気圧(60bar)の間の圧力のガスを充填する。予め決定された圧力の例は、約2気圧(2bar)乃至約10気圧(10bar)であるが、正しい充填圧力が達成され、且つ維持されたことを保証するために、カプセル15の期待容量に等しい予め決定された圧力を使用してもよい。
【0028】
プレナム20内の圧力を高めると、シール部材60の外面75に付与される荷重77を増大させる。カプセル15が期待量のガスを収容する場合には、増大した荷重77は、カプセル15内に収容された高圧ガスによって内面70に付与された荷重72によって、十分に平衡される。しかしながら、何らかの方法で充填手順が失敗し、又は漏れやすいカプセルを生しさせたならば、カプセル15は、期待した高圧ガスを収容せず、内面70に付与される荷重77を減少させる。シール部材60がステム55内に配置される場合には、シール部材60は、ステム55とシール部材60との界面に作用する摩擦力によってステム55内に保持される。プレナム内のガスの高圧の結果、外面75に付与さあれた高い荷重77は、摩擦力と内面70に作用する荷重72により打ち勝つ。この状況では、シール部材60は、ステム55から移動され、カプセル15の本体50内に落下する。好ましくは、圧力の高まりは、シール部材60に瞬間力を与えるように、急速に、例えば数ミリ秒しかかからないでなし遂げられる。このような瞬間力は、単に摩擦によって保持されたシール部材60がステム55内から更に移動させる。
【0029】
一旦、シールが破れると、プレナム20の容積は、カプセル15の容積だけ大きさが効果的に増し、圧力等化が、新たな増した容積全体に亘って起こり、プレナム20内の圧力が低下する。
【0030】
この進行中、プレナム20内の圧力は、コントローラ40と組み合わせてセンサ45によって監視される。プレナム20の初期の周囲圧力がPambであるならば、プレナム20の容積の減少により、高圧力Ptestまでの予測可能で且つ予め決定された、圧力の高まりを生じさせる。図4のグラフは、異なる潜在的なカプセル充填シナリオのための、プレナム20内の圧力の変化を示す。
【0031】
第1圧力軌跡(i)は、正しく充填され、且つ内容物を保持したカプセル15を表す。カプセル内の圧力,Pcapsuleは、テスト圧力Ptestよりも大きいので、シール部材60は、適所にとどまる。プレナム内の期待した高圧Ptestが、達成されるだけでなく、テストの間維持される。
【0032】
第2圧力軌跡(ii)は、正しく充填されず、又は内容物を漏らしたカプセル15を表す。Pcapsuleは、Pambと略同じ、すなわちテスト圧力Ptestよりも低く、従って、プレナム20内の圧力は、プレナム20とカプセル15との間のシールを破るPtestに向かって高められるので、シール部材60を移動させる。このシールの破れ時、カプセル15の追加の容積だけプレナム20の容積を効果的に増加させ、プレナム20内の圧力をPeqまで減少させる。
【0033】
カプセル15が正しく充填されず、或いは内容物が完全に失われたときのある例では、シール部材60は、ステム55内にさえ位置しておらず、従って、Pcapsuleは、初めからPamb等しい。このシナリオは、圧力軌跡(iii)によって表される。それによってプレナム20の初期の効果的な容積は、カプセル15の容積を含み、そこで、従ってピストンの変位によるプレナム20内の容積の減少により、Peqまで圧力の僅かな連続的増加が生じるが、Ptestは達成されない。
【0034】
センサ45を用いてプレナム20内の圧力を監視することにより、カプセル15の充填ステータスを決定することができるように、異なる圧力軌跡を検出することが可能である。
【0035】
上で説明したように、欠陥のあるカプセル15が検出されるならば、恒久的なシールステップに着手する前にそのカプセル15を排除することができ、それによって、製造工程を出るカプセル15の品質を、その結果、完成製品の信頼性を向上させる。
【0036】
図5は、変形例のピストン35及びプレナム20の形態を示す。ピストン35は、プレナム20から遠隔に配置されたチャンバ80内に配置され、チャンバ80は、一方弁90を介して導管85によってプレナムに連結される。プレナム内のいかなる圧力変動も、センサ45によってより容易に検出することができるように、プレナム20の容積が、最小に保たれることが望ましい。図1に示す装置のプレナム20が、圧力変動の感度が達成されるように小容量のものであったならば、ピストン35の変位によって、プレナム20内の圧力を著しく増加させることは困難である。大きい圧力変化を成し遂げることができるように、ピストン35を別のチャンバー80に位置させることによって、より大きい容積を使用することができる。一方弁90により、高圧ガスを導管85を通じてプレナムに通させ、一方、制限された容積のプレナム20を維持することができるように、導管85へのガスの逆流を阻止する。
【0037】
遠隔のチャンバ80を使用することの追加の利点は、多数の導管85を、各々個々のカプセル15をテストするように構成された対応する数のプレナム20に設けることである。一つのテスト手順で10個のガスカプセル15の束をテストするために、10個のプレナム20の列を設けてもよい。
【0038】
圧力の増加をもたらす他の手段を用いてもよい。一つの変形例が図6に示され、この例では、高圧ガス源95が導管85及びバルブ100を介して、プレナム20と選択可能な流体連通して設けられる。プレナム20内の圧力を高めるとき、コントローラ40により、バルブ100を開放させて高圧ガスがプレナム20に流入することができ、それによってプレナム20内の圧力を増大させる。図5に示す形態におけるように、プレナムの各々がそれぞれのカプセル15を同時にテストすることを可能とするために、任意の数の導管85に対応する数のプレナム20を設けることができる。
【0039】
カプセルのための失敗の変形モードは、欠陥のあるシール部材60から生ずるかもしれない。シール部材60にひびが入り、或いはシール部材がステム55に関して正しく着座しそこねるかもしれない。これらの状況では、一時的なシールは不完全となり、漏れ路が形成される。この漏れ路が重大であれば、カプセル内の圧力は、予め決定された値以下に減少し、カプセル15は、上記テスト技法により排除される。他方では、漏れ路が最小であれば、カプセル内の圧力は実質的に減少して欠陥のあるカプセルを作り出すが、圧力は、予め決定された値以上のままであるかもしれず、それ故にカプセル15は上記のテストに合格し、恒久的にシールされるべきシールステーション140に進められる。この失敗のモードを検出するためには、カプセル15内の実際の圧力が要求された値であることを確認するために、圧力の予め決定された高い値を使用するのがよい。しかしながら、この手段と関連した欠点がある。初めに、プレナム20内の圧力をこの著しく高い値まで高めるためには、相当に大きい容積をピストンによって圧縮し、或いは相当に大量のガスをプレナム内に導入させる必要があり、コストの増加をもたらし、潜在的に装置の大きな設置面積をもたらすことになる。次に、圧力を著しく高い値まで高めるために追加の時間が要求され、かくして、カプセル毎にテスト時間を増大させる。これらの理由により、予め決定された値を増大させることは、特に望ましい採るべき道ではない。
【0040】
ガスカプセル15が予め決定された量のガスを収容していることをテストするための装置のさらなる実施形態では、プレナム20内の監視された圧力を、欠陥のあるシー部材60を通り、或いはそのシール部材の周りの小さい漏れを伴う失敗モードを検出するために使用することができる。図4に戻ると、第4圧力軌跡(iv)は、シール部材60を通り、又はシール部材の周りの漏れ路を有するカプセルを表す。換言すれば、漏れているガスは、カプセル15の口65を通過している。この例では、Pcapsuleは、Ptestよりも大きく、従って、シール部材60は移動されない。しかしながら、追加のガスが、カプセル15からカプセル15の口65を通じてプレナム20に流入し、プレナム20内の圧力をPtest以上に上昇させる。このさらなる高圧力を、センサ45によって検出することができ、欠陥のあるカプセル15を、恒久的にシールされるべきシールステーション140に運搬される前に排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ガスカプセルをテストするための装置の一実施形態を示す。
【図2】ガスカプセルを製造するプロセスの略図を示す。
【図3】テストされるカプセルの詳細な姿を示す。
【図4】ガスカプセルのテスト中に生じるかもしれない圧力軌跡の番号を表す。
【図5】ガスカプセルをテストするための装置の第2実施形態を示す。
【図6】ガスカプセルをテストするための装置の第3実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル内の圧力が少なくとも予め決定された値にあるかを決定する方法であって、
前記カプセルは、前記カプセルの口からのガス漏れを防止するように作用する可動シール部材を有し、
前記カプセルをプレナムに連結するステップ、
前記プレナム内の圧力を予め決定された値に向かって高めて前記シール部材に力をかけるステップ、
前記プレナム内の圧力を監視するステップ、及び
前記監視された圧力から、前記カプセル内の圧力が少なくとも前記予め決定された値にあるかを決定するステップを含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記連結するステップは、
前記プレナムの流入口と前記カプセルとの間にシールを形成する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記シールは、前記プレナムの流入口と前記カプセルのステムの間に形成される、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記シールは、前記プレナムの流入口と前記カプセルの本体の間に形成される、
請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記高めるステップは、
高圧ガス源から前記プレナム内にガスを導入することを含む、
請求項1乃至請求項4の何れかの項記載の方法。
【請求項6】
前記高めるステップは、
予め決定された量だけ前記プレナムの容積を減少させて、プレナムに収容された前記ガスを圧縮することを含む、
請求項1乃至請求項5の何れかの項記載の方法。
【請求項7】
前記容積は、前記プレナム内に配置されたピストンを移動させることで減少する、
請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記監視された圧力は、前記決定するステップで、前記予め決定された値と比較される、
請求項1乃至請求項7の何れかの項記載の方法。
【請求項9】
前記カプセルは、前記カプセル内の前記圧力が前記予め決定された値よりも低いと決定されれば、排除される、
請求項1乃至請求項8の何れかの項記載の方法。
【請求項10】
前記カプセルは、前記プレナム内の前記圧力が予め決定された値以上であれば、排除される、
請求項8記載の方法。
【請求項11】
カプセル内の圧力が少なくとも予め決定された値にあるかを決定する方法であって、
前記カプセルは、前記カプセルの口からのガス漏れを防止するように作用する可動シール部材を有し、前記シール部材は、カプセルのガス状内容物によって第1圧力が付与される内面、及び前記カプセルの口を通じて周囲の大気によって第2圧力がかけられる外面を有し、
前記第2圧力を前記予め決定された値に向かって高めるステップ、
前記第2圧力を監視するステップ、
前記監視された圧力から、前記第1圧力が前記高められた第2圧力を超えているかを決定するステップを含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項12】
ガスカプセルが予め決定された量のガスを収容するかをテストする方法において、
前記カプセル内の圧力が少なくとも予め決定された値にあるかを決定するために、請求項1乃至請求項11の何れかの項記載の方法を含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項13】
ガスカプセルが予め決定された量のガスを収容しているかをテストするための装置であって、
前記カプセルは、前記カプセルの口からのガス漏れを防止するように作用する可動シール部材を有し、
プレナムであって、前記カプセルの口が前記プレナムと流体連通しているようにテストされるべきカプセルと連結可能な流入口を有するプレナム、
前記プレナム内の圧力を高めるための手段、
前記プレナム内の圧力を監視するための手段、及び
前記監視された圧力から、前記ガスカプセルが前記予め決定された量のガスを収容するかを決定するための手段を備えること、
を特徴とする装置。
【請求項14】
前記プレナムの流入口は、前記受け入れたカプセルの本体を受け入れるように形成された、
請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記プレナムの流入口は、前記受け入れたカプセルのステムを受け入れられるように形成された、
請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記監視するための手段は、センサを含む、
請求項13乃至請求項15の何れかの項記載の装置。
【請求項17】
前記高めるための手段は、加圧ガス源を含む、
請求項13乃至請求項16の何れかの項記載の装置。
【請求項18】
前記高めるための手段は、前記プレナム内に収容された前記ガスが予め決定された量だけ圧縮されるように、予め決定された量だけ前記プレナムの有効容積を減少させるための手段を含む、
請求項13乃至請求項17の何れかの項記載の装置。
【請求項19】
前記プレナムの前記有効容積を減少させる手段は、ピストンを含む、
請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記プレナムは、複数のプレナムのうちの一つであり、
各プレナムは、カプセルの口が前記プレナムと流体連通しているように、それぞれのカプセルに連結可能な流入口、及び
プレナム内部に関連して、前記プレナム内の前記圧力を監視するための手段を有する、
請求項13乃至請求項19の何れかの項記載の装置。
【請求項21】
ガスカプセルにガスを充填し、且つガスカプセルをシールするための装置であって、
ガスカプセルは、その口からのガス漏れを防止するように作用する可動シール部材を有するタイプのものであり、
ガスカプセルにガスを充填するための手段、
前記充填されたガスカプセルが予め決定された量のガスを有するかを決定するための請求項13乃至請求項20の何れかの項記載の装置、
前記予め決定された量のガスを収容しない、テストされたガスカプセルを排除するための手段、及び
少なくとも前記予め決定された量のガスを収容した、テストされたガスカプセルを恒久的にシールするための手段とを備えること、
を特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−506273(P2009−506273A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527501(P2008−527501)
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003058
【国際公開番号】WO2007/023259
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(591004445)ザ ビーオーシー グループ ピーエルシー (59)
【Fターム(参考)】