説明

ガスタービンシステム

【課題】ガスタービンシステムの損失を低減し、信頼性向上を図ること。
【解決手段】ガスタービンシステム1は、空気を圧縮する空気圧縮機10と、圧縮された高圧空気に燃料ガスを噴射して高温高圧の燃焼ガスを発生させるための燃焼器12と、燃焼ガスによって駆動され動力を発生するガスタービンと、燃料ガス供給源20からの燃料ガスを昇圧し、燃焼器12に供給するための燃料ガス圧縮機18と、を有し、ガスタービンはそれぞれ異なる回転数で回転可能な高圧タービン14と低圧タービン16とからなり、空気圧縮機10と燃料ガス圧縮機18と高圧タービン14は動力伝達可能に連結されており、部分負荷運転時は前記空気圧縮機と前記燃料ガス圧縮機の回転数を定格運転時よりも低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンシステムにおける燃料ガス圧縮機の駆動方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製鉄所の副生ガスである、低カロリーの高炉ガスなどを燃料とする低カロリーガス焚きガスタービンシステムとして、例えば図4に示されるようなものがある。ガスタービンシステム100は、大気から空気を取り入れて昇圧する空気圧縮機110、空気圧縮機110で昇圧された高圧の空気と燃料ガスとを混合し、燃焼させる燃焼器112および燃焼器112で得られた燃焼ガスから動力を抽出するガスタービン114を有する。さらに、ガスタービンシステム100は、燃料ガス供給源120からの低カロリー燃料ガスを昇圧し、燃焼器112に供給するための燃料ガス圧縮機118を有する。
【0003】
図4に示すガスタービンシステム100において、燃料ガス供給源120から供給された燃料ガスは燃料ガス圧縮機118で圧縮され、燃焼器112に供給される。次に、空気圧縮機110で圧縮された空気と燃料ガスとを混合し、燃焼器112で燃焼させることによって発生した高温高圧の燃焼ガスのエネルギーによってガスタービン114が回転駆動される。
ガスタービン114にて得られた動力は、図4に示すように発電機126などの機器を駆動する用途に使用される。発電機を駆動する用途に用いられる場合、軸回転数は一般的に供給電力周波数によって決まるため、ガスタービンシステム100の作動条件によらずに一定回転数(同期回転数)で運転される。また、図4に示される例のようにガスタービン114で得られる動力は、燃料ガス圧縮機118の駆動に使用される場合もある。
【0004】
ガスタービンシステム100の動力調整は、燃料の流量調整によって行う。燃料ガス圧縮機118が軸流圧縮機である場合、燃料ガスの流量調整は燃料ガス圧縮機118の入口に設けられた図示しない可変静翼により行う。この時、調整可能な燃料流量の範囲は、可変静翼の開度範囲、または燃料ガス圧縮機118のサージ限界によって制限される。このため、必要となる燃料流量の範囲がガス圧縮機118の単体にて可能となる調整範囲を超える場合は、図4に示すように燃料を燃料ガス圧縮機118の出口からバイパス経路136を介して燃料ガス供給源120にバイパスして還流させることにより、燃料ガス圧縮機118の吸込流量を確保する。
【0005】
ガスタービンシステム100の必要燃料流量が小さい部分負荷運転時に燃料バイパスを行う場合、ガスタービン114が要求する以上の量の燃料ガスを昇圧することになり、必要以上の燃料ガス圧縮機118の動力を消費することになるため、結果的に全体効率が低下する。
【0006】
また、部分負荷運転時に燃料ガス圧縮機118の吸込流量の調整範囲を制限するのは、燃料ガス圧縮機118の限界圧力比の低下(限界圧力比は流量にほぼ比例する)と、流量低下時の燃料ガス圧縮機118の効率の低下が挙げられる。
軸流圧縮機では、吸込流量の低下に伴い、サージによる運転限界圧力比が低下する。このため、ガスタービン114の圧力比が高い状態、すなわち燃料ガス圧縮機118の圧力比が高い状態で燃料ガス圧縮機118の吸込流量を低下させた場合、ガス圧縮機118のサージ運用限界を超えるため、運転を継続することができなくなる。
一方、サージ圧力比を増加させるために、圧縮機の段数を増加させることも可能であるが、定格負荷運転条件では本来不要な翼列を追加することになるため、燃料ガス圧縮機118の効率が低下し、全体性能も低下することになる。
【0007】
このため、例えば特許文献1などでは、燃料ガス圧縮機と空気圧縮機は回転制御装置を介してガスタービン(燃焼器とタービンから構成される部分)と結合され、部分負荷ではガスタービンとは異なる回転数で燃料ガス圧縮機と空気圧縮機とを運転する構成としたガスタービンシステムが開示されている。
あるいは、燃料ガス圧縮機や空気圧縮機をガスタービンの軸系とは独立させ、モータや蒸気タービンなどで駆動し、回転数可変とすることが考えられる。
【0008】
これらの構成によれば、回転数を調整することによって燃料ガス圧縮機と空気圧縮機の流量調整を行い、部分負荷運転時はガスタービンシステムの圧力比を低下させることができる。このため、ガスタービンに必要最小限の燃料ガスと空気条件を設定することが可能となり、燃料ガス圧縮機と空気圧縮機の軸動力を低減し、ガスタービンシステムの部分負荷効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−159586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたガスタービンシステムは、回転制御装置として、流体継手や油圧クラッチなどの大掛かりな機械的付帯設備を必要とする。このため、回転制御装置による機械的ロスが発生すると共に、ガスタービンシステムの製造コストも大幅に増加する。また、燃料ガス圧縮機や空気圧縮機をモータや蒸気タービンなどで駆動する構成とした場合も、ガスタービンシステムの製造コストや運用コストが大幅に増加する。さらに、このような付帯設備により、システム全体として複雑になることから、信頼性が低下するおそれがある。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、構造的にシンプルであり、低コストで、より信頼性の高いガスタービンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係るガスタービンシステムは、空気を圧縮する空気圧縮機と、圧縮された高圧空気に燃料ガスを噴射して高温高圧の燃焼ガスを発生させるための燃焼器と、前記燃焼ガスによって駆動され動力を発生するガスタービンと、燃料ガス供給源からの燃料ガスを昇圧し、前記燃焼器に供給するための燃料ガス圧縮機と、を有し、前記ガスタービンはそれぞれ異なる回転数で回転可能な高圧タービンと低圧タービンとからなり、前記空気圧縮機と前記燃料ガス圧縮機と前記高圧タービンは動力伝達可能に連結されており、部分負荷運転時は前記空気圧縮機と前記燃料ガス圧縮機の回転数を定格運転時よりも低下させることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るガスタービンシステムによれば、空気圧縮機と燃料ガス圧縮機は、低圧タービンとは独立した回転数で回転可能な高圧タービンによって駆動される。このため、回転制御装置などの機械的な付帯設備を有することなく、燃料ガス圧縮機および空気圧縮機の可変流量範囲を拡大でき、機械的ロスと製造コストの低減、およびシステム全体の信頼性を向上できるという効果を奏する。
【0014】
上記ガスタービンシステムにおいて、前記燃料ガス圧縮機は増速機または減速機を介して前記空気圧縮機に結合される構成としてもよい。
【0015】
このようなガスタービンシステムでは、燃料ガス圧縮機を空気圧縮機と異なる定格回転数で設計をすることが可能となり、燃料ガス圧縮機と空気圧縮機とがそれぞれ最適な空力性能となるように設計できることからシステム全体の効率が向上する。
【0016】
上記ガスタービンシステムにおいて、前記燃料ガス圧縮機の出口ガスを前記燃料ガス供給源に分岐させるバイパス経路を有する構成としてもよい。
【0017】
このようなガス化複合発電システムでは、燃料ガスの流量調整は、燃料ガス圧縮機の回転数や可変静翼の開度だけでなく、燃料ガスのバイパス流量の調整によっても行うことができるので、燃焼器に供給される燃料ガスの制御性が向上する。
【0018】
本発明に係るガスタービンシステムを運転する方法は、空気を圧縮する空気圧縮機と、圧縮された高圧空気に燃料ガスを噴射して高温高圧の燃焼ガスを発生させるための燃焼器と、前記燃焼ガスによって駆動され動力を発生するガスタービンと、燃料ガス供給源からの燃料ガスを昇圧し、前記燃焼器に供給するための燃料ガス圧縮機と、を有し、前記ガスタービンはそれぞれ異なる回転数で回転可能な高圧タービンと低圧タービンとからなり、前記低圧タービンに動力伝達可能に結合される発電機と、を有し、前記空気圧縮機と前記燃料ガス圧縮機と前記高圧タービンは動力伝達可能に連結され、前記空気圧縮機と燃料ガス圧縮機は前記高圧タービンによって回転駆動されるガスジェネレータ部を構成し、前記高圧タービンの後流側に前記低圧タービンが配置されており、前記高圧タービンと前記低圧タービンは軸系としては結合されておらず、それぞれ異なる回転数で回転可能であり、前記低圧タービンは動力伝達可能に発電機に結合されてパワータービン部を構成しているガスタービンシステムにおいて、ガスタービンシステムの部分負荷運転時は定格運転時の回転数よりも低い回転数でガスジェネレータ部を運転し、前記空気圧縮機と燃料ガス圧縮機出口の流量ないし圧力を定格運転時よりも低下させること、を特徴とする。
【0019】
本発明に係るガスタービンシステムを運転する方法によれば、ガスジェネレータ部を可変速運転とすることにより、空気圧縮機および燃料ガス圧縮機の効率を損なうことなく、ガスタービンシステムの圧力比を低下させることができ、部分負荷運転が可能となることから、システム全体の効率を向上できるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るガスタービンシステムによれば、機械的ロスと製造コストを低減できると共に、システム全体の信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るガスタービンシステムの構成概略図である。
【図2a】軸流圧縮機の特性線図である。
【図2b】軸流圧縮機の特性線図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るガスタービンシステムの構成概略図である。
【図4】従来の低カロリー焚きガスタービンシステムの構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施形態]
以下、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るガスタービンシステムについて説明する。
図1のガスタービンシステム1は、空気圧縮機10と、燃焼器12と、高圧タービン14と、低圧タービン16と、燃料ガス圧縮機18と、発電機26とからなる。空気圧縮機10と、高圧タービン14と、燃料ガス圧縮機18とは同一回転軸に結合されており、ガスジェネレータ部40を構成している。また、低圧タービン16と発電機26とは同一回転軸に結合されており、パワータービン部42を構成している。ここで、高圧タービン14と低圧タービン16とは軸系としては結合されておらず、異なる回転数で回転可能となるように構成されている。すなわち、ガスジェネレータ部40とパワータービン部42とは、それぞれ異なる回転数で回転可能となるように構成されている。
【0023】
空気圧縮機10は、大気から取り入れた空気を圧縮するように構成されている。燃料ガス圧縮機18は、燃料ガス供給源20から供給された燃料ガスを圧縮するように構成されている。圧縮された燃料ガスは、燃料ガス供給経路34を介して燃焼器12に供給されるように構成されている。燃焼器12は、空気圧縮機10で圧縮された空気に、燃料ガス圧縮機18で圧縮された燃料ガスを噴射して燃焼させ、高温高圧の燃焼ガスを生成するように構成されている。高圧タービン14は、燃焼器12で生成された高温高圧の燃焼ガスが導かれて回転駆動されると共に、同一回転軸に結合された空気圧縮機10と、燃料ガス圧縮機18とを回転駆動するように構成されている。低圧タービン16は、高圧タービン14の出口ガスが導かれて回転駆動されると共に、同一回転軸に結合された発電機26を回転駆動するように構成されている。発電機26は低圧タービン16によって回転駆動され、発電するように構成されている。
なお、ここでは排熱回収ボイラや蒸気タービンの構成(ボトミング系統)については記載と説明を省略する。
【0024】
また、図1には燃料ガス供給経路34から分岐し、燃料ガス圧縮機18の出口ガスを燃料ガス供給源20に還流させるためのバイパス経路36が設けられているが、必須の構成ではない。
【0025】
ここで、燃料ガスとしては、高炉ガス、コークス炉ガス、転炉ガスなどの製鉄所の副生ガスや製油所の副生ガス、石炭ガス化ガス、残渣油ガス化ガスなどが挙げられる。また、こられのガスの少なくとも2種の混合ガスでも良く、特に限定されるものではない。
【0026】
次に、本発明の第1実施形態に係るガスタービンシステムの運転方法について説明する。
ガスタービンシステム1を図示しない起動装置を用いて起動する。燃料ガス圧縮機18は空気圧縮機10と共に高圧タービン14によって回転駆動され、燃料ガス供給源20から供給された燃料ガスを圧縮して燃焼器12に供給する。次に、空気圧縮機10で圧縮された空気と燃料ガスとを混合し、燃焼器12で燃焼させることによって高温高圧の燃焼ガスを発生させる。発生した高温高圧の燃焼ガスのエネルギーによって高圧タービン14と、その後流側の低圧タービン16とが回転駆動される。そして低圧タービン16は発電機26を駆動し、発電を行う。なお、バイパス経路36が設けられている場合、燃料ガス圧縮機18の出口燃料ガスの余剰分はバイパス経路36を通って燃料ガス供給源20に還流させることができる。
【0027】
通常、発電機は一定の周波数(同期周波数、たとえば60Hz)で送電する必要性から、ガスタービンシステム1の作動条件によらず、パワータービン部42は送電系と同期する一定の回転数(同期回転数、例えば3600min−1)で運転される。
一方、電力需要が少なく、ガスタービンシステム1を定格出力よりも低い出力(部分負荷)で運転する場合、必要な燃料ガス流量と燃焼用空気流量、すなわち燃料ガス圧縮機18と空気圧縮機10の吸込流量は定格出力の場合よりも少なくなる。そこで、部分負荷では、ガスジェネレータ部40の回転数を定格回転数から低下させて運転する。これに対し、パワータービン部42は同期回転数に維持される。なお、ここでガスジェネレータ部40の定格回転数とは、ガスタービンシステム1が定格出力を発生する時の回転数を意味するが、この回転数は前記同期回転数と必ずしも同一に設定する必要はなく、適宜設計条件によって選択することが可能である。
【0028】
次に、電力需要が多くなり、ガスタービンシステム1を定格出力で運転する場合、必要な燃料ガス流量と燃焼用空気流量が多くなることから、ガスジェネレータ部40の回転数を上昇させ、定格回転数に到達させる。これにより、パワータービン部42に流入する燃焼ガスの圧力と温度が上昇し、パワータービン部42の出力が増加することから、ガスタービンシステム1を定格出力で運転することができる。
【0029】
ここで、図2aと図2bに可変回転数の圧縮機の特性線図を示す。
図2aにおいて、横軸は圧縮機の吸込流量、縦軸は圧縮機の断熱効率を示す。一方、図2bにおいて、横軸は同じく圧縮機の吸込流量、縦軸は圧縮機の吸込圧力と吐出圧力との比(圧力比)を示す。
【0030】
図2aと図2bから解るように、定格回転数である100%回転数から85%回転数まで低下させると、吸込流量は定格流量の45%程度まで減少させることが出来るが、断熱効率は定格時から殆んど低下していないことが解る。従って、ガスジェネレータ部40を可変速運転とすることにより、ガス圧縮機18および空気圧縮機10の効率を損なうことなく、ガスタービンシステム1の圧力比を低下させることができ、部分負荷運転が可能となる。
【0031】
また、図1の構成では、ガスジェネレータ部40において、空気圧縮機10は機械的な回転制御装置を介することなく高圧タービン14に一体的に結合されているので、機械的な動力の損失もなく、公知のガスタービンと同一の構造を踏襲することができる。このため、簡単な構造によってガスタービンシステム1の信頼性を確保できる。
【0032】
また、図1に示すように、燃料ガス圧縮機18の吐出ガスを燃料ガス供給源20に還流させるバイパス経路36を設けることにより、燃焼器12に導かれる燃料ガス流量の制御性が向上する。
【0033】
[第2の実施形態]
次に、図3を参照して、本発明の第2実施形態に係るガスタービンシステムについて説明する。ただし、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明は省略する。
図3に示す第2の実施形態のガスタービンシステム3において、第1の実施形態のガスタービンシステム1と異なる点は、燃料ガス圧縮機18が増速機22を介して空気圧縮機10と結合されている点である。なお、増速機22は公知のものを用いることができ、特に限定されるものではない。
【0034】
体積流量ベースで空気圧縮機10の吸込流量よりも燃料ガス圧縮機18の吸込流量の方が小さい場合、圧縮機の体格としては、空気圧縮機10よりも燃料ガス圧縮機18の方が小さくなる。ここで、空気圧縮機10の効率が最適となるように設計した場合、燃料ガス圧縮機18の定格回転数が空気圧縮機10の回転数と同一であれば、体格の小さい燃料ガス圧縮機18の図示しない回転翼の周速(回転翼の半径と回転角速度の積)が小さくなってしまい、本来期待できる効率よりも低い効率となってしまう。
【0035】
言い換えれば、回転翼の半径が小さい燃料ガス圧縮機18の回転翼の周速を確保するためには、空気圧縮機10よりも燃料ガス圧縮機18の回転数を大きくする必要がある。このため、本実施形態では、増速機22を介して、燃料ガス圧縮機18を空気圧縮機10よりも大きく、最適な効率を達成する回転数で回転駆動することを可能としている。
【0036】
一方、体積流量ベースで空気圧縮機10よりも燃料ガス圧縮機18の吸込流量の方が大きい場合も考えられる。この場合は、圧縮機の体格としては、空気圧縮機10よりも燃料ガス圧縮機18の方が大きくなる。このため、各々の圧縮機を最適な回転数で設計して運転する場合は、燃料ガス圧縮機18は減速機を介して空気圧縮機10と結合する構成とし、燃料ガス圧縮機18に対し、空気圧縮機10の回転数が大きくなるようにすれば良い。
【0037】
上記の構成とすることにより、いずれの場合においても、空気圧縮機10と燃料ガス圧縮機18とをそれぞれ最適な効率が得られるように設計することが可能となり、ガスタービンシステム3の効率を最適化することができる。
【0038】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更・変形が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1,3 ガスタービンシステム
10 空気圧縮機
12 燃焼器
14 高圧タービン
16 低圧タービン
18 燃料ガス圧縮機
20 燃料ガス供給源
22 増速機
26 発電機
34 燃料ガス供給経路
36 バイパス経路
40 ガスジェネレータ部
42 パワータービン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮する空気圧縮機と
圧縮された高圧空気に燃料ガスを噴射して高温高圧の燃焼ガスを発生させるための燃焼器と、
前記燃焼ガスによって駆動され動力を発生するガスタービンと、
燃料ガス供給源からの燃料ガスを昇圧し、前記燃焼器に供給するための燃料ガス圧縮機と、を有し、
前記ガスタービンはそれぞれ異なる回転数で回転可能な高圧タービンと低圧タービンとからなり、
前記空気圧縮機と前記燃料ガス圧縮機と前記高圧タービンは動力伝達可能に連結されており、
部分負荷運転時は前記空気圧縮機と前記燃料ガス圧縮機の回転数を定格運転時よりも低下させること
を特徴とするガスタービンシステム。
【請求項2】
請求項1記載のガスタービンシステムにおいて、
前記燃料ガス圧縮機は増速機または減速機を介して前記空気圧縮機に結合されていること
を特徴とするガスタービンシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガスタービンシステムにおいて、
前記燃料ガス圧縮機の出口ガスを前記燃料ガス供給源に分岐させるバイパス経路を有することを
を特徴とするガスタービンシステム。
【請求項4】
請求項1ないし3記載のガスタービンシステムにおいて、
燃料ガスは製鉄所や製油所の副生ガス、石炭ガス化ガス、残渣油ガス化ガスまたはこれらのうち少なくとも2種以上の混合ガスであること
を特徴とするガスタービンシステム。
【請求項5】
ガスタービンシステムを運転する方法であって、
空気を圧縮する空気圧縮機と、
圧縮された高圧空気に燃料ガスを噴射して高温高圧の燃焼ガスを発生させるための燃焼器と、
前記燃焼ガスによって駆動され動力を発生するガスタービンと、
燃料ガス供給源からの燃料ガスを昇圧し、前記燃焼器に供給するための燃料ガス圧縮機と、を有し、
前記ガスタービンはそれぞれ異なる回転数で回転可能な高圧タービンと低圧タービンとからなり、
前記低圧タービンに動力伝達可能に結合される発電機と、を有し、
前記空気圧縮機と前記燃料ガス圧縮機と前記高圧タービンは動力伝達可能に連結され、前記空気圧縮機と燃料ガス圧縮機は前記高圧タービンによって回転駆動されるガスジェネレータ部を構成し、
前記高圧タービンの後流側に前記低圧タービンが配置されており、前記高圧タービンと前記低圧タービンは軸系としては結合されておらず、それぞれ異なる回転数で回転可能であり、前記低圧タービンは動力伝達可能に発電機に結合されてパワータービン部を構成しているガスタービンシステムにおいて、
ガスタービンシステムの部分負荷運転時は定格運転時の回転数よりも低い回転数でガスジェネレータ部を運転し、前記空気圧縮機と燃料ガス圧縮機出口の流量ないし圧力を定格運転時よりも低下させること、
を特徴とするガスタービンシステムの運転方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−202515(P2011−202515A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67884(P2010−67884)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)