説明

ガス化発電システム及びガス洗浄水の処理方法

【課題】洗浄水に混入した多様な異物を除去し、除去した異物を再利用することができるガス化発電システム及びガス洗浄水の処理方法を提供する。
【解決手段】ガス洗浄水処理装置8は、ガス洗浄水を貯溜する貯水槽41と、ガス洗浄水を酸性に調整する第一PH調整装置52と、微細気泡を注入する第一気泡注入装置53と、微細気泡とともに水面に浮上した固形物を除去する第一除去装置54と、が設けられた酸性調整槽42と、ガス洗浄水をアルカリ性に調整する第二PH調整装置82と、微細気泡を注入する第二気泡注入装置83と、微細気泡とともに水面に浮上した固形物を除去する第二除去装置84と、が設けられたアルカリ性調整槽43と、を具備し、酸性調整槽42及びアルカリ性調整槽43で除去された固形物をガス化炉4において燃焼させ、酸性調整槽42及びアルカリ性調整槽43で気化した気体成分をガスエンジン26の燃料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスに混入した異物を洗い流した後のガス洗浄水から異物を除去するためのガス洗浄水処理装置及びガス洗浄水の処理方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭、石油などの化石燃料、廃棄物、バイオマス等の可燃性物質を用いたガス化装置は公知となっている。ガス化装置によって生成されたガスには、量の多少はあるものの、多様な種類の異物が混入している。ガスに混入した異物は、様々な方法で除去されており、異物を除去する方法の一つとして、洗浄水によるガス洗浄が公知となっている。この方法では、気体に対して洗浄水を噴出することにより、気体に含まれる異物を洗浄水で洗い流す。
【0003】
気体の洗浄に用いられた洗浄水には、気体に含まれていた異物が混入している。この洗浄水を再び使用するため、若しくは排出するために、洗浄水から異物を除去するための処理を行う必要があった。
そこで、洗浄水から異物を除去するための処理装置を備えたバイオガス化システムが公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
また、バイオマス等の固体炭素質材料をガス化炉で加熱してバイオガス等の可燃性ガスを生成し、該バイオガスをエンジン発電装置で燃焼して発電するガス化発電システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−77130号公報
【特許文献2】特開2009−249600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、洗浄水に混入した異物には、比重の大きい不溶性の固体成分の他にも、比重の小さい固体成分、可溶性の固体成分であって洗浄水に溶解しているもの、及び液体成分であって洗浄水に溶解しているものがある。これらの異物は、除去した後、処理をしないと廃棄することができなかった。また、前記液体成分であって洗浄水に溶解しているものは、例えばベンゼンなどであり、気化すると可燃性の気体となり、ガスエンジンの燃料として使用することができる。また、前記可溶性の固体成分であってガス洗浄水に溶解しているものは、析出した後、ガス化炉へ再び投入することで、バイオマスの代わりの原料となる。
【0006】
そこで、本発明は係る課題に鑑み、洗浄水に混入した多様な異物を除去し、除去した異物を再利用することができるガス化発電システム及びガス洗浄水の処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、バイオマスを加熱させてバイオガスを発生させるガス化炉と、前記バイオガスを洗浄するスクラバと、前記スクラバに使用されるガス洗浄水を処理するガス洗浄水処理装置と、バイオガスを燃料とするガスエンジンと、前記ガスエンジンで駆動される発電装置と、が設けられたエンジン発電装置と、を具備するガス化発電システムにおいて、前記ガス洗浄水処理装置は、ガス洗浄水を貯溜する貯水槽と、ガス洗浄水を酸性に調整する装置と、微細気泡を注入する装置と、微細気泡とともに水面に浮上した固形物を除去する第一除去装置と、が設けられた酸性調整槽と、ガス洗浄水をアルカリ性に調整する装置と、微細気泡を注入する装置と、微細気泡とともに水面に浮上した固形物を除去する第二除去装置と、が設けられたアルカリ性調整槽と、を具備し、前記酸性調整槽及びアルカリ性調整槽で除去された固形物を前記ガス化炉において燃焼させ、前記酸性調整槽及びアルカリ性調整槽で気化した気体成分を前記ガスエンジンの燃料とするものである。
【0009】
請求項2においては、前記酸性調整槽の底部に第一の邪魔板を設け、前記アルカリ性調整槽の底部に第二の邪魔板を設けるものである。
【0010】
請求項3においては、前記酸性調整槽に設けた第一除去装置及びアルカリ性調整槽に設けた第二除去装置は、ベルトコンベア式の掻き出し装置で構成したものである。
【0011】
請求項4においては、前記酸性調整槽に設けた第一除去装置及びアルカリ性調整槽に設けた第二除去装置は、スカムスキマーで構成したものである。
【0012】
請求項5においては、バイオガスの洗浄に使用したガス洗浄水から異物を取り除くガス洗浄水の処理方法であって、ガス洗浄水を酸性に調整するステップと、ガス洗浄水に微細気泡を注入するステップと、水面に浮上した異物のうち固形物を除去するステップと、水面に浮上した異物のうち気体成分を燃焼させるステップと、除去した固形物を燃焼させるステップと、ガス洗浄水をアルカリ性に調整するステップと、ガス洗浄水に微細気泡を注入するステップと、水面に浮上した異物のうち固形物を除去するステップと、水面に浮上した異物のうち気体成分を燃焼させるステップと、除去した固形物を燃焼させるステップと、を含むものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
請求項1においては、貯水槽において、比重が大きい固体成分を除去し、酸性調整槽およびアルカリ性調整槽において、比重の小さい固体成分、可溶性の固体成分であってガス洗浄水に溶解しているもの、及び液体成分であってガス洗浄水に溶解しているものを除去することができる。また、ガス洗浄水から除去された異物のうち固体物をガス化炉に投入するバイオマスとともに燃焼させて再利用することができる。また、ガス洗浄水から除去された異物をエンジンの燃料として活用することができる。したがって、ガス洗浄水に混入した多様な異物を除去し、除去した異物を再利用することができる。
【0015】
請求項2においては、酸性調整槽及びアルカリ性調整槽内におけるガス洗浄水の流れを上方へ向けることができ、対流を起こすことにより析出した異物を効率よく水面に浮上させることができる。したがって、ガス洗浄水に混入した多様な異物を除去し、除去した異物を再利用することができる。
【0016】
請求項3においては、水面に浮上した異物を効率よく掻き出して除去することができる。また、除去した異物を一箇所に集めることにより、効率よく再利用することができる。したがって、ガス洗浄水に混入した多様な異物を除去し、除去した異物を再利用することができる。
【0017】
請求項4においては、水面に浮上した異物を効率よく排出して除去することができる。また、除去した異物を一箇所に集めることにより、効率よく再利用することができる。したがって、ガス洗浄水に混入した多様な異物を除去し、除去した異物を再利用することができる。
【0018】
請求項5においては、比重が大きい固体成分、比重の小さい固体成分、可溶性の固体成分であってガス洗浄水に溶解しているもの、及び液体成分であってガス洗浄水に溶解しているものを除去することができる。また、ガス洗浄水から除去された異物のうち固体物をガス化炉に投入するバイオマスとともに燃焼させて再利用することができる。また、ガス洗浄水から除去された異物をガスエンジンの燃料として活用することができる。したがって、ガス洗浄水に混入した多様な異物を除去し、除去した異物を再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るガス化発電システムの全体的な構成を示した図。
【図2】本発明の一実施形態にかかるガス洗浄水処理装置の構成を示した図。
【図3】制御装置の構成を示したブロック図。
【図4】ガス洗浄水の処理方法を示すフローチャート図。
【図5】本発明の別実施形態にかかるガス洗浄水処理装置の構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
先ず、本発明の一実施形態に係るガス洗浄水処理装置8を具備するガス化発電システム1の全体構成について、図1を用いて説明する。
【0021】
ガス化発電システム1は、投入ホッパ2、投入コンベア3、ガス化炉4、サイクロン5、熱交換器6、冷却塔7、ガス洗浄水処理装置8、スクラバ9、フィルター10、誘引ブロワ11、前処理ユニット12、エンジン発電装置13、余剰ガス燃焼装置15等で構成される。ガス化発電システム1では、可燃性ガスとしてのバイオガスがガス化炉4で生成され、該バイオガスが、サイクロン5、熱交換器6、スクラバ9、フィルター10、誘引ブロワ11の順に流れ、誘引ブロワ11の下流側でエンジン発電装置13側と余剰ガス燃焼装置15側とに分岐して流れる。
【0022】
ガス化発電システム1において、投入ホッパ2には、固体炭素質材料としてのバイオマス(本実施形態では木質系バイオマス)が貯溜されており、投入ホッパ2内のバイオマスが投入コンベア3でガス化炉4に投入される。固体炭素質材料としては、例えば、家畜排泄物、食品廃棄物、紙、黒液、下水汚泥、木質系廃材・未利用材、農作物非食用部、資源作物等のバイオマスや、石炭等の化石燃料が用いられる。
【0023】
ガス化炉4では、バイオマスが加熱(不完全燃焼)されて、バイオガスが生成される。ガス化炉4で生成されるバイオガスは、一酸化炭素を主成分とする可燃性ガスであり、該バイオガスには、ススやタール、塵等の不純物が含まれる。ガス化炉4で生成されたバイオガスは、ガス管16でサイクロン5に導入される。
【0024】
サイクロン5では、バイオガスに含まれる塵(比較的大きな塵)等が除去(遠心分離)される。サイクロン5で塵等が除去されたバイオガスは、ガス管17で熱交換器6に導入される。
【0025】
熱交換器6内には、バイオガスが流れるガス管(図示省略)が設けられており、該ガス管内のバイオガスが、ガス洗浄水で洗浄、冷却されると共に、該ガス管の周囲を流れる冷却水で冷却される。熱交換器6で洗浄、冷却されたバイオガスは、ガス管18でスクラバ9に導入される。
【0026】
ここで、熱交換器6に供給される冷却水は、冷却塔7に貯溜されており、冷却塔7内の冷却水は、配水管19で熱交換器6に導入される。配水管19内の冷却水は、ポンプ20で熱交換器6側に圧送され、熱交換器6でバイオガスを冷却した冷却水は、配水管21で冷却塔7に導出される。
【0027】
スクラバ9内には、ガス洗浄水が貯溜されており、バイオガスがスクラバ9内のガス洗浄水中を潜ることにより、洗浄、冷却される。スクラバ9で洗浄、冷却されたバイオガスは、ガス管25でフィルター10に導入される。
【0028】
ここで、熱交換器6及びスクラバ9で使用されたガス洗浄水は、ガス洗浄水処理装置8へ流下する。ガス洗浄水処理装置8は、ガス洗浄水から異物を除去するための装置である。ガス洗浄水処理装置8で異物を除去したガス洗浄水は、ポンプ23によって、再び熱交換器6側及びスクラバ9側に戻される。
【0029】
フィルター10では、バイオガスに含まれる塵(比較的小さな塵)等が除去(濾過)される。フィルター10で塵等が除去されたバイオガスは、ガス管28で誘引ブロワ11に導入される。
【0030】
誘引ブロワ11では、誘引ブロワ11上流側のバイオガスが吸入されて下流側に吐出される。つまり、ガス化発電システム1において、誘引ブロワ11の上流側(誘引ブロワ11の吸入側)は負圧となる一方、誘引ブロワ11の下流側(誘引ブロワ11の吐出側)は正圧となるため、誘引ブロワ11上流側のバイオガスが誘引ブロワ11で下流側に誘引される。
【0031】
そして、誘引ブロワ11で誘引されたバイオガスは、ガス管29でエンジン発電装置13に導入される。一方、余剰分のバイオガス(ガス化炉4で生成されたバイオガスのうちエンジン発電装置13に供給されなかった余剰分)は、ガス管29から分岐するガス管30で余剰ガス燃焼装置15に導入される。
【0032】
エンジン発電装置13は、バイオガスを燃料とするガスエンジン26、ガスエンジン26で駆動される発電装置27等で構成される。本実施形態に係るエンジン発電装置13は、発電装置27で発電すると共に、ガスエンジン26の排熱を給湯や空調等に利用するコージェネレーションシステムとされる。エンジン発電装置13には、前処理ユニット12で不純物を除去し調圧されたバイオガスが供給される。
【0033】
[実施形態1]
次に、本発明の一実施形態にかかるガス洗浄水処理装置8について図2及び図3を用いて説明する。
ガス洗浄水処理装置8は、貯水槽41と、酸性調整槽42と、アルカリ性調整槽43と、生物処理槽44と、を具備する。ガス洗浄水の流れる方向を下流方向とすると、上流から、貯水槽41、酸性調整槽42、アルカリ性調整槽43、生物処理槽44の順番に配置されている。なお、酸性調整槽42とアルカリ性調整槽43の順番は入れ替わっても構わない。
また、ガス洗浄水処理装置8には、酸性調整槽42、アルカリ性調整槽43、及び生物処理槽44でのPHを制御し、微細気泡の注入量を制御し、ガス洗浄水を生物処理槽44内で散水するか、熱交換器6及びスクラバ9に戻すか、若しくは排出するか、を制御するための制御装置45が設けられている。
【0034】
貯水槽41は、ガス洗浄水を一時的に貯溜する水槽である。熱交換器6及びスクラバ9から流下したガス洗浄水は、貯水槽41へ流入する。貯水槽41において、ガス洗浄水を一時的に貯溜することにより、異物のうち体積の大きな固形物が重力で貯水槽41の底部に移動することで除去することができる。底部には固形物を排出する図示しないドレンが接続される。
【0035】
貯水槽41の下流側には、酸性調整槽42が設けられている。酸性調整槽42の側面の上下中途部の高さ位置には、貯水槽41と連通するための流路51が設けられている。また、酸性調整槽42には、ガス洗浄水を酸性に調整する装置としての第一PH調整装置52と、微細気泡を注入する装置としての第一気泡注入装置53と、微細気泡とともに水面に浮上した固形物を除去する装置としての第一除去装置54と、が設けられている。
【0036】
流路51には、第一PH調整装置52が設けられている。第一PH調整装置52は、PHを酸性に調整するための酸性物質を投入する装置であり、酸性物質を貯溜する調整剤タンク61と、投入量を調整することができる弁62とを備えている。ここで、本実施形態においては、酸性物質として、塩酸を投入する。
【0037】
また、流路51には、第一気泡注入装置53が設けられている。第一気泡注入装置53は、微細気泡を発生させて、ガス洗浄水内へ注入する装置であり、気泡の成分となる気体を貯蔵する気体タンク63と、注入量を調整することができる弁64とを備えている。第一気泡注入装置53によって注入される気体は、空気、オゾン、若しくは可燃性ガスなどである。
【0038】
また、酸性調整槽42内には、第一PH検出センサ55が設けられている。第一PH検出センサ55は、酸性調整槽42内のPHを検出するためのセンサである。
【0039】
また、酸性調整槽42内には、第一攪拌装置56が設けられている。第一攪拌装置56は、酸性調整槽42内のガス洗浄水を攪拌する装置であり、攪拌羽根67を有する。攪拌羽根67の回転軸心は酸性調整槽42の略中央に鉛直方向に配置され、回転軸の上端にはモータ等の駆動装置68が連結され制御装置45と接続される。攪拌羽根67は、槽内のガス洗浄水を波立たせない程度の速さで緩やかに回転させている。攪拌羽根67を回転させることにより、ガス洗浄水のPHを均一にする。
【0040】
また、酸性調整槽42内の底部には、第一邪魔板57が設けられている。第一邪魔板57は、板状に構成され、流路51の中心線の下流側延長上に配置され、酸性調整槽42の底板から斜め上方へ延設される。つまり、下流側が上方へ傾斜するように斜めに設けられており、上流側から流れてきたガス洗浄水が第一邪魔板57に当たって下流上方へ流れるように設けられている。詳細には、攪拌羽根67の下方に第一邪魔板57の上端が配置され、攪拌羽根67の回転により第一邪魔板57の上端付近から上方へ流れる水流が形成される。このように構成することにより、攪拌羽根67の回転により対流が生じて析出した固形物を効率よく水面に浮上させることができる。また、ガス洗浄水が酸性調整槽42内に滞留する時間を増やしている。
【0041】
また、酸性調整槽42の上方には第一除去装置54が設けられている。第一除去装置54は、本実施形態においては、ベルトコンベア式の掻き出し装置で構成されている。第一除去装置54は、駆動する駆動輪71と回動可能に支持されている従動輪72と、駆動輪71と従動輪72との間に捲回されたベルト73と、ベルト73の外周面に一定間隔を置いて突設された板状の掻き出し部74と、から構成されている。掻き出し部74は、その先端が掻き出し装置の下側を移動している際に、酸性調整槽42内のガス洗浄水の水面と接する程度の長さである。第一除去装置54のベルト73は、上流から下流へと異物を掻きだす方向に回転している。酸性調整槽42の下流側には、第一異物分離槽58が隣接して設けられている。
【0042】
第一異物分離槽58は、第一除去装置54によって下流側に寄せられた異物を貯溜するための槽である。酸性調整槽42内に貯溜されているガス洗浄水の水面付近に集まっていた異物のうち固形物及び固形物に付着した液体が第一異物分離槽58に掻き出される。第一異物分離槽58の底面には、異物のうち固形物を固形物貯留槽79へと送るための固形物管76が設けられている。
【0043】
酸性調整槽42の上部には第一気体室59が設けられている。第一気体室59は、側壁と上壁とに囲われており、気体が外へ逃げ出さないように密封されている。第一気体室59の上壁には、気体を取り出すための第一気体取出口77が設けられている。第一気体取出口77は、脱気ポンプ78と接続されている。脱気ポンプ78は第一気体取出口77から気体を吸入して減圧するポンプであり、その吸入側が第一気体取出口77に接続され、その排出側がガスエンジン26に接続されている。
固形物貯留槽79は、異物のうち固形物を貯蔵しておくための槽である。固形物貯留槽79の底部には、排出管80の端部が接続されており、排出管80の他端はガス化炉4へ接続されている。
【0044】
酸性調整槽42の下流側には、アルカリ性調整槽43が設けられている。アルカリ性調整槽43には、酸性調整槽42と連通するための流路81が設けられている。また、アルカリ性調整槽43には、ガス洗浄水をアルカリ性に調整する装置としての第二PH調整装置82と、微細気泡を注入する装置としての第二気泡注入装置83と、微細気泡とともに水面に浮上した固形物を除去する装置としての第二除去装置84と、が設けられている。
【0045】
流路81には、第二PH調整装置82が設けられている。第二PH調整装置82は、PHをアルカリ性に調整するためのアルカリ性物質を投入する装置であり、アルカリ性物質を貯溜する調整剤タンク91と、投入量を調整することができる弁92とを備えている。ここで、本実施形態においては、アルカリ性物質として、水酸化ナトリウムを投入する。
【0046】
また、流路81には、第二気泡注入装置83が設けられている。第二気泡注入装置83は、微細気泡を発生させて、ガス洗浄水内へ注入する装置であり、気泡の成分となる気体を貯蔵する気体タンク93と、注入量を調整することができる弁94とを備えている。第二気泡注入装置83によって注入される気体は、空気、オゾン、若しくは可燃性ガスなどである。
【0047】
また、アルカリ性調整槽43内には、第二PH検出センサ85が設けられている。第二PH検出センサ85は、アルカリ性調整槽43内のPHを検出するためのセンサである。
【0048】
また、アルカリ性調整槽43内には、第二攪拌装置86が設けられている。第二攪拌装置86は、アルカリ性調整槽43内のガス洗浄水を攪拌する装置であり、攪拌羽根97を有する。攪拌羽根97の回転軸心はアルカリ性調整槽43の略中央に鉛直方向に配置され、回転軸の上端にはモータ等の駆動装置98が連結され制御装置45と接続される。攪拌羽根97は、槽内のガス洗浄水を波立たせない程度の速さで緩やかに回転させている。攪拌羽根97を回転させることにより、ガス洗浄水のPHを均一にする。
【0049】
また、アルカリ性調整槽43内の底部には、第二邪魔板87が設けられている。第二邪魔板87は、板状に構成され、流路81の中心線の下流側延長上に配置され、アルカリ性調整槽43の底板から斜め上方へ延設される。つまり、下流側が上方へ傾斜するように斜めに設けられており、上流側から流れてきたガス洗浄水が第二邪魔板87に当たって下流上方へ流れるように設けられている。詳細には、攪拌羽根97の下方に第二邪魔板87の上端が配置され、攪拌羽根97の回転により第二邪魔板87の上端付近から上方へ流れる水流が形成される。このように構成することにより、攪拌羽根97の回転により対流が生じて析出した固形物を効率よく水面に浮上させることができる。また、ガス洗浄水がアルカリ性調整槽43内に滞留する時間を増やしている。
【0050】
また、アルカリ性調整槽43の上方には第二除去装置84が設けられている。第二除去装置84は、本実施形態においては、ベルトコンベア式の掻き出し装置で構成されている。第二除去装置84は、駆動する駆動輪101と回動可能に支持されている従動輪102と、駆動輪101と従動輪102との間に捲回されたベルト103と、ベルト103の外周面に一定間隔を置いて突設された板状の掻き出し部104と、から構成されている。掻き出し部104は、その先端が第二除去装置84の下側を移動している際に、アルカリ性調整槽43内のガス洗浄水の水面と接する程度の長さである。第二除去装置84のベルト103は、上流から下流へと異物を掻きだす方向に回転している。アルカリ性調整槽43の下流側には、第二異物分離槽88が隣接して設けられている。
【0051】
第二異物分離槽88は、第二除去装置84によって下流側に寄せられた異物を貯溜するための槽である。アルカリ性調整槽43内に貯溜されているガス洗浄水の水面付近に集まっていた異物のうち固形物及び固形物に付着した液体が第二異物分離槽88に掻き出される。第二異物分離槽88の底面には、異物のうち固形物を固形物貯留槽79へと送るための固形物管106が設けられている。
【0052】
アルカリ性調整槽43の上部には第二気体室89が設けられている。第二気体室89は、側壁と上壁とに囲われており、気体が外へ逃げ出さないように密封されている。第二気体室89の上壁には、気体を取り出すための第二気体取出口107が設けられている。第二気体取出口107は、脱気ポンプ78と接続されている。
【0053】
アルカリ性調整槽43の下流側には、生物処理槽44が設けられている。生物処理槽44は、微生物によりガス洗浄水に含まれた異物を除去する装置である。生物処理槽44には、アルカリ性調整槽43と連通するための流路111が設けられている。また、生物処理槽44には、ガス洗浄水を中性に調整する装置としての第三PH調整装置112と、微生物を付着させるための担体としての生物担体113と、上方からガス洗浄水を散水するための装置としての散水ノズル114と、が設けられている。
【0054】
流路111には、第三PH調整装置112が設けられている。第三PH調整装置112は、PHを中性に調整するための酸性物質若しくはアルカリ性物質を投入する装置であり、アルカリ性物質を貯溜する調整剤タンク121と、投入量を調整することができる第一弁122と、酸性物質を貯溜する調整剤タンク123と、投入量を調整することができる第二弁124とを備えている。
【0055】
生物処理槽44内には、第三PH検出センサ115が設けられている。第三PH検出センサ115は、生物処理槽44内のPHを検出するためのセンサである。
【0056】
また、生物処理槽44内には、第三攪拌装置116が設けられている。第三攪拌装置116は、生物処理槽44内のガス洗浄水を攪拌する装置であり、攪拌羽根125を有する。攪拌羽根125は生物処理槽44の下部の略中央に配置され、回転軸の上端にはモータ等の駆動装置126が連結され制御装置45と接続される。攪拌羽根125は、槽内のガス洗浄水を波立たせない程度の速さで緩やかに回転させている。攪拌羽根125を回転させることにより、ガス洗浄水のPHを均一にする。
【0057】
また、生物処理槽44内の底部には、第三邪魔板117が設けられている。第三邪魔板117は、板状に構成され、流路111の中心線の下流側延長上に配置され、生物処理槽44の底板から斜め上方へ延設される。つまり、下流側が上方へ傾斜するように斜めに設けられており、上流側から流れてきたガス洗浄水が第三邪魔板117に当たって下流上方へ流れるように設けられている。詳細には、攪拌羽根125の下方に第三邪魔板117の上端が配置され、攪拌羽根125の回転により第三邪魔板117の上端付近から上方へ流れる水流が形成される。このように構成することにより、ガス洗浄水が生物処理槽44内に滞留する時間を増やしている。
【0058】
散水ノズル114は、生物処理槽44の上部であって、生物担体113よりも上方に設けられている。生物処理槽44の下部には、アルカリ性調整槽43から流入したガス洗浄水が貯溜されている。生物処理槽44の下部には、取水管131が設けられており、取水管131の他端はポンプ23と接続している。
ポンプ23は、ガス洗浄水を汲み上げるためのポンプであり、その排出側には、戻し管132が接続され、戻し管132から分岐して散水管133が接続されている。戻し管132は、ガス洗浄水を熱交換器6及びスクラバ9へ戻すための管であり、その中途部には戻し弁134が設けられている。散水管133は、戻し管132の途中から分岐しており、その下流端は、散水ノズル114に接続されている。散水管133の中途部には散水弁135が設けられている。また、戻し管132の中途部であって、散水ノズル114への分岐より上流側には、排出管136が設けられており、排出管136の開閉を調整するための排水弁137が設けられている。排水弁137は、ガス処理水を循環させずに排出する場合に開状態とする。
【0059】
次に、制御装置45について説明する。制御装置45は、酸性調整槽42、アルカリ性調整槽43、及び生物処理槽44でのPHを制御し、微細気泡の注入量を制御し、ガス洗浄水を生物処理槽44内で散水するか、熱交換器6及びスクラバ9に戻すか、若しくは排出するか、を制御するための装置である。制御装置45は、図3に示すように、入力側に、第一PH検出センサ55、第二PH検出センサ85、及び、第三PH検出センサ115が接続されており、出力側に、第一PH調整装置52の弁62、第一気泡注入装置53の弁64、第二PH調整装置82の弁92、第二気泡注入装置83の弁94、第三PH調整装置112の第一弁122及び第二弁124、戻し弁134、散水弁135、排水弁137、第一攪拌装置56の駆動装置68、第二攪拌装置86の駆動装置98、及び第三攪拌装置116の駆動装置126、が接続されている。なお、弁62、弁64、弁92、弁94、第一弁122、第二弁124、戻し弁134、散水弁135、及び排水弁137は電磁弁で構成されている。
【0060】
[ガス洗浄水の処理方法]
次に、バイオガスの洗浄に使用したガス洗浄水から異物を取り除くガス洗浄水の処理方法について図4を用いて説明する。
【0061】
まず、ガス洗浄水を貯水槽41に一時的に貯溜する(ステップS10)。貯水槽41内で一時的に貯溜することにより、ガス洗浄水に含まれる異物のうち体積の大きな固形物が重力で貯水槽41の底部に移動する。
【0062】
次に、貯水槽41と酸性調整槽42との間に設けられた流路51において、酸性物質である塩酸をガス洗浄水に投入し、ガス洗浄水を酸性に調整する(ステップS20)。制御装置45は、第一PH検出センサ55によって検出されたPHに基づいて、第一PH調整装置52の弁62の開度を調整することにより、設定したPHとなるように酸性物質の投入量を調整する。これにより、PHを任意の(設定した)PHの酸性にすることができる。
【0063】
次に、貯水槽41と酸性調整槽42との間に設けられた流路51において、微細気泡をガス洗浄水に注入する(ステップS30)。微細気泡は、第一気泡注入装置53によって発生させ、ガス洗浄水内へ注入される。第一気泡注入装置53によって注入される気体は、空気、オゾン、若しくは可燃性ガスである。微細気泡は直径が数〜数十マイクロメートルの気泡であり、微細気泡が水面へ上昇する際に、ガス洗浄水に含まれる異物のうち細かい固形分を浮上させる。制御装置45は、第一気泡注入装置53の弁64の開度を調整することにより、微細気泡を注入する量を調整する。
【0064】
次に、酸性調整槽42内に流入したガス洗浄水を攪拌する(ステップS40)。第一攪拌装置56は、酸性調整槽42内のガス洗浄水を波立たせないように攪拌し、酸性調整槽42内のガス洗浄水のPHを均一にする。
また、第一邪魔板57を設けたことにより、上流から流入したガス洗浄水が上方へ流れ、対流が生まれる。これにより、ガス洗浄水が酸性調整槽42内に対流する時間を増やすことで、PHを均一にする。
ガス洗浄水が酸性に調整された場合、有機酸、有機酸塩、及びフェノール類などからなる固形物が析出する。
【0065】
次に、水面に浮上した異物のうち固形物を除去する(ステップS50)。ステップS40において析出した有機酸、有機酸塩、及びフェノール類などからなる固形物は、ステップS30において注入された微細気泡の上昇に伴ってガス洗浄水の水面に浮上する。
第一邪魔板57を設けたことにより、上流から流入したガス洗浄水が上方へ流れ、対流が生まれる。これにより、析出した有機酸、有機酸塩、及びフェノール類などからなる固形物を効率よく水面に浮上させることができる。
ガス洗浄水の水面に浮上した異物のうち固形物は第一除去装置54によって第一異物分離槽58へと掻き出される。これにより、ガス洗浄水内の異物が除去される。
【0066】
次に、水面に浮上した異物のうち気体成分をガスエンジン26で燃焼させる(ステップS60)。脱気ポンプ78により気体を吸入することで、酸性調整槽42内が減圧され、ガス洗浄水に溶けていた異物のうち気体成分が気化し易くなる。また、微細気泡も水面まで上昇した後破裂して気化する。また、第一異物分離槽58内の固形物に含まれていた気体成分も気化する。気化したこれらの気体は、第一気体室59から第一気体取出口77を介して、脱気ポンプ78側へ吸入され、さらにガスエンジン26へ排出される。そして、ガスエンジン26内でこれらの気体を燃焼させる。
【0067】
次に、ステップS50においてガス洗浄水から除去した固形物をガス化炉4で燃焼させる(ステップS70)。ガス洗浄水から除去した異物のうち固形物は、第一異物分離槽58に一旦貯溜される。第一異物分離槽58に貯留された固形物に付着した液体成分や気体成分は上方へ移動し、固形物が下方へ移動する。固形物は、固形物管76を通って固形物貯留槽79へと送られる。
固形物貯留槽79に固形物が一定量溜まった場合、固形物は排出管80を通ってガス化炉4へ送られ燃焼させる。
【0068】
次に、酸性調整槽42とアルカリ性調整槽43との間に設けられた流路81において、アルカリ性物質である水酸化ナトリウムをガス洗浄水に投入し、ガス洗浄水をアルカリ性に調整する(ステップS80)。第二PH検出センサ85によって検出されたPHに基づいて、第二PH調整装置82の弁92の開度を調整することにより、設定したPHとなるようにアルカリ性物質の投入量を調整する。これにより、PHを任意の(設定した)PHのアルカリ性にすることができる。
【0069】
次に、酸性調整槽42とアルカリ性調整槽43との間に設けられた流路81において、微細気泡をガス洗浄水に注入する(ステップS90)。微細気泡は、第二気泡注入装置83によって発生させ、ガス洗浄水内へ注入される。第二気泡注入装置83によって注入される気体は、空気、オゾン、若しくは可燃性ガスである。微細気泡は直径が数〜数十マイクロメートルの気泡であり、微細気泡が水面へ上昇する際に、ガス洗浄水に含まれる異物のうち細かい固形分を浮上させる。制御装置45は、第二気泡注入装置83の弁94の開度を調整することにより、微細気泡を注入する量を調整する。
また、第二気泡注入装置83によって注入される気体がオゾンである場合には、オゾンの酸化作用によって異物のうち有機酸を分解することができる。
【0070】
次に、アルカリ性調整槽43内に流入したガス洗浄水を攪拌する(ステップS100)。第二攪拌装置86は、アルカリ性調整槽43内のガス洗浄水を波立たせないように攪拌し、アルカリ性調整槽43内のガス洗浄水のPHを均一にする。
また、第二邪魔板87を設けたことにより、上流から流入したガス洗浄水が上方へ流れ、対流が生まれる。これにより、ガス洗浄水がアルカリ性調整槽43内に対流する時間を増やすことで、PHを均一にする。
ガス洗浄水がアルカリ性に調整された場合、アンモニウム塩などからなる固形物が析出する。
【0071】
次に、水面に浮上した異物のうち固形物を除去する(ステップS110)。ステップS100において析出したアンモニウム塩などからなる固形物は、ステップS90において注入された微細気泡の上昇に伴ってガス洗浄水の水面に浮上する。
第二邪魔板87を設けたことにより、上流から流入したガス洗浄水が上方へ流れ、対流が生まれる。これにより、析出したアンモニウム塩などからなる固形物を効率よく水面に浮上させることができる。
ガス洗浄水の水面に浮上した異物のうち固形物は第二除去装置84によって第二異物分離槽88へと掻き出される。これにより、ガス洗浄水内の異物が除去される。
【0072】
次に、水面に浮上した異物のうち気体成分を燃焼させる(ステップS120)。脱気ポンプにより気体を吸入することで、アルカリ性調整槽43内が減圧され、ガス洗浄水に溶けていた異物のうち気体成分が気化する。ここで、アルカリ性調整槽43内の異物のうち気体成分とは、主にアンモニアである。また、微細気泡も水面まで上昇した後破裂して気化する。また、第二異物分離槽88内の固形物に含まれていた気体成分も気化する。気化したこれらの気体は、第二気体室89から第二気体取出口107を介して、脱気ポンプ108側へ吸入され、さらにガスエンジン26へ排出される。そして、ガスエンジン26内でこれらの気体を燃焼させる。
【0073】
次に、ステップS110においてガス洗浄水から除去した固形物を燃焼させる(ステップS130)。ガス洗浄水から除去した異物のうち固形物は、第二異物分離槽88に一旦貯溜される。第二異物分離槽88に貯溜された固形物に付着した液体成分や気体成分は上方へ移動し、固形物が下方へ移動する。固形物は、固形物管106を通って固形物貯留槽79へと送られる。
固形物貯留槽79に固形物が一定量溜まった場合、固形物は排出管80を通ってガス化炉4へ送られ燃焼させる。
【0074】
次に、アルカリ性調整槽43と生物処理槽44との間に設けられた流路において、酸性物質である塩酸若しくはアルカリ性物質である水酸化ナトリウムをガス洗浄水に投入し、ガス洗浄水を中性に調整する(ステップS140)。制御装置45は、第三PH検出センサ115によって検出されたPHに基づいて、第三PH調整装置112の第一弁122及び第二弁124の開度を調整することにより、酸性物質及びアルカリ性物質の投入量を調整する。これにより、PHを中性にすることができる。
【0075】
次に、生物処理槽44内に流入したガス洗浄水を攪拌する(ステップS150)。第三攪拌装置116は、生物処理槽44内のガス洗浄水を波立たせないように攪拌し、生物処理槽44内のガス洗浄水のPHを均一にする。なお、水流でガス洗浄水のPHが均一に保てる場合には、ステップS150は省略することもできる。
また、第三邪魔板117を設けたことにより、上流から流入したガス洗浄水が上方へ流れ、対流が生まれる。これにより、ガス洗浄水が生物処理槽44内に対流する時間を増やすことで、PHを均一にする。
【0076】
次に、ガス洗浄水を散水ノズルから散水する(ステップS160)。生物処理槽44の下部に溜まっているガス洗浄水はポンプによって汲み上げられる。制御装置45は、戻し管132に設けられた戻し弁134を閉とし、散水管133に設けられた散水弁135を開とする。これにより、ポンプによって汲み上げられたガス洗浄水は、散水管133へ流入し、散水管133の端部に設けられた散水ノズル114から下方へ散水される。散水は間欠的若しくは定常的に行われる。
散水されたガス洗浄水は生物担体113と接触し、生物担体113に付着している微生物によってタール成分等が分解される。微生物は、有機酸、有機酸塩、及びフェノール類などの成分や、アンモニウム塩などの成分が含まれたガス洗浄水中よりも、前記物質が除去されたガス洗浄水中において活動が活発になる。そのため、酸性調整槽42及びアルカリ性調整槽43と併用することにより、生物処理槽44における処理効率が向上する。
【0077】
次に、ガス洗浄水を戻し管132から、熱交換器6もしくはスクラバ9へ戻す(ステップS170)。ステップS160までの処理によって異物を除去したガス洗浄水をポンプ23で汲み上げて戻し管132に戻すものである。ステップS170では、制御装置45は、戻し弁134を開にし、散水弁135を閉にする。
【0078】
以上のように、本実施形態に係るガス化発電システム1は、バイオマスを加熱させてバイオガスを発生させるガス化炉4と、バイオガスを洗浄するスクラバ9と、スクラバ9に使用されるガス洗浄水を処理するガス洗浄水処理装置8と、バイオガスを燃料とするガスエンジン26と、ガスエンジン26で駆動される発電装置27と、が設けられたエンジン発電装置13と、を具備するガス化発電システム1において、ガス洗浄水処理装置8は、ガス洗浄水を貯溜する貯水槽41と、ガス洗浄水を酸性に調整する第一PH調整装置52と、微細気泡を注入する第一気泡注入装置53と、微細気泡とともに水面に浮上した固形物を除去する第一除去装置54と、が設けられた酸性調整槽42と、ガス洗浄水をアルカリ性に調整する第二PH調整装置82と、微細気泡を注入する第二気泡注入装置83と、微細気泡とともに水面に浮上した固形物を除去する第二除去装置84と、が設けられたアルカリ性調整槽43と、を具備し、酸性調整槽42及びアルカリ性調整槽43で除去された固形物をガス化炉4において燃焼させ、酸性調整槽42及びアルカリ性調整槽43で気化した気体成分をガスエンジン26の燃料とするものである。
このように構成することにより、貯水槽41において、比重が大きい固体成分を除去し、酸性調整槽42およびアルカリ性調整槽43において、比重の小さい固体成分、可溶性の固体成分であってガス洗浄水に溶解しているもの、及び液体成分であってガス洗浄水に溶解しているものを除去することができる。また、ガス洗浄水から除去された異物のうち固体物をガス化炉4に投入するバイオマスとともに燃焼させて再利用することができる。また、ガス洗浄水から除去された異物のうち気体成分をガスエンジン26の燃料として活用することができる。したがって、ガス洗浄水に混入した多様な異物を除去し、除去した異物を再利用することができる。
【0079】
また、前記酸性調整槽の底部に邪魔板を設け、前記アルカリ性調整槽の底部に邪魔板を設けるものである。
このように構成することにより、酸性調整槽42及びアルカリ性調整槽43内におけるガス洗浄水の流れを上方へ向けることができ、対流を起こすことにより析出した異物を効率よく水面に浮上させることができる。したがって、ガス洗浄水に混入した多様な異物を除去し、除去した異物を再利用することができる。
【0080】
また、酸性調整槽42に設けた第一除去装置54及びアルカリ性調整槽43に設けた第二除去装置84は、ベルトコンベア式の掻き出し装置で構成したものである。
このように構成することにより、水面に浮上した異物を効率よく掻き出して除去することができる。また、除去した異物を一箇所に集めることにより、効率よく再利用することができる。したがって、ガス洗浄水に混入した多様な異物を除去し、除去した異物を再利用することができる。
【0081】
また、本実施形態に係るガス洗浄水の処理方法は、バイオガスの洗浄に使用したガス洗浄水から異物を取り除くガス洗浄水の処理方法であって、ガス洗浄水を酸性に調整するステップS20と、ガス洗浄水に微細気泡を注入するステップS30と、水面に浮上した異物のうち固形物を除去するステップS50と、水面に浮上した異物のうち気体成分を燃焼させるステップS60と、除去した固形物を燃焼させるステップS70と、ガス洗浄水をアルカリ性に調整するステップS80と、ガス洗浄水に微細気泡を注入するステップS90と、水面に浮上した異物のうち固形物を除去するステップS110と、水面に浮上した異物のうち気体成分を燃焼させるステップS120と、除去した固形物を燃焼させるステップS130と、を含むものである。
【0082】
このように構成することにより、比重が大きい固体成分、比重の小さい固体成分、可溶性の固体成分であってガス洗浄水に溶解しているもの、及び液体成分であってガス洗浄水に溶解しているものを除去することができる。また、ガス洗浄水から除去された異物のうち固体物をガス化炉4に投入するバイオマスとともに燃焼させて再利用することができる。また、ガス洗浄水から除去された異物をガスエンジン26の燃料として活用することができる。したがって、ガス洗浄水に混入した多様な異物を除去し、除去した異物を再利用することができる。
【0083】
[実施形態2]
次に、本発明の別の実施形態にかかるガス洗浄水処理装置208について図5を用いて説明する。
本実施形態にかかるガス洗浄水処理装置208は、第一除去装置254及び第二除去装置284の構成が実施形態1にかかるガス洗浄水処理装置と異なる。本実施形態に係るガス洗浄水処理装置の構成のうち、実施形態1にかかるガス洗浄水処理装置と同一の構成については、同じ番号を付して説明を省略する。
【0084】
酸性調整槽42の上方には第一除去装置254が設けられている。第一除去装置254は、本実施形態においては、浮遊する固形物を吸い寄せて除去するスカムスキマーで構成されている。第一除去装置254は、漏斗状に構成された吸い寄せ口261と、吸い寄せ口261の下方に設けられた上下方向伸縮自在の吸い込み管262と、吸い込み管262と連通しており、その他端が第一異物分離槽58と連通している送り管263と、から構成される。吸い寄せ口261は、浮力によりその上端が水面付近に位置するように構成されており、ガス洗浄水の水量の増減により上下する水面の高さにあわせて上下に移動する。吸い寄せ口261付近のガス洗浄水は、吸い寄せ口261よりも水面が高くなると吸い寄せ口261内に流入し、吸い込み管262、送り管263を通って、第一異物分離槽58へと送られる。この際、表面に浮遊している固形物も一緒に第一異物分離槽58へと送られる。吸い寄せ口261は水面とほぼ同じ高さにあるため、ガス洗浄水が大量に流れ込むことはない。
【0085】
アルカリ性調整槽43の上方には第二除去装置284が設けられている。第二除去装置284は、本実施形態においては、浮遊する固形物を吸い寄せて除去するスカムスキマーで構成されている。第二除去装置284は、漏斗状に構成された吸い寄せ口291と、吸い寄せ口291の下方に設けられた上下方向伸縮自在の吸い込み管292と、吸い込み管292と連通しており、その他端が第二異物分離槽88と連通している送り管293と、から構成される。吸い寄せ口291は、浮力によりその上端が水面付近に位置するように構成されており、ガス洗浄水の水量の増減により上下する水面の高さにあわせて上下に移動する。吸い寄せ口291付近のガス洗浄水は、吸い寄せ口291よりも水面が高くなると吸い寄せ口291内に流入し、吸い込み管292、送り管293を通って、第二異物分離槽88へと送られる。この際、表面に浮遊している固形物も一緒に第二異物分離槽88へと送られる。吸い寄せ口291は水面とほぼ同じ高さにあるため、ガス洗浄水が大量に流れ込むことはない。
【0086】
以上のように、本実施形態に係るガス化発電システム1は、酸性調整槽42に設けた第一除去装置254及びアルカリ性調整槽43に設けた第二除去装置284は、スカムスキマーで構成したものである。
このように構成することにより、水面に浮上した異物を効率よく排出して除去することができる。また、除去した異物を一箇所に集めることにより、効率よく再利用することができる。したがって、ガス洗浄水に混入した多様な異物を除去し、除去した異物を再利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 ガス化発電システム
8 ガス洗浄水処理装置
41 貯水槽
42 酸性調整槽
43 アルカリ性調整槽
44 生物処理槽
52 第一PH調整装置
53 第一気泡注入装置
54 第一除去装置
57 第一邪魔板
82 第二PH調整装置
83 第二気泡注入装置
84 第二除去装置
87 第二邪魔板
112 第三PH調整装置
113 生物担体
114 散水ノズル
117 第三邪魔板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスを加熱させてバイオガスを発生させるガス化炉と、
前記バイオガスを洗浄するスクラバと、
前記スクラバに使用されるガス洗浄水を処理するガス洗浄水処理装置と、
バイオガスを燃料とするガスエンジンと、前記ガスエンジンで駆動される発電装置と、が設けられたエンジン発電装置と、
を具備するガス化発電システムにおいて、
前記ガス洗浄水処理装置は、
ガス洗浄水を貯溜する貯水槽と、
ガス洗浄水を酸性に調整する装置と、微細気泡を注入する装置と、微細気泡とともに水面に浮上した固形物を除去する第一除去装置と、が設けられた酸性調整槽と、
ガス洗浄水をアルカリ性に調整する装置と、微細気泡を注入する装置と、微細気泡とともに水面に浮上した固形物を除去する第二除去装置と、が設けられたアルカリ性調整槽と、
を具備し、
前記酸性調整槽及びアルカリ性調整槽で除去された固形物を前記ガス化炉において燃焼させ、
前記酸性調整槽及びアルカリ性調整槽で気化した気体成分を前記ガスエンジンの燃料とする、
ガス化発電システム。
【請求項2】
前記酸性調整槽の底部に第一の邪魔板を設け、前記アルカリ性調整槽の底部に第二の邪魔板を設ける請求項1に記載のガス化発電システム。
【請求項3】
前記酸性調整槽に設けた第一除去装置及びアルカリ性調整槽に設けた第二除去装置は、ベルトコンベア式の掻き出し装置で構成した請求項1または請求項2に記載のガス化発電システム。
【請求項4】
前記酸性調整槽に設けた第一除去装置及びアルカリ性調整槽に設けた第二除去装置は、スカムスキマーで構成した請求項1または請求項2に記載のガス化発電システム。
【請求項5】
バイオガスの洗浄に使用したガス洗浄水から異物を取り除くガス洗浄水の処理方法であって、
ガス洗浄水を酸性に調整するステップと、
ガス洗浄水に微細気泡を注入するステップと、
水面に浮上した異物のうち固形物を除去するステップと、
水面に浮上した異物のうち気体成分を燃焼させるステップと、
除去した固形物を燃焼させるステップと、
ガス洗浄水をアルカリ性に調整するステップと、
ガス洗浄水に微細気泡を注入するステップと、
水面に浮上した異物のうち固形物を除去するステップと、
水面に浮上した異物のうち気体成分を燃焼させるステップと、
除去した固形物を燃焼させるステップと、
を含む、
ガス洗浄水の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−1645(P2012−1645A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138796(P2010−138796)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】