説明

ガス測定装置

【課題】回動操作により確実に流路を切り替えることができる切換弁を備えたガス測定装置を提供すること。
【解決手段】切換弁は、これを構成するスライド弁16の作動杆17に結合された枠体18と、一端が枠体18に遊嵌され、他端が外部操作可能なノブにより回動される軸に固定されたアーム20と、基台とアーム20との間に掛け渡されてアーム20を作動杆17のいずれかの一端側に付勢する引っ張りバネ21とにより構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の被測定流体を強制的に導入して成分を測定する装置、より詳細には流体の導入経路を切り替えるための切換弁の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
外部の被測定流体をポンプなどにより強制的にセンサーに導入して成分を測定する装置においては、流路を切換えることができるように操作性の良好なロータリー式三方弁が利用されている。
しかしながら、基本的にボール弁を使用した構造であるため、温度が降下した場合には熱膨張率の差に起因して封止性が低下する場合があり、メンテナンスに手間を要するなどの問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは回動操作により確実に流路を切り替えることができる切換弁を備えたガス測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような課題を達成するために請求項1の発明においては、外部からのサンプリングガスを切換弁を介してガスセンサーに供給して成分を測定するガス測定装置において、前記切換弁は、これを構成するスライド弁の作動杆に結合された枠体と、一端が前記枠体に遊嵌され、他端が外部操作可能なノブにより回動される軸に固定されたアームと、基台と前記アームとの間に掛け渡されて前記アームを前記作動杆のいずれかの一端側に付勢する引っ張りバネとにより構成されている。
【0005】
また請求項2の発明においては、前記アームと前記枠体との移動をそれぞれ検出するための移動検出手段が設けられている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、スライド操作に比較して操作性の良好な回動操作により流路の切換を可能としつつ、スライド弁が有する高い封止性により2つの流路のガスが混合するなどの不都合を防止することができる。
【0007】
請求項2の発明によれば、ノブの回動により流路が切換えられたかを確実に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施例を示すものであって、複数、この実施例ではそれぞれ異なる成分に感応する2つのガスセンサー1、2、及びこれらガスセンサー1、2からの信号を処理する信号処理手段3、及び本発明が特徴とする切換弁4をケース10に収容し、切換弁4を介して一方のガスセンサー1(2)に被測定流体を供給するように構成されている。
【0009】
切換弁4は外部から比較的操作のしやすい位置に切換えノブ5が設けられ、ノブ5の回動操作により流入口6を2つの流出口7、8のいずれか一方に連通させて一方のガスセンサーにのみ被測定流体を供給することができる。
【0010】
また、ケース10には外部の被検ガスを導入するガス導入口11、ガスセンサーに流入した被検ガスを外部に排出する排出口13が設けられ、ガス導入口11は切換弁4の流入口6に、さらにガスセンサー1、2のガス取り入れ口1a、2aがそれぞれ切換弁4の流出口7、8に図示しないチューブなどの管路により接続されている。なお、図中符号1b、2bは、センサー1、2のガス排出口を示す。
【0011】
図2は、上述の切換弁4の一実施例を示すものであって、基台14の一端側、この実施例では図中上部に往復動式の三方弁15が固定され、スライド弁16の作動杆17の両端には略「コ」字状の枠体18が往復動可能に取り付けられている。
【0012】
また、スライド弁16のほぼ中心線を通るように回転軸19が基台14を貫通するように設けられ、表面となる側にはノブ5が、また裏面となる側にはアーム20が固定されている。アーム20は一端側が枠体18に遊嵌されていて、アーム20の回動により枠体18を直線移動させるようになっている。
【0013】
アーム20の枠体側(図中、上部)と基台14との間には引っ張りバネ21が掛け渡されていて、スライド弁16の2つの死点に対応する位置を安定点として、いずれか一方の位置を保持するようなっている。
【0014】
また、アーム20の2安定点のそれぞれに対応する位置にはアーム20に接触してオンオフ動作するように移動検出手段としてのマイクロスイッチ22と、このアーム20の回動に枠体18が追従して移動したことを確認するために、枠体18の移動によりオンオフする移動検出手段としてのマイクロスイッチ23とが配置されている。
【0015】
これにより、ノブ5によりアーム20が回動されても、何かの不都合で枠体18が移動しない状態、つまり切換弁4が切換え操作されないといった状態を確実に検出できる。
【0016】
この実施例においてノブ5をバネ21の反力に抗して一方に回動すると、アーム20の回動につれて枠体18が一方の方向に移動してスライド弁16が他方の死点に移動し、バネ21の付勢力によりスライド弁16がパッキン25に押し付けられる。
【0017】
これにより、第2の流入口と流出口とが連通するとともに、第1の流入口と流出口とは弁室24に配置されたパッキン25とスライド弁16とにより完全に遮断され、被検流体が第2のガスセンサー2に流入する。
【0018】
この切換え操作により一方のマイクロスイッチ22がオンからオフに、他方のマイクロスイッチ23がオフからオンに切り替わる。なお、パッキン25は、作動杆17との間に流路を確保できる程度の間隙を形成する内径を備えたリング状に形成されている。
【0019】
これらマイクロスイッチ22、23のオンオフの切り替わりにより、三方弁15が切り替えられたことが確認できるため、信号処理手段3は第2のセンサー2の校正データに基づいて成分を検出する。
【0020】
もとより、レバー17は引っ張りバネ21により安定点に位置するように付勢されているので、ノブ5に若干の外力が作用した程度ではスライド弁16は移動せず、設定されている流路を維持する。
【0021】
なお、上述の実施例においては、サンプリングガスを2つのガスセンサーに振り分ける場合に例をとって説明したが、2種類のサンプリングガスのいずれかを1つのガスセンサーに切り替えて供給する場合に適用しても同様の作用を奏することは明らかである。
【0022】
すなわち、図1において流出口7、8のそれぞれをチューブなどによりサンプリング領域に連通させ、また流入口6をガスセンサーの流入口に接続することにより、2箇所のガスを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のガス検出装置の一実施例を示す図である。
【図2】同上ガス検出装置に使用されている三方切換弁の一実施例を示す正面図である。
【図3】同上三方切換弁の背面図である。
【図4】同上三方切換弁の側面図である。
【図5】同上三方切換弁の、図1における線分A−Aでの断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1、2 ガスセンサー
3 信号処理手段
4 切換弁
5 切換えノブ
6 流入口
7、8 流出口
14 基台
15 往復動式の三方弁
16 スライド弁
17 作動杆
18 略「コ」字状の枠体
19 回転軸
20 アーム
21 引っ張りバネ
22、23 マイクロスイッチ
24 弁室
25 パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からのサンプリングガスを切換弁を介してガスセンサーに供給して成分を測定するガス測定装置において、
前記切換弁は、これを構成するスライド弁の作動杆に結合された枠体と、一端が前記枠体に遊嵌され、他端が外部操作可能なノブにより回動される軸に固定されたアームと、基台と前記アームとの間に掛け渡されて前記アームを前記作動杆のいずれかの一端側に付勢する引っ張りバネとにより構成されているガス測定装置。
【請求項2】
前記アームと前記枠体との移動をそれぞれ検出するための移動検出手段が設けられている請求項1に記載のガス測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−226710(P2006−226710A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37686(P2005−37686)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000250421)理研計器株式会社 (216)
【Fターム(参考)】