ガスセンサ及びその製造方法
【課題】ヒータホルダへのヒータの組み付けが容易であり、耐振動性に優れ、ヒータホルダからのヒータの脱離を防止できるガスセンサ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】センサ素子2と、これに挿入配置されたヒータ4と、ヒータ4を把持し、センサ素子2に対してヒータ4を固定する金属製のヒータホルダ6とを備えるガスセンサ1及びその製造方法である。ヒータホルダは、軸方向に伸びる背骨部と、軸方向と略垂直方向のヒータ側に伸びるように形成された一対の把持部613及び一対の素子固定部614と、ヒータ4をガスセンサの径方向に押圧する押圧部635とを有する。把持部613及び素子固定部614は、背骨部610と対向する側面が同一方向に開口する開口部619を有する。素子固定部614には、開口部619から背骨部610側に突出する突部618が形成されている。
【解決手段】センサ素子2と、これに挿入配置されたヒータ4と、ヒータ4を把持し、センサ素子2に対してヒータ4を固定する金属製のヒータホルダ6とを備えるガスセンサ1及びその製造方法である。ヒータホルダは、軸方向に伸びる背骨部と、軸方向と略垂直方向のヒータ側に伸びるように形成された一対の把持部613及び一対の素子固定部614と、ヒータ4をガスセンサの径方向に押圧する押圧部635とを有する。把持部613及び素子固定部614は、背骨部610と対向する側面が同一方向に開口する開口部619を有する。素子固定部614には、開口部619から背骨部610側に突出する突部618が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の内燃機関などの排気系には、排ガス中の酸素や窒素酸化物等の特定ガスの濃度を測定するガスセンサが配設されている。このようなガスセンサ9としては、図10に示すごとく、有底筒状に形成され、内側面に基準ガスに接する基準電極912が形成され、外側面に被測定ガスに接する測定電極914が形成されたイオン伝導性の固体電解質体915からなり、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出するセンサ素子91と、被測定ガス流路内にセンサ素子91を支持固定するハウジング92と、センサ素子91に挿入配置された棒状のヒータ93と、ヒータ93の基端部930を挿嵌保持する絶縁材からなるインシュレータ94と、ヒータ93を保持し、センサ素子91に対してヒータ93を固定すると共に、センサ素子91の基準電極912と電気的に導通する金属製のヒータホルダ95と、ヒータホルダ95を介して基準電極912に電気的に導通する基準側信号線98と、測定電極914に電気的に導通する測定側信号線99とを少なくとも備えるセンサが知られている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
ヒータホルダ95としては、様々な形状のものが開発されている。具体的には、ヒータホルダ95としては、ヒータ93を把持してヒータホルダ95に対してヒータ93を固定する把持部953と、センサ素子91に挿嵌されてセンサ素子91に対してヒータホルダ95を固定する素子固定部952とを少なくとも有するものがある(図11参照)。また、ヒータホルダ95としては、ヒータ93を側面からガスセンサ9の径方向に押圧する押圧部951が形成されたものが用いられている(特許文献1及び2参照、図11参照)。この押圧部951により、ヒータ93の先端部931がセンサ素子95の内側面に当接し、ヒータ93の先端部931をセンサ素子95に対して固定することができる。
また、ヒータホルダ95としては、全体として、一方の側面が開口した略円筒状のものが知られている(特許文献1及び2参照)。このように、側面に開口部を設けることにより、ヒータ93のヒータホルダ95への組み付けが容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−54822号公報
【特許文献2】特開2001−56312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ヒータホルダ95の押圧部951によりヒータ93を側面から押圧すると、ヒータホルダ95の開口部959からヒータ93が外れてしまうおそれがある(図11及び図12参照)。即ち、組み付け時にヒータ93を側面からヒータホルダ95に組み付けるためには、押圧部951に対向する側に開口部959を形成する必要が生じる。そのため、押圧部951によりヒータ93を側面から開口部959の方向901に押圧すると、ヒータ93の先端がセンサ素子91の内側面を押圧する応力が発生すると共に、ヒータホルダの把持部953においては、ヒータ93に対して開口部959からヒータ93が脱離する方向902に応力が発生する。そのため、ヒータホルダ95からヒータ93が脱離してしまうおそれがある。特に、振動時にヒータホルダ95からのヒータ93の脱離が起こり易くなる。
【0006】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであって、ヒータホルダへのヒータの組み付けが容易であり、耐振動性に優れ、ヒータホルダからのヒータの脱離を防止できるガスセンサ及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、有底筒状に形成され、内側面に基準ガスに接する基準電極が形成され、外側面に被測定ガスに接する測定電極が形成されたイオン伝導性の固体電解質体からなり、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出するセンサ素子と、
上記センサ素子に挿入配置されたヒータと、
上記ヒータを把持し、上記センサ素子に対して上記ヒータを固定すると共に、上記センサ素子の上記基準電極と電気的に導通する金属製のヒータホルダとを少なくとも備え、
上記ヒータホルダは、軸方向に伸びる背骨部と、上記軸方向と略垂直方向の上記ヒータ側に伸びるように形成され上記ヒータを把持する一対の把持部と、上記軸方向と略垂直方向の上記ヒータ側に伸びるように形成され上記センサ素子内において上記固体電解質体の内側面に当接し上記ヒータホルダを上記センサ素子に対して固定すると共に上記基準電極に電気的に導通する一対の素子固定部と、上記背骨部から軸方向の先端側に延設された先端延設部と、該先端延設部に形成され上記ヒータを上記ガスセンサの径方向に押圧する押圧部とを有し、
上記把持部及び上記素子固定部は、上記背骨部と対向する側面が同一方向に開口する開口部を有し、
上記素子固定部には、上記開口部から上記背骨部側に突出する突部が形成されていることを特徴とするガスセンサにある(請求項1)。
【0008】
第2の発明は、第1の発明のガスセンサの製造方法において、上記ヒータホルダの上記開口部から上記ヒータを側面から挿入することにより、上記ヒータホルダに上記ヒータを組み付けて組付け体を作製する組み付け工程と、
該組付け体を上記センサ素子の上記固体電解質体内に挿入配置し、上記ヒータホルダの上記押圧部により上記ガスセンサの径方向に押圧される上記ヒータの先端部を上記固体電解質体の上記内側面に当接させる挿入工程とを有することを特徴とするガスセンサの製造方法にある(請求項4)。
【発明の効果】
【0009】
上記ガスセンサにおいては、上記のように、上記ヒータホルダの上記把持部及び上記素子固定部は、上記背骨部と対向する側面が同一方向に開口する開口部を有する。即ち、上記ヒータホルダは、側面が同一方向に開口する。そのため、上記ガスセンサにおいては、上記ヒータを上記ヒータホルダに組み付ける際に、該ヒータホルダの開口部から、上記ヒータをその側面から組み付けることができる。それ故、上記ヒータホルダへのヒータの組み付けが容易になる。
【0010】
また、上記ヒータホルダの上記素子固定部には、上記開口部から上記背骨部側に突出する突部が形成されている。そのため、上記押圧部が上記ヒータの側面を上記ガスセンサの径方向に押圧しても、上記突部が上記押圧部による応力の支点となり、上記ヒータが上記ヒータホルダの開口部から脱離してしまうことを防止することができる。したがって、振動時等においても、上記ヒータが上記ヒータホルダから脱離することを防止することができる。
【0011】
このように、上記第1の発明によれば、ヒータホルダへのヒータの組み付けが容易であり、耐振動性に優れ、ヒータホルダからのヒータの脱離を防止できるガスセンサを提供することができる。
【0012】
次に、上記製造方法においては、上記組み付け工程と上記挿入工程とを行って上記ガスセンサを製造する。
上記組み付け工程においては、上記ヒータホルダの上記開口部から上記ヒータを側面から挿入する。これにより、上記ヒータホルダの上記把持部に上記ヒータの側面を把持させ、上記ヒータホルダに上記ヒータを組み付けて組付け体を作製することができる。
【0013】
また、上記挿入工程においては、上記組付け体を上記センサ素子の上記固体電解質体内に挿入配置する。そして、上記ヒータホルダの上記押圧部により上記ガスセンサの径方向に押圧される上記ヒータの先端部を上記固体電解質体の上記内側面に当接させる。
このようにして、上記ガスセンサを製造することができる。
上記第2の発明の作用効果は、上記第1の発明と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における、ガスセンサの縦断面図。
【図2】実施例1における、ヒータを保持するヒータホルダの全体構造を示す説明図。
【図3】実施例1における、ヒータを保持するヒータホルダの径方向の断面を示す説明図であって、図2におけるA−A線断面図(a)、図2におけるB−B線断面図(b)、図2におけるC−C線断面図(c)、図2におけるD−D線断面図(d)、図2におけるE−E線断面図(e)。
【図4】実施例1における、ヒータホルダの斜視図。
【図5】実施例1における、ヒータホルダを開口部側から見た正面図。
【図6】実施例1における、ヒータホルダに組み付けられたヒータがセンサ素子に挿入された状態を示す説明図。
【図7】実施例1における、ヒータを把持するヒータホルダをセンサの軸方向から見た図であって、センサ素子に挿入していない状態を示す説明図(a)、センサ素子に挿入し押圧部によってヒータを側面から押圧した状態を示す説明図(b)。
【図8】実施例1における、ヒータホルダにヒータを組み付ける工程を示す説明図であって、ヒータを側面からヒータホルダに挿入する様子を示す説明図(a)、ヒータをヒータホルダに組み付けた状態を示す説明図(b)。
【図9】実施例2における、ヒータホルダを開口部側から見た正面図。
【図10】従来のガスセンサの縦断面図
【図11】従来のガスセンサにおいて、ヒータホルダの押圧部によりヒータを径方向に押圧する様子を示す説明図。
【図12】従来のガスセンサにおいて、ヒータホルダからヒータが脱離する様子を軸方向から見た説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、本明細書においては、ガスセンサについて、被測定ガスに晒される側を先端側、その反対側を基端側として説明する。
上記ガスセンサとしては、例えば自動車エンジン等の各種車両用内燃機関の排気管に設置して、排ガスフィードバックシステムに使用する空燃比センサ、排ガス中の酸素濃度を測定する酸素センサなどがある。
【0016】
上記ガスセンサは、有底筒状に形成され、内側面に基準ガスに接する基準電極が形成され、外側面に被測定ガスに接する測定電極が形成されたイオン伝導性の固体電解質体からなり、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出するセンサ素子を有する。上記有底筒状としては、有底円筒状などがある。
また、上記ガスセンサは、上記センサ素子、具体的には有底筒状の上記固体電解質体に挿入配置されたヒータを備える。
上記ヒータは、例えば棒状(柱状)のセラミックヒータにより構成することができる。上記ヒータは、電気導通により発熱し、該ヒータの側面には、電気を導通するための一対のリード線を形成することができる。
【0017】
また、上記ガスセンサは、上記ヒータを把持し、上記センサ素子に対して上記ヒータを固定すると共に、上記センサ素子の上記基準電極と電気的に導通する金属製のヒータホルダを有する。
上記ヒータホルダは、軸方向に伸びる背骨部と、上記軸方向と略垂直方向の上記ヒータ側に伸びるように形成され上記ヒータを把持する一対の把持部と、上記軸方向と略垂直方向の上記ヒータ側に伸びるように形成され上記センサ素子内において上記固体電解質体の内側面に当接し上記ヒータホルダを上記センサ素子に対して固定すると共に上記基準電極に電気的に導通する一対の素子固定部と、上記背骨部から軸方向の先端側に延設された先端延設部と、該先端延設部に形成され上記ヒータを上記ガスセンサの径方向(上記背骨部側から上記開口部側)に押圧する押圧部とを有する。
【0018】
上記ヒータホルダにおいては、上記把持部が上記ヒータの側面を把持することにより、上記ヒータを上記ヒータホルダに対して固定することができる。また、上記素子固定部を上記センサ素子の有底筒状の上記固体電解質体内に挿嵌することにより、上記ヒータホルダを上記センサ素子に対して固定することができる。このとき、上記ヒータホルダの例えば上記素子固定部を、上記固体電解質体の内側面に形成された上記基準電極に電気的に接続させることもできる。また、上記押圧部により上記ヒータを側面から押圧し、上記ヒータの少なくとも先端部を上記センサ素子の内側面に当接させることができる。
【0019】
上記ヒータホルダにおいて、上記素子固定部には、上記開口部から上記背骨部側に突出する突部が形成されている。
上記突部は、上記ヒータの側面に当接していてもよいが、当接していなくてもよい。
上記突部がヒータの側面に当接している場合には、上記押圧部がヒータの側面を押圧する応力を上記突部がヒータの側面を押圧する応力により小さくすることができる。
また、上記突部が上記ヒータの側面に当接していない場合には、例えば振動時等に上記ヒータが上記ヒータホルダの開口部から脱離しそうな場合に、上記突部がヒータの側面に当接して脱離を防止することができる。
【0020】
上記素子固定部における上記突部は、上記素子固定部の開口部側の端部を上記ヒータに向けて折り返すことにより形成されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記突部を簡単に形成することができる。また、上記ヒータを上記ヒータホルダに組み付けた後に上記突部を簡単に形成することができる。そのため、上記突部により、上記ヒータホルダへの上記ヒータの組み付け性が損なわれることを回避することができる。
【0021】
また、上記ヒータの先端部と上記固体電解質体の内側面、及び上記ヒータの側面と上記素子固定部における上記突部は、それぞれ当接していることが好ましい(請求項3)。
上記ヒータの先端部と上記固体電解質体の内側面とを当接させることにより、上記固体電解質体に対して上記ヒータを固定することができる。そのため、耐振動性を向上させることができる。
また、上記ヒータの側面と上記素子固定部における上記突部とを当接させることにより、上述のように、上記押圧部がヒータの側面を押圧する応力を上記突部がヒータの側面を押圧する応力により小さくすることができる。
【0022】
次に、上記ガスセンサの製造方法においては、上記組み付け工程と上記挿入工程とを行う。
上記組み付け工程においては、上記ヒータホルダの上記開口部から上記ヒータを側面から挿入することにより、上記ヒータホルダに上記ヒータを組み付けて組付け体を作製する。
また、上記挿入工程においては、上記組付け体を上記センサ素子の上記固体電解質体内に挿入配置し、上記ヒータホルダの上記押圧部により上記ガスセンサの径方向に押圧される上記ヒータの先端部を上記固体電解質体の上記内側面に当接させる。このとき、上記ヒータホルダの上記素子固定部における上記突部に上記ヒータの側面を当接させることもできるが、当接させずに突部とヒータの側面に隙間を設けておくこともできる。
【0023】
また、上記挿入工程においては、上記組付け体を上記センサ素子の上記固体電解質体内に挿入配置することにより、上記固体電解質体の内側面により上記ヒータホルダの上記素子固定部を押圧し、一対の素子固定部の間隔を小さくすることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記組み付け工程において、一対の該素子固定部の間隔を大きくしておくことができるため、上記ヒータホルダに上記ヒータを組み付け難くなることを回避することができる。
【実施例】
【0024】
(実施例1)
次に、図1〜図8を用いて実施例にかかるガスセンサ1について説明する。
図1に示すごとく、本例のガスセンサ1は、センサ素子2と、ヒータ4と、ヒータホルダ6とを少なくとも備える。
【0025】
センサ素子2は、有底筒状に形成され、内側面21に基準ガスに接する基準電極215が形成され、外側面22に被測定ガスに接する測定電極225が形成されたイオン伝導性の固体電解質体20からなる。ヒータ4は、センサ素子2の固体電解質体20に挿入配置され、センサ素子2を加熱する。また、ヒータホルダ6は、ヒータ4を把持し、センサ素子2に対してヒータ4を固定すると共に、センサ素子2の基準電極215と電気的に導通する。
【0026】
図1〜図4に示すごとく、ヒータホルダ6は、軸方向に伸びる背骨部610と、上記軸方向と略垂直方向のヒータ4側に伸びるように形成されヒータ4を把持する一対の把持部613と、軸方向と略垂直方向のヒータ4側に伸びるように形成されセンサ素子2内において固体電解質体20の内側面21に当接しヒータホルダ6をセンサ素子2に対して固定すると共に基準電極215に電気的に導通する一対の素子固定部614と、背骨部610から軸方向の先端側に延設された先端延設部63と、該先端延設部63に形成されヒータ4をガスセンサ1の径方向(背骨部610側から開口部619側)に押圧する押圧部とを有する。
把持部613及び素子固定部614は、背骨部610と対向する側面が同一方向に開口する開口部619を有する。そして、素子固定部614には、開口部619から背骨部610側に突出する突部618が形成されている。
【0027】
以下、本例のガスセンサ1について、詳細に説明する。
図1に示すごとく、本例のガスセンサ1は、上述のセンサ素子2、ヒータ4、及びヒータホルダ6の他に、ハウジング3、インシュレータ5、基準側信号線71、及び測定側信号線72等を備える。ハウジング3は、被測定ガス流路内にセンサ素子2を支持固定する。インシュレータ5は、ヒータ4の基端部41を挿嵌保持する絶縁材からなる。また、基準側信号線71は、ヒータホルダ6を介してセンサ素子2の基準電極215に電気的に導通し、測定側信号線72は、後述の端子、リードを介して測定電極225に電気的に導通する。
【0028】
図1に示すように、ガスセンサ1において、センサ素子2は、筒状のハウジング3の内側に保持されている。
センサ素子2は、例えばジルコニア等の酸素イオン導電性材料を先端が閉塞した有底円筒状に形成した固体電解質体20と、その内側面21に形成された基準電極215と、外側面22に形成された測定電極225とを有する。固体電解質体20の中腹には径大の固体電解質体係合部201が形成されている。
【0029】
固体電解質体20の内側には金属製のヒータホルダ6が挿嵌されている。
本例において、ヒータホルダ6は、図1〜図6に示すごとく、ヒータ4を部分的に把持しヒータ4を部分的に覆う略円筒状の本体部61と、本体部61から基端側に延設され基準側信号線71に電気的に導通する端子部62とからなる。端子部62は、基端側においてガスセンサ1の基準側から伸びる基準側信号線71を挿入して狭持するように、側面が開口する略円筒状に形成されている。なお、図2は、ヒータを内部に保持したヒータホルダの側面図であり、図3(a)〜(e)は、それぞれ図2におけるA−A線、B−B線、C−C線、D−D線、E−E線の断面を矢視したときの断面形状を示す図である。
【0030】
ヒータホルダ6の本体部61は、基端側から先端側に向けて順に挿嵌部611と係止部612と把持部613と素子固定部614とを有する。具体的には、本体部61は、軸方向に伸びる背骨部610と、軸方向と略垂直方向のヒータ4側に背骨部610から伸びる一対の挿嵌部611と、軸方向と略垂直方向のヒータ側に背骨部610から伸びる一対の把持部613と、軸方向と略垂直方向のヒータ側に背骨部610から伸びる一対の素子固定部614と、背骨部610からガスセンサ1の径方向に伸びる一対の係止部612とを有する。挿嵌部611、把持部613、素子固定部614、及び係止部612は、背骨部と対向する側面が同一方向に開口する開口部619を有している。なお、係止部612は、背骨部610からヒータ4側とは反対方向に伸びるように形成されており、必然的にヒータ4側は開口している。即ち、ヒータホルダ6の本体部61は、ガスセンサの径方向の断面形状が略C字状になっている。
また、素子固定部614には、開口部619から背骨部610側に突出する突部618が形成されている。突部618は、素子固定部614の開口部619側の端部をヒータ4側に向けて折り返すことにより形成されている(図2〜図4参照)。
また、ヒータホルダ6の本体部61は、背骨部610から軸方向の先端側に延設された先端延設部63を有する。先端延設部63の先端側には、ヒータ4をガスセンサ1の径方向に押圧する押圧部635が形成されている。
【0031】
図1〜図6に示すごとく、ガスセンサ1においては、ヒータホルダ6が把持部613でヒータ4を把持した状態で先端側から固体電解質体20内に挿嵌されている。ヒータホルダ6は、素子固定部614において固体電解質体20の内側に嵌合している。また、ヒータホルダ6は素子固定部614において固体電解質体20の内側面21に形成された基準電極215と電気的に接続している。また、固体電解質体20の外側面に22形成された測定電極225は、基端側に伸びる測定側中間リード721に電気的に導通している。
【0032】
また、ヒータホルダ6の本体部61には、ヒータ4が組み付けられている。ヒータ4は、ヒータホルダ6の把持部613においてホルダに把持され、ヒータホルダ6に対してヒータ4が固定されている。
ヒータ4は、アルミナ等のセラミック材料を長軸状に形成したヒータ基体と、その先端内部に内蔵された発熱体(図示略)と、発熱体に接続された一対のリード線(図示略)と、ヒータ基板の表面に形成され、一対のリード線にそれぞれ導通する一対のヒータ電極45とから構成されている。
ヒータ4は、センサ素子2内に挿入されてヒータホルダ6の把持部613により弾性的に固定されている。
【0033】
また、図6に示すごとく、ヒータホルダ6の押圧部635は、ヒータ4の側面をガスセンサの径方向に押圧する。これにより、ヒータ4の先端部42が固体電解質体20の内側面21に当接されている。
図6、図7(a)及び(b)に示すごとく、押圧部635によりヒータ4は、ヒータホルダ6内において背骨部610から開口部619に向かう方向199に押圧される。そして、ヒータホルダ6の素子固定部614に設けられた突部618にヒータ4の側面が当接する。即ち、ヒータホルダ6は、押圧部635による押圧や振動等により、ヒータ4に径方向における背骨部から開口部へ向かう方向199に応力がかかったとしても、突部618がこの応力の支点となるように構成されている。なお、図7(a)及び(b)は、ヒータを把持するヒータホルダをセンサの軸方向から見た図であって、ヒータホルダにおける把持部及び素子固定部以外の構成を省略して示してある。
【0034】
また、図1に示すごとく、ハウジング3には、ハウジング係合部31が形成されており、金属製緩衝部材(図示略)を介して固体電解質体係合部201とハウジング係合部31とが係合してセンサ素子2がハウジング3内に係止されている。また、センサ素子2とハウジング3との間の空隙には、例えばタルクなどの絶縁性粉末101、絶縁性粉末成形体102、セラミック、ガラス等の絶縁性封止部材103、金属製部材からなるスペーサ104等によって構成される素子固定部材によって充填され、ハウジング3の上端縁のハウジングかしめ部32がかしめられてセンサ素子2がハウジング3内に固定されている。
【0035】
ハウジング3の先端側には、センサ素子2を保護する素子カバー12が固定されている。素子カバー12は、内側カバー121と外側カバー122との2つのカバーを並列して配置した二重構造からなる。そして、内側カバー121及び外側カバー122には、それぞれ被測定ガスをそれらの内部に導入するための被測定ガス導入口127、128が形成されている。
これにより、内燃機関の排気系を流通する被測定ガスを、被測定ガス導入口127、128を通じて素子カバー12の内側であってセンサ素子2の周囲に形成される被測定ガス室120に導入することができる。
【0036】
また、図1に示すごとく、ガスセンサ1は、基端側に、外部回路に接続する基準側信号線71及び測定側信号線72と、インシュレータ5と、インシュレータ保持金具50と、基準ガス側カバー13とが配設されている。
基準ガス側カバー13は、ハウジング3の基端側に固定されており、内側に基準ガス空間130を形成する。即ち、ハウジング3におけるかしめ部32よりも径方向外側に配設されたカバー固定部34に、基準ガス側カバー13の先端側開口部が溶接されている。基準ガス側カバー13の基端部は、ゴムブッシュ16により封止されている。そして、外部回路に接続する基準側信号線71及び測定側信号線72がゴムブッシュ16により絶縁支持されている。
【0037】
図1に示すごとく、インシュレータ5は、絶縁材からなり、円柱状の本体部56と本体部56の基端側端面561から基端側に伸びる略円柱状の突出部57とを有し、断面略凸形状の部材である。インシュレータ5の先端側端面562には、ヒータの基端部を挿嵌保持する挿嵌孔51が軸方向に設けられている。挿嵌孔51は、インシュレータ5を貫通せず、ヒータの基端部がインシュレータ5の内部で当接するように閉塞している。また、インシュレータ5には、ヒータホルダ6の本体部61から軸方向の基端側に伸びる端子部62(図1、図2、図4参照)が挿入される基準側端子孔52と、測定側中間リード721に接続する測定側端子722(図1参照)が挿入される測定側端子孔53とが、挿嵌孔51よりも径方向の外側にそれぞれ形成されている。基準側端子孔52及び測定側端子孔53は、インシュレータ5の本体部56を軸方向に貫通している。また、インシュレータ5には、ヒータ4の基端部41においてヒータ電極45から伸びて軸方向に突出する一対のリード部451が挿入される一対のヒータリード孔(図示略)が形成されている。ヒータリード孔は、インシュレータの先端部562側においては挿嵌孔51と一体となっており、突出部57においては、挿嵌孔51から独立した孔によって形成されている。ヒータリード孔は、本体部56及び突出部57を軸方向に貫通している。
【0038】
また、図1に示すごとく、インシュレータ5は、保持金具50により基準ガス側カバー13内に固定されている。そして、インシュレータ5の挿嵌孔51には、ヒータ4の基端部41がヒータホルダ6の挿嵌部611と共に挿入されている。
【0039】
図1〜図5に示すごとく、ヒータホルダ6の本体部の基端側に形成された挿嵌部611がヒータの基端部と共にインシュレータ5の挿嵌孔51に挿入されている。ヒータホルダ6の挿嵌部611は、インシュレータ5の挿嵌孔51と嵌合することにより、インシュレータ5に対してヒータホルダ6が固定されている。また、インシュレータ5の先端側端面562には、ヒータホルダ6の係止部612が当接している。これにより、挿嵌孔51に挿入されるヒータホルダ6の長さが調節されている。
またヒータリード孔には、ヒータ4の外周部の基端側に形成された一対のヒータ電極45から伸びる一対のリード部451が挿入されている。これらのリード部451には外部電源(図示略)から伸びるヒータ電源リード49に接続されており、外部電源からヒータ4に電力を供給できる構成になっている。
【0040】
また、インシュレータ5の基準側端子孔52には、ヒータホルダ6の本体部に一体的に連結されている基準側端子62が挿入されている。そして、基準側端子62は、ガスセンサ1の基端側から伸びる基準側信号線71に電気的に接続されている。
また、インシュレータ5の測定側端子孔53には、測定側端子722が挿入されている。測定側端子722は、弾性金属材料を略U字状のバネ状に形成してなる。測定側端子722は、先端側において上述のように測定側中間リード721に電気的に接続されており、基端側においてはガスセンサ1の基端側から伸びる測定側信号線72に電気的に接続されている。
【0041】
また、図1に示すごとく、基準ガス側カバー13の外周側には、かしめカバー14が配置されており、かしめカバー14は基準ガス側カバー13にかしめ固定されている。また、かしめカバー14には、基準ガス空間130に基準ガスを導入する基準ガス導入口141が形成されている。
【0042】
なお、基準ガスは大気であり、基準ガス導入口141から流入した大気は、基準ガス側カバー内の基準ガス空間130を通過してセンサ素子内の基準ガス室20まで流入する。
【0043】
次に、本例のガスセンサ1において、ヒータホルダへのヒータの組み付け方法について説明する。
本例において、図4、図8(a)及び(b)に示すごとく、ヒータホルダ6の本体部61は、軸方向に伸びる背骨部610と、軸方向と略垂直方向のヒータ4側に背骨部610から伸びる一対の挿嵌部611、一対の把持部613、一対の素子固定部614とをそれぞれ有している。また、本体部61は、背骨部610からガスセンサの径方向に伸びる一対の係止部612を有している。そして、挿嵌部611、把持部613、素子固定部614、及び係止部は、背骨部と対向する側面が同一方向に開口している。
【0044】
したがって、ヒータホルダ6の開口部側619からヒータ4を側面から挿入することにより、ヒータホルダ6にヒータ4を組み付けることができる(組み付け工程)。これにより、ヒータホルダ6にヒータ4を組み付けて組付け体400を得ることができる(図8(b)参照)。
【0045】
次に、図6に示すごとく、組付け体400をセンサ素子2の固体電解質体20内に挿入配置する(挿入工程)。挿入工程においては、組付け体400をセンサ素子2の固体電解質体20内に挿入配置することにより、固体電解質体20の内側面21によりヒータホルダ6の素子固定部614が押圧され、一対の素子固定部614の間隔D(素子固定部614における開口部619の間隔D)を小さくすることができる(図6、図7(a)及び(b)参照)。そして、ヒータ4の側面にヒータホルダ6の素子固定部614における突部618に当接させる(図7(b)参照)。また、ヒータホルダ6の押圧部635によりガスセンサの径方向に押圧されるヒータの先端部42を固体電解質体20の内側面21に当接させる(図6参照)。
【0046】
以下、本例のガスセンサ1の作用効果について図1〜図8を用いて説明する。
本例のガスセンサ1においては、上記のように、ヒータホルダ6の把持部613及び素子固定部614は、背骨部610と対向する側面が同一方向に開口する開口部619を有する。即ち、ヒータホルダ6の本体部61は、側面が同一方向に開口する。そのため、ガスセンサにおいては、ヒータ4をヒータホルダ6に組み付ける際に、ヒータホルダ6の開口部619から、ヒータ4をその側面から組み付けることができる(図8(a)及び(b)参照)。それ故、ヒータホルダ6へのヒータ4の組み付けが容易になる。
【0047】
また、ヒータホルダ6の素子固定部614には、開口部619から背骨部610側に突出する突部618が形成されている。そのため、押圧部635がヒータ4を側面からガスセンサ1の径方向に押圧しても、突部618が押圧部635による応力の支点となり、ヒータ4がヒータホルダ6の開口部619から脱離してしまうことを防止することができる。したがって、振動時等においても、ヒータ4がヒータホルダ6の開口部619から脱離することを防止することができる。
【0048】
また、本例において、突部618は、素子固定部614における開口部619側の端部をヒータ4に向けて折り返すことにより形成されている。
そのため、突部618を簡単に形成することができる。
【0049】
また、ヒータ4の先端部42と固体電解質体20の内側面21、及びヒータ4の側面と素子固定部614における突部618は、それぞれ当接している。
ヒータ4の先端部42と固体電解質体20の内側面21とを当接させることにより、固体電解質体20に対してヒータ4を固定することができる(図6参照)。そのため、耐振動性を向上させることができる。
また、ヒータ4の側面とヒータホルダ6の素子固定部614における突部618とを当接させることにより、突部618が、押圧部635がヒータ4の側面を押圧する応力の支点となり、ヒータ4の先端部42に発生する押圧応力を安定化することができる。
また、本例においては、突部618とヒータ4の側面とを当接させたが、両者の間に隙間を設けてあってもよい。この場合には、振動時等にヒータ4が径方向に動いたときに、ヒータ4の側面が突部に当接し、ヒータ4がヒータホルダ6から脱離することを防止することができる。
【0050】
次に、本例のガスセンサの製造方法においては、上記組み付け工程と上記挿入工程とを行っている。
図8(a)に示すごとく、上記組み付け工程においては、ヒータホルダ6の開口部619からヒータ4を側面から挿入する。これにより、図8(b)に示すごとく、ヒータホルダ6の把持部611にヒータ4の側面を把持させ、ヒータホルダ6にヒータ4を組み付けて組付け体400を作製することができる。
【0051】
また、挿入工程においては、図6に示すごとく、組付け体400をセンサ素子2の固体電解質体200内に挿入配置する。そして、ヒータホルダ6の押圧部635によりガスセンサ1の径方向に押圧されるヒータ4の先端部42を固体電解質体20の内側面21に当接させる。このとき、ヒータ4は、ヒータホルダの押圧部635により、径方向におけるヒータホルダ6の背骨部610側から開口部619側へ応力を受ける。本例においては、上述のように、ヒータホルダの素子固定部614に突部618が形成されており、この突部618が押圧部635による応力の支点となる。そのため、ヒータホルダ6の開口部619からヒータ4が脱離することを防止することができる。
【0052】
また、本例においては、組付け体400をセンサ素子2の固体電解質体200内に挿入配置することにより、固体電解質体200の内側面21によりヒータホルダ6の素子固定部614が押圧され(図6参照)、一対の素子固定部614の間隔Dを小さくしている(図7(a)及び(b)参照)。そのため、上記組み付け工程においては、一対の素子固定部614の間隔を大きくしておくことができる(図7(a)参照)ため、ヒータホルダ6にヒータ4を組み付け難くなることを回避することができる。
【0053】
このように、本例によれば、ヒータホルダへのヒータの組み付けが容易であり、耐振動性に優れ、ヒータホルダからのヒータの脱離を防止できるガスセンサ及びその製造方法を提供することができる。
【0054】
(実施例2)
本例は、実施例1とはヒータホルダの形状が異なるガスセンサの例である。実施例1においては、ヒータホルダ6の素子固定部614に、センサの軸方向に沿って伸びる突部を形成したが(図5参照)、本例においては、素子固定部の開口部側の端部の一部をヒータ側に部分的に突出させて突部818を形成した(図9参照)。
【0055】
図9に示すごとく、本例のヒータホルダの本体部81には、実施例1と同様に、挿嵌部811、係止部812、把持部813、素子固定部818、先端延設部83、及び押圧部835が形成されている。
素子固定部818は開口部側(図9の紙面手前側)の端部の一部が開口部側から背骨側(紙面の手前から奥)に向けて折り曲げられて、突部818が形成されている。本例のヒータホルダにおいては、突部により、ヒータ(図示略)の側面を面や線ではなく、点で押圧することができる。この場合には、ヒータホルダ6の押圧部835による押圧力をより安定化させることができる。
その他の構成及び作用効果は、実施例1と同様である。
【符号の説明】
【0056】
1 ガスセンサ
2 センサ素子
3 ハウジング
4 ヒータ
5 インシュレータ
6 ヒータホルダ
613 把持部
614 素子固定部
635 押圧部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の内燃機関などの排気系には、排ガス中の酸素や窒素酸化物等の特定ガスの濃度を測定するガスセンサが配設されている。このようなガスセンサ9としては、図10に示すごとく、有底筒状に形成され、内側面に基準ガスに接する基準電極912が形成され、外側面に被測定ガスに接する測定電極914が形成されたイオン伝導性の固体電解質体915からなり、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出するセンサ素子91と、被測定ガス流路内にセンサ素子91を支持固定するハウジング92と、センサ素子91に挿入配置された棒状のヒータ93と、ヒータ93の基端部930を挿嵌保持する絶縁材からなるインシュレータ94と、ヒータ93を保持し、センサ素子91に対してヒータ93を固定すると共に、センサ素子91の基準電極912と電気的に導通する金属製のヒータホルダ95と、ヒータホルダ95を介して基準電極912に電気的に導通する基準側信号線98と、測定電極914に電気的に導通する測定側信号線99とを少なくとも備えるセンサが知られている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
ヒータホルダ95としては、様々な形状のものが開発されている。具体的には、ヒータホルダ95としては、ヒータ93を把持してヒータホルダ95に対してヒータ93を固定する把持部953と、センサ素子91に挿嵌されてセンサ素子91に対してヒータホルダ95を固定する素子固定部952とを少なくとも有するものがある(図11参照)。また、ヒータホルダ95としては、ヒータ93を側面からガスセンサ9の径方向に押圧する押圧部951が形成されたものが用いられている(特許文献1及び2参照、図11参照)。この押圧部951により、ヒータ93の先端部931がセンサ素子95の内側面に当接し、ヒータ93の先端部931をセンサ素子95に対して固定することができる。
また、ヒータホルダ95としては、全体として、一方の側面が開口した略円筒状のものが知られている(特許文献1及び2参照)。このように、側面に開口部を設けることにより、ヒータ93のヒータホルダ95への組み付けが容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−54822号公報
【特許文献2】特開2001−56312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ヒータホルダ95の押圧部951によりヒータ93を側面から押圧すると、ヒータホルダ95の開口部959からヒータ93が外れてしまうおそれがある(図11及び図12参照)。即ち、組み付け時にヒータ93を側面からヒータホルダ95に組み付けるためには、押圧部951に対向する側に開口部959を形成する必要が生じる。そのため、押圧部951によりヒータ93を側面から開口部959の方向901に押圧すると、ヒータ93の先端がセンサ素子91の内側面を押圧する応力が発生すると共に、ヒータホルダの把持部953においては、ヒータ93に対して開口部959からヒータ93が脱離する方向902に応力が発生する。そのため、ヒータホルダ95からヒータ93が脱離してしまうおそれがある。特に、振動時にヒータホルダ95からのヒータ93の脱離が起こり易くなる。
【0006】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであって、ヒータホルダへのヒータの組み付けが容易であり、耐振動性に優れ、ヒータホルダからのヒータの脱離を防止できるガスセンサ及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、有底筒状に形成され、内側面に基準ガスに接する基準電極が形成され、外側面に被測定ガスに接する測定電極が形成されたイオン伝導性の固体電解質体からなり、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出するセンサ素子と、
上記センサ素子に挿入配置されたヒータと、
上記ヒータを把持し、上記センサ素子に対して上記ヒータを固定すると共に、上記センサ素子の上記基準電極と電気的に導通する金属製のヒータホルダとを少なくとも備え、
上記ヒータホルダは、軸方向に伸びる背骨部と、上記軸方向と略垂直方向の上記ヒータ側に伸びるように形成され上記ヒータを把持する一対の把持部と、上記軸方向と略垂直方向の上記ヒータ側に伸びるように形成され上記センサ素子内において上記固体電解質体の内側面に当接し上記ヒータホルダを上記センサ素子に対して固定すると共に上記基準電極に電気的に導通する一対の素子固定部と、上記背骨部から軸方向の先端側に延設された先端延設部と、該先端延設部に形成され上記ヒータを上記ガスセンサの径方向に押圧する押圧部とを有し、
上記把持部及び上記素子固定部は、上記背骨部と対向する側面が同一方向に開口する開口部を有し、
上記素子固定部には、上記開口部から上記背骨部側に突出する突部が形成されていることを特徴とするガスセンサにある(請求項1)。
【0008】
第2の発明は、第1の発明のガスセンサの製造方法において、上記ヒータホルダの上記開口部から上記ヒータを側面から挿入することにより、上記ヒータホルダに上記ヒータを組み付けて組付け体を作製する組み付け工程と、
該組付け体を上記センサ素子の上記固体電解質体内に挿入配置し、上記ヒータホルダの上記押圧部により上記ガスセンサの径方向に押圧される上記ヒータの先端部を上記固体電解質体の上記内側面に当接させる挿入工程とを有することを特徴とするガスセンサの製造方法にある(請求項4)。
【発明の効果】
【0009】
上記ガスセンサにおいては、上記のように、上記ヒータホルダの上記把持部及び上記素子固定部は、上記背骨部と対向する側面が同一方向に開口する開口部を有する。即ち、上記ヒータホルダは、側面が同一方向に開口する。そのため、上記ガスセンサにおいては、上記ヒータを上記ヒータホルダに組み付ける際に、該ヒータホルダの開口部から、上記ヒータをその側面から組み付けることができる。それ故、上記ヒータホルダへのヒータの組み付けが容易になる。
【0010】
また、上記ヒータホルダの上記素子固定部には、上記開口部から上記背骨部側に突出する突部が形成されている。そのため、上記押圧部が上記ヒータの側面を上記ガスセンサの径方向に押圧しても、上記突部が上記押圧部による応力の支点となり、上記ヒータが上記ヒータホルダの開口部から脱離してしまうことを防止することができる。したがって、振動時等においても、上記ヒータが上記ヒータホルダから脱離することを防止することができる。
【0011】
このように、上記第1の発明によれば、ヒータホルダへのヒータの組み付けが容易であり、耐振動性に優れ、ヒータホルダからのヒータの脱離を防止できるガスセンサを提供することができる。
【0012】
次に、上記製造方法においては、上記組み付け工程と上記挿入工程とを行って上記ガスセンサを製造する。
上記組み付け工程においては、上記ヒータホルダの上記開口部から上記ヒータを側面から挿入する。これにより、上記ヒータホルダの上記把持部に上記ヒータの側面を把持させ、上記ヒータホルダに上記ヒータを組み付けて組付け体を作製することができる。
【0013】
また、上記挿入工程においては、上記組付け体を上記センサ素子の上記固体電解質体内に挿入配置する。そして、上記ヒータホルダの上記押圧部により上記ガスセンサの径方向に押圧される上記ヒータの先端部を上記固体電解質体の上記内側面に当接させる。
このようにして、上記ガスセンサを製造することができる。
上記第2の発明の作用効果は、上記第1の発明と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における、ガスセンサの縦断面図。
【図2】実施例1における、ヒータを保持するヒータホルダの全体構造を示す説明図。
【図3】実施例1における、ヒータを保持するヒータホルダの径方向の断面を示す説明図であって、図2におけるA−A線断面図(a)、図2におけるB−B線断面図(b)、図2におけるC−C線断面図(c)、図2におけるD−D線断面図(d)、図2におけるE−E線断面図(e)。
【図4】実施例1における、ヒータホルダの斜視図。
【図5】実施例1における、ヒータホルダを開口部側から見た正面図。
【図6】実施例1における、ヒータホルダに組み付けられたヒータがセンサ素子に挿入された状態を示す説明図。
【図7】実施例1における、ヒータを把持するヒータホルダをセンサの軸方向から見た図であって、センサ素子に挿入していない状態を示す説明図(a)、センサ素子に挿入し押圧部によってヒータを側面から押圧した状態を示す説明図(b)。
【図8】実施例1における、ヒータホルダにヒータを組み付ける工程を示す説明図であって、ヒータを側面からヒータホルダに挿入する様子を示す説明図(a)、ヒータをヒータホルダに組み付けた状態を示す説明図(b)。
【図9】実施例2における、ヒータホルダを開口部側から見た正面図。
【図10】従来のガスセンサの縦断面図
【図11】従来のガスセンサにおいて、ヒータホルダの押圧部によりヒータを径方向に押圧する様子を示す説明図。
【図12】従来のガスセンサにおいて、ヒータホルダからヒータが脱離する様子を軸方向から見た説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、本明細書においては、ガスセンサについて、被測定ガスに晒される側を先端側、その反対側を基端側として説明する。
上記ガスセンサとしては、例えば自動車エンジン等の各種車両用内燃機関の排気管に設置して、排ガスフィードバックシステムに使用する空燃比センサ、排ガス中の酸素濃度を測定する酸素センサなどがある。
【0016】
上記ガスセンサは、有底筒状に形成され、内側面に基準ガスに接する基準電極が形成され、外側面に被測定ガスに接する測定電極が形成されたイオン伝導性の固体電解質体からなり、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出するセンサ素子を有する。上記有底筒状としては、有底円筒状などがある。
また、上記ガスセンサは、上記センサ素子、具体的には有底筒状の上記固体電解質体に挿入配置されたヒータを備える。
上記ヒータは、例えば棒状(柱状)のセラミックヒータにより構成することができる。上記ヒータは、電気導通により発熱し、該ヒータの側面には、電気を導通するための一対のリード線を形成することができる。
【0017】
また、上記ガスセンサは、上記ヒータを把持し、上記センサ素子に対して上記ヒータを固定すると共に、上記センサ素子の上記基準電極と電気的に導通する金属製のヒータホルダを有する。
上記ヒータホルダは、軸方向に伸びる背骨部と、上記軸方向と略垂直方向の上記ヒータ側に伸びるように形成され上記ヒータを把持する一対の把持部と、上記軸方向と略垂直方向の上記ヒータ側に伸びるように形成され上記センサ素子内において上記固体電解質体の内側面に当接し上記ヒータホルダを上記センサ素子に対して固定すると共に上記基準電極に電気的に導通する一対の素子固定部と、上記背骨部から軸方向の先端側に延設された先端延設部と、該先端延設部に形成され上記ヒータを上記ガスセンサの径方向(上記背骨部側から上記開口部側)に押圧する押圧部とを有する。
【0018】
上記ヒータホルダにおいては、上記把持部が上記ヒータの側面を把持することにより、上記ヒータを上記ヒータホルダに対して固定することができる。また、上記素子固定部を上記センサ素子の有底筒状の上記固体電解質体内に挿嵌することにより、上記ヒータホルダを上記センサ素子に対して固定することができる。このとき、上記ヒータホルダの例えば上記素子固定部を、上記固体電解質体の内側面に形成された上記基準電極に電気的に接続させることもできる。また、上記押圧部により上記ヒータを側面から押圧し、上記ヒータの少なくとも先端部を上記センサ素子の内側面に当接させることができる。
【0019】
上記ヒータホルダにおいて、上記素子固定部には、上記開口部から上記背骨部側に突出する突部が形成されている。
上記突部は、上記ヒータの側面に当接していてもよいが、当接していなくてもよい。
上記突部がヒータの側面に当接している場合には、上記押圧部がヒータの側面を押圧する応力を上記突部がヒータの側面を押圧する応力により小さくすることができる。
また、上記突部が上記ヒータの側面に当接していない場合には、例えば振動時等に上記ヒータが上記ヒータホルダの開口部から脱離しそうな場合に、上記突部がヒータの側面に当接して脱離を防止することができる。
【0020】
上記素子固定部における上記突部は、上記素子固定部の開口部側の端部を上記ヒータに向けて折り返すことにより形成されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記突部を簡単に形成することができる。また、上記ヒータを上記ヒータホルダに組み付けた後に上記突部を簡単に形成することができる。そのため、上記突部により、上記ヒータホルダへの上記ヒータの組み付け性が損なわれることを回避することができる。
【0021】
また、上記ヒータの先端部と上記固体電解質体の内側面、及び上記ヒータの側面と上記素子固定部における上記突部は、それぞれ当接していることが好ましい(請求項3)。
上記ヒータの先端部と上記固体電解質体の内側面とを当接させることにより、上記固体電解質体に対して上記ヒータを固定することができる。そのため、耐振動性を向上させることができる。
また、上記ヒータの側面と上記素子固定部における上記突部とを当接させることにより、上述のように、上記押圧部がヒータの側面を押圧する応力を上記突部がヒータの側面を押圧する応力により小さくすることができる。
【0022】
次に、上記ガスセンサの製造方法においては、上記組み付け工程と上記挿入工程とを行う。
上記組み付け工程においては、上記ヒータホルダの上記開口部から上記ヒータを側面から挿入することにより、上記ヒータホルダに上記ヒータを組み付けて組付け体を作製する。
また、上記挿入工程においては、上記組付け体を上記センサ素子の上記固体電解質体内に挿入配置し、上記ヒータホルダの上記押圧部により上記ガスセンサの径方向に押圧される上記ヒータの先端部を上記固体電解質体の上記内側面に当接させる。このとき、上記ヒータホルダの上記素子固定部における上記突部に上記ヒータの側面を当接させることもできるが、当接させずに突部とヒータの側面に隙間を設けておくこともできる。
【0023】
また、上記挿入工程においては、上記組付け体を上記センサ素子の上記固体電解質体内に挿入配置することにより、上記固体電解質体の内側面により上記ヒータホルダの上記素子固定部を押圧し、一対の素子固定部の間隔を小さくすることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記組み付け工程において、一対の該素子固定部の間隔を大きくしておくことができるため、上記ヒータホルダに上記ヒータを組み付け難くなることを回避することができる。
【実施例】
【0024】
(実施例1)
次に、図1〜図8を用いて実施例にかかるガスセンサ1について説明する。
図1に示すごとく、本例のガスセンサ1は、センサ素子2と、ヒータ4と、ヒータホルダ6とを少なくとも備える。
【0025】
センサ素子2は、有底筒状に形成され、内側面21に基準ガスに接する基準電極215が形成され、外側面22に被測定ガスに接する測定電極225が形成されたイオン伝導性の固体電解質体20からなる。ヒータ4は、センサ素子2の固体電解質体20に挿入配置され、センサ素子2を加熱する。また、ヒータホルダ6は、ヒータ4を把持し、センサ素子2に対してヒータ4を固定すると共に、センサ素子2の基準電極215と電気的に導通する。
【0026】
図1〜図4に示すごとく、ヒータホルダ6は、軸方向に伸びる背骨部610と、上記軸方向と略垂直方向のヒータ4側に伸びるように形成されヒータ4を把持する一対の把持部613と、軸方向と略垂直方向のヒータ4側に伸びるように形成されセンサ素子2内において固体電解質体20の内側面21に当接しヒータホルダ6をセンサ素子2に対して固定すると共に基準電極215に電気的に導通する一対の素子固定部614と、背骨部610から軸方向の先端側に延設された先端延設部63と、該先端延設部63に形成されヒータ4をガスセンサ1の径方向(背骨部610側から開口部619側)に押圧する押圧部とを有する。
把持部613及び素子固定部614は、背骨部610と対向する側面が同一方向に開口する開口部619を有する。そして、素子固定部614には、開口部619から背骨部610側に突出する突部618が形成されている。
【0027】
以下、本例のガスセンサ1について、詳細に説明する。
図1に示すごとく、本例のガスセンサ1は、上述のセンサ素子2、ヒータ4、及びヒータホルダ6の他に、ハウジング3、インシュレータ5、基準側信号線71、及び測定側信号線72等を備える。ハウジング3は、被測定ガス流路内にセンサ素子2を支持固定する。インシュレータ5は、ヒータ4の基端部41を挿嵌保持する絶縁材からなる。また、基準側信号線71は、ヒータホルダ6を介してセンサ素子2の基準電極215に電気的に導通し、測定側信号線72は、後述の端子、リードを介して測定電極225に電気的に導通する。
【0028】
図1に示すように、ガスセンサ1において、センサ素子2は、筒状のハウジング3の内側に保持されている。
センサ素子2は、例えばジルコニア等の酸素イオン導電性材料を先端が閉塞した有底円筒状に形成した固体電解質体20と、その内側面21に形成された基準電極215と、外側面22に形成された測定電極225とを有する。固体電解質体20の中腹には径大の固体電解質体係合部201が形成されている。
【0029】
固体電解質体20の内側には金属製のヒータホルダ6が挿嵌されている。
本例において、ヒータホルダ6は、図1〜図6に示すごとく、ヒータ4を部分的に把持しヒータ4を部分的に覆う略円筒状の本体部61と、本体部61から基端側に延設され基準側信号線71に電気的に導通する端子部62とからなる。端子部62は、基端側においてガスセンサ1の基準側から伸びる基準側信号線71を挿入して狭持するように、側面が開口する略円筒状に形成されている。なお、図2は、ヒータを内部に保持したヒータホルダの側面図であり、図3(a)〜(e)は、それぞれ図2におけるA−A線、B−B線、C−C線、D−D線、E−E線の断面を矢視したときの断面形状を示す図である。
【0030】
ヒータホルダ6の本体部61は、基端側から先端側に向けて順に挿嵌部611と係止部612と把持部613と素子固定部614とを有する。具体的には、本体部61は、軸方向に伸びる背骨部610と、軸方向と略垂直方向のヒータ4側に背骨部610から伸びる一対の挿嵌部611と、軸方向と略垂直方向のヒータ側に背骨部610から伸びる一対の把持部613と、軸方向と略垂直方向のヒータ側に背骨部610から伸びる一対の素子固定部614と、背骨部610からガスセンサ1の径方向に伸びる一対の係止部612とを有する。挿嵌部611、把持部613、素子固定部614、及び係止部612は、背骨部と対向する側面が同一方向に開口する開口部619を有している。なお、係止部612は、背骨部610からヒータ4側とは反対方向に伸びるように形成されており、必然的にヒータ4側は開口している。即ち、ヒータホルダ6の本体部61は、ガスセンサの径方向の断面形状が略C字状になっている。
また、素子固定部614には、開口部619から背骨部610側に突出する突部618が形成されている。突部618は、素子固定部614の開口部619側の端部をヒータ4側に向けて折り返すことにより形成されている(図2〜図4参照)。
また、ヒータホルダ6の本体部61は、背骨部610から軸方向の先端側に延設された先端延設部63を有する。先端延設部63の先端側には、ヒータ4をガスセンサ1の径方向に押圧する押圧部635が形成されている。
【0031】
図1〜図6に示すごとく、ガスセンサ1においては、ヒータホルダ6が把持部613でヒータ4を把持した状態で先端側から固体電解質体20内に挿嵌されている。ヒータホルダ6は、素子固定部614において固体電解質体20の内側に嵌合している。また、ヒータホルダ6は素子固定部614において固体電解質体20の内側面21に形成された基準電極215と電気的に接続している。また、固体電解質体20の外側面に22形成された測定電極225は、基端側に伸びる測定側中間リード721に電気的に導通している。
【0032】
また、ヒータホルダ6の本体部61には、ヒータ4が組み付けられている。ヒータ4は、ヒータホルダ6の把持部613においてホルダに把持され、ヒータホルダ6に対してヒータ4が固定されている。
ヒータ4は、アルミナ等のセラミック材料を長軸状に形成したヒータ基体と、その先端内部に内蔵された発熱体(図示略)と、発熱体に接続された一対のリード線(図示略)と、ヒータ基板の表面に形成され、一対のリード線にそれぞれ導通する一対のヒータ電極45とから構成されている。
ヒータ4は、センサ素子2内に挿入されてヒータホルダ6の把持部613により弾性的に固定されている。
【0033】
また、図6に示すごとく、ヒータホルダ6の押圧部635は、ヒータ4の側面をガスセンサの径方向に押圧する。これにより、ヒータ4の先端部42が固体電解質体20の内側面21に当接されている。
図6、図7(a)及び(b)に示すごとく、押圧部635によりヒータ4は、ヒータホルダ6内において背骨部610から開口部619に向かう方向199に押圧される。そして、ヒータホルダ6の素子固定部614に設けられた突部618にヒータ4の側面が当接する。即ち、ヒータホルダ6は、押圧部635による押圧や振動等により、ヒータ4に径方向における背骨部から開口部へ向かう方向199に応力がかかったとしても、突部618がこの応力の支点となるように構成されている。なお、図7(a)及び(b)は、ヒータを把持するヒータホルダをセンサの軸方向から見た図であって、ヒータホルダにおける把持部及び素子固定部以外の構成を省略して示してある。
【0034】
また、図1に示すごとく、ハウジング3には、ハウジング係合部31が形成されており、金属製緩衝部材(図示略)を介して固体電解質体係合部201とハウジング係合部31とが係合してセンサ素子2がハウジング3内に係止されている。また、センサ素子2とハウジング3との間の空隙には、例えばタルクなどの絶縁性粉末101、絶縁性粉末成形体102、セラミック、ガラス等の絶縁性封止部材103、金属製部材からなるスペーサ104等によって構成される素子固定部材によって充填され、ハウジング3の上端縁のハウジングかしめ部32がかしめられてセンサ素子2がハウジング3内に固定されている。
【0035】
ハウジング3の先端側には、センサ素子2を保護する素子カバー12が固定されている。素子カバー12は、内側カバー121と外側カバー122との2つのカバーを並列して配置した二重構造からなる。そして、内側カバー121及び外側カバー122には、それぞれ被測定ガスをそれらの内部に導入するための被測定ガス導入口127、128が形成されている。
これにより、内燃機関の排気系を流通する被測定ガスを、被測定ガス導入口127、128を通じて素子カバー12の内側であってセンサ素子2の周囲に形成される被測定ガス室120に導入することができる。
【0036】
また、図1に示すごとく、ガスセンサ1は、基端側に、外部回路に接続する基準側信号線71及び測定側信号線72と、インシュレータ5と、インシュレータ保持金具50と、基準ガス側カバー13とが配設されている。
基準ガス側カバー13は、ハウジング3の基端側に固定されており、内側に基準ガス空間130を形成する。即ち、ハウジング3におけるかしめ部32よりも径方向外側に配設されたカバー固定部34に、基準ガス側カバー13の先端側開口部が溶接されている。基準ガス側カバー13の基端部は、ゴムブッシュ16により封止されている。そして、外部回路に接続する基準側信号線71及び測定側信号線72がゴムブッシュ16により絶縁支持されている。
【0037】
図1に示すごとく、インシュレータ5は、絶縁材からなり、円柱状の本体部56と本体部56の基端側端面561から基端側に伸びる略円柱状の突出部57とを有し、断面略凸形状の部材である。インシュレータ5の先端側端面562には、ヒータの基端部を挿嵌保持する挿嵌孔51が軸方向に設けられている。挿嵌孔51は、インシュレータ5を貫通せず、ヒータの基端部がインシュレータ5の内部で当接するように閉塞している。また、インシュレータ5には、ヒータホルダ6の本体部61から軸方向の基端側に伸びる端子部62(図1、図2、図4参照)が挿入される基準側端子孔52と、測定側中間リード721に接続する測定側端子722(図1参照)が挿入される測定側端子孔53とが、挿嵌孔51よりも径方向の外側にそれぞれ形成されている。基準側端子孔52及び測定側端子孔53は、インシュレータ5の本体部56を軸方向に貫通している。また、インシュレータ5には、ヒータ4の基端部41においてヒータ電極45から伸びて軸方向に突出する一対のリード部451が挿入される一対のヒータリード孔(図示略)が形成されている。ヒータリード孔は、インシュレータの先端部562側においては挿嵌孔51と一体となっており、突出部57においては、挿嵌孔51から独立した孔によって形成されている。ヒータリード孔は、本体部56及び突出部57を軸方向に貫通している。
【0038】
また、図1に示すごとく、インシュレータ5は、保持金具50により基準ガス側カバー13内に固定されている。そして、インシュレータ5の挿嵌孔51には、ヒータ4の基端部41がヒータホルダ6の挿嵌部611と共に挿入されている。
【0039】
図1〜図5に示すごとく、ヒータホルダ6の本体部の基端側に形成された挿嵌部611がヒータの基端部と共にインシュレータ5の挿嵌孔51に挿入されている。ヒータホルダ6の挿嵌部611は、インシュレータ5の挿嵌孔51と嵌合することにより、インシュレータ5に対してヒータホルダ6が固定されている。また、インシュレータ5の先端側端面562には、ヒータホルダ6の係止部612が当接している。これにより、挿嵌孔51に挿入されるヒータホルダ6の長さが調節されている。
またヒータリード孔には、ヒータ4の外周部の基端側に形成された一対のヒータ電極45から伸びる一対のリード部451が挿入されている。これらのリード部451には外部電源(図示略)から伸びるヒータ電源リード49に接続されており、外部電源からヒータ4に電力を供給できる構成になっている。
【0040】
また、インシュレータ5の基準側端子孔52には、ヒータホルダ6の本体部に一体的に連結されている基準側端子62が挿入されている。そして、基準側端子62は、ガスセンサ1の基端側から伸びる基準側信号線71に電気的に接続されている。
また、インシュレータ5の測定側端子孔53には、測定側端子722が挿入されている。測定側端子722は、弾性金属材料を略U字状のバネ状に形成してなる。測定側端子722は、先端側において上述のように測定側中間リード721に電気的に接続されており、基端側においてはガスセンサ1の基端側から伸びる測定側信号線72に電気的に接続されている。
【0041】
また、図1に示すごとく、基準ガス側カバー13の外周側には、かしめカバー14が配置されており、かしめカバー14は基準ガス側カバー13にかしめ固定されている。また、かしめカバー14には、基準ガス空間130に基準ガスを導入する基準ガス導入口141が形成されている。
【0042】
なお、基準ガスは大気であり、基準ガス導入口141から流入した大気は、基準ガス側カバー内の基準ガス空間130を通過してセンサ素子内の基準ガス室20まで流入する。
【0043】
次に、本例のガスセンサ1において、ヒータホルダへのヒータの組み付け方法について説明する。
本例において、図4、図8(a)及び(b)に示すごとく、ヒータホルダ6の本体部61は、軸方向に伸びる背骨部610と、軸方向と略垂直方向のヒータ4側に背骨部610から伸びる一対の挿嵌部611、一対の把持部613、一対の素子固定部614とをそれぞれ有している。また、本体部61は、背骨部610からガスセンサの径方向に伸びる一対の係止部612を有している。そして、挿嵌部611、把持部613、素子固定部614、及び係止部は、背骨部と対向する側面が同一方向に開口している。
【0044】
したがって、ヒータホルダ6の開口部側619からヒータ4を側面から挿入することにより、ヒータホルダ6にヒータ4を組み付けることができる(組み付け工程)。これにより、ヒータホルダ6にヒータ4を組み付けて組付け体400を得ることができる(図8(b)参照)。
【0045】
次に、図6に示すごとく、組付け体400をセンサ素子2の固体電解質体20内に挿入配置する(挿入工程)。挿入工程においては、組付け体400をセンサ素子2の固体電解質体20内に挿入配置することにより、固体電解質体20の内側面21によりヒータホルダ6の素子固定部614が押圧され、一対の素子固定部614の間隔D(素子固定部614における開口部619の間隔D)を小さくすることができる(図6、図7(a)及び(b)参照)。そして、ヒータ4の側面にヒータホルダ6の素子固定部614における突部618に当接させる(図7(b)参照)。また、ヒータホルダ6の押圧部635によりガスセンサの径方向に押圧されるヒータの先端部42を固体電解質体20の内側面21に当接させる(図6参照)。
【0046】
以下、本例のガスセンサ1の作用効果について図1〜図8を用いて説明する。
本例のガスセンサ1においては、上記のように、ヒータホルダ6の把持部613及び素子固定部614は、背骨部610と対向する側面が同一方向に開口する開口部619を有する。即ち、ヒータホルダ6の本体部61は、側面が同一方向に開口する。そのため、ガスセンサにおいては、ヒータ4をヒータホルダ6に組み付ける際に、ヒータホルダ6の開口部619から、ヒータ4をその側面から組み付けることができる(図8(a)及び(b)参照)。それ故、ヒータホルダ6へのヒータ4の組み付けが容易になる。
【0047】
また、ヒータホルダ6の素子固定部614には、開口部619から背骨部610側に突出する突部618が形成されている。そのため、押圧部635がヒータ4を側面からガスセンサ1の径方向に押圧しても、突部618が押圧部635による応力の支点となり、ヒータ4がヒータホルダ6の開口部619から脱離してしまうことを防止することができる。したがって、振動時等においても、ヒータ4がヒータホルダ6の開口部619から脱離することを防止することができる。
【0048】
また、本例において、突部618は、素子固定部614における開口部619側の端部をヒータ4に向けて折り返すことにより形成されている。
そのため、突部618を簡単に形成することができる。
【0049】
また、ヒータ4の先端部42と固体電解質体20の内側面21、及びヒータ4の側面と素子固定部614における突部618は、それぞれ当接している。
ヒータ4の先端部42と固体電解質体20の内側面21とを当接させることにより、固体電解質体20に対してヒータ4を固定することができる(図6参照)。そのため、耐振動性を向上させることができる。
また、ヒータ4の側面とヒータホルダ6の素子固定部614における突部618とを当接させることにより、突部618が、押圧部635がヒータ4の側面を押圧する応力の支点となり、ヒータ4の先端部42に発生する押圧応力を安定化することができる。
また、本例においては、突部618とヒータ4の側面とを当接させたが、両者の間に隙間を設けてあってもよい。この場合には、振動時等にヒータ4が径方向に動いたときに、ヒータ4の側面が突部に当接し、ヒータ4がヒータホルダ6から脱離することを防止することができる。
【0050】
次に、本例のガスセンサの製造方法においては、上記組み付け工程と上記挿入工程とを行っている。
図8(a)に示すごとく、上記組み付け工程においては、ヒータホルダ6の開口部619からヒータ4を側面から挿入する。これにより、図8(b)に示すごとく、ヒータホルダ6の把持部611にヒータ4の側面を把持させ、ヒータホルダ6にヒータ4を組み付けて組付け体400を作製することができる。
【0051】
また、挿入工程においては、図6に示すごとく、組付け体400をセンサ素子2の固体電解質体200内に挿入配置する。そして、ヒータホルダ6の押圧部635によりガスセンサ1の径方向に押圧されるヒータ4の先端部42を固体電解質体20の内側面21に当接させる。このとき、ヒータ4は、ヒータホルダの押圧部635により、径方向におけるヒータホルダ6の背骨部610側から開口部619側へ応力を受ける。本例においては、上述のように、ヒータホルダの素子固定部614に突部618が形成されており、この突部618が押圧部635による応力の支点となる。そのため、ヒータホルダ6の開口部619からヒータ4が脱離することを防止することができる。
【0052】
また、本例においては、組付け体400をセンサ素子2の固体電解質体200内に挿入配置することにより、固体電解質体200の内側面21によりヒータホルダ6の素子固定部614が押圧され(図6参照)、一対の素子固定部614の間隔Dを小さくしている(図7(a)及び(b)参照)。そのため、上記組み付け工程においては、一対の素子固定部614の間隔を大きくしておくことができる(図7(a)参照)ため、ヒータホルダ6にヒータ4を組み付け難くなることを回避することができる。
【0053】
このように、本例によれば、ヒータホルダへのヒータの組み付けが容易であり、耐振動性に優れ、ヒータホルダからのヒータの脱離を防止できるガスセンサ及びその製造方法を提供することができる。
【0054】
(実施例2)
本例は、実施例1とはヒータホルダの形状が異なるガスセンサの例である。実施例1においては、ヒータホルダ6の素子固定部614に、センサの軸方向に沿って伸びる突部を形成したが(図5参照)、本例においては、素子固定部の開口部側の端部の一部をヒータ側に部分的に突出させて突部818を形成した(図9参照)。
【0055】
図9に示すごとく、本例のヒータホルダの本体部81には、実施例1と同様に、挿嵌部811、係止部812、把持部813、素子固定部818、先端延設部83、及び押圧部835が形成されている。
素子固定部818は開口部側(図9の紙面手前側)の端部の一部が開口部側から背骨側(紙面の手前から奥)に向けて折り曲げられて、突部818が形成されている。本例のヒータホルダにおいては、突部により、ヒータ(図示略)の側面を面や線ではなく、点で押圧することができる。この場合には、ヒータホルダ6の押圧部835による押圧力をより安定化させることができる。
その他の構成及び作用効果は、実施例1と同様である。
【符号の説明】
【0056】
1 ガスセンサ
2 センサ素子
3 ハウジング
4 ヒータ
5 インシュレータ
6 ヒータホルダ
613 把持部
614 素子固定部
635 押圧部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状に形成され、内側面に基準ガスに接する基準電極が形成され、外側面に被測定ガスに接する測定電極が形成されたイオン伝導性の固体電解質体からなり、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出するセンサ素子と、
上記センサ素子に挿入配置されたヒータと、
上記ヒータを把持し、上記センサ素子に対して上記ヒータを固定すると共に、上記センサ素子の上記基準電極と電気的に導通する金属製のヒータホルダとを少なくとも備え、
上記ヒータホルダは、軸方向に伸びる背骨部と、上記軸方向と略垂直方向の上記ヒータ側に伸びるように形成され上記ヒータを把持する一対の把持部と、上記軸方向と略垂直方向の上記ヒータ側に伸びるように形成され上記センサ素子内において上記固体電解質体の内側面に当接し上記ヒータホルダを上記センサ素子に対して固定すると共に上記基準電極に電気的に導通する一対の素子固定部と、上記背骨部から軸方向の先端側に延設された先端延設部と、該先端延設部に形成され上記ヒータを上記ガスセンサの径方向に押圧する押圧部とを有し、
上記把持部及び上記素子固定部は、上記背骨部と対向する側面が同一方向に開口する開口部を有し、
上記素子固定部には、上記開口部から上記背骨部側に突出する突部が形成されていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスセンサにおいて、上記素子固定部における上記突部は、上記素子固定部の開口部側の端部を上記ヒータに向けて折り返すことにより形成されていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガスセンサにおいて、上記ヒータの先端部と上記固体電解質体の内側面、及び上記ヒータの側面と上記素子固定部における上記突部は、それぞれ当接していることを特徴とするガスセンサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスセンサの製造方法において、上記ヒータホルダの上記開口部から上記ヒータを側面から挿入することにより、上記ヒータホルダに上記ヒータを組み付けて組付け体を作製する組み付け工程と、
該組付け体を上記センサ素子の上記固体電解質体内に挿入配置し、上記ヒータホルダの上記押圧部により上記ガスセンサの径方向に押圧される上記ヒータの先端部を上記固体電解質体の上記内側面に当接させる挿入工程とを有することを特徴とするガスセンサの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の製造方法において、上記挿入工程においては、上記組付け体を上記センサ素子の上記固体電解質体内に挿入配置することにより、上記固体電解質体の内側面により上記ヒータホルダの上記素子固定部を押圧し、一対の素子固定部の間隔を小さくすることを特徴とするガスセンサの製造方法。
【請求項1】
有底筒状に形成され、内側面に基準ガスに接する基準電極が形成され、外側面に被測定ガスに接する測定電極が形成されたイオン伝導性の固体電解質体からなり、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出するセンサ素子と、
上記センサ素子に挿入配置されたヒータと、
上記ヒータを把持し、上記センサ素子に対して上記ヒータを固定すると共に、上記センサ素子の上記基準電極と電気的に導通する金属製のヒータホルダとを少なくとも備え、
上記ヒータホルダは、軸方向に伸びる背骨部と、上記軸方向と略垂直方向の上記ヒータ側に伸びるように形成され上記ヒータを把持する一対の把持部と、上記軸方向と略垂直方向の上記ヒータ側に伸びるように形成され上記センサ素子内において上記固体電解質体の内側面に当接し上記ヒータホルダを上記センサ素子に対して固定すると共に上記基準電極に電気的に導通する一対の素子固定部と、上記背骨部から軸方向の先端側に延設された先端延設部と、該先端延設部に形成され上記ヒータを上記ガスセンサの径方向に押圧する押圧部とを有し、
上記把持部及び上記素子固定部は、上記背骨部と対向する側面が同一方向に開口する開口部を有し、
上記素子固定部には、上記開口部から上記背骨部側に突出する突部が形成されていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスセンサにおいて、上記素子固定部における上記突部は、上記素子固定部の開口部側の端部を上記ヒータに向けて折り返すことにより形成されていることを特徴とするガスセンサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガスセンサにおいて、上記ヒータの先端部と上記固体電解質体の内側面、及び上記ヒータの側面と上記素子固定部における上記突部は、それぞれ当接していることを特徴とするガスセンサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスセンサの製造方法において、上記ヒータホルダの上記開口部から上記ヒータを側面から挿入することにより、上記ヒータホルダに上記ヒータを組み付けて組付け体を作製する組み付け工程と、
該組付け体を上記センサ素子の上記固体電解質体内に挿入配置し、上記ヒータホルダの上記押圧部により上記ガスセンサの径方向に押圧される上記ヒータの先端部を上記固体電解質体の上記内側面に当接させる挿入工程とを有することを特徴とするガスセンサの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の製造方法において、上記挿入工程においては、上記組付け体を上記センサ素子の上記固体電解質体内に挿入配置することにより、上記固体電解質体の内側面により上記ヒータホルダの上記素子固定部を押圧し、一対の素子固定部の間隔を小さくすることを特徴とするガスセンサの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−242133(P2012−242133A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109734(P2011−109734)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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