説明

ガス炊飯器

【課題】 本体ケースの底面に、ガス配管接続用プラグ部と、本体ケースを支持する支持脚とが突設されていると共に、燃焼用空気を吸引するための吸引口が開口されているガス炊飯器において、ガス配管接続用プラグ部から漏れたガスが吸引口から吸引されないようにすること。
【解決手段】 ガス配管接続用プラグ部(12)を本体ケース(1)の底面(13)から水平方向の外側に突出させ、支持脚(2)を、ガス配管接続用プラグ部(12)と吸引口(10a)との間に、吸引口(10a)を包囲するように設けたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガス炊飯器を構成している本体ケース(1)は、図3に示すように、片開き式の蓋体(11)が装着され且つ炊飯釜が収容される上方開放の上部ケース(1a)と、前記上部ケース(1a)の下方に配設され且つガスバーナやこれの燃焼制御装置、さらには、保温用電熱ヒータ等が収容される下部ケース(1b)とからなり、前記下部ケース(1b)の底面(13)(炊飯器の底面)の前方寄りで且つ両側方寄りの各位置には、一対の前方支持脚(14)が突設されていると共に、後方支持脚(15)は、前記底面(13)の後側辺に沿って1つ設けられている。
【0003】
又、図3及び図4に示したものでは、前記ガスバーナへのガス取入口となるガス配管接続用プラグ部(12)が、前記下部ケース(1b)の一側方寄りで且つ後方寄りの底面(13)の所定位置から下方に突出しており、その先端の接続口は炊飯器の後方に向くように設定されている。前記前方及び後方支持脚(14)(15)の高さは、ガス配管接続用プラグ部(12)の突出高さ(プラグ部(12)の最大外径)よりも高く設定されている。
【0004】
前記プラグ部(12)は、ガスゴム管(23)に具備させた、所謂、ワンタッチカップリング形式のソケット(20)が着脱自在に接続可能な構成である。
又、前記下部ケース(1b)の底面(13)には、前記ガスバーナに燃焼用空気を送り込むための複数の吸引口(10a)(10b)(10c)が開口されている。前記底面(13)の中央及び後方寄りに形成されている大径の吸引口(10a)(10b)は、通常は、安全のために被覆蓋(図示せず)で略遊嵌状態に被覆されており、前記燃焼用空気は、前記被覆蓋との隙間や前記被覆蓋に設けたスリット等を介して、前記吸引口(10a)(10b)から本体ケース(1)の内部へ吸引される。
【0005】
【特許文献1】実開平1−101048号公報
【特許文献2】実開平7−36948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のガス炊飯器では、前記ガス配管接続用プラグ部(12)が本体ケース(1)の底面(13)から下方に突出しているため、前記ガス配管接続用プラグ部(12)の先端の接続口やその近傍にゴミや埃等が付着することがある。ゴミや埃が付着した状態で、前記ソケット(20)をプラグ部(12)に接続させてしまうと装着不良が生じ、この状態のまま使用すると、ガス漏れが生じることがある。
【0007】
前記ガスバーナの燃焼時には、前記下部ケース(1b)の底面(13)に設けた各吸引口(10a)(10b)(10c)の各々から燃焼用空気が吸引されるから、この吸引時に、プラグ部(12)とソケット(20)との接続部から漏れ出たガスが、前記燃焼用空気と共にガスバーナが収容されている下部ケース(1b)内に吸引されてしまうと、引火する危険がある。
【0008】
本発明は、『本体ケースの底面に、前記本体ケースに内蔵されているガスバーナにガスを供給するためのガス配管接続用プラグ部と、前記本体ケースを支持する支持脚とが突設されていると共に、燃焼用空気を吸引するための吸引口が開口されているガス炊飯器』において、ガス配管接続用プラグ部から漏れたガスが前記吸引口から本体ケース内に入り込まないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)請求項1に係る発明の技術的手段は、『前記ガス配管接続用プラグ部を前記本体ケースの前記底面から水平方向の外側に突出させ、
前記支持脚を、前記ガス配管接続用プラグ部と前記吸引口との間に、前記吸引口を包囲するように設けた』ことである。
上記技術的手段は次のように作用する。
ガス配管接続用プラグ部を炊飯器の本体ケースの底面から水平方向の外側に突出させる構成としたから、万一、ガス配管との接続部からガスが漏れても、漏れ出たガスが前記本体ケースの下方にこもることはない。又、前記本体ケースの底面に設けられている支持脚を、前記ガス配管接続用プラグ部と前記吸引口との間に、ガス吸引用の吸引口の周囲を包囲する形状に配設させる構成としたから、炊飯器が設置される設置面と本体ケースの底面との間の空間は、前記ガス配管接続用プラグ部と前記吸引口形成域との間で、前記支持脚によって遮断されることとなる。これにより、前記ガス配管接続用プラグ部から漏れたガスは、前記支持脚によって阻止されることとなり、前記吸引口へ入り込み難いものとなる。
【0010】
[請求項2の発明について]
請求項1に係る発明のガス炊飯器において、『前記ガス配管接続用プラグ部は、前記本体ケースの一側方寄りで且つ前記本体ケースの後方へ突出するように設けられ、前記支持脚は、前記吸引口の後方及び前記一側方を閉塞し且つ他側方に開放するように設けられている』ものでは、前記ガス配管接続用プラグ部を炊飯器の本体ケースよりも後方に突出するように設けたから、通常、壁際等、ガス炊飯器の後方に配設されているガスゴム管の先端に具備させているソケットを前記ガス配管接続用プラグ部に接続させ易い。又、前記ガス配管接続用プラグ部を前記本体ケースの一側方寄りに設けることにより、前記支持脚は、前記吸引口の前記一側方寄りを囲み且つ、他側方に開放する形状に構成したから、ガスは前記吸引口へ入り込みにくく、燃焼用空気は、前記支持脚の開放部分から前記吸引口へ吸引され易い。
【0011】
[請求項3の発明について]
請求項1又は2に係る発明のガス炊飯器において、『前記ガス配管接続用プラグ部は、略L字状に屈曲されており、その先端の接続口が側方及び上方を向くように、回動自在に装着されている』ものでは、前記前記ガス配管接続用プラグ部を、その接続口が一側方から上方を通って他側方へ向くように、少なくとも180度回動自在に装着させておけば、ガスゴム管のホースエンドの位置に応じて、前記ガス配管接続用プラグ部を回動させて前記接続口を所定の方向に向くように設定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記構成であるから次の特有の効果を有する。
請求項1に係る発明によれば、万一、ガス配管接続用プラグ部からガス漏れが生じた場合でも、ガス漏れが生じている空間と、燃焼用空気が吸引される吸引口が開放している空間との間は、支持脚によって遮断されて、前記ガスは前記吸引口へ入り込み難い構成となっているから、漏れたガスが吸引口から本体ケース内へ吸引されて引火する危険を防止することができ、安全性の高いガス炊飯器を提供することができる。
【0013】
上記の効果に加えて、請求項2の発明では、ガス配管接続用プラグ部にガスゴム管のホースエンドを接続させ易く、又、漏れ出たガスは吸引口へ吸引されず、燃焼用空気は吸引口へ吸引させ易い構成としたから、使い勝手が向上するという効果がある。
【0014】
上記の各効果に加えて、3項においては、炊飯器の設置状況に応じて、ガス配管接続用プラグ部の向きを自在に変更できるようにしたから、一層、使い勝手の良いガス炊飯器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明実施の形態のガス炊飯器の側面図を示しており、図2はその底面図である。
本発明のガス炊飯器の本体ケース(1)は、従来のものと同様に、上部ケース(1a)及び下部ケース(1b)とから、全体に略直方体状に形成されており、前記上部ケース(1a)は、炊飯釜(図示せず)が収容できるように、上方開放に構成されていると共に、その上方端後部には、片開き式の蓋体(11)が開閉自在に軸支されている。
【0016】
前記下部ケース(1b)には、図示しないが、ガスバーナの他、点火機構、感熱装置、燃焼制御装置、さらには、保温用ヒータ等からなる電気部品が内蔵されており、前記下部ケース(1b)の底面(13)には、前記ガスバーナへ燃料用ガスを送り込むガスゴム管(23)の一方端に具備させたソケット(20)が接続可能なガス配管接続用プラグ部(12)が、本体ケース(1)の後方へ突出するように配設させられている。
【0017】
前記ガスゴム管(23)の他端にも同様なソケット(21)が装着されており、例えば、壁面(4)に突設されているガス栓(22)に接続させて、前記ガス栓(22)とガス配管接続用プラグ部(12)とをガスゴム管(23)で繋ぐことにより、ガスバーナの燃焼部にガスを供給させることができる。
【0018】
前記底面(13)は、図1に示すように、中央よりもやや後方寄りに設けられた段部(16)を介して、本体ケース(1)の後方側(図面では右側)の後方底面(13a)と、前方側の前方底面(13b)とに分割されており、前記後方底面(13a)よりも前方底面(13b)の方が低く位置するように設定されている。
【0019】
前記後方底面(13a)には吸引口(10a)が開口しており、前方底面(13b)には、前記吸引口(10a)よりもさらに大きな吸引口(10b)と、長孔状の複数の吸引口(10c)が開口している。
尚、下部ケース(1b)には、上記したように電気部品が多数収容されているため、安全確保のために、図2に示すように、吸引口(10a)は、電気コード(3)が収容されているコードリール(31)で、吸引口(10b)は、蓋体(32)によってそれぞれ被覆されており、ガスバーナの燃焼用空気は、前記コードリール(31)と後方底面(13a)との隙間や、前記蓋体(32)に形成されている長孔状の吸引口(10d)と、前記吸引口(10c)から本体ケース(1)の内部に取り込まれる。
又、前記後方底面(13a)の、前記コードリール(31)の配設位置の一側方には、ガス配管接続用プラグ部(12)が突設されている。
【0020】
前記ガス配管接続用プラグ部(12)は、略L字状に屈曲する胴部(12a)の先端に、ガスゴム管(23)のソケット(20)が接続される接続口(12b)が具備されており、前記接続口(12b)が、本体ケース(1)の両側方及び上方に向くように、回動自在に装着されているものとする。図1は、接続口(12b)を上方に向けた状態を表しており、図2は、一側方に向けた状態を表している。
【0021】
尚、前記ガス配管接続用プラグ部(12)の胴部(12a)はカバー体(17)で被覆されている。
前方底面(13b)の前端部には一対の前方支持脚(14)を、前記カバー体(17)よりも高く突設させていると共に、後方底面(13a)の後端部には、前記コードリール(31)を囲むように、後方支持脚(2)を前記前方支持脚(14)と同じ高さに突設させて、設置面(40)上におけるバランスを保っている。
【0022】
前記後方支持脚(2)は、前記カバー体(17)とコードリール(31)との間に突設されている側壁部(2a)と、コードリール(31)の後方に位置する後壁部(2b)と、コードリール(31)の他方側へやや延びる延長壁部(2c)とから全体に一体的に形成されている。これにより、前記コードリール(31)は、ガス配管接続用プラグ部(12)側の側方及び後方、さらに、ガス配管接続用プラグ部(12)と反対側の側方に渡って、前記後方支持脚(2)によって包囲された態様となり、炊飯器を設置面(40)に設置した状態においては、前方底面(13b)に設けられた前方支持脚(14)と、後方底面(13a)に設けられた後方支持脚(2)とが設置面(40)に接触する態様となると共に、コードリール(31)が配設されている前記後方支持脚(2)の内側の空間と、ガス配管接続用プラグ部(12)が配設されている前記後方支持脚(2)の外側の空間とは、前記後方支持脚(2)によって確実に遮断される態様となる。
【0023】
但し、延長壁部(2c)の端縁から段部(16)に至る範囲は連通状態に開放しており、この開放部(34)から、コードリール(31)内の電気コード(3)を本体ケース(1)の外方へ引き出すことができると共に、吸引口(10a)へ燃焼用空気を吸引させることができる。
これにより、ガス配管接続用プラグ部(12)の接続口(12b)やその近傍にゴミや埃が付着し、ソケット(20)を接続させたときの接続不良によって接続部からガス漏れが生じるようなことがあっても、ガス配管接続用プラグ部(12)は後方支持脚(2)の外側の空間内に位置し、吸引口(10a)は後方支持脚(2)の内側の空間内に位置するため、漏れ出たガスは前記後方支持脚(2)で遮断され、吸引口(10a)側へ流れにくい構成となっている。よって、ガスは、吸引口(10a)から吸引されにくく、ガス配管接続用プラグ部(12)の接続部からガスが漏れた場合でも、本体ケース(1)内に引き込まれて引火する危険を防止することができる。
【0024】
ガス栓(22)の配設位置と炊飯器の設置場所との関係により、ガス配管接続用プラグ部(12)の接続口(12b)の向きを自在に設定することができるから、ガスゴム管(23)が無理に屈曲させられたり、壁面(4)との間で嵩張ったりする不都合がない。
そして、コードリール(31)から引き出された電気コード(3)の電気プラグ(30)を、壁面(4)等に配設されているコンセント(33)に接続させれば、ガス炊飯器の設置が完了する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】発明の実施の形態のガス炊飯器の側面図。
【図2】発明の実施の形態のガス炊飯器の底面図。
【図3】従来のガス炊飯器の側面図。
【図4】従来のガス炊飯器の底面図。
【符号の説明】
【0026】
(1) ・・・・・・・・本体ケース
(10a)(10b)(10c) ・・吸引口
(12)・・・・・・・・ガス配管接続用プラグ部
(13)・・・・・・・・底面
(2) ・・・・・・・・後方支持脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの底面に、前記本体ケースに内蔵されているガスバーナにガスを供給するためのガス配管接続用プラグ部と、前記本体ケースを支持する支持脚とが突設されていると共に、燃焼用空気を吸引するための吸引口が開口されているガス炊飯器において、
前記ガス配管接続用プラグ部を前記本体ケースの前記底面から水平方向の外側に突出させ、
前記支持脚を、前記ガス配管接続用プラグ部と前記吸引口との間に、前記吸引口を包囲するように設けたことを特徴とするガス炊飯器。
【請求項2】
請求項1に記載のガス炊飯器において、前記ガス配管接続用プラグ部は、前記本体ケースの一側方寄りで且つ前記本体ケースの後方へ突出するように設けられ、前記支持脚は、前記吸引口の後方及び前記一側方を閉塞し且つ他側方に開放するように設けられていることを特徴とするガス炊飯器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガス炊飯器において、前記ガス配管接続用プラグ部は、略L字状に屈曲されており、その先端の接続口が側方及び上方を向くように、回動自在に装着されていることを特徴とするガス炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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