説明

ガスタービン吸気用フィルタユニット

【課題】ガスタービン内部に吸入される空気を清浄化するための吸気用フィルタユニットに関し、ガスタービンの出力低下を防ぐようにするとともにフィルタの寿命が長寿命となるように、天候・気象の変化や周囲環境の変化に応じて、各段のフィルタを見直し、高価な高性能フィルタの寿命が目標通り発揮できるようにしたガスタービン用吸気フィルタを提供しようとするものである。
【解決手段】ガスタービン吸気装置の空気取入口のフィルタ取付枠にガスタービンの吸気環境の粉塵濃度に応じて、捕集率の異なるプレフィルタ、中高性能フィルタ、準HEPAフィルタの中から3段以上を組み合わせるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン内部に吸入される外気からの空気を清浄化するための吸気用フィルタユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発電機設備のガスタービンの吸気取り入れ口には、ガスタービンの羽根の損傷を防ぐ目的でエアフィルタが設置されている。そして、従来当初のエアフィルタは、タービン羽根の損傷防止のみに注目されていたため、エアフィルタも大きな粉塵(塵埃を含む、以下同じ)や虫、鳥の吸い込みを防止するような粗めのエアフィルタ、すなわちプレフィルタが設けられているだけであった。しかし、その後、種々の試験の結果、所定のエアフィルタを選定することによって、タービン羽根に付着した粉塵などの清掃作業に手間がかからず、好ましいことがわかってきた。このことから、エアフィルタも、プレフィルタと中高性能フィルタとの2段組み合わせ式、あるいはプレフィルタと中性能フィルタと、高性能フィルタとの3段組み合わせ式などのフィルタシステムが採用されるようになってきた。
【0003】
しかし、フィルタシステムを構成する各段のフィルタも同時期に寿命に達することは稀で、いずれか短い方の濾材寿命で交換を迫られるようになり、フィルタコスト、あるいは取替え作業の手間などの問題が生じていた。
【0004】
一方、これらのフィルタシステムが、ガスタービン発電出力の低下防止にも役立つことが業界で認められるようになってきて、種々のエアフィルタが試されるようになった。
【0005】
そこで、ガスタービン発電出力の低下を防ぐ目的で、プレフィルタと中高性能フィルタとの後段に、最終段フィルタとして0.3μm粒子の大きさで99.97%以上の捕集効率を持つ超高性能フィルタの設置が求められてきた。
【0006】
一方、ガスタービン用吸気フィルタでは、通常は最も高価な超高性能フィルタの寿命を、例えば3年毎の定期修理で交換すると設定し、その前段の中性能フィルタは1年に一度の定期修理で、また、プレフィルタは半年ないし1年に一度の定期点検で交換するなどの保全計画に沿ってフィルタ設計が行なわれている。
【0007】
しかし、3年間という長期間の気象・天候および周囲環境の変化などは予測を超えるものがあり、当初計画から外れて早めにフィルタの交換を迫られることもある。
【0008】
また、高性能であればあるほどフィルタの寿命は短くなってしまうため、超高性能フィルタの寿命を延ばそうとすれば、超高性能フィルタの前段に、より捕集効率の高いプレフィルタと中高性能フィルタとを設置する必要が生じる。
【0009】
しかしながら、これによって超高性能フィルタの寿命を延ばせる反面、今度は、プレフィルタと中高性能フィルタの寿命が短くなるといった問題が生じ、なかなかガスタービン発電出力の低下防止に役立つ、好ましいフィルタシステムを見つけ出すのが困難であった。そこで発電機設備の保全計画に沿ってフィルタ設計に沿ったガスタービン用吸気フィルタが強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
まず、本発明の目的は、ガスタービンの出力低下を防ぐようにしたガスタービン用吸気フィルタを提供しょうとするものである。
【0011】
次に、本発明の目的は、各段のフィルタが長寿命となるようにしたガスタービン用吸気フィルタを提供しょうとするものである。
【0012】
さらに、本発明の目的は、ガスタービンの定期点検時に同時期に各段のフィルタ交換ができるようにしたガスタービン用吸気フィルタを提供しょうとするものである。
【0013】
さらに、本発明の目的は、天候・気象の変化や周囲環境の変化に応じて各段のフィルタを見直し、高価な高性能フィルタの寿命が目標通り発揮できるようにしたガスタービン用吸気フィルタを提供しょうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の解決手段は、ガスタービン吸気装置の空気取入口のフィルタ取付枠に、ガスタービンの吸気環境の粉塵濃度に応じて、捕集率の異なるフィルタを3段以上組み合わせて設けたことを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第2の解決手段は、前記捕集率の異なるフィルタは、プレフィルタ、中高性能フィルタ、準HEPAフィルタ、HEPAフィルタ、ULPAフィルタから選択されてなることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第3の解決手段は、前記プレフィルタは、JIS B 9908型式3(質量法)で平均捕集率が50〜90%であることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の第4の解決手段は、前記中高性能フィルタは、JIS B 9908型式2(比色法)で平均捕集率が60%以上であることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の第5の解決手段は、前記準HEPAフィルタはJIS B 9908型式1(計数法)で0.3μm粒子に対し95%以上の捕集率を有することを特徴とするものである。
【0019】
本発明の第6の解決手段は、前記HEPAフィルタは、JIS B 9908型式1(計数法)で0.3μm粒子に対し99.97%以上の捕集率を有することを特徴とするものである。
【0020】
ULPAフィルタは、前記JIS B 9927( JIS B 9908型式1準拠)で0.15μm粒子に対し99.9995%以上であることを特徴とするものである。
【0021】
ここで、プレフィルタは種々のものがあり、一つはグラスファイバーをカールさせて、あるいは合成繊維による不織布をバインダで繊維同士を結合させて弾力の優れたマット状基材とし、この基材を空気流入側の比較的目の粗い層と、出口側の密度の高い層からなる密度勾配構造にして形成したろ材を方形状に切断し、500×500mm〜610×610mmで、厚さ20〜100mm程度の金属製や木製の外枠に収納したパネル型エアフィルタが使用される。使用されるろ材には乾式または粘着剤を塗布した湿式がある。湿式ろ材は使い捨てタイプであるが、乾式のろ材では水で洗浄して再利用するタイプもある。
【0022】
もう一つは、前記フィルタろ材を長尺寸法で切断してロール状に巻いたろ材を装置の上部に装填し、ろ過面を通して下部で巻き取る自動更新型エアフィルタが使用される。ろ材は、タイマにより間欠的に巻き取る方法と、ろ材の圧力損失を検出して巻き取る方法の2通りがある。作動状態が確実である前者が主に使用される。自動更新型エアフィルには、ろ過面が平坦な構造のほかに、ろ過部分を前後にV字型やW字型に曲げて装置の寸法に比較してろ材面積を大きくしたものなどがある。
【0023】
次に、中高性能フィルタも種々のものがあり、一つはグラスファイバーまたは合成繊維製の嵩高なろ材や合成繊維不織布を袋状に縫製した袋状ろ材をハニカム型ヘッダ、あるいはスリット型ヘッダ、あるいはチャンネルスリットヘッダ形状にした空気流入口を設けた枠に取り付けた吹き流し形エアフィルタがある。袋は、隣同志が密着しないように袋の数ヶ所に仕切り縫いがされている。外枠には、主として金属製が使用されるが使用後の焼却処理が容易なように、難燃性合板やプラスチックが使用される場合がある。外形寸法は、空気流入口の縦横が610×610mm程度、奥行きは300〜900mm程度である。
【0024】
なお、吹き流し形エアフィルタは、グラスファイバーの選定によって、プレフィルタとして使用される場合もある。
【0025】
次に、中高性能フィルタのもう1つは、ろ材を外枠の中に折込み、アルミニウム、クラフト紙、プラスチックなどで作られた波形のセパレータをろ材の間に入れて、ろ材同志が密着しないようにしたセパレータ型のものと、ろ材間にセパレータを挿入せずに、糸状、または紐状の樹脂をろ材間に挟んだり、接着剤樹脂によって折込んだろ材の山の間隙を固定したり、数mmの幅に切ったろ材のリボンをろ材間に挟むことによって、セパレータの代わりをさせたミニプリーツ型のものがある。外枠には、金属板や合板が使用され、フランジ型あるいは箱型となっている。外形寸法は、縦横が300〜1300×300〜1300mm程度、奥行きは65〜300mm程度である。
【0026】
そして、セパレータ型の場合、ろ材と枠とは、接着剤で接着される場合が多く、ろ材のひとつは、繊維径が5.0μm以下程度のグラスファイバーからなり、粉塵保持容量の大きな上流側ろ材と、同じグラスファイバーとからなり、撥水効果の高い、より密な下流側ろ材を重ね、密度勾配を持たせることにより、大きな粉塵保持容量を得ることができる2枚重ねろ材のタイプのものと、もう1つは、繊維径5〜30μmのグラスファイバー同志を接着するバインダからなるグラスファイバー製ろ材タイプのものが使用される。
【0027】
ミニプリーツ型の場合は、奥行きの浅いろ材パックを接着せずにそのまま外枠に組み込む場合と、このろ材パックを外枠の中にV字型に配置して使用する場合、あるいはろ材パックを枠に接着剤で接着する場合がある。ミニプリーツ型の場合は、主に接着せずに枠とろ材パックとを容易に分離できる構造にして、フィルタが最終圧力損失に達したときは、ろ材パックのみ取り出して廃棄し、外枠は再使用する形式となっている。
【0028】
さらに、ミニプリーツ型の場合、ろ材の種類は、繊維径5〜30μmのグラスファイバーと繊維同志を接着するバインダからなるグラスファイバー製のものと、不織布のほかメルトブロー法で作られた細い繊維からなる合成繊維製ろ材とがあり、ろ材の厚みは0.5mm程度が多い。
【0029】
準HEPAフィルタは、ろ材を枠の中にジグザグ状に折込み、アルミニウム、クラフト紙、プラスチックなどで作られた波形のセパレータをろ材の間に入れてろ材同志が密着しないようにし、ろ材と外枠とは、接着剤を外枠内面全周に塗布して、気密性を持たせて一体化したものである。外枠には金属板や合板が使用され、フランジ型あるいは箱型となっている。外形寸法は、縦横が300〜1300×300〜1300mm程度、奥行きは、150〜800mm程度である。ろ材の1つは、繊維径が5.0μm以下程度のグラスファイバーからなり、粉塵保持容量の大きな上流側ろ材と、繊維径が1.0μm以下程度のグラスファイバーとからなり撥水効果の高い、より密な下流側ろ材とを重ね、密度勾配を持たせることにより、大きな粉塵保持容量を得ることができる2枚重ねろ材のタイプのものと、もう1つは、繊維径1.0μm以下程度のグラスファイバー同志を接着するバインダとからなるグラスファイバー製ろ材タイプのものが使用される。ろ材の厚みは0.5mm程度が多い。
【0030】
HEPAフィルタは、ろ材を外枠の中にジグザグ状に折込み、アルミニウム、クラフト紙、プラスチックなどで作られた波形のセパレータをろ材の間に入れて、ろ材同志が密着しないようにしたセパレータ型のものと、ろ材間にセパレータを挿入せずに糸状または紐状の樹脂をろ材間に挟んだり、接着剤樹脂によって折込んだろ材の山の間隙を固定したり、数mmの幅に切ったろ材のリボンをろ材間に挟むことによってセパレータの代わりをさせたミニプリーツ型のものとがある。ろ材と外枠とは、接着剤を外枠内面全周に塗布して気密性を持たせて一体化している。外枠には金属板や合板が使用され、フランジ型あるいは箱型となっている。外形寸法は、縦横が300〜1300×300〜1300mm程度、奥行きは65〜300mm程度である。
【0031】
そしてセパレータ型の場合、ろ材と外枠とは接着剤で接着される場合が多く、ろ材のひとつは、繊維径が1.0μm以下程度のグラスファイバーからなり粉塵保持容量の大きな上流側ろ材と、繊維径が0.5μm程度のグラスファイバーからなり撥水効果の高いより密な下流側ろ材とを重ね、密度勾配を持たせることにより大きな粉塵保持容量を得ることができる2枚重ねろ材のタイプのものと、もう1つは繊維径0.5〜1.0μmのグラスファイバー同志を接着するバインダからなるグラスファイバー製タイプのろ材が使用される。
【0032】
ミニプリーツ型の場合のろ材は、繊維径1.0μmのグラスファイバーと、繊維同志を接着するバインダからなるグラスファイバー製タイプのものと、不織布のほかメルトブロー法で作られた細い繊維からなる合成繊維製タイプのろ材が、使用される。そしてろ材の厚みは、0.5mm程度が多い。
【0033】
ULPAフィルタは、ろ材を外枠の中にジグザグ状に折込み、アルミニウム、クラフト紙、プラスチックなどで作られた波形のセパレータをろ材の間に入れて、ろ材同志が密着しないようにしたセパレータ型のものと、ろ材間にセパレータを挿入せずに糸状または紐状の樹脂をろ材間に挟んだり、接着剤樹脂によって折込んだろ材の山の間隙を固定したり、数mmの幅に切ったろ材のリボンをろ材間に挟むことによってセパレータの代わりをさせたミニプリーツ型のものとがある。ろ材と外枠とは、接着剤を枠内面全周に塗布して気密性を持たせて一体化している。外枠には金属板や合板が使用され、フランジ型あるいは箱型となっている。外形寸法は、縦横が300〜1300×300〜1300mm程度、奥行きは65〜300mm程度である。
【0034】
セパレータ型の場合、ろ材と外枠とは接着剤で接着される場合が多く、ろ材は、繊維径0.5〜1.0μmのグラスファイバー同志を接着するバインダからなるグラスファイバー製タイプのろ材が使用される。
【0035】
ミニプリーツ型の場合のろ材は、繊維径0.5μmのグラスファイバーと繊維同志を接着するバインダからなるグラスファイバー製タイプのものと、不織布のほかメルトブロー法で作られた細い繊維からなる合成繊維製タイプのろ材とが使用される。そしてろ材の厚みは、0.5mm程度が多い。
【0036】
上記課題解決による作用は、次の通りである。
【0037】
ここで、フィルタの配列は、ガスタービンの吸気環境の粉塵濃度に応じて変更されるが、一例として、順次捕集率の高いフィルタを3段組み合わせた場合について述べる。
【0038】
まず、ガスタービンの吸気運転により、ハウジング内に吸入される大気は、まず1段目フィルタを通過する。ここで、粗い粒径の大気塵が除去されるが、ここで1段目フィルタは、ろ材面積を増加し、粉塵保持容量を大きくしているので、後段のフィルタへの負荷を軽減できるとともに、粉塵の詰まりによる寿命も突出しないようになっている。
【0039】
さらに1段目フィルタを通過したより細かな粒径の大気塵を含んだエアーは、2段目フィルタに吸入される。ここで、2段目フィルタは、前段フィルタの捕集率より高くなっているので、細かな粒径の粒子をほとんど捕集してしまい、より細かな粒径以下の大気塵のみしか2段目フィルタを通過しないようになっている。
【0040】
そして、2段目フィルタを通過した最も細かな粒径の大気塵を含んだエアーは、さらに高い捕集率を有している3段目フィルタを通過した後清浄なエアーとして、ガスタービンへ供給される。これにより、ガスタービンの性能は低下されることなく維持されるものである。
【発明の効果】
【0041】
上述したように、本発明のガスタービン用吸気フィルタユニットは、次のような効果が得られる。
【0042】
(1)ガスタービンの吸気環境の粉塵濃度に応じて捕集率の異なるフィルタを3段以上組み合わせて、ガスタービン吸気装置内に設置したのでガスタービンの出力低下を防げる。
【0043】
(2)ガスタービン用吸気フィルタユニットは、前段フィルタで粉塵保持を大きくしているので、後段のフィルタへの負荷を軽減できると共に粉塵の詰まりによる寿命も突出しないようになっている。
【0044】
(3)各段フィルタとも、8000時間以上メンテナンスあるいは取替えが不要である。
【0045】
(4)各段フィルタのメンテナンスあるいは取替え回数を減らすことができるので、ランニングコストの削減が可能となる。
【0046】
(5)各段のフィルタを最適な形状としたので、設置スペースを小さくでき現地設置の簡素化が図れる。
【0047】
(6)ガスタービン用吸気装置内のフィルタ取付枠に簡単に取り付けられるため、交換が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】パネル型プレフィルタの概略図を示す。
【図2】パッド型プレフィルタの概略図を示す。
【図3】自動更新型エアフィルタの概略図を示す。
【図4】自動更新型エアフィルタのもう一つの実施例を示す概略図。
【図5】吹き流し形エアフィルタの概略図を示す。
【図6】吹き流し形エアフィルタのもう一つの実施例を示す概略図。
【図7】フランジ型中高性能フィルタの概略図を示す。
【図8】フランジ型中高性能フィルタのもう一つの実施例を示す概略図。
【図9】両フランジ型準HEPAフィルタの概略図を示す。
【図10】両フランジ型HEPAフィルタの概略図を示す。
【図11】箱型HEPAフィルタの概略図を示す。
【図12】フランジ型ULPAフィルタの概略図を示す。
【図13】ガスタービン用吸気装置の一実施例の概略断面図を示す。
【図14】図13の吸気装置を接続したガスタービンシステムの一実施例の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態に係るガスタービン用吸気フィルタユニットを添付図1〜12に基づいて説明する。
【0050】
そのフィルタユニットの説明に先行して、このフィルタユニットが装着されるガスタービン用吸気装置およびガスタービンシステムの全体について、その概略を示す図にしたがって、以下にその概要を説明する。
【0051】
図13は、図14に示すガスタービンシステムの一部を構成するガスタービン用吸気装置の一実施例の概略断面を示すもので、ガスタービン用吸気装置aは、後述する図14におけるガスタービンの吸気用ダクトに連設されるケーシングb内に、その吸気側から順次、パネル型のプレフィルタcと、箱型の中性能フィルタdと、さらに箱型の高性能フィルタeとを配置した3段式のフィルタユニットfが設けられている。このフィルタユニットfは、外気からの吸気空気中に含まれるガスタービンシステムgの連続運転にとって有害である大気塵等、すなわち、微粉塵、雨水、ミスト、排気ガス中のカーボン微粒子、塩分粒子等の有害物質を除去するために設けられる。
【0052】
そして、このようなガスタービン吸気装置aは、図14にその概略を示されるガスタービンシステムgの吸気側に連設される。すなわち、この吸気装置aは、ガスタービン部hの空気圧縮機jの吸気口kに接続されて、フィルタユニットfを介して吸気装置aから吸入される外気から大気塵等を機械的に分離除去して清浄化することができる。この外気には前述したような有害物質が浮遊しているので、これらを極力除去することによって、ガスタービン部g内部の腐食、汚染の原因や、プレフィルタcに付着して空気圧縮機jの性能低下を生じさせ発電出力を低下させる損害を防止することができるものである。
【0053】
なお、図14中、lは、ガスタービン部hによって駆動される発電機である。
【0054】
以下に、ガスタービン用吸気フィルタユニットの一実施例を添付図1〜12に基づいて説明する。
【0055】
図1は、パネル型プレフィルタで、ろ材1と外枠2とからなり、ろ材1の材質は合成繊維からなり、外枠2の材質はカードボードであり、それらの接合部分は、すべて接着構造で耐久性に優れ、図示していないが、ろ材1の裏側に接着した金網とフィンガーによって均一なプリーツ間隙と山の高さが保持されて、ろ材1全体でまんべんなく粉塵が捕集できるため、急激な圧損の上昇がなく、旧来にない長寿命の特長を持っている。しかも超軽量・コンパクトなため交換作業が容易で、さらに、使用済みのフィルタは圧縮・減容して廃棄することができる。
【0056】
図2は、パッド型プレフィルタで、Uチャンネル形状の外枠3にろ材4を嵌め込み、ろ材4の下流側に支持金具(図示せず)を取り付けた構造となっている。
【0057】
そして、ろ材4の一つは、長繊維のグラスファイバーからなり、上流側の比較的目の粗い層と下流側の密度の高い層からなる「密度勾配構造」で弾力の優れたマットに仕上げたものである。このため風圧に影響されることなく、常に一定の厚さに保持できるため、ろ材4の厚み全体で粉塵を捕集でき、粉塵保持容量が極めて大きく、ろ材4の長期使用が可能でメンテナンスが非常に簡単なものとなっている。ろ材4のもう一つは、厚さ75mmの長繊維グラスファイバー製パッドで、撥水性バインダを紡糸工程で添加したものである。このため、ろ材4が水分で飽和状態になった時でも、その厚さと弾力性を保つことができ、パッドの厚み全体で水分保持を可能にしたものである。
【0058】
図3は、長尺寸法のろ材5をタイマにより間欠的に巻き取るか、またはろ材の圧力損失を検出して巻き取るようにした自動更新型エアフィルタである。
【0059】
ろ材5は、緩くカールした細いグラスファイバーを絡み合わせ熱処理で接着させてマット状にしたろ材で、非常に復元力が強く柔軟性を有したものである。しかも、長さ20mものろ材5が直径30cmほどのコンパクトなロールに巻いておくが、その状態から引き出されると、ろ過面では50cmの厚さに戻り表面濾過でなくその厚み全体で粉塵を立体的に捕集するので、粉塵保持容量は極めて大きなものとなる。
【0060】
図4は、図3に示す自動更新型エアフィルタの特長を生かし、更にろ材5のろ過面をジグザグにすることによって、限られたスペースで大容量を処理できるようにしたものである。
【0061】
図5は、グラスファイバーまたは合成繊維製不織布を袋状に縫製した袋状ろ材6を金属製の6×6の開口を有するハニカム型ヘッダ枠7に取り付けてなる吹き流し形エアフィルタである。そして、袋状ろ材6は奥行きが約890mmある6個のフィルタポケットから構成されており、その各開口端が、ヘッダ枠7の各開口に対応して連設されている。そして、高い捕集率、低い圧力損失で、粉塵保持容量が極めて大きく、そして非常にコンパクトな構成である。
【0062】
図6は、金属製のスリット型ヘッダ枠8に袋状ろ材6の開口端を取り付けた吹き流し形エアフィルタで、低いろ過抵抗ですべてのポケットが膨らみ、ろ材は、隅々まで有効ろ過面となり、粉塵は、ろ材全面で捕集されるようになるので、圧力損失の上昇が極めて緩やかになる効果を有している。
【0063】
さらに、図7に示されるものは、円内に拡大して示されるように、ろ材9を箱型の金属製外枠10の中にジグザグ状に折込み、波形のアルミニウムセパレータ11をろ材9の各ひだの間に配置して、ろ材9と外枠10内周面とを接着剤を介して接着して気密性を持たせて一体化したフランジ型中高性能フィルタである。
【0064】
そしてろ材9は、繊維径が30μm以下程度のグラスファイバーからなる粉塵保持容量の大きな上流側ろ材9Aと、繊維径が10μm以下程度のグラスファイバーからなる撥水効果の高い、より密な下流側ろ材9Bとを重ねて、密度勾配を持たせた2枚重ねろ材のタイプのものである。
【0065】
図8は、図7のフランジ型中高性能フィルタの変形例であって、同様な構成であり、フランジ型の箱状金属製外枠10に代えて合板枠12にした単純な形状の箱型中高性能フィルタである。
【0066】
図9は、図7のフランジ型中高性能フィルタのさらなる変形例であり、部分拡大図示は省略しているが図7に示す構造とほぼ同一の構成であって、ろ材13を両フランジを有する金属外枠14の中にジグザグ状に折込み、波形のアルミニウムセパレータ15をろ材13のひだの間に配置して、ろ材13と外枠14内周面とを接着剤で接着して気密性を持たせて一体化した両フランジ型準HEPAフィルタである。そしてろ材は、繊維径5.0μm以下程度のグラスファイバー同志をバインダで接着してなるグラスファイバー製ろ材である。
【0067】
図10は、ろ材16を両フランジを有する金属製外枠17の中にジグザグ状に折込み、波形のアルミニウムセパレータ18をろ材16の間にろ材16と外枠17内周面とを接着剤で接着して気密性を持たせて一体化した両フランジ型HEPAフィルタである。そして、ろ材は、繊維径が5.0μm以下程度のグラスファイバーからなる粉塵保持容量の大きな上流側ろ材16Aと、繊維径が1.0μm以下程度のグラスファイバーからなる撥水効果の高い、より密な下流側ろ材16Bとを重ね、密度勾配を持たせた2枚重ね濾材のタイプのものである。
【0068】
図11は、ろ材19を合板製の外枠20の中にジグザグ状に折込み、ろ材間に糸状の樹脂21を挟んで、ろ材の間隔を一定幅に保持して形成したフィルタパックを外枠20内周面に接着剤で一体化した箱型HEPAフィルタである。
【0069】
そしてろ材19は、繊維径1.0μm以下程度のグラスファイバー同志をバインダで接着してなるグラスファイバー製ろ材である。
【0070】
図12は、形状的には図7のフィルタと同様で、ろ材21をフランジを有する金属製外枠22の中にジグザグ状に折込み、波形のアルミニウムセパレータ23をろ材21のひだの間に配置して、ろ材21と外枠22内周面とを接着剤で接着して気密性を持たせて一体化したフランジ型ULPAフィルタである。そして、ろ材は、繊維径0.5μm以下程度のグラスファイバー同志をバインダで接着してなるグラスファイバー製ろ材である。
【0071】
次に具体的実施例について述べる。
【0072】
[実施例1]
ガスタービンシステムg内に吸気を導く空気吸込口の上流側から順に1次フィルタ層、2次フィルタ層、3次フィルタ層の組み合せおよび結果は下記の通りであった。
【0073】
「フィルタ組み合せ」
(1)1次フィルタ層:パネル型プレフィルタ
品名:デァクリーン(商品名) 箱型
型式:DKH−A90−FFH 個数30ケ
ろ材:合成繊維
性能:処理風量 56m/min
圧力損失 初期圧損 62Pa
最終圧損 249Pa
効率:90%以上(JISB9908型式3「質量法」)
(2)2次フィルタ層:中高性能フィルタ
品名:ミラセルXL(商品名)フランジ型
型式:MCS−X9−FF2Z 個数30ケ
ろ材:グラスファイバー
性能:処理風量 56m/min
圧力損失 初期圧損 127Pa
最終圧損 294Pa
効率:90%以上(JISB9908型式2「比色法」)
(3)3次フィルタ層:HEPAフィルタ
品名:ルナセルWワイド(商品名)
型式:LCS−W−662A 個数30ケ
ろ材:ウォータープルーフ難燃性グラスファイバー
性能:処理風量 50m/min
圧力損失 初期圧損 249Pa
最終圧損 498Pa
効率:99.97%以上(JISB9908型式1「計数法」)
「結果」
大気中粉塵0.2mg/m濃度において、1次フィルタ層のろ材寿命は1年以上、2次フィルタ層は4年以上、3次フィルタ層のろ材寿命は2年以上であった。
【0074】
[実施例2]
ガスタービン内に吸気を導く空気吸込口の上流側から順に1次フィルタ層、2次フィルタ層、3次フィルタ層の組み合せおよび結果は下記の通りであった。
【0075】
「フィルタ組み合せ」
(1)1次フィルタ層:パネル型プレフィルタ
品名:デアマットG85(商品名)
型式:DMG−A85 個数46ケ
ろ材:グラスファイバー
性能:処理風量 56m/min
圧力損失 初期圧損 44Pa
最終圧損 147Pa
効率:85%以上(JISB9908型式3「質量法」)
(2)2次フィルタ層:中高性能フィルタ
品名:ミラセルXL(商品名)
型式:MCS−X9−662P 個数46ケ
ろ材:グラスファイバー
性能:処理風量 70m/min
圧力損失 初期圧損 108Pa
最終圧損 294Pa
効率:90%以上(JISB9908型式2「比色法」)
(3)3次フィルタ層:HEPAフィルタ
品名:ルナクリーンワイド(商品名)
型式:LKH−W−666A 個数65ケ
ろ材:ウォータープルーフ難燃性グラスファイバー
性能:処理風量 50m/min
圧力損失 初期圧損 249Pa
最終圧損 498Pa
効率:99.97%以上(JISB9908型式1「計数法」)
「結果」
大気中粉塵0.1mg/m濃度において1次フィルタ層のろ材寿命は1.5年以上、2次フィルタ層は4年以上、3次フィルタ層のろ材寿命は3年以上であった。
【0076】
[実施例3]
ガスタービン内に吸気を導く空気吸込口の上流側から順に1次フィルタ層、2次フィルタ層、3次フィルタ層の組み合せおよび結果は下記のとおりであった。
【0077】
「フィルタ組み合せ」
(1)1次フィルタ層:パネル型プレフィルタ
品名:デアマットGDM(商品名)
型式:DMG−DM 個数56ケ
ろ材:グラスファイバー
性能:処理風量 56m/min
圧力損失 初期圧損 57Pa
最終圧損 250Pa
効率:90%以上(JISB9908型式3「質量法」)
(2)2次フィルタ層:中高性能フィルタ
品名:ミラセル ワイド(商品名)
型式:MCS−W9−FF2Z 個数56ケ
ろ材:グラスファイバー
性能:処理風量 71m/min
圧力損失 初期圧損 127Pa
最終圧損 294Pa
効率:90%以上(JISB9908型式2「比色法」)
(3)3次フィルタ層:HEPAフィルタ
品名:ルナセルWワイド(商品名)
型式:LCS−W−662A 個数56ケ
ろ材:ウォータープルーフ難燃性グラスファイバー
性能:処理風量 50m/min
圧力損失 初期圧損 249Pa
最終圧損 498Pa
効率:99.97%以上(JISB9908型式1「計数法」)
「結果」
大気中粉塵0.091mg/m濃度において1次フィルタ層のろ材寿命は1年以上、2次フィルタ層は3年以上、3次フィルタ層のろ材寿命は3年以上であった。
【0078】
[実施例4]
ガスタービン内に吸気を導く空気吸込口の上流側から順に1次フィルタ層、2次フィルタ層、3次フィルタ層の組み合せおよび結果は下記の如くであった。
【0079】
「フィルタ組み合せ」
(1)1次フィルタ層:自動更新型プレフィルタ
品名:ロール・オ・マテイック・エアフィルタ(商品名)
型式:V−J #8−150 ×2台
濾材:グラスファイバー
性能:処理風量 2,700m/min
圧力損失 初期圧損 44Pa
最終圧損 83Pa〜118Pa
効率:85%以上(JISB9908型式3「質量法」)
(2)2次フィルタ層:中高性能フィルタ
品名:ミラセルワイド(商品名)
型式:MCS−W10−662P 個数48ケ
ろ材:グラスファイバー
性能:処理風量 71m/min
圧力損失 初期圧損 157Pa
最終圧損 294Pa
効率:95%以上(JISB9908型式2「比色法」)
(3)3次フィルタ層:HEPAフィルタ
品名:デュラクリーン(商品名)
型式:90CW−2424−12 個数48ケ
ろ材:二枚のグラスファイバー層を重ねたタイプ
性能:処理風量 56m/min
圧力損失 初期圧損 249Pa
最終圧損 498Pa
効率:99.97%以上(JISB9908型式1「計数法」)
「結果」
大気中粉塵0.15mg/m濃度において、1次フィルタ層のろ材寿命は1.5年以上、2次フィルタ層は3年以上、3次フィルタ層のろ材寿命は4年以上であった。
【0080】
[実施例5]
ガスタービン内に吸気を導く空気吸込口の上流側から順に1次フィルタ層、2次フィルタ層、3次フィルタ層の組み合せおよび結果は下記の如くであった。
【0081】
「フィルタ組み合せ」
(1) 1次フィルタ層:吹流し型プレフィルタ
品名:ミラディープ1(商品名)
型式:MDH−X6−HFLM 個数52ケ
ろ材:グラスファイバー
性能:処理風量 28m/min
圧力損失 初期圧損 88Pa
最終圧損 245Pa
効率:60%以上(JISB9908型式2「比色法」)
(2)2次フィルタ層:準HEPAフィルタ
品名:ザナセルワイド(商品名)
型式:ZCS−W−662A 個数30ケ
ろ材:ウォータープルーフ難燃性グラスファイバー
性能:処理風量 50m/min
圧力損失 初期圧損 157Pa
最終圧損 392Pa
効率:95%以上(JISB9908型式1「計数法」)
(3)3次フィルタ層:ULPAフィルタ
品名:テラセル(商品名)
型式:TCS−A−661A 個数56ケ
ろ材:ウォータープルーフ難燃性グラスファイバー
性能:処理風量 17m/min 個数80ケ
圧力損失 初期圧損 249Pa
最終圧損 498Pa
効率:99.9995%以上(JISB9927「9908型式1準拠」)
「結果」
大気中粉塵0.08mg/m濃度において、1次フィルタ層のろ材寿命は2年以上、2次フィルタ層は3年以上、3次フィルタ層のろ材寿命は4年以上であった。
【0082】
[実施例6]
ガスタービン内に吸気を導く空気吸込口の上流側から順に1次フィルタ層、2次フィルタ層、3次フィルタ層の組み合せおよび結果は下記の如くであった。
【0083】
「フィルタ組み合せ」
(1)1次フィルタ層:中高性能フィルタ
品名:ミラセルXL(商品名)
型式:MCS−X6−FF2Z 個数52ケ
ろ材:二枚のグラスファイバー層を重ねたタイプ
性能:処理風量 56m/min
圧力損失 初期圧損 108Pa
最終圧損 294Pa
効率:60%以上(JISB9908型式2「比色法」)
(2)2次フィルタ層:HEPAフィルタ
品名:ルナセル(商品名)
型式:LCS−A−662A 個数20ケ
ろ材:ウォータープルーフ難燃性グラスファイバー
性能:圧力損失 初期圧損 249Pa
最終圧損 498Pa
効率:99.97%(JISB9908型式1「計数法」)
(3)3次フィルタ層:ULPAフィルタ
品名:テラクリーン(商品名)
型式:TKH−A−666A 個数20ケ
ろ材:ウォータープルーフ難燃性グラスファイバー
性能:圧力損失 初期圧損 167Pa
最終圧損 294Pa
効率:99.9995%以上(JISB9927「9908型式1準拠」)
「結果」
大気中粉塵0.08mg/m濃度において、1次フィルタ層のろ材寿命は1年以上、2次フィルタ層は2年以上、3次フィルタ層のろ材寿命は3年以上であった。
【0084】
[実施例7]
ガスタービン内に吸気を導く空気吸込口の上流側から順に1次フィルタ層、2次フィルタ層、3次フィルタ層の組み合せおよび結果は下記の如くであった。
【0085】
「フィルタ組み合せ」
(1)1次フィルタ層:ポケット型中性能フィルタ
品名:PFエアフィルタ(商品名)
型式:PF950 個数56ケ
ろ材:合成繊維
性能:処理風量 70m/min
圧力損失 初期圧損 108Pa
最終圧損 294Pa
効率:95%以上(JISB9908型式3「質量法」)
(2)2次フィルタ層:中高性能フィルタ
品名:デュラセルXLワイド(商品名)
型式:XL−100W 個数56ケ
ろ材:グラスファイバー
性能:処理風量 70m/min
圧力損失 初期圧損 225Pa
最終圧損 617Pa
効率:96%(JISB9908型式2「比色法」)
(3)3次フィルタ層:HEPAフィルタ
品名:デュラクリーン(商品名)
型式:90CW 個数56ケ
ろ材:グラスファイバー
性能:処理風量 56m/min
圧力損失 初期圧損 425Pa
最終圧損 686Pa
効率:99.97%以上(JISB9908型式1「計数法」)
「結果」
大気中粉塵0.10mg/m濃度において、1次フィルタ層のろ材寿命は1.5年以上、2次フィルタ層は1年以上、3次フィルタ層のろ材寿命は4年以上であった。
【0086】
[実施例8]
ガスタービン内に吸気を導く空気吸込口の上流側から順に1次フィルタ層、2次フィルタ層、3次フィルタ層の組み合せおよび結果は下記の如くであった。
【0087】
「フィルタ組み合せ」
(1)1次フィルタ層:ポケット型中性能フィルタ
品名:PFエアフィルタ(商品名)
型式:PF900 個数56ケ
ろ材:合成繊維
性能:処理風量 70m/min
圧力損失 初期圧損 69Pa
最終圧損 294Pa
効率:90%以上(JISB9908型式3「質量法」)
(2)2次フィルタ層:中高性能フィルタ
品名:デュラセルXLワイド(商品名)
型式:XL−90W 個数56ケ
ろ材:グラスファイバー
性能:処理風量 70m/min
圧力損失 初期圧損 206Pa
最終圧損 617Pa
効率:92%(JISB9908型式2「比色法」)
(3)3次フィルタ層:HEPAフィルタ
品名:クリーンワイド(商品名)
型式:23CW 個数56ケ
ろ材:グラスファイバー
性能:処理風量 50m/min
圧力損失 初期圧損 249Pa
最終圧損 498Pa
効率:99.97%以上(JISB9908型式1「計数法」)
「結果」
大気中粉塵0.094mg/m濃度において、1次フィルタ層のろ材寿命は2.5年以上、2次フィルタ層は1.5年以上、3次フィルタ層のろ材寿命は2年以上であった。
【0088】
なお、以上の実施例では本発明の一実施例を述べたもので、これに限定されることなく、種々変更しても何ら本発明の要旨を逸脱、変更するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
ガスタービンプラントにおいては、ガスタービンを保護し、かつ維持するために、ガスタービンプラントの空気取入口にハウジングを設け、吸気用フィルタを多数並列に並べて外気中の塵埃を除去した清浄エアーを取り入れるようにしている。しかし、従来のプレフィルタでは粉塵保持量が少なく、2〜3回/年の交換頻度に対し、これを解決するため、今までいろいろな工夫がなされてきているが十分満足のいくものでなかった。
【0090】
そこで、本発明はガスタービンの吸気環境の粉塵濃度に応じて、最適な捕集率の異なるフィルタを3段以上組み合わせて設置し、ガスタービンの出力低下を防ぐとともに各段のフィルタがともに8000時間以上メンテナンスあるいは取替えを不要にすることができたもので、産業上の利用価値が甚だ大きいものである。
【符号の説明】
【0091】
1,4,5,6,9,13,16,19,22・・・・ろ材
2,3,10,12,14,20,23・・・・外枠
7・・・・ハニカム型ヘッダ枠 8・・・・スリット型ヘッダ枠
9A,16A・・・・上流側ろ材 9B,16B・・・・下流側ろ材
11,18,24・・・・アルミニウムセパレータ
21・・・・糸状樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン吸気装置の空気取入口のフィルタ取付枠に、ガスタービンの吸気環境の粉塵濃度に応じて、捕集率の異なるフィルタを3段以上組み合わせて設けたことを特徴とするガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項2】
前記捕集率の異なるフィルタは、プレフィルタ、中高性能フィルタ、準HEPAフィルタ、HEPAフィルタ、ULPAフィルタから選択されてなることを特徴とする請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項3】
前記プレフィルタは、JIS B 9908型式3(質量法)で平均捕集率が50〜90%であることを特徴とする請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項4】
前記中高性能フィルタは、JIS B 9908型式2(比色法)で平均捕集率が60%以上であることを特徴とする請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項5】
前記準HEPAフィルタは、JIS B 9908型式1(計数法)で0.3μm粒子に対し95%以上の捕集率を有することを特徴とする請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項6】
前記HEPAフィルタは、JIS B 9908型式1(計数法)で0.3μm粒子に対し99.97%以上の捕集率を有することを特徴とする請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。
【請求項7】
前記ULPAフィルタは、JIS B 9927( JIS B 9908型式1準拠)で0.15μm粒子に対し99.9995%以上であることを特徴とする請求項1のガスタービン吸気用フィルタユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−255612(P2010−255612A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110101(P2009−110101)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000193047)進和テック株式会社 (36)
【Fターム(参考)】