説明

ガス絶縁機器における部分放電検出装置

【課題】 このガス絶縁機器における部分放電検出装置は,絶縁破壊の前駆現象の部分放電現象,異物挙動による弾性波を確実に高精度に検出し,電気絶縁事故を未然に防止し,使用期間を延長し,ライフサイクルコストを低減し,装置を安全に安定して維持する。
【解決手段】 この部分放電検出装置は,タンク1内に高圧導体3を支持するスペーサ2に付着した異物5からの部分放電に起因する弾性波,及びフリー異物が高圧導体3やタンク1に衝突する際に発生する弾性波を少なくともスペーサ2に取り付けた超音波センサ4Bやアンテナ15で確実に検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,機器内部に発生する部分放電に起因する弾性波及び/又は電磁波をセンサで検出するガス絶縁機器における部分放電検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,ガス絶縁機器は,わが国の電力システムの要となる機器であり,高い信頼性が要求されている。ガス絶縁機器に関しては,運転開始後,30年を経過するものが大量に存在する状態になることが予想され,その一方でガス絶縁機器のライフサイクルコストの低減も要求されることから,ガス絶縁機器に対する絶縁診断の重要性が高まっており,絶縁診断技術の開発が強く要求されている。一般に,ガス絶縁機器に対して絶縁異常により発生する絶縁破壊の前駆現象である部分放電を信号として検出することによって,ガス絶縁機器の絶縁診断が実施されている。ガス絶縁機器に対して,部分放電の検出方法は,部分放電に起因する電磁波信号を検出するUHF法が主流である。また,ガス絶縁機器において部分放電が発生すると,電磁波の他に,発光や電流,或いは弾性波が発生するため,弾性波等の機械振動を対象として,超音波信号(機械振動)を測定するAEセンサ(以下,超音波センサという)を用いた診断も実施されている。超音波センサでは,異物がガス絶縁機器内のガス空間を運動する際に,異物のタンク壁面への衝突時に発生する弾性波を感度よく検出できるため,異物存在の有無が検出され,異物存在時には,検出状態によって異物の運動の位置標定や挙動推定が判断されている。
【0003】
また,従来のガス絶縁機器の部分放電検出装置は,ガス絶縁機器内に絶縁性ガスを封入し,内部に高電圧導体を備えた接地容器と,該接地容器の側壁部に形成した突出部及び該突出部を外気から密閉する閉鎖板からなる格納容器と,該格納容器内に配置した部分放電検出電極からなり,前記部分放電検出電極を外部に導出して,接地容器内に発生する部分放電を検出するものであり,部分放電検出電極を外部に導出する導体を短絡キャップにより短絡するものである(例えば,特許文献1参照)。
【0004】
また,ガス絶縁機器における部分放電検出装置として,部分放電の発生位置が移動しているか否かを判断するものが知られている。該部分放電検出装置は,絶縁ガスが充填された筒状の金属容器と,該金属容器に収容された導体とからなり,部分放電に伴い金属容器を伝播する機械的振動信号を受信する振動検出器を金属容器の異なる位置に備え,各振動検出器にて部分放電毎に対する機械的振動信号のそれぞれの検出時刻の時間差を時間差演算器にて求め,各時間差が異なる場合は,部分放電の発生位置が移動していることを,また,各時間差が同一の場合は,部分放電の発生位置が固定していると判断する判断部を備えているものである(例えば,特許文献2参照)。
【0005】
また,ガス絶縁機器の部分放電検出装置として,接地金属容器で生じた部分放電を精度良く測定できるものが知られている。該ガス絶縁機器は,絶縁ガスを封入した接地電位の金属容器内に高電圧導体を配置して構成されている。上記部分放電検出装置は,金属容器の外部又は内部表面に,圧電セラミック微粒子を高分子材料に配合して任意形状に加工した圧電複合材料センサと,ループアンテナを配置し,これらを信号処理装置に接続し,圧電複合材料センサで部分放電による振動波を検出し,ループアンテナで部分放電時に発生する電磁波を検出することにより,信号処理装置で両者の検出結果が一致した場合に部分放電の発生と判断するものである。
(例えば,特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−22790号公報
【特許文献2】特開2000−187055号公報
【特許文献3】特開平5−60826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで,従来のガス絶縁機器では,部分放電の検出方法は,電磁波信号を検出することが主流であり,このような部分放電の検出方法は,電気的ノイズを受け易く,センサの取付け位置,ノイズ環境の悪い領域等では,電磁波信号を検出できないというのが現状である。また,超音波センサを用いたガス絶縁機器の診断は,主に異物存在を確認すること,即ち,異物がガス絶縁機器内のガス空間を運動する際に,タンク壁面等に異物が衝突した時に発生する弾性波を検出することによるものである。
【0007】
従来のガス絶縁機器において,その内部に導電性異物が混入したり,導電性異物が何らかの原因で発生したりすると,ガス絶縁機器内に高電界部が形成されることになり,それが絶縁破壊を引き起こす可能性がある電気絶縁上の弱点部となってしまう。ガス絶縁機器において,絶縁破壊を引き起こすのに先立って,絶縁破壊の前駆現象である部分放電が発生するが,この部分放電を感度よく検出することによって,ガス絶縁機器内に存在する導電性異物を取り除く処理やガス絶縁機器を修理する処置が行われ,絶縁破壊を未然に防止することができ,即ち,ガス絶縁機器の絶縁異常診断を部分放電の発生を検出することで行うことができる。ガス絶縁機器において,通常,導電性異物は,最初タンク底面に平伏して存在すると考えられるが,外部からの衝撃,振動,過電圧等の重畳により,異物は運動を開始することになる。ガス絶縁機器では,その内部での異物の運動により異物がタンク壁面,タンク内の高電圧導体及び/又はスペーサに付着し,それが原因となってガス絶縁機器に電気絶縁の破壊が発生する。
【0008】
一般に,ガス絶縁機器のタンク内部に存在する異物が運動する際に,異物がタンク壁面と衝突した時に,ガス絶縁機器には少なくとも弾性波が発生する。このような弾性波は,通常,タンクに取り付けた超音波センサで検出することができ,その出力信号から異物の運動を予測することができる。一方,ガス絶縁機器内の異物がスペーサに付着した場合に,そこに部分放電が発生したとしても,タンクに取り付けた超音波センサでは,部分放電の信号を検出できず,そのためガス絶縁機器での絶縁異常を検出することができないという問題があった。
【0009】
従来,ガス絶縁機器において,電気絶縁上,最も厳しい条件となるスペーサに付着した異物からの部分放電に起因する弾性波は,タンクに取り付けた超音波センサでは検出することができなかった。しかし,ガス絶縁機器について,最も診断したいスペーサへの異物の付着については,超音波センサでの検出技術が開発されていないのが現状である。従って,ガス絶縁機器について,スペーサに付着した異物で発生する部分放電に起因する弾性波を検出することが可能になれば,ガス絶縁機器に対して,信頼性の高い絶縁状態監視装置を製作できるものと思料される。
【0010】
この発明の目的は,上記の問題を解決するため,特に,スペーサに付着した異物からの部分放電信号を,スペーサに取り付けた超音波センサによって弾性波として感度よく検出すると共に,アンテナによる電磁波信号をトリガ信号として用い,アベレージング処理することによってエスエヌ比(シグナル対ノイズ比)であるS/Nを向上させる機能を付加し,それによってガス絶縁機器に対する信頼性の高い診断を可能にし,また,超音波センサで部分放電信号を検出することによって電磁波を測定する場合と比較して電気ノイズの影響を受けないものとなり,サージ等により部分放電検出装置を破壊するような恐れがなく,更に,ガス絶縁機器において検出信号を観測し続けることによって絶縁状態の変化を監視できるガス絶縁機器における部分放電検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は,タンク内にスペーサによって高電圧導体が支持されたガス絶縁機器において,少なくとも前記スペーサに付着した異物によって発生する部分放電に起因する弾性波及び/又は電磁波を,少なくとも前記スペーサに取り付けられたセンサで検出することを特徴とするガス絶縁機器における部分放電検出装置に関する。
【0012】
この部分放電検出装置は,前記センサからの信号を,処理し,記録し,表示する機能を備えた情報処理装置を備えているものである。
【0013】
また,前記センサは,前記スペーサに取り付けられた前記弾性波を検出する超音波センサ,前記タンクに取り付けられた前記弾性波を検出する超音波センサ,及び前記スペーサの外周部に取り付けられた前記部分放電により放射される電磁波を検出するアンテナで構成されている。
【0014】
この部分放電検出装置において,前記スペーサが金属フランジ付きスペーサである場合には,前記アンテナは前記スペーサの内部に埋め込まれた金属リングで構成される。
【0015】
また,前記超音波センサは,前記ガス絶縁機器内で運動している前記異物が前記高電圧導体及び/又は前記タンクに衝突する際に発生する前記弾性波を検出するものである。
【0016】
また,前記超音波センサは,前記弾性波の検出信号の周波数帯域が2〜100kHzの信号成分を検出するものである。
【0017】
前記情報処理装置は,前記アンテナが前記部分放電で発生する前記電磁波を検出した電気信号をトリガ信号にし,前記超音波センサによる弾性波信号をアベレージングする機能を有するものである。
【0018】
また,前記情報処理装置は,前記超音波センサによって検出された弾性波信号の変化及び前記ガス絶縁機器への取付け位置の異なる前記超音波センサからの弾性波信号の相違によって,前記ガス絶縁機器における絶縁状態を監視するものである。
【0019】
また,前記情報処理装置は,前記超音波センサにより検出された弾性波測定信号が予め設定されたしきい値を超えたことに応答して,光,音又は文字等の表示により部分放電発生を警告する機能を有するものである。
【発明の効果】
【0020】
このガス絶縁機器における部分放電検出装置は,上記のように構成されているので,ガス絶縁機器における絶縁診断についての最も信頼性のある監視装置を提供できるものであり,特に,ガス絶縁機器におけるスペーサに付着した異物からの部分放電に起因する弾性波及び/又は電磁波を感度よく確実に高精度に検出できることから,電気絶縁監視上,最も重要な事項の1つであるスペーサ付着異物からの絶縁破壊の前駆現象である部分放電現象を検出することができ,ガス絶縁機器における電気絶縁破壊による事故を未然に防止でき,それによって,ガス絶縁機器の使用期間を延長でき,ライフサイクルコストを低減させることができ,ガス絶縁機器を用いた電力の供給を安全に安定して長期に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明は,ガス絶縁開閉機器の絶縁診断技術の確立を目的として,部分放電に伴い放射される電磁波又は超音波を,電磁波信号を測定するUHF法又は超音波センサで検出し,基礎的なガス絶縁開閉機器内の伝搬特性,及び異物種同定や位置標定,リスクアセスメント等を検討して到達したものである。超音波センサ(AEセンサ)4(4は総称)による絶縁診断に関する研究においては,電磁干渉に強く,機器外部からの信号検出ができるため,部分放電又はフリー異物17の挙動を対象として,部分放電発生源やフリー異物17の位置標定,フリー異物17のサイズや挙動特性を検討した。しかしながら,スペーサ2を伝搬する超音波信号に関しては,従来から余り検討がされていなかった。そこで,本発明者は,フリー異物17が挙動時に発生する部分放電発生,或いは異物5がスペーサ2に付着した時の部分放電発生による超音波信号を,スペーサ2に取り付けた超音波センサ4Bと,スペーサ2の両側のタンク1に取り付けた超音波センサ4A,4Cとで測定し,センサ取付け位置A,B,Cにおける検出特性を信号強度に着目して判断を行った。その結果,超音波センサ4をスペーサ2に取り付けてガス絶縁機器の絶縁診断をすることが,タンク1に超音波センサ4を取り付けた場合よりも大いにメリットがあることが実証された。
【0022】
以下,図面を参照して,この発明によるガス絶縁機器における部分放電検出装置の実施例を説明する。この部分放電検出装置は,概して,絶縁破壊の前駆現象の部分放電現象を確実に高精度に検出したり,ガス絶縁機器内での異物挙動から発生する弾性波を確実に高精度に検出することである。この部分放電検出装置は,図1〜図3において,概略的に実施例が示されている。ガス絶縁機器としては,図2に示すようなスペーサ2に金属フランジを備えていないタイプと,図3に示すようなスペーサ2に金属フランジ16を備えているタイプとがある。この部分放電検出装置は,図2に示すタイプのガス絶縁機器では電磁波がスペーサ2の表面から漏洩可能であるので,アンテナ15をフランジ開口部14に設けて電磁波を検出するように構成されている。また,この部分放電検出装置は,図3に示すタイプのガス絶縁機器ではスペーサ2に電界緩和用の金属リング12が設けられているので,金属リング12をアンテナ15として利用して金属リング12で電磁波を検出するように構成されている。
【0023】
この部分放電検出装置は,特に,タンク1内で高電圧導体3が支持するスペーサ2を備えたガス絶縁機器に適用されるものであり,少なくともスペーサ2に付着した異物によって発生する部分放電に起因する弾性波及び/又は電磁波を,センサのうち少なくともスペーサ2に取り付けられた超音波センサ4(4は総称)によって検出することを特徴としている。また,この部分放電検出装置は,上記センサからの電流信号を,受信し,処理し,記録し,表示し,異常を警告する機能を備えた情報処理装置11を備えているものである。なお,図2〜図6に図示した情報処理装置11は,作図上,複数箇所に記載したものであって1つの装置から構成されているものである。また,上記センサは,スペーサ2に取り付けられた弾性波を検出する超音波センサ4B,タンク1に取り付けられた弾性波を検出する超音波センサ4A,4C,及びスペーサ2の外周部に取り付けられた部分放電により放射される電磁波を検出するアンテナ12,15で構成されている。
【0024】
この部分放電検出装置は,タンク1内に高電圧導体3を支持するスペーサ2に付着したアルミニウム線状異物等の異物5からの部分放電に起因する弾性波,及びフリー異物17がその挙動によってタンク1や高電圧導体3に衝突する際に発生する弾性波を,スペーサ2に取り付けた超音波センサ4,4Bによって確実に高精度に検出するものである。また,タンク1にスペーサ2を介して支持された高電圧導体3には,交流高電圧電源13からの高圧が供給されるように構成されている。この部分放電検出装置は,部分放電に起因して発生する電磁波による電気信号を検出するアンテナ12,15を有しており,アンテナ12,15で検出された電気信号をトリガ信号として超音波センサ4で検出された弾性波信号をアベレージングすることによって,弾性波信号のS/Nを向上させることができ,部分放電に伴う弾性波信号を選択的に高感度に検出し,弾性波信号レベルと特性変化に基づいて,また,スペーサ2に取り付けた超音波センサ4,4Bの出力波形とタンク1に取り付けた超音波センサ4A,4Cの出力波形と比較することによって,ガス絶縁機器の異常を判定する異常判定装置を備えているものである。
【0025】
この部分放電検出装置を設けたガス絶縁機器において,タンク1内には,絶縁媒体ガス10として,SF6(6フッ化イオウガス)や空気が充填されている。ガス絶縁機器では,タンク1の内部に高電圧導体3がスペーサ2によって支持されている。スペーサ2は,タンク1に適宜の固着手段で固定されている。図2及び図3では,超音波センサ4としては,スペーサ2に取り付けられたスペーサ取付けセンサ4Bと,タンク1に取り付けられたタンク取付けセンサ4A,4Cとが示されている。超音波センサ4及びアンテナ15(金属リング12を含む)は,部分放電に起因する弾性波及び/又は電磁波を検出し,それらの情報信号が情報処理装置11に送り込まれる。情報処理装置11は,図1に示すように,増幅器7,波形形成器8,処理・判定・記録部9,及び警告を含む表示装置18を備えており,検出された情報を受信し,処理し,判定し,それらの情報を記録し,それらの情報を表示し,異常情報を警報するように構成されている。波形形成器8は,検波器とローパスフイルタから構成され,1〜100nsオーダの振動波形を約1μsのパルス波形に形成するものである。電磁波波形は,nsオーダの高周波波形であり,超音波波形は,μsからmsオーダの時間波形であり,両者の時間レンジは全く異なっている。そのため,電磁波信号を,超音波波形のアベレージング用のトリガ信号として使用する際には,上記のようなパルス波に形成する。この部分放電検出装置では,スペーサ2に超音波センサ4,4Bを取り付け,2〜100kHzの周波数帯域の超音波信号を検出することによって,フリー異物17の挙動に伴う情報は勿論のこと,特に,スペーサ2に付着した異物5からの部分放電に起因する弾性波を,確実に高感度に検出することができる。
【0026】
図4〜図6に示される実験装置19,20,21は,図3と同等の実験装置を使用したものであり,スペーサ2に電界緩和用の金属リング12が設けられているので,金属リング12をアンテナ15として利用して金属リング12で電磁波を検出するように構成されている。この部分放電検出装置は,図4に示すように,フリー異物17が自由落下の挙動によって高電圧導体3又はタンク1に衝突する際に発生する弾性波を検出する実験装置19,図5に示すように,スペーサ2に付着した異物であるアルミニウム線状異物5により発生する弾性波を検出する実験装置20,及び図6に示すように,スペーサ2に付着した異物によって発生する部分放電による弾性波を模擬的に発生させ検出する実験装置21を用いて検証したものである。図4の実験装置19では,超音波センサ4がガス絶縁機器における3箇所に設けられている。図5の実験装置20では,超音波センサ4がガス絶縁機器における2箇所に設けられている。図6の実験装置21では,超音波センサ4がガス絶縁機器における4箇所に設けられている。
【0027】
この部分放電検出装置は,実験装置19,20,21による実験結果によって,スペーサ2に取り付けた超音波センサ4Bの方がタンク1に取り付けた超音波センサ4A,4Cより確実に高感度に検出できる利点があることが実証された。また,この部分放電検出装置は,超音波センサ4によって弾性波を測定することによって,電気的ノイズに強く,また,サージ等により装置が破壊される恐れがない特徴を有し,同時に,部分放電に起因する電磁波を測定することもでき,電気信号をアベレージング処理するトリガ信号に変換することによって,弾性波信号のS/N(エスエヌ比)を向上させることができる。
【0028】
図4に示す実験装置19は,フリー異物17の挙動による弾性波の発生状態を試験する装置であり,超音波センサが3箇所の位置A,B,Cに設けられている。上記超音波センサは,タンク1の外面の位置Aに設けられた超音波センサ4A,金属フランジ16からスペーサ2の表面の位置Bが露出するフランジ開口部14に設けられた超音波センサ4B,及び超音波センサ4Aと反対側のタンク1の外面の位置Cに設けられた超音波センサ4Cである。超音波センサ4A,4B,4Cは,超音波センサ4Bを中心にして超音波センサ4Aと超音波センサ4Cとが所定の距離,例えば,15cm間隔に隔置してタンク1に設けられている。超音波センサ4A,4B,4Cは,情報処理装置11にそれぞれ接続され,それらによって検出された信号が情報処理装置11に送りこまれるように構成されている。情報処理装置11では,検出された信号がデジタル信号に処理される。情報処理装置11は,図1に示すように,情報処理部として電気信号を受信して増幅させる増幅器7,波形形成器8,情報を処理し判定し記録する処理・判定・記録部9,及び警告を含む表示部18を備えている。図4に示す実験装置19では,フリー異物17としてのステンレス球をタンク1の内壁面,例えば,超音波センサ4Aから35cm隔置した位置に自由落下させた時に,超音波センサ4A,4B,4Cで測定した波形が図7に超音波信号として,また,図8には,フリー異物17としてのステンレス球を高電圧導体3に自由落下させた時に,超音波センサ4A,4B,4Cで測定した超音波信号の振幅値Vppが示されている。
【0029】
図5に示す実験装置20は,スペーサ2に付着した異物5による部分放電の発生状態を試験する装置であり,超音波センサが2箇所の位置A,Bに設けられ,金属リング12がアンテナ15として利用されている。上記超音波センサは,スペーサ2のフランジ開口部14に超音波センサ4Bが設けられ,また,タンク1の外面のA位置に超音波センサ4Aが設けられている。アンテナ15に接続された情報処理装置11は,アンテナ15で検出された電気信号を情報処理する。また,スペーサ2には,アルミニウム線状異物5が付着されている。超音波センサ4A,4Bは,情報処理装置11にそれぞれ接続され,検出された信号は情報処理装置11でデジタル信号としてそれぞれ情報処理される。
【0030】
図6に示す実験装置21は,スペーサ2に付着した異物による部分放電の発生状態を模擬的に試験する装置であり,超音波センサが4箇所の位置A,B,C及びスペーサ2に設けられている。上記超音波センサは,スペーサ2のフランジ開口部14に設けられた超音波センサ4B,及びタンク1の外面のA位置に超音波センサ4AとC位置に超音波センサ4Cが設けられている。図6は,図4と同様に,超音波センサ4A,4B,4Cは,情報処理装置11にそれぞれ接続され,情報処理装置11で検出された信号はデジタル信号としてそれぞれ情報処理される。また,スペーサ2には,図5に示すアルミニウム線状異物5が付着した位置と同じ位置に異物からの部分放電発生と同様の状態を表すことができる部分放電模擬信号発生用超音波センサ4が設けられ,超音波センサ4は,信号発生器6からの信号を受け,弾性波を発生できるように構成されている。
【0031】
このガス絶縁機器における部分放電検出装置は,上記のように,スペーサ2に取り付けられた超音波センサ4Bによって,ガス絶縁機器の内部に混入した異物,或いは発生した異物5がスペーサ2に付着した場合の絶縁異常により発生する部分放電に起因する弾性波,即ち超音波を感度よく検出することができるものである。この部分放電検出装置は,主として,ガス絶縁機器の高電圧導体3を支持するスペーサ2の外円周部に,又は,金属フランジ付きのスペーサの場合には,金属フランジ16から直接スペーサ表面が露出するフランジ開口部14に超音波センサ4Bを取り付けることによって,感度よく内部のスペーサ付着異物即ちアルミニウム線状異物5で発生するところの部分放電信号を検出することができるものである。また,この部分放電検出装置は,ガス絶縁機器におけるタンク1にスペーサ2を介して高電圧導体3を支持し,スペーサ2に超音波センサ4を取り付けた。超音波センサ4は,上記のように,スペーサ2の位置に取り付けた超音波センサ4B,タンク1の位置に取り付けた超音波センサ4A,4Cである。この実施例では,部分放電を検出する試験を二種類実施した。即ち,図4に示すように,ガス絶縁機器において,フリー異物17がタンク1や高電圧導体3に衝突することを模擬した「自由落下試験」と,図5に示すように,スペーサ2に付着した異物即ちアルミニウム線状異物5により発生する部分放電の検出を模擬した「スペーサ付着異物による部分放電試験」との2種類を実施した。
【0032】
図4に示す実験装置19における自由落下試験では,フリー異物17として,直径2mmと10mmのステンレス球を使用した。ステンレス球は,タンク1内の5mmの高さから落下させた。また,部分放電試験は,図5に示すように,直径0.5mm,長さ30mmのアルミニウム線状異物5をスペーサ2の表面に高電圧導体3の軸方向に向けて付着させ,0.1MPaの絶縁媒体ガス10であるSF6ガス中で交流電圧90kVrms(電圧実効値)を印加して部分放電を発生させた。更に,図6に示すように,スペーサ2の図5に示す異物付着面と同じ面に部分放電模擬信号発生用の超音波センサ4を取り付け,各センサ位置A,B,Cでの超音波信号強度を測定した。部分放電模擬信号は,周波数fの5周期の正弦波の振幅を変調したパルス波とした。ここで使用したスペーサ2としては,スペーサ2の外周が金属フランジ16で構成されているものであり,その金属フランジ開口部14に超音波センサ4Bを取り付けた。金属フランジ付きスペーサ2では,その内部に埋め込まれた電界緩和用の電極即ち金属リング12をアンテナ15とし,また,金属リングを備えていないタイプ(図2参照)のスペーサ2では,別途のアンテナ15をスペーサ2の外周面に設けた。アンテナ15の端子から部分放電放射電磁波を情報処理装置11に送り込んで情報処理した。
【0033】
自由落下試験について,上記のように,フリー異物17として直径2mmのステンレス球をガス絶縁機器のタンク1へ自由落下させた場合に,各超音波センサ4には,図7に示すように検出された出力波形が発生した。図7において,横軸に時間(500μs/div)をとり,縦軸に超音波信号(a.u.)をとり,図7の上から下へ,超音波センサ4A,4B,4Cによる出力波形の振幅値Vppをそれぞれ示した。超音波センサ4の各位置A,B,Cでは,信号強度がそれぞれ異なり,スペーサ2へ取り付けた超音波センサ4Bの振幅を表す超音波信号は,タンク1に取り付けた超音波センサ4A,4Cの超音波信号と比較して著しく小さいが,いずれの超音波センサ4でも信号は検出されている。
【0034】
超音波センサ4により検出された出力信号は,センサ4への直達波や,タンク1を回り込む螺旋波,反射波等の重畳により形成され,振幅値は,これらの重畳の影響を受けて変化するが,以下では,信号強度を単純に正と負の最大振幅値Vppで定義して説明する。図8において,横軸に超音波センサ4の取付け位置A,B,Cにおける超音波センサ4A,4B,4Cを示し,縦軸に超音波信号の振幅値Vpp(a.u.)を示している。図8には,ステンレス球のフリー異物17が高電圧導体3へ自由落下して衝突した場合の試験であり,その時の最大振幅値Vppは,センサ取付け位置A,B,Cの異なる取付け位置に依存していることが示されている。図8に示すように,異物17の高電圧導体3への衝突時は,スペーサ2に取り付けられた超音波センサ4Bによる検出の信号強度は,タンク1に取り付けられた超音波センサ4A,4Cのものよりも大きい,即ち,超音波センサ4Aの約3倍の大きさであることが分かる。超音波センサ4Bの信号強度は,500Vppであるが,超音波センサ4A,4Cでも信号検出ができており,即ち,Vpp>110である。フリー異物17の高電圧導体3への浮上,即ち衝突は,電気絶縁上危険である。超音波センサ4の信号の時間間隔,即ち,異物フライトタイムから異物浮上高さは推定できるが,以上の結果から,フリー異物17のタンク1の衝突は,スペーサ取付けの超音波センサ4Bによる感度は,タンク取付けの超音波センサ4A,4Cの場合より良好に検出できることが分かった。
【0035】
図9において,横軸に超音波センサ4の取付け位置A,B,Cにおける超音波センサ4A,4B,4Cを示し,縦軸に超音波信号の振幅値Vpp(a.u.)を示している。図9には,異物5がスペーサ2に付着した場合を部分放電模擬信号を用いて試験した実験であり,超音波信号強度をセンサ取付け位置によって異なる検出強度を示しており,周波数f=2kHz,5kHz,10kHz,15kHz,20kHz,30kHz,40kHzとした部分放電模擬信号入力時の各センサ位置A,B,Cで測定した信号強度Vppが示されている。図9から分かるように,スペーサ2の表面露出部,即ち,フランジ開口部14に取り付けた超音波センサ4Bは,2〜40kHzの周波数範囲において超音波信号を検出でき,特に,f=10kHz前後の振幅値が大きかった。しかしながら,タンク1に取り付けた超音波センサ4A,4Cは,超音波信号をほとんどノイズレベルであり,検出することができなかった。このことから,スペーサ2に異物5,6が付着して場合に,異物付着によって発生する弾性波を検出するためには,超音波センサ4は,タンク1に設けるのではなく,スペーサ2に設けなければ,部分放電を検出できないことが分かる。この結果は,検出信号波形での強い周波数成分は,超音波センサ4Bでは10〜40kHzである。
【0036】
図10には,図9と同様に,異物5がスペーサ2に付着した場合を部分放電模擬信号を用いて試験した実験であり,超音波信号強度をセンサ取付け位置によって異なる検出強度を示している。図6に示すように,金属フランジ付きスペーサ2において超音波センサ4をスペーサ2の金属フランジ16上に取り付けた場合を示すものである。図10から分かるように,スペーサ2の表面露出部,即ち,フランジ開口部14に取り付けた超音波センサ4Bでは超音波信号を検出できたが,スペーサ2の金属フランジ16に取り付けた超音波センサ4では,超音波センサ4A,4Cと同様に,超音波信号をほとんど検出することができなかった。このことは,スペーサ2が金属フランジ16を備えていると,超音波信号を検出できないので,超音波センサ4は,スペーサ2のフランジ開口部14に取り付けた超音波センサ4Bを使用しなければならないことを示している。
【0037】
また,図11では,横軸が時間(500μs/div)を示し,縦軸が超音波信号(a.u)を示している。図11は,この部分放電検出装置は,図5に示す実験装置20を用いて,交流電圧を印加して実際に部分放電を発生させた場合に,超音波センサ4A及び超音波センサ4Bで検出された超音波信号波形を検出した結果を示している。図11には,スペーサに異物5が付着している場合に交流高電圧印加によって発生する部分放電の信号に対して試験装置20の2箇所の位置に設けたセンサが検出した超音波信号波形が示されている。実験装置20によって,部分放電パルス信号,即ち,検波器で1μs程度のパルス波形に形成されている信号と,該パルス信号に同期させて300回の平均化処理した超音波センサ4B,4Aによる出力波形を検出した。図11に示すように,スペーサ2の表面露出部,即ち,フランジ開口部14に取り付けた超音波センサ4Bでは,部分放電信号によって,超音波信号波形が大きく現れているが,タンク1に取り付けた超音波センサ4Aでは,部分放電信号によって超音波信号波形に大きな変化は現れないことが分かる。このように,スペーサ2への超音波センサ4Bの取り付けは,高電圧導体3への異物衝突検出と共に,スペーサ2に付着した異物5による部分放電を感度よく検出できることが分かった。
【0038】
図12において,横軸が周波数(kHz)を示し,縦軸が超音波信号の振幅幅(Vpp(a.u.))を示している。図12には,部分放電模擬信号を用いたスペーサ付着異物部分放電試験におけるセンサ取付け位置による超音波信号強度の周波数依存性,即ち,試験装置の3箇所の位置に設けたセンサにより検出した周波数に対する超音波信号強度がそれぞれ示されている。図12に示すように,スペーサ2に取り付けた超音波センサ4Bによって検出された超音波信号の振幅幅は,大きく現れているが,タンク1に取り付けた超音波センサ4A,4Cでは超音波信号がほとんどノイズレベルであり,検出できなかった。また,スペーサ2の表面露出部,即ち,フランジ開口部14に取り付けた超音波センサ4Bは,特に,f=10kHz前後の振幅値が大きかった。このことから,スペーサ2に異物5,6が付着して場合には,超音波センサ4は,弾性波を検出するために,タンク1に設けるのではなく,スペーサ2の外周面に設けなければ,部分放電を検出できないことが分かる。
【0039】
また,図13において,横軸が周波数(kHz)を示し,縦軸が超音波信号の振幅幅(Vpp(a.u.))を示している。図13には,部分放電模擬信号を用いた高電圧導体衝突試験におけるセンサ取付け位置による超音波信号強度の周波数依存性,即ち,試験装置の3箇所の位置に設けたセンサにより検出した周波数に対する超音波信号強度がそれぞれ示されている。図13から分かるように,スペーサ2に取り付けた超音波センサ4Bによって検出された超音波信号の振幅幅は,大きく現れているが,タンク1に取り付けた超音波センサ4A,4Cでは超音波信号が低いレベルであった。また,スペーサ2の表面露出部,即ち,フランジ開口部14に取り付けた超音波センサ4Bは,特に,f=10〜20kHz前後の振幅値が大きかった。このことから,スペーサ2に異物5,6が付着して場合に弾性波を検出するためには,超音波センサ4をタンク1に設けるのではなく,超音波センサ4をスペーサ2に設けなければ,部分放電を検出できないことが分かる。
【0040】
このガス絶縁機器における部分放電検出装置は,上記のように,スペーサ2への超音波センサ4Bの取り付けにより部分放電が検出され,フリー異物17の挙動やスペーサ2への異物5の付着時には,部分放電に起因する超音波信号の振幅強度を安定して高精度に検出できる。言い換えれば,この発明の部分放電検出装置のようにスペーサ2に超音波センサ4Bを取り付けた場合には,超音波センサ4Bによって,スペーサ2に異物5が付着した状態において,タンク1に取り付けた超音波センサ4A,4Cによって測定され難い部分放電を,確実に高感度に測定できることが分かった。
【0041】
上記のように,このガス絶縁機器における部分放電検出装置は,弾性波検出用の超音波センサ4,部分放電により放射される電磁波即ち電磁波による電気信号検出用アンテナ15,これらのセンサからの信号を増幅する増幅器7,信号処理部の波形形成器8,表示部18及び記録部等を備えた情報処理装置11から構成されており,ガス絶縁機器に少なくとも1つ以上の超音波センサ4A,4B,4Cが取り付けられ,少なくとも1つの超音波センサをスペーサ2に取り付け,その他の超音波センサをタンク1に取り付けられている。この部分放電検出装置は,スペーサ2に取り付けた超音波センサ4Bやタンク1に取り付けた超音波センサで検出された超音波信号波形を観測することによって,スペーサ2に付着した異物5からの部分放電の発生が判断できるものである。また,この部分放電検出装置は,フリー異物17がタンク1や高電圧導体3へ衝突した場合も検出でき,それによって異物17がガス絶縁機器に混入している状態も判断できる。この部分放電検出装置は,スペーサ2に設けたアンテナ15によって部分放電に伴う電気的信号を検出し,これを超音波信号のアベレージング用のトリガ信号として使用することによって,部分放電に伴う超音波信号を選択的に取得でき,感度及び精度の高い信号検出が可能になる。また,この部分放電検出装置は,予め決められたしきい値を設定しておき,上記しきい値を超える大きい信号が検出されると,部分放電発生を,音,光,文字等の表示によって警報を発する機能を持たせることができる。また,この部分放電検出装置は,スペーサ2とタンク1とに取り付けた超音波センサ4Bと,超音波センサ4A,4Cとで検出された信号を比較することによって,スペーサ2に付着した異物5による部分放電か又は高電圧導体3やタンク1にフリー異物17が衝突して発生した部分放電をか感度良く識別することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明によるガス絶縁機器における部分放電検出装置は,例えば,ガス絶縁開閉機器に適用でき,電力エネルギ分野,例えば,ガス絶縁電力機器を使用する電力会社,鉄道,自家発電設備で,ガス絶縁機器のスペーサ毎に設置することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明によるガス絶縁機器における部分放電検出装置の一実施例を概略的に示すブロック図である。
【図2】高電圧導体を支持するスペーサが金属フランジを有していないタイプのガス絶縁機器において,3箇所にセンサを設けた試験装置を示す概略図である。
【図3】高電圧導体を支持するスペーサが金属フランジを有しているタイプのガス絶縁機器において,3箇所にセンサを設けた試験装置を示す概略図である。
【図4】この発明によるガス絶縁機器における部分放電検出装置を検討するため,図3のタイプの試験装置の3箇所にセンサを取り付けてフリー異物による弾性波を検出する場合を示す概略図である。
【図5】この発明によるガス絶縁機器における部分放電検出装置を検討するため,図3のタイプの試験装置の2箇所にセンサを取り付け,スペーサに異物が付着した時の部分放電を検出する場合を示す概略図である。
【図6】この発明によるガス絶縁機器における部分放電検出装置を検討するため,図3のタイプの試験装置の3箇所にセンサを取り付けて,スペーサに部分放電模擬信号発生用超音波センサを設けた場合を示す概略図である。
【図7】ガス絶縁機器のタンクへの自由落下試験において,試験装置の3箇所の位置に設けたセンサにより検出した出力波形を示すグラフである。
【図8】ガス絶縁機器への異物としてステンレススチール球が高電圧導体への自由落下試験において,試験装置の3箇所の位置に設けたセンサで検出した超音波信号強度を示すグラフである。
【図9】部分放電模擬信号を用いたスペーサ付着異物部分放電試験を行うため,試験装置の3箇所の位置に設けたセンサにより検出した超音波信号強度を示すグラフである。
【図10】部分放電模擬信号を用いたスペーサ付着異物部分放電試験を行うため,試験装置の4箇所の位置に設けたセンサにより検出した超音波信号強度を示すグラフである。
【図11】スペーサに異物が付着している場合に交流高電圧印加によって発生する部分放電の信号に対して,試験装置の2箇所の位置に設けたセンサが検出した超音波信号波形を示す図である。
【図12】部分放電模擬信号を用いたスペーサ付着異物部分放電試験を行うため,試験装置の3箇所の位置に設けたセンサにより検出した周波数に対する超音波信号強度を示すグラフである。
【図13】部分放電模擬信号を用いた高電圧導体衝突試験を行うため,試験装置の3箇所の位置に設けたセンサにより検出した周波数に対する超音波信号強度を示すグラフである。
【符号の説明】
【0044】
1 タンク
2 スペーサ
3 高電圧導体
4 超音波センサ
4A,4C タンク取付けセンサ
4B スペーサ取付けセンサ
5 アルミニウム線状異物
6 信号発生器
7 増幅器
8 波形形成器
9 処理・判定・記録部
10 絶縁媒体ガス
11 情報処理装置
12 金属リング
13 交流高電圧電源
14 フランジ開口部
15 アンテナ
16 金属フランジ
17 フリー異物
18 表示部
19,20,21 実験装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク内にスペーサによって高電圧導体が支持されたガス絶縁機器において,少なくとも前記スペーサに付着した異物によって発生する部分放電に起因する弾性波及び/又は電磁波を,少なくとも前記スペーサに取り付けられたセンサで検出することを特徴とするガス絶縁機器における部分放電検出装置。
【請求項2】
前記センサからの信号を,処理し,記録し,表示する機能を備えた情報処理装置を備えていることを特徴とする請求項2に記載のガス絶縁機器における部分放電検出装置。
【請求項3】
前記センサは,前記スペーサに取り付けられた前記弾性波を検出する超音波センサ,前記タンクに取り付けられた前記弾性波を検出する超音波センサ,及び前記スペーサの外周部に取り付けられた前記部分放電により放射される電磁波を検出するアンテナで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス絶縁機器における部分放電検出装置。
【請求項4】
前記スペーサが金属フランジ付きスペーサである場合には,前記アンテナはスペーサ表面露出状態のフランジ開口部に取り付けるか,又は前記スペーサの内部に埋め込まれた金属リングで構成されることを特徴とする請求項3に記載のガス絶縁機器における部分放電検出装置。
【請求項5】
前記超音波センサは,前記ガス絶縁機器内で運動している前記異物が前記高電圧導体及び/又は前記タンクに衝突する際に発生する前記弾性波を検出することを特徴とする請求項3又は4に記載のガス絶縁機器における部分放電検出装置。
【請求項6】
前記超音波センサは,前記弾性波の検出信号の周波数帯域が2〜100kHzの信号成分を検出することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のガス絶縁機器における部分放電検出装置。
【請求項7】
前記情報処理装置は,前記アンテナが前記部分放電で発生する前記電磁波を検出した電気信号をトリガ信号にし,前記超音波センサによる弾性波信号をアベレージングする機能を有することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のガス絶縁機器における部分放電検出装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は,前記超音波センサによって検出された弾性波信号の変化及び前記ガス絶縁機器への取付け位置の異なる前記超音波センサからの弾性波信号の相違によって,前記ガス絶縁機器における絶縁状態を監視することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載のガス絶縁機器における部分放電検出装置。
【請求項9】
前記情報処理装置は,前記超音波センサにより検出された弾性波測定信号が予め設定されたしきい値を超えたことに応答して,光,音又は文字等の表示により部分放電発生を警告する機能を有することを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載のガス絶縁機器における部分放電検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−208017(P2006−208017A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−16441(P2005−16441)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年8月5日 社団法人電気学会電力・エネルギー部門発行の「平成16年 電気学会 電力・エネルギー部門大会 論文集」に発表
【出願人】(504174135)国立大学法人九州工業大学 (489)
【Fターム(参考)】