説明

ガス精製の構成および方法

酸性ガスを、吸収体において供給ガスから除去し、吸収体は、処理済み供給ガスおよびリッチ溶媒を生成する。処理済み供給ガスはH2Sスカベンジャー床を通過し、H2Sスカベンジャー床は、リッチ溶媒からフラッシングされた、H2Sが枯渇した酸性ガスを使用して再生される。最も好ましくは、再生床からのオフガスをフォーメーション中に注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年9月29日に出願された本発明者らの米国特許仮出願番号第61/246896号明細書の優先権を主張する。
【0002】
本発明の分野は、供給ガスからの酸性ガスの除去であり、特に、高いCO2(二酸化炭素)およびH2S(硫化水素)含量を有する高圧ガスからの酸性ガスの除去、ならびにパイプライン品質の生成物ガスおよび再注入のための濃縮されたCO2流の生成に関する。
【背景技術】
【0003】
硫黄が少ない天然ガス田が枯渇しつつあるため、今日のエネルギー需要を満たすために、サワーガス田からのガス生産がますます一般となってきている。これらのサワーガス田、特に高度サワーガス田からの酸性ガスの除去は、かなりの資本投資および操業費用を必要とする。これらのプラントは経済性を示さなくてはならない一方、エネルギー効率および排出基準について厳密な必要条件が増加している今日のガスパイプラインの規格もまた、満たさなくてはならない。これらの課題を複雑にしているのは、これらのガス田の酸性ガス含量は経時的に増加することが多く、このため従来型酸性ガス除去プラントでは、現在の消費者用ガスパイプラインの規格を満たす生成物を生成できない場合が多いことである。
【0004】
酸性ガスは、通常のアミン工程を使用して除去することができるが、このような工程は、アミン溶媒の循環を供給ガスの酸性ガス含量と比例して増加させなくてはならず、これによって溶媒再生においてより高い蒸気加熱の効率を必要とし、これによってより多くの温室効果ガスが排出されるため、一般に経済的ではない。さらに、アミンと酸性ガスとの間の化学平衡によって主に制御される酸性ガス充填能力(即ち、アミン1モル当たりの酸性ガスのモル)の上限がまた存在する。これらの問題の少なくとも幾つかを解決するために、溶媒の酸性ガス充填は酸性ガスの含量および分圧と共に上昇するというヘンリーの法則の原理で作動する物理溶媒を用い得る。従って、少なくとも概念的には、酸性ガスの物理溶媒による吸収は、高酸性ガス田にとって比較的魅力的である。溶媒再生は、フラッシュ再生によって少なくともある程度達成することができ、これによって加熱する必要性がなくなり、温室効果ガスの排出を減少させる。しかし、外部加熱なしでは、物理溶媒は部分的に再生することができるだけであり、従ってパイプラインガスの規格(例えば、1mol%のCO2、4ppmvのH2S)を満たす生成物を生成するためのサワーガスの処理に適さないことが多い。例えば、従来の物理溶媒工程が、高いH2S含量(例えば、≧100ppmv)を有する供給ガスの処理のために使用されるとき、物理溶媒工程は典型的には、処理済みガスについてのH2Sの限度を超える。ガスの品質を改善するために、硫黄スカベンジャー床を使用して、供給ガスまたは生成物中のH2Sを吸着することができる。しかし、このような解決法は一時的であり、ほとんどの場合、硫黄プラントの存在を必要とする。さらに、使用済みの硫黄汚染された床の処分および取扱いは、環境的に容認されないことが多い。
【0005】
従って、供給ガスから酸性ガスを除去するための様々な構成および方法が公知であるが、供給ガスの全てまたはほとんど全ては、1つ以上の不都合に見舞われる。とりわけ、処理済みガス中のH2Sレベルは高いことが多く、物理溶媒の使用は、熱の使用がないと、ガスパイプラインの規格を満たす処理済みガスを生成するのに適さない。従って、酸性ガス除去のための改善された方法および構成を提供する必要性が、依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主題は、物理溶媒吸収工程を用いた、処理済みガスおよびCO2リッチ流を生成する、供給ガスから酸性ガスを除去するシステム、構成、および方法に関する。H2Sは、1つ以上の分子篩によって処理済みガスから除去され、次いで分子篩はCO2リッチ流を用いて再生され、このようにしてH2S濃縮CO2生成物が生成され、H2S濃縮CO2生成物は好ましくは脱水され、再注入される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主題の特に好ましい態様において、CO2およびH2S含有供給ガスを処理する方法には、フラッシングされたリーン物理溶媒を使用して、吸収体において供給ガスからCO2を除去し、処理済みガスおよびリッチ溶媒を形成する1つのステップが含まれる。別のステップにおいて、H2Sは、分子篩床を使用して処理済みガスから除去され、H2S充填分子篩床が形成され、また別のステップにおいて、リッチ溶媒をフラッシングして、フラッシングされたリーン溶媒を生成し、フラッシングされたリーン溶媒を吸収体に再導入し、CO2リッチ流をさらに生成する。次いで、H2S充填分子篩床を、CO2リッチ流を使用して再生し、これによってH2S濃縮CO2生成物を形成させる。
【0008】
最も典型的には、さらなる分子篩床を使用したH2S充填分子篩床を再生するステップの前に、H2Sを、CO2リッチ流から除去し、および/または水を、H2S濃縮CO2生成物から除去する。H2S濃縮CO2生成物は、圧縮され、隔離もしくは増強された油回収のためのフォーメーションまたは他の好適な場所に再注入されることがさらに一般に好ましい。さらに、CO2リッチ流を、H2S充填分子篩床を再生するステップのために加熱することが好ましい。
【0009】
意図した方法において、リッチ溶媒をフラッシングするステップが、真空フラッシングするステップを含み、および/またはリッチ溶媒をフラッシングするステップが、多段階フラッシングに亘り行われることが一般に好ましく、多段階フラッシングの少なくとも1つによって、炭化水素濃縮蒸気が生成され、炭化水素濃縮蒸気は、最も好ましくは圧縮され、また供給ガスと合わされる。本発明の主題に限定されないが、実質的に全て(即ち、少なくとも80%、より典型的には少なくとも90%、最も典型的には少なくとも95%)のCO2リッチ流は、リッチ溶媒を加熱することなくリッチ溶媒から形成されることが一般に好ましい。同様に、供給ガスからC5+炭化水素を凝縮除去するため供給ガスは、脱水および冷却されることが好ましい。
【0010】
従って、別の角度から見ると、1ステップにおいて、分子篩床をCO2が除去されている処理済み供給ガスと接触させ、このようにしてH2S充填分子篩床を形成させる、H2S充填分子篩床を再生する方法が意図される。別のステップにおいて、H2S充填分子篩床をCO2と接触させ、これによって分子篩床を再生し、またH2S濃縮CO2生成物を形成させる。このような方法において、H2S充填分子篩床とCO2とを接触させるステップの前に、H2Sがさらなる分子篩床を使用してCO2から除去されていること、および/または水が凝縮され、H2S濃縮CO2生成物から除去されることが典型的には好ましい。所望の場合、H2S濃縮CO2生成物は、フォーメーションまたは他の好適な場所に再注入される。
【0011】
上記に照らして、本発明者はまた、吸収体を含む酸性ガス処理プラントを意図し、吸収体においてフラッシングされたリーン物理溶媒が、供給ガスからのCO2およびH2Sを吸着し、処理済みガスおよびリッチ溶媒を生成する。分子篩床を含む第1の容器は、吸収体に連結し、処理済みガスからのH2Sおよび水の吸着を可能にし、一方フラッシュ容器は、吸収体に連結し、リッチ溶媒を受け取り、またCO2リッチ流およびフラッシングされたリーン溶媒を生成するように構成される。H2S充填分子篩床を含む第2の容器は、フラッシュ容器と流体的に連結され、CO2リッチ流を受け取り、これによってH2S濃縮CO2生成物および再生された分子篩床が生成される。
【0012】
意図するプラントには好ましくは、フラッシュ容器と第2の容器とを流体的に連結し、またCO2リッチ流を加熱するヒーター、および/または吸収体とフラッシュ容器とを流体的に連結して、炭化水素再循環流を生成する中圧フラッシュ容器がさらに含まれる。炭化水素再循環流と供給ガスとを結合させることを可能とする再循環導管が提供されることがまたさらに好ましい。最も典型的には、意図するプラントにはまた、CO2リッチ流からH2Sを除去するためのさらなる分子篩床を有する第3の容器が含まれる。所望の場合または他の点で必要な場合、冷却機(chiller)が吸収体の上流で流体的に連結され、供給ガスを、供給ガスから水およびC5+炭化水素を凝縮および除去するための温度に冷却する。
【0013】
本発明の様々な目的、特徴、態様および利点は、本発明の好ましい実施形態の下記の詳細な説明からより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の主題によるプラントのための、物理溶媒を使用する酸性ガス除去についての例示的な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、二段階除去工程を用いた、供給ガスからCO2およびH2Sを除去する構成および方法に関するものであって、従来型物理溶媒吸収工程を用いた第1のステップにおいて、酸性ガスを除去し、1つ以上の分子篩床を使用する第2のステップにおいて、残留酸性ガス、特にH2Sおよび水を処理済みガスから除去する二段階除去工程を用いた構成および方法に関する。
【0016】
最も好ましくは、H2S充填分子篩床を、第1の除去ステップから生成されるCO2リッチ流を使用して再生させる。従って、2つの異なる汚染物質を供給ガスから除去することができ、1つの汚染物質は分子篩床に吸着され、他の汚染物質を使用して分子篩床を再生し、これによって両方の汚染物質を有するオフガスおよび望ましい特性を有する処理済みガス(例えば、処理済みガスは、パイプラインの規格に適合する)が形成されることが理解されよう。
【0017】
本発明の主題の特に好ましい一態様において、物理溶媒ユニットを使用して、酸性ガスの大部分を供給ガスから除去し、このように形成されたリッチ物理溶媒を、好ましくは多段階フラッシュ再生分離器において再生し、一方炭化水素内容物を回収および再循環させる。好ましくは、炭化水素の減少は、再循環ループによって5%未満に、さらに好ましくは4%未満に、最も好ましくは2%未満に減少し、一方分子篩床の再生のために使用される最後のフラッシュ段階からの酸性ガスの生成が可能となる。最後のフラッシュ段階からの酸性ガスを最も好ましくは、典型的にはさらなる分子篩床を使用して、H2S除去ステップに供する。
【0018】
特に好ましい態様において、分子篩による吸着段階には、物理溶媒吸収ステップからの処理済みガスの残留H2S内容物を吸着する少なくとも2つの吸着床、好ましくは4つ、またはこれより多い吸着床が含まれ、4ppmv未満、さらに好ましくは2ppmv未満のH2Sおよび/または水分含有量を有する処理済みガスを生成する。上で述べたように、フラッシュ再生段階からのCO2リッチ流の少なくとも一部を、1つ以上の分子篩床を通過させ、H2Sが枯渇したCO2流を生成し、次いでH2Sが枯渇したCO2流を、典型的には冷却および加熱サイクル(例えば、400から600°F、および400から600psigで)を使用して、H2S充填分子篩床を再生するために使用する。
【0019】
本発明の主題による1つの例示的なプラントの構成を、図1に示す。典型的には約100°Fおよび約1200psigで12mol%のCO2および約100ppmvのH2Sを有する供給ガス流1を、ユニット90において乾燥および冷却し、C5+液体流91を生成する。「約」という用語は、数字と併せて本明細書において使用される場合、この数字の+/−10%の範囲(+/−10%を含めて)を意味する。乾燥ステップは典型的には、CO2吸収体51において水和物の形成を防止するために必要である。さらに、乾燥および冷却ステップはまた、C5+炭化水素生成物の回収を可能とする。次いで、乾燥したガスを再循環ガス流9と混合し、流5を形成し、約−15°Fでフラッシングされたリーン溶媒流2によって向流で浄化し、約−10°Fで処理済みガス流3が、および約−1°Fでリッチ溶媒流4が生成される。最も典型的には、吸収体は、酸性ガス吸収のためのパッキングもしくはトレー、または他の好適な媒体を含めて接触装置を含有する。処理済みガス流3は、約2mol%のCO2および約6から10ppmvのH2S(またはこれより高い。)を含有し、分子篩床63および64に供給され、このH2S含量を4ppmv未満(好ましくは1ppmv未満)に、水分含有量を2ppmv未満にさらに減少させ、生成物流6として販売用ガスパイプラインの規格を満たす。
【0020】
水車52によってリッチ溶媒流4の圧力を約350から750psigに低下させ、流7を−8°Fで形成させる。次いで、レットダウン流(低下流)を分離器53中で分離し、フラッシングされた炭化水素濃縮蒸気流8およびフラッシングされた液体流10を生成する。
【0021】
次いで、CO2リッチ流20をH2S吸着のためにさらなる分子篩床67中で処理し、H2Sが枯渇したCO2リッチ流21を生成し、分子篩床66を冷却するためにH2Sが枯渇したCO2リッチ流21を使用し、加熱されたCO2リッチ流22を生成し、加熱されたCO2リッチ流22をヒーター71中で約500から600°Fにさらに加熱し、このようにして流23を形成させ、次いで流23をH2S充填分子篩床65の再生のために使用する。H2S濃縮CO2生成物流24を、冷却器(cooler)70中で約90°Fに冷却し、流25を形成させる。流25の水凝縮物を分離し、分離器68中で除去し、一方蒸気26を脱水ユニット69中で乾燥させ、乾燥ガス27を生成し、乾燥ガス27をHP CO2コンプレッサー72によって約4000psigにさらに圧縮し、流28を形成させ、流28をCO2再注入のために使用する。
【0022】
従って、フラッシングされたリーン物理溶媒を使用して、吸収体においてCO2を供給ガスから除去し、このように処理済みガスおよびリッチ溶媒を形成させる、CO2およびH2S含有供給ガスを処理する方法が意図されることが理解されよう。次いで、H2Sを、分子篩床を使用して処理済みガスから除去し、これによってH2S充填分子篩床を形成させ、H2S充填分子篩床をCO2リッチ流の少なくとも一部を使用して再生し、これによってH2S濃縮CO2生成物を形成させる(CO2リッチ流は、リッチ溶媒をフラッシングすることによって生成する)。
【0023】
当然ながら、図1の例示的なプラントの多数の変形例を、本明細書において示す発明概念から逸脱することなく実行できることを認識すべきである。例えば、図1における全ての分子篩床は固定設備として表されている一方、好適な制御ユニット、バルブ、および導管を使用して完全に自動化された様式で分子篩床のインプットおよびアウトプットを切り換えることができる構成および方法が意図されることに留意すべきである。従って、1つの床は、吸収体と流体的に連結されて処理済みガスを受け取り、一方他の床は、さらなる分子篩床の出口と流体的に連結されるように、H2Sを処理済みガス流から連続的様式で除去することができる。結果的に、特に好ましい構成は、(例えば、並行して、または連続して、63または64を置き換えた)吸着セクション中の分子篩床の少なくとも1つが、再生セクションの(例えば、並行して、または連続して、65、66、または67を置き換えた)少なくとも1つの位置と流体的に連結することができる構成である。従って、過剰な分子篩床が好ましくは配置および連結され、処理済みガスおよび/またはH2S濃縮CO2生成物の連続フロー(図示せず)を可能とし、一方、H2S充填分子篩床を再生された分子篩床に変化させる。代わりに、様々な容器の間で、フローを手動で切り換えることができる。またさらなる意図した構成において、1つ以上の容器を物理的に交換して、再生された、および/または飽和した容器を置き換えることができる。
【0024】
好適な供給ガスに関して、このようなガスの圧力は相当に変化してもよく、またガスの性質によって圧力が少なくとも部分的に決定されることが理解されよう。しかし、供給ガスが少なくとも400psig、より典型的には少なくとも1000psig、最も典型的には少なくとも1200psigの圧力を有することが特に好ましい。同様に、多数の供給ガス組成物は、本明細書において示される教示と合わせて使用するのに適していると見なされる。しかし、供給ガスが、少なくとも10mol%、最も好ましくは30mol%以上のCO2、および少なくとも100ppmv、最も好ましくは少なくとも1000ppmvのH2Sを含み、一方では物理溶媒ユニットからの処理済みガスが典型的には、2%のCO2および10ppmv以上のH2Sを含有することが特に好ましい。処理済みガスをH2Sスカベンジャー床に通過させた後、H2S濃度は、5ppmv以下、さらに好ましくは3ppmv以下、最も好ましくは1ppmv以下であることが好ましい。
【0025】
溶媒の性質は相当に変化してもよく、全ての物理溶媒およびこれらの混合物は本明細書における使用に適切であると見なされることをまた認識すべきである。当技術分野において公知の多数の物理溶媒があり、例示的な好ましい物理溶媒には、FLUOR SOLVENT(商標)(炭酸プロピレン)、NMP(ノルマル−メチルピロリドン)、SELEXOL(商標)(ポリエチレングリコールのジメチルエーテル)、およびTBP(リン酸トリブチル)、および/または様々なポリエチレングリコールジアルキルエーテルが含まれる。代わりに、増強した第三級アミン(例えば、ピペラジン)、または物理溶媒と同様の挙動を有する他の溶媒または溶媒の混合物を含めた他の溶媒を用いてもよい。
【0026】
リッチ溶媒のフラッシングは多数の装置を使用して行ってもよく、全ての減圧装置は本明細書における使用に適していることが、一般に意図される。しかし、減圧の量に関して、リッチ溶媒(作業および/または冷却を提供した後)の圧力を最初に約20から70%のメタン含量を有するフラッシングされた蒸気を放出するのに十分な圧力に下げることが典型的には好ましい。これらの蒸気は、最も好ましくは吸収体に再循環され、メタンの減少を5%未満、最も好ましくは1%未満に最小化させる。このような減圧の後、溶媒の圧力を次いで好ましくは、最も典型的には少なくとも2段階で、大気圧または準大気圧に減少させる。(真空)フラッシュ段階からこのように生成されたCO2流は典型的には、5mol%未満、より典型的には2.5mol%未満のC4+炭化水素を含有し、これによって、このようなH2S濃縮CO2生成物はEORに適したものとなる。望ましい場合、凝縮および/または公知の脱水ユニットを使用して、H2S濃縮CO2生成物から水を除去する。
【0027】
意図した構成および方法において、水車は、作業(例えば、溶媒循環ポンプを駆動し、または電力を発生させる。)を提供するシャフト作業を提供する一方で、酸性ガス内容物の膨張およびフラッシングによって冷蔵冷却を生じさせるため、エネルギー効率のよい装置を作動させることに留意すべきである。多段階分離器を使用して効率をさらに改善することができ、多段階分離器はプロット空間の設置面積および機器費用を最小化するための積重ね式分離器として構成されてもよく、さらに効率的な設計がもたらされることをまた認識すべきである。
【0028】
結果的に、本発明の主題による構成は、アミンもしくは他の物理溶媒、または膜を含めた従来の酸性ガス除去工程と比較して、強い酸性ガス除去のための全体的なエネルギー消費および資本経費を相当に減少させることが意図されている。さらに、意図した構成および方法は典型的には、外部の熱源を必要とせず、必要に応じて、熱は、冷蔵および/または供給ガス圧縮システムからの供給ガスまたは圧縮熱によって供給され、このようにしてエネルギー消費および環境に対する悪影響がさらに減少する。またさらに、増強された油回収事業は、供給ガスにおける酸性ガス濃度の増加、典型的には10%から60%までの増加に直面することが多い。意図した構成および方法は、本質的に同じ溶媒循環により、これらの変化に適応させることができる。
【0029】
意図した方法および構成の別の利点は、従来の硫黄スカベンジャー床の使用済みの固形廃棄物の取扱いなど、支援オフサイトおよびユーティリティシステムを必要とすることがより少ないという簡便さにあり、これによって環境への影響を大幅に減少させる。本明細書における使用に適したさらなる態様、方法、および構成は、本発明者らのU.S.Patent No.7,192,468、U.S.Pat.Appl.No.2005/0172807として公開された係属中の米国特許出願、および本発明者らの国際特許出願PCT/US10/49058に記載されており、これらの全ては参照により本明細書に組み込まれている。
【0030】
このように、酸性ガス除去の特定の組成物および方法が開示されてきた。しかし、本明細書における発明概念から逸脱することなく、既に記載されているもの以外に、さらに多くの変形形態が可能であることが当業者には明らかである。従って、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の精神における以外は制限されない。さらに、明細書および特許請求の範囲の両方の解釈において、全ての用語は、状況と一致する最も広い可能な様式で解釈すべきである。特に、「含む」および「含むこと」という用語は、非排他的な様式での要素、成分、またはステップを意味すると解釈すべきであり、参照した要素、成分、またはステップは、明確に言及しない他の要素、成分、またはステップと共に存在、または利用、または合わせ得ることを示す。さらに、参照により本明細書に組み込まれている参照文献中の用語の定義または使用が、本明細書において提供する用語の定義と一致しない、または反対である場合、本明細書において提供する用語の定義を適用し、参照文献中の用語の定義は適用しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO2およびH2Sを含む供給ガスを処理する方法であって、
フラッシングされたリーン物理溶媒を使用して、吸収体において供給ガスからCO2を除去し、こうして処理済みガスおよびリッチ溶媒を形成させることと、
分子篩床を使用して処理済みガスからH2Sを除去し、これによってH2S充填分子篩床を形成することと、
リッチ溶媒をフラッシングし、フラッシングされたリーン溶媒およびCO2リッチ流を生成することと、
CO2リッチ流を使用してH2S充填分子篩床を再生し、これによってH2S濃縮CO2生成物を形成することと
を含む、上記方法。
【請求項2】
さらなる分子篩床を使用してH2S充填分子篩床を再生するステップの前に、H2Sを、CO2リッチ流から除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
H2S濃縮CO2生成物から水を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
H2S濃縮CO2生成物を圧縮および再注入するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
H2S充填分子篩床を再生するステップのために、CO2リッチ流を加熱するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
リッチ溶媒をフラッシングするステップが、真空フラッシングのステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
リッチ溶媒をフラッシングするステップが、多段階フラッシングに亘って行われ、多段階フラッシングの少なくとも1つが、炭化水素濃縮蒸気を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
炭化水素濃縮蒸気を圧縮し、圧縮炭化水素濃縮蒸気と供給ガスとを結合させるステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
CO2リッチ流の実質的に全てが、リッチ溶媒を加熱することなくリッチ溶媒から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
供給ガスを脱水および冷却して凝縮させ、供給ガスからC5+炭化水素を除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
H2S充填分子篩床を再生する方法であって、
分子篩床と、CO2が除去されている処理済み供給ガスとを接触させ、こうしてH2S充填分子篩床を形成させることと、
H2S充填分子篩床とCO2とを接触させ、これによって分子篩床を再生し、H2S濃縮CO2生成物を形成させることと
を含む、上記方法。
【請求項12】
H2S充填分子篩床とCO2とを接触させるステップの前に、H2Sが、さらなる分子篩床を使用してCO2から除去されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
H2S濃縮CO2生成物から水を凝縮および除去するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
H2S濃縮CO2生成物を再注入するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
酸性ガス処理プラントであって、
フラッシングされたリーン物理溶媒を使用して、供給ガスからのCO2およびH2Sの吸収が可能となるように構成され、これによって処理済みガスおよびリッチ溶媒の生成を可能とする吸収体と、
分子篩床を含み、かつ吸収体と連結し、処理済みガスからのH2Sおよび水の吸着を可能とする第1の容器と、
吸収体に連結し、かつリッチ溶媒を受け取り、CO2リッチ流およびフラッシングされたリーン溶媒を生成するように構成されたフラッシュ容器と、
H2S充填分子篩床を含み、かつフラッシュ容器と流体的に連結され、CO2リッチ流を受け取り、これによってH2S濃縮CO2生成物および再生された分子篩床を生成する第2の容器と
を含む、上記酸性ガス処理プラント。
【請求項16】
フラッシュ容器と第2の容器とを流体的に連結し、かつCO2リッチ流を加熱できるように構成されたヒーターをさらに含む、請求項15に記載の酸性ガス処理プラント。
【請求項17】
吸収体とフラッシュ容器とを流体的に連結し、かつ炭化水素再循環流を生成するように構成された中圧フラッシュ容器をさらに含む、請求項15に記載の酸性ガス処理プラント。
【請求項18】
炭化水素再循環流を供給ガスに結合できるように構成された再循環導管をさらに含む、請求項17に記載の酸性ガス処理プラント。
【請求項19】
さらなる分子篩床を含み、かつCO2リッチ流からH2Sを除去するように構成された第3の容器をさらに含む、請求項15に記載の酸性ガス処理プラント。
【請求項20】
吸収体の上流で流体的に連結され、かつ供給ガスを供給ガスからの水およびC5+炭化水素の凝縮および除去を可能とする温度に冷却するように構成された、冷却機をさらに含む、請求項15に記載の酸性ガス処理プラント。

【図1】
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【公表番号】特表2013−505833(P2013−505833A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532255(P2012−532255)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/050649
【国際公開番号】WO2011/041361
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(506354434)フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (35)
【Fターム(参考)】