説明

ガス吸着材料及びネオンの製造方法

【課題】ネオンの吸着特性を高め、効率的にネオンを製造する。
【解決手段】ガス吸着材料10は、酸素により四面体状に結合した4つの錯体核金属22(例えばZn)と、非結合性相互作用により他の構造体と集積する相互作用部25(例えばベンゼン環)を有しこの錯体核金属を取り囲むように錯体核金属に配位する複数のモノカルボン酸24とを備える複数のモノマー20が集積した集積体により構成されている。ガス吸着材料10は、吸着ガス(ネオンガス)が存在すると、ガスの分子サイズより大きく開口させて吸着ガスを取り込んだ構造へ相転移し、更に吸着ガスの圧力が高くなると、より大きな構造相転移が起き、より多くの吸着ガスを取り込む。ガス吸着材料10では、これらの構造相転移が可逆的に行われることにより、ヘリウムや窒素、酸素などに比して高い吸着量を示しながらネオンガスの吸脱着が行われるものと考えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス吸着材料及びネオンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
希ガスは、含有量が少ないが、空気が唯一の供給源であることから、精留などの工程によって酸素や窒素などと分離することにより空気から製造されている。例えば、ネオンガスは、蛍光灯などの放電用封入ガスとして利用されるが、窒素よりも沸点が低く、精留塔の上部で水素やヘリウムと共に濃縮されて回収され蒸留などの工程により純度を高めて製造される。また、アルゴンは、沸点が酸素と窒素の間であり、精留塔の中段で酸素と共に回収され、この酸素を除去することにより製造される。また、クリプトン及びキセノンは、酸素より高沸点であり、液体酸素温度で濃縮され、炭化水素などの除去、更に精留してそれぞれを分離することで製造される。このように、希ガスは、エネルギーを多く使い多工程を経て製造されている。
【0003】
そこで、希ガスを製造する際に用いられるガス吸着材料として、銅イオンと、窒素と酸素と硫黄とを含むピラジン2,3ジカルボン酸からなる配位子と、銅イオンと2以上配位可能であり少なくとも1つのヘテロ環骨格を有する3,6ビス(4ピリジル)1,2,4,5テトラジンからなる配位子と、から構成される3次元骨格を有する金属錯体へ、キセノンを含む混合ガスを吸着させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このガス吸着材料によれば、効率的且つ安価にキセノンを回収することができるとされている。
【特許文献1】特開2007−204446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載されたガス吸着材料では、キセノンガス及び窒素ガスの吸着分離については検討されているが、その他のガス、例えばネオンガスについては検討されていなかった。ネオンについても、効率的に回収することが望まれていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、ネオンの吸着特性が高いガス吸着材料を提供することを目的の1つとする。また、効率的にネオンを製造することができるガス吸着材料及びネオンの製造方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、複数の構造体が移動してこの複数の構造体の間に空間が設けられるような、複数の構造体が集積した集積体により構成されるガス吸着材料を用いるものとすると、ネオンのガス吸着特性の高いものが得られ、効率的にネオンを製造することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明のガス吸着材料は、
複数の構造体が集積した集積体により構成されるガス吸着材料であって、
前記構造体は、酸素により四面体状に結合した4つの錯体核金属と、非結合性相互作用により他の構造体と集積する相互作用部を有し前記錯体核金属を取り囲むように該錯体核金属に配位する複数のモノカルボン酸と、を備えており、
前記集積体は、前記複数の構造体の間に設けられた空間及び/又は前記相互作用部を介して前記複数の構造体が移動して該複数の構造体の間に設けられる空間へネオンガスを吸着する、ものである。
【0008】
本発明のネオンの製造方法は、上述したガス吸着材料に所定の吸着温度で原料ガスに含まれるネオンガスを吸着させるネオンガス吸着工程、を含むものである。
【発明の効果】
【0009】
このガス吸着材料では、高いネオンの吸着特性が得られる。また、ネオンガスを吸着することによってネオンガスの回収をより容易とし、効率的にネオンを製造することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推測される。例えば、酸素により四面体状に結合した4つの錯体核金属と、非結合性相互作用により他の構造体と集積する相互作用部を有しこの錯体核金属を取り囲むように錯体核金属に配位する複数のモノカルボン酸とを備える複数の構造体が集積した集積体により構成されるガス吸着材料では、複数の構造体が移動することにより空間が生じたり、ガス吸着に適した形状の空間を元来有するなどし、この空間にガスを吸着することがある。このガス吸着材料では、これらの空間がネオンガスに適したものであるため、ネオンガスの吸着性が高いものであると推察される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のガス吸着材料は、複数の構造体が集積した集積体により構成されている。この構造体は、複数の錯体核金属と、非結合性相互作用により他の構造体と集積する相互作用部を有し錯体核金属を取り囲むように錯体核金属に配位する複数のモノカルボン酸と、を備えている。ここで、「非結合性相互作用」とは、π−πスタッキング、CH−π相互作用や水素結合等の、個々の結合エネルギーが10kcal/mol以下の弱い結合又は分子間相互作用をいう。例えば、このガス吸着材料は、四配位の酸素(μ4−O)により四面体状に結合した4つの錯体核金属Mと、相互作用部としての官能基R1を有する6つのモノカルボン酸と、を備える次式(1)で表されるモノマーを構造体とし、集積体は、官能基R1によって3次元構造となるようモノマーを集積して構成されているものとしてもよい。官能基R1は、モノカルボン酸の置換基である。このモノマーは、隣接するモノマーの置換基R1間に生じる非結合性相互作用によって3次元的に集積化することで、ガス吸着材料を構成する。このように構成されたガス吸着材料は、吸着対象である所定のガス種(吸着ガスとも称する)に対して相互作用部により複数のモノマー間に空間を設けるようこの複数のモノマーが移動して吸着ガスを吸脱着する(後述図2参照)。若しくは、元来有するガス吸着に適した形状の空間に吸着ガスを吸脱着する。ここでは、説明の便宜のため、この複数のモノマーの移動を構造相転移と称するものとする。この構造相転移は、モノマー間の非結合性相互作用の柔軟性に起因して起こり、吸着ガスが接近することにより、より安定な吸着ガスを取り込んだ構造へ変化する場合に起こる。非結合性相互作用は、構造相転移を起こしやすいという観点から、π−πスタッキング、CH−π相互作用及び水素結合のうち少なくとも1以上であることが好ましい。
【化1】

【0011】
ガス吸着材料は、モノマーと有機分子とからなる集積体を加熱処理して有機分子を除去することにより得られたものであることが好ましい。この理由は、有機分子を一度取り込んだ後、除去することにより、ガス吸着材料の結晶内に多数の気孔や亀裂などが形成され、吸着ガスが取り込まれやすくなるためであると推察される。形成される気孔は、閉気孔、又は入口径が吸着するガス分子よりも小さい気孔であることが好ましい。こうすれば、吸着ガス以外を吸着しにくくなると考えられる。この除去される有機分子は、アセトニトリル、アセトン、メタノール、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミドであることが好ましい。このうち、揮発性が高く除去しやすく、取り扱いが容易なことから、アセトンとするのが好ましい。有機分子を除去する加熱処理は、真空条件下によって行われることが好ましい。このガス吸着材料は、有機分子を除去する処理(活性化処理)を行った場合は、構造を変化させて安定構造に相転移し、目的以外のガスを吸着しにくい特性を示す。一方、吸着ガスが接近した場合は、構造を変化させて(構造相転移して)この吸着ガスをその構造内に取り込む。よって、本発明のガス吸着材料は、活性化処理を行っても目的以外のガスを吸着しにくく、また構造相転移によって構造の歪みを緩和し、安定化しているため、構造が崩壊しにくい。
【0012】
このガス吸着材料において、集積体は、複数の構造体の間に設けられた空間及び相互作用部を介して複数の構造体が移動してこの複数の構造体の間に設けられる空間のうち少なくとも一方へネオンガスを吸着するものである。このガス吸着材料では、おそらく後者の空間へ主としてネオンガスが吸着しているものと考えられる。また、このガス吸着材料は、窒素ガス、酸素ガス、ヘリウムガス、及びネオンガスのうち、ネオンガスの吸着性がより高いものが好ましい。即ち、ネオンガスを選択的に吸着するものとすれば、例えば空気などの原料ガスからネオンガスを選択的に回収しやすい。なお、ネオンガスを含む原料ガスに、ネオンガスよりも吸着性が高いガスが含まれているときには、この吸着性の高いガスを何らかの方法によって除去したガスを原料ガスとするものとしてもよい。あるいは、ネオンガスよりも吸着性が高いガスが含まれた状態でガス吸着材料によりガス吸着を行ったのちこのガスをネオンガスから分離するものとしてもよい。
【0013】
構造体に含まれる錯体核金属は、所望のガス吸着材料が得られやすいという観点から、Zn、Cu、Mg、Al、Mn、Fe、Co及びNiのうちいずれかであることが好ましく、このうちZnがより好ましい。また、構造体に含まれる相互作用部は、非結合性相互作用を作用させるという観点から、モノカルボン酸に結合した官能基である、芳香環、アルキル基、水酸基、アミノ酸、ニトリル基、ハロゲン基のうちいずれかであることが好ましく、このうち芳香環であることがより好ましい。また官能基の構成は、官能基1つのみが含まれていてもよく、同一又は異種の官能基が複数含まれていてもよい。また、芳香環に関しては、単環であってもよく、多環であってもよく、それぞれが複素環であってもよい。さらに、オルト位、メタ位、パラ位等の置換位置が上述したような置換基によって置換されていてもよく、その置換位置が1箇所であっても複数個所であってもよい。
【0014】
図1は、ガス吸着材料を構成するモノマー20の一例を示す説明図であり、図2は、モノマー20により構成されたガス吸着材料10のネオン吸着機構の説明図である。ここでは、図1に示すように、ガス吸着材料10を構成するモノマー20は、錯体核金属22がZnであり、モノカルボン酸24が有する相互作用部25がベンゼン環により構成されている。モノカルボン酸24は、モノカルボン酸24が有するカルボキシル基(−COO)と錯体核金属22とによる配位結合を介して2つの錯体核金属22と結合され、図1に示すような単分子のモノマーを形成する。
【0015】
このガス吸着材料10の吸着機構は、定かではないが、図2に示すように構造を変化させながら吸着するものと推測される。ガス吸着材料10は、図2の1段目に示すように、複数のモノマー20が各々の相互作用部25により非結合性相互作用により集積した構造を有している。そして、吸着ガス(ここではネオン)が存在すると、吸着ガスの分子サイズより大きく開口させて吸着ガスを取り込んだ構造へ相転移する(図2の2段目)。更に吸着ガスの圧力が高くなると、より大きな構造相転移が起き、より多くの吸着ガスを取り込む(図2の3,4段目)。ガス吸着材料10では、これらの構造相転移が可逆的に行われることにより吸着ガスの吸脱着が行われるものと考えられる。
【0016】
次に、このガス吸着材料を用いたネオンの製造方法について説明する。図3は、ネオン製造プロセスの一例を表すフローチャートであり、図4は、ネオン製造プラント30の一例を示す説明図である。ここでは、原料ガスを空気とし、上述したガス吸着材料10を用いてネオンガスを製造する場合を主として説明する。この図4に示すネオンガス製造法には、空気を精製する空気精製工程と、精製した空気を精留しよりネオンを多く含むガスを得る空気精留工程と、ガスに含まれる可燃成分(水素)を除去する可燃成分除去工程と、ネオンを選択的に回収する圧力変動式吸着(PSA)工程と、が含まれている。これらの工程を以下、順に説明する。
【0017】
(空気精製工程)
この空気精製工程では、エアフィルタ31により粉塵を除去し、これを圧縮器32により圧縮したあと、水洗冷却塔33を経て不要成分(例えば窒素酸化物など)を除去し、これを吸着材34aを収容した吸着ユニット34に導入して水分や二酸化炭素を除去して乾燥空気を生成する。吸着材34aとしては、例えばモレキュラーシーブなどのゼオライトや活性炭などを用いることができる。
【0018】
(空気精留工程)
この空気精留工程では、上塔41と下塔42とを有し主凝縮器43を中段に配置した空気精留塔40へこの乾燥空気を導入し、沸点の比較的高い成分と沸点の比較的低い成分とを分離する処理を行う。沸点の高い成分としては、例えば窒素、アルゴン、酸素、クリプトン、キセノンなどのガスが挙げられる。また、沸点の低い成分としては、例えば窒素、ネオン、水素、ヘリウムなどが挙げられる。この空気精留工程において、上塔41では液体酸素温度(90K)による冷却、下塔42では液体窒素温度(77K)による冷却などを行い、ガスの分離を行なってもよい。このとき、ネオンは窒素よりも低沸点であるため、下塔42の頂部からガスとして抜き出すことができる。このとき得られるガスは、ネオンが約20mol%程度含まれるものとすることができる。
【0019】
(可燃成分除去工程)
この可燃成分除去工程では、上記得られた低沸点成分のガスに酸素を添加し、可燃成分(例えば水素)を燃焼塔45で触媒燃焼させ、生成した成分(例えば水)を冷却除去する処理を行うものとした。こうすれば、ガス吸着材料10が水素を吸着するものであっても、ネオンの回収に使用しやすい。
【0020】
(PSA工程)
このPSA工程では、上述したガス吸着材料10(図2参照)を配設した吸着塔48に上記処理を行った原料ガスを導入し、圧力変化によるガス吸着材料10のガス吸着特性の変化を利用したガス分離を実行する。ガス吸着材料10は、ヘリウム、酸素及び窒素よりもネオンに対して高いガス吸着量を有するため、効率よくヘリウム、酸素及び窒素とネオンとの分離処理を実行することができる。このPSA工程では、吸着温度は、77K以下の温度であることが好ましく、77Kであってもよいし、ネオンの沸点である27K前後であってもよい。また、圧力範囲は、200mmHg以上700mmHg以下で変化させることが好ましく、300mmHg以上600mmHg以下で変化させることがより好ましい。
【0021】
以上詳述した本実施形態のガス吸着材料10によれば、ネオンガスの吸着特性が高く、ネオンガスをより選択的に吸着することによってよりネオンガスの回収をより容易とし、効率的にネオンを製造することができる。
【0022】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0023】
例えば、上述した実施形態では、PSA工程で本発明のガス吸着材料10を用いるものとしたが、ネオンガスを吸着させる工程であれば、特に限定されることなく用いることができる。例えば、ネオンガスよりも吸着量が多いガス種が含まれている原料ガスに対してガス吸着材料10を用いても構わない。その場合、ネオンガスよりも吸着量が多いガスを、あとで分離させればよい。
【0024】
上述した実施形態では、空気精製工程、空気精留工程、可燃成分除去工程、及びPSA工程を実行するものとしたが、特にこれに限定されず、これらの工程のうちいずれかの工程を省略してもよいし、これらに含まれない新規な工程を加えるものとしてもよい。例えば、PSA工程に代えて、ネオンの沸点よりも低い温度、例えば液体ヘリウム温度(4K)や液体水素温度(20K)などにして深冷分離によりヘリウムとネオンとを分離する深冷分離工程を行うものとしてもよい。このとき、深冷分離にガス吸着材料10を用いてもよいし他の工程でガス吸着材料10を用いてもよい。
【0025】
上述した実施形態では、ガス吸着材料10をネオンガスの製造に用いるものとしたが、特にこれに限定されず、ネオンガスを吸着させる際に使用するものとすれば、どのような用途に用いてもよい。
【実施例】
【0026】
以下には、ガス吸着材料を具体的に製造した例を説明する。市販の安息香酸亜鉛(Zn(C65COO)2)(関東化学製)の1.0gを、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥したアセトン70mLに溶解させたあと、この溶液を50℃で30分加熱したところ、白色の析出物が沈殿した。この白色の析出物を吸引濾過により濾別し、濾別した析出物を常温により真空乾燥した。析出物の収量は、0.71gであった。得られた析出物を化学分析、赤外吸収スペクトル、X線回折などの測定を行い、図1に示したアセトンを含有した[Zn4O(C65COO)6](以下、Zbzと称する)であることが確認された。次に、得られたアセトン含有Zbzを150℃、4時間真空下で加熱処理することによりアセトンを除去し、実施例のガス吸着材料を得た。なお、このアセトンの除去後のZbzの重量は、5.6重量%の減少があり、その収量は、0.67gであった。この重量減少は、モノマーZbzあたり1分子のアセトンが失われた値(5.5重量%)と略一致した。
【0027】
[X線回折測定]
定性用X線回折装置(理学電機製RAD−1B)を用いて実施例の粉末X線回折パターンを測定した。ガス吸着等温線の測定前後においてX線回折を測定したところ、ネオンガスを取り込む前と取り込み放出した後でX線回折の測定結果に大きな変化は見られなかった。また、ネオンを取り込み放出した後の実施例の窒素吸着特性を測定したところ、窒素吸着量は、変化しなかった。以上のことから、このガス吸着材料はネオンを取り込む前と取り込み放出した後で構造が変化しないと考えられた。
【0028】
[比表面積測定及びガス吸着特性測定]
実施例のガス吸着材料について、比表面積/細孔分布測定装置ASAP2020(マイクロメリティクス製)を用いて、ネオン、窒素、酸素の77Kでの吸着等温線測定を行った。なお、死体積の測定にはヘリウムを用いた。図5は、実施例のネオン及び窒素の吸着等温線測定結果であり、図6は、実施例の酸素の吸着等温線測定結果である。また、窒素吸着の結果より、BET比表面積を算出した。その結果、比表面積は、1m2/gであった。ガス吸着等温線測定は、ガス吸着材料を0.1g用い、30秒間に亘って測定圧力に0.01%以上の変化がなかったときに吸着平衡であると判定して差圧目標を38mmHgとする次の測定点の吸着を実行する測定条件で行った。この結果、実施例のガス吸着材料は、ネオンの吸着量が他のガスに比して大きいことが明らかとなった。このとき、圧力が200〜700mmHgの範囲で他のガスよりも大きなガス吸着量を示すことがわかった。したがって、実施例のガス吸着材料では、ネオンガス、ヘリウムガス、窒素ガス、酸素ガスのうち、最もネオンガスの吸着量が大きいことが明らかとなり、これらの混合ガスを用いたときには、ネオンをより選択的に吸着することができ、ネオンの製造に有効な材料であるということが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、ガス吸着材に関する分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ガス吸着材料を構成するモノマー20の一例を示す説明図である。
【図2】ガス吸着材料10のネオン吸着機構の説明図である。
【図3】ネオン製造プロセスの一例を表すフローチャートである。
【図4】ネオン製造プラントの一例を示す説明図である。
【図5】実施例のネオン及び窒素の吸着等温線測定結果である。
【図6】実施例の酸素の吸着等温線測定結果である。
【符号の説明】
【0031】
10 ガス吸着材料、20 モノマー、22 錯体核金属、24 モノカルボン酸、25 相互作用部、30 ネオン製造プラント、31 エアフィルタ、32 圧縮器、33 水洗冷却塔、34 吸着ユニット、34a 吸着材、40 空気精留塔、41 上塔、42 下塔、43 主凝縮器、45 燃焼塔、48 吸着塔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構造体が集積した集積体により構成されるガス吸着材料であって、
前記構造体は、酸素により四面体状に結合した4つの錯体核金属と、非結合性相互作用により他の構造体と集積する相互作用部を有し前記錯体核金属を取り囲むように該錯体核金属に配位する複数のモノカルボン酸と、を備えており、
前記集積体は、前記複数の構造体の間に設けられた空間及び/又は前記相互作用部を介して前記複数の構造体が移動して該複数の構造体の間に設けられる空間へネオンガスを吸着する、
ガス吸着材料。
【請求項2】
前記錯体核金属は、Zn、Cu、Mg、Al、Mn、Fe、Co及びNiのうちいずれかである、請求項1に記載のガス吸着材料。
【請求項3】
前記相互作用部は、前記モノカルボン酸に結合した官能基である、芳香環、アルキル基、水酸基、アミノ酸、ニトリル基、ハロゲン基のうちいずれかである、請求項1又は2に記載のガス吸着材料。
【請求項4】
前記構造体は、次式(1)で表されるモノマーであり、
前記集積体は、前記官能基R1を前記相互作用部として3次元構造となるよう前記構造体を集積して構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス吸着材料。
【化1】

【請求項5】
ネオンを製造する方法であって、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス吸着材料に所定の吸着温度で原料ガスに含まれるネオンガスを吸着させるネオンガス吸着工程、を含む、ネオンの製造方法。
【請求項6】
前記ネオンガス吸着工程では、温度変動式吸着法及び圧力変動式吸着法のうち少なくとも一方により前記ネオンガスを吸着させる、請求項5に記載のネオンの製造方法。
【請求項7】
前記ネオンガス吸着工程では、前記吸着温度が77K以下の温度で前記ネオンガスを吸着させる、請求項5又は6に記載のネオンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−189993(P2009−189993A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35495(P2008−35495)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】