説明

ガスシールド溶接トーチ

【課題】MT検査における擬似欠陥を低減できるガスシールド溶接トーチを提供する。
【解決手段】溶接トーチ10は、溶接ワイヤ8を保持するとともに溶接電流を供給するチップ2と、チップ2を内部に収容し、チップ2の周囲に形成される流路を通るシールドガスSGを溶接部位に向けて前端側1aより吐出させるシールドノズル1とを備える。溶接トーチ10は、チップ2及びシールドノズル1がともに湾曲されており、曲率の小さい腹側SS及び曲率の大きい背側BSが溶接方向に沿って溶接時に移動する。流路は、溶接ワイヤ8よりも腹側においてシールドガスSGが流れる腹側流路F1と、溶接ワイヤ8よりも背側BSにおいてシールドガスが流れる背側流路F2とからなる。そして、溶接トーチ10は、少なくともシールドノズル1の前端側1aにおいて、腹側流路F1よりも背側流路F2の開口面積が大きく設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接部分を不活性ガスでシールドしながら狭隘部分に挿入して溶接するのに好適なガスシールド溶接トーチに関する。
【背景技術】
【0002】
狭隘部分にガスシールド溶接トーチを挿入して溶接する必要のある部材として、例えば遠心圧縮機のインペラがある。インペラ40は、図8、9に示すように、遠心圧縮機の回転主軸に固着し回転される片面が先薄に湾曲するディスク41と、ディスク41の湾曲面と対峙する形状のカバー42と、ディスク41とカバー42の湾曲面間を渦形に仕切るように設けられた多数のブレード43とにより構成されている。
このインペラ40は、ディスク41と、カバー42と、ブレード43とを、別に製作し相互に溶接し組立てる3ピース型と呼ばれるものである。3ピース型のインペラ40は、比較的大型のものに適用されている。カバー42とブレード43は、例えばカバー42のブレード取付け面を上にして台盤上に固定し、このカバー42の上向面に下向き溶接でブレード43を精度良く溶接できる。この溶接としては、例えばメタルイナートガスアーク(MIG)溶接が適用され、カバー42とブレード43との間に溶接部44、46が形成される。また、ディスク41とブレード43は、ディスク41上にブレード43を所定間隙で配置した状態で、カバー42とディスク41の外周開口から長尺のガスシールド溶接トーチ(以下、溶接トーチ)を挿入して行う。なお、3ピース型のインペラ40の他に、カバー42とブレード43を一体に成形し、これとディスク41を接合する2ピース型のインペラ40もある。
【0003】
溶接トーチを挿入する前記外周開口は高さが数10mmであるがこのような狭隘部をガスシールド溶接するのに適した溶接トーチ50(図7)が特許文献1に記載されている。
溶接トーチ50は、溶接装置本体(図示せず)に接続されるトーチケーブル59の先端に設けられる。
トーチケーブル59の先端に装着される中空状のホルダ55の内部にはワイヤ送りチューブ57が配置される。溶接装置本体に設けられるワイヤ送り装置(図示せず)から給送される溶接ワイヤ58はこのワイヤ送りチューブ57を通り、チップ52の先端から突出される。
ホルダ55の内部には、オリフィス53が設けられている。オリフィス53はガス吐出孔54を備え、溶接装置本体のシールドガス供給装置(図示せず)から供給されるArなどのシールドガスSGを整流してシールドノズル51に向けて流す。
シールドノズル51は、固定具56を介してホルダ55に固定されており、オリフィス53で整流されたシールドガスSGを溶接部位に向けて吐出させる。特許文献1は、シールドノズル51とチップ52を同心上に配置している。
【0004】
この溶接トーチ50は、ガス吐出孔54の大きさをその円周方向の形成位置によって変えることで、シールドノズル51の腹側SS(内側)部分に沿って流れるシールドガスSGの流量を背側BSよりも多くしている。具体的には、シールドノズル51の曲率が大きくシールドガスSGが流れやすい背側BS(外側)に対応するガス吐出孔54を小さくするとともに、シールドノズル51の曲率が小さくシールドガスSGが流れやすい腹側SS(内側)に対応するガス吐出孔54を大きくしている。このようにすることで、特許文献1は、腹側SS及び背側BSともに良好なガスシールド性が確保できることを述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−160175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インペラ40を溶接した後に、溶接部分(溶接ビード)の健全性を例えば磁粉探傷で検査(MT検査)する。ところが、本発明者らの検討によると、特許文献1に開示されるトーチも含め、従来のトーチを用いて溶接すると、溶接ビード自体には欠陥がなく健全であるにもかかわらず、MT検査の結果は欠陥(以下、擬似欠陥)を示すことがたびたびあった。MT検査だけでは本来の溶接欠陥と擬似欠陥を区別することは困難である。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、MT検査における擬似欠陥を低減できる溶接トーチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは擬似欠陥が生じる原因について検討したところ、溶接ビードの表面が酸化して生じたシワが擬似欠陥になっていることを確認した。上述したインペラ40(ディスク41、カバー42及びブレード43)が析出硬化型ステンレス鋼(例えば、JIS規格SUS630)で構成されている場合、このステンレス鋼は比較的酸化しやすい。したがって、本発明者等は、溶接時のガスシールドが不十分になるとこの材料の溶接ビードには酸化によるシワが生じる可能性があるものと理解し、シールドガスの流れを確認した。その結果、従来の溶接トーチでは溶接ワイヤよりも下流側におけるシールドガスが供給される領域が狭いために溶接ビードに酸化が生じやすいことを確認した。なお、本願明細書において、溶接トーチを基準にして溶接トーチの進行方向(溶接方向)を上流とし、その逆を下流とする。
【0008】
そこでなされた本発明の溶接トーチは、溶接ワイヤを保持するとともに溶接ワイヤに溶接電流を供給するチップと、チップを内部に収容し、チップの周囲に形成される流路を通るシールドガスを溶接部位に向けて前端側より吐出させるシールドノズルとを備え、チップ及びシールドノズルが湾曲され、曲率の小さい腹側及び曲率の大きい背側が溶接方向に沿って溶接時に移動することを前提とする。そして本発明の溶接トーチは、前記流路が、溶接ワイヤを基準として、溶接ワイヤよりも腹側においてシールドガスが流れる腹側流路と、溶接ワイヤよりも背側においてシールドガスが流れる背側流路とからなり、少なくともシールドノズルの前端側において、腹側流路よりも背側流路の開口面積が大きく設定されていることを特徴とする。
本発明の溶接トーチは、腹側流路よりも背側流路の開口面積が大きく設定されているので、溶接トーチより下流側のより広い領域にシールドガスを供給できる。したがって、本発明の溶接トーチを用いることで、溶接ワイヤよりも下流側のシールドガスが供給される領域が広くなり、溶接ビードの酸化を低減できる。
【0009】
本発明の溶接トーチにおいて、シールドノズルの外方に張り出すフランジを、シールドノズルの前端側に備えることが好ましい。このフランジは、シールドガスに大気が巻き込まれるのを抑制し、溶接ビードの酸化低減に寄与する。
また、本発明の溶接トーチにおいて、シールドノズルの前端側の背側にフレアを設けることが好ましい。フレアに沿って流れるシールドガスは、シールドノズルを出ると溶接方向の下流側に向けて流れるので、下流側のより広い範囲をシールドすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、溶接ワイヤよりも下流側のシールドガスが供給される領域が広くなり、溶接ビードの酸化を低減できる。したがって本発明によれば、SUS630のように酸化されやすい材料を溶接したときに生じるMT検査における擬似欠陥を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態における溶接トーチの要部縦断面である。
【図2】(a)は図1の2a−2a断面図、(b)は図1の2b−2b断面図。
【図3】溶接トーチの他の形態を示し、(a)は要部縦断面、(b)は(a)の3bの向きから観た平面図である。
【図4】溶接トーチのさらに他の形態を示す要部縦断面である。
【図5】オリフィスの他の形態を示す断面図である。
【図6】ガスシールド溶接の際のトーチと溶融池の関係を示す図である。
【図7】特許文献1に記載されているシールドノズルを示す断面図である。
【図8】遠心圧縮機のインペラの正面図である。
【図9】図8に示すインペラのブレード沿いの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に示す実施形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
溶接トーチ10は、ホルダ5の前端に固定具6によりシールドノズル1が固定されている。なお、ホルダ5及び固定具6はセラミックスなどの絶縁材料から構成され、シールドノズル1は銅合金などの金属材料から構成されている。なお、溶接トーチ10において、溶接ワイヤ8が設けられる側を前、その逆側を後と定義する。
【0013】
中空円筒状のホルダ5の内部には、ワイヤ送りチューブ7がホルダ5と同心上に配置されており、ワイヤ送り装置(図示せず)から給送される溶接ワイヤ8はこのワイヤ送りチューブ7を通って溶接に供される。このワイヤ送りチューブ7は、図示しない電源からの溶接電流をチップ2に供給できるように、通常、銅合金で構成される。
【0014】
中空円筒状のホルダ5の内部には、オリフィス3が設けられている。絶縁材料で構成され、リング状の外観を有するオリフィス3は、ホルダ5の前端部に嵌合される。
オリフィス3は、図示しないシールドガス供給装置から供給され、ワイヤ送りチューブ7の外周とホルダ5の内周の間のシールドガス供給路SGLまで達したシールドガスSGを、整流してシールドノズル1に向けて吐出させる。オリフィス3は、シールドガスSGを整流するために、軸方向の表裏面を貫通するガス吐出孔4を備えている。図1、図2に示すオリフィス3は、開口径の同じ6つのガス吐出孔4を円周方向に均等間隔で備えている。
オリフィス3は、その中空部をワイヤ送りチューブ7が貫通することで、ワイヤ送りチューブ7をホルダ5内の所定位置に保持する機能をも備えている。
【0015】
中空円筒状の外観を有するシールドノズル1は、ホルダ5の前端に配置される。シールドノズル1は、オリフィス3から吐出されるシールドガスSGを溶接ワイヤ8の周囲に向けて供給することで、大気を遮断してアークを安定させるとともに、溶接金属の酸化を防止するのに寄与する。
【0016】
<シールドノズル1>
シールドノズル1は、図1に示すように、後端側1bから前端側1aに向けて湾曲されている。湾曲した部分は、内側の曲率が小さく、外側の曲率が大きい。溶接時に溶接トーチ10が移動する方向を溶接方向(図1、2参照)とすると、シールドノズル1は、曲率の小さい腹側SS及び曲率の大きい背側BSが溶接方向に沿って配置され、溶接を行う。加えて、シールドノズル1は、曲率の小さい腹側SSが曲率の大きい背側BSよりも先行して溶接方向に移動する。
【0017】
また、シールドノズル1は、シールドガスSGが吐出される前端側1aと、固定具6を介してホルダ5と接続される後端側1bとで、開口の形状が異なる。すなわち、後端側1bの開口形状は真円であるのに対して、図2に示すように、前端側1aの開口形状は楕円をなしている。加えて、後端側1bよりも前端側1aの開口面積が大きくなっている。
【0018】
<チップ2>
チップ2は、内部を溶接ワイヤ8が貫通するワイヤ挿通孔(図示せず)を備えており、溶接ワイヤ8を保持するとともに、ワイヤ送りチューブ7を流れてきた溶接電流を溶接ワイヤ8に供給する。
チップ2は、シールドノズル1と同様に湾曲している。つまり、曲率の小さい側及び曲率の大きい側が溶接方向に沿って配置され、かつ曲率の小さい側が曲率の大きい側よりも先行して溶接方向に移動する。
チップ2は、真円状の外観を有している。
【0019】
<シールドノズル1とチップ2の配置>
溶接トーチ10は、シールドノズル1とチップ2が以下のように配置されている。
固定具6を介してホルダ5と接続される後端側1bにおいては、シールドノズル1及びチップ2は、ともに真円状をなしており、同心上に配置される。しかし、前端側1aにおいては、チップ2は、腹側SSまでの距離が短くなるように、長径方向に偏心してシールドノズル1内に配置される。つまり、チップ2に保持される溶接ワイヤ8を基準にすると、溶接ワイヤ8から腹側SSの内壁までの距離をr1、溶接ワイヤ8から背側BSの内壁までの距離をr2とすると、r2>r1が成り立つ。
【0020】
前端側1aにおいてこのようにシールドノズル1とチップ2が配置される結果として、溶接ワイヤ8を基準として、溶接ワイヤ8よりも腹側SSにおけるシールドガスSGが流れる腹側流路F1よりも、溶接ワイヤ8よりも背側BSにおけるシールドガスSGが流れる背側流路F2の開口面積が大きい(図2)。したがって、溶接トーチ10は、溶接ワイヤ8よりも溶接方向の下流側をシールドする領域が広がる。図6を参照してこのことを説明する。なお、シールドガスSGが流れるシールドガス供給路SGLは、腹側流路F1と背側流路F2から構成されることになる。
【0021】
図6は、被溶接材Tを溶接している際の溶融池MとシールドガスSGの位置関係を示し、(a)は従来の溶接トーチ50を用いた場合を示し、(b)は本実施形態の溶接トーチ10を用いた場合を示している。
図6(a)に示すように、従来の溶接トーチ50は、前端側51aにおいて、シールドノズル51とチップ52は同心上に配置される。したがって、シールドノズル51とチップ52の間から供給されるシールドガスSGは溶接ワイヤ58を中心にしてリング状に均等に吐出される。図6には被溶接材Tに形成される溶融池Mをあわせて示しているが、溶融池Mの下流側(溶接方向)にシールドガスSGでシールできない領域(NA)が生じる。この未シールド領域NAが溶接ビードに酸化を生じさせる原因である。
これに対して、図6(b)に示すように、本実施形態の溶接トーチ10は、背側BSのシールドガスSGが流れる背側流路F2が大きいので、溶融池Mの下流端まで漏れなくシールドガスSGでシールすることができる。したがって、本実施形態の溶接トーチ10を用いて溶接を行うと、溶接ビードに酸化が生じにくい。
【0022】
<フランジ9>
溶接ビードの酸化防止効果をより向上できる溶接トーチ20を図3に示す。なお、溶接トーチ10と同じ構成部分には、図1と同じ符号を付している。
シールドノズル1から吐出されるシールドガスSGの周囲には流速が発生する。したがって、シールドノズル1から吐出されたシールドガスSGは、その周囲の大気Aを少なからずとも巻き込んでしまう。シールドガスSGに巻き込まれた大気Aは、溶接ビードを酸化させる要因となる。
そこで溶接トーチ20は、シールドノズル1の前端にフランジ9を備えている。このフランジ9は、シールドノズル1の外方に張り出しており、シールドガスSGに対する大気Aの巻き込み防止に寄与する。
【0023】
図3の例では、フランジ9をシールドノズル1の最前端に設けている。シールドガスSGに対する大気Aの巻き込み防止効果の観点から、この設置位置が最も好ましい。しかし、最前端から後退した位置に設けても大気Aの巻き込み防止効果を享受できることは言うまでもない。
また、図3の例では、フランジ9の平面形状をシールドノズル1前端の相似形である楕円形としている。しかし、大気Aの巻き込み防止効果が得られるのであれば、矩形などの他の形状を採用できる。
【0024】
<フレア12>
シールドガスSGを溶接方向の下流側のより広い範囲に供給するのに好適な溶接トーチ30を図4に示す。なお、溶接トーチ10と同じ構成部分には、図1と同じ符号を付している。
溶接トーチ30は、シールドノズル11の前端の背側BSに裾が広がるフレア12を設けている。シールドノズル11内をフレア12の内壁に沿って流れるシールドガスSGは、シールドノズル11を出ると図4に示すように、溶接方向の下流側に向けて流れるので、下流側のより広い範囲をシールドすることができる。
なお、図4の例では、背側BSにフレア12を設けているが、腹側SSにフレア12を設けることもできる。
【0025】
<オリフィス3>
図1、図2に示した溶接トーチ10は、オリフィス3が開口径の同じ6つのガス吐出孔4を円周方向に均等間隔で備えているが、本発明はこれに限らない。例えば、図5(a)に示すように、腹側SSに対応する位置にはガス吐出孔4を設けないようにできる。そうすることで、開口面積の大きい背側流路F2により多くのシールドガスSGを分配できる。同様の観点から、図5(b)に示すように、腹側SSに対応する位置には開口径の小さなガス吐出孔4aを配置し、背側BSに対応する位置には開口径の大きなガス吐出孔4bを配置することもできる。ただし、図5に示す形態にする場合でも、腹側SSへのシールドガスSGの供給不足が生じないように配慮する必要がある。
【0026】
以上説明したように、溶接トーチ10(20,30)は、腹側流路F1よりも背側流路F2の開口面積が大きく設定されているので、溶接トーチ10より下流側のより広い領域にシールドガスSGを供給できるので、溶接ビードの酸化を低減できる。その結果、SUS630のように酸化されやすい材料を溶接したときに生じるMT検査における擬似欠陥を低減できる。ここで、シールドノズル1の開口径を全体的に大きくすることでシールド領域を広げることができる。しかし、狭隘空間での隅肉溶接を目的とする溶接トーチ10の場合、溶接方向への径拡大の余地はあるが、溶接方向と直交する方向へは径拡大の余地がない場合がある。このような制約がある場合には、本実施形態のように、前端側1aのシールドノズル1の開口形状を、その長径が溶接方向に沿う楕円形状とすることが有効である。また、このような制約がある場合には、図3に示したフランジ9を、溶接方向にのみ設けることもできる。
【0027】
なお、上記実施形態では、後端側1bにおいては、シールドノズル1及びチップ2は同心上に配置されているが、本発明はこれを必須とするものではない。後端側1bにおいても、前端側1aと同様に、チップ2を長径方向に偏心させてシールドノズル1内に配置することもできる。
また、上記実施形態では、前端側1bのシールドノズル1の開口形状を楕円としているが、これはあくまで本発明の一形態にすぎず、溶接を行う環境が許容するのであれば、真円等の他の形態を採用できる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択し、あるいは他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0028】
10,20,30…溶接トーチ
1,11…シールドノズル、2…チップ、3…オリフィス
4,4a,4b…ガス吐出孔、5…ホルダ、6…固定具
7…ワイヤ送りチューブ、8…溶接ワイヤ、9…フランジ、12…フレア
SS…腹側、BS…背側、F1…腹側流路、F2…背側流路
M…溶融池、T…被溶接材、SG…シールドガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接ワイヤを保持するとともに前記溶接ワイヤに溶接電流を供給するチップと、
前記チップを内部に収容し、前記チップの周囲に形成される流路を通るシールドガスを溶接部位に向けて前端側より吐出させるシールドノズルと、を備え、
前記チップ及び前記シールドノズルが湾曲され、曲率の小さい腹側及び曲率の大きい背側が溶接方向に沿って溶接時に移動するガスシールド溶接トーチであって、
前記流路は、前記溶接ワイヤを基準として、前記溶接ワイヤよりも腹側において前記シールドガスが流れる腹側流路と、前記溶接ワイヤよりも前記背側において前記シールドガスが流れる背側流路とからなり、
少なくとも前記シールドノズルの前記前端側において、
前記腹側流路よりも前記背側流路の開口面積が大きく設定されている、
ことを特徴とするガスシールド溶接トーチ。
【請求項2】
前記シールドノズルの外方に張り出すフランジを、前記シールドノズルの前記前端側に備える、
請求項1に記載のガスシールド溶接トーチ。
【請求項3】
前記シールドノズルの前記前端側の前記背側にフレアを設ける、
請求項1又は請求項2に記載のガスシールド溶接トーチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−161508(P2011−161508A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30359(P2010−30359)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】