説明

ガスメータ伝送装置

【課題】既設のガスメータであっても、地震でガス流路を遮断した場合にガス流路を安全に開栓し、開栓した状態でガスの微少漏れを確認でき、かつ、遠隔地などへ情報を伝える事が可能なガスメータ伝送装置を提供する。
【解決手段】ガスメータ伝送装置2は、ガスメータ1が地震によってガス流路を遮断した旨の通報を受ける(ステップS13)と、所定時間経過後に遮断弁の開栓指令を行う(ステップS14)。その後、ガスメータ1から開栓結果通知を受け(ステップS17)、開栓に失敗した場合は、その旨の通報を中央監視部3に対して行う。また、開栓に成功した場合は、所定日数を隔ててガスメータから読み出した微小漏洩警告日数を比較し(ステップS24)、微小漏洩が所定日数連続して発生した場合にのみ中央監視部3にその旨を通報する(ステップS25)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータ伝送装置に関し、より詳細には、地震が発生してガスメータがガス流路を遮断した時のガス流路の開栓機能、およびガスの微少漏れ確認機能を有するガスメータ伝送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
消費者による燃料用ガス(以下、単に「ガス」という。)の消費量を測定するために、消費者ごとにガスメータが設置されている。
このガスメータとしては、ガス流量を測定する測定機能に加えて、ガス流路のガス圧力を監視する機能や、外部と通信する機能や、ガス利用に係る消費者の安全を確保する保安機能を有するものが知られている。
これらのガスメータの各種機能は、例えば、ガスメータに搭載されたマイクロコンピュータにより実行される。
【0003】
一般的にガスメータはガス流量を測定するために流量センサを用いている。
この流量センサとしてはMR(磁気抵抗効果素子)センサやリードスイッチなどを用いたものが知られている。ガス流路にガスが流れると上記流量センサを用いてガス流量値を測定する。測定した流量値の結果を用いて消費者の安全を脅かす異常事象があった場合などはガス流路を遮断したり警告するなどの保安機能が働く。
また、ガス流路のガス圧力を監視して圧力に異常があった場合なども、異常事象としてガス流路を遮断したり警告するなどの保安機能が働く。このガス圧力は流量に変化があった場合やガス温度が変化した場合にも変化する。
【0004】
また、ガスメータは地震などの振動を測定するために感震器を備えており、地震などの振動を検知すると、異常事象としてガス流路を遮断したり警告するなどの保安機能が働く。
ガス流路を遮断した場合は、手動により遮断弁を復帰させるが、復帰安全確認期間中にガスが流れたり、圧力が規程値外になったり、余震などの影響で再度感震器が作動した場合などは、再度、遮断弁を閉栓状態にしてガス流路を遮断する。
【0005】
また、通信によりガスメータの各種情報を読み出したり、設定(制御)が行えるガスメータ伝送装置が知られている。ガスメータ伝送装置はガスメータに何らかの異常や警告が発生した場合にガスメータからの通報を一旦受信してから電話回線等で接続されている中央監視部に通報する。
従来、地震が発生してガス流路を遮断した場合は、ガスメータはガスメータ伝送装置を介して中央監視部などへ通報を行っている。
【0006】
また、通報を受けた際は、ガス事業者がガスメータ設置現場まで出向いてガスメータに搭載された開栓ボタンを押下する事によりガス流路を開栓している。
そして、地震の揺れの影響で、ガスメータの上流側(入口側)、下流側(出口側)に接続されている配管に微少なヒビなどが発生し、ガスが微少に漏れている場合や、圧力が規程値外になった場合や、遮断弁の復帰安全確認期間中に余震の影響で再度、感震器が作動した場合などで開栓に失敗した場合は、配管などの検査を行っている。
【0007】
また、開栓に成功した場合においても、微少漏れが発生しているか否かの検査を行うが、この場合は、ガスメータが保有する流量式微少漏洩警告機能、および圧力式微少漏洩警告機能を利用して漏洩検査を行っている。
しかし、これらの漏洩検査には漏洩検知までに最低1日を要するため、後日ガス事業者は設置現場まで出向いて漏洩日数に変化があったか否かの確認を行う必要があった。
【0008】
このため、例えば特許文献1には、異常時にガスを遮断後、一定時間経過時点で自動的に遮断弁を開とし、その直後にガスが流れなければそのまま開とし、ガスが流れれば再度遮断する構成の自動リセット回路を設けたガス遮断装置が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、感震器によって地震が感知されたときに、流量の大小にかかわらず、即時にガス流路を遮断するようにし、ガス流路を遮断した後、まず第1のガス漏れ検査を行い、ここでガス漏れがあると判断した場合には、所定の待機期間経過後に、遮断弁を一旦復帰状態にし、所定時間経過後に再度遮断状態にして、第2のガス漏れ検査を行うようにし、ここで、ガス漏れがあると判断した場合にのみ、最終的に遮断弁の遮断状態を維持するようにしたガスメータが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されたガス遮断装置では、ガス遮断後、一定時間経過時点で自動的に遮断弁を開栓するが、既設のガス遮断装置では対応出来ず、全てのガス遮断装置を特許文献1に開示されたガス遮断装置に交換する必要が発生する。
また、ガスが流れなければそのまま開とし、ガスが流れれば再度遮断する構成となっているため、ガスの流れに起因しない事象、例えばガス圧力の異常や地震の揺れなどによって本来閉栓しなければならない場合においも、ガス遮断弁を開栓してしまう為、保安上好ましくない。さらに、通信手段を用いて遠隔地などへ保安上好ましくない情報を伝える通報機能を有していない。
【0011】
また、特許文献2に開示されたガスメータでは、ガスが正常に使用出来る状況下であっても、第1のガス漏れ検査時のガス遮断時に、ガス消費者がガス器具を使用しようとした場合に再度遮断してしまう為、ガス消費者がガスを使用出来なくなってしまう問題がある。
また、一旦復帰が完了して安全にガスが使用出来る状況下において再度遮断し、第2の漏洩検査を行うので、第1の漏洩検査時と同様に、ガス消費者が遮断中にガス器具を使用しようとした場合、例えばガスコンロのツマミを開けた場合に、ガス漏れでも無いのに、ガスが抜けてしまうので、誤判断をしてしまう恐れがある。
【0012】
さらに、特許文献1,2に開示されたものでは、通信手段についての開示はないが、地震でガスメータがガス流路を遮断した場合は、地震が発生した地域に設置されているガスメータが一斉に中央監視部などへ通報を行うため、電話回線などが占有される又はパンクする可能性があった。
【0013】
本発明は、上記のごとき実情に鑑みてなされたものであり、既設のガスメータにおいても地震でガス流路を遮断した場合にガス流路を安全に開栓し、開栓した状態でガスの微少漏れを確認でき、かつ、遠隔地などへ情報を伝える事が可能なガスメータ伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、ガスメータおよび中央監視部に対してそれぞれ情報を通信可能なガスメータ伝送装置であって、前記ガスメータから前記ガスメータが地震によってガス流路を遮断した旨の通報を取得した際に、前記ガスメータに対して所定時間経過後に遮断弁の開栓指令を出すとともに、前記ガスメータから開栓結果通知を取得し、開栓結果が開栓失敗であった場合に、前記中央監視部に対してガスメータが開栓に失敗した旨の通報を行うことを特徴としたものである。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記開栓結果が開栓成功であった場合に、前記ガスメータの微少漏洩警告日数を所定日数を隔てて2度読み出し、微少漏洩警告日数が前記所定日数更新されている場合に、前記中央監視部に対してガスメータに微小漏洩がある旨の通報を行うことを特徴としたものである。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記読み出す微少漏洩警告日数は、流量式微少漏洩警告日数および/または圧力式微少漏洩警告日数であることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0017】
地震によってガス流路を遮断したガスメータのガス流路を所定時間経過後に開栓するようにし、開栓が出来なかった場合に中央監視部へ通報するようにしたので、ガス事象者がガス設置現場へ出向いて開栓作業を行う必要がなく、ガスメータの新設、既設に関わらずガス流路の開栓が行える。さらに、ガス事業者がガスメータ設置現場に出向かなくても開栓失敗の確認ができ、集中通報に伴う電話回線の占有又はパンクが回避できる。
また、ガス事業者が後日ガスメータ設置現場に出向いて微少漏洩警告日数の更新有無を確認する必要がなくなり、消費者のガス使用状況(ガス流量の有無)に係らず微少漏れの発生有無が確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るガスメータ伝送装置の外部との通信関係を示した図である。
【図2】図1で示したガスメータ伝送装置と通信を行うガスメータのブロック図の一例である。
【図3】本発明の一実施形態に係るガスメータ伝送装置のブロック図である。
【図4】本発明のガスメータ伝送装置の動作の一例を示したシーケンス図である。
【図5】本発明のガスメータ伝送装置の動作の他の一例を示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明のガスメータ伝送装置に係る好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るガスメータ伝送装置の外部との通信関係を示した図である。
ガスメータ伝送装置2は、ガスメータ1と中央監視部3との間に設置され、ガスメータ1との間で通信により情報のやり取りを行うとともに、中央監視部3との間においても通信により情報のやり取りを行う。中央監視部3は、中央監視装置などの外部監視装置を設けたセンターである。
【0020】
ガスメータ1とガスメータ伝送装置2の通信手段としては、通信線で接続された有線によるものであっても良いし、無線などを用いても良い。また、ガスメータ伝送装置2と中央監視部3の通信手段としては、直接通信線で接続されたものであっても良いし、電話回線などの公衆網を経由して通信を行っても良く、その他、無線などを用いても良い。
【0021】
図2は、図1で示したガスメータ伝送装置と通信を行うガスメータのブロック図の一例である。
ガスメータ1において、ガスはガス流路11の入口部11aからガスメータ1内に入り、出口部11bから出ていく。ガスメータ1は、ガス流路11に沿って設けた遮断弁20と、この遮断弁20の下流側に、流量検出手段の一例としての流量センサ12と、圧力検出手段の一例としての圧力センサ14を備えている。流量センサ12および圧力センサ14は、既知のものを用いることができるので、ここでは詳述しないが、それぞれの測定値は流量計測手段13および圧力測定手段で電気信号に変換されて、制御部18に通知される。
【0022】
また、ガスメータ1は、感震器16と感震判定手段17を備えており、感震器16からの信号を感震判定手段17が受けて、感震器16が所定の揺れ、例えば震度階級5相当以上の振動を受けたかどうかを判定し、受けたと判定した場合に、地震が発生した旨の信号を制御部18に伝えるようになっている。
【0023】
制御部18はガスメータ1の動作全体を制御するためのものであり、主として、取り込まれた各センサからの信号等を演算処理して処理データを収納したり、あるいは、各手段に対する制御信号を送信したり、さらには、各種の情報を図示しない表示部に出力したり、通信手段21を介して外部に出力している。
制御部18は、実際には、図示しないCPU、ROM、RAM、電源となる電池、インタフェースなどから構成されており、CPUが、ROMあるいはRAMに格納されたプログラムやデータに基づいて各種の演算処理を行うことにより、種々の機能を実現している。
【0024】
制御部18は、異常事象判定手段としての機能を実現しており、流量センサ14や圧力センサ15からの信号を受けて、ガス量およびガス量の変化パターンの異常、ガス圧の異常低下などを監視している。
このため、例えば、制御部18は、ストーブ等の使用器具へガスを供給するガス栓の誤開放やホースが何らかの原因で外れた時に発生する異常な大流量を監視するための合計流量遮断値や、その際の異常な流量増加を監視するための増加流量遮断値、ガス器具の消し忘れなど器具の通常使用する最大使用時間よりはるかに長く使用された場合に対応した使用時間の制限時間を規定した継続使用時間遮断テーブルなどを備えており、これらに該当する異常の有無を監視している。そして、これらが異常値であると判定した場合は、遮断制御手段19に対して遮断信号を送り、遮断制御手段19が遮断弁20を閉栓させてガスの供給を停止する。
【0025】
また、制御部18は、微小漏洩の検知を行って警告する機能を果たしている。微小漏洩の警告には、流量センサ12からの検出値を利用する流量式微小漏洩警告と、圧力センサ14からの検出値を利用する圧力式微小漏洩警告とがある。
前者の流量式微小漏洩警告は、流量センサ12を用いてガス流路11を流れるガス流量を計測し、ガスメータ1より下流側に、所定日数、例えば30日間連続して微少なガス漏れがある場合に、微小漏洩の疑いや口火の連続使用として警告を行うものである。ガスメータ1は、流量式微小漏洩の連続日数を制御部18で積算しており、微小漏洩を検出しない場合は、積算した日数をリセットする。
【0026】
後者の圧力式微小漏洩警告は、ガスを使用していない時に、図示しないガスメータの上流の調整器出口から下流のガス器具入口までの供給管内のガス圧力をチェックし、異常があった場合に警告を行う機能である。ガス未使用中に、15分毎に供給管内の圧力を計測し、ガス使用停止直後の圧力と15分毎に計測した圧力差が、所定(例えば0.2kPa)以上の上昇がなかった場合に微小漏洩があるものと判断し、所定日数、例えば30日間連続して微少漏洩がある場合に警告を行うものである。ガスメータ1は、圧力式微小漏洩の連続日数を制御部18で積算しており、所定以上の圧力差を検出した場合は、積算した日数をリセットする。
【0027】
以下、本発明では、微小漏洩警告日数は、微小漏洩を連続して検出した日数を意味しており、上記の例では、流量式微小漏洩警告、圧力式微小漏洩警告とも微小漏洩警告日数が30日で警告を行っている。
【0028】
制御部18は、さらに、感震判定手段17から地震が発生した旨の信号を受けた場合は、ガス流路11に設けられた遮断弁20を閉栓状態にしてガス流路11を遮断する。
より具体的には、感震器16からの信号により感震判定手段17が例えば震度階級5相当以上の振動を受けたと判定した場合に、感震器作動判定時の前後各2分間における流量を検査する。そして、感震器作動判定前の2分間以内に、所定以上の流量(例えば21リットル/h以上)があった場合は、感震器作動判定時に遮断弁20を閉栓する。また、感震器作動判定後の2分間以内に、所定以上の流量(例えば21リットル/h以上)があった場合は、流量観測時に遮断弁20を閉栓する。なお、感震器作動判定時の前後各2分間以内に、流量が観測されない場合は、遮断弁20は閉栓されない。
【0029】
なお、ガスメータ1は所定震度階級以上の地震が発生したことによって、ガス流路を即時遮断するようにすることも可能である。
さらに、地震による異常事象によってガス流路11を遮断した場合には、通信部22を介して外部通信機器に地震で遮断した旨を通報している。
【0030】
ガスメータ1は通信手段21を備えており、ガスメータ1の異常状態や使用ガス量などの各種情報を、通信部22を介して外部へ伝達(通報)することができる。
本発明の場合は、ガスメータ1が通信手段21により通信部22を介して、本発明に係るガスメータ伝送装置2に接続されており、ガスメータ1と中央監視部3との情報のやり取りは、ガスメータ伝送装置2を介して行われることとなる。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態に係るガスメータ伝送装置のブロック図である。
ガスメータ伝送装置2は、タイマ23、記憶部24、通信部26、および、制御部25を有しており、ガスメータ通信部27を介してガスメータ1と、また、中央監視部通信部28を介して中央監視部3と種々のデータ等の授受が可能となっている。
制御部25はガスメータ伝送装置2の動作全体を制御するためのものであり、実際には、図示しないCPU、ROM、RAM、電源となる電池、インタフェースなどから構成されている。そして、CPUが、ROMあるいはRAMに格納されたプログラムやデータに基づいて各種の演算処理を行うことにより、種々の機能を実現している。
【0032】
ガスメータ伝送装置2は、ガスメータ1よりガスメータ通信部27を介して地震で遮断した旨の通報を受けた場合は、地震で遮断した旨の通報を直ちに中央監視部3に伝えることなく、タイマ23を用いて所定時間経過後にガスメータ通信部27を介して遮断弁開栓指令を行う。
そして、ガスメータ1から開栓に失敗した旨の通知を受けた場合に、中央監視部3に対して開栓失敗した旨の通知を通報している。
【0033】
また、ガスメータ1が開栓に成功した場合は、更に微少漏洩警告日数の読み出しをガスメータ通信部27を介して行い、取得した微少漏洩警告日数を記憶部24に記憶する。
そして、タイマ23を用いて所定日数経過後にガスメータ通信部27を介して再度、微少漏洩警告日数を読み出し、記憶部24に記憶した微少漏洩警告日数と比較して微少漏洩警告日数が更新されていた場合は、中央監視部通信部28を介して微少漏洩がある旨を中央監視部3に通報している。
【0034】
このように、ガスメータ伝送装置2は、ガスメータ1が開栓失敗した場合や、開栓には成功したが微少漏れが発生している場合のみ中央監視部3へ通報を行い、開栓に成功しかつ微少漏れが発生してない場合は中央監視部3へ通報する事がないため、地震発生に起因する異常事象の中央監視部への通報が分散され、集中通報に伴う電話回線の占有又はパンクが回避できる。
【0035】
図4は、本発明のガスメータ伝送装置の動作の一例を示したシーケンス図である。
図4において、所定の震度階級の地震発生を検知して(ステップS1)、先述したように、例えば、地震発生後の前後2分間のガス流量を測定し、ガスメータ1がガス流路11を遮断した場合(ステップS2)、ガスメータ伝送装置2はガスメータ1から、地震でガス流路を遮断した旨の通報を受ける(ステップS3)。
【0036】
ガスメータ伝送装置2は、ガスメータ1から地震でガス流路を遮断した旨の通報を受けると、タイマ23によって計測した所定時間経過後に、ガスメータ1に対して遮断弁開栓指令を行う(ステップS4)。
そして、ガスメータ1は、ガスメータ伝送装置2から遮断弁開栓指令を受けると、遮断弁20を開栓して、ガス流路11を開通させるとともに(ステップS5)、異常事象の検出を行う(ステップS6)。
【0037】
ここで、異常事象の検出は、地震の揺れの影響で、ガスメータ1の上流側(入口側)、下流側(出口側)に接続されている配管に微少なヒビなどが発生し、ガスが微少に漏れている場合や、圧力が規程値よりも低下した場合や、遮断弁の復帰安全確認期間中に余震の影響で再度、感震器が作動した場合などの検出を行うもので、ガスメータ1は異常事象を検出すると、開栓に失敗したと判断し、再度、遮断弁20を閉栓してガス流路11を遮断する。また、異常事象を検出しない場合は、開栓に成功したと判断し、開栓の状態を維持する。
【0038】
そして、ガスメータ伝送装置2は、ガスメータ1が再度ガス流路11を遮断した場合は、開栓失敗した旨の通知を、また、開栓の状態を維持できる場合は、開栓に成功した旨の通知をガスメータ1から開栓結果通知として取得する(ステップS7)。なお、図4のシーケンス図では、開栓に失敗した場合を示している。
【0039】
ガスメータ伝送装置2は、ガスメータ1から開栓結果通知に基づいてガスメータ1が開栓に失敗したことを判別すると(ステップS8)、中央監視部通信部28を介して中央監視部3に対して、開栓に失敗した旨を通報する(ステップS9)。
本発明では以上のように、ガスメータ1から地震よるガス流路を遮断した旨の通報があっても、ガスメータ伝送装置2は中央監視部3に通報することなく、開栓に失敗した場合に中央監視部3に開栓に失敗した旨の通報を行っている。
【0040】
図5は、本発明のガスメータ伝送装置の動作の他の一例を示したシーケンス図である。
図5において、ガスメータ1が、地震発生を検知して(ステップS11)、ガス流路を遮断し(ステップS12)、ガスメータ伝送装置2が、ガスメータ1から地震でガス流路を遮断した旨の通報を取得した後(ステップS13)、所定時間経過後にガスメータ1に対して遮断弁開栓指令を行い(ステップS14)、さらに、ガスメータ1が遮断弁20を開栓し(ステップS15)、異常事象検出を行う(ステップS16)までのステップは、図4のシーケンス図におけるステップS1からステップS6までと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0041】
図5のシーケンス図は、開栓に成功した場合を示している。
ガスメータ伝送装置2は、ガスメータ1から開栓結果通知を取得し(ステップS17)、ガスメータ1が開栓に成功したことを判別すると(ステップS18)、ガスメータ1に対して、微少漏洩警告日数の読み出し指令を行う(ステップS19)。そして、ガスメータ1から微少漏洩警告日数の応答を受けると(ステップS20)、微少漏洩警告日数を記憶部24に記憶する(ステップS21)。
【0042】
次に、ガスメータ伝送装置2は、微少漏洩警告日数を記憶してから所定日数(例えば、N日)経過後にガスメータ1に対して、再度、微少漏洩警告日数の読み出し指令を行い(ステップS22)、ガスメータ1から微少漏洩警告日数の応答を受けると(ステップS23)、先に記憶した微少漏洩警告日数と今回取得した微少漏洩警告日数とを比較する(ステップS24)。このように、ガスメータ1が開栓に成功した場合は、所定日数を隔てて2度読み出すこととなる。
そして、微少漏洩警告日数が所定日数であるN日更新されている場合、すなわち所定日数(N日)連続して微少漏洩があった場合に、ガスメータ伝送装置2は、中央監視部3に対して微少漏洩がある旨を通報する(ステップS25)。
【0043】
また、微少漏洩警告日数が所定日数(N日)更新されていない場合は、中央監視部3に対して通報は行わない。図5で示すシーケンス図は、微少漏洩がある場合を示している。
なお、微少漏洩警告日数の比較は、流量式微小漏洩警告日数および圧力式微小漏洩警告日数について行い、少なくとも一方について所定日数(N日)の更新があった場合に、微小漏洩がある旨の通知を行うことが望ましい。
【0044】
本発明では、以上のように、ガスメータ1が地震よるガス流路を遮断から開栓に成功した場合は、微少漏れが発生している場合のみ、ガスメータ伝送装置2は中央監視部3にその旨を通報し、微少漏れが発生していない場合は中央監視部3に通報することがない。
【符号の説明】
【0045】
1…ガスメータ、2…ガスメータ伝送装置、3…中央監視部、11…ガス流路、12…流量センサ、13…流量計測手段、14…圧力センサ、15…圧力測定手段、16…感震器、17…感震判定手段、18…制御部、19…遮断制御手段、20…遮断弁、21…通信手段、22…通信部、23…タイマ、24…記憶部、25…制御部、26…通信手段、27…ガスメータ通信部、28…中央監視部通信部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】特開平6-74806号公報
【特許文献2】特開平9−43024号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスメータおよび中央監視部に対してそれぞれ情報を通信可能なガスメータ伝送装置であって、
前記ガスメータから前記ガスメータが地震によってガス流路を遮断した旨の通報を取得した際に、前記ガスメータに対して所定時間経過後に遮断弁の開栓指令を出すとともに、
前記ガスメータから開栓結果通知を取得し、開栓結果が開栓失敗であった場合に、前記中央監視部に対してガスメータが開栓に失敗した旨の通報を行うことを特徴とするガスメータ伝送装置。
【請求項2】
前記開栓結果が開栓成功であった場合に、前記ガスメータの微少漏洩警告日数を所定日数を隔てて2度読み出し、微少漏洩警告日数が前記所定日数更新されている場合に、前記中央監視部に対してガスメータに微小漏洩がある旨の通報を行うことを特徴とする請求項1に記載のガスメータ伝送装置。
【請求項3】
前記読み出す微少漏洩警告日数は、流量式微少漏洩警告日数および/または圧力式微少漏洩警告日数であることを特徴とする請求項2に記載のガスメータ伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−261904(P2010−261904A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114733(P2009−114733)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】