説明

ガス浄化装置

【課題】小形・低コストで、かつ、複数の放電ユニットのいずれかに異常電流を検出したとき、異常電流を検出した放電ユニットの高圧電源のみを遮断するようにし、他の高圧電源及び放電ユニットはそのまま稼動するようにしたガス浄化装置を得ること。
【解決手段】プラズマ放電により生成される活性種により被浄化ガス1に含まれる化学物質を分解除去する分解処理部102を備え、送風機4により吸込口2から前記被浄化ガス1を吸込んで前記分解処理部102に送り込み、該分解処理部102で前記被浄化ガス1を浄化し、吹出口9から吹出すガス浄化装置100において、前記分解処理部102は、多数に細分化した吸着剤を有する接地電極5と、該接地電極5に対向させて設置した高圧電極7と、からなる電極ユニットを複数組備え、一組の前記電極ユニット毎に一つの高圧電源6を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス浄化装置に関し、特に、低濃度の揮発性有機化合物(VOCs;Volatile Organic Compounds)等の化学物質を含んだ大気から、放電プラズマにより、化学物質を分解除去するガス浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のガス浄化装置は、放電プラズマと吸着剤(吸着材)を利用し、吸着剤の吸着能力を長期に亘って維持させるようにし、ガス浄化装置のメンテナンスを容易にしている。
【0003】
すなわち、従来のガス浄化装置は、大気下において、粒子状物質と化学物質を含有するガスから粒子状物質を取り除いた後に、ガス中に含まれる化学物質を吸着剤により捕集すると共に、ガス中に含まれる水分を捕集しながら、化学物質を吸着した吸着剤をゼロ電位に保ち、この吸着剤と電極との間で放電を生じさせて、吸着剤表面で放電により生成される活性種により、若しくは、照射された活性種と大気中若しくは吸着剤表面に存在する水分が反応することにより生成された活性種により、吸着剤に吸着された化学物質を分解除去する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、誘電物質で覆われた金属電極で構成され電極対を構成する接地側電極および高圧側電極と、各接地側電極と各高圧側電極との間に備えられた誘電体部材と、上記電極対および誘電体部材が内部に設置されるプラズマ処理室とを有し、電極対の少なくとも一方の電極と誘電体部材との間に空隙が形成され、誘電体部材は、被処理ガスの実質的全量が誘電体部材内を誘電体部材に対して垂直な方向に流通するように、プラズマ処理室内に配置されているガス処理装置であって、電極間にグロー放電を誘起させてガスの処理を行なうものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−89708号公報
【特許文献2】特開2006−187766号公報
【0006】
また、化学物質の分解除去効率を上げる方法は、一つは、吸着剤の空間速度(SV値=処理ガス量/吸着剤量)を低下させることであり、そのためには、吸着剤の表面積あるいは厚さを増加する必要がある。もう一つは、高圧電極から吸着剤への放電を均一化することであり、そのためには、吸着剤と対向する位置に、高圧電極を極力密に配置する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の技術によれば、一つの高圧電源から、高圧電極全数または任意の高圧電極に電力を供給するので、大容量の電源が必要となって高コストとなる。また、誘電体が破損したようなとき、金属が露出した部分に集中した異常放電が生じて危険である。そのため、保護装置により装置を全面停止させなければならない、という問題があった。
【0008】
また、化学物質の分解除去効率を上げるために吸着剤の表面積を大きくすると、装置が大形化してしまう。吸着剤の厚さの増加及び放電均一化のために、吸着剤と対向する位置に、高圧電極を密に配置すると、圧力損失が大きくなるため、一定以上の処理風量を満足させるために、大容量のファンモータが必要となる、という問題があった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小形・低コストで、かつ、複数の放電ユニットのいずれかに異常電流を検出したとき、異常電流を検出した放電ユニットの高圧電源のみを遮断するようにし、他の高圧電源及び放電ユニットはそのまま稼動するようにしたガス浄化装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、プラズマ放電により生成される活性種により被浄化ガスに含まれる化学物質を分解除去する分解処理部を備え、送風機により吸込口から前記被浄化ガスを吸込んで前記分解処理部に送り込み、該分解処理部で前記被浄化ガスを浄化し、吹出口から吹出すガス浄化装置において、前記分解処理部は、多数に細分化した吸着剤を有する接地電極と、該接地電極に対向させて設置した高圧電極と、からなる電極ユニットを複数組備え、一組の前記電極ユニット毎に一つの高圧電源を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、小形・低コストで、稼動効率の良いガス浄化装置が得られる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明にかかるガス浄化装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかるガス浄化装置の実施の形態1を示す縦断面図であり、図2は、実施の形態1のガス浄化装置のシロッコファンの第1の配置例を示す横断面図であり、図3は、シロッコファンの第2の配置例を示す横断面図であり、図4は、シロッコファンの第3の配置例を示す縦断面図であり、図5は、シロッコファンの第3の配置例を示す横断面図であり、図6は、斜流ファンの配置例を示す縦断面図であり、図7は、分解処理部(放電空間)を示す透視図である。
【0014】
図1に示すように、実施の形態1のガス浄化装置100は、縦長直方体状に形成された筐体101を備えている。筐体101の前方上部には、斜め上方を向いた、被処理ガス1の吸込口2が設けられている。
【0015】
筐体101の天板後方には、ガス浄化装置100で浄化されたガスの吹出口9が設けられている。被処理ガス1には、粉塵等の粒子状物質や、化学物質としての、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、エチレン等の低濃度の揮発性有機化合物や、アンモニア等が含まれている。
【0016】
筐体101の前方下部には、制御装置10が設置され、前面板には、操作パネル11が設置されている。筐体101の後方上部には、分解処理部としてのガス浄化室102が形成され、後方下部には、送風機としてのシロッコファン4が設置されている。
【0017】
筐体101の前方上部から下部にかけて風路103が形成され、風路103の上流側には、粒子状物質分離手段としての除塵フィルタ3が設置されている。シロッコファン4及びガス浄化室102は、風路103の中流から下流部分を構成している。
【0018】
図7に示すように、ガス浄化室102の周囲には、多数に細分化した吸着剤としてのハニカム状触媒担持導電性吸着剤を有する接地電極5と、接地電極5に対向させて設置され誘電体で金属電極を被覆した高圧電極7とからなる一対の放電ユニット110を複数組(5組)、シロッコファン4の吹出口12を囲むように設置し、内部に放電空間を形成している。
【0019】
複数組の放電ユニット110でファン吹出口12を囲むようにした放電空間を設けることにより、吸着剤の表面積を増加させても装置内にコンパクトに収まり、また、放電空間内が加圧されて各吸着剤の全面に均一に被浄化ガス1が通過し易くなり、吸着剤を有効に作用させることができる。また、放電空間を閉空間とすることにより、化学物質を含んだ被浄化ガス1の放電空間からの漏れを防止する。
【0020】
接地電極5としてのハニカム状触媒担持導電性吸着剤は、小スペースで吸着剤表面積が極めて大きい。接地電極7は接地8されている。ハニカム状触媒担持導電性吸着剤5は、ハニカム構造を有する吸着剤を、(導電性)給電電極により、外周を覆うようにしたものである。
【0021】
吸着剤には、黒鉛、活性炭、シリカゲル、ゼオライト等が用いられ、被処理ガス1の通路となる細孔が設けられ、ハニカム状となっている。吸着剤表面に、二酸化マンガン、二酸化チタン、酸化亜鉛等の触媒作用を有する物質や、パラジウム、白金又はロジウム等の貴金属触媒を担持させ、触媒を併用して化学物質の分解除去効果を高めるようにする。
【0022】
吸着剤に貴金属触媒を併用することにより、無声放電による化学物質の分解除去と同時に、放電により生成する熱を利用して分解除去が行なわれ、省電力、高分解効率で化学物質の除去が行なわれる。
【0023】
粒子状物質としての粉塵及び化学物質としてのVOCsを含む被処理ガス1は、吸込口2から通風路103に吸込まれ、粒子状物質分離手段としての除塵フィルター3により粉塵が除去されて送風機としてのシロッコファン4に吸込まれる。シロッコファン4のファン吹出口12からガス浄化室102内に吹出された被処理ガス1は、複数組の放電ユニット110により浄化され、吹出口9から外部へ吹出される。
【0024】
一組の放電ユニット110には、一つの高圧電源6が設けられている。シロッコファン4から吹出された被浄化ガス1は、放電空間内で加圧状態となり、高圧電極7及びハニカム状触媒担持導電性吸着剤を有する接地電極5を均一に通過し、吸着剤全面を有効に活用する。
【0025】
高圧電源6は、トランスのみを一組の放電ユニット毎に配置し、制御部は一つにまとめてもよい。このようにした場合でも、各トランスに流れる電流が少なくなり、高圧電源6はコンパクトになる。
【0026】
また、図示しないが、高圧電源6の夫々に異常電流検出回路を設け、高圧電極7を被覆している誘電体の破損等により高圧電源6に異常電流が発生すると、異常電流を検出した高圧電源6のみを遮断するようにする。
【0027】
また、複数の高圧電源6のうち特定の高圧電源の異常電流を検出したとき、異常電流の発生及び発生箇所を表示する表示手段を設ける。異常電流を検出するのではなく、高圧電源6及び放電ユニット110の温度、光、音等の異常を検出するようにし、高圧電源6を遮断したり、異常の発生及び発生箇所を表示するようにしてもよい。
【0028】
ハニカム状触媒担持導電性吸着剤を有する接地電極5には、高圧電源6により高電圧が印加され、高圧電極7と接地電極5間に無声放電を発生させ、高圧電極7近傍にプラズマを発生させ、プラズマ放電により生成される活性種により化学物質を分解させ、吸着剤により除去している。
【0029】
シロッコファン4の設置向きは、図1及び図2に示すように吸込口を側方に向けたり、図3に示すように吸込口を前方に向けたり、図4及び図5に示すように吸込口を上向きにしたり、吸込口を任意の方向へ向けて設置することができる。また、図6に示すように、シロッコファン4に換えて斜流ダクトファン24を用いてもよい。
【0030】
実施の形態2.
図8は、本発明にかかるガス浄化装置の実施の形態2を示す横断面図である。図8に示すように、実施の形態2のガス浄化装置200は、シロッコファンとして、モータ24b側からも被浄化ガス1を吸込む両吸込シロッコファン24を備えている。
【0031】
両吸込シロッコファン24は、対向する二つの吸込口から被浄化ガス1を吸込むので、被浄化ガス1の流れが均一化され、下流の分解処理部102での浄化が効率的に行なわれる。また、両吸込シロッコファン24のメンテナンスは、筐体101の側面のメンテナンスカバー24cを取り外し、モータ24b及び翼24aだけを取り出して行なうことができる。
【0032】
ケーシングを含む両吸込シロッコファン24全体を取り外す必要はなく、メンテナンスが容易である。また、モータ24b周辺の風により、モータ24bの冷却効果が得られ、モータ24bを小形なものにすることができる。
【0033】
実施の形態3.
図9は、本発明にかかるガス浄化装置の実施の形態3を示す図であり、図10は、実施の形態3の他の例を示す図である。
【0034】
図9に示すように、実施の形態3のガス浄化装置300の放電ユニット130、131は、長方形厚板状に形成された接地電極35に対向させて、複数の細長薄板状の高圧電極37を平行に配置する。
【0035】
高圧電極37は、断面の縦辺と接地電極35に対向する横辺との比が、縦辺/横辺<1/20の長方形とし、横辺の幅を、接地電極35の幅の15%以下とする。また、横辺の幅を、高圧電極37と接地電極35間距離の7倍以下とし、かつ、接地電極35に対する高圧電極37の開口率を50%以上とし、接地電極35と高圧電極37間距離は、一定の等間隔とする。
【0036】
高圧電極37を、上記の形状と配置とすることにより、高圧電極37による被浄化ガス1の圧力損失を抑え、接地電極35の吸着剤を効率的に作用させることができる。また、図10に示す放電ユニット131のように、高圧電極37を接地電極35の両側に配置する場合は、一方側の高圧電極37は、他方側の2つの高圧電極37間に対向するように配置するようにし、放電が、接地電極(吸着剤)16の全面に均一に行き渡るようにする。
【0037】
実施の形態4.
図11は、本発明にかかるガス浄化装置の実施の形態4を示す図であり、図12は、実施の形態4の他の例を示す図である。
【0038】
図11に示すように、実施の形態4のガス浄化装置400の放電ユニット140、141は、長方形厚板状に形成された接地電極45に対向させて、複数の細長い高圧電極47を平行に配置する。
【0039】
高圧電極47は、細長丸棒状に形成され、外径を、φ1mm〜φ5mmとしている。また、接地電極45に対する高圧電極47の開口率は30%以上とし、接地電極45と高圧電極47の間の距離は、一定の等間隔とする。
【0040】
高圧電極47を、上記の形状と配置とすることにより、高圧電極47による被浄化ガス1の圧力損失を抑え、接地電極45の吸着剤16を効率的に作用させることができる。また、図12に示す放電ユニット141のように、高圧電極47を接地電極45の両側に配置するとよい。
【0041】
次に、寸法形状又は開口率の異なる複数の高圧電極の評価試験の結果について説明する。評価試験は、まず、断面が長方形のものについて行った。高圧電極板37単体の場合と、接地電極(吸着剤;190セル/inc2、厚さ16mm)35の両側に接地電極35から2mm離間させて平行に高圧電極板37を配置した場合について行ない、風量と圧力損失の関係について評価した。
【0042】
高圧電極板37には、幅10、15、20mmで開口率50%の3種類と、幅15mmで開口率30%、40%の2種類の合計5種類を用いた。それぞれの高圧電極板37について、接地電極(吸着剤)35を交換せずに風量と圧力損失を測定し、幅寸法および開口率の変化による圧力損失の変化を調べた。
【0043】
試験結果を、図13、図14及び図15に示す。図13中、縦軸は損失係数、横軸は板幅(mm)を示している。また、図14中、縦軸は、高圧電極37と接地電極35を組合せたときの圧力損失をb、高圧電極37と接地電極35各々単体の圧力損失の和をaとしたときの比(b/a)を示し、横軸は板幅(mm)を示している。
【0044】
試験の結果、同一開口率(50%)のときの高圧電極板幅の影響は、10mmと15mmでは、圧力損失は同レベル(損失係数5以下)であるが、高圧電極板幅20mmでは、圧力損失が増加(損失係数5超)する。
【0045】
また、接地電極35と組合せたときは、高圧電極板37と接地電極35各々単体の圧力損失の和よりも40〜100%増加した値となる。この原因は、高圧電極板37と接地電極35との間隔が2mmと狭いので、ガスが高圧電極板37を通過して拡散する前に接地電極(吸着剤)35に到達してしまい、吸着剤35全面にガスが行き渡らず、見かけ上、吸着剤のガス通過面積が減少しているためと考えられる。
【0046】
また、当然のことながら、高圧電極板37の幅が大きくなるほど、上記の影響を受けやすくなるので、圧力損失は増加するが、接地電極35と組合せたときの圧力損失bと、単体の圧力損失の和aとの比(b/a)を比較すると、10mm→15mmの増加率と比較し、15mm→20mmの増加率は大きくなる。同一開口率(50%)の場合、高圧電極板37単体及び接地電極35との組合せ時で共に、幅15mmを限界とし、それ以上大きくしたときは、急速に圧力損失が増大する。
【0047】
さらに、高圧電極板37の幅は同一幅(15mm)とし、開口率を、30%、40%、50%と変えたときの損失係数の変化を図15に示す。図15中、縦軸は損失係数、横軸は開口率(%)を示している。圧力損失は、開口率の増加に伴い比例的に減少していく。損失係数のレベル、及び、接地電極(吸着剤)35の見かけ上のガス通過面積減少を考えた場合、開口率50%は必要である。
【0048】
次に、断面が円形の細長棒状の高圧電極47について評価試験を行なった。高圧電極47単体の場合と、接地電極(吸着剤;190セル/inc2、厚さ16mm)45の両側に接地電極47から2mm離間させて平行に高圧電極棒47を配置した場合について試験を行ない、風量と圧力損失の関係について評価した。
【0049】
高圧電極棒47は、径φ4で、開口率30%、40%、50%の3種類を用いた。それぞれの高圧電極棒47について、接地電極45を交換することなく、風量と圧力損失を測定し、開口率の違いによる損失係数の変化を調べた。試験結果を図16に示す。図16中、縦軸は損失係数、横軸は開口率(%)を示している。
【0050】
試験の結果、開口率を、30%、40%、50%と変化させた場合、圧力損失は、開口率の増加に伴い比例的に減少していく。損失係数のレベル(5以下)を目安とすると、図16より、開口率は30%以上必要である。
【0051】
また、接地電極45と組合せたときは、高圧電極棒47と接地電極45各々単体の圧力損失の和よりも40〜100%増加した値となる。この原因は、高圧電極棒47と接地電極45との間隔が2mmと狭いので、ガスが高圧電極棒47を通過して拡散する前に接地電極(吸着剤)45に到達してしまい、吸着剤全面にガスが行き渡らず、見かけ上、吸着剤のガス通過面積が減少しているためと考えられる。
【0052】
また、接地電極45と組合せたときは、高圧電極棒47と接地電極45各々単体の圧力損失の和とほぼ同等の値となった。この理由は、高圧電極47の断面が円形であるので、高圧電極棒47を通過したガスが電極に巻き込まれて吸着剤全面に行き渡るためと考えられる。
【0053】
実施の形態5.
図17〜図20は、本発明にかかるガス浄化装置の実施の形態5を示す図である。図17〜図20に示すように、実施の形態5のガス浄化装置500の放電ユニット150、151、152、153は、高圧電極57、58を、接地電極55と略同じ面積の板状に形成し、パンチング等により円孔57a又は角孔58aを設けている。円孔57a又は角孔58aの開口率は、50%以上とする。
【0054】
高圧電極57、58を、接地電極55から離間させ、接地電極55と平行に配置する。図18、図20に示す放電ユニット151、153のように、高圧電極57、58を、接地電極55の両側に配置してもよい。
【0055】
実施の形態5のガス浄化装置500の放電ユニット150、151、152、153は、高圧電極57、58による圧力損失を低く抑え、放電ユニット150、151、152、153の接地電極(吸着剤)55を効率よく作用させることができる。
【0056】
実施の形態6.
図21及び図22は、本発明にかかるガス浄化装置の実施の形態6を示す図である。図21に示すように、実施の形態6のガス浄化装置600の放電ユニット160は、長方形厚板状に形成された接地電極65に対向させて、複数の細長薄板状の高圧電極67を平行に配置する。
【0057】
高圧電極67は、断面の縦辺と接地電極65に対向する横辺との比を、縦辺/横辺<1/20の長方形としている。高圧電極67は、縦辺(横辺の一端)を回転軸として、90°回動可能となっている。また、図22に示す放電ユニット161のように、高圧電極67を、接地電極65の両側に配置してもよい。
【0058】
実施の形態6のガス浄化装置600の放電ユニット160、161は、高圧電極67による圧力損失を低く抑え、接地電極(吸着剤)65を効率よく作用させることができる。ガス浄化装置600の連続運転により、化学物質を接地電極の吸着剤65に吸着させるときは、高圧電極67の横辺を吸着剤65に対して垂直にし、高圧電極67を開状態にして被浄化ガス1の流路を作り、放電分解時は、高圧電極67の横辺を吸着剤65に対して平行にし、高圧電極67を閉状態として放電分解を行なう。
【0059】
上述のように、高圧電極67を閉状態にし、吸着剤65を密閉して放電分解を行なう方法があるが、閉状態としたときでも、高圧電極67間に隙間を設け、被浄化ガス1を流しながら放電分解を行なってもよい。また、開閉する高圧電極67は、複数枚のものに限定されず、一枚板のものであってもよい。
【0060】
以上説明した、実施の形態3〜6の誘電体で被覆した高圧電極を用いれば、被浄化ガス1の風路が確保され、高圧電極による圧力損失が低減される。結果として、送風機のファン及びモータの容量を小型化することができ、モータの消費電力を抑えることができる。
【0061】
実施の形態7.
図23及び図24は、本発明にかかるガス浄化装置の実施の形態7を示す側面図である。図23に示すように、ガス浄化装置700の吸込口2及び吹出口9に、ダクトを接続できるようにフランジ部72、79を設ける。
【0062】
室内に充満している被浄化ガス1を浄化の対象とする場合は、図23に示すように、ダクトを接続せずに室内循環流を形成して室内浄化を行なう。ガス発生源が特定されている場合は、図24に示すように、フランジ部72、79にダクト72a、79aを接続し、局所浄化処理を行なうことができるようにする。フランジ部72、79により、ダクト72a、79aを着脱可能とし、使用目的に合わせてダクトを着脱するようにする。
【0063】
一定空間に充満している被浄化ガス1を対象とする場合は、ダクト72a、79aを接続せずに室内循環流形成による室内浄化を行い、ガス発生源が特定されている場合は、ダクト72a、78aを接続して局所浄化処理を行なう。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明にかかるガス浄化装置は、小形化、低消費電力化、低コスト化、更には、メンテンスを容易化したものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明にかかるガス浄化装置の実施の形態1を示す縦断面図である。
【図2】実施の形態1のガス浄化装置のシロッコファンの第1の配置例を示す横断面図である。
【図3】シロッコファンの第2の配置例を示す横断面図である。
【図4】シロッコファンの第3の配置例を示す縦断面図である。
【図5】シロッコファンの第3の配置例を示す横断面図である。
【図6】斜流ファンの配置例を示す縦断面図である。
【図7】実施の形態1のガス浄化装置の分解処理部を示す透視図である。
【図8】実施の形態2のガス浄化装置の両吸込シロッコファンを示す横断面図である。
【図9】実施の形態3のガス浄化装置の放電ユニットを示す断面図である。
【図10】実施の形態3のガス浄化装置の放電ユニットの他の例を示す断面図である。
【図11】実施の形態4のガス浄化装置の放電ユニットを示す断面図である。
【図12】実施の形態4のガス浄化装置の放電ユニットの他の例を示す断面図である。
【図13】実施の形態3の放電ユニットの特性を示す図である。
【図14】実施の形態3の放電ユニットの特性を示す図である。
【図15】実施の形態3の放電ユニットの特性を示す図である。
【図16】実施の形態4の放電ユニットの特性を示す図である。
【図17】実施の形態5のガス浄化装置の放電ユニットを示す断面図である。
【図18】実施の形態5のガス浄化装置の放電ユニットの他の例を示す断面図である。
【図19】実施の形態5のガス浄化装置の放電ユニットの別の例を示す断面図である。
【図20】実施の形態5のガス浄化装置の放電ユニットのさらに別の例を示す断面図である。
【図21】実施の形態6のガス浄化装置の放電ユニットを示す断面図である。
【図22】実施の形態6のガス浄化装置の放電ユニットの他の例を示す断面図である。
【図23】実施の形態7のガス浄化装置を示す側面図である。
【図24】実施の形態7のガス浄化装置の他の例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 被処理ガス
2 吸込口
3 除塵フィルター(粒子状物質分離手段)
4 シロッコファン(送風機)
14 斜流ファン(送風機)
5 接地電極(吸着剤)
6 高圧電源
7 高圧電極
8 接地
9 吹出口
10 制御回路
11 操作パネル
12 ファン吹出口
100 ガス浄化装置
101 筐体
102 ガス浄化室(分解処理部)
103 風路
110 電極ユニット
24 両吸込シロッコファン
200 ガス浄化装置
35,45 接地電極(吸着剤)
37,47 高圧電極
130,131,140,141 電極ユニット
300,400 ガス浄化装置
55 接地電極(吸着剤)
57,58 高圧電極
150,151,152,153 電極ユニット
500 ガス浄化装置
65 接地電極(吸着剤)
67 高圧電極
160,161 電極ユニット
600 ガス浄化装置
72,79 フランジ部
72a,79a ダクト
700 ガス浄化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ放電により生成される活性種により被浄化ガスに含まれる化学物質を分解除去する分解処理部を備え、送風機により吸込口から前記被浄化ガスを吸込んで前記分解処理部に送り込み、該分解処理部で前記被浄化ガスを浄化し、吹出口から吹出すガス浄化装置において、
前記分解処理部は、
多数に細分化した吸着剤を有する接地電極と、該接地電極に対向させて設置した高圧電極と、からなる電極ユニットを複数組備え、
一組の前記電極ユニット毎に一つの高圧電源を備えることを特徴とするガス浄化装置。
【請求項2】
前記接地電極は、ハニカム状触媒担持導電性吸着剤を有し、
前記高圧電極は、誘電体で被覆された金属電極であることを特徴とする請求項1に記載のガス浄化装置。
【請求項3】
前記高圧電源の夫々に異常電流検出回路を設け、前記高圧電極の前記誘電体の破損等により異常電流が発生すると、異常電流を検出した高圧電源のみを遮断するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス浄化装置。
【請求項4】
前記高圧電源のうち特定の高圧電源の異常電流を検知したとき、異常電流の発生及び発生箇所を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のガス浄化装置。
【請求項5】
前記複数組の放電ユニットを、前記送風機の吹出口を囲むように配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のガス浄化装置。
【請求項6】
前記分解処理部よりも上流側に設置され、前記被浄化ガスに含まれる粒子状物質を分離する粒子状物質分離手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のガス浄化装置。
【請求項7】
前記送風機は、両吸込シロッコファンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のガス浄化装置。
【請求項8】
前記高圧電極は、細長薄板状に形成され、断面の縦辺と前記接地電極に対向する横辺との比が、縦辺/横辺<1/20であり、横辺が前記接地電極の幅の15%以下、前記高圧電極と接地電極間距離の7倍以下、かつ、前記接地電極に対する前記高圧電極の開口率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のガス浄化装置。
【請求項9】
前記高圧電極は、前記縦辺を回転軸として、回動可能であることを特徴とする請求項8に記載のガス浄化装置。
【請求項10】
前記高圧電極は、前記接地電極の両側に設置され、一方側の高圧電極は、他方側の2つの高圧電極間に対向するように設置されていることを特徴とする請求項9に記載のガス浄化装置。
【請求項11】
前記高圧電極は、細長棒状に形成され、外径がφ1mm〜φ5mmであり、前記接地電極に対する前記高圧電極の開口率が30%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のガス浄化装置。
【請求項12】
前記高圧電極は、多数の円孔又は角孔を有する板状に形成され、前記孔の開口率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜7にいずれか一つに記載のガス浄化装置。
【請求項13】
前記高圧電極は、前記接地電極の両側に設置されていることを特徴とする請求項11又は12に記載のガス浄化装置。
【請求項14】
前記吸着剤として、貴金属触媒を併用することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載のガス浄化装置。
【請求項15】
前記貴金属触媒は、パラジウム、白金又はロジウムであることを特徴とする請求項14に記載のガス浄化装置。
【請求項16】
前記吸込口及び吹出口に、ダクト着脱用のフランジ部を備えることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一つに記載のガス浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−245739(P2008−245739A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88183(P2007−88183)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】