説明

ガスタービン燃焼器用のハイブリッド式事前フィルム形成空気ブラスト、事前気化、希釈予混合二重燃料ノズル

【課題】ガスタービン燃焼器用の二重燃料ノズルを提供する。
【解決手段】二重燃料ノズルは、燃料入口を画成するハブ42と、前記ハブ42の下流端部に配置された複数の液体燃料噴出器44を含む。前記燃料噴出器44は前記ハブ42から半径方向外向きに液体燃料を放出するように配向されている。環状空気通路3が、該環状空気通路3の中を流れる空気を旋回させる旋回器2を含み、また、分割器リングが、前記該環状空気通路3内に配置され且つ前記複数の液体燃料噴出器44を取り囲む。前記ノズルは、ガスタービン燃焼器用の希釈予混合二重燃料ノズルの内部で、旋回する環状の空気流の中に液体燃料を噴射し、次いで霧化し、分散させて気化することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に云えば、ガスタービン燃焼器における二重燃料ノズルに関し、より具体的には、液体燃料を取外し可能な後方装着型中心体スティックから噴射し、次いで霧化し、分散させて気化することを可能にするガスタービン燃焼器用のハイブリッド式事前フィルム形成(prefilming)空気ブラスト(airblast)、事前気化、希釈予混合二重燃料ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料がガスタービンの燃焼室内で燃焼のために空気中に噴射されたとき、燃焼ガス中に局部的に高温領域が形成され、これによりNOxが増大する。以前の設計では予混合器内での多点霧化噴射が用いられていたが、このような設計では、燃料の不適正分布に起因して排出物が多く、且つ内部(燃料通路内の)及び外部(予混合器壁上の)燃料コークス化に起因して信頼性が悪いという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7484928号
【発明の概要】
【0004】
模範的な一実施形態では、ガスタービン燃焼器用の二重燃料ノズルが、環状空気通路と、該環状空気通路内に配置された旋回器を含む。前記旋回器は、前記環状空気通路の中を流れる空気を旋回させる。分割器リングが前記環状空気通路内に配置される。ハブが液体燃料入口を画成する。複数の液体燃料噴出器(jet) が前記ハブの下流端部を取り囲み且つ前記液体燃料入口と流体連通する。前記複数の液体燃料噴出器の各々は、液体燃料を前記環状空気通路の中へ半径方向に放出して前記分割器リングと接触させるように位置決めされる。
【0005】
別の模範的な一実施形態では、ガスタービン燃焼器用の二重燃料ノズルが、燃料入口を画成するハブと、前記ハブの下流端部に配置され且つ前記ハブから半径方向外向きに液体燃料を放出するように配向された複数の液体燃料噴出器と、当該環状空気通路の中を流れる空気を旋回させる旋回器を含む環状空気通路と、前記環状空気通路内に配置され且つ前記複数の液体燃料噴出器を取り囲む分割器リングとを有する。
【0006】
更に別の模範的な一実施形態では、ガスタービン燃焼器用の二重燃料ノズルにおいて液体燃料と空気を混合させる方法が、環状空気通路に空気を流れさせて、旋回器によって該流れる空気を旋回させる段階と、燃料入口を介して液体燃料を入力する段階と、液体燃料を液体燃料噴出器から半径方向に放出して分割器リングと接触させる段階とを含み、前記分割器リングに衝突する液体燃料が前記分割器リング上に燃料フィルムを形成し、該燃料フィルムは前記環状空気通路の中を流れる前記旋回する空気と混合する。
【0007】
これらの及び他の面及び利点を添付の図面を参照して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、液体燃料ノズル集成体を除いたガスタービンのバーナーの縦断面を示す斜視図である。
【図2】図2は、液体燃料ノズルを含むバーナーの縦断面図である。
【図3】図3は、バーナーの縦断面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、ガスタービン用の模範的なバーナーの縦断面図である。実際には、空気噴霧型液体燃料ノズルが、二重燃料能力を与えるためにバーナー集成体の中央に組み込まれる。液体燃料ノズル集成体は図を明瞭にするために図1から除かれている。バーナー集成体は、機能によって、4つの領域に、すなわち、入口流調整器1と、天然ガス燃料噴射器付き空気旋回器集成体(「スウォッズル(swozzle) 集成体」と呼ぶ)2と、環状燃料空気混合通路3と、中央拡散火炎天然ガス燃料ノズル集成体4とに分けられる。
【0010】
バーナーには空気が高圧プレナム6から入り、高圧プレナム6は吐出端部を除いて集成体全体を取り囲み、吐出端部は燃焼器反応域5に入り込む。燃焼のための殆どの空気は入口流調整器(IFC)1を介して予混合器に入る。IFCは環状流路15を含み、その内径が密実な円筒形内壁13によって定められ、外径が有孔円筒形外壁12によって定められ、且つ上流端が有孔端蓋11によって定められている。流路15の中央には1つ以上の環状旋回羽根(turning vane)14がある。予混合器空気は端蓋及び円筒形外壁にある孔を介してIFC1に入る。
【0011】
IFC1の機能は、予混合器に入れるために空気流の速度分布を調整することである。IFC1の原理は、予混合器に入る前に予混合空気に背圧を加えると云う概念に基づくものである。これにより、予混合空気流の角度分布をより良好にすることができる。有孔壁11、12は、システムに背圧を加えて、IFC環状流路15の周りの円周方向に流れを均等に分布させる機能を行う。他方、旋回羽根(1つ又は複数)14は前記有孔壁と共同して働いて、IFC環状流路15の中の流入する空気の半径方向分布を適正にする。予混合器内の所望の流れ分布と、多バーナー型燃焼器用の個別の予混合器の間での流れ分割とに依存して、有孔壁のための適切な孔パターンが旋回羽根(1つ又は複数)14の軸方向位置と関連して選択するされる。流れ分布を計算して、有孔壁のための適切な孔パターンを決定するために、コンピュータ流体力学コードが用いられる。
【0012】
スウォッズル2への入口のシュラウド壁近くの低速領域を除くために、IFCとスウォッズルとの間に鐘口形の遷移部材26を用いることができる。
【0013】
燃焼空気がIFC1を出た後、該燃焼空気はスウォッズル集成体2に入る。スウォッズル集成体は、一連の翼形(air foil)形状の旋回羽根によって接続されたハブ及びシュラウドを含む。この一連の旋回羽根は、予混合器を通過する燃焼空気を旋回させる。各旋回羽根は、前記翼形部のコア(芯部)の中を通る一次天然ガス燃料供給通路及び二次天然ガス燃料供給通路を含む。これらの燃料通路は、天然ガス燃料を、翼形部の壁を貫通する一次ガス燃料噴射孔及び二次ガス燃料噴射孔へ分配する。これらの燃料噴射孔は、旋回羽根の圧力側、吸込み側、又は両側に配置することができる。天然ガス燃料が、複数の入口29及び複数の環状通路27,28を通ってスウォッズル集成体2に入り、環状通路27,28は一次及び二次旋回羽根通路にそれぞれ供給する。天然ガス燃料はスウォッズル集成体内で燃焼空気と混合し始め、その燃料/空気混合は、スウォッズル・ハブ延長部31及びスウォッズル・シュラウド延長部32によって形成された環状通路3内で完全になる。環状通路3を出た後、燃料/空気混合物は燃焼器反応域5に入り、そこで燃焼が生じる。
【0014】
図2は、液体燃料ノズルを含むバーナーの、ハブ42を通る縦断面図である。この断面図では、環状空気通路3と、該環状空気通路3内に配置された旋回器2を示している。また、分割器リング40が環状空気通路3内に旋回器2に隣接して配置されている。分割器リング40の前縁は、その周りに旋回器2の旋回羽根が旋回を開始する場所に位置決めされる。ハブ42は液体燃料入口/ノズルを画成し、また複数の液体燃料噴出器44(好ましくは、10個の液体燃料噴出器44)がハブ42の下流端を取り囲んでいて、液体燃料入口と流体連通している。図示のように、各々の液体燃料噴出器44は液体燃料を環状空気通路3内へ半径方向に噴射して分割器リング40と接触させる。
【0015】
好ましくは、複数の液体燃料噴出器44の各々に噴霧器45が付設される。噴霧器45は、燃料噴出器44から噴射された液体燃料と空気を混合させる。噴霧器は、冷却された霧化補助空気通路を画成し、該空気通路は液体燃料通路を囲んで絶縁して、燃料油で濡れた壁の温度をコークス化温度(ほぼ290°F)よりも低い温度に維持する。噴霧器45は、複数の燃料噴出器44の各々と整列して配置された空気ブラスト・スロット46を含む。空気ブラスト・スロット46は液体燃料のための絶縁体を画成する。
【0016】
ハブ42を含む液体燃料噴射部品は、燃焼器を分解せずに取り外し/交換することができるように、燃焼器端蓋を通して後方装着することが好ましい。
【0017】
使用中、空気ブラストされた液体燃料のジェットが、液体燃料噴出器44から、環状空気通路3内の軸対称環状旋回直交流の中へ半径方向外向きに噴射される。液体燃料は分割器リング40に衝突し、そこにフィルムを形成し、そして分割器リング40の(好ましくは、図示のようにテーパーを付けた)後縁41から事前フィルム空気ブラストされる。分割器リング40は、旋回する空気流の2つの同心の環状の流れの間に剪断層を生成する。分割器リング40は、実際に剪断作用、従って混合を増大させる。すなわち、異なる旋回角を持つ2つの空気流を分割器40の後縁で再結合させ、従って流れの中での剪断作用を増大させて、混合を促進させる。空気ブラストされたフィルムは、最初の有限数の二相ジェットよりも一層均一に方位方向に分布し且つ一層微細な液滴を持つ。
【0018】
事前フィルム形成分割器リング40を使用することにより、過侵入及び燃料の外側バーナー壁との衝突を防止して、もって良好に分布した液滴を急速に気化させて、燃焼前に空気と予混合させることができる。本設計では、より大きい液滴を霧化し直すことによって全燃料噴霧液滴直径を減少させ、且つ有限数の衝突するジェットでフィルム形成して事前フィルム空気ブラストを行うことによって円周方向(方位方向)分布を改善する。本設計では、300°F未満の霧化補助空気により液体燃料通路を絶縁し、これによって内部のコークス化を防止する。
【0019】
二重燃料能力の設計により、本構造では、同じ燃焼器を使用して、ノズルをガス又は液体燃料のいずれかで、共に希釈予混合態様で運転することができる。
【0020】
本発明について最も実用的で好ましい実施形態であると現在考えられるものに関して説明したが、本発明が開示した実施形態に制限されないこと、またそれよりむしろ、本発明が「特許請求の範囲」に記載の精神及び範囲内に含まれる様々な修正及び等価な構成を包含するものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0021】
1 入口流調整器
2 スウォッズル集成体
3 環状燃料空気混合通路
4 燃料ノズル集成体
5 燃焼器反応域
6 高圧プレナム
12 外壁
13 内壁
14 環状旋回羽根
15 環状流路
26 鐘口形の遷移部材
27,28 環状通路
29 入口
31 スウォッズル・ハブ延長部
32 スウォッズル・シュラウド延長部
40 分割器リング
41 後縁
42 ハブ
44 液体燃料噴出器
45 噴霧器
46 空気ブラスト・スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状空気通路(3)と、
前記環状空気通路内に配置されていて、前記環状空気通路の中を流れる空気を旋回させる旋回器(2)と、
前記環状空気通路内に配置された分割器リング(40)と、
液体燃料入口を画成するハブ(42)と、
前記ハブの下流端部を取り囲み且つ前記液体燃料入口と流体連通する複数の液体燃料噴出器(44)であって、当該複数の液体燃料噴出器の各々が、液体燃料を前記環状空気通路の中へ半径方向に放出して前記分割器リングと接触させるように位置決めされている、複数の液体燃料噴出器(44)と、
を有する、ガスタービン燃焼器用の二重燃料ノズル。
【請求項2】
更に、前記複数の液体燃料噴出器(44)の各々に付設された噴霧器(45)であって、前記複数の燃料噴出器から放出された液体燃料と空気を混合させる噴霧器(45)を含んでいる、請求項1記載の二重燃料ノズル。
【請求項3】
前記噴霧器(45)は、前記複数の液体燃料噴出器(44)の各々と整列して配置された空気ブラスト・スロット(46)を含んでいる、請求項2記載の二重燃料ノズル。
【請求項4】
前記空気ブラスト・スロット(46)は、前記複数の液体燃料噴出器(44)から放出された液体燃料のための絶縁体を画成する、請求項3記載の二重燃料ノズル。
【請求項5】
前記ハブ(42)は取り外し可能である、請求項1記載の二重燃料ノズル。
【請求項6】
前記分割器リング(40)の後縁(41)にテーパーが付けられている、請求項1記載の二重燃料ノズル。
【請求項7】
前記分割器リング(40)は、旋回する空気流の2つの同心の環状の流れの間の剪断層を生成する、請求項1記載の二重燃料ノズル。
【請求項8】
前記分割器リング(40)は、異なる旋回角を持つ2つの空気流を前記分割器リングの後縁(41)で再結合させることによって剪断作用を増強する、請求項7記載の二重燃料ノズル。
【請求項9】
燃料入口を画成するハブ(42)と、
前記ハブの下流端部に配置され且つ前記ハブから半径方向外向きに液体燃料を放出するように配向された複数の液体燃料噴出器(44)と、
当該環状空気通路の中を流れる空気を旋回させる旋回器(2)を含む環状空気通路(3)と、
前記環状空気通路内に配置され且つ前記複数の液体燃料噴出器を取り囲む分割器リング(40)と、
を有する、ガスタービン燃焼器用の二重燃料ノズル。
【請求項10】
更に、前記複数の液体燃料噴出器(44)の各々に付設された噴霧器(45)であって、前記複数の燃料噴出器から放出された液体燃料と空気を混合させる噴霧器(45)を含んでいる、請求項9記載の二重燃料ノズル。
【請求項11】
前記噴霧器(45)は、前記複数の液体燃料噴出器(44)の各々と整列して配置された空気ブラスト・スロット(46)を含んでいる、請求項10記載の二重燃料ノズル。
【請求項12】
前記空気ブラスト・スロット(46)は、前記複数の液体燃料噴出器(44)から放出された液体燃料のための絶縁体を画成する、請求項11記載の二重燃料ノズル。
【請求項13】
前記分割器リング(40)の後縁(41)にテーパーが付けられている、請求項9記載の二重燃料ノズル。
【請求項14】
前記ノズルはガス燃料で動作可能である、請求項9記載の二重燃料ノズル。
【請求項15】
ガスタービン燃焼器が、燃料入口を画成するハブ(42)と、前記ハブの下流端部に配置され且つ前記ハブから半径方向外向きに液体燃料を放出するように配向された複数の液体燃料噴出器(44)と、旋回器(2)を含む環状空気通路(3)と、前記環状空気通路内に配置され且つ前記複数の液体燃料噴出器を取り囲む分割器リング(40)とを含んでいる場合に、ガスタービン燃焼器用の二重燃料ノズルにおいて液体燃料と空気を混合させる方法であって、
前記環状空気通路に空気を流れさせて、前記旋回器によって該流れる空気を旋回させる段階と、
前記燃料入口を介して液体燃料を入力する段階と、
液体燃料を前記液体燃料噴出器から半径方向に放出して前記分割器リングと接触させる段階とを含み、
前記分割器リングに衝突する液体燃料が前記分割器リング上に燃料フィルムを形成し、該燃料フィルムが前記環状空気通路の中を流れる前記旋回する空気と混合すること、
を特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−247576(P2011−247576A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111955(P2011−111955)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)