説明

ガスケット、スロットル装置

【課題】ガスケットの回転を防止すると共に、ガスケットが接合面へ与える圧力を確保する技術を提供する。
【解決手段】第一部材に形成された溝に取り付けられ、弾性を有して第一部材と第二部材との間をシールするガスケットであって、第二部材に当接する第一当接部と、溝の一方の側壁面に当接する第二当接部と、溝の他方の側壁面に当接する第三当接部と、溝の幅方向へ二つに分かれて溝の深さ方向へ突出する突出部が形成され、二つの突出部の夫々の先端が溝の底面に当接する第四当接部とを備え、ガスケットの深さ方向の長さであるガスケットの高さが溝の深さより大きくなるように形成され、二つの突出部の突出長さがガスケットの高さと溝の深さとの差以上になるように形成されたガスケットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの接合面の間をシールするガスケット及びスロットル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スロットル装置に設けられた溝内にガスケットを取り付けてインテークマニホールドに接合することにより、溝内で圧縮されたガスケットがスロットル装置の接合面とインテークマニホールドの接合面との間をシールする技術が知られている。
【0003】
このガスケットにおいて、スロットル装置をインテークマニホールドに挿入して接合する場合に、挿入により横方向から圧縮力がかかりガスケットが溝内で回転する問題がある。これを防止して、シール性の安定化を図る技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4243700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように溝の壁面に対するガスケットの接触面の割合を大きくすることにより回転を防止している技術においては、溝の容積に対するガスケットの体積の比率であるガスケット充填率が高くなることとなる。これにより、ガスケットを圧縮した際に接合面に大きな圧力が作用し、接合面が変形するおそれがある。また、接合面が変形するのを防ぐために、単にガスケットの体積充填率を下げると、ガスケットと接合面との適切な面圧が得られず、気密性を確保できない。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、横方向から押圧力がかかるガスケットの回転を防止すると共に、ガスケットが接合面へ与える圧力を確保する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の実施形態のガスケットは、第一部材に形成された溝に取り付けられ、弾性を有して前記第一部材と第二部材との間をシールするガスケットであって、前記第二部材に当接する前記第一当接部と、前記溝の一方の側壁面に当接する第二当接部と、前記溝の他方の側壁面に当接する第三当接部と、前記溝の幅方向へ二つに分かれて前記溝の深さ方向へ突出する突出部が形成され、前記二つの突出部の夫々の先端が前記溝の底面に当接する第四当接部とを備え、前記ガスケットの前記深さ方向の長さである前記ガスケットの高さが前記溝の深さより大きくなるように形成され、前記二つの突出部の突出長さが前記ガスケットの高さと前記溝の深さとの差以上になるように形成されたガスケットである。
【0008】
また、本発明の別の実施形態のスロットル装置は、インテークマニホールドに装着されるスロットル装置であって、前記インテークマニホールドの接合面に対向する平面を有し、前記平面内に前記インテークマニホールドと連通する開口が形成され、前記開口の周縁に環状の溝が形成された接合部と、前記溝に取り付けられ、弾性を有するガスケットであって、前記インテークマニホールドの接合面に当接する第一当接部と、前記溝の内周側壁面に当接する第二当接部と、前記溝の外周側壁面に当接する第三当接部と、前記溝の幅方向へ二つに分かれて前記溝の深さ方向へ突出する突出部が形成され、前記二つの突出部の夫々の先端が前記溝の底面に当接する第四当接部とを有し、前記ガスケットの前記深さ方向の長さである前記ガスケットの高さが前記溝の深さより大きくなるように形成され、前記二つの突出部の突出長さが前記ガスケットの高さと前記溝の深さとの差以上になるように形成され、前記インテークマニホールドに装着された前記スロットル装置の前記開口の周縁をシールして前記インテークマニホールド及び前記開口を連通させるガスケットとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガスケットの回転を防止すると共に、接合面へ与える圧力を適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】吸気モジュールの構造を示す分解斜視図である。
【図2】ボア、ガスケット、及び収容部の構造を示す分解断面図である。
【図3】ガスケットが環状溝へ嵌入される前の第一状態におけるガスケット及び環状溝を示す断面図である。
【図4】ガスケットが環状溝へ嵌入された第二状態におけるガスケット及び環状溝を示す断面図である。
【図5】ボアが収容部に挿入されて第一当接部の先端が接合内壁面に当接した第三状態におけるボア、ガスケット、及び収容部を示す断面図である。
【図6】第三状態におけるガスケット及び環状溝を示す断面図である。
【図7】収容部からの押圧力により突出部が圧縮された第四状態におけるガスケット及び環状溝を示す断面図である。
【図8】収容部からの押圧力により第一当接部が圧縮された第五状態におけるボア、ガスケット、及び収容部を示す断面図である。
【図9】第五状態におけるガスケット及び環状溝を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
本実施形態では、内燃機関のための吸気モジュールについて説明する。
【0013】
まず、吸気モジュールの構造について説明する。
【0014】
図1は、吸気モジュールの構造を示す分解斜視図である。吸気モジュールは、空気の流路を形成するインテークマニホールド1と、インテークマニホールド1に取り付けられて流路の一部を形成するスロットルボデー2と、スロットルボデー2を貫通してインテークマニホールド1に締結されるボルト3x,3yとを有する。インテークマニホールド1は、流入する空気を、図示しない内燃機関の複数のシリンダへ分配する。スロットルボデー2は、空気の流量を調節する。ボルト3x,3yは、スロットルボデー2をインテークマニホールド1へ押圧しながらインテークマニホールド1に固定される。なお、特許請求の範囲に記載のスロットル装置は、例えばスロットルボデー2に対応する。
【0015】
インテークマニホールド1は、上流端が図示しないエアクリーナの下流端に連通しており下流端がスロットルボデー2の上流端に連通している吸気管12と、吸気管12の下流側に設けられておりスロットルボデー2の一部を収容している収容部13と、収容部13の下流側に設けられており上流端がスロットルボデー2の下流端に連通しているサージタンク16と、夫々の上流端がサージタンク16の下流端に連通しており夫々の下流端が図示しない複数のシリンダの夫々に連通している複数の分配管17と、複数の分配管17の夫々の壁面に設けられており複数の分配管17の夫々の内部に燃料を噴射する複数のインジェクタ18と、収容部13の外壁に設けられておりボルト3x,3yを夫々固定するための固定部19x,19yとを有する。
【0016】
スロットルボデー2は、上流端が吸気管12の下流端に連通しており下流端がサージタンク16の上流端に連通している円筒状のボア23と、ボア23内でボア23の中心軸(空気の流方向)に垂直に設けられているシャフト24と、ボア23内でシャフト24に固定されている弁体であるスロットルバルブ25と、シャフト24の基端に接続されておりシャフト24を駆動する駆動部26と、ボア23の上流端および下流端に夫々設けられているガスケット27a,27bと、ボルト3x,3yを夫々通す貫通孔29x,29yとを有する。駆動部26は、図示しない制御装置からの指示に従ってシャフト24を回転させ、スロットルバルブ25の開度を変化させることにより、ボア23内の空気の流量を調節する。ガスケット27a,27bの夫々は、環状の弾性体である。ガスケット27a,27bの材料として、例えば水素化ニトリルゴムが用いられる。
【0017】
ボア23が収容部13内へ挿入される間、シャフト24は図1に示されたII−II線上を移動する。ボア23が収容部13内へ挿入された後、吸気管12、ボア23、及びサージタンク16は互いに連通する。これにより、エアクリーナから吸気モジュールへ流入する空気は、吸気管12、ボア23、サージタンク16、複数の分配管17の夫々を通って複数のシリンダの夫々へ流出する。
【0018】
なお、特許請求の範囲に記載された第一部材は、例えばボア23に対応しており、第二部材は、例えば収容部13に対応している。
【0019】
次にボア23、ガスケット27a,27b、及び収容部13について説明する。図2は、ボア23、ガスケット27a,27b、及び収容部13の構造を示す分解断面図である。図2〜図9は、図1に示されたII−II線とボア23の中心軸とを通る平面によるII−II線矢視断面を示す。
【0020】
収容部13は、ボア23が挿入される開口である挿入口131と、内壁のうち円筒の内壁面を成しておりボア23の円筒の外壁面を覆っている円筒内壁面132と、内壁のうちボア23の上流端に接合する平面である接合内壁面134aと、内壁のうちボア23の下流端に接合する平面である接合内壁面134bと、接合内壁面134a内に形成された開口でありボア23の上流端に連通する内壁開口136aと、接合内壁面134b内に形成された開口でありボア23の下流端に連通する内壁開口136bとを有する。
【0021】
ボア23は、外壁のうち円筒の外壁面を成している円筒外壁面232と、外壁のうち上流端に形成された平面であり接合内壁面134aに接合する接合外壁面234aと、外壁のうち下流端に形成された平面であり接合内壁面134bに接合する接合外壁面234bと、接合外壁面234a内に形成された開口であり内壁開口136aに連通する外壁開口236aと、接合外壁面234b内に形成された開口であり内壁開口136bに連通する外壁開口236bと、接合外壁面234a内で外壁開口236aの周囲に形成された環状溝280aと、接合外壁面234b内で外壁開口236bの周囲に形成された環状溝280bを有する。
【0022】
ガスケット27a,27bの形状は、環状溝280a,280bの形状に夫々合わせて形成されており、環状溝280a,280bに夫々嵌入される。
【0023】
なお、特許請求の範囲に記載された溝は、例えば環状溝280a,280bに対応しており、開口は、例えば外壁開口236a,236bに対応している。
【0024】
ここで、シャフト24を通りボア23の中心軸に垂直な平面を基準面とする。閉状態のスロットルバルブ25は、基準面内に位置する。また、接合内壁面134a及び内壁開口136aの形状と、接合内壁面134b及び内壁開口136aの形状とは、基準面について面対称である。同様に、接合外壁面234a、外壁開口236a、環状溝280a、及びガスケット27aの形状と、接合外壁面234b、外壁開口236b、環状溝280b、及びガスケット27bの形状とは、基準面について面対称である。
【0025】
接合内壁面134a,134bの夫々は、基準面と所定の角度を成す。接合内壁面134aは、挿入口131から収容部13内部への挿入方向へ向かって、基準面からの距離が徐々に小さくなる。同様に、接合内壁面134bは、挿入方向へ向かって、基準面からの距離が徐々に小さくなる。従って、ボア23の中心軸方向(空気の流方向)における収容部13内の空間の長さは、挿入方向へ向かって徐々に短くなっている。この収容部13内の空間に合わせて、ボア23の中心軸方向の長さは、シャフト24の基端から先端への挿入方向へ向かって徐々に短くなっている。即ち接合外壁面234a,234bは、挿入方向に対して斜めに形成されている。これにより、円筒状のボア23を接合外壁面234a,234bの平面で夫々切断した断面である外壁開口236a,236bの形状は楕円になる。内壁開口136a,136bの形状は、夫々連通する外壁開口236a,236bと同一である。
【0026】
外壁開口236bとその周囲に形成された環状溝280bとの距離は均一ではなく、シャフト24先端側の部分の距離が長い。従って、ボア23の中心軸上から見て、接合外壁面234b上における環状溝280b及びガスケット27bの形状は、卵形である。環状溝280bに嵌入されたガスケット27bが接合内壁面134bに当接する場合、ガスケット27bのうちシャフト24先端側の部分は、内壁開口136bの外周側の接合内壁面134bに当接する。これにより、ボア23が収容部13に挿入される際に、ガスケット27bが内壁開口136bの縁に掛かることを防ぎ、ガスケット27bが接合内壁面134b上を滑らかに摺動することができる。
【0027】
次に、ガスケット27a,27b及び環状溝280a,280bについて、スロットルボデー2をインテークマニホールド1へ取り付ける取り付け工程と共に説明する。
【0028】
ここでは、ガスケット27bと環状溝280bの構造及び状態変化について説明する。ガスケット27a及び環状溝280aは、夫々面対称の関係にあるガスケット27b及び環状溝280bと同様の構成を有し、同様の状態変化をする。
【0029】
まず、ガスケット27bが環状溝280bへ嵌入される前の状態を、第一状態とする。図2に示されているように、ガスケット27b及び環状溝280bの夫々のII−II矢視断面には、シャフト24先端側の断面とシャフト24基端側の断面とが現れる。これらシャフト24先端側の断面形状とシャフト24基端側の断面形状とは、同一である。そこで、図3、4、6、7、及び8は、これら二つの断面のうちシャフト24先端側の断面のみを示す。図3は、第一状態におけるガスケット27b及び環状溝280bを示す断面図である。
【0030】
環状溝280bは、接合外壁面234bの平面内に形成された開口である開口部281と、内壁面のうち内周側に位置する側壁面282と、内壁面のうち外周側に位置する側壁面283と、内壁面のうち環状溝280bの底面である底面部284とを有する。この断面において、ガスケット27b及び環状溝280bの中心線300に沿って、ガスケット27bの高さ方向の長さをHgとし、環状溝280bの深さ方向の長さをHdとすると、HgはHdより大きい。即ち、環状溝280bに嵌入されたガスケット27bは接合外壁面234bから突出する。
【0031】
環状溝280bの周方向(長さ方向)に垂直な断面の形状は、台形である。接合外壁面234bに沿って、底面部284における溝幅をWbとし、開口部281における溝幅をWoとすると、WbはWoより小さい。環状溝280b内の空間において、底面部284から開口部281に向かって高さ位置が高くなるにつれ、溝幅方向の長さは徐々に大きくなる。側壁面282,283の夫々は中心線300と所定の角度を成しており、内周側の側壁面282は環状溝280bの外周方向より開口部281側へ傾いており、外周側の側壁面283は環状溝280bの内周方向より開口部281側へ傾いている。
【0032】
なお、底面部284と側壁面282,283の夫々との間の頂点には丸みが付けられており、接合外壁面234bと側壁面282,283の夫々との間の頂点には丸みが付けられている。また、側壁面282,283の夫々は中心線300に平行であっても良い。即ち環状溝280bの周方向に垂直な断面の形状は、長方形であっても良い。
【0033】
ガスケット27bは、環状溝280bの深さ方向と反対側の高さ方向へ突出している第一当接部271と、ガスケット27bの内周側へ突出している第二当接部272と、ガスケット27bの外周側へ突出している第三当接部273と、環状溝280bの深さ方向へ突出している第四当接部274と、深さ方向における第二当接部272と第四当接部274の間に設けられておりガスケット27bの内周側に突出している第五当接部275と、深さ方向における第三当接部273と第四当接部274の間に設けられておりガスケット27bの外周側に突出している第六当接部276とを有する。第四当接部274は、環状溝280bの溝幅方向へ二つに分かれて深さ方向へ突出している突出部274a,274bを有する。突出部274aは中心線300に対しガスケット27bの内周側(第五当接部275側)に形成されており、突出部274bは中心線300に対しガスケット27bの外周側(第六当接部276側)に形成されている。また、二つの突出部274a,274bは、スロットルボデー2(第一部材)の挿入方向に直交するガスケット27bの断面において、挿入方向に並んで配置されている。第一当接部271と第二当接部272と第三当接部273と第五当接部275と第六当接部276の夫々の断面形状は、先端に向かって徐々に細くなっている。
【0034】
第一状態において、突出部274aの先端から第一当接部271の先端までの高さと、突出部274bの先端から第一当接部271の先端までの高さとは等しい。また、第四当接部274の先端から第二当接部272の先端までの高さと、第四当接部274の先端から第三当接部273の先端までの高さとは等しい。この高さをHaとすると、HaはHdより小さい。第一状態における第二当接部272の先端から第三当接部273の先端までの溝幅方向の長さをWaとすると、WaはWbより大きくWo以下である。また、第一状態において、第四当接部274の先端から第五当接部275の先端までの高さと、第四当接部274の先端から第六当接部276の先端までの高さとは等しい。第一状態における第五当接部275の先端から第六当接部276の先端までの溝幅方向の長さをWmとすると、WmはWbより大きくWaより小さい。また、突出部274a,274bの先端から基端までの高さ、即ち突出部274a,274bにより挟まれた空間(股)の深さをHfとし、HgとHdの差をΔHとすると、HfはΔH以上である。
【0035】
次に、ガスケット27bは、第一状態から中心線300に沿って深さ方向へ運ばれて環状溝280b内へ嵌入される。次に、ボア23は、挿入口131から収容部13内へ挿入される。この状態を第二状態とする。図4は、第二状態におけるガスケット27b及び環状溝280bを示す断面図である。第二状態において、第二当接部272及び第五当接部275の夫々の先端は側壁面282に当接し、第三当接部273及び第六当接部276の夫々の先端は側壁面283に当接し、第四当接部274における突出部274a,274bの夫々の先端は底面部284に当接する。このとき、第二当接部272及び第五当接部275の夫々は側壁面282から抗力を受け、第三当接部273及び第六当接部276の夫々は側壁面283から抗力を受け、第四当接部274は底面部284から抗力を受ける。これにより、ガスケット27bは環状溝280bに支持される。
【0036】
ここで、接合外壁面234bと接合内壁面134bの間の距離をDgとする。前述の面対称の形状により、接合内壁面134aと接合外壁面234aの間の距離もDgに等しくなる。ボア23が収容部13内へ進むことにより、Dgは小さくなる。接合外壁面234b及び接合内壁面134bの夫々が基準面(挿入方向)と所定の角度を成すことにより、接合内壁面134bは接合外壁面234bに対し平行を保ちつつ、相対的に斜めに接近する。
【0037】
次に、第二状態からボア23が更に挿入されてDgが更に小さくなることにより、第一当接部271の先端は接合内壁面134bに当接する。この状態を第三状態とする。図5は、第三状態におけるボア23、ガスケット27a,27b、及び収容部13を示す断面図であり、図6は、第三状態におけるガスケット27b及び環状溝280bを示す断面図である。突出部274a,274bは、底面部284と協働し、突出部274a,274bと底面部284の間に閉空間を形成する。このとき、前述の面対称の形状により、ガスケット27aの第一当接部271の先端は接合内壁面134aに当接する。
【0038】
次に、第三状態からボア23が更に挿入されてDgが更に小さくなることにより、接合内壁面134bは第一当接部271を深さ方向へ押圧する。この押圧力により、第一当接部271と第二当接部272と第三当接部273と第五当接部275と第六当接部276は深さ方向へ移動する。このとき、第二当接部272及び第五当接部275の夫々は側壁面282からの抗力を受けて圧縮され、第三当接部273及び第六当接部276の夫々は側壁面283からの抗力を受けて圧縮される。更に、突出部274a,274bの夫々は、底面部284からの抗力を受けて圧縮される。この状態を第四状態とする。図7は、第四状態におけるガスケット27b及び環状溝280bを示す断面図である。
【0039】
また、側壁面282,283の夫々と中心線300との距離が深さ方向に向かって徐々に狭くなっていることにより、第三状態以後、第二当接部272と第三当接部273と第五当接部275と第六当接部276は、側壁面282,283からの抗力を受けて圧縮されつつ、徐々に深さ方向へ移動する。
【0040】
突出部274a,274bの夫々は、深さ方向に向かうにつれて溝幅方向の長さが小さくなっている。即ち、突出部274a,274bの夫々の断面形状は、先端に向かうにつれて細くなっている。突出部274a,274bの夫々の先端の角度は、第一当接部271と第二当接部272と第三当接部273と第五当接部275と第六当接部276の夫々の先端の角度より小さい。突出部274a,274bの底面部28への接地面積を小さくすることで、ガスケット27bの元に戻ろうとする圧力(復元力)により底面部28を押圧する面圧を高めることができ、面圧を上げることで、気密性を向上させている。したがって、突出部274a,274bの間の閉空間で、第一当接部271で受けた押圧力によるガスケット27bの圧縮力を緩和しつつ、第四当接部274の面圧を下げることなく気密性を維持している。
【0041】
次に、第四状態からボア23が更に挿入されてDgが更に小さくなることにより、接合内壁面134bは更に第一当接部271を深さ方向へ押圧する。この押圧力により、第一当接部271と第二当接部272と第三当接部273と第五当接部275と第六当接部276とは深さ方向へ移動し、第一当接部271は接合内壁面134bからの押圧力を受けて圧縮される。この状態を第五状態とする。図8は、第五状態におけるボア23、ガスケット27a,27b、及び収容部13を示す断面図であり、図9は、第五状態におけるガスケット27b及び環状溝280bを示す断面図である。
【0042】
また、接合内壁面134bがガスケット27bに対し相対的に斜め方向に接近することにより、第三状態から第五状態までの間、接合内壁面134bとガスケット27bの間の摩擦力が第一当接部271に働く。ガスケット27bのうちスロットルボデー2の挿入方向に直交する部位では、この摩擦力により、倒れが生じやすくなる。しかし、本実施形態では、スロットルボデー2の挿入方向に直交するガスケット27bの断面において、二つの突出部274a,274bは、スロットルボデー2の挿入方向に並ぶように配置され、前述のようにガスケット27bは底面部284に保持される保持力が作用することによって、この挿入時に生じる摩擦力及びスロットルボデー2の押圧力によるガスケット27bの倒れや回転を防ぎ、突出部274a,274bと底面部284との間の安定性を向上させている。
【0043】
また、取り付け工程において、ボルト3x,3yが貫通孔29x,29yを夫々貫通し、固定部19x,19yに夫々締結されることにより、スロットルボデー2はインテークマニホールド1に固定される。以上で取り付け工程が完了する。
【0044】
以上の取り付け工程により、Dgが最小になり、内壁開口136bの周縁と外壁開口236bの周縁との間がシールされる。同様にして内壁開口136aの周縁と外壁開口236aの周縁との間がシールされる。これにより、吸気管12とボア23とサージタンク16とが互いに連通する。
【0045】
本実施形態によれば、ガスケット27bのうちスロットルボデー2の挿入方向に直交する部位に、底面部284に対向しスロットルボデー2の挿入方向に並ぶ二つの突出部274a,274bが形成されていることにより、底面部284に対向する部分のガスケット充填率を低く抑え、第一当接部271の押圧力を緩和し、回転力を発生させず、面圧を適切に保持させることができる。従って、本実施形態によれば、ガスケット27bの元に戻ろうとする圧力によるインテークマニホールド1又はスロットルボデー2の変形を防ぎ、バルブクリアランスの変化を防ぐことができる。また、突出部274a,274bの先端が細いことにより、底面部284に当接する部分の面圧が高くなり、シール性を向上させることができる。
【0046】
第二当接部272と第三当接部273と第五当接部275と第六当接部276と突出部274a,274bの6箇所が環状溝280bに当接して圧縮されることにより、環状溝280bとのシール性を確保することができる。
【0047】
ガスケット27bが全周に亘って同一の断面を有することにより、ガスケット27bの周方向の位置による剛性のばらつきが抑えられる。これにより、ボア23が収容部13へ挿入される際、ガスケット27bは周方向の位置に依らず均等に圧縮される。従って、第一当接部271により形成されるシール面が平面に保たれ、接合内壁面134bとのシール性が確保される。
【0048】
なお、ガスケット27a,27bから第五当接部275及び第六当接部276が省かれても良い。この場合、第二当接部272と第三当接部273と突出部274a,274bの4箇所が環状溝280bに当接する。
【0049】
また、本発明のガスケットは、スロットルボデー以外に、エアクリーナ側に接続される吸気ダクト、エンジンに接続されるインレットパイプ、排気流路の空気量を制御する排気バルブアッセンブリにも適用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 インテークマニホールド、 2 スロットルボデー、 3x,3y ボルト、 12 吸気管、 13 収容部、 16 サージタンク、 17 分配管、 18 インジェクタ、 19x,19y 固定部、 23 ボア、 24 シャフト、 25 スロットルバルブ、 26 駆動部、 27a,27b ガスケット、 29x,29y 貫通孔、 131 挿入口、 132 円筒内壁面、 134a,134b 接合内壁面、 136a,136b 内壁開口、 232 円筒外壁面、 234a,234b 接合外壁面、 236a,236b 外壁開口、 271 第一当接部、 272 第二当接部、 273 第三当接部、 274 第四当接部、 274a,274b 突出部、 275 第五当接部、 276 第六当接部、 280a,280b 環状溝、 281 開口部、 282,283 側壁面、 284 底面部、 300 中心線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材に形成された溝に取り付けられ、弾性を有して前記第一部材と第二部材との間をシールするガスケットであって、
前記第二部材に当接する前記第一当接部と、
前記溝の一方の側壁面に当接する第二当接部と、
前記溝の他方の側壁面に当接する第三当接部と、
前記溝の幅方向へ二つに分かれて前記溝の深さ方向へ突出する突出部が形成され、前記二つの突出部の夫々の先端が前記溝の底面に当接する第四当接部と
を備え、
前記ガスケットの前記深さ方向の長さである前記ガスケットの高さが前記溝の深さより大きくなるように形成され、前記二つの突出部の突出長さが前記ガスケットの高さと前記溝の深さとの差以上になるように形成されたガスケット。
【請求項2】
前記二つの突出部の夫々の前記幅方向の長さは、前記深さ方向に向かって小さくなるように形成された、
請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
インテークマニホールドに装着されるスロットル装置であって、
前記インテークマニホールドの接合面に対向する平面を有し、前記平面内に前記インテークマニホールドと連通する開口が形成され、前記開口の周縁に環状の溝が形成された接合部と、
前記溝に取り付けられ、弾性を有するガスケットであって、前記インテークマニホールドの接合面に当接する第一当接部と、前記溝の内周側壁面に当接する第二当接部と、前記溝の外周側壁面に当接する第三当接部と、前記溝の幅方向へ二つに分かれて前記溝の深さ方向へ突出する突出部が形成され、前記二つの突出部の夫々の先端が前記溝の底面に当接する第四当接部とを有し、前記ガスケットの前記深さ方向の長さである前記ガスケットの高さが前記溝の深さより大きくなるように形成され、前記二つの突出部の突出長さが前記ガスケットの高さと前記溝の深さとの差以上になるように形成され、前記インテークマニホールドに装着された前記スロットル装置の前記開口の周縁をシールして前記インテークマニホールド及び前記開口を連通させるガスケットと
を備えるスロットル装置。
【請求項4】
前記二つの突出部の夫々の前記幅方向の長さは、前記深さ方向に向かって小さくなるように形成された、
請求項3に記載のスロットル装置。
【請求項5】
前記接合部における前記平面は、前記インテークマニホールド内に挿入され、前記挿入方向に対して斜めに形成された、
請求項3又は請求項4に記載のスロットル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−44379(P2013−44379A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182260(P2011−182260)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000177612)株式会社ミクニ (332)
【Fターム(参考)】