説明

ガスメーター、その制御方法及び制御プログラム

【課題】遮断弁の自動復帰及び手動復帰が可能なガスメーターに関し、安全性を確保しつつ手動復帰によるガス供給を迅速化し、利便性を向上させることにある。
【解決手段】遮断弁を遮断状態から開弁状態に復帰させる復帰指示をする復帰ボタンを備え、ガス圧力と比較する第1の圧力値、この第1の圧力値と異なる第2の圧力値が設定され、復帰ボタンから復帰指示を受けることなく、遮断弁の遮断又はその遮断指示から待機時間の経過後、遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、遮断弁の開弁から一定時間経過後に遮断弁を遮断状態に制御し、ガス圧力の低下値が第1の圧力値以下であれば、遮断弁を開弁状態に制御し、復帰ボタンから復帰指示を受けて遮断弁を開弁状態にさせ、一定時間経過後に遮断弁を遮断状態にし、ガス圧力の低下値が第2の圧力値以下であれば、遮断弁を開弁状態に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震の揺れ等の感震時にガス流路の自動遮断機能とともに自動復帰又は手動復帰が可能なガスメーターに関し、特に、感震遮断後の漏洩監視で、監視流量を自動復帰の場合は通常復帰の場合に比べて判定圧力値を小さくする等、自動復帰と手動復帰の開弁条件を異ならせたガスメーター、その制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス流路に流れるガス流量を測定するガスメーターには、感震時にガス流路を遮断する遮断弁が備えられている。遮断弁の遮断状態から開弁状態への復帰には、閉弁から所定時間経過後、復帰状態に維持してガス漏れ検査を行い、ガス漏れがあれば遮断状態にし、ガス漏れがなければ開弁状態を維持する自動復帰と、ユーザーが必要に応じて遮断弁を復帰状態にする手動復帰とがある。手動復帰操作を行っても、ガス漏れがあれば、遮断弁は遮断状態に維持され、安全性を確保している。
【0003】
このような遮断弁の復帰に関し、特許文献1では、遮断弁を遮断状態にした後、流量記憶部に記憶されていた流量に応じて自動復帰時間を決定し、この自動復帰時間だけ待機した後、遮断弁を復帰状態にしてガス漏れ検査を行い、ガス漏れがあれば遮断弁を遮断状態にし、ガス漏れがなければ遮断弁の復帰状態を維持することが開示されている。
【0004】
特許文献2では、地震発生時に地震レベルを判定するとともに、ガス流量レベルが所定値を超えているか否かによりガス使用中か否かを判定し、これらの判定結果に基づいて遮断弁の動作を制御することが開示されている。
【0005】
地震発生時のガス遮断に関し、特許文献3では、特定期間内に1段目のパルス信号のみが発生した場合は小地震とみなして復帰可能なガス遮断を行い、1段目と2段目のパルス信号が発生した場合は大地震とみなして復帰不可の即遮断を行い、2段目のパルス信号のみが発生した場合は衝撃とみなしてガス遮断を行わないガス遮断制御について開示されている。
【0006】
特許文献4では、瞬時流量計測手段による瞬時流量と感震手段の地震レベルに応じて流路調節を行うことにより、複数の地震レベルが計測でき、地震レベルと瞬時流量に応じて流路の開度を調整することが開示されている。
【0007】
また、特許文献5では、遮断状態にある遮断弁を開弁状態に自動復帰させるための自動復帰機能を有するガスメーターに関し、流量区分毎に自動復帰機能の有効又は無効を示すフラグを設定し、遮断事象が発生した場合に、遮断直前の登録流量が自動復帰機能の有効区分内か否かを判定し、有効区分内であると判定された場合に遮断弁を自動復帰させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−89609号公報(要約、図5等)
【特許文献2】特開平9−53970号公報(要約、図4等)
【特許文献3】特開2002−156259号公報(要約、図3等)
【特許文献4】特開平11−64054号公報(要約、図1等)
【特許文献5】特開2006−250791号公報(要約、図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、感震時等、強い揺れや衝撃を受けた場合に自動遮断した遮断弁を開弁状態に自動的に復帰させる自動復帰機能は、自動遮断から一定の待機時間の後、遮断弁を開弁状態に復帰させてメーターの下流側の配管に圧力をかけ、圧力が安定する一定時間経過後に遮断弁を再び閉じて、圧力の低下を監視することでガスの漏洩確認を行った後、ガス漏れ量が所定量以下であれば、遮断弁を再び開いて復帰状態にさせている。
【0010】
ユーザーが不用意に衝撃を発生させた場合等、地震等の揺れではない場合には、ユーザーにおいて、安全性が判断できる場合であっても、遮断弁は自動遮断に移行する。このような場合、自動復帰動作を優先させると、ユーザーが安全であると判断しても、手動復帰が困難であれば、利便性に欠けるし、手動復帰であっても、同様の漏洩確認が必要であれば、相当な待機時間の経過を余儀なくされる。
【0011】
自動復帰又は手動復帰に拘わらず同様の漏洩確認を行っているが、自動復帰であれば、人が不在であることを前提にしてできるだけ厳重な漏洩確認が行われ、人が立ち会っている場合であっても、開弁復帰までに長時間を要する。
【0012】
このような漏洩検知機能は安全性重視のため、非常に厳重な漏洩検知が要求され、漏洩確認の精密化は漏洩確認に長時間を要する。これに対し、手動復帰の場合には、人が立会う復帰であるから、利便性向上の観点からすれば、短時間で迅速な復帰が望まれる。
【0013】
ところで、ガス機器には安全装置が装備されているが、熱電対を使用したもの等では、作動までに時間を要する。自動復帰動作では人がいないか又は人がいてもガス遮断に気付かない場合があり、ガス機器側の安全装置が動作するまで、遮断弁の開弁操作を行うことができない。そのため、待ち時間が設定されており、この待ち時間は相当長くなる。ガスが使用されていない状態で遮断弁が遮断した場合には、ガス漏れがないので待ち時間を短くできる。
【0014】
手動復帰の場合には、人が復帰動作を開始前にガス機器を止めてから行う作業手順となっているので、待ち時間の設定はない。現在、自動復帰は、ガスを使っていない状態で地震又は衝撃による遮断のみを対象としており、これは安全性を損なわずにガス供給を実現するという利便性を確保するためである。
【0015】
しかしながら、自動復帰も手動復帰も同様の漏洩確認を行う場合には、人が立ち会っていても相当な待機時間が必要となり、安全性が確保されていても、ガス供給を迅速に行えないという利便性に欠けるという課題がある。
【0016】
このような課題は既述の引用文献1〜5には開示はなく、その解決手段についての示唆もない。
【0017】
そこで、本発明の目的は、遮断弁の自動復帰や手動復帰が可能なガスメーターに関し、安全性を確保しつつ手動復帰によるガス供給を迅速化し、利便性を向上させることにある。
【0018】
また、本発明の他の目的は、遮断弁の遮断原因に対し、自動復帰の可能な遮断原因を異ならせ、安全性を確保しつつガス供給の自動復帰を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、本発明は、ガスメーターの遮断時の復帰操作において、復帰ボタンを押す手動復帰時と、メーターが自動的に行う自動復帰時、センターからの遠隔復帰時等、復帰方法によって復帰漏洩確認時に確認する漏洩検知のためのガス圧力の低下を判断する基準値を変更したものである。即ち、遮断原因の生起によりガス流路を遮断する遮断弁を備えるガスメーターに関し、ガス圧力の低下を判断する第1の圧力値と、この第1の圧力値と異なる第2の圧力値とを設定し、復帰ボタンによる復帰指示を受けることなく、遮断弁の遮断又はその遮断指示から待機時間の経過後、遮断弁を一度開弁させ、メーターの下流側の配管に圧力をかけ、圧力が安定する一定時間経過後に遮断弁を再び閉じて、圧力の低下を監視し、ガス圧力が第1の圧力値以下であれば、遮断弁を開弁状態に制御し、また、復帰ボタンによる復帰指示を受けて遮断弁を開弁させ、圧力低下が第2の圧力値以下であれば、遮断弁を開弁状態に制御する。復帰ボタン押下による手動復帰は、必ず人が立ち会う復帰作業であるため、漏れが無い場合にはすぐに使えるようにしたい、しかし自動復帰を行う場合には、人が立ち会わない場合があるので、漏れを誤判定することは許されない、そのために漏洩検知のためのガス圧力の低下を判断する基準値を小さく設定する(第1の圧力値を第2の圧力値に比べて小さく設定する)ことによって、より厳しい検査が行われる。その場合、検査時間中の温度変化によって圧力が若干低下することもあるので、漏れが無くても漏れありと判定してしまう場合も起こりうるが、漏れ検査精度が高くなり、安全性が優先される。このような設定を行うことによって安全性を担保しつつガス供給の利便性が高められる。
【0020】
そこで、上記目的を達成するため、本発明の第1の側面は、ガス流路を遮断する遮断弁を備えるガスメーターであって、前記ガス流路のガス圧力を測定する圧力測定手段と、前記遮断弁を遮断状態から開弁状態に復帰させる復帰指示をする復帰ボタンと、前記圧力測定手段で測定されたガス圧力と比較する第1の圧力値、この第1の圧力値と異なる第2の圧力値が設定され、前記復帰ボタンから前記復帰指示を受けることなく、前記遮断弁の遮断又はその遮断指示から待機時間の経過後、前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、前記遮断弁の開弁から一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態に制御し、前記圧力測定手段で測定されたガス圧力からの低下値が前記第1の圧力値以下であれば、前記遮断弁を開弁状態に制御し、前記復帰ボタンから前記復帰指示を受けて前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態にし、前記ガス圧力からの低下値が前記第2の圧力値以下であれば、前記遮断弁を開弁状態に復帰可能に制御する制御手段とを備えることである。斯かる構成によれば、上記目的が達成される。
【0021】
本発明の第2の側面は、ガス流路を遮断する遮断弁を備えるガスメーターであって、前記ガス流路のガス圧力を測定する圧力測定手段と、前記遮断弁を遮断状態から開弁状態に復帰させる復帰指示をする復帰ボタンと、前記圧力測定手段で測定されたガス圧力の低下量と比較する第3の圧力値と第4の圧力値とが設定されるとともに、圧力低下の判定を行う第1の判定時間と第2の判定時間とが設定され、前記復帰ボタンから前記復帰指示を受けることなく、前記遮断弁の遮断又はその遮断指示から待機時間の経過後、前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態に制御し、前記圧力測定手段で測定されたガス圧力からの低下値が前記第1の判定時間以内に前記第3の圧力値以上にならなければ、前記遮断弁を開弁状態に制御し、復帰ボタンから前記復帰指示を受けて前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態にし、前記ガス圧力からの低下値が前記第2の判定時間以内に前記第4の圧力値以上にならなければ、前記遮断弁を開弁状態に復帰可能に制御する制御手段とを備えることである。斯かる構成によれば、上記目的が達成される。
【0022】
また、上記目的を達成するためには、上記ガスメーターにおいて、好ましくは、前記第2の圧力値は、前記第1の圧力値より大きい値に設定されてもよいし、また、前記復帰ボタンによる前記復帰指示を受けて前記遮断弁を開弁状態に維持する制御は、前記遮断弁を遮断させる遮断原因の全ての遮断原因又はその遮断原因から選択された遮断原因を対象にし、前記復帰ボタンによる前記復帰指示を受けないで前記遮断弁を開弁状態に維持する制御は、前記遮断原因から選択された限定遮断原因を対象にする構成としてもよいし、また、前記遮断原因は、所定震度以上の地震、所定値以上の衝撃、所定時間以上の長時間使用、又はガス圧力の低下が所定値以下であってもよいし、また、前記限定遮断原因は、所定震度以上の地震、所定値以上の衝撃、又は所定時間以上の長時間使用の何れかであってもよいし、また、前記待機時間中又は前記待機時間後に前記復帰ボタンからの復帰指示を受けた場合、前記制御手段は、前記復帰ボタンの復帰指示に基づく復帰動作を優先して実行してもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
【0023】
また、上記目的を達成するため、本発明の第3の側面は、ガス流路を遮断する遮断弁を備えるガスメーターの制御方法であって、前記ガス流路のガス圧力を測定するステップと、前記遮断弁を遮断状態から開弁状態に復帰させる復帰指示をするステップと、測定されたガス圧力と比較する第1の圧力値、この第1の圧力値と異なる第2の圧力値が設定され、前記復帰指示を受けることなく、前記遮断弁の遮断又はその遮断指示から待機時間の経過後、前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、さらに一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態に制御し、前記ガス圧力からの低下値が前記第1の圧力値以下であれば、前記遮断弁を開弁状態に制御し、前記復帰指示を受けて前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態にし、前記ガス圧力からの低下値が前記第2の圧力値以下であれば、前記遮断弁を開弁状態に復帰可能に制御するステップとを含むことである。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
【0024】
また、上記目的を達成するためには、上記ガスメーターの制御方法において、好ましくは、前記第2の圧力値は、前記第1の圧力値より大きい値に設定されてもよいし、また、前記待機時間中又は前記待機時間後に前記復帰指示を受けた場合、前記復帰指示に基づく復帰動作を優先して実行してもよい。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
【0025】
また、上記目的を達成するため、本発明の第4の側面は、ガス流路を遮断する遮断弁を備えるガスメーターに搭載されたコンピュータに実行させる制御プログラムであって、前記ガス流路で測定されたガス圧力を取得するステップと前記遮断弁を遮断状態から開弁状態に復帰させる復帰指示をするステップと、測定されたガス圧力と比較する第1の圧力値、この第1の圧力値と異なる第2の圧力値が設定され、前記復帰指示を受けることなく、前記遮断弁の遮断又はその遮断指示から待機時間の経過後、前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、さらに一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態に制御し、前記ガス圧力からの低下値が前記第1の圧力値以下であれば、前記遮断弁を開弁状態に制御し、前記復帰指示を受けて前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態にし、前記ガス圧力からの低下値が前記第2の圧力値以下であれば、前記遮断弁を開弁状態に復帰可能に制御するステップとを含むことである。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
【0026】
また、上記目的を達成するためには、上記制御プログラムにおいて、好ましくは、前記第2の圧力値は、前記第1の圧力値より大きい値に設定されてもよいし、また、前記待機時間中又は前記待機時間後に前記復帰指示を受けた場合、前記復帰指示に基づく復帰動作を優先して実行してもよい。斯かる構成によっても、上記目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0027】
(1) ガスメーターに備えた遮断弁の遮断の際に、復帰ボタンの操作を契機とする手動復帰と、復帰ボタンの操作を伴わない自動復帰とを設定し、手動復帰の場合と自動復帰の場合について、ガス圧力の低下を判定する圧力値を異ならせて遮断弁の開弁状態の制御を行うので、ガス遮断後のガス供給の安全性と迅速化とを図ることができ、ガス利用の利便性の向上を図ることができる。
【0028】
(2) ガスメーターに備えた遮断弁の遮断の際に、遮断弁を遮断状態にさせた遮断原因に対し、復帰ボタンの操作を契機とする手動復帰を可能とする遮断原因と、復帰ボタンの操作を伴わない自動復帰を可能とする遮断原因とを異ならせたことにより、ガス遮断後のガス供給の安全性と迅速化とを図ることができ、ガス利用の利便性の向上を図ることができる。
【0029】
(3) ガスメーターに備えた遮断弁の遮断の際に、復帰ボタンの操作を契機とする手動復帰の際の圧力値を、復帰ボタンの操作を伴わない自動復帰の際の圧力値より大きい値に設定すれば、ガス遮断後のガス供給の安全性と迅速化とを図ることができ、ガス利用の利便性の向上を図ることができる。
【0030】
(4) ガスメーターに備えた遮断弁の遮断の際に、復帰ボタンの操作を伴わない自動復帰の際に圧力値を、復帰ボタンの操作を契機とする手動復帰の際の圧力値より小さい値に設定すれば、ガス遮断後のガス供給の安全性と迅速化とを図ることができ、ガス利用の利便性の向上を図ることができる。
【0031】
(5) 自動復帰による復帰の場合に要求される漏洩検知機能として、人が不在の状態での復帰となる可能性が高く、非常に精密な漏洩を検知することが要求されるが、漏洩確認を精密にする程、確認には長い時間がかかるので、復帰ボタン操作による手動復帰の場合には、人の立会いよる復帰の可能性があり、利便性向上の観点から出来るだけ短時間で復帰することができ、利便性を高めることができる。
【0032】
(6) 復帰ボタン押下による手動復帰時は人が立会っての復帰作業であるから、自動復帰時に比べて精密な復帰漏洩確認は不要であるため、復帰ボタン操作による手動復帰時と、メーター自動による自動復帰時とで、復帰漏洩確認時に確認する圧力値を変更することで、利便性を損なわずに安全性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1の実施の形態に係るガス供給システムを示す図である。
【図2】他のガス供給システムを示す図である。
【図3】異常使用によるガス遮断後のガス漏れがない場合を示す図である。
【図4】異常使用によるガス遮断後のガス漏れがある場合を示す図である。
【図5】ガス漏れ判断を含む処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態に係るガス供給システムを示す図である。
【図7】ガスメーター制御ユニットのハードウェア構成を示す図である。
【図8】遮断原因、自動又は手動復帰に関するデータ構造を示す図である。
【図9】ガス遮断、自動復帰又は手動復帰の処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図10】ガス遮断、自動復帰又は手動復帰の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】ガス遮断、自動復帰又は手動復帰の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施の形態に係る復帰処理に復帰レベルを付した場合の処理に用いる復帰処理テーブルを示す図である。
【図13】第5の実施の形態に係るガス供給システムを示す図である。
【図14】ガス遮断、自動復帰又は手動復帰の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】第7の実施の形態に係るガス遮断後のガス圧力を示す図である。
【図16】ガス遮断、自動復帰又は手動復帰の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】遮断弁、圧力センサー及びガス流量検出器の設置順序の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
〔第1の実施の形態〕
【0035】
第1の実施の形態について、図1及び図2を参照する。図1及び図2は、ガス供給システムを示す図である。図1及び図2に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明は限定されるものではない。
【0036】
ガス供給システム2では、図1に示すように、ガス供給源4からガス供給網6を通じて供給されるガスGは、ガス流路7によりガスメーター8を通して顧客宅10にあるガス機器101、102に供給される。ガスメーター8には、遮断弁12、圧力測定手段として圧力センサー14、流量測定手段としてガス流量検出器16が設置されている。圧力センサー14は、遮断弁12より下流側のガス流路7に設置すればよく、ガス流量検出器16の上流側(図1)に設置してもよく、図2に示すように、ガス流量検出器16の下流側に設置してもよい。要するに、圧力センサー14は、遮断弁12の開閉に関係なく、遮断弁12より下流側のガス流路7の圧力を測定できる部位に設置される。
【0037】
このようなガス供給システム2のガス流量とガス圧力について、図3及び図4を参照する。図3は、異常使用によるガス遮断後のガス流量及びガス圧力(ガス漏れがない場合)を示す図、図4は、異常使用によるガス遮断後のガス流量及びガス圧力(ガス漏れがある場合)を示す図である。
【0038】
(1) 異常使用による遮断後、ガス漏れがない場合(図3)
【0039】
図3Aにおいて、F1 はガス使用時のガス流量、F2 は遮断弁12の開弁時のガス流量、F3はガス使用再開時のガス流量であり、図3Bにおいて、Pa、Pbはガス流量に対応するガス圧力の推移を示している。
【0040】
ガス使用が長時間使用(異常使用)の場合、図3Aに示すように、時刻t1 で遮断弁12が閉じるとガス流量F1 は零となるので、これを契機に圧力Paも低下する(図3B)。また、遮断弁12が閉じた後、器具栓を閉止する。
【0041】
遮断弁12の閉止から所定時間が経過後の時刻t2 で遮断弁12を開にすると、その開状態により、ガス流量が増加し、そのピーク時点t3 で圧力Pbが立ち上がる。器具栓が閉じていれば、ガス流量は零となる。この状態において、時刻t4 で遮断弁12を閉止し、所定時間Tn後の時刻t5 で圧力Pbの低下幅が一定値以下であれば漏れが無いと判断して遮断弁12を開状態にし、ガスを使用可能にする。時刻t6 でガスの使用が再開されれば、ガス流量F3 が生じ、このガス流量F3 が生じている時刻t6 、t7 の間で圧力Pbが僅かに下降するがガスの使用が終わればガス圧力は供給圧力まで戻る。
【0042】
(2) 異常使用による遮断後、ガス漏れがある場合(図4)
【0043】
図4Aにおいて、F4 はガス使用時のガス流量、F5 は遮断弁12の開弁時のガス流量であり、図4Bにおいて、Pc、Pdはガス流量に対応するガス圧力の推移を示している。
【0044】
時刻t8 でガス使用が開始され、ガス使用が長時間使用(異常使用)の場合、時刻t9 で遮断弁12が閉じると、ガス流量F4 は零となるので、これを契機に圧力Pcも低下する。
【0045】
遮断弁12の閉止から所定時間が経過後の時刻t10で遮断弁12を開にすると、その開状態により、ガス流量F5 が生じる。時刻t10から開状態にある遮断弁12を時刻t11で閉じた場合、時刻t11以降でガス漏れを測定する。ガス漏れがあれば、時刻t11の時点からガス漏れによって圧力Pdが低下し、圧力Pdの低下によってガス漏れを知ることができる。即ち、遮断弁12より下流側のガス流路又はガス機器101、102側にガス漏れがあり、又はガス機器101、102の器具栓が閉止されていないことを測定することができる。その場合ガスの漏れの可能性があるために、再度遮断弁を開くことなくガスが使えない状態を継続することになる。
【0046】
このようなガス漏れ判断について、図5を参照する。図5は、そのガス漏れ判断を含む処理手順を示すフローチャートである。
【0047】
1)ガスの異常使用状態の継続により、遮断弁12が閉止する(ステップS11)。
【0048】
2)ガス機器101又はガス機器102等に設置されている器具栓を閉止し、一定時間経過後に再び遮断弁12を開状態にする(ステップS12)。
【0049】
3)この遮断弁12の開弁から一定時間経過後に遮断弁12を閉止する(ステップS13)。即ち、下流側のガス流路7である配管にガスが充填され、温度も安定するまで待機する。
【0050】
4)その後、圧力センサー14によってガス流路7のガス圧力を監視し、ガス圧力の低下が一定値未満であるか否かを判定し(ステップS14)、この判定から一定時間が経過したか否か判定され( ステップS15) 、一定時間だけガス圧力を監視した後(ステップS15のNO)、その一定時間が経過すれば(ステップS15のYES)、ガス漏れなしと判定( ステップS16) する。この場合、再び遮断弁12を開弁し、ガスを使用可とする(ステップS17)。
【0051】
5)また、ステップS14で圧力低下が一定値以上下がった時点でガス漏れありと判定し(ステップS18)、遮断弁12の閉止状態を継続してガスを使用不可とする(ステップS19)。
【0052】
このようにガス漏れの判定を圧力によって行うことができ、ガス漏れ判定の際に、圧力低下が一定値即ち、圧力低下幅をガス遮断の事由又は人の有無によって変えれば、ガス使用可能状態への復帰を迅速化できる。
【0053】
〔第2の実施の形態〕
【0054】
第2の実施の形態について、図6を参照する。図6は、ガス供給システムを示す図である。図6に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明は限定されるものではない。図6において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0055】
このガス供給システム2はガス供給源4からガス供給網6を通して各顧客宅10に供給するガス供給システムであって、例えば、都市ガス供給システムに代表される。このガス供給システム2では、図6に示すように、ガスGがガスメーター8のガス流路7を経て顧客宅10に供給されている。
【0056】
ガスメーター8は、顧客宅10に供給されるガスGの使用量を計測する機能(手段)を有するとともに、ガス供給の安全性を維持するため、一定の遮断原因が生起した際にガス供給を遮断する機能と、ガス供給を自動復帰する機能と、手動復帰する機能とを有し、遮断弁12、圧力センサー14、ガス流量検出器16、地震センサー18、ガスメーター制御ユニット20、通信ユニット22、復帰ボタン24、表示部25等の機能部を備えている。
【0057】
遮断弁12はガス流路7を遮断する手段であって、例えば、震度5以上の地震の発生等、一定の遮断原因の生起により、自己遮断又はガスメーター制御ユニット20によって駆動されてガス流路7を遮断する。この遮断弁12の自己遮断は、閾値以上の衝撃が加わった場合に地震による揺れとは別の遮断機能による。また、この遮断弁12は、その遮断状態を検知する手段として遮断センサー26を備えており、その遮断検知出力がガスメーター制御ユニット20に取り込まれる。
【0058】
また、遮断弁12は、遮断したガス供給を一定の条件により復帰させることができ、このガス供給の復帰には、既述の通り自動復帰又は手動復帰があり、自動復帰はガスメーター制御ユニット20の自動復帰モードにより、手動復帰は復帰ボタン24による復帰指示を契機とする手動復帰モードにより実行される。
【0059】
圧力センサー14はガス流路7に流れるガスGの圧力の検出手段であって、ガス圧力の低下や上昇を検出する。この圧力センサー14の検出信号はガスメーター制御ユニット20に伝送され、ガスメーター制御ユニット20では、ガス流路7のガス圧力を常時監視する。
【0060】
ガス流量検出器16はガス流路7に流れるガス流量の検出手段であって、ガス流量の増減を検出する。このガス流量検出器16の検出信号はガスメーター制御ユニット20に伝送され、ガスメーター制御ユニット20では、ガス流量を常時監視する。
【0061】
地震センサー18は地震による揺れの検出手段であって、この地震検知信号はガスメーター制御ユニット20に取り込まれる。震度5以上の地震により、遮断弁12が遮断状態となり、この遮断状態は遮断センサー26で検知される。
【0062】
ガスメーター制御ユニット20は、圧力センサー14、ガス流量検出器16、地震センサー18の出力信号を受け、遮断弁12を遮断状態に制御し、遮断センサー26の検知出力を受け、遮断弁12を遮断状態から開弁状態に自動復帰又は手動復帰させるための制御や、ガス流量の積算や、他の機能部を制御する制御手段であって、例えば、マイクロコンピュータで構成される。
【0063】
通信ユニット22は、ガスメーター制御ユニット20と外部機器や管理センターとの通信を行うための通信手段であるとともに、他の外部機器に対するインタフェース部を構成するが、遮断状態にある遮断弁12を管理センターからの指示により、既述の自動復帰又は手動復帰に代わって復帰させる遠隔復帰手段を構成する。
【0064】
復帰ボタン24は、遮断状態にある遮断弁12を遮断状態から開弁状態に復帰させるための復帰指示を行う手段であって、その復帰指示は、ガスメーター制御ユニット20に加えられる。
【0065】
表示部25は、情報提示手段の一例であって、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)表示器等で構成され、遮断弁12が遮断状態にあることを表す遮断表示、検査中であることを表す検査中表示等に用いられる。
【0066】
そして、顧客宅10には、遮断弁12が開弁状態にあれば、ガス流路7を通じてガスGがガス機器101、102等に供給される。
【0067】
次に、ガスメーター制御ユニット20について、図7を参照する。図7はガスメーター制御ユニットのハードウェア構成を示す図である。図7に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明は限定されるものではない。図7において、図1及び図6と同一部分には同一符号を付してある。
【0068】
ガスメーター制御ユニット20はマイクロコンピュータで構成され、図7に示すように、CPU(Central Processing Unit )28、RAM(Random-Access Memory)30、記憶部32、インタフェース部34、弁駆動部36、表示制御部38を備えている。
【0069】
CPU28は、記憶部32にあるプログラムを実行して機能部を制御する制御手段、検出出力と閾値とを比較する比較手段であるとともに、待機時間等の計時手段である。即ち、CPU28は、遮断弁12、通信ユニット22等の機能部の制御手段を構成し、圧力センサー14、ガス流量検出器16、地震センサー18、遮断センサー26等の検出出力と閾値との比較等の演算手段を構成し、記憶部32のデータの読出し等の記憶制御手段を構成し、遮断弁12の遮断後の待機時間の計測等の計時手段を構成する。また、このCPU28は、遮断状態にある遮断弁12を自動復帰モードによる開弁状態への移行、手動復帰モードによる開弁状態への移行を行う。
【0070】
RAM30はワークメモリであり、記憶部32はプログラム記憶手段であるとともに、データ記憶手段である。記憶部32には、プログラム記憶部と、データ記憶部とが設定され、プログラム記憶部にはOS(Operating System)の他、アプリケーションプログラムとして自動復帰プログラムルーティン、手動復帰プログラムルーティン等が格納され、データ記憶部にはデータテーブル40(図8)等が格納されている。
【0071】
インタフェース部34はセンサーや機能の入出力手段であって、このインタフェース部34には、圧力センサー14、ガス流量検出器16、地震センサー18、通信ユニット22、復帰ボタン24、遮断センサー26が接続されている。インタフェース部34には、CPU28の制御により圧力センサー14、ガス流量検出器16、地震センサー18、復帰ボタン24、遮断センサー26の検出出力が取り込まれ、これらの検出出力がCPU28に伝送される。
【0072】
弁駆動部36は、遮断弁12の弁部37の駆動モータ39を駆動する駆動手段であって、CPU28からの駆動出力により駆動モータ39を開閉駆動する。駆動モータ39は例えば、ステッピングモータで構成される。
【0073】
表示制御部38は、表示部25の制御手段であって、CPU28の制御により、表示部25の遮断表示やその表示消去を行う。
【0074】
斯かる構成によれば、例えば、所定震度以上の地震の揺れや、衝撃を検知した際の検知出力の発生等、遮断弁12を遮断状態にする遮断原因が生起すると、CPU28から遮断出力が発せられ、弁駆動部36からモータ駆動出力が得られる。この出力が発せられると、駆動モータ39が回転し、この回転によって弁部37が遮断状態に移行し、ガス流路7を遮断させる。
【0075】
遮断弁12の遮断原因が地震、衝撃遮断、通常流量での長時間使用等の自動復帰可能な遮断原因であれば、自動復帰モードが実行される。即ち、復帰ボタン24の操作がなく、遮断弁12の遮断から所定の待機時間の後、遮断弁12を遮断状態から開弁状態に開弁させ、圧力センサー14で測定されるガス圧力Pに対してガス漏れを判断するための第1の圧力値が設定され、この実施の形態では、ガス圧力Pの低下が圧力低下幅P1 以下であれば、開弁状態が維持される。
【0076】
また、遮断弁12の遮断原因が軽微な地震、衝撃遮断、通常流量での長時間使用等の自動漏れ検査によって安全性が確認しても良い(自動復帰許可)遮断原因の他、手動復帰のみが可能な遮断原因即ち、ガス圧力の低下による遮断、ガス流量の急増による遮断であれば、復帰ボタン24の操作を契機とする手動復帰モードが実行される。即ち、復帰ボタン24を操作すると、遮断弁12を遮断状態から開弁状態に開弁させ、ガス流量検出器16で検出されるガス圧力Pに対してガス漏れを判断するための第1の圧力値とは異なる第2の圧力値が設定され、ガス圧力の低下が圧力低下幅P1とは異なる圧力低下幅P2 以下であれば、開弁状態が維持される。
【0077】
圧力低下幅P1 、P2 (P1 ≠P2 )の大小関係は、圧力低下幅P2 を圧力低下幅P1 より大きい値(P2 >P1 )に設定すれば、自動復帰判定が厳しい基準で判定され人がいない状態でも安全にガスが使用可能な状態で復帰できる。
【0078】
次に、遮断原因、自動復帰又は手動復帰に関するデータ構造について、図8を参照する。図8は、遮断原因、自動復帰又は手動復帰に関するデータ構造を示す図である。図8に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0079】
このデータ構造は、ガスメーターの制御方法又は制御プログラムに用いられるデータの一例であって、記憶部32のデータ記憶部に格納され、データテーブル40を構成している。
【0080】
このデータテーブル40では、図8に示すように、遮断原因42には自動復帰及び手動復帰が可能な遮断原因44と、手動復帰のみが可能な遮断原因46とがある。
【0081】
遮断原因42は次の通りである。
【0082】
a)震度5以上の地震
b)閾値以上の衝撃
c)通常流量での閾値以上の長時間使用
d)ガス圧力の低下
e)ガス流量の急増
等がある。ガスの未使用時、a)震度5以上の地震、b)閾値以上の衝撃による遮断は自動復帰及び手動復帰が可能であり、ガス使用中、a)震度5以上の地震、b)閾値以上の衝撃、c)通常流量での閾値以上の長時間使用による遮断も自動復帰及び手動復帰が可能である。これに対し、ガス流路7におけるd)ガス圧力の低下、e)ガス流量の急増は、手動復帰のみが可能である。これは、遮断原因d)、e)が人がいない状態で自動的に再使用可能とすることが適切でない事象だからである。テーブル中の丸印は自動復帰が可能か、手動復帰が可能かを表している。
【0083】
a)震度5以上の地震について:
【0084】
地震センサー18の地震の検知出力は、ガスメーター制御ユニット20に取り込まれ、その地震が震度5以上であれば、ガスメーター制御ユニット20の制御出力によって遮断弁12が閉じられる。この遮断状態は遮断センサー26によって検知され、その検知出力がガスメーター制御ユニット20に取り込まれる。
【0085】
b)閾値以上の衝撃について:
【0086】
遮断弁12には、閾値を超える衝撃として例えば、設計値を超える大きな衝撃を受けたことによって、開弁状態から遮断状態になることがある。この場合の遮断状態も遮断センサー26によって検知され、その検知出力がガスメーター制御ユニット20に取り込まれる。
【0087】
c)通常流量での閾値以上の長時間使用について:
【0088】
ガス流路7のガス流量は、ガス流量検出器16で常時監視され、この検出出力を受けたガスメーター制御ユニット20側では、使用時間を計測しており、シャワーの出しっ放しなど、比較的大きな流量でのガスの使用状態が閾値以上の長時間に亘る場合には、ガスメーター制御ユニット20が遮断制御出力を発生する。この遮断制御出力により、遮断弁12が閉じられる。この遮断状態は遮断センサー26によって検知され、その検知出力がガスメーター制御ユニット20に取り込まれ、確実に弁が閉められたことが確認される。
【0089】
d)ガス圧力の低下について:
【0090】
ガス流路7のガス圧力は、圧力センサー14で常時監視され、その検出出力を受けたガスメーター制御ユニット20側では、ガス圧力Pが第1の圧力値又は第2の圧力値以上に低下した場合には、ガスメーター制御ユニット20が遮断制御出力を発生する。この遮断制御出力により、遮断弁12が閉じられ、この遮断状態は遮断センサー26によって検知され、その検知出力がガスメーター制御ユニット20に取り込まれ、確実に弁が閉められたことが確認される。
【0091】
e)ガス流量の急増について:
【0092】
ガス流路7のガス流量は、ガス流量検出器16で常時監視され、その検出出力を受けたガスメーター制御ユニット20側では、ガス流量が閾値以上に急増した場合には、ガスメーター制御ユニット20が遮断制御出力を発生する。この遮断制御出力により、遮断弁12が閉じられ、この遮断状態は遮断センサー26によって検知され、その検知出力がガスメーター制御ユニット20に取り込まれ、確実に弁が閉められたことが確認される。
【0093】
次に、ガス遮断、自動復帰又は手動復帰について、図9、図10及び図11を参照する。図9は、ガス遮断、自動復帰又は手動復帰の処理手順の概要を示すフローチャート、図10及び図11は、ガス遮断、自動復帰又は手動復帰の処理手順を示すフローチャートである。図9、図10及び図11に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明は限定されるものではない。図10及び図11において、A、B及びCはフローチャート間の結合を示す結合子である。
【0094】
この処理手順はガスメーター、その制御方法又は制御プログラムの一例であって、この処理手順には、図9に示すように、ガスが使用中か否かの判断処理(ステップS101)、ガス未使用時の遮断原因の判断処理(ステップS102)、ガス使用中の遮断原因の判断処理(ステップS103、S104)、自動復帰/手動復帰が可能な遮断原因である場合の遮断処理(ステップS105)、手動復帰のみが可能な遮断原因である場合の遮断処理(ステップS106)、自動復帰前の待機時間経過の判断処理(ステップS107)、自動復帰のためのガス漏れ検査(ステップS108)、圧力低下幅ΔPが第1の圧力低下幅P1 以下(ΔP≦P1 )であるか否かの判定処理(ステップS109)、ΔP≦P1 の場合の開弁維持(ステップS110)、ΔP>P1 の場合の遮断処理(ステップS111)が含まれ、また、遮断(ステップS105、S106)後の手動復帰のための復帰ボタン操作受付(ステップS112)、手動復帰のためのガス漏れ検査(ステップS113)、圧力低下幅ΔPが第2の圧力低下幅P2 以下(ΔP≦P2 )であるか否かの判定処理(ステップS114)、ΔP≦P2 の場合には開弁維持(ステップS115)、ΔP>P2 の場合には遮断処理(ステップS116)を行う。圧力低下幅P1 、P2 は通常、P1 <P2 に設定されている。
【0095】
そこで、この処理手順では、ガス使用中か否かを判断し、遮断原因の判断を前置した処理手順について、図10及び図11を参照すると、ガスメーター8では常時、ガスGの供給を監視しており、使用中か否かを判定する(ステップS203)。
【0096】
(1) ガス未使用の場合
【0097】
ガスが使用中でない場合には(ステップS203のNO)、震度5以上の地震又は閾値以上の衝撃があれば(ステップS204のYES)、遮断弁12が遮断状態となってガス流路7が遮断し(ステップS205)、復帰ボタン24の操作を受け付けたか否かを判断し(ステップS206)、復帰ボタン24の操作を受け付けることなく(ステップS206のNO)、遮断から所定の待機時間が経過したか否かを判断する(ステップS207)。この待機時間は、自動復帰のための待機時間であり、所定時間として例えば、2分間である。
【0098】
復帰ボタン24の操作を受け付けることなく、所定の待機時間が経過すれば(ステップS207のYES)、自動復帰のためのガス漏れ検査が実行され(ステップS208)、検査中であることを表示する(ステップS209)。
【0099】
このガス漏れ検査では、遮断弁12を一度開弁し、遮断弁より下流側(ガス流路7)の圧力をガス供給圧力まで高めてから遮断弁を遮断(閉弁)状態にし、圧力センサー14によって圧力低下幅ΔPを検出し、その検出値をガスメーター制御ユニット20に取り込む。即ち、遮断弁12を開け(ステップS210)、一定時間の経過を監視する(ステップS211)。一定時間の経過の後(ステップS211のYES)、遮断弁12を閉じ(ステップS212)、圧力低下幅ΔPが所定幅P1 以下であるか否かを判定し(ステップS213)、一定時間が経過するまでその判定を継続する(ステップS214)。圧力低下幅Pの所定幅P1 以下が一定時間が継続すれば、ガス漏れなしと判定し(ステップS215)、遮断弁12を開け(ステップS216)、検査中の表示を消去するとともに、ガス使用可とする(ステップS217)。
【0100】
また、ステップS213において、ΔP>P1 であれば、一定時間の経過を待つまでもなく、ガス漏れ有りと判定し(ステップS218)、遮断弁12を遮断状態にし、ガス使用不可とする(ステップS219)。
【0101】
また、待機時間の経過前(ステップS207のNO)に復帰ボタン24の操作の受付けがあった場合には(ステップS206のYES)、ステップS226(図11)に移行して手動復帰又は遮断のための処理(ステップS227〜S237)が実行される。
【0102】
(2) ガス使用中の場合
【0103】
ガス使用中である場合には(ステップS203のYES)、震度5以上の地震又は閾値以上の衝撃又は通常流量での長時間使用に基づき(ステップS220のYES)、遮断弁12が遮断状態となってガス流路7が遮断され(ステップS221)、この遮断の結果、遮断を表す遮断表示が行われる(ステップS222)。この遮断状態において、復帰ボタン24の操作受付待ち状態となり(ステップS223)、復帰ボタン24の操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS224)とともに、遮断からの待機時間の経過を判断する(ステップS225)。この待機時間は、自動復帰のための待機時間であり、既述の通り待機時間は例えば、2分間である。
【0104】
復帰ボタン24の操作を受け付けることなく(ステップS224のNO)、遮断から所定の待機時間が経過した場合には(ステップS225のYES)、ステップS208(図10)に移行し、自動復帰又は遮断のための処理(ステップS208〜S219)を実行する。
【0105】
また、待機時間の経過前(ステップS225のNO)に復帰ボタン24の操作が受け付けられた場合には(ステップS224のYES)、手動復帰のためのガス漏れ検査が行われ(ステップS226)、検査中であることを表示する(ステップS227)。
【0106】
このガス漏れ検査では、遮断弁12を一度開弁し、遮断弁より下流側(ガス流路7)の圧力をガス供給圧力まで高めてから遮断弁を閉弁状態にし、圧力センサー14によって圧力低下幅ΔPを検出し、その検出値をガスメーター制御ユニット20に取り込む。即ち、遮断弁12を開け(ステップS228)、一定時間の経過を監視する(ステップS229)。一定時間の経過の後(ステップS229のYES)、遮断弁12を閉じ(ステップS230)、圧力低下幅ΔPが所定幅P2 以下であるか否かを判定し(ステップS231)、一定時間が経過するまでその判定を継続する(ステップS232)。圧力低下幅ΔPの所定幅P2 以下が一定時間が継続すれば、ガス漏れなしと判定し(ステップS233)、遮断弁12を開け(ステップS234)、ガス使用可とする(ステップS235)。
【0107】
また、ステップS231において、ΔP>P2 であれば(ステップS231のNO)、ガス漏れありと判定し(ステップS236)、遮断弁12の閉状態を継続して、ガス使用不可とする(ステップS237)。
【0108】
(3) ガス使用中の場合(手動復帰の場合)
【0109】
ガス使用中の場合には(ステップS203のYES)、閾値以下にガス圧力の低下又は閾値以上のガス流量の急増であれば(ステップS238のYES)、遮断弁12が遮断状態となり、ガス流路7が遮断される(ステップS239)。このとき、遮断状態を表す遮断表示が行われ(ステップS240)、復帰ボタン24の操作受付待ち状態となる(ステップS241)。復帰ボタン24が受け付けられたか否かの判定を行い(ステップS242)、復帰ボタン24の操作が受け付けられた場合には(ステップS242のYES)、ステップS226に移行し、ステップS227〜S237の処理が実行される。
【0110】
また、復帰ボタン24の操作受付待ち状態(ステップS241)の後、復帰ボタン24の操作の受付けがなければ(ステップS242のNO)、遮断弁12は遮断状態が維持され(ステップS239)、遮断弁12が遮断中である旨の表示が継続して行われる(ステップS240)。
【0111】
斯かる構成によれば、
(1) 遮断原因を特定することで、復帰の可否をその原因を設定でき、安全である。
(2) 遮断原因によって、自動復帰をできなくし、人が立ち会う場合にだけ復帰できるようにすることで、安全性を向上できる。
(3) 自動復帰よりも人の操作による手動復帰を優先させれば、迅速に検査を終了できる。
【0112】
〔第3の実施の形態〕
【0113】
第3の実施の形態について、図12を参照する。図12は、復帰処理テーブルを示す図である。図12に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明は限定されるものではない。
【0114】
既述したように、このガス供給システム2(図6、図7)では、ガスメーター8に通信ユニット22を備えており、この通信ユニット22を管理センター、家庭内リモコン装置又は携帯電話機との通信ができるように設定し、遮断状態にある遮断弁12をこれら何れかの通信指示により、既述の自動復帰又は手動復帰に代わって復帰させる遠隔復帰手段を構成することができる。
【0115】
このような通信を併用する場合には、復帰レベルに既述の例えば、第1の圧力値として圧力低下幅P1 を基準値とする「通常復帰」と、例えば、第2の圧力値として圧力低下幅P2 を基準値とする「精密復帰」とを設定し、復帰処理テーブル48(図12)を準備し、ユーザーが在宅している場合の復帰レベルを「通常復帰」とし、センターや携帯電話等による復帰即ち、ユーザーが不在の場合の復帰、ガスメーター8による自動復帰を「精密復帰」とする。復帰処理テーブル48には図12に示すように、復帰処理モード50と、復帰レベル52とが設定され、復帰処理モード50には復帰処理の種類、復帰レベル52には復帰処理に対応して「通常復帰」か「精密復帰」かの選択情報が格納されている。
【0116】
このような復帰処理テーブル48を記憶部32に設定し、遮断弁12の遮断時における復帰処理を自動化するとともに、その安全性と利便性とを高めることができる。
【0117】
斯かる構成によれば、通常復帰可能な条件を制限することで、その遮断原因毎に精密復帰を要するか否かを判断し、精密復帰を要する場合には、人の操作を待って復帰処理を行うため、より安全に復帰できる。
【0118】
〔第4の実施の形態〕
【0119】
第4の実施の形態では、遮断原因の分類に従い、自動復帰か手動復帰かを判断し、復帰ボタン24の操作の受付けがあった場合に手動復帰を行っているが、復帰ボタン24の操作の受付けがあったか否かの判断の後、生起している遮断原因から手動復帰か自動復帰かを判断し、その判断に基づき復帰動作を行う構成としてもよい。
【0120】
〔第5の実施の形態〕
【0121】
第1、第2又は第4の実施の形態では、遮断弁12が遮断状態に移行したことを遮断センサー26(図6、図7)で検出しているが、遮断センサー26を用いないで、圧力センサー14、地震センサー18又はガス流量検出器16の検出出力に基づき、遮断制御手段であるガスメーター制御ユニット20の遮断指示により、遮断弁12を遮断状態に移行させる構成としてもよい。図13に示すガスメーター8はその一例であって、図6、図7と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0122】
〔第6の実施の形態〕
【0123】
第6の実施の形態について、図14を参照する。図14は、ガス遮断、自動復帰又は手動復帰の処理手順の概要を示すフローチャートである。図14に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明は限定されるものではない。
【0124】
1) ガスの異常な使用状態の継続により、遮断弁12が遮断状態になる(ステップS301)。
【0125】
2) ガス機器101又はガス機器102等に設置されている器具栓が閉止される(ステップS302)。
【0126】
3) 遮断弁12を開弁した後、一定時間経過後に遮断弁12を閉止する(ステップS303)。即ち、下流側のガス流路7である配管にガスが充填され、温度が安定するまで待機する。
【0127】
4) その後、圧力センサー14によってガス流路7のガス圧力を監視し、ガス圧力の低下幅を測定する(ステップS304)。この低下幅は、所定値として設定し、例えば自動復帰時には第3の圧力値P1 と設定し、手動復帰時には第4の圧力値P2 と設定し、第3の圧力値≠第4の圧力値とする。
【0128】
5) 圧力低下幅が所定値以上であれば、所定値以上下がった時点でガス漏れありと判定し、遮断弁12を閉止し、その閉止状態を保持してガスを使用不可とする(ステップS305)。
【0129】
6) 圧力低下幅が所定値未満であれば、所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間が経過するまで圧力低下幅の測定を継続する(ステップS306)。この所定時間は、例えば自動復帰時には第1の判定時間T1 と設定し、手動復帰時には第2の判定時間T2 と設定する。
【0130】
7) 所定時間経過後に、圧力低下幅が所定値未満であれば、ガス漏れが無しと判定し、遮断弁12を開弁し、ガスを使用可とする(ステップS307)。
【0131】
このようにガス漏れの判定を圧力と時間とによって行うことができる。更に、自動復帰の場合と手動復帰の場合とでは、
(T1 /P1 )>(T2 /P2 ) ・・・(1)
の関係とすることによって、判定圧力効果量が小さいほど検査精度が高く、検査時間が長いほど検査精度が高いことから、自動復帰時のガス漏洩検査精度を高くできる。
【0132】
〔第7の実施の形態〕
【0133】
第7の実施の形態について、図15及び図16を参照する。図15は、ガス遮断後のガス圧力を示す図であり、図16は、ガス遮断、自動復帰又は手動復帰の処理手順の概要を示すフローチャートである。図15及び図16に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明は限定されるものではない。
【0134】
(1) 自動復帰の場合
【0135】
震度5以上の地震又は閾値以上の衝撃等の遮断条件が生起した場合には(ステップS401)、遮断弁12が遮断状態となってガス流路7が遮断される(ステップS402)。遮断弁12の遮断後、所定の待機時間が経過するまでの間は、復帰ボタン24の操作受付待ち状態になる。この待機時間は、ガスメーター制御ユニット20の遮断指示から所定時間であっても良い。この待機時間は、自動復帰のための待機時間であり、所定時間として例えば、2分間である。
【0136】
待機時間の経過前(ステップS403のNO)に復帰ボタン24の操作が行われない場合(ステップS404のNO)、その時間経過後に(ステップS403のYES)、自動復帰のためのガス漏れ検査が実行される(ステップS405)。
【0137】
このガス漏れ検査では、遮断弁12を開弁状態にし(ステップS406)、この開弁から一定時間経過後、遮断弁12を閉弁して遮断状態にする(ステップS407)。このときのガス圧力Pを圧力センサー14によって検出し(ステップS408)、その検出値Pfと時刻t14とをガスメーター制御ユニット20に取り込む。
【0138】
時刻t12後、所定の時間(第1の判定時間t13)が経過するまでガス圧力Pの検出を継続し、圧力低下が第3の圧力値として所定幅P5 以下であるか否かを判定する(ステップS409)。判定時間t13が経過するまでの間(ステップS410)、ガス圧力Pの圧力低下が所定幅P5 以下であれば(ステップS409のNO)、ガス漏れなしと判定し、遮断弁12を開弁状態に復帰させ、ガス使用可とする(ステップS411)。
【0139】
また、時刻t12後から判定時間t13が経過するまでの間に、圧力低下が所定幅P5 以上になれば(ステップS409のYES)、その所定幅P5 を越えた時点でガス漏れ有りと判定し、遮断弁12の閉状態を継続して、ガス使用不可とする(ステップS412)。
【0140】
このように、自動復帰の場合には、ガス漏れ検査における判定は、判定時間t13内における圧力低下幅P5 を参照して判定する。従って、圧力低下線62については、判定時間t13経過時には圧力62aであり、低下幅P5 以上でないからガス漏れなしと判定される。圧力低下線64、66については、判定時間t13が経過する前に低下幅P5 の圧力64a、66aに達するから、その時点でガス漏れ有りと判定される。つまり、判定時間t13が長く、圧力低下幅P5 が小さいことから、ガス漏れが微少な量であっても、そのガス漏れを検出でき、精密な検査を行える。
【0141】
(2) 手動復帰の場合
【0142】
震度5以上の地震又は閾値以上の衝撃等の遮断条件が生起した場合には(ステップS401)、遮断弁12が遮断状態となってガス流路7が遮断される(ステップS402)。遮断弁12の遮断後、所定の待機時間は、復帰ボタン24の操作受付待ち状態になる。この待機時間は、ガスメーター制御ユニット20の遮断指示から所定時間であっても良い。この待機時間は、自動復帰のための待機時間であり、所定時間として例えば、2分間である。
【0143】
待機時間の経過前(ステップS403のNO)に復帰ボタン24の操作が受け付けられた場合には(ステップS404のYES)、手動復帰のためのガス漏れ検査が行われる(ステップS413)。
【0144】
このガス漏れ検査では、遮断弁12を開弁状態にし(ステップS414)、この開弁から一定時間経過後、遮断弁12を閉弁して遮断状態にする(ステップS415)。このときのガス圧力Pを圧力センサー14によって検出し(ステップS416)、その検出値Pfと時刻t12とをガスメーター制御ユニット20に取り込む。
【0145】
時刻t12後、所定の時間(第2の判定時間t14)が経過するまでガス圧力Pの検出を継続し、Pf からの圧力低下ΔPが第4の圧力値として所定幅P6 以下であるか否かを判定する(ステップS417)。判定時間t14が経過するまでの間(ステップS418)、ガス圧力Pf からの圧力低下ΔPが所定幅P6 以下であれば(ステップS417のNO)、ガス漏れなしと判定し、遮断弁12を開弁状態に復帰させ、ガス使用可とする(ステップS419)。
【0146】
また、時刻t12後から判定時間t14が経過するまでの間に、ガス圧力Pf からの圧力低下ΔPが所定幅P6 以上になれば(ステップS417のYES)、その所定幅P6 を越えた時点でガス漏れ有りと判定し、遮断弁12の閉状態を継続して、ガス使用不可とする(ステップS420)。
【0147】
手動復帰時には人が立ち会うことから、通常復帰として、t13>t14であって、P5 <P6 であれば良く、手動復帰時には自動復帰時よりも短時間で検査ができ、自動復帰時には手動復帰時よりも精密な検査ができる。
【0148】
このように、手動復帰の場合には、ガス漏れ検査における判定は、判定時間t14内における圧力低下幅P6 を参照して判定する。従って、圧力低下線62、64については、判定時間t14経過時には圧力62b、64bであり、低下幅P6 以上でないからガス漏れなしと判定される。圧力低下線66については、判定時間t14が経過する前に低下幅P6 の圧力66bに達するから、その時点でガス漏れ有りと判定される。つまり、短い判定時間t14検査できる。
【0149】
斯かる構成によれば、安全上からガスを遮断した場合に、自動復帰処理によりガス漏れを検査する場合と、手動復帰処理によりガス漏れを検査する場合とで、長時間を要する精密検査と短時間で可能な通常検査とにその検査精度を換えることができ、安全性(漏れ検査精度)と利便性(ガス漏れ検査をする時間)とを両立させることができる。
【0150】
〔他の実施の形態〕
【0151】
(1) 上記実施の形態では、遮断センサー26が遮断弁12の遮断状態を検出したことを契機として又はその時点から時間計測をし、その計測時間が所定時間に到達した場合の自動復帰動作について例示したが、遮断弁12の遮断又はガスメーター制御ユニット20からの遮断指示から所定時間の経過後、遮断弁12を自動復帰させる構成又は処理を行ってもよく、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0152】
(2) 上記実施の形態のガス漏れ検査では、遮断状態にある遮断弁12を開弁状態にした後、ガス流量検出器16でガス流量を検出しているが、遮断弁12が遮断状態にあるか開弁状態にあるかに無関係に継続的にガス流量検出器16でガス流量を検出してもよい。即ち、遮断弁12の遮断を契機とするガス漏れ流量の検出タイミングとする構成に限定されるものではなく、常時、ガス流量の検出状態にし、遮断弁12の遮断又はその指示、又はガス漏れ流量の検出指示を契機としてガス流量を検出する構成とし、この検出ガス流量をガス漏れ流量としてもよい。
【0153】
(3) 上記実施の形態では、ガス流路7の上流側から遮断弁12、圧力センサー14及びガス流量検出器16の順序で設置しているが、図17に示すように、ガス流路7の上流側からガス流量検出器16、遮断弁12及び圧力センサー14の順序で設置してもよく、本発明は、これらの設置順序に限定されるものではない。
【0154】
(4) 上記実施の形態では、遮断弁12にステッピングモータを用いる例を示したが、現在のガスメーターに用いられている遮断弁として、永久磁石によって開弁状態を保持し、バネ力によって閉弁状態を保持し、開閉は電磁石の通電で行う遮断弁を用いてもよい。この場合、ステッピングモータを用いたものに比べ、衝撃による遮断が発生し易い傾向にあるので、既述の遮断センサー26の状態によって、自動的に開弁動作を行う効果が大きい。
【0155】
(5) 第1及び第2の圧力低下幅P1 、P2 は、顧客宅10等、需要先によって異なる値を任意に設定可能としてもよい。
【0156】
(6) 第6の実施の形態では、第3及び第4の圧力低下幅P1 、P2 について、P1 ≠P2 としているが、同じ値P1 =P2 に設定してもよい。
【0157】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明は、超音波メーター等のガスメーターに備えた遮断弁が遮断した際に、復帰ボタンの操作を契機とする手動復帰と、復帰ボタンの操作を伴わない自動復帰とのガス圧力低下の判定値を異ならせて、遮断弁の開弁状態の制御を行うので、ガス遮断後のガス供給の安全性と迅速化とを図ることができ、ガス利用の利便性の向上を図ることができ、都市ガス供給システム等の安全性を図りつつガス供給の利便性の向上を図ることができ、有用である。
【符号の説明】
【0159】
2 ガス供給システム
4 ガス供給源
6 ガス供給網
7 ガス流路
8 ガスメーター
10 顧客宅
101、102 ガス機器
12 遮断弁
14 圧力センサー
16 ガス流量検出器
18 地震センサー
20 ガスメーター制御ユニット
22 通信ユニット
24 復帰ボタン
25 表示部
26 遮断センサー
28 CPU
30 RAM
32 記憶部
36 弁駆動部
37 弁部
38 表示制御部
39 駆動モータ
40 データテーブル
48 復帰処理テーブル
50 復帰処理モード
52 復帰レベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路を遮断する遮断弁を備えるガスメーターであって、
前記ガス流路のガス圧力を測定する圧力測定手段と、
前記遮断弁を遮断状態から開弁状態に復帰させる復帰指示をする復帰ボタンと、
前記圧力測定手段で測定されたガス圧力と比較する第1の圧力値、この第1の圧力値と異なる第2の圧力値が設定され、前記復帰ボタンから前記復帰指示を受けることなく、前記遮断弁の遮断又はその遮断指示から待機時間の経過後、前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、前記遮断弁の開弁から一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態に制御し、前記圧力測定手段で測定されたガス圧力からの低下値が前記第1の圧力値以下であれば、前記遮断弁を開弁状態に制御し、前記復帰ボタンから前記復帰指示を受けて前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態にし、前記ガス圧力からの低下値が前記第2の圧力値以下であれば、前記遮断弁を開弁状態に復帰可能に制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするガスメーター。
【請求項2】
請求項1のガスメーターにおいて、
前記第2の圧力値は、前記第1の圧力値より大きい値に設定されていることを特徴とするガスメーター。
【請求項3】
ガス流路を遮断する遮断弁を備えるガスメーターであって、
前記ガス流路のガス圧力を測定する圧力測定手段と、
前記遮断弁を遮断状態から開弁状態に復帰させる復帰指示をする復帰ボタンと、
前記圧力測定手段で測定されたガス圧力の低下量と比較する第3の圧力値と第4の圧力値とが設定されるとともに、圧力低下の判定を行う第1の判定時間と第2の判定時間とが設定され、前記復帰ボタンから前記復帰指示を受けることなく、前記遮断弁の遮断又はその遮断指示から待機時間の経過後、前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態に制御し、前記圧力測定手段で測定されたガス圧力からの低下値が前記第1の判定時間以内に前記第3の圧力値以上にならなければ、前記遮断弁を開弁状態に制御し、復帰ボタンから前記復帰指示を受けて前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態にし、前記ガス圧力からの低下値が前記第2の判定時間以内に前記第4の圧力値以上にならなければ、前記遮断弁を開弁状態に復帰可能に制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするガスメーター。
【請求項4】
請求項1又は3のガスメーターにおいて、
前記復帰ボタンによる前記復帰指示を受けて前記遮断弁を開弁状態に維持する制御は、前記遮断弁を遮断させる遮断原因の全ての遮断原因又はその遮断原因から選択された遮断原因を対象にし、
前記復帰ボタンによる前記復帰指示を受けないで前記遮断弁を開弁状態に維持する制御は、前記遮断原因から選択された限定遮断原因を対象にすることを特徴とするガスメーター。
【請求項5】
請求項4のガスメーターにおいて、
前記遮断原因は、所定震度以上の地震、所定値以上の衝撃、所定時間以上の長時間使用、又はガス圧力の低下が所定値以下であることを特徴とするガスメーター。
【請求項6】
請求項4のガスメーターにおいて、
前記限定遮断原因は、所定震度以上の地震、所定値以上の衝撃、又は所定時間以上の長時間使用の何れかであることを特徴とするガスメーター。
【請求項7】
請求項1又は3のガスメーターにおいて、
前記待機時間中又は前記待機時間後に前記復帰ボタンからの復帰指示を受けた場合、前記制御手段は、前記復帰ボタンの復帰指示に基づく復帰動作を優先して実行することを特徴とするガスメーター。
【請求項8】
請求項3のガスメーターにおいて、
前記第3の圧力値と前記第4の圧力値とが同じ値であること特徴とするガスメーター。
【請求項9】
ガス流路を遮断する遮断弁を備えるガスメーターの制御方法であって、
前記ガス流路のガス圧力を測定するステップと、
前記遮断弁を遮断状態から開弁状態に復帰させる復帰指示をするステップと、
測定されたガス圧力と比較する第1の圧力値、この第1の圧力値と異なる第2の圧力値が設定され、前記復帰指示を受けることなく、前記遮断弁の遮断又はその遮断指示から待機時間の経過後、前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、さらに一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態に制御し、前記ガス圧力からの低下値が前記第1の圧力値以下であれば、前記遮断弁を開弁状態に制御し、前記復帰指示を受けて前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態にし、前記ガス圧力からの低下値が前記第2の圧力値以下であれば、前記遮断弁を開弁状態に復帰可能に制御するステップと、
を含むことを特徴とするガスメーターの制御方法。
【請求項10】
請求項9のガスメーターの制御方法において、
前記第2の圧力値は、前記第1の圧力値より大きい値に設定されていることを特徴とするガスメーターの制御方法。
【請求項11】
請求項9のガスメーターの制御方法において、
前記待機時間中又は前記待機時間後に前記復帰指示を受けた場合、前記復帰指示に基づく復帰動作を優先して実行することを特徴とするガスメーターの制御方法。
【請求項12】
ガス流路を遮断する遮断弁を備えるガスメーターに搭載されたコンピュータに実行させる制御プログラムであって、
前記ガス流路で測定されたガス圧力を取得するステップと、
前記遮断弁を遮断状態から開弁状態に復帰させる復帰指示をするステップと、
測定されたガス圧力と比較する第1の圧力値、この第1の圧力値と異なる第2の圧力値が設定され、前記復帰指示を受けることなく、前記遮断弁の遮断又はその遮断指示から待機時間の経過後、前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、さらに一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態に制御し、前記ガス圧力からの低下値が前記第1の圧力値以下であれば、前記遮断弁を開弁状態に制御し、前記復帰指示を受けて前記遮断弁を遮断状態から開弁状態にさせ、一定時間経過後に前記遮断弁を遮断状態にし、前記ガス圧力からの低下値が前記第2の圧力値以下であれば、前記遮断弁を開弁状態に復帰可能に制御するステップと、
を含むことを特徴とする制御プログラム。
【請求項13】
請求項12の制御プログラムにおいて、
前記第2の圧力値は、前記第1の圧力値より大きい値に設定されていることを特徴とする制御プログラム。
【請求項14】
請求項12の制御プログラムにおいて、
前記待機時間中又は前記待機時間後に前記復帰指示を受けた場合、前記復帰指示に基づく復帰動作を優先して実行することを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−236873(P2010−236873A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81948(P2009−81948)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(000168643)高圧ガス保安協会 (92)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(309042071)東光東芝メーターシステムズ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】