説明

ガスケット

【課題】装着溝の開口の角部に面取り面が形成されていても、装着溝の一方の側壁面側と他方の側壁面側に互い違いに傾くことがなく、ねじれた状態で圧縮されることがないガスケットを提供する。
【解決手段】ガスケット3は、左方突起部33a、33bと右方突起部34とを備えている。左方突出部33a、33bは、装着溝11の深さ方向に所定間隔を隔てて形成され、圧縮される前の状態で、左側壁面110に当接している。右方突出部34は、圧縮される前の状態で、右側壁面111に当接している。左方突出部は、装着溝11の深さ方向に2つ形成されており、装着溝11の左側壁面110に当接している。そのため、面取り面115、116が形成されていても、装着溝11の左側壁面110側への傾きを抑えることができる。従って、ガスケット3が、左側壁面110側と右側壁面111側に互い違いに傾くことはなく、ねじれた状態で圧縮されることもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部材の対向面を当接させ圧縮されることで、2つの部材の隙間を密封するガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの部材の対向面を当接させ圧縮されることで、2つの部材の隙間を密封するガスケットとして、例えば特許文献1に開示されているガスケットがある。このガスケットは、本体部と、上方突起部と、下方突起部と、側方突起部とを備えている。本体部は、互いに対向する2つの部材のうち、一方の部材に形成された装着溝に挿入されている。上方突起部は、本体部から上方に突出している。下方突起部は、本体部から下方に突出し、装着溝の底面に当接している。側方突起部は、本体部から右側方及び左側方に向かって突出し、装着溝の側壁面に当接している。側方突起部は、装着溝の深さ方向に左右2つずつ形成されている。
【0003】
2つの部材の対向面を当接させることで、ガスケットが装着溝の深さ方向に圧縮される。上方突起部は、他方の部材の対向面に密着する。下方突起部は、装着溝の底面に密着する。側方突出部は、装着溝の側壁面に密着する。これにより、2つの部材の隙間を密封することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−257459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、装着溝を加工する際、装着溝の開口の角部がR状に面取りされてしまう。そのため、R状に面取りされた面取り面と上方の側方突起部との間に、隙間が生じてしまう。この場合、下方の側方突起部だけが装着溝の側壁面に当接することとなり、ガスケットが、長手方向において、装着溝内で右側と左側に互い違いに傾く可能性がある。この状態で2つの部材の対向面を当接させると、ガスケットがねじれた状態で圧縮されることとなる。そのため、シール圧が低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、装着溝の開口の角部に面取り面が形成されていても、装着溝の一方の側壁面側と他方の側壁面側に、互い違いに傾くことがなく、ねじれた状態で圧縮されることがないガスケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は、この課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、装着溝の一方の側壁面に当接する突出部を複数形成し、一方の側壁面側への傾きを抑えることで、装着溝の一方の側壁面側と他方の側壁面側に互い違いに傾くことを抑えられることを思いつき、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、請求項1に記載のガスケットは、互いに対向する対向面を有する2つの部材のうち、一方の部材の対向面に形成された装着溝に収容される本体部と、本体部から他方の部材の対向面に向かって突出する第1突出部と、本体部から装着溝の底面に向かって突出し、底面に当接する第2突出部と、本体部から、互いに対向する装着溝の側壁面のうち、一方の側壁面に向かって突出する第3突出部と、本体部から、互いに対向する装着溝の側壁面のうち、他方の側壁面に向かって突出する第4突出部と、を備え、2つの部材の対向面を当接させ装着溝の深さ方向に圧縮されることで、2つの部材の隙間を密封するガスケットにおいて、側壁面は、装着溝の開口の角部を面取りして形成される面取り面を有し、第3突出部は、装着溝の深さ方向に複数形成され、装着溝の深さ方向に圧縮される前の状態で、そのうちの少なくとも2つが一方の側壁面に当接し、第4突出部は、装着溝の深さ方向に圧縮される前の状態で、他方の側壁面に当接していることを特徴とする。ここで、第1突出部〜第4突出部は、突出部を区別するために便宜的に導入したものである。
【0009】
この構成によれば、第3突出部と第4突出部は、圧縮される前の状態で、装着溝の一方の側壁面と装着溝の他方の側壁面にそれぞれ当接している。しかも、第3突出部は、装着溝の深さ方向に複数形成されており、少なくとも2つが装着溝の一方の側壁面に当接している。そのため、装着溝の開口の角部に面取り面が形成されていても、ガスケットの装着溝の一方の側壁面側への傾きを抑えることができる。従って、装着溝の開口の角部に面取り面が形成されていても、ガスケットが装着溝の一方の側壁面側と他方の側壁面側に互い違いに傾くことはなく、ねじれた状態で圧縮されることもない。
【0010】
請求項2に記載のガスケットは、一方の側壁面に当接している第3突出部の1つは、一方の側壁面の面取り面に当接していることを特徴とする。この構成によれば、装着溝の開口の角部に面取り面が形成されていても、ガスケットの装着溝の一方の側壁面側への傾きを確実に抑えることができる。
【0011】
請求項3に記載のガスケットは、面取り面よりも装着溝の底面側に形成される第3突出部と第4突出部のうち、装着溝の深さ方向の互いに異なる位置に形成される第3突出部の先端から第4突出部の先端までの寸法が、面取り面よりも装着溝の底面側の装着溝の幅より大きいことを特徴とする。この構成によれば、傾いた状態でのガスケットの装着溝への装着を防止することができる。そのため、組付け性を向上させることができる。
【0012】
請求項4に記載のガスケットは、第1突出部は、装着溝の反深さ方向に対して、装着溝の他方の側壁面側に傾斜して突出していることを特徴とする。この構成によれば、ガスケットは、装着溝の他方の側壁面側に傾きやすくなる。そのため、ガスケットの装着溝の一方の側壁面側への傾きをより確実に抑えることができる。
【0013】
請求項5に記載のガスケットは、断面形状が、装着溝の深さ方向と直交する所定の軸に対して対称であることを特徴とする。この構成によれば、装着溝の深さ方向と直交する所定の軸に対して一方側と他方側を区別することなく、装着溝に装着することができる。そのため、組付け性を向上させることができる。
【0014】
請求項6に記載のガスケットは、互いに対向する対向面を有する2つの部材は、車両に搭載される電子装置を収容するケースと、ケースの開口を塞ぐカバーであることを特徴とする。この構成によれば、車両に搭載される電子装置を収容するケースとカバーの隙間を密封するガスケットにおいて、装着溝の開口の角部に面取り面が形成されていても、装着溝の一方の側壁面側と、装着溝の他方の側壁面側に、互い違いに傾くことがなく、ねじれた状態で圧縮されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態における、装着溝に装着された状態でのガスケットの断面図である。
【図2】左側に傾けた状態でのガスケットの装着について説明するための説明図である。
【図3】右側に傾けた状態でのガスケットの装着について説明するための説明図である。
【図4】ケースとカバーの対向面を当接させた状態でのガスケットの断面図である。
【図5】第2実施形態における、装着溝に装着された状態でのガスケットの断面図である。
【図6】第3実施形態における、装着溝に装着された状態でのガスケットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態では、本発明に係るガスケットを、ケースとカバーの隙間を密封するガスケットに適用した例を示す。
【0017】
(第1実施形態)
まず、図1及び図2を参照してガスケットの構成について説明する。ここで、図1は、第1実施形態における、装着溝に装着された状態でのガスケットの断面図である。図2は、左側に傾けた状態でのガスケットの装着について説明するための説明図である。図3は、右側に傾けた状態でのガスケットの装着について説明するための説明図である。図4は、ケースとカバーの対向面を当接させた状態でのガスケットの断面図である。なお、図中の上下方向及び左右方向は、方向を区別するために便宜的に導入したものである。
【0018】
図1に示すケース1は、車両に搭載されるインバータ装置(電子装置)を収容する有底筒状の部材である。カバー2は、ケース1の開口を塞ぐ板状の部材である。ケース1とカバー2は、上下方向に互いに対向する対向面10、20を有している。ケース1の対向面10には、装着溝11が形成されている。
【0019】
装着溝11は、左右方向に互いに対向する側壁面110(一方の側壁面)と、側壁面111(他方の側壁面)と、下方において側壁面110、111を連結する底面112とを備えている。また、側壁面110、111は、開口の角部113、114を面取りして形成されるR状の面取り面115、116を有している。さらに、面取り面115、116よりも底面112側の装着溝11の幅は、寸法aに設定されている。
【0020】
ガスケット3は、ケース1の装着溝11に装着され、ケース1とカバー2の対向面10、20を当接させ装着溝11の深さ方向である下方向に圧縮されることで、ケース1とカバー2の隙間を密封する部材である。ガスケット3は、弾性体によって構成されている。具体的には、ゴムによって構成されている。ガスケット3は、本体部30と、上方突出部31(第1突出部)と、下方突出部32(第2突出部)と、左方突起部33a、33b(第3突出部)と、右方突起部34(第4突出部)とを備えている。
【0021】
本体部30は、装着溝11に収容される部位である。上方突出部31は、本体部30からカバー2の対向面20に向かって上方に突出する部位である。具体的には、装着溝11の反深さ方向である上方向に対して角度αだけ装着溝11の右側壁面111側に傾斜して突出する部位である。下方突出部32は、本体部30から装着溝11の底面112に向かって下方に突出し、装着溝11の底面112に当接する部位である。
【0022】
左方突出部33a、33bは、本体部30から装着溝11の左側壁面110に向かって左方に突出する部位である。左方突出部33a、33bは、装着溝11の深さ方向である下方向に所定間隔を隔てて形成されている。つまり、装着溝11の深さ方向に複数形成されている。左方突出部33a、33bは、ガスケット3が下方向に圧縮される前の状態で、面取り面115より底面112側の左側壁面110に当接している。
【0023】
右方突出部34は、本体部30から装着溝11の右側壁面111に向かって右方に突出する部位である。右方突出部34は、装着溝11の深さ方向である下方向の左方突出部33a、33bとは異なる位置に形成されている。具体的には、左方突出部33a、33bの間に形成されている。右方突出部34は、ガスケット3が下方向に圧縮される前の状態で、面取り面116より底面112側の右側壁面111に当接している。
【0024】
ここで、左方突出部33aの先端から右方突出部34の先端までの寸法b、及び、左方突出部33bの先端から右方突出部34の先端までの寸法cは、面取り面115、116よりも底面112側の装着溝11の幅aよりも大きくなるように設定されている。
【0025】
図2に示すように、ガスケット3を左側に傾けた状態で装着溝11に装着しようとすると、先端間の寸法bが寸法aより大きい左方突出部33aと右方突出部34が面取り面115、116に当接してしまう。一方、図3に示すように、ガスケット3を右側に傾けた状態で装着溝11に装着しようとすると、先端間の寸法cが装着溝11の幅aより大きい、左方突出部33bと右方突出部34が面取り面115、116に当接してしまう。そのため、図1に示すように、ガスケット3は、傾くことなく装着溝11に装着される。
【0026】
図4に示すように、ケース1とカバー2の対向面10、20を当接させることで、ガスケット3が装着溝11の深さ方向である下方向に圧縮される。上方突起部31はカバー2の対向面20に、下方突起部32は装着溝11の底面112にそれぞれ密着する。また、左方突出部33a、33bは装着溝11の左側壁面110に、右方突出部34は装着溝11の右側壁面111にそれぞれ密着する。これにより、ケース1とカバー2の隙間が密封される。
【0027】
ところで、図1に示すように、左方突出部33a、33bと右方突出部34は、下方向に圧縮される前の状態で、装着溝11の左側壁面110と右側壁面111にそれぞれ当接している。しかも、左方突出部は、下方に向かって2つ形成されており、装着溝11の左側壁面110に当接している。そのため、装着溝11の開口の角部113、114に面取り面115、116が形成されていても、装着溝11の左側壁面110側への傾きを抑えることができる。従って、ガスケット3が、装着溝11の左側壁面110側と右側壁面111側に互い違いに傾くことはなく、ねじれた状態で圧縮されることもない。
【0028】
次に、効果について説明する。第1実施形態によれば、前述したように、装着溝11の開口の角部113、114に面取り面115、116が形成されていても、装着溝11の左側壁面110側と右側壁面111側に互い違いに傾くことはない。そのため、ねじれた状態での圧縮を防止することができる。
【0029】
また、第1実施形態によれば、前述したように、傾いた状態でのガスケット3の装着溝11への装着を防止することができる。そのため、組付け性を向上させることができる。
【0030】
さらに、第1実施形態によれば、上方突出部31は、上方向に対して、装着溝11の右側壁面111側に傾斜して突出している。これにより、ガスケット3は、装着溝11の右側壁面111側に傾きやすくなる。そのため、装着溝11の左側壁面110側への傾きをより確実に抑えることができる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のガスケットについて説明する。第2実施形態のガスケットは、第1実施形態のガスケットに対して、左方突出部と右方突出部をそれぞれ3つ設けるとともに、下方突出部を装着溝の深さ方向に対して右側壁面側に傾斜させ、断面形状が、上下対称となるようにしたものである。
【0032】
図5を参照して第2実施形態のガスケットの構成について説明する。ここで、図5は、第2実施形態における、装着溝に装着された状態でのガスケットの断面図である。なお、図中の上下方向及び左右方向は、方向を区別するために便宜的に導入したものである。また、ケース及びカバーについては、第1実施形態のケース及びカバーと同一であるため、同一の符号を付してある。
【0033】
図5に示すように、ガスケット4は、本体部40と、上方突出部41(第1突出部)と、下方突出部42(第2突出部)と、左方突起部43a〜43c(第3突出部)と、右方突起部44a〜44c(第4突出部)とを備えている。
【0034】
本体部40は、装着溝11に収容される部位である。上方突出部41は、本体部40から、カバー2の対向面20に向かって上方に突出する部位である。具体的には、装着溝11の反深さ方向である上方向に対して角度βだけ装着溝11の右側壁面111側に傾斜して突出する部位である。下方突出部42は、本体部40から装着溝11の底面112に向かって下方に突出し、装着溝11の底面112に当接する部位である。具体的には、装着溝11の深さ方向である下方向に対して角度βだけ装着溝11の右側壁面111側に傾斜して突出する部位である。
【0035】
左方突出部43a〜43cは、本体部40から装着溝11の左側壁面110に向かって左方に突出する部位である。左方突出部43a〜43cは、装着溝11の深さ方向である下方向に所定間隔を隔てて形成されている。つまり、装着溝11の深さ方向に複数形成されている。左方突出部43a〜43cは、ガスケット4が下方向に圧縮される前の状態で、面取り面115より底面112側の左側壁面110に当接している。
【0036】
右方突出部44a〜44cは、本体部40から装着溝11の右側壁面111に向かって右方に突出する部位である。右方突出部44a〜44cは、装着溝11の深さ方向である下方向の左方突出部43a〜44cと同一位置に形成されている。右方突出部44a〜44cは、ガスケット4が下方向に圧縮される前の状態で、面取り面116より底面112側の右側壁面111に当接している。
【0037】
ここで、装着溝11の深さ方向である下方向の互いに異なる位置に形成される、左方突出部43aの先端から右方突出部44b、44cの先端までの寸法d、eは、面取り面115、116よりも底面112側の装着溝11の幅aよりも大きくなるように設定されている。同様に、左方突出部43bの先端から右方突出部44a、44cの先端までの寸法、及び、左方突出部43cの先端から右方突出部44a、44bの先端までの寸法も、装着溝11の幅aよりも大きくなるように設定されている。
【0038】
また、ガスケット4は、断面形状が、装着溝11の深さ方向と直交する左右方向の軸A(所定の軸)に対して上下対称となるように、本体部40、上方突出部41、下方突出部42、左方突起部43a〜43c及び右方突起部44a〜44cの形状が設定されている。
【0039】
次に、効果について説明する。第2実施形態によれば、ガスケット4の断面形状は、左右方向の軸Aに対して上下対称となるように設定されている。そのため、ガスケット4の上下を区別することなく装着溝11に装着することができる。従って、組付け性を向上させることができる。
【0040】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のガスケットについて説明する。第3実施形態のガスケットは、第1実施形態のガスケットに対して、左方突出部と右方突出部をそれぞれ3つ設けるとともに、面取り面にも当接させるようにしたものである。
【0041】
図6を参照して第3実施形態のガスケットの構成について説明する。ここで、図6は、第3実施形態における、装着溝に装着された状態でのガスケットの断面図である。なお、図中の上下方向及び左右方向は、方向を区別するために便宜的に導入したものである。また、ケース及びカバーについては、第1実施形態のケース及びカバーと同一であるため、同一の符号を付してある。
【0042】
図6に示すように、ガスケット5は、本体部50と、上方突出部51(第1突出部)と、下方突出部52(第2突出部)と、左方突起部53a〜53c(第3突出部)と、右方突起部54a〜54c(第4突出部)とを備えている。
【0043】
本体部50は、装着溝11に収容される部位である。上方突出部51は、本体部50から、カバー2の対向面20に向かって上方に突出する部位である。具体的には、装着溝11の反深さ方向である上方向に対して角度γだけ装着溝11の右側壁面111側に傾斜して突出する部位である。下方突出部52は、本体部50から装着溝11の底面112に向かって下方に突出し、装着溝11の底面112に当接する部位である。
【0044】
左方突出部53a〜53cは、本体部50から装着溝11の左側壁面110に向かって左方に突出する部位である。左方突出部53a〜53cは、装着溝11の深さ方向である下方向に所定間隔を隔てて形成されている。つまり、装着溝11の深さ方向に複数形成されている。左方突出部53aは、ガスケット5が下方向に圧縮される前の状態で、面取り面115に当接している。左方突出部53b、53cは、ガスケット4が下方向に圧縮される前の状態で、面取り面115より底面112側の左側壁面110に当接している。
【0045】
右方突出部54a〜54cは、本体部50から装着溝11の右側壁面111に向かって右方に突出する部位である。右方突出部54a〜54cは、装着溝11の深さ方向である下方向の、左方突出部53a〜54cと同一位置に形成されている。右方突出部54aは、ガスケット5が下方向に圧縮される前の状態で、面取り面116に当接している。右方突出部54b、54cは、ガスケット5が下方向に圧縮される前の状態で、面取り面116より底面112側の右側壁面111に当接している。
【0046】
ここで、面取り面115、116よりも底面112側であって、装着溝11の深さ方向である下方向の互いに異なる位置に形成される、左方突出部53bの先端から右方突出部54cの先端までの寸法fは、面取り面115、116よりも底面112側の装着溝11の幅aよりも大きくなるように設定されている。また、左方突出部53cの先端から右方突出部54bの先端までの寸法gも、装着溝11の幅aよりも大きくなるように設定されている。
【0047】
次に、効果について説明する。第3実施形態によれば、左方突出部は、下方に向かって3つ形成されており、装着溝11の左側壁面110に当接している。しかも、左方突出部53aは、左側壁面110の面取り面115に当接している。そのため、装着溝11の開口の角部113、114に面取り面115、116が形成されていても、ガスケット5の装着溝11の左側壁面110側への傾きを確実に抑えることができる。
【0048】
なお、第1〜第3実施形態では、2つ又は3つの左方突出部が左側壁面110に当接している例を挙げているが、これに限られるものではない。4つ以上の左方突出部が左側壁面に当接していてもよい。左方突出部のうち、少なくとも2つが当接していればよい。
【符号の説明】
【0049】
1・・・ケース(一方の部材)、10・・・対向面、11・・・装着溝、110、111・・・側壁面、112・・・底面、113、114・・・角部、115、116・・・面取り面、2・・・カバー(他方の部材)、20・・・対向面、3〜5・・・ガスケット、30、40、50・・・本体部、31、41、51・・・上方突出部(第1突出部)、32、42、52・・・下方突出部(第2突出部)、33a、33b、43a〜43c、53a〜53c・・・左方突出部(第3突出部)、34、44a〜44c、54a〜54c・・・右方突出部(第4突出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する対向面を有する2つの部材のうち、一方の前記部材の対向面に形成された装着溝に収容される本体部と、
前記本体部から他方の前記部材の対向面に向かって突出する第1突出部と、
前記本体部から前記装着溝の底面に向かって突出し、前記底面に当接する第2突出部と、
前記本体部から、互いに対向する前記装着溝の側壁面のうち、一方の前記側壁面に向かって突出する第3突出部と、
前記本体部から、互いに対向する前記装着溝の前記側壁面のうち、他方の前記側壁面に向かって突出する第4突出部と、
を備え、2つの前記部材の前記対向面を当接させ前記装着溝の深さ方向に圧縮されることで、2つの前記部材の隙間を密封するガスケットにおいて、
前記側壁面は、前記装着溝の開口の角部を面取りして形成される面取り面を有し、
前記第3突出部は、前記装着溝の深さ方向に複数形成され、前記装着溝の深さ方向に圧縮される前の状態で、そのうちの少なくとも2つが一方の前記側壁面に当接し、
前記第4突出部は、前記装着溝の深さ方向に圧縮される前の状態で、他方の前記側壁面に当接していることを特徴とするガスケット。
【請求項2】
一方の前記側壁面に当接している前記第3突出部の1つは、一方の前記側壁面の前記面取り面に当接していることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記面取り面よりも前記装着溝の前記底面側に形成される前記第3突出部と前記第4突出部のうち、前記装着溝の深さ方向の互いに異なる位置に形成される前記第3突出部の先端から前記第4突出部の先端までの寸法が、前記面取り面よりも前記装着溝の前記底面側の前記装着溝の幅より大きいことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のガスケット。
【請求項4】
前記第1突出部は、前記装着溝の反深さ方向に対して、前記装着溝の他方の前記側壁面側に傾斜して突出していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスケット。
【請求項5】
断面形状が、前記装着溝の深さ方向と直交する所定の軸に対して対称であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスケット。
【請求項6】
互いに対向する前記対向面を有する2つの前記部材は、車両に搭載される電子装置を収容するケースと、ケースの開口を塞ぐカバーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−179588(P2011−179588A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44458(P2010−44458)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】