説明

ガスホルダ及びガスホルダの施工方法

【課題】ガスホルダの底板の下面側の保守点検を容易化したガスホルダ及びガスホルダの施工方法を提供する。
【解決手段】底板3,側板4及び屋根5で形成される略円筒形状の空間6内に,昇降可能のピストン8を備え,ガスを貯留可能なガスホルダ1において,底板3の下面側に保守点検作業が可能な点検空間Sを設ける。この際に,底板3を上向きに凸形状に形成してもよいし,水平な平坦形状に形成してもよい。作業者がこの点検空間Sに進入し,底板3の下面側の保守点検を行うことによって底板3の腐食部分を早期発見し,補修することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えば転炉ガス(LDG),高炉ガス(BFG)又はコークス炉ガス(COG)等の各種産業施設で発生したガスを所定圧力で貯留するガスホルダ及びガスホルダの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来公知のガスホルダは,ガスを貯留可能な略円筒形状の容器の内部に,貯留したガスの圧力を調整するピストンを昇降可能に設けた構成を有する。略円筒形状の容器は,底板,屋根及び側板で構成される。特許文献1には,このような従来公知のガスホルダが開示されている。
【0003】
一般に,ガスホルダの底板は,基礎又はアスファルトサンドの上に複数の鋼板を直に敷設して形成される。複数の鋼板は,敷設前に,各々の下面を例えばタール塗料で塗装するか,若しくは防食性に優れた溶射材(例えばアルミニウム,亜鉛等の合金)を溶射することによって,予め1枚毎に防食処理が施されている。ガスホルダの底板は,防食処理を施したこれらの複数の鋼板を,その一部が互いに重なるように配置してから,重なり合う部分を隅肉溶接することによって略円形状に形成される。
【0004】
【特許文献1】特開平5−18494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,ガスホルダの底板を形成する場合には,基礎又はアスファルトサンドの上に複数の鋼板を直に敷設して形成するので,ガスホルダの底板を形成後に,その下面側を保守点検することは不可能である。特に,底板として敷設する各鋼板に対して防食処理を施した後に,隅肉溶接等の溶接を行った場合には,溶接の際の熱によって底板の下面側に施した防食材や溶射材が剥離して腐食が進行し易いが,このような腐食部分は,貯留したガスが漏洩する等して問題が発生するまで発見が困難である。
【0006】
このように,底板の下面の腐食部分の発見が遅れると,腐食の補修に費やす時間及び費用が莫大になり,多大な損失を被る恐れがある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり,ガスホルダの底板の下面側の保守点検を容易化したガスホルダ及びガスホルダの施工方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために,本発明によれば,産業施設で発生するガスを所定圧力で貯留するガスホルダであって,前記ガスホルダの底板の下面側に保守点検作業用の点検空間を形成し,外部から前記点検空間に繋がる点検用連絡孔を設けたことを特徴とする,ガスホルダが提供される。
【0009】
上記ガスホルダにおいて,前記底板が上向き凸形状であってもよい。
【0010】
上記ガスホルダにおいて,前記底板の前記上向き凸形状は,前記ガスホルダ内に備えられたピストンの上向き凸形状と略同一であってもよい。
【0011】
上記ガスホルダにおいて,前記底板が水平な平坦形状であってもよい。
【0012】
上記ガスホルダにおいて,前記点検空間内を空調する空調装置を備えていてもよい。
【0013】
また,本発明によれば,上記ガスホルダの施工方法において,前記ガスホルダの側板又は屋根を構築する際に,前記点検空間内に充填材を一時的に充填して施工し,後で前記充填材を除去することを特徴とする,ガスホルダの施工方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば,ガスホルダの底板の下面側に保守点検作業用の点検空間を設け,作業者が点検用連絡孔を通って外部からこの点検空間に出入りし,保守点検作業を行うことを可能にしたことによって,ガスホルダの底板の下面の保守点検を容易化し,腐食等による損傷部分を早期発見することができ,補修に費やす時間及び費用を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下,図面を参照しながら,本発明の好適な実施形態について説明をする。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
図1は,本発明の実施の形態に係るガスホルダ1の内部構成を示す側面図である。ガスホルダ1は,基礎部2の上に設けた底板3と,底板3の周縁に沿って立設した側板4と,側板4で支持され,上向きに湾曲した略半球形状の屋根5とによって,ガスを貯留可能な略円筒形状の貯留空間6を内部に形成した構成を有する。本実施の形態では,底板3は,複数の薄板形状の鋼板Mを溶接によって互いに結合することで形成されている。貯留空間6内に貯留されるガスは,例えば転炉ガス(LDG),高炉ガス(BFG)又はコークス炉ガス(COG)等のガスであってもよい。
【0017】
貯留空間6内には,上向き凸形状であるピストン8が昇降可能に設けられている。このピストン8は,ピストン8の下側において貯留空間6内に貯留したガスの量に応じて昇降し,貯留したガスを上から押圧することによって,ガスの圧力をピストン8の質量に応じた所定圧力に調整することが可能である。なお,ピストン8の周縁部は,図示しない例えば油やゴム等を用いたシール機構によって,側板4との間がシールされた状態で昇降する。
【0018】
基礎部2は,円板形状の第1の基礎部9と,第1の基礎部9の外周に配置した円環形状の第2の基礎部10とで構成される。本実施の形態では,第1の基礎部9の上面は,第2の基礎部10の上面よりも低い位置に設定されている。また,ピストン8を貯留空間6の下部に下降させた際に,ピストン8の下側周縁部11を上面で支えることにより,ピストン8を所定の高さに支持可能なピストン架台12が第2の基礎部10の上にある底板3上に設けられている。
【0019】
図2は,ガスホルダ1の底板3の構成を示す側面断面図である。図2に示すように,底板3は,円板形状の第1の基礎部9の上に設けた上向き凸形状の中央部18と,円環形状の第2の基礎部10の上に設けた水平な平坦形状の外周部19(アニュラープレートとも呼ばれる)とで構成される。本実施の形態では,底板3の中央部18の上向き凸形状は,ガスを押圧するピストン8の上向き凸形状と略同一に構成されている。
【0020】
第1の基礎部9と底板3の中央部18との間には,底板3の中央部18を第1の基礎部9から離間した上方位置に支持する支持体20が設置されている。これにより,底板3の中央部18の下面側には,例えば作業者が進入し,底板3の中央部18の下面等の保守点検作業を行うことが可能な点検空間Sが,第1の基礎部9との間に形成されている。一方,第2の基礎部10の上には,底板3の外周部19が直に配置されている。本実施の形態では,点検空間Sから第1の基礎部9を下側に貫通し,ガスホルダ1の外部まで連通する点検用連絡孔Pが形成され,作業者がこの点検用連絡孔Pを通じて点検空間S内に出入りし,例えば底板3の保守点検作業等を行うことが可能に構成されている。点検空間S内には,例えば点検用連絡孔Pを利用してガスホルダ1の外部の大気と連通し,点検空間Sの除湿又は換気等の空調が可能な空調装置50が設置されている。
【0021】
図3は,第1の基礎部9の上に設置された支持体20の構成を示す平面図である。支持体20は,第1の基礎部9の中心位置の上に配置した傘形状の中心架台21と,第1の基礎部9の外周部の上に配置した中心架台21を中心とする円状の外側架台22との間に,12本の主梁23を放射状に架設した構成を有する。即ち,各主梁23の両端部を,中心架台21及び外側架台22で各々支持する構成にされている。傘形状の中心架台21は,図2に示すように底が空いた正12角錐形状をした上部21aを,その中心部に設けた支柱21bとその正12角形の各角部の下側に設けた支柱21cとで支持する構成を有する。中心架台21に架設した主梁23の上端部は,中心架台21の正12角形の各角部の位置に配置されている。
【0022】
底板3の中央部18を上向き凸形状に形成するように,中心架台21の中心部の高さ(即ち,支持体20の中心部の高さ)は,外側架台22の高さ及び底板3の外周部19の高さより高く設定されている。これにより,支持体20全体が円錐形状に構成される。中心架台21の中心部の高さは,点検空間Sで作業者が作業可能であるように,例えば第1の基礎部9から2〜3m程度であってもよい。
【0023】
主梁23は,両端部以外の箇所の下側に設けた支柱24でも支持されている。隣接する各主梁23の間には,主梁23と同様に中心架台21及び外側架台22との間に放射状に架設した副梁25が1本ずつ計12本配置される。外側架台22の高さは点検のため作業者が作業可能であるように設定することが好ましい。本実施の形態では,中心架台21に架設する副梁25の上端部は,中心架台21の正12角形の各角部間の中点位置に配置されている。さらに,隣接する主梁23及び副梁25の間には,横方向に跨って,横梁26が架設されている。副梁25及び横梁26は,主梁23と同様に,両端部以外の箇所の下側に設けた支柱24でも支持されている。なお,主梁23,副梁25及び横梁26としては,例えばH型鋼又は溝型鋼等のSS材を採用してもよい。このように,全体として,略円錐形状に構成された支持体20の上面を覆うように,複数の鋼板Mを敷詰めることによって,底板3が構成される。
【0024】
図4は,支持台20の上に載せられて,互いに溶接により結合した鋼板M同士の横方向の結合部30及び放射方向の結合部31,32を示す部分平面図である。図5は,図4のX−X線矢視断面図であり,鋼板M同士の横方向の結合部30を示している。図6は,図4のY−Y線矢視断面図であり,鋼板M同士の放射方向の結合部31,32を示している。
【0025】
図4及び図5に示すように,隣接する鋼板M同士の横方向の結合部30は,図4の一点鎖線で示す主梁23又は副梁25の上に,重なり合わないように隣接配置した鋼板Mの横方向の端部40同士の突合せ部を肉盛溶接することによって形成されている。
【0026】
図4及び図6に示すように,隣接する鋼板M同士の放射方向(即ち,第1の基礎部9の径方向)の上面側の結合部31は,隣接する鋼板M同士の放射方向の端部41を互いに重ね合わせ,上に重なる放射方向の端部41を下に重なる放射方向の端部41の上面に隅肉溶接することによって形成されている。同様に,隣接する鋼板M同士の放射方向の下面側の結合部32は,隣接する鋼板M同士の放射方向の端部41を重ね合わせ,下に重なる放射方向の端部41を上に重なる放射方向の端部41の下面に隅肉溶接することによって形成されている。本実施の形態では,放射方向の外側に配置された鋼板Mの放射方向の端部41が,放射方向の内側に配置された鋼板Mの端部41の上に重なるように配置されている。
【0027】
このように,本実施の形態においては,鋼板M同士を,横方向では重ならないように配置し,放射方向では互いに重ね合わせて配置したことによって,鋼板M同士が互いに3枚以上重なる部分を形成しないように構成されている。
【0028】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係るガスホルダ1の底板3を施工する一例としてのガスホルダの施工方法を説明する。
【0029】
まず,第1の基礎部9及び第2の基礎部10を形成する。なお,その後の作業において,第1の基礎部9の凹みが不都合な場合には,第1の基礎部9の上の点検空間S内に例えば砂利等の充填材を,第2の基礎部10と同じ高さまで充填する。そして,点検空間S内に充填した充填材の上に鉄板等を配置し,重機用の足場を形成する。
【0030】
こうして形成した足場に重機を乗入れ,或いは足場上に各種の施工用設備を載置し,ガスホルダ1の側板4や屋根5やピストン8等のガスホルダ1の底板3以外の構成部分を施工する。こうしてガスホルダ1の側板4や屋根5やピストン8等のガスホルダ1の底板3以外の構築が終了した後に,点検空間S内に充填した充填材の上の鉄板を除去する。そして,点検空間S内に充填した充填材を除去する。
【0031】
次に,第1の基礎部9の上の点検空間S内に中心架台21,外側架台22,主梁23,副梁25及び横梁26を配置し,これらを組合せて支持体20を略円錐形状に組立てる。組立てた支持体20の上面を覆うように,複数の鋼板Mを敷詰め,互いに密閉して溶接し,結合する。
【0032】
一方,これらの複数の鋼板Mで構成される底板3の中央部18の下面全体に亘って,溶射材を溶射し,防食処理を施す。また,底板3の中央部18の下面側に形成される点検空間Sの除湿又は換気が可能な空調装置50を設置する。こうして,ガスホルダ1が完成する。
【0033】
以上のようにして構築されたガスホルダ1にあっては,底板3の中央部18の下面側に,作業者が進入し,保守点検を行うことが可能な点検空間Sを形成したことによって,ガスホルダ1の底板3の施工完了後に,従来よりも容易に保守点検を行うことができ,ガスホルダ1の底板3の下面で進行する腐食部分を早期に発見することができる。さらに,発見した腐食部分を点検空間S内で容易に補修することができる。これにより,ガスホルダ1の底板3の腐食の補修に費やす時間及び費用を低減することが可能である。
【0034】
また,底板3の中央部18の下面側に点検空間Sを形成したことによって,ガスホルダ1の底板3を施工する際に,底板3を構成する鋼板Mの放射方向の下面側の結合部31を個別に隅肉溶接したり,底板3の中央部18の下面全体を溶射材で溶射する等して従来よりも完全な防食処理を施すことができ,例えば底板3を構成する鋼板Mの放射方向の端部41同士の間隙へのドレイン等の侵入を防止し,ガスホルダ1の底板3に対して施す防食処理の効果を高めることができる。
【0035】
さらに,底板3を形成する際に,複数の鋼板Mが3枚以上重ならないように支持体20の上に配置して溶接を行うようにしたことによって,鋼板M同士を溶接する際に確実に密閉して溶接することができる。
【0036】
さらに,点検空間S内に除湿又は換気が可能な空調装置50を設置したことによって,ガスホルダ1の底板3の腐食を従来よりも低減することができる。
【0037】
さらに,点検空間S内に一時的に充填材を充填し,補強した足場を形成するようにしたことにより,ガスホルダ1の側板4や屋根5を構築する際に,底板3を損傷させずに重量のある重機を搬入出させることができる。
【0038】
さらに,底板3の中央部18の上向き凸形状を,ピストン8の上向き凸形状と略同一に構成したことによって,例えば,ピストン8と側板4との間のシール機構にゴム等を用いた乾式のガスホルダ1のピストン8を施工する際に,先に施工された底板3の中央部18を型として利用し,この中央部18の外面にピストン8を構成する構成部材を配置してピストン8を施工することができる。
【0039】
なお,ガスホルダ1を施工する際の順序は,上述した施工順序以外にも,例えば,底板3を構築が完了してから,ガスホルダ1の側板4や屋根5やピストン8等のガスホルダ1の底板3以外の構成部分を底板3以外の構成部分を構築する等,任意の順序で行ってよい。
【0040】
本発明の第2の実施の形態として,底板3を平坦な形状に構成してもよい。図7は,第2の実施の形態に係るガスホルダ1の平坦な形状の底板3の構成を示す側面断面図である。図7に示すように,底板3は,円板形状の第1の基礎部9の上に水平な平坦形状に設けた中央部58と,円環形状の第2の基礎部10の上に水平な平坦形状に設けた外周部59とで構成される。底板3の中央部58及び外周部59は,同じ高さに設定されている。
【0041】
第2の実施の形態では,底板3の中央部18を水平な平坦形状に形成するように,第1の基礎部9の中心位置に配置される支持体20の中心架台61の高さが,外側架台22の高さと同じ高さに設定されている。従って,中心架台61と外側架台22との間に架設される。また,中心架台61の上部61aは正12角形の板形状に形成されている。それ以外の点では,第1の実施の形態と概ね同様に構成されている。
【0042】
以上の第2の実施の形態によれば,第1の実施の形態と同様の効果を有することに加え,底板3の中央部18を水平な平坦形状に形成したことによって,底板3全体の上面を水平且つ平坦にすることができ,底板3の施工後にガスホルダ1内のガスを貯留可能な貯留空間6を保守点検する際に,作業が容易化される。
【0043】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0044】
上述した実施形態においては,ガスホルダ1のガスを貯留可能な貯留空間6が略円筒形状である場合について説明したが,貯留空間6はその他の形状であってもよい。
【0045】
上述した実施形態においては,ガスホルダ1に貯留されるガスが転炉ガス(LDG),高炉ガス(BFG)又はコークス炉ガス(COG)等のガスである場合について説明したが,ガスホルダ1に貯留されるガスはその他のガスであってもよい。
【0046】
上述した実施形態においては,底板3の中央部18の上向き凸形状は,ガスを押圧するピストン8の上向き凸形状と略同一に構成されている場合について説明したが,底板3の中央部18の上向き凸形状は,ピストン8の形状とは別の形状であってもよい。
【0047】
上述した実施形態においては,空調装置50を用いて点検空間Sの除湿又は換気等の空調を行う場合について説明したが,その他の装置を用いて空調が行われてもよい。
【0048】
上述した実施形態においては,支持体20が中心架台21,外側架台22,主梁23,副梁25及び横梁26で構成される場合について説明したが,支持体20は,その他の支持部材を用いた構成であってもよい。
【0049】
上述した実施形態においては,中心架台21は,底が空いた正12角錐形状をした上部を備えた傘形状である場合について説明したが,中心架台21は,その他の形状に構成されていてもよい。
【0050】
上述した実施形態においては,主梁23及び副梁25を共に12本ずつ用いて支持体20を構成した場合について説明したが,任意の数の主梁23及び副梁25を用いて支持体20を構成してもよい。
【0051】
上述した実施形態においては,主梁23,副梁25及び横梁26としてH型鋼又は溝型鋼等のSS材を用いた場合について説明したが,主梁23,副梁25及び横梁26としては,その他の構成材を用いてもよい。
【0052】
上述した実施形態においては,複数の鋼板Mを支持台20の上に敷設する際に,隣接する鋼板M同士が横方向で互いに重なり合わないように配置された場合について説明したが,鋼板M同士を横方向で互いに重なり合うように配置してもよい。
【0053】
上述した実施形態においては,複数の鋼板Mを支持台20の上に敷設する際に,隣接する鋼板M同士が放射方向で互いに重なり合うように配置された場合について説明したが,鋼板M同士を放射方向で互いに重なり合わないように配置してもよい。
【0054】
上述した実施形態においては,隣接する鋼板M同士を横方向に結合する際に肉盛溶接によって結合する場合について説明したが,その他の溶接又は溶接以外の方法を用いて結合してもよい。
【0055】
上述した実施形態においては,隣接する鋼板M同士を放射方向に結合する際に隅肉溶接によって結合する場合について説明したが,その他の溶接又は溶接以外の方法を用いて結合してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は,例えば転炉ガス(LDG),高炉ガス(BFG)又はコークス炉ガス(COG)等のガスホルダに適用できるが,その他のガスホルダに対しても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態に係るガスホルダの構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るガスホルダの上向き凸形状の底板の構成を示す構成図である。
【図3】第1の基礎部の上に設置された支持体の構成を示す平面図である。
【図4】互いに溶接により結合した鋼板同士の横方向及び放射方向の結合部を示す部分平面図である。
【図5】図4のX−X線矢視断面図である。
【図6】図4のY−Y線矢視断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るガスホルダの平坦な形状の底板の構成を示す構成図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ガスホルダ
2 基礎部
3 底板
4 側板
5 屋根
6 貯留空間
8 ピストン
9 第1の基礎部
10 第2の基礎部
11 ピストンの下側周縁部
12 ピストン架台
18 上向き凸形状の中央部
19 平坦形状の外周部
20 支持体
21 中心架台
21a 中心架台の上部
21b,21c 中心架台を支持する支柱
22 外側架台
23 主梁
24 支柱
25 副梁
26 横梁
30 鋼板同士の横方向の結合部
31 鋼板同士の放射方向の上面側の結合部
32 鋼板同士の放射方向の下面側の結合部
40 鋼板の横方向の端部
41 鋼板の放射方向の端部
50 空調装置
58 第2の実施の形態に係る水平な平坦形状に設けた中央部
59 第2の実施の形態に係る水平な平坦形状に設けた外周部
61 第2の実施の形態に係る中心架台
61a 第2の実施の形態に係る中心架台の上部
M 鋼板
P 点検用連絡孔
S 空間
X−X 断面線
Y−Y 断面線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業施設で発生するガスを所定圧力で貯留するガスホルダであって,
前記ガスホルダの底板の下面側に保守点検作業用の点検空間を形成し,外部から前記点検空間に繋がる点検用連絡孔を設けたことを特徴とする,ガスホルダ。
【請求項2】
前記底板が上向き凸形状であることを特徴とする,請求項1に記載のガスホルダ。
【請求項3】
前記底板の前記上向き凸形状は,前記ガスホルダ内に備えられたピストンの上向き凸形状と略同一であることを特徴とする,請求項2に記載のガスホルダ。
【請求項4】
前記底板が水平な平坦形状であることを特徴とする,請求項1に記載のガスホルダ。
【請求項5】
前記点検空間内を空調する空調装置を備えていることを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載のガスホルダ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のガスホルダの施工方法において,
前記ガスホルダの側板又は屋根を構築する際に,前記点検空間内に充填材を一時的に充填して施工し,後で前記充填材を除去することを特徴とする,ガスホルダの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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