ガス分離装置及びガス分離方法
【課題】複数成分のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを安価で高純度に分離することができるガス分離装置及びガス分離方法を提供する。
【解決手段】複数成分のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離、濃縮するガス分離装置において、内部を減圧状態にしたカラムに被処理ガスを流通させることにより、被処理ガスに含まれるガスの分子量の差に応じて特定ガスを安価で高純度に分離することができる。
【解決手段】複数成分のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離、濃縮するガス分離装置において、内部を減圧状態にしたカラムに被処理ガスを流通させることにより、被処理ガスに含まれるガスの分子量の差に応じて特定ガスを安価で高純度に分離することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数成分のガスを含有する被処理ガスから特定のガス(特定ガス)を分離濃縮するガス分離装置及びガス分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数成分のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離、濃縮する方法としては、膜によって被処理ガスから特定ガスとを分離する膜分離方法、被処理ガス中のガスの沸点の相違を利用して分離する深冷分離方法、遠心力を利用してガスを質量の差で分離する遠心分離方法、対象ガスに電子を当て陽イオン化させ、これを直線ビームの形状で磁場中に通過させると重さの違いによりビームが弧を描き出てくる位置が変わるが、この出てくる位置に陰イオン化した電極を設置し捕集することで分離を行う電磁分離方法等が挙げられる。
【0003】
また、被処理ガスから特定ガスを分離、濃縮する他の方法としては、各種充填材を使用したクロマトカラムを利用するクロマト分離により被処理ガスから特定ガスを分離する方法がある。例えば、特許文献1では、複数成分の特定ガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離するガス分離装置であって、活性炭が充填されたカラムを利用して被処理ガスをクロマト分離する分離手段を有するガス分離装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−273144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
膜分離方法は装置が小型であり導入しやすいが、処理量、分離性能が低く、条件にもよるが装置を多段に組む必要が生じる。更に分離能は膜の細孔径に依存するため、細孔径以下のガスは分離できない欠点がある。
【0006】
深冷分離方法は、一度に多量のガスを処理できるため工業規模の分離に向いているが、蒸留塔が非常に大きくイニシャル、ランニングともにコストがかかること、また沸点の近いものは分離できない欠点がある。
【0007】
遠心分離法は、高速で回転する円筒の中に気体状の混合ガスを導入し、各成分ガスに掛かる遠心力によって重い成分と軽い成分を分離する方法である。この方法では重量の僅かな違いでも分離することが可能であり、我が国ではこれによってウラン235とウラン238(ガスの形はUF6)を分離しウラン235の濃縮に用いている実績があり、ウラン放射性同位体分離濃縮など特異な分離に使用される。分離能が低く他の分離方法では分離できないガスを質量の差で分離するのに主に使われ、極少量のガスの回収に向いている。しかしながら1段での処理量は小さいため、多量に処理し高濃度を得るためには多数の遠心分離機が必要となる。そのためコストが高くなるので回収ガスの高価なものに用いられる。
【0008】
電磁分離方法では高い分離能が得られるが多量の処理を行うには非常に大きなエネルギーコストが必要なため特殊な用途(軍事用など)以外はあまり使われていない。
【0009】
このように従来の分離技術は装置が大型になりコストがかかる欠点があった。その中でも安価な方法がクロマト分離である。しかし、特許文献1のようなクロマト分離法は安価で非常に有効な方法であるが、ガスを移送する為にキャリアガスを使用するため回収ガス毎の分離性能は高いが各濃度がキャリアガスにより希釈されてしまうのでクロマト回収後に別途濃縮が必要になる。また、クロマト分離法では通常充填材を用いるが、分離対象に適した充填材を選定すれば良いが、例えば分離対象が同一物質(成分)の同位体含有ガス同士の分離のように性質がほとんど変わらない場合には逆に配管内の抵抗となり分離を十分に行うことが困難である。
【0010】
本発明は、複数成分のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを安価で高純度に分離することができるガス分離装置及びガス分離方法である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離するガス分離装置であって、カラムを利用して、前記特定ガスを他のガスから分離する分離手段と、前記カラム内部を減圧状態にする吸引手段と、を有し、前記分離手段において、前記被処理ガスに含まれるガスの分子量の差に応じて前記特定ガスを分離する。
【0012】
また、前記ガス分離装置において、前記吸引手段は、前記カラムの一端側に設けられており、前記カラムの他端側に設けられ、所定量の被処理ガスをパルス的にカラムに供給するように、被処理ガスのカラムへの供給を制御する供給制御手段と、前記カラム出口に設けられた、分離後の特定ガスを回収するための流路を切り替える流路切替手段と、をさらに有することが好ましい。
【0013】
また、前記ガス分離装置において、前記カラム出口から排出されるガスの分析を行う分析手段をさらに有し、前記流路切替手段を切り替えるタイミングの決定は、前記分析手段の分析結果に基づいて行われることが好ましい。
【0014】
また、前記ガス分離装置において、前記カラム内部の圧力が1気圧未満であることが好ましい。
【0015】
また、前記ガス分離装置において、前記分離手段において複数のカラムを使用して、これら複数のカラムを順次利用することが好ましい。
【0016】
また、前記ガス分離装置において、前記分離手段において、前記カラム内の前記被処理ガスの流れは中間流あるいは分子流であることが好ましい。
【0017】
また、前記ガス分離装置において、前記分離手段において、前記被処理ガスを移送するためのガスを使用せずに前記特定ガスを分離することが好ましい。
【0018】
また、前記ガス分離装置において、前記分析手段は、ガスの成分を特定することができる手段であることが好ましい。
【0019】
また、本発明は、複数のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離するガス分離方法であって、減圧下において、前記被処理ガスの構成成分の分子量の差に起因する移動度の差を利用して前記特定ガスが濃縮された部分を生じさせ、この特定ガスが濃縮された部分を採取する。
【0020】
また、前記ガス分離方法において、前記被処理ガスをカラムの一端から流入させ、被処理ガスにおける構成成分の各ガスにおけるカラム他端に到達する時間差を利用して特定ガスが濃縮された部分を採取することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、複数成分のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離、濃縮するガス分離装置において、内部を減圧状態にしたカラムに被処理ガスを流通させることにより、被処理ガスに含まれるガスの分子量の差に応じて特定ガスを安価で高純度に分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態について以下説明する。
【0023】
本発明の実施形態に係るガス分離装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。ガス分離装置1は、分離手段である分離装置10と、吸引手段である真空ポンプ12と、供給制御手段である供給バルブ14と、流路切替手段である排出バルブ16,18とを備える。
【0024】
図1のガス分離装置1において、被処理ガスの導入管は供給バルブ14を介して分離装置10の入口に接続され、分離装置10の出口は、真空ポンプ12の吸い込み側に接続され、この真空ポンプ12の吐き出し側には排出バルブ16,18を介して排気管がそれぞれ接続されている。
【0025】
本実施形態に係るガス分離方法及びガス分離装置1の動作について説明する。図1のガス分離装置1において、被処理ガスは分離装置10に間欠的(パルス的)に供給される。分離装置10は、カラムを有し、カラム内は充填材を使用しない、いわゆる空の状態である。このカラムの入口からカラム中に被処理ガスが流通される。また、分離装置10のカラムの出口には、真空ポンプ12の吸い込み側が接続されており、この真空ポンプ12によりカラム内部は減圧状態になる。これにより、被処理ガスはカラム内部に流通され、被処理ガス中に含まれるガスの各構成成分の分子量によって原子や分子の熱運動や拡散速度が異なることを利用して、特定ガスとその他のガスとに分離される。また、カラム内の真空度が低い場合等には、減圧手段によるガスの吸引によって、わずかではあるが、カラム内に粘性流が発生する。このような場合には、分子量の小さなガスほど粘性流の流れの影響を受けやすいことも利用して、特定ガスとその他のガスとに分離される。真空ポンプ12から排出される分離されたガスは流路切替手段である排出バルブ16,18により、所定のタイミングで採取される。
【0026】
一般に分子量の小さいガスほど、原子や分子の熱運動や拡散に基づく移動度が高い。そこで、ガスの各構成成分の分子量によって原子や分子の熱運動や拡散速度が異なることを利用して、カラム中で特定ガスが濃縮された部分を生じさせ、この特定ガスが濃縮された部分を採取する。すなわち、被処理ガスをカラムの一端から流入させ、被処理ガスにおける構成成分の各ガスにおけるカラム他端に到達する時間差を利用して特定ガスが濃縮された部分を採取する。ここで、希ガス原子のように1個の原子でも化学的に不活性で独立の粒子として行動する場合は分子であり、その原子量が分子量となる。
【0027】
なお、特定ガスとその他のガスとの画分の間に両者が混合された混合画分が生じる場合があるが、この画分は分離装置10への流入側に返送してもよい。例えば、カラムを真空ポンプ12で引きながら、被処理ガスをカラムに所定量流入させ、特定ガスが含まれている画分と、その他のガスが含まれている画分を別々に採取する。両者が混合された混合画分は分離装置10の流入側に返送してもよい。
【0028】
図1において、例えば、SF6及び窒素(N2)を含む被処理ガスを、真空ポンプ12でカラムを減圧状態にしながら分離装置10に間欠的(パルス的)に供給する。一方、分離装置10からは窒素、SF6の順序でガスが出てくるため、出口側の排出バルブ16,18を順次切り替えてこれらガスを分離して排出する。すなわち、分離装置10から窒素が排出されるときには、排出バルブ16を開け、排出バルブ18を閉じておき、窒素を排気する。また、分離装置10からSF6が排出されるときには、排出バルブ18を開け、排出バルブ16を閉じておき、SF6を排出する。分離装置10から混合画分(窒素+SF6)が排出されるときには、窒素+SF6は再分離に回してもよい。
【0029】
ここで、カラム内のガスの流れは、ガスの分子や原子の平均自由行程λとカラム径Dとの関係によって以下のように分類することができる。
(1)λ<<Dの場合
このとき、ガスを構成する分子同士の衝突が十分に起こって一定の速度分布に達しており、ガスを連続流体として取り扱うことができる。このような取扱いが可能な領域は粘性流領域と呼ばれる。円管内の気体、すなわち円管流の場合、λ/Dの値がおおよそ0.01以下の場合には、粘性流領域に該当すると言われている。
(2)λ>>Dの場合
これに対し、装置内を減圧していく場合や、装置内を超高真空に排気した後ガスを導入する場合には、ガスの平均自由行程λが長くなり、領域内での分子衝突が不十分になる。このように、ガスを構成する分子同士の衝突よりも、分子と装置の器壁との衝突により、ガスの運動が規定されるような領域は分子流領域と呼ばれる。このとき、気体分子は連続流体ではなく、粒子として扱われる。円管流の場合、λ/Dの値がおおよそ10以上の場合には、分子流領域に該当すると言われている。
(3)両者の中間の場合
λ/Dの値が粘性流領域と分子流領域との中間にある場合のガスの流れは、中間流と呼ばれる。また、λ/Dの値が0.01〜0.1の場合にはすべり流、λ/Dの値が0.1〜10の場合には遷移流などと呼ばれることもある。
【0030】
本実施形態に係るガス分離方法及びガス分離装置を特定成分の濃縮に使用する場合には、中間流領域、または、分子流領域で分離を行うことが好ましい。すなわち、分離工程において、カラム内の被処理ガスの流れは中間流あるいは分子流であることが好ましい。
【0031】
また、分離工程において、被処理ガスはカラム内を熱運動あるいは拡散により移動することが好ましい。ここで、原子、分子、イオンなどの粒子は、温度に応じて、いろいろな速さで、いろいろな方向に絶えず運動しており、このような運動は熱運動と呼ばれる。また、拡散とは、分子や溶液中の成分等が、高濃度の領域から低濃度の領域に移動し、全領域が均一になって濃度の差がなくなる現象をいうが、分子等自身の熱運動,および周りに存在する分子等との衝突によって拡散がおこるとされている。なお、気体中での拡散の速さは、濃度差や分子の平均自由行程、平均速度に比例する。気体の平均速度は、絶対温度Tが大きいほど、また分子量Mが小さいほど大きくなる。したがって,分子量の小さな軽い気体ほど拡散しやすい。
【0032】
本実施形態では、分離装置10においては、カラムを減圧状態にし、キャリアガス、すなわち被処理ガスを移送するためのガスを使用しないことが好ましい。通常のガスのカラムクロマト分離では、被処理ガスの移動相として窒素等のキャリアガスを用いる。したがって、被処理ガス中に含まれる複数成分を各成分に分離しても、分離された各成分は多量のキャリアガスの中に含有される形態となっており、分離された各成分を単離するためには、さらに膜分離や深冷分離等の濃縮操作が必要となる。しかし、本実施形態のように被処理ガスを移送するためのガスを使用せずに分離を行うことにより、さらなる濃縮操作は必要なく、容易に被処理ガス中の特定ガスを単離することができる。すなわち、通常のガスのカラムクロマト分離ではキャリアガスを使用するため、分離対象のガスはカラム入口における濃度よりカラム出口における濃度は低くなっているが、本実施形態にかかるガス分離装置及びガス分離方法では、分離対象のガスはカラム入口における濃度よりカラム出口における濃度は高くなっている。
【0033】
ところで、拡散係数の差を利用して被処理ガスを分離する場合、特に同位体含有ガスを分離する場合のように分子量の差が非常に小さい場合には、カラムの一端に、分子量と温度に応じた速度分布を持った被処理ガスを、その速度分布の変動を極力抑制して(極力そっと)導入することが望まれる。しかしながら、空のカラムに被処理ガスを間欠的に導入する際には、真空度の高いカラム内に被処理ガスを導入する為、カラムのガス導入口付近における分子の速度分布は、被処理ガスの導入に伴う流体の乱れの影響を強く受ける。そのため、ガス導入口付近では、各成分の分子量差に基づく速度分布が乱れてしまう。そこで、被処理ガス導入時の速度分布の乱れがカラム出口での分離性能に及ぼす影響を低減し、ガス構成成分の分子量差による分離を容易にするために以下に示す対策が有効である。つまり、整流や調圧を目的として、図2のようにカラム20の入口近傍に邪魔板または充填材22等を設置して、その邪魔板や充填材22の出口での流れを一定にすることが有効である。このとき、カラム20入口では被処理ガスの圧力が比較的高いため、上記充填材22として、被処理ガスに対して吸着力のある充填材を設置することも有効である。つまり、充填材22の特定ガスに対する選択分離性が低く、通常のクロマト分離では使用できない充填材であったとしても、導入した被処理ガスを一度充填材に吸着させることで、導入時に与えられた速度を減少させることができる。さらに吸着剤への気体の吸脱着は温度と圧力に依存するため、充填材22の出口近傍において、充填材22及びカラム20の温度と圧力に応じた速度分布を持った被処理ガスをその速度分布の変動を極力抑制して発生させることができる。
【0034】
本実施形態に係るガス分離装置及びガス分離方法により処理される被処理ガスとしては、あらゆる混合ガスを対象とすることが可能であるが、例えば、同一物質(成分)の同位体含有ガス、半導体製造工程、液晶製造工程等のドライエッチングや薄膜形成などの製造工程、太陽電池の製造工程等で排出される排ガス等を対象とする。中でも、通常のクロマト分離法等で分離が困難である、同一物質(成分)の同位体含有ガスを処理対象とすることが好ましい。
【0035】
分離対象(濃縮対象)となる被処理ガスとしては、水素、重水素、トリチウムのうち少なくとも2つを含む混合ガス、N14,N15を含む混合ガス、C12,C13を含む混合ガス等の同位体含有ガス、PFC(perfluoro compound)ガス、窒素ガス、酸素ガス、水素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等を含む混合ガス等が挙げられる。PFCガスは、C,N,Sのうち少なくとも1つの元素を構成元素とするフッ素化合物のいずれか1つを含み、具体的には、CF4,C2F6,C3F8,CHF3,SF6,NF3またはCOF2のいずれか1つを含む。被処理ガスに含まれる特定ガスは、1種類でも複数種類でもよい。複数種類の特定ガスの分離を行う場合には、カラムの流通条件等を適宜選択して各特定ガスのリテンションタイムが離れるようにしてやれば、それらを容易に分離することができる。
【0036】
分離装置10において基本的には通常のカラムクロマト分離のような充填材を使用しないが、必要に応じて充填材を使用してもよい。カラムの充填材としては、シリカゲル、活性炭、3A,4A,5A,13X等のモレキュラシーブ、ゼオライト等を用いることができ、被処理ガスに含まれるガスの種類等に応じて充填材を選択すればよい。例えば、被処理ガスがCF4とC2F6との混合ガスの場合は充填材としてモレキュラシーブ13Xを、被処理ガスがNF3とSF6との混合ガスの場合は充填材としてモレキュラシーブ13Xを、被処理ガスがCF4とCHF3との混合ガスの場合は充填材として活性炭を、被処理ガスがCF4とNF3との混合ガスの場合は充填材として活性炭を、それぞれ用いることにより効果的に分離を行うことができる。
【0037】
分離装置10のカラムの材質については、特に制限はないが、SUS等の金属や、ガラス等が挙げられる。カラム内内面と被処理ガス中の各ガスとの極微量の電気的な吸着力の違いによって移動度の差が影響を受けると考えられる。そのためカラム材質に関しては、被処理ガスに含まれるガス成分の性質に応じて、有効な材料を選択して使用することにより、カラム内のガスの移動度に対する差を強めることが出来ると考えられる。その際はガスの流れ方向に対して邪魔をしないことが必須であるから、更に太い配管内にそれより細い径の配管を束ねてガスの接触する表面積を増加させてやることで更に効果があると考えられる。
【0038】
カラムの長さは、分離に対して十分長ければよく特に制限はないが、より長い方が効果的である。更にカラムを多段にして徐々に濃度を挙げる方法も遠心分離と同様に効果的である。本実施形態に係る方法によれば、遠心分離よりも装置が簡易(配管と真空ポンプとバルブ)であるため、安価に被処理ガスから特定ガスを分離、濃縮することができる。
【0039】
分離装置10のカラムにおける圧力(カラム出口におけるゲージ圧)は1気圧未満であればよいが、具体的には、1000Pa以下、好ましくは100Pa以下、より好ましくは10Pa以下の真空状態とする。カラムにおける減圧度が1000Paを超えると、分離が不十分となる場合がある。また、真空ポンプ12は、常時作動させておくことが好ましい。
【0040】
分離装置10のカラムにおいて間欠的に供給される被処理ガスの供給流量は、被処理ガスに含まれるガスの種類、カラムの大きさ、カラム温度等の分離条件に応じて決めればよく特に制限はないが、例えば、0.1L/回〜50L/回の範囲である。
【0041】
分離装置10のカラムにおける被処理ガスの流速は、被処理ガスの種類、カラムの大きさ、カラム温度等の分離条件に応じて決めればよく特に制限はないが、例えば、カラムの長さが1mの場合、0.1SLM(Standard liter per minute)〜50SLMの範囲であり、1SLM〜10SLMの範囲であることが好ましい。
【0042】
分離装置10のカラム内温度は、被処理ガスに含まれるガスの種類、カラムの大きさ等の分離条件に応じて決めればよく、特に制限はないが、例えば、PFCガスの分離のように分子量差が比較的大きな場合には、20℃〜200℃の範囲であることが好ましく、35℃〜150℃の範囲であることがより好ましい。このような系では、カラム内部の温度が20℃未満であると、分離効率が不十分となる場合がある。また、200℃を超えると、充填材を使用した場合には充填材の分解等の可能性がある。一方、同位体ガスの分離のように分子量差が小さく分離が難しい場合には、分離対象が気体である範囲内で、温度が低いほど分離が容易になる。そのため、−150℃〜50℃の範囲であることが好ましく、−100℃〜20℃の範囲であることがより好ましい。
【0043】
また、分離装置10、供給バルブ14の上流側には被処理ガスを貯留しておくバッファタンクを設置してもよい。バッファタンクは常圧でもよいし、貯留量を増やすために加圧式としてもよい。
【0044】
本実施形態においては、分離装置10の出口における各成分のガスの採取や、バルブ切り替えは、出口ガスの分析結果に基づき行うことが好ましい。例えば、四重極質量分析計(QMS)、示差熱式検出器(TCD)やフーリエ変換−赤外線分析計(FT−IR)等を用いて、成分を検出し、その結果により制御するとよい。本実施形態では四重極質量分析計(QMS)を用いることが好ましい。QMS等の分析結果に基づいてバルブの切り替え条件等をあらかじめ決定しておけば、通常運転時のバルブの切り替え等は時間による制御でもかまわない。
【0045】
ガスの分離において、原料となるガスの供給条件が変わってもカラム分離において安定した分離状態を作り出し、目的のガスを分離濃縮回収できるような運転状況を作り出す必要がある。従来の技術では分離する際にカラム出口に設置する流路切替バルブの切替のタイミングをシーケンサーで制御しているがプログラミングによる時間管理で行っているため実際のガス分離状況に沿った運転になっていない。つまり最初に試運転をしてその際の状況に応じたプログラムで運転することになり、入口ガスの変動に対応できない問題がある。また各ガスの分離状況が悪い場合(ガス間の差が小さい場合)は更に切替をシビアに素早く行う必要がある。
【0046】
そこで、分離後のそれぞれのガスを回収するためにカラム出口に設けた流路切り替えバルブを切り替えるタイミングの決定を分析装置の分析結果を反映させて速やかに行うことを可能にした装置であって、分析装置として質量分析計、赤外分光光度計等を用いることで排出されるガス種の流れをオンタイムで測定し分析結果をバルブ切替に反映させることが好ましい。
【0047】
分析装置を使用するガス分離装置の一例の概略を図3に示し、その構成について説明する。ガス分離装置3は、分離手段である分離装置10と、吸引手段である真空ポンプ12と、供給バルブ14と、流路切替手段である排出バルブ16,18と、分析手段である分析装置24と、制御部26とを備える。
【0048】
図3のガス分離装置3において、被処理ガスの導入管は供給バルブ14を介して分離装置10の入口に接続され、分離装置10の出口は、真空ポンプ12の吸い込み側に接続され、この真空ポンプ12の吐き出し側には排出バルブ16,18を介して排気管がそれぞれ接続されている。真空ポンプ12と排出バルブ16,18との間の配管には分析装置24が接続され、分析装置24は制御部26と接続されている。制御部26は排出バルブ16,18とそれぞれ接続されている。
【0049】
本実施形態に係るガス分離方法及びガス分離装置3の動作について説明する。図3のガス分離装置3において、被処理ガスは分離装置10に供給される。分離装置10は、カラムを有し、このカラムの入口からカラム中に被処理ガスが流通される。また、分離装置10のカラムの出口には、真空ポンプ12の吸い込み側が接続されており、この真空ポンプ12によりカラム内部は減圧状態になる。これにより、被処理ガスはカラム内部に流通され、被処理ガス中に含まれるガスの各構成成分の分子量によって原子や分子の熱運動や拡散速度が異なることを利用して、特定ガスとその他のガスとに分離される。
【0050】
カラム中で分子量の差により、特定ガスとその他のガスとが分離されるが、カラムから排出されるガスは分析装置24によりその成分が特定される。そして、排出バルブ16,18を切り替えるタイミングの決定は、分析装置24の分析結果に基づいて制御部26により行われる。ここで、特定ガスとその他のガスとの画分の間に両者が混合された混合画分が生じる場合があるが、この画分は分離装置10への流入側に返送してもよい。
【0051】
図3において、例えば、SF6及び窒素(N2)を含む被処理ガスを、真空ポンプ12でカラムを減圧状態にしながら分離装置10に間欠的に供給する。一方、分離装置10からは窒素、SF6の順序でガスが出てくるが、分析装置24により排出ガスの成分が分析され、その分析結果に基づいて制御部26により出口側の排出バルブ16,18が順次切り替えられ、これらガスを分離して排出される。すなわち、分離装置10から排出されるガスが分析装置24により窒素が主成分として分析されたときには、制御部26によりバルブ16が開けられ、バルブ18は閉じられ、窒素が排気される。また、分離装置10から排出されるガスが分析装置24によりSF6が主成分として分析されたときには、制御部26によりバルブ18が開けられ、バルブ16は閉じられ、SF6が排気される。分離装置10から排出されるガスが分析装置24により混合画分(窒素+SF6)であると分析されたときには、窒素+SF6は再分離に回してもよい。
【0052】
このような処理を行うことにより、原料となるガスの供給条件が変わっても、安定して分離、濃縮を行うことができる。
【0053】
また、被処理ガスの成分によっては分離装置10として複数のカラムを直列に接続して使用してもよい。複数のカラムを有し、これを直列に配置し段階的に濃縮を行う方法は低濃度ガスを高濃縮して得ることが出来るため有効である。
【0054】
また、分離装置10として複数のカラムを用意しておき、これを並列に配置し同時にカラムを順次利用することは被処理ガスを連続的に処理し、一定時間における処理量を増加するために好適である。
【0055】
このようにして、複数の分離装置10を組み合わせることにより分離の処理効率を向上させることができる。使用する分離装置10及び真空ポンプ12の数は、分離する成分の数、被処理ガスの処理量等に応じて最適なものを選択すればよい。
【0056】
本実施形態において、分離装置10の出口において純粋なガス成分を得ることができるが、分離装置10により分離した成分をさらに濃縮装置(図示せず)により濃縮してもよい。この濃縮装置としては膜分離装置や深冷分離装置が用いられる。
【0057】
また、被処理ガスを分離装置10に導入する前に特定ガスをある程度濃縮するために分離装置10の上流側に濃縮装置(図示せず)を設置してもよい。この濃縮装置としては膜分離装置や深冷分離装置が用いられる。
【0058】
このように、本実施形態においては、充填材を使用せずにカラムの内部を減圧状態にしながら、被処理ガスを移送するためのガス及び充填材を使用せずに被処理ガスをカラムに流通させることにより、例えば、SF6及び窒素(N2)を含む被処理ガスからのSF6の分離、濃縮、N14,N15を含む被処理ガスからのN15の分離、濃縮等を容易に高純度で行うことができる。このため、特に、半導体、液晶、太陽電池等の製造工程、環境分析等に用いるN15トレーサ試薬の製造工程等において有効に特定ガスの回収を行うことができる。
【0059】
以上説明したように本実施形態によれば、複数のガスを含有する被処理ガスを空のカラムに減圧状態で通気することで目的とする特定ガスを安価に濃縮することが出来る。
【0060】
特にこの方法は装置も小型で安価であり、かつ濃縮後の濃度も高いことから非常に有効である。
【0061】
また負圧で運転されるためガスの系外への拡散を防ぐことができ、更に爆発等の心配もなく、加圧運転に比べ安全運転が可能である。
【実施例】
【0062】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0063】
(実施例1)
図4に示す実験装置を使用して、窒素の同位体であるN14,N15を含む混合ガス(被処理ガス)の分離を行った。カラムは、外径3.18mm、内径1.76mm、長さ20.0Mのもの(材質:SUS製)を1本使用した。カラム温度は40℃とした。カラム出口を真空ポンプにて1.0×10−3Pa程度の真空にした状態で、N14,N15を含む混合ガス(通常窒素28/同位体窒素30)の分離を空のカラムにおいて実施した。ガス供給量は50:50の濃度比でサンプリングループを用いて0.001mLを供給した後、ガスの供給を止めて真空ポンプで排気のみを行った。供給パルス回数は1回とした。
【0064】
その結果得られた分離結果の分析結果を図5に示す。分析にはQMS(株式会社アルバック製RG−202P(特型)を用いた。ごくわずかであるが、分離の効果が見られた。原料ガスの組成比(QMSのイオン強度の比率:R=N14/N15)は、R0(初期値)に対して、分離している時間帯におけるRはN14>N15によりR/R0は1.01となった。これはカラム内を移動する際に、N14の分子量がN15の分子量より小さく拡散係数が大きいため、N14がN15に比べて先に排出されたためと考えられる。その際にSUSカラム内内面との極微量の電気的な吸着力の違いによってもその差が影響を受けると考えられる。そのため配管材質に関してはSUS以外にも有効な材があれば使用することで管内の移動に対する差を強めることが出来ると考えられる。その際はガスの流れ方向に対して邪魔をしないことが必須であるから、更に太い配管内にそれより細い径の配管を束ねてガスの接触する表面積を増加させてやることで更に効果があると考えられる。またカラム内の充填材という抵抗がないため、ガスの出始めから出終わる時間が早くなった。
【0065】
(比較例1)
図6に示す実験装置を使用して、カラムの充填材としてモレキュラシーブ13X(GLサイエンス社製)を使用した以外は実施例1と同様にして、窒素の同位体であるN14,N15を含む混合ガス(被処理ガス)の分離を行った。得られた分離結果の分析結果を図7に示す。N14とN15との分離にほとんど差が無く不完全であった(グラフは重なっている)。
【0066】
このように、実施例1の方法を用いることにより、比較例1のような充填材を使用したカラムクロマト法では分離、濃縮が困難であるN14,N15を含む混合ガスからN14の分離、濃縮を行うことができた。
【0067】
(比較例2)
<従来の運転制御方法によるクロマト分離方法>
図8に示す実験装置を使用して、SF6と窒素(N2)との混合ガス(被処理ガス)の分離を行った。カラムは、内径54.9mm、長さ1.0Mのもの(材質:SUS316)を1本使用した。カラム温度は120℃とした。カラム出口を真空ポンプにて1.0×10−3Pa程度の真空にした状態でSF6/N2を含む混合ガスの分離を行った。カラムの充填材としてモレキュラシーブ13X(GLサイエンス社製)を使用した。初期に推定されるガス条件で単カラムを用いて連続処理に向けての分離条件出しを行った(基礎試験)。供給ガスはSF6/N2(SF6:0.9SLM、N2:0.1SLM→SF6濃度90%)を2分間導入した後、ガスの供給を止めて真空ポンプで排気のみを行った。供給パルス回数は1回とした。
【0068】
図9にその結果得られた単カラムの分離結果を示す。その結果を反映したシーケンス(図10)を組んで時間制御でカラム出口のバルブの切り替えを行うことによって安定的な分離を得ることが出来る。1バッチの時間を20分(2分供給、18分排気の1工程)に設定し、入口ガスの供給条件が基礎試験時と変わらない場合はバッチを繰り返しても安定した分離結果が得られた(図11)。この時回収されるSF6の純度をなるべく高くすることを目的としてSF6回収ラインのバルブを開くタイミングを先に排出される窒素が十分に排出された頃合を見計らって開くことにした(図11参照)。時間としては原料ガスを供給してから10分後にSF6回収系バルブを開いた。この運転で得られたSF6をガスクロマトグラフ(株式会社島津製作所製GC−8APT(特)型)で分析したところ常に99.9%の濃度が得られた。
【0069】
次に回収SF6の量を増やすことを目的として、バルブ切り替えのタイミングを前述より少し早めて7分後に行った(シーケンス図:図12)ところ、回収SF6の濃度は95%に低下した。これは先に排出される窒素が完全に排出される前にバルブ切り替えを行ってしまった為である。
【0070】
(比較例3)
比較例2と同様の条件で、入口ガス濃度を変え(SF6:0.8SLM、N2:0.2SLM→SF6濃度80%)、窒素が多くなった場合にそのまま図10のシーケンスで運転を行ったところ分離の状況が悪くなり(図13)、同様に回収SF6の濃度は86%程度にしか達しなかった。
【0071】
(実施例2)
ガスの供給フローは図8と同じだが、カラム出口→排出バルブの開閉のタイミングを分析装置(QMS)の分析結果を反映させて行った。比較例2と同様の条件で実験を行った。試験結果も図11と同じく繰り返し再現性良く分離が得られた。出口バルブの切り替えのタイミングはQMSでのイオン化強度の値が1.0×10−10になった時を基準にした。その結果切り替えは原料ガス供給後6分50秒〜7分10秒になった。この運転で回収したSF6をガスクロマトグラフィで測定したところ安定して99.9%が得られた。
【0072】
(実施例3)
比較例3と同様の実験を行った。バルブ切り替えのタイミングは実施例2と同様とした。試験結果も図13と同じく再現性が良いが分離が悪い状況であった。出口バルブの切り替えのタイミングはQMSでのイオン化強度の値が1.0×10−10になった時を基準にした。その結果切り替えは9分45秒〜10分15秒になった。この運転で回収したSF6をガスクロマトグラフィで測定したところ安定して99.9%が得られた。
【0073】
このように装置を最大限に利用(回収量を最大にする)してガスを回収し、且つ入口ガス濃度が変化した時にも安定した回収ガスを得るためには、カラム出口のバルブに切り替えのタイミングをカラム出口のガスの分析状況を反映して行う必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施形態に係るガス分離装置の一例の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るカラムの一例の断面を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るガス分離装置の他の例の概略を示す図である。
【図4】本発明の実施例1において使用したガス分離装置の概略を示す図である。
【図5】本発明の実施例1における流出ガスのQMSの分析結果を示す図である。
【図6】本発明の比較例1において使用したガス分離装置の概略を示す図である。
【図7】本発明の比較例1における流出ガスのQMSの分析結果を示す図である。
【図8】本発明の比較例2,比較例3,実施例2,実施例3において使用したガス分離装置の概略を示す図である。
【図9】本発明の比較例2における流出ガスのQMSの分析結果を示す図である。
【図10】本発明の比較例2,比較例3において用いた工程表を示す図である。
【図11】本発明の比較例2,実施例2における流出ガスのQMSの分析結果を示す図である。
【図12】本発明の比較例2において用いた工程表を示す図である。
【図13】本発明の比較例3、実施例3における流出ガスのQMSの分析結果を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1,3 ガス分離装置、10 分離装置、12 真空ポンプ、14 供給バルブ、16,18 排出バルブ、20 カラム、22 邪魔板または充填材、24 分析装置、26 制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数成分のガスを含有する被処理ガスから特定のガス(特定ガス)を分離濃縮するガス分離装置及びガス分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数成分のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離、濃縮する方法としては、膜によって被処理ガスから特定ガスとを分離する膜分離方法、被処理ガス中のガスの沸点の相違を利用して分離する深冷分離方法、遠心力を利用してガスを質量の差で分離する遠心分離方法、対象ガスに電子を当て陽イオン化させ、これを直線ビームの形状で磁場中に通過させると重さの違いによりビームが弧を描き出てくる位置が変わるが、この出てくる位置に陰イオン化した電極を設置し捕集することで分離を行う電磁分離方法等が挙げられる。
【0003】
また、被処理ガスから特定ガスを分離、濃縮する他の方法としては、各種充填材を使用したクロマトカラムを利用するクロマト分離により被処理ガスから特定ガスを分離する方法がある。例えば、特許文献1では、複数成分の特定ガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離するガス分離装置であって、活性炭が充填されたカラムを利用して被処理ガスをクロマト分離する分離手段を有するガス分離装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−273144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
膜分離方法は装置が小型であり導入しやすいが、処理量、分離性能が低く、条件にもよるが装置を多段に組む必要が生じる。更に分離能は膜の細孔径に依存するため、細孔径以下のガスは分離できない欠点がある。
【0006】
深冷分離方法は、一度に多量のガスを処理できるため工業規模の分離に向いているが、蒸留塔が非常に大きくイニシャル、ランニングともにコストがかかること、また沸点の近いものは分離できない欠点がある。
【0007】
遠心分離法は、高速で回転する円筒の中に気体状の混合ガスを導入し、各成分ガスに掛かる遠心力によって重い成分と軽い成分を分離する方法である。この方法では重量の僅かな違いでも分離することが可能であり、我が国ではこれによってウラン235とウラン238(ガスの形はUF6)を分離しウラン235の濃縮に用いている実績があり、ウラン放射性同位体分離濃縮など特異な分離に使用される。分離能が低く他の分離方法では分離できないガスを質量の差で分離するのに主に使われ、極少量のガスの回収に向いている。しかしながら1段での処理量は小さいため、多量に処理し高濃度を得るためには多数の遠心分離機が必要となる。そのためコストが高くなるので回収ガスの高価なものに用いられる。
【0008】
電磁分離方法では高い分離能が得られるが多量の処理を行うには非常に大きなエネルギーコストが必要なため特殊な用途(軍事用など)以外はあまり使われていない。
【0009】
このように従来の分離技術は装置が大型になりコストがかかる欠点があった。その中でも安価な方法がクロマト分離である。しかし、特許文献1のようなクロマト分離法は安価で非常に有効な方法であるが、ガスを移送する為にキャリアガスを使用するため回収ガス毎の分離性能は高いが各濃度がキャリアガスにより希釈されてしまうのでクロマト回収後に別途濃縮が必要になる。また、クロマト分離法では通常充填材を用いるが、分離対象に適した充填材を選定すれば良いが、例えば分離対象が同一物質(成分)の同位体含有ガス同士の分離のように性質がほとんど変わらない場合には逆に配管内の抵抗となり分離を十分に行うことが困難である。
【0010】
本発明は、複数成分のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを安価で高純度に分離することができるガス分離装置及びガス分離方法である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離するガス分離装置であって、カラムを利用して、前記特定ガスを他のガスから分離する分離手段と、前記カラム内部を減圧状態にする吸引手段と、を有し、前記分離手段において、前記被処理ガスに含まれるガスの分子量の差に応じて前記特定ガスを分離する。
【0012】
また、前記ガス分離装置において、前記吸引手段は、前記カラムの一端側に設けられており、前記カラムの他端側に設けられ、所定量の被処理ガスをパルス的にカラムに供給するように、被処理ガスのカラムへの供給を制御する供給制御手段と、前記カラム出口に設けられた、分離後の特定ガスを回収するための流路を切り替える流路切替手段と、をさらに有することが好ましい。
【0013】
また、前記ガス分離装置において、前記カラム出口から排出されるガスの分析を行う分析手段をさらに有し、前記流路切替手段を切り替えるタイミングの決定は、前記分析手段の分析結果に基づいて行われることが好ましい。
【0014】
また、前記ガス分離装置において、前記カラム内部の圧力が1気圧未満であることが好ましい。
【0015】
また、前記ガス分離装置において、前記分離手段において複数のカラムを使用して、これら複数のカラムを順次利用することが好ましい。
【0016】
また、前記ガス分離装置において、前記分離手段において、前記カラム内の前記被処理ガスの流れは中間流あるいは分子流であることが好ましい。
【0017】
また、前記ガス分離装置において、前記分離手段において、前記被処理ガスを移送するためのガスを使用せずに前記特定ガスを分離することが好ましい。
【0018】
また、前記ガス分離装置において、前記分析手段は、ガスの成分を特定することができる手段であることが好ましい。
【0019】
また、本発明は、複数のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離するガス分離方法であって、減圧下において、前記被処理ガスの構成成分の分子量の差に起因する移動度の差を利用して前記特定ガスが濃縮された部分を生じさせ、この特定ガスが濃縮された部分を採取する。
【0020】
また、前記ガス分離方法において、前記被処理ガスをカラムの一端から流入させ、被処理ガスにおける構成成分の各ガスにおけるカラム他端に到達する時間差を利用して特定ガスが濃縮された部分を採取することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、複数成分のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離、濃縮するガス分離装置において、内部を減圧状態にしたカラムに被処理ガスを流通させることにより、被処理ガスに含まれるガスの分子量の差に応じて特定ガスを安価で高純度に分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態について以下説明する。
【0023】
本発明の実施形態に係るガス分離装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。ガス分離装置1は、分離手段である分離装置10と、吸引手段である真空ポンプ12と、供給制御手段である供給バルブ14と、流路切替手段である排出バルブ16,18とを備える。
【0024】
図1のガス分離装置1において、被処理ガスの導入管は供給バルブ14を介して分離装置10の入口に接続され、分離装置10の出口は、真空ポンプ12の吸い込み側に接続され、この真空ポンプ12の吐き出し側には排出バルブ16,18を介して排気管がそれぞれ接続されている。
【0025】
本実施形態に係るガス分離方法及びガス分離装置1の動作について説明する。図1のガス分離装置1において、被処理ガスは分離装置10に間欠的(パルス的)に供給される。分離装置10は、カラムを有し、カラム内は充填材を使用しない、いわゆる空の状態である。このカラムの入口からカラム中に被処理ガスが流通される。また、分離装置10のカラムの出口には、真空ポンプ12の吸い込み側が接続されており、この真空ポンプ12によりカラム内部は減圧状態になる。これにより、被処理ガスはカラム内部に流通され、被処理ガス中に含まれるガスの各構成成分の分子量によって原子や分子の熱運動や拡散速度が異なることを利用して、特定ガスとその他のガスとに分離される。また、カラム内の真空度が低い場合等には、減圧手段によるガスの吸引によって、わずかではあるが、カラム内に粘性流が発生する。このような場合には、分子量の小さなガスほど粘性流の流れの影響を受けやすいことも利用して、特定ガスとその他のガスとに分離される。真空ポンプ12から排出される分離されたガスは流路切替手段である排出バルブ16,18により、所定のタイミングで採取される。
【0026】
一般に分子量の小さいガスほど、原子や分子の熱運動や拡散に基づく移動度が高い。そこで、ガスの各構成成分の分子量によって原子や分子の熱運動や拡散速度が異なることを利用して、カラム中で特定ガスが濃縮された部分を生じさせ、この特定ガスが濃縮された部分を採取する。すなわち、被処理ガスをカラムの一端から流入させ、被処理ガスにおける構成成分の各ガスにおけるカラム他端に到達する時間差を利用して特定ガスが濃縮された部分を採取する。ここで、希ガス原子のように1個の原子でも化学的に不活性で独立の粒子として行動する場合は分子であり、その原子量が分子量となる。
【0027】
なお、特定ガスとその他のガスとの画分の間に両者が混合された混合画分が生じる場合があるが、この画分は分離装置10への流入側に返送してもよい。例えば、カラムを真空ポンプ12で引きながら、被処理ガスをカラムに所定量流入させ、特定ガスが含まれている画分と、その他のガスが含まれている画分を別々に採取する。両者が混合された混合画分は分離装置10の流入側に返送してもよい。
【0028】
図1において、例えば、SF6及び窒素(N2)を含む被処理ガスを、真空ポンプ12でカラムを減圧状態にしながら分離装置10に間欠的(パルス的)に供給する。一方、分離装置10からは窒素、SF6の順序でガスが出てくるため、出口側の排出バルブ16,18を順次切り替えてこれらガスを分離して排出する。すなわち、分離装置10から窒素が排出されるときには、排出バルブ16を開け、排出バルブ18を閉じておき、窒素を排気する。また、分離装置10からSF6が排出されるときには、排出バルブ18を開け、排出バルブ16を閉じておき、SF6を排出する。分離装置10から混合画分(窒素+SF6)が排出されるときには、窒素+SF6は再分離に回してもよい。
【0029】
ここで、カラム内のガスの流れは、ガスの分子や原子の平均自由行程λとカラム径Dとの関係によって以下のように分類することができる。
(1)λ<<Dの場合
このとき、ガスを構成する分子同士の衝突が十分に起こって一定の速度分布に達しており、ガスを連続流体として取り扱うことができる。このような取扱いが可能な領域は粘性流領域と呼ばれる。円管内の気体、すなわち円管流の場合、λ/Dの値がおおよそ0.01以下の場合には、粘性流領域に該当すると言われている。
(2)λ>>Dの場合
これに対し、装置内を減圧していく場合や、装置内を超高真空に排気した後ガスを導入する場合には、ガスの平均自由行程λが長くなり、領域内での分子衝突が不十分になる。このように、ガスを構成する分子同士の衝突よりも、分子と装置の器壁との衝突により、ガスの運動が規定されるような領域は分子流領域と呼ばれる。このとき、気体分子は連続流体ではなく、粒子として扱われる。円管流の場合、λ/Dの値がおおよそ10以上の場合には、分子流領域に該当すると言われている。
(3)両者の中間の場合
λ/Dの値が粘性流領域と分子流領域との中間にある場合のガスの流れは、中間流と呼ばれる。また、λ/Dの値が0.01〜0.1の場合にはすべり流、λ/Dの値が0.1〜10の場合には遷移流などと呼ばれることもある。
【0030】
本実施形態に係るガス分離方法及びガス分離装置を特定成分の濃縮に使用する場合には、中間流領域、または、分子流領域で分離を行うことが好ましい。すなわち、分離工程において、カラム内の被処理ガスの流れは中間流あるいは分子流であることが好ましい。
【0031】
また、分離工程において、被処理ガスはカラム内を熱運動あるいは拡散により移動することが好ましい。ここで、原子、分子、イオンなどの粒子は、温度に応じて、いろいろな速さで、いろいろな方向に絶えず運動しており、このような運動は熱運動と呼ばれる。また、拡散とは、分子や溶液中の成分等が、高濃度の領域から低濃度の領域に移動し、全領域が均一になって濃度の差がなくなる現象をいうが、分子等自身の熱運動,および周りに存在する分子等との衝突によって拡散がおこるとされている。なお、気体中での拡散の速さは、濃度差や分子の平均自由行程、平均速度に比例する。気体の平均速度は、絶対温度Tが大きいほど、また分子量Mが小さいほど大きくなる。したがって,分子量の小さな軽い気体ほど拡散しやすい。
【0032】
本実施形態では、分離装置10においては、カラムを減圧状態にし、キャリアガス、すなわち被処理ガスを移送するためのガスを使用しないことが好ましい。通常のガスのカラムクロマト分離では、被処理ガスの移動相として窒素等のキャリアガスを用いる。したがって、被処理ガス中に含まれる複数成分を各成分に分離しても、分離された各成分は多量のキャリアガスの中に含有される形態となっており、分離された各成分を単離するためには、さらに膜分離や深冷分離等の濃縮操作が必要となる。しかし、本実施形態のように被処理ガスを移送するためのガスを使用せずに分離を行うことにより、さらなる濃縮操作は必要なく、容易に被処理ガス中の特定ガスを単離することができる。すなわち、通常のガスのカラムクロマト分離ではキャリアガスを使用するため、分離対象のガスはカラム入口における濃度よりカラム出口における濃度は低くなっているが、本実施形態にかかるガス分離装置及びガス分離方法では、分離対象のガスはカラム入口における濃度よりカラム出口における濃度は高くなっている。
【0033】
ところで、拡散係数の差を利用して被処理ガスを分離する場合、特に同位体含有ガスを分離する場合のように分子量の差が非常に小さい場合には、カラムの一端に、分子量と温度に応じた速度分布を持った被処理ガスを、その速度分布の変動を極力抑制して(極力そっと)導入することが望まれる。しかしながら、空のカラムに被処理ガスを間欠的に導入する際には、真空度の高いカラム内に被処理ガスを導入する為、カラムのガス導入口付近における分子の速度分布は、被処理ガスの導入に伴う流体の乱れの影響を強く受ける。そのため、ガス導入口付近では、各成分の分子量差に基づく速度分布が乱れてしまう。そこで、被処理ガス導入時の速度分布の乱れがカラム出口での分離性能に及ぼす影響を低減し、ガス構成成分の分子量差による分離を容易にするために以下に示す対策が有効である。つまり、整流や調圧を目的として、図2のようにカラム20の入口近傍に邪魔板または充填材22等を設置して、その邪魔板や充填材22の出口での流れを一定にすることが有効である。このとき、カラム20入口では被処理ガスの圧力が比較的高いため、上記充填材22として、被処理ガスに対して吸着力のある充填材を設置することも有効である。つまり、充填材22の特定ガスに対する選択分離性が低く、通常のクロマト分離では使用できない充填材であったとしても、導入した被処理ガスを一度充填材に吸着させることで、導入時に与えられた速度を減少させることができる。さらに吸着剤への気体の吸脱着は温度と圧力に依存するため、充填材22の出口近傍において、充填材22及びカラム20の温度と圧力に応じた速度分布を持った被処理ガスをその速度分布の変動を極力抑制して発生させることができる。
【0034】
本実施形態に係るガス分離装置及びガス分離方法により処理される被処理ガスとしては、あらゆる混合ガスを対象とすることが可能であるが、例えば、同一物質(成分)の同位体含有ガス、半導体製造工程、液晶製造工程等のドライエッチングや薄膜形成などの製造工程、太陽電池の製造工程等で排出される排ガス等を対象とする。中でも、通常のクロマト分離法等で分離が困難である、同一物質(成分)の同位体含有ガスを処理対象とすることが好ましい。
【0035】
分離対象(濃縮対象)となる被処理ガスとしては、水素、重水素、トリチウムのうち少なくとも2つを含む混合ガス、N14,N15を含む混合ガス、C12,C13を含む混合ガス等の同位体含有ガス、PFC(perfluoro compound)ガス、窒素ガス、酸素ガス、水素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等を含む混合ガス等が挙げられる。PFCガスは、C,N,Sのうち少なくとも1つの元素を構成元素とするフッ素化合物のいずれか1つを含み、具体的には、CF4,C2F6,C3F8,CHF3,SF6,NF3またはCOF2のいずれか1つを含む。被処理ガスに含まれる特定ガスは、1種類でも複数種類でもよい。複数種類の特定ガスの分離を行う場合には、カラムの流通条件等を適宜選択して各特定ガスのリテンションタイムが離れるようにしてやれば、それらを容易に分離することができる。
【0036】
分離装置10において基本的には通常のカラムクロマト分離のような充填材を使用しないが、必要に応じて充填材を使用してもよい。カラムの充填材としては、シリカゲル、活性炭、3A,4A,5A,13X等のモレキュラシーブ、ゼオライト等を用いることができ、被処理ガスに含まれるガスの種類等に応じて充填材を選択すればよい。例えば、被処理ガスがCF4とC2F6との混合ガスの場合は充填材としてモレキュラシーブ13Xを、被処理ガスがNF3とSF6との混合ガスの場合は充填材としてモレキュラシーブ13Xを、被処理ガスがCF4とCHF3との混合ガスの場合は充填材として活性炭を、被処理ガスがCF4とNF3との混合ガスの場合は充填材として活性炭を、それぞれ用いることにより効果的に分離を行うことができる。
【0037】
分離装置10のカラムの材質については、特に制限はないが、SUS等の金属や、ガラス等が挙げられる。カラム内内面と被処理ガス中の各ガスとの極微量の電気的な吸着力の違いによって移動度の差が影響を受けると考えられる。そのためカラム材質に関しては、被処理ガスに含まれるガス成分の性質に応じて、有効な材料を選択して使用することにより、カラム内のガスの移動度に対する差を強めることが出来ると考えられる。その際はガスの流れ方向に対して邪魔をしないことが必須であるから、更に太い配管内にそれより細い径の配管を束ねてガスの接触する表面積を増加させてやることで更に効果があると考えられる。
【0038】
カラムの長さは、分離に対して十分長ければよく特に制限はないが、より長い方が効果的である。更にカラムを多段にして徐々に濃度を挙げる方法も遠心分離と同様に効果的である。本実施形態に係る方法によれば、遠心分離よりも装置が簡易(配管と真空ポンプとバルブ)であるため、安価に被処理ガスから特定ガスを分離、濃縮することができる。
【0039】
分離装置10のカラムにおける圧力(カラム出口におけるゲージ圧)は1気圧未満であればよいが、具体的には、1000Pa以下、好ましくは100Pa以下、より好ましくは10Pa以下の真空状態とする。カラムにおける減圧度が1000Paを超えると、分離が不十分となる場合がある。また、真空ポンプ12は、常時作動させておくことが好ましい。
【0040】
分離装置10のカラムにおいて間欠的に供給される被処理ガスの供給流量は、被処理ガスに含まれるガスの種類、カラムの大きさ、カラム温度等の分離条件に応じて決めればよく特に制限はないが、例えば、0.1L/回〜50L/回の範囲である。
【0041】
分離装置10のカラムにおける被処理ガスの流速は、被処理ガスの種類、カラムの大きさ、カラム温度等の分離条件に応じて決めればよく特に制限はないが、例えば、カラムの長さが1mの場合、0.1SLM(Standard liter per minute)〜50SLMの範囲であり、1SLM〜10SLMの範囲であることが好ましい。
【0042】
分離装置10のカラム内温度は、被処理ガスに含まれるガスの種類、カラムの大きさ等の分離条件に応じて決めればよく、特に制限はないが、例えば、PFCガスの分離のように分子量差が比較的大きな場合には、20℃〜200℃の範囲であることが好ましく、35℃〜150℃の範囲であることがより好ましい。このような系では、カラム内部の温度が20℃未満であると、分離効率が不十分となる場合がある。また、200℃を超えると、充填材を使用した場合には充填材の分解等の可能性がある。一方、同位体ガスの分離のように分子量差が小さく分離が難しい場合には、分離対象が気体である範囲内で、温度が低いほど分離が容易になる。そのため、−150℃〜50℃の範囲であることが好ましく、−100℃〜20℃の範囲であることがより好ましい。
【0043】
また、分離装置10、供給バルブ14の上流側には被処理ガスを貯留しておくバッファタンクを設置してもよい。バッファタンクは常圧でもよいし、貯留量を増やすために加圧式としてもよい。
【0044】
本実施形態においては、分離装置10の出口における各成分のガスの採取や、バルブ切り替えは、出口ガスの分析結果に基づき行うことが好ましい。例えば、四重極質量分析計(QMS)、示差熱式検出器(TCD)やフーリエ変換−赤外線分析計(FT−IR)等を用いて、成分を検出し、その結果により制御するとよい。本実施形態では四重極質量分析計(QMS)を用いることが好ましい。QMS等の分析結果に基づいてバルブの切り替え条件等をあらかじめ決定しておけば、通常運転時のバルブの切り替え等は時間による制御でもかまわない。
【0045】
ガスの分離において、原料となるガスの供給条件が変わってもカラム分離において安定した分離状態を作り出し、目的のガスを分離濃縮回収できるような運転状況を作り出す必要がある。従来の技術では分離する際にカラム出口に設置する流路切替バルブの切替のタイミングをシーケンサーで制御しているがプログラミングによる時間管理で行っているため実際のガス分離状況に沿った運転になっていない。つまり最初に試運転をしてその際の状況に応じたプログラムで運転することになり、入口ガスの変動に対応できない問題がある。また各ガスの分離状況が悪い場合(ガス間の差が小さい場合)は更に切替をシビアに素早く行う必要がある。
【0046】
そこで、分離後のそれぞれのガスを回収するためにカラム出口に設けた流路切り替えバルブを切り替えるタイミングの決定を分析装置の分析結果を反映させて速やかに行うことを可能にした装置であって、分析装置として質量分析計、赤外分光光度計等を用いることで排出されるガス種の流れをオンタイムで測定し分析結果をバルブ切替に反映させることが好ましい。
【0047】
分析装置を使用するガス分離装置の一例の概略を図3に示し、その構成について説明する。ガス分離装置3は、分離手段である分離装置10と、吸引手段である真空ポンプ12と、供給バルブ14と、流路切替手段である排出バルブ16,18と、分析手段である分析装置24と、制御部26とを備える。
【0048】
図3のガス分離装置3において、被処理ガスの導入管は供給バルブ14を介して分離装置10の入口に接続され、分離装置10の出口は、真空ポンプ12の吸い込み側に接続され、この真空ポンプ12の吐き出し側には排出バルブ16,18を介して排気管がそれぞれ接続されている。真空ポンプ12と排出バルブ16,18との間の配管には分析装置24が接続され、分析装置24は制御部26と接続されている。制御部26は排出バルブ16,18とそれぞれ接続されている。
【0049】
本実施形態に係るガス分離方法及びガス分離装置3の動作について説明する。図3のガス分離装置3において、被処理ガスは分離装置10に供給される。分離装置10は、カラムを有し、このカラムの入口からカラム中に被処理ガスが流通される。また、分離装置10のカラムの出口には、真空ポンプ12の吸い込み側が接続されており、この真空ポンプ12によりカラム内部は減圧状態になる。これにより、被処理ガスはカラム内部に流通され、被処理ガス中に含まれるガスの各構成成分の分子量によって原子や分子の熱運動や拡散速度が異なることを利用して、特定ガスとその他のガスとに分離される。
【0050】
カラム中で分子量の差により、特定ガスとその他のガスとが分離されるが、カラムから排出されるガスは分析装置24によりその成分が特定される。そして、排出バルブ16,18を切り替えるタイミングの決定は、分析装置24の分析結果に基づいて制御部26により行われる。ここで、特定ガスとその他のガスとの画分の間に両者が混合された混合画分が生じる場合があるが、この画分は分離装置10への流入側に返送してもよい。
【0051】
図3において、例えば、SF6及び窒素(N2)を含む被処理ガスを、真空ポンプ12でカラムを減圧状態にしながら分離装置10に間欠的に供給する。一方、分離装置10からは窒素、SF6の順序でガスが出てくるが、分析装置24により排出ガスの成分が分析され、その分析結果に基づいて制御部26により出口側の排出バルブ16,18が順次切り替えられ、これらガスを分離して排出される。すなわち、分離装置10から排出されるガスが分析装置24により窒素が主成分として分析されたときには、制御部26によりバルブ16が開けられ、バルブ18は閉じられ、窒素が排気される。また、分離装置10から排出されるガスが分析装置24によりSF6が主成分として分析されたときには、制御部26によりバルブ18が開けられ、バルブ16は閉じられ、SF6が排気される。分離装置10から排出されるガスが分析装置24により混合画分(窒素+SF6)であると分析されたときには、窒素+SF6は再分離に回してもよい。
【0052】
このような処理を行うことにより、原料となるガスの供給条件が変わっても、安定して分離、濃縮を行うことができる。
【0053】
また、被処理ガスの成分によっては分離装置10として複数のカラムを直列に接続して使用してもよい。複数のカラムを有し、これを直列に配置し段階的に濃縮を行う方法は低濃度ガスを高濃縮して得ることが出来るため有効である。
【0054】
また、分離装置10として複数のカラムを用意しておき、これを並列に配置し同時にカラムを順次利用することは被処理ガスを連続的に処理し、一定時間における処理量を増加するために好適である。
【0055】
このようにして、複数の分離装置10を組み合わせることにより分離の処理効率を向上させることができる。使用する分離装置10及び真空ポンプ12の数は、分離する成分の数、被処理ガスの処理量等に応じて最適なものを選択すればよい。
【0056】
本実施形態において、分離装置10の出口において純粋なガス成分を得ることができるが、分離装置10により分離した成分をさらに濃縮装置(図示せず)により濃縮してもよい。この濃縮装置としては膜分離装置や深冷分離装置が用いられる。
【0057】
また、被処理ガスを分離装置10に導入する前に特定ガスをある程度濃縮するために分離装置10の上流側に濃縮装置(図示せず)を設置してもよい。この濃縮装置としては膜分離装置や深冷分離装置が用いられる。
【0058】
このように、本実施形態においては、充填材を使用せずにカラムの内部を減圧状態にしながら、被処理ガスを移送するためのガス及び充填材を使用せずに被処理ガスをカラムに流通させることにより、例えば、SF6及び窒素(N2)を含む被処理ガスからのSF6の分離、濃縮、N14,N15を含む被処理ガスからのN15の分離、濃縮等を容易に高純度で行うことができる。このため、特に、半導体、液晶、太陽電池等の製造工程、環境分析等に用いるN15トレーサ試薬の製造工程等において有効に特定ガスの回収を行うことができる。
【0059】
以上説明したように本実施形態によれば、複数のガスを含有する被処理ガスを空のカラムに減圧状態で通気することで目的とする特定ガスを安価に濃縮することが出来る。
【0060】
特にこの方法は装置も小型で安価であり、かつ濃縮後の濃度も高いことから非常に有効である。
【0061】
また負圧で運転されるためガスの系外への拡散を防ぐことができ、更に爆発等の心配もなく、加圧運転に比べ安全運転が可能である。
【実施例】
【0062】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0063】
(実施例1)
図4に示す実験装置を使用して、窒素の同位体であるN14,N15を含む混合ガス(被処理ガス)の分離を行った。カラムは、外径3.18mm、内径1.76mm、長さ20.0Mのもの(材質:SUS製)を1本使用した。カラム温度は40℃とした。カラム出口を真空ポンプにて1.0×10−3Pa程度の真空にした状態で、N14,N15を含む混合ガス(通常窒素28/同位体窒素30)の分離を空のカラムにおいて実施した。ガス供給量は50:50の濃度比でサンプリングループを用いて0.001mLを供給した後、ガスの供給を止めて真空ポンプで排気のみを行った。供給パルス回数は1回とした。
【0064】
その結果得られた分離結果の分析結果を図5に示す。分析にはQMS(株式会社アルバック製RG−202P(特型)を用いた。ごくわずかであるが、分離の効果が見られた。原料ガスの組成比(QMSのイオン強度の比率:R=N14/N15)は、R0(初期値)に対して、分離している時間帯におけるRはN14>N15によりR/R0は1.01となった。これはカラム内を移動する際に、N14の分子量がN15の分子量より小さく拡散係数が大きいため、N14がN15に比べて先に排出されたためと考えられる。その際にSUSカラム内内面との極微量の電気的な吸着力の違いによってもその差が影響を受けると考えられる。そのため配管材質に関してはSUS以外にも有効な材があれば使用することで管内の移動に対する差を強めることが出来ると考えられる。その際はガスの流れ方向に対して邪魔をしないことが必須であるから、更に太い配管内にそれより細い径の配管を束ねてガスの接触する表面積を増加させてやることで更に効果があると考えられる。またカラム内の充填材という抵抗がないため、ガスの出始めから出終わる時間が早くなった。
【0065】
(比較例1)
図6に示す実験装置を使用して、カラムの充填材としてモレキュラシーブ13X(GLサイエンス社製)を使用した以外は実施例1と同様にして、窒素の同位体であるN14,N15を含む混合ガス(被処理ガス)の分離を行った。得られた分離結果の分析結果を図7に示す。N14とN15との分離にほとんど差が無く不完全であった(グラフは重なっている)。
【0066】
このように、実施例1の方法を用いることにより、比較例1のような充填材を使用したカラムクロマト法では分離、濃縮が困難であるN14,N15を含む混合ガスからN14の分離、濃縮を行うことができた。
【0067】
(比較例2)
<従来の運転制御方法によるクロマト分離方法>
図8に示す実験装置を使用して、SF6と窒素(N2)との混合ガス(被処理ガス)の分離を行った。カラムは、内径54.9mm、長さ1.0Mのもの(材質:SUS316)を1本使用した。カラム温度は120℃とした。カラム出口を真空ポンプにて1.0×10−3Pa程度の真空にした状態でSF6/N2を含む混合ガスの分離を行った。カラムの充填材としてモレキュラシーブ13X(GLサイエンス社製)を使用した。初期に推定されるガス条件で単カラムを用いて連続処理に向けての分離条件出しを行った(基礎試験)。供給ガスはSF6/N2(SF6:0.9SLM、N2:0.1SLM→SF6濃度90%)を2分間導入した後、ガスの供給を止めて真空ポンプで排気のみを行った。供給パルス回数は1回とした。
【0068】
図9にその結果得られた単カラムの分離結果を示す。その結果を反映したシーケンス(図10)を組んで時間制御でカラム出口のバルブの切り替えを行うことによって安定的な分離を得ることが出来る。1バッチの時間を20分(2分供給、18分排気の1工程)に設定し、入口ガスの供給条件が基礎試験時と変わらない場合はバッチを繰り返しても安定した分離結果が得られた(図11)。この時回収されるSF6の純度をなるべく高くすることを目的としてSF6回収ラインのバルブを開くタイミングを先に排出される窒素が十分に排出された頃合を見計らって開くことにした(図11参照)。時間としては原料ガスを供給してから10分後にSF6回収系バルブを開いた。この運転で得られたSF6をガスクロマトグラフ(株式会社島津製作所製GC−8APT(特)型)で分析したところ常に99.9%の濃度が得られた。
【0069】
次に回収SF6の量を増やすことを目的として、バルブ切り替えのタイミングを前述より少し早めて7分後に行った(シーケンス図:図12)ところ、回収SF6の濃度は95%に低下した。これは先に排出される窒素が完全に排出される前にバルブ切り替えを行ってしまった為である。
【0070】
(比較例3)
比較例2と同様の条件で、入口ガス濃度を変え(SF6:0.8SLM、N2:0.2SLM→SF6濃度80%)、窒素が多くなった場合にそのまま図10のシーケンスで運転を行ったところ分離の状況が悪くなり(図13)、同様に回収SF6の濃度は86%程度にしか達しなかった。
【0071】
(実施例2)
ガスの供給フローは図8と同じだが、カラム出口→排出バルブの開閉のタイミングを分析装置(QMS)の分析結果を反映させて行った。比較例2と同様の条件で実験を行った。試験結果も図11と同じく繰り返し再現性良く分離が得られた。出口バルブの切り替えのタイミングはQMSでのイオン化強度の値が1.0×10−10になった時を基準にした。その結果切り替えは原料ガス供給後6分50秒〜7分10秒になった。この運転で回収したSF6をガスクロマトグラフィで測定したところ安定して99.9%が得られた。
【0072】
(実施例3)
比較例3と同様の実験を行った。バルブ切り替えのタイミングは実施例2と同様とした。試験結果も図13と同じく再現性が良いが分離が悪い状況であった。出口バルブの切り替えのタイミングはQMSでのイオン化強度の値が1.0×10−10になった時を基準にした。その結果切り替えは9分45秒〜10分15秒になった。この運転で回収したSF6をガスクロマトグラフィで測定したところ安定して99.9%が得られた。
【0073】
このように装置を最大限に利用(回収量を最大にする)してガスを回収し、且つ入口ガス濃度が変化した時にも安定した回収ガスを得るためには、カラム出口のバルブに切り替えのタイミングをカラム出口のガスの分析状況を反映して行う必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施形態に係るガス分離装置の一例の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るカラムの一例の断面を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るガス分離装置の他の例の概略を示す図である。
【図4】本発明の実施例1において使用したガス分離装置の概略を示す図である。
【図5】本発明の実施例1における流出ガスのQMSの分析結果を示す図である。
【図6】本発明の比較例1において使用したガス分離装置の概略を示す図である。
【図7】本発明の比較例1における流出ガスのQMSの分析結果を示す図である。
【図8】本発明の比較例2,比較例3,実施例2,実施例3において使用したガス分離装置の概略を示す図である。
【図9】本発明の比較例2における流出ガスのQMSの分析結果を示す図である。
【図10】本発明の比較例2,比較例3において用いた工程表を示す図である。
【図11】本発明の比較例2,実施例2における流出ガスのQMSの分析結果を示す図である。
【図12】本発明の比較例2において用いた工程表を示す図である。
【図13】本発明の比較例3、実施例3における流出ガスのQMSの分析結果を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1,3 ガス分離装置、10 分離装置、12 真空ポンプ、14 供給バルブ、16,18 排出バルブ、20 カラム、22 邪魔板または充填材、24 分析装置、26 制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離するガス分離装置であって、
カラムを利用して、前記特定ガスを他のガスから分離する分離手段と、
前記カラム内部を減圧状態にする吸引手段と、
を有し、
前記分離手段において、前記被処理ガスに含まれるガスの分子量の差に応じて前記特定ガスを分離することを特徴とするガス分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガス分離装置であって、
前記吸引手段は、前記カラムの一端側に設けられており、
前記カラムの他端側に設けられ、所定量の被処理ガスをパルス的にカラムに供給するように、被処理ガスのカラムへの供給を制御する供給制御手段と、
前記カラム出口に設けられた、分離後の特定ガスを回収するための流路を切り替える流路切替手段と、
をさらに有することを特徴とするガス分離装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガス分離装置であって、
前記カラム出口から排出されるガスの分析を行う分析手段をさらに有し、
前記流路切替手段を切り替えるタイミングの決定は、前記分析手段の分析結果に基づいて行われることを特徴とするガス分離装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス分離装置であって、
前記カラム内部の圧力が1気圧未満であることを特徴とするガス分離装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス分離装置であって、
前記分離手段において複数のカラムを使用して、これら複数のカラムを順次利用することを特徴とするガス分離装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス分離装置であって、
前記分離手段において、前記カラム内の前記被処理ガスの流れは中間流あるいは分子流であることを特徴とするガス分離装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス分離装置であって、
前記分離手段において、前記被処理ガスを移送するためのガスを使用せずに前記特定ガスを分離することを特徴とするガス分離装置。
【請求項8】
請求項7に記載のガス分離装置であって、
前記分析手段は、ガスの成分を特定することができる手段であることを特徴とするガス分離装置。
【請求項9】
複数のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離するガス分離方法であって、
減圧下において、前記被処理ガスの構成成分の分子量の差に起因する移動度の差を利用して前記特定ガスが濃縮された部分を生じさせ、この特定ガスが濃縮された部分を採取することを特徴とするガス分離方法。
【請求項10】
請求項9に記載のガス分離方法であって、
前記被処理ガスをカラムの一端から流入させ、被処理ガスにおける構成成分の各ガスにおけるカラム他端に到達する時間差を利用して特定ガスが濃縮された部分を採取することを特徴とするガス分離方法。
【請求項1】
複数のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離するガス分離装置であって、
カラムを利用して、前記特定ガスを他のガスから分離する分離手段と、
前記カラム内部を減圧状態にする吸引手段と、
を有し、
前記分離手段において、前記被処理ガスに含まれるガスの分子量の差に応じて前記特定ガスを分離することを特徴とするガス分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガス分離装置であって、
前記吸引手段は、前記カラムの一端側に設けられており、
前記カラムの他端側に設けられ、所定量の被処理ガスをパルス的にカラムに供給するように、被処理ガスのカラムへの供給を制御する供給制御手段と、
前記カラム出口に設けられた、分離後の特定ガスを回収するための流路を切り替える流路切替手段と、
をさらに有することを特徴とするガス分離装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガス分離装置であって、
前記カラム出口から排出されるガスの分析を行う分析手段をさらに有し、
前記流路切替手段を切り替えるタイミングの決定は、前記分析手段の分析結果に基づいて行われることを特徴とするガス分離装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス分離装置であって、
前記カラム内部の圧力が1気圧未満であることを特徴とするガス分離装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス分離装置であって、
前記分離手段において複数のカラムを使用して、これら複数のカラムを順次利用することを特徴とするガス分離装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス分離装置であって、
前記分離手段において、前記カラム内の前記被処理ガスの流れは中間流あるいは分子流であることを特徴とするガス分離装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス分離装置であって、
前記分離手段において、前記被処理ガスを移送するためのガスを使用せずに前記特定ガスを分離することを特徴とするガス分離装置。
【請求項8】
請求項7に記載のガス分離装置であって、
前記分析手段は、ガスの成分を特定することができる手段であることを特徴とするガス分離装置。
【請求項9】
複数のガスを含有する被処理ガスから特定ガスを分離するガス分離方法であって、
減圧下において、前記被処理ガスの構成成分の分子量の差に起因する移動度の差を利用して前記特定ガスが濃縮された部分を生じさせ、この特定ガスが濃縮された部分を採取することを特徴とするガス分離方法。
【請求項10】
請求項9に記載のガス分離方法であって、
前記被処理ガスをカラムの一端から流入させ、被処理ガスにおける構成成分の各ガスにおけるカラム他端に到達する時間差を利用して特定ガスが濃縮された部分を採取することを特徴とするガス分離方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−38042(P2007−38042A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221742(P2005−221742)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【Fターム(参考)】
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