説明

ガス再循環用の可変コアンダ増幅器を有する燃料電池システムおよびシステムの圧力調整

コアンダ・フロー増幅器は、吸引取入れ口と、出口と、吸引取入れ口と出口との間に延びる流体チャネルと、駆動フロー入口とを備える。駆動フロー入口は、駆動フロー放出スリットを介して流体チャネルに流体接続され、駆動フロー放出スリットのフロー断面は、可変に調節可能である。コアンダ・フロー増幅器を作動する方法において、駆動フロー放出スリットの可変調節可能フロー断面は、駆動フロー放出スリットを出るときの駆動フローの出力圧力と、駆動フロー放出スリットに入るときの駆動フローの吸引圧力との圧力比が臨界圧力比を超えないように選択される。燃料電池システムは、少なくとも1つの燃料電池と、流体源と、流体ラインと、流体ラインに配置されるコアンダ・フロー増幅器とを備え、コアンダ・フロー増幅器は、可変調節可能フロー断面を有する駆動フロー放出スリットを装備する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、吸引取入れ口と、出口と、吸引取入れ口と出口との間に延びる流体チャネルと、駆動フロー放出スリットを介して流体チャネルに流体接続される駆動フロー入口とを備えるコアンダ(Coanda)・フロー増幅器、およびこのタイプのコアンダ・フロー増幅器を作動する方法に関する。本願はまた、少なくとも1つの燃料電池と、1つの流体源と、1つの流体ラインと、流体ラインに配置された1つのコアンダ・フロー増幅器とを備え、それにより、コアンダ・フロー増幅器の吸引取入れ口および出口が流体ラインに流体接続され、またそれにより、コアンダ・フロー増幅器の駆動フロー入口が流体源に流体接続される、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のタイプのコアンダ・フロー増幅器が、当技術分野において知られており、たとえば、米国特許第5974802号において記載されている。コアンダ・フロー増幅器の動作原理は、コアンダ効果として知られる現象に基づく(すなわち、湾曲表面に沿って流れる流体は、湾曲表面の輪郭に従う傾向がある)。その結果、コアンダ・フロー増幅器は、増幅される流体フローの入口と、湾曲表面によって境界を画定され、(増幅されるフローのフロー方向に沿って)漏斗の形状でまず狭くなり、その後広がる流体チャネルと、流体出口とを備える。駆動フロー入口が、流体チャネルの狭窄部の上流の領域において提供され(流体チャネルに対して径方向)、それにより、この入口は、駆動フロー放出スリットを介して流体チャネルと流体接続される。
【0003】
駆動フロー入口は、所与の吸引圧力においてコアンダ・フロー増幅器に駆動流体を供給するように作用し、駆動流体は、その後、高速のフロー速度(通常は音速)に到達し(駆動流体放出スリットを通過するとき)、その後、流体チャネルの境界を画定する表面に沿って流体チャネルを通って流れる。これにより、コアンダ・フロー増幅器の取入れ口の領域において吸引が生成され、その結果、コアンダ・フロー増幅器によって伝達される大容積の流体が、取入れ口の中に吸引される。
【0004】
米国特許第5974802号において記載されているように、このタイプのコアンダ・フロー増幅器は、内燃機関によって生成される排気ガスを再循環させるために、内燃機関の排気ガス再循環ラインに配置することができる。
【0005】
独国特許第10001717C1号は、燃料電池システムにおけるコアンダ・フロー増幅器の使用を記載しており、これは、燃料電池ユニットと、燃料電池ユニットのカソード側に接続されたカソードガス供給ラインと、燃料電池ユニットのカソード側にやはり接続されたカソード排気ガスを再循環させるためのカソード排気戻りラインと、アノード排気ガスを再循環させ、かつ燃料電池ユニットのアノード側に接続されるアノード排気ガス戻りラインとを備える。コアンダ・フロー増幅器は、燃料電池システムのカソードガス供給ラインおよび/またはカソード排気ガス戻りラインに配置することも可能であり、それにより、コアンダ・フロー増幅器の駆動フロー入口が、圧縮空気ラインを介して圧縮空気源に接続される。代替として、コアンダ・フロー増幅器は、アノード排気ガス戻りラインに配置することが可能である。この場合、コアンダ・フロー増幅器の駆動フロー入口は、たとえば気体または液体の水素を含むことが可能である燃料ガス圧力タンクに接続される。
【0006】
上記で説明されたように、コアンダ・フロー増幅器が適切に動作するために、駆動流体は、駆動フロー放出スリットを通過する際に、超高速のフロー速度、通常は音速に加速されることが必要である。これは、駆動フロー放出スリットを出るときの駆動フローの放出圧力と、駆動フロー放出スリットに入るときの駆動フローの吸引圧力との圧力比が、駆動流体放出スリットを出るときの駆動流体の望ましいフロー速度に応じて設定された臨界圧力比を超えない場合、保証することができる。駆動流体フローを音速(マッハ1)および2原子ガス(カッパ=1.4)に加速するために、臨界圧力比は、0.528と計算される。臨界圧力比を超えることを防止するために(すなわち、コアンダ・フロー増幅器の適切な機能を保証するために)、駆動流体は、通常、圧力制御装置によって事前に設定することができる十分に高い供給圧力においてコアンダ・フロー増幅器に供給される。
【特許文献1】米国特許第5974802号
【特許文献2】独国特許第10001717C1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、いくつかの応用分野では、特に燃料電池システムにおけるコアンダ・フロー増幅器の使用では、コアンダ・フロー増幅器に供給される駆動流体の質量の流れ、したがって駆動流体の供給圧力が、他のシステム・パラメータによっても影響を受けるという問題に直面する。たとえば、コアンダ・フロー増幅器が、アノード排気ガスを再循環させるために燃料電池システムにおいて使用され、燃料電池のアノード側に供給される燃料ガスが、駆動流体として使用される場合、燃料電池に供給される燃料ガスの容積は、燃料電池における燃料ガスの消費(すなわち、燃料電池の負荷状態)に依存する。したがって、燃料電池の低負荷条件下では、駆動流体の事前設定吸引圧力が、駆動流体放出スリットを通過するときに駆動流体フローを十分に高い速度に加速するには十分ではないという問題に直面することがあり、したがって、コアンダ・フロー増幅器が適切に機能するということをもはや保証することができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
要約すると、本発明は、コアンダ・フロー増幅器、コアンダ・フロー増幅器を作動する方法、ならびにコアンダ・フロー増幅器を装備した燃料電池システムを提供し、それにより、コアンダ・フロー増幅器の駆動流体放出スリットを通過する駆動流体の質量流量が変化する場合でも、コアンダ・フロー増幅器が適切に機能することが保証される。
【0009】
上述されたタスクは、本発明のコアンダ・フロー増幅器、燃料電池システム、および動作方法によって解決される。本発明のシステムおよび方法によるコアンダ・フロー増幅器は、駆動フロー放出スリットのフロー断面積を可変に調節することができるということを特徴とする。低流量の駆動フローがコアンダ・フロー増幅器の流体チャネルに供給されることが望ましいとき、相応して、フロー断面の小さい駆動フロー放出スリットを設定することができる。反対に、より大きい流量の駆動流体がコアンダ・フロー増幅器の流体チャネルに供給される場合、フロー断面のより大きい駆動フロー放出スリットを設定することができる。臨界フローの駆動フロー放出スリットの断面積は駆動流体の流量に正比例するので、駆動フロー放出スリットの断面積を変化させることによって、コアンダ・フロー増幅器の流体チャネルに供給される望ましい量の駆動流体を精確に計量することが可能である。
【0010】
さらに、本発明のシステムおよび方法によるコアンダ・フロー増幅器の動作において、駆動フロー放出スリットの断面積は、駆動流体の供給圧力に応じて選択することができる。このようにして、駆動フロー放出スリットを通過するとき、圧力比が、駆動フロー放出スリットを出るときの駆動流体フローの出力圧力と、駆動流体放出スリットに入るときの駆動流体フローの吸引圧力との間において確立され、この圧力比は、駆動流体の臨界圧力比を超えない。その結果、流体チャネルに供給される駆動流体の質量流量を変化させる場合でも、または駆動流体フローの供給圧力を変化させる場合でも、コアンダ・フロー増幅器が適切に機能することを簡単な方式で保証することができる。さらに、本発明のシステムおよび方法によるコアンダ・フロー増幅器を使用するとき、駆動流体の供給圧力を事前に設定するために別々の圧力制御装置を使用する必要が排除される。
【0011】
本発明のシステムおよび方法によるコアンダ・フロー増幅器は、駆動流体放出スリットを完全に閉じることができる(すなわち、コアンダ・フロー増幅器の流体チャネルへの駆動流体の供給を中断することができる)ように設計されることが好ましい。その結果、コアンダ・フロー増幅器への駆動流体の供給を中断する別々のバルブは、もはや必要ではない。
【0012】
一実施形態では、コアンダ・フロー増幅器は、フロー誘導要素を備え、これは、吸引取入れ口と出口との間に配置され、コアンダ・フロー増幅器の縦軸に沿って軸方向に変位可能である。コアンダ・フロー増幅器の流体チャネルは、コアンダ・フロー増幅器の吸引取入れ口からフロー誘導要素の上流面まで延びる第1セクションと、フロー誘導要素において実施される第2セクションと、フロー誘導要素の下流面からコアンダ・フロー増幅器の出口まで延びる第3セクションとを含む。
【0013】
他の実施形態では、コアンダ・フロー増幅器の吸引取入れ口は、第1ハウジング・セクションに配置され、駆動フロー放出スリットは、第1ハウジング・セクションの下流面とフロー誘導要素の上流面との間に形成される。その結果、駆動フロー放出スリットのフロー断面は、第1ハウジング・セクションの下流面からのフロー誘導要素の上流面の距離によって決定され、コアンダ・フロー増幅器の縦軸に沿ってフロー誘導要素を軸方向に変位させることによって簡単な方式で所望に応じて変化させることができる。
【0014】
フロー誘導要素において形成される流体チャネルの第2セクションは、湾曲内壁によって広げることが可能であり、それにより、流体チャネルにおける第2流体チャネル・セクション(流体のフロー方向において、フロー誘導要素の上流面から開始する)の断面は、収束発散形状を有する(すなわち、まず狭くなり、次いで再び広がる)。コアンダ効果のために、駆動フロー放出スリットを経て供給された駆動流体は、フロー誘導要素の湾曲内壁に沿って高速で流れ、これにより、吸引取入れ口の領域において吸引効果が生じ、したがって、コアンダ・フロー増幅器のフロー増幅効果が生じる。第1ハウジング・セクションに位置する第1流体チャネル・セクションは、その長さにわたって一定の断面を有する。代替として、流体フロー方向に沿って発散する流体チャネル断面を有して(すなわち、流体チャネルにおいて流体フロー方向に沿って広がる断面を有して)、下流端部領域において第1流体チャネル・セクションを実施することも可能である。
【0015】
少なくとも駆動フロー放出スリットの領域において、流体フロー要素は、駆動フロー入口を駆動フロー放出スリットに接続する室によって囲まれる。この室は、たとえば、環状室とすることが可能であり、フロー誘導要素を少なくとも部分的に囲み、フロー誘導要素に対して径方向に配置される駆動フロー入口に流体接続される。
【0016】
他の実施形態では、コアンダ・フロー増幅器の軸方向変位可能フロー誘導要素は、第2ハウジング・セクションの中を貫通し、封止されて第2ハウジング・セクションに案内される。
【0017】
フロー誘導要素の軸方向ガイドとして、第2ハウジング・セクションは、たとえば、径方向内向きに突出する突出部を含み、上流面が、フロー誘導要素を少なくとも部分的に囲む室の境界を形成する。フロー誘導を第2ハウジング・セクションに対して封止するために、封止要素が提供されることが可能であり、たとえば、フロー誘導要素の外周に形成された溝の中に配置することが可能である。
【0018】
コアンダ・フロー増幅器の出口は、第3ハウジング・セクションに配置することが可能であり、それにより、フロー誘導要素の下流セクションが、第3ハウジング・セクションの中に突出し、封止されて第3ハウジング・セクションに案内される。この場合、流体チャネルの第3セクションは、第3ハウジング・セクションにおいて実施され、一定の断面、または流体チャネルの流体フロー方向に沿って広がる断面を有することが可能である。第1、第2、および第3ハウジング・セクションは、たとえばねじ接続によって互いに接続することが可能である別々の構成要素として提供することが可能である。したがって、コアンダ・フロー増幅器の構成要素は、3つの別々のセクションを備えるハウジングにおいて簡単な方式で装備することが可能である。代替実施形態では、ハウジングは、単一部分とすることが可能であり、または、ハウジングは、3つのハウジング・セクションの任意の2つが単一部分として実施される3つのハウジング・セクションを備えることが可能である。
【0019】
第3ハウジング・セクションに対してフロー誘導要素の下流セクションを封止するとき、駆動フロー放出スリットが閉じられるとき、または部分的にのみ開かれるとき(すなわち、フロー誘導要素が流体チャネルにおいて流体フロー方向とは反対に軸方向に変位しているとき)、ギャップがフロー誘導要素の下流面と第3ハウジング・セクションの上流面との間に存在するということを考慮しなければならない。したがって、このギャップを封止するために、封止要素が提供されることが可能であり、これは、第3ハウジング・セクションの上において実施される溝に配置されることが可能であり、フロー誘導要素の周囲表面と共に作用する。
【0020】
さらに、駆動フロー放出スリットのフロー断面を設定するためにフロー誘導要素によって実施されなければならない運動は非常に小さいので、フロー誘導要素と第2および第3ハウジング・セクションとの間において封止を提供するために、安価なOリング封止材などの準静的封止を使用することができる。
【0021】
本発明のシステムおよび方法の他の実施形態では、コアンダ・フロー増幅器は、フロー誘導要素を軸方向に変位させるために、作動要素を備える。作動要素は、たとえば、第3ハウジング・セクションに配置することが可能であり、一実施形態では、圧電作動装置がこのために使用されることが可能である。圧電作動装置が使用される場合、圧電作動装置への対応する電流によってフロー誘導要素により実施される運動を非常に精確に制御することが可能になり、これにより、駆動フロー放出ギャップのフロー断面を非常に精確に調節することが可能になる。
【0022】
本発明のシステムおよび方法の代替実施形態では、フロー誘導要素は、作動要素が非動作状態(フェール・セーフ/NC)にあるとき、駆動フロー放出スリットを閉じるために、流体チャネルの流体フロー方向とは反対方向に弾性的に予荷重をかけられる。望ましい弾性的予荷重を生成するために、たとえば、ばね要素を提供することが可能であり、端部が、第2ハウジング・セクションの上において提供され、かつ径方向内向きに突出する突出部の上流面の上にあり、またフロー誘導要素の外周上において提供され、かつ径方向外向きに突出するフランジ・セクションの上にある。
【0023】
コアンダ・フロー増幅器を動作する本発明のシステムおよび方法のいくつかの実施形態によれば、駆動フロー放出スリットから出るときの駆動フローの出力圧力と、駆動フロー放出スリットに入るときの駆動フローの吸引圧力との圧力比が臨界圧力比を超えないように、駆動フロー放出スリットの可変調節可能フロー断面が選択されることが可能である。本発明のシステムおよび方法は、コアンダ・フロー増幅器の流体チャネルに供給される駆動流体の質量流量を変化させる場合でも、または駆動流体フローの供給圧力を変化させる場合でも、駆動フロー放出スリットを通過中の駆動流体フローが、十分に高いフロー速度(臨界圧力比によって確定される)に加速されることを保証し、それにより、コアンダ・フロー増幅器が適切に機能することを維持することができる。
【0024】
理想的な2原子ガスでは、臨界圧力比は、値0.528を有する。駆動フロー放出スリットを出るときの駆動フローの出力圧力と、駆動フロー放出スリットに入るときの駆動フローの吸引圧力との圧力比が臨界圧力比を超えないように、駆動フロー放出スリットのフロー断面が選択される場合、駆動フロー放出スリットを通過中の駆動流体フローが、少なくとも音速(マッハ1)に加速されることを保証することができる。
【0025】
駆動フロー放出スリットの可変フロー断面は、駆動フロー放出スリットを出るときの駆動フローの出力圧力と、駆動フロー放出スリットに入るときの駆動フローの吸引圧力との圧力比が臨界圧力比に等しくなるように調節することが可能である。本発明のシステムおよび方法のこの実施態様により、駆動フロー放出スリットを出るときの駆動流体フローのフロー速度を精確に制御することが可能になる。この実施態様は、臨界圧力比の点におけることが可能であるが、その理由は、駆動流体フローと増幅される流体フローとの運動量交換が、駆動フロー放出スリットを出るときに音速で流れる駆動流体フローについて最大であるからであり、これにより、コアンダ・フロー増幅器の特に良好なフロー増幅効果を創出することが可能である。
【0026】
本発明のシステムおよび方法の一実施形態では、コアンダ・フロー増幅器は、流体ラインに配置され、それにより、駆動フロー放出スリットのフロー断面は、可変的に調節することができる。駆動フロー放出スリットの可変調節可能フロー断面を有するコアンダ・フロー増幅器を使用することにより、流体源からコアンダ・フロー増幅器の駆動フロー入口に供給される駆動流体フローの供給圧力を変化させる場合でも、コアンダ・フロー増幅器が適切に機能することを保証することが可能である。さらに、システム全体の構成要素の数を減らすことが可能になるが、その理由は、たとえば、コアンダ・フロー増幅器に供給される駆動流体の供給圧力を事前に調節するために、流体源を駆動フロー入口に接続する流体ラインに配置される圧力制御装置が、もはや必要ではないからである。
【0027】
本発明のシステムおよび方法による燃料電池システムの第1実施形態では、流体ラインは、パージガス供給ライン(供給)とすることが可能であり、これは、燃料電池に接続され、パージガス(たとえば、燃料電池への空気)を導入するために使用される。コアンダ・フロー増幅器の駆動フロー入口は、たとえば、加圧空気ラインを介してパージ空気を供給されることが可能である(たとえば、高圧圧縮器またはシステムの他の加圧空気源から漏れた空気またはあふれた空気の形態で)。
【0028】
次いで、コアンダ・フロー増幅器は、周囲から吸引取入れ口の中に高フロー容積のパージガスを引き込む。燃料電池に加えて、燃料電池システムの他の構成要素が、パージガス供給ラインと接続され、コアンダ・フロー増幅器によって生成されるパージガス・フローを通気することが可能である。
【0029】
燃料電池システムの第2実施形態において、流体ラインは、燃料電池に接続されたカソードガス供給ラインとすることが可能であり、燃料電池のカソード側に空気などのカソードガスを供給するために使用される。燃料電池システムの第1実施形態に関連してすでに記述された方式と同様に、コアンダ・フロー増幅器の駆動フロー入口は、たとえば、コアンダ・フロー増幅器の駆動流体として加圧空気ラインを介して供給することが可能である。
【0030】
燃料電池システムの第3実施形態において、流体ラインは、冷始動ガス供給ラインとすることが可能であり、燃料電池システムの冷始動構成要素に接続され、システムの冷始動段階中、冷始動ガスを冷始動構成要素に供給するために使用される。冷始動中、冷始動構成要素の役割は、燃料電池システムを動作温度に可能な限り迅速に加熱することである。再び、コアンダ・フロー増幅器の駆動流体として空気を使用することができ、それにより、空気は、加圧空気ラインを介してコアンダ・フロー増幅器の駆動フロー入口に供給される。
【0031】
燃料電池システムの第4実施形態において、燃料ラインは、燃料電池排気ガスを再循環させる排気ガス再循環ラインとすることが可能である。この排気ガス再循環ラインは、たとえば、カソード排気ガス再循環ラインとすることが可能であり、たとえば、燃料電池システムの水収支を改善するために、または燃料電池における等分配を改善するために、カソード排気ガスの少なくとも一部を燃料電池のカソード入口側に戻すために使用される。駆動流体をコアンダ・フロー増幅器に供給するために、コアンダ・フロー増幅器の駆動流体入口は、たとえば、加圧空気ラインを介して加圧空気源に接続することが可能である。
【0032】
代替実施形態では、排気ガス再循環ラインは、アノード排気ガスを再循環させるアノード排気ガス再循環ラインであり、それにより、燃料電池は、流体源からアノードガスを供給される(すなわち、燃料電池のアノード側に供給されるアノードガスは、コアンダ・フロー増幅器の駆動流体として同時に使用される)。コアンダ・フロー増幅器の駆動流体として使用されるアノードガスは、たとえば、気体水素とすることが可能である。
【0033】
駆動フロー放出スリットのフロー断面を可変に調節することができるコアンダ・フロー増幅器を使用するとき、駆動フロー放出ギャップのフロー断面を適切に選択することにより、燃料電池のアノード側に供給されるアノードガスの質量流量を非常に精確に制御することが可能になる。このために、コアンダ・フロー増幅器は、燃料電池のアノード側に供給され、かつ燃料電池の負荷条件に依拠するアノードガス容積を計量する計量機能をさらに採用する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1を参照すると、コアンダ・フロー増幅器10が示されており、第1ハウジング・セクション14、第2ハウジング・セクション16、および第3ハウジング・セクション18を備える3部分ハウジング12を有する。第1、第2、および第3ハウジング・セクションのそれぞれは、別々の構成要素として実施され、3つの構成要素は、ねじ接続20によって互いに剛性に接続される。コアンダ・フロー増幅器10は、第1ハウジング・セクション14において吸引取入れ口22を装備し、第3ハウジング・セクション18において出口24を装備する。
【0035】
ハウジング12において、フロー誘導要素26が配置され、これは、径方向内向きに突出する第2ハウジング・セクション16の突出部28によってコアンダ・フロー増幅器の縦軸Lに沿って軸方向に変位可能なハウジング12に案内され、また、第1Oリング封止材30によって第2ハウジング・セクション16に対して封止される。
【0036】
第1Oリング封止材30は、フロー誘導要素26の本質的に円筒の外周32の上に提供される溝34に配置される。フロー誘導要素26の下流セクション36が、第3ハウジング・セクション18の中に突出し、封止されて第3ハウジング・セクション18に案内される。フロー誘導要素26の下流セクション36を第3ハウジング・セクション18に対して封止するために、第2Oリング封止材38が提供され、第3ハウジング・セクション18の上において実施される溝40に配置される。
【0037】
流体チャネル42が、吸引取入れ口22と出口24との間において延び、それにより、流体チャネル42の第1セクション44が、第1ハウジング・セクション14において実施され、流体チャネル42の第2セクション46が、フロー誘導要素26において実施され、流体チャネル42の第3セクション48が、第3ハウジング・セクション18において実施される。第1流体チャネル・セクション44は、吸引取入れ口22から第1ハウジング・セクション14の下流面50まで延び、下流端部領域において、流体チャネル42の流体フロー方向Fに沿って広がる断面を有する。フロー誘導要素26において提供される流体チャネル42の第2セクション46は、フロー誘導要素26の湾曲内壁52によって境界を画定され、それにより、(流体誘導要素26の上流面54から開始して)第2流体チャネル・セクション46の断面は、流体チャネル42の流体フロー方向Fに沿ってまず狭くなり、その後広くなる。第3ハウジング・セクション18において提供される流体チャネル42の第3セクション48は、第3ハウジング・セクション18の上の上流面58から出口24まで延び、流体チャネル42の流体フロー方向Fに沿って一定の断面を有する。
【0038】
フロー誘導要素26に対して径方向に、駆動フロー入口(供給)60が、第2ハウジング・セクション16に配置され、それにより、駆動フロー入口60は、接続ライン62を介して環状室64(フロー誘導要素26の上流セクションを囲む)と流体接続される。
【0039】
図2によってより詳細に示されるように、環状室64は、第1ハウジング・セクション14の下流面50とフロー誘導要素26の上流面54との間に形成される駆動フロー放出スリット66を介して、流体伝達方式で流体チャネル42と接続される。したがって、駆動フロー放出スリット66のフロー断面は、フロー誘導要素26の上流面54からの第1ハウジング・セクション14の下流面50の距離によって設定され、コアンダ・フロー増幅器10の縦軸Lに沿って、ハウジング12のフロー誘導要素26の軸方向変位によって可変に調節することができる。フロー誘導要素26の上流面54が第1ハウジング・セクション14の下流面50に接触するように、流体チャネル42の流体フロー方向Fに逆らってフロー誘導要素26を十分に遠くに押すことにより、駆動フロー入口60と流体チャネル42との間の流体接続は中断され、それにより、コアンダ・フロー増幅器10の流体チャネル42への駆動流体の供給は中断される。
【0040】
圧電作動装置として実施される作動要素68が、フロー誘導要素26の軸方向変位を実施するために提供される。一端が、径方向内向きに突出し、かつ第2ハウジング・セクション16の上に形成される突出部28の上流面72の上にあり、他端が、径方向外向きに突出し、かつフロー誘導要素26の外周の上に形成されるフランジ・セクション74の上にあるばね要素が、流体チャネル42の流体フロー方向Fと反対の方向にフロー誘導要素26に弾性的予荷重をかける。ばね要素70によって施される予荷重の結果として、フロー誘導要素26の上流面54は、第1ハウジング・セクション14の下流面50に逆らって押され、それにより、駆動フロー放出スリット66は、作動要素68が非活動状態にあるとき、閉じられる。
【0041】
図1および2に示されるコアンダ・フロー増幅器10の動作モードは、以下において説明される。動作中、コアンダ・フロー増幅器10は、吸引取入れ口22を介して、増幅される流体フローを供給される。駆動フロー入口60は駆動流体源に接続され、駆動流体源から、コアンダ・フロー増幅器10は加圧駆動流体を供給される。コアンダ・フロー増幅器10のフロー増幅効果が、ある動作段階中に望ましくない場合、圧電作動装置はエネルギーを供給されず、したがって、駆動フロー放出ギャップ66は、ばね要素70によってフロー誘導要素26に施された予荷重のために依然として閉じられており、その結果、コアンダ・フロー増幅器10の流体チャネル42への駆動流体の供給は中断される。
【0042】
一方、コアンダ・フロー増幅器10のフロー増幅効果が望ましい場合、フロー誘導要素26は、流体チャネル42の流体フロー方向Fに沿って圧電作動装置によってシフトされ、これにより、駆動流体入口60と流体チャネル42との間の流体接続を開く。この間、駆動フロー放出スリット66のフロー断面は、望ましい質量流量の駆動流体が流体チャネル42の供給されるように、フロー誘導要素26の適切な変位によって選択される。
【0043】
駆動フロー放出スリット66を通って流れる駆動流体と、吸引取入れ口22を介して供給された流体フローとの間の最適な運動量交換が、駆動流体が駆動フロー放出スリット66を出るときに音速(マッハ1)で流れる場合、可能である。これは、駆動フロー放出スリット66を出るときの駆動流体フローの出力圧力と、駆動フロー放出スリット66に入るときの駆動流体フローの吸引圧力との圧力比が臨界圧力比以下である場合、実施することができる。その結果、駆動フロー放出スリット66のフロー断面は、駆動フロー放出スリット66を出るときの駆動流体フローの出力圧力と、駆動フロー放出スリット66に入るときの駆動流体フローの吸引圧力との圧力比が臨界圧力比に等しくなるように調節される。駆動フロー放出ギャップ66の望ましいフロー断面の調節は、図には示されていない電子制御ユニットによって提供される制御信号の補助で、適切な電流を圧電作動装置に供給することによって達成される。
【0044】
音速で駆動フロー放出スリット66を出る駆動流体は、コアンダ効果のために、フロー誘導要素26の湾曲内壁52に沿って流れる。これにより、吸引取入れ口22の領域において吸引効果が創出され、その結果、コアンダ・フロー増幅器10によって伝達される大容積の流体が、吸引取入れ口22の中に吸引される。
【0045】
図3は、燃料電池82、燃料電池82に接続されるパージガス供給ライン84、ならびにパージガス放出ライン86を備える燃料電池システム80の一実施形態の構成を示す。コアンダ・フロー増幅器10(図1および2に示される)が、パージガス供給ライン84に配置され、それにより、コアンダ・フロー増幅器10の吸引取入れ口(吸引)22および出口(放出)24の両方とも、パージガス供給ライン84に接続される。コアンダ・フロー増幅器10の駆動フロー入口60は、加圧空気ライン87を介して加圧空気源88に接続される。
【0046】
動作中、コアンダ・フロー増幅器10の駆動フロー入口60は、加圧空気ライン87を介して、加圧空気源88によって加圧空気を駆動流体として供給される。コアンダ・フロー増幅器10の吸引取入れ口22において生成される吸引効果の結果として、高フロー容積のパージガスが、周囲から引き込まれ、パージガス供給ライン84を介して燃料電池82に供給される。
【0047】
この間、コアンダ・フロー増幅器10の駆動フロー放出ギャップのフロー断面は、駆動フロー放出スリット66を出るときの駆動流体フローの出力圧力と、駆動フロー放出スリット66に入るときの駆動流体フローの吸引圧力との圧力比が0.528の圧力比に等しくなるように選択される。駆動フロー放出スリットのフロー断面の調節は、図3には示されていない電子制御ユニットによって提供される制御信号の補助で、コアンダ・フロー増幅器10の圧電作動装置に適切な電流を供給することによって達成される。
【0048】
図4は、燃料電池システム90の他の実施形態を示し、カソード側94、アノード側96、ならびにカソード側94およびアノード側96を分離する膜98を有する燃料電池92を備える。第1コアンダ・フロー増幅器10(図1および2に示される)が、カソードガス供給ライン100に配置され、それにより、コアンダ・フロー増幅器10aの吸引取入れ口22aおよび出口24aの両方とも、カソードガス供給ライン100に接続される。コアンダ・フロー増幅器10aの駆動フロー入口60aは、加圧空気ライン101を介して加圧空気源102に接続される。
【0049】
動作中、コアンダ・フロー増幅器10aの駆動フロー入口60aは、加圧空気ライン101を介して、加圧空気源102によって加圧空気を駆動流体として供給される。その結果、空気が、周囲からコアンダ・フロー増幅器10aの吸引取入れ口22aの中に引き込まれ、カソードガス供給ライン100を介して燃料電池92のカソード側94に供給される。
【0050】
放出ライン104を介して燃料電池92のカソード側94において放出されたカソード排気ガスは、カソード排気ガス戻りライン106を介して燃料電池92のカソード側94に少なくとも部分的に再循環され、それにより、再循環されるカソード排気ガスの容積を規制するために、放出ライン104は、図4には示されていない切替え可能バルブによってカソード排気ガス再循環ライン106と接続される。第2コアンダ・フロー増幅器10b(図1および2に示される)が、カソード排気ガス再循環ライン106に配置され、それにより、コアンダ・フロー増幅器10bの吸引取入れ口22bおよび出口24bの両方とも、カソード排気ガス再循環ライン106と接続される。コアンダ・フロー増幅器10bの駆動フロー入口60bは、他の加圧空気ライン108を介して他の加圧空気源110に接続される。
【0051】
動作中、コアンダ・フロー増幅器10bの駆動フロー入口60bは、加圧空気ライン108を介して、他の加圧空気源110によって加圧空気を駆動流体として供給される。このようにして、コアンダ・フロー増幅器10bは、カソード排気ガス再循環ライン106を介して燃料電池92のカソード側94に戻されるカソード排気ガスのガスフロー駆動を提供する。
【0052】
燃料電池92のアノード側96を出るアノード排気ガスは、アノード排気ガス戻りライン112を介して燃料電池92のアノード側96に戻る。第3コアンダ・フロー増幅器10c(図1および2に示される)が、アノード排気ガス戻りライン112に配置され、それにより、コアンダ・フロー増幅器10cの吸引取入れ口22cおよび出口24cの両方とも、アノード排気ガス戻りライン112に接続される。コアンダ・フロー増幅器10cの駆動フロー入口60cは、ライン114を介して、気体または液体の水素を包含するアノードガスタンク116に接続される。
【0053】
動作中、コアンダ・フロー増幅器10cの駆動フロー入口60cは、ライン114を介して、アノードガスタンク116によってアノードガスを駆動流体として供給される。この場合、コアンダ・フロー増幅器10cの駆動フロー放出スリットのフロー断面は、望ましいアノードガス容積(燃料電池92の負荷状態に依拠する)が、燃料電池92のアノード側96に供給されるように選択される。カソード排気ガス戻りライン106に配置されるコアンダ・フロー増幅器10bに関連してすでに記述されているように、コアンダ・フロー増幅器10cは、アノード排気ガスがアノード排気ガス再循環ライン112を介して燃料電池92のアノード側96に戻されるように、ガスフロー駆動を提供する。
【0054】
燃料電池システム90の動作中、コアンダ・フロー増幅器10a、10b、10cの駆動フロー放出スリットのフロー断面のそれぞれは、それぞれのコアンダ・フロー増幅器10a、10b、10cの駆動フロー放出スリットを出るときの駆動流体フローの出力圧力と、それぞれのコアンダ・フロー増幅器10a、10b、10cの駆動フロー放出スリットに入るときの駆動流体フローの吸引圧力との圧力比が、0.528の臨界圧力比に等しくなるように選択される。駆動フロー放出スリットのフロー断面の調節は、図4には示されていない電子制御ユニットによって提供される制御信号の補助で、コアンダ・フロー増幅器10a、10b、10cのそれぞれの圧電作動装置に適切な電流を供給することによって達成される。
【0055】
以上から、本発明の特定の実施形態が例示の目的で本明細書において記述されたが、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、様々な修正が実施されることが可能であることが理解されるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて、限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のシステムおよび方法によるコアンダ・フロー増幅器の一実施形態の縦断面図である。
【図2】図1に示されたコアンダ・フロー増幅器の詳細を示す図である。
【図3】本発明のシステムおよび方法による燃料電池システムの第1実施形態の設計の概略図である。
【図4】本発明のシステムおよび方法による燃料電池システムの第2実施形態の設計の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引取入れ口(22、22a、22b、22c)と、
出口(24、24a、24b、24c)と、
前記吸引取入れ口(22、22a、22b、22c)と前記出口(24、24a、24b、24c)との間に延びる流体チャネル(42)と、
駆動フロー放出スリット(66)を介して前記流体チャネル(42)と流体接続される駆動フロー入口(60、60a、60b、60c)とを備えるコアンダ・フロー増幅器(10、10a、10b、10c)であって、
前記駆動フロー放出スリット(66)のフロー断面が可変に調節可能であることを特徴とする、コアンダ・フロー増幅器。
【請求項2】
前記駆動フロー放出スリット(66)を完全に閉じることができることを特徴とする、請求項1に記載のコアンダ・フロー増幅器。
【請求項3】
前記コアンダ・フロー増幅器(10、10a、10b、10c)がフロー誘導要素(26)を備え、前記フロー誘導要素が、前記吸引取入れ口(22、22a、22b、22c)と前記出口(24、24a、24b、24c)との間に配置され、かつ前記コアンダ・フロー増幅器(10、10a、10b、10c)の縦軸(L)に沿って軸方向に変位可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載のコアンダ・フロー増幅器。
【請求項4】
前記吸引取入れ口(22、22a、22b、22c)が、第1ハウジング・セクション(14)に配置され、前記駆動フロー放出スリット(66)が、前記第1ハウジング・セクション(14)の下流面(50)と前記フロー誘導要素(26)の上流面(54)との間に形成されることを特徴とする、請求項3に記載のコアンダ・フロー増幅器。
【請求項5】
少なくとも前記駆動フロー放出スリット(66)の領域において、前記フロー誘導要素(26)が、前記駆動フロー入口(60、60a、60b、60c)を前記駆動フロー放出スリット(66)に接続する室(64)によって囲まれることを特徴とする、請求項3または4に記載のコアンダ・フロー増幅器。
【請求項6】
前記軸方向に変位可能なフロー誘導要素(26)が、第2ハウジング・セクション(16)の中を貫通し、封止されて前記第2ハウジング・セクション(16)に案内されることを特徴とする、請求項5に記載のコアンダ・フロー増幅器。
【請求項7】
前記出口(24、24a、24b、24c)が、第3ハウジング・セクション(18)に配置され、それにより、前記フロー誘導要素(26)の下流セクション(36)が、前記第3ハウジング・セクション(18)の中に突出し、封止されて前記第3ハウジング・セクション(18)に案内されることを特徴とする、請求項3から6の一項に記載のコアンダ・フロー増幅器。
【請求項8】
前記フロー誘導要素(26)を前記第3ハウジング・セクション(18)に対して封止する封止要素(38)が、前記第3ハウジング・セクション(18)の上に形成された溝(40)に配置され、前記フロー誘導要素(26)の周囲表面(32)と共に作用することを特徴とする、請求項7に記載のコアンダ・フロー増幅器。
【請求項9】
準静的封止要素が、前記フロー誘導要素(26)を前記第2および/または第3ハウジング・セクション(16、18)に対して封止するために提供されることを特徴とする、請求項6から8の一項に記載のコアンダ・フロー増幅器。
【請求項10】
作動要素(68)が、前記フロー誘導要素(26)の軸方向変位を実施するために提供されることを特徴とする、請求項3から9の一項に記載のコアンダ・フロー増幅器。
【請求項11】
前記作動要素(68)が圧電作動装置であることを特徴とする、請求項10に記載のコアンダ・フロー増幅器。
【請求項12】
前記フロー誘導要素(26)が、前記作動要素(68)が非活動状態にあるとき、前記駆動フロー放出スリット(66)を閉じるために、前記流体チャネル(42)の流体フロー方向(F)と反対の方向に弾性的に予荷重をかけられることを特徴とする、請求項10または11の一項に記載のコアンダ・フロー増幅器。
【請求項13】
増幅される流体フローを吸引取入れ口(22、22a、22b、22c)に供給するステップと、
駆動フローを駆動フロー入口(60、60a、60b、60c)に供給し、それにより、前記駆動フロー入口(60、60a、60b、60c)が、駆動フロー放出スリット(66)によって、前記吸引取入れ口(22、22a、22b、22c)と出口(24、24a、24b、24c)との間に延びる流体チャネル(42)に流体接続されるステップとを含む請求項1から11のいずれか一項に記載のコアンダ・フロー増幅器(10、10a、10b、10c)を動作する方法であって、
前記駆動フロー放出スリット(66)の可変フロー断面が、前記駆動フロー放出スリット(66)を出るときの前記駆動フローの出力圧力と、前記駆動フロー放出スリット(66)に入るときの前記駆動フローの吸引圧力との圧力比が臨界圧力比を超えないように調節されることを特徴とする、方法。
【請求項14】
前記駆動フロー放出スリット(66)の前記可変フロー断面が、前記駆動フロー放出スリット(66)を出るときの前記駆動フローの出力圧力と、前記駆動フロー放出スリット(66)に入るときの前記駆動フローの吸引圧力との圧力比が臨界圧力比に等しくなるように調節されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの燃料電池(82;92)と、
流体源(88;102、110、116)と、
流体ライン(84;100、106、112)と、
コアンダ・フロー増幅器(10;10a、10b、10c)が前記流体ライン(84;100、106、112)に配置され、それにより、前記コアンダ・フロー増幅器(10;10a、10b、10c)の吸引取入れ口(22;22a、22b、22c)および出口(24;24a、24b、24c)の両方とも、前記流体ライン(84;100、106、112)に流体接続され、および、前記コアンダ・フロー増幅器(10;10a、10b、10c)の駆動フロー入口(60;60a、60b、60c)が、前記流体源(88;102、110、116)に流体接続される、前記コアンダ・フロー増幅器と、
を備える燃料電池システム(80;90)であって、
前記コアンダ・フロー増幅器(10;10a、10b、10c)が、請求項1から11の一項に記載のコアンダ・フロー増幅器(10;10a、10b、10c)であることを特徴とする、燃料電池システム。
【請求項16】
前記流体ライン(84;100、106、112)が、前記燃料電池(82)に接続されるパージガス供給ライン(84)であることを特徴とする、請求項15に記載の燃料電池システム。
【請求項17】
前記流体ライン(84;100、106、112)が、前記燃料電池(82)に接続されるカソードガス供給ライン(100)であることを特徴とする、請求項15に記載の燃料電池システム。
【請求項18】
前記流体ライン(84;100、106、112)が、冷始動構成要素に接続される冷始動ガス供給ラインであることを特徴とする、請求項15に記載の燃料電池システム。
【請求項19】
前記流体ライン(84;100、106、112)が、燃料電池排気ガスを再循環させる排気ガス再循環ライン(106、112)であることを特徴とする、請求項15に記載の燃料電池システム。
【請求項20】
前記排気ガス再循環ライン(106、112)が、アノード排気ガスを再循環させるアノード排気ガス再循環ライン(112)であり、アノードガスが、前記流体源(116)から前記燃料電池(92)に供給されることを特徴とする、請求項19に記載の燃料電池システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−522386(P2007−522386A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553299(P2006−553299)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/004516
【国際公開番号】WO2005/081348
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(505402318)ニューセルシス ゲーエムベーハー (5)
【Fターム(参考)】