説明

ガス遮断器

【課題】絶縁距離を十分確保できるとともに、絶縁部材の取付部分の加工および取付作業を適切かつ容易に行えるガス遮断器を得る。
【解決手段】絶縁ガスが充填され大地電位に保持される接地金属タンク1と、接地金属タンク1に収納され可動部MAと対応して可動部MAとの間に生ずるアークを消滅させるための固定側消弧室14と、固定側消弧室14を対地電位部分から絶縁支持する絶縁部材22と、接地金属タンク1に設けられた開口部PHと、接地金属タンク1に設けられた開口部PHを閉塞して開口部PHに接地金属タンク1の外部から着脱自在に配設される蓋体23とを備え、絶縁部材22の一端を蓋体23に設けられた取付部23aに取り付けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガス遮断器、特に、固定側消弧室を大地から絶縁物で支持するガス遮断器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固定側消弧室を大地から絶縁部材で支持するガス遮断器において、従来技術では、固定側消弧室を絶縁支持する絶縁部材は、接地タンクの内部に一体として突設されたボス部材に取り付けられていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−96644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来技術においては、接地タンクの内部に突設されたボス部材により絶縁距離を十分確保できないばかりでなく、絶縁部材を取り付けるためのボス部材における取付面の加工が難しく、取付作業も面倒となるなどの問題点があった。
【0005】
この発明は、絶縁距離を十分確保できるとともに、絶縁部材の取付部分の加工および取付作業を適切かつ容易に行えるガス遮断器を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るガス遮断器では、絶縁ガスが充填され大地電位に保持される導電性容器、前記導電性容器に収納され可動部と対応して前記可動部との間に生ずるアークを消滅させるための固定側消弧室と、前記固定側消弧室を対地電位部分から絶縁支持する絶縁部材と、前記導電性容器に設けられた開口部と、前記導電性容器に設けられた前記開口部を閉塞して前記開口部に着脱自在に配設される蓋体とを備え、前記絶縁部材の一端を前記蓋体に設けられた取付部に取り付けるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、絶縁距離を十分確保できるとともに、絶縁部材の取付部分の加工および取付作業を適切かつ容易に行えるガス遮断器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
この発明による実施の形態1を図について説明する。図1は、この発明による実施の形態における構成を示す側面図である。図2は、この発明による実施の形態における構成を示す横断面図である。
【0009】
この発明による実施の形態における構成を示す図1および図2において、大地電位に保持される接地金属タンク1の内部には、SFガス等の絶縁ガス2が充填されている。
図1に示す水平方向に駆動されるパッファシリンダ8は内径部がピストン(図示せず)の外周部と摺動可能に接触し、パッファシリンダ8は電流通電用導電経路を構成する。
筒状の可動接触子9は、パッファシリンダ8の先端部に取り付けられている。可動接触子9の内周側には、筒状の絶縁ノズル10がその内部をパッファシリンダ8の内部と連通して設けられ、絶縁ノズル10の内側には可動アーク接触子11が配置されている。
これらのパッファシリンダ8,可動接触子9,絶縁ノズル10および可動アーク接触子11は可動部MAを構成し、接地タンク1を貫通するロッドを介して駆動部(図示せず)と連結されている。
【0010】
可動部MAに設けられた絶縁ノズル10と一端を対向して絶縁ノズル10と同心的に筒状の固定側消弧室14が配置されている。固定側消弧室14には、絶縁ノズル10から遠い他端側開口部に排気口14aと電界シールド14bが形成されている。
筒状固定側消弧室14の一端開口部の内側には、固定接触子15が設けられ、固定側消弧室14の中心部には、固定アーク接触子16が設けられている。
【0011】
そして、固定側消弧室14の外周面部分には、高電位側取付部14cが設けられ、取付部14cに一端に設けられた取付部分22aが取り付けられ固定側消弧室14と機械的に結合される絶縁部材22によって固定側消弧室14が絶縁支持される。絶縁部材22の他端に設けられた取付部分22bは大地電位側取付部23aに取り付けられる。この絶縁部材22は固定側消弧室14の排気口14aよりも固定接触子15側に配設されている。
絶縁部材22の固定側消弧室14側取付部分22aおよび導電性容器1側取付部分22bは筒状固定側消弧室14の外周面と平行に配設され、絶縁部材の中間部分22cは斜めに配設されている。
【0012】
大地電位側取付部23aは蓋板23の内面に設けられ、蓋板23は接地タンク1の開口部PHを囲んで外方へ突出する筒状突部としての枝管フランジ部1aの外面にボルト23bによって着脱自在に取り付けられる。
【0013】
ガス絶縁機器の組立時において、まず、蓋板23を接地容器1の筒状突部1aに取り付ける前に、蓋板23の内面に大地電位側取付部23aを溶接等により設け、大地電位側取付部23aが設けられた蓋板23を接地容器1の筒状突部としての枝管フランジ部1aの外端に外方からボルト23bによって着脱自在に取り付ける。
そして、一端が固定側消弧室14にボルト締結によって結合された絶縁部材22の他端をボルト締結によって大地電位側取付部23aに結合する。
【0014】
この発明による実施の形態においては、次のような構成が提案されている。
固定側消弧室14を大地から絶縁物で支持する構造の遮断器において、
(1)タンク1側に設けた枝管フランジ部1aの蓋板23に絶縁部材22の一端を取り付けた。
(2)絶縁部材22は固定側消弧室14に沿ってタンク1の長手方向に延在し、固定側消弧室14の絶縁部材22の支持位置に対して、大地側(タンク側)の取付位置が固定側排気口14aにより近く構成した。
(3)タンク1側の絶縁部材22の固着位置は固定側消弧室14の排気口14aよりも固定接触子15側に構成した。
(4)絶縁部材22は、消弧室14への固定側22aとタンク1側の取付部22bが概略平行で中央部22cが斜めに構成されている。
(5)絶縁部材22は、1本または複数本で構成されている。
(6)絶縁部材22は、タンク蓋板23に固着された大地電位側取付部23aとしてのボスに取り付けられている。
【0015】
このような構成によれば、固定側消弧室14を絶縁支持する絶縁部材22の一端を枝管フランジ部1aの蓋板23に取り付けたことで、取付部の加工が容易となり、かつ、固定側消弧室14との絶縁距離を長く取れる効果がある。
【0016】
この発明による実施の形態1によれば、絶縁ガスが充填され大地電位に保持される接地金属タンク1からなる導電性容器と、前記接地金属タンク1からなる導電性容器に収納され可動部MAと対応して前記可動部MAとの間に生ずるアークを消滅させるための固定側消弧室14と、前記固定側消弧室14を対地電位部分から絶縁支持する絶縁部材22と、前記接地金属タンク1からなる導電性容器に設けられた開口部PHと、前記接地金属タンク1からなる導電性容器に設けられた前記開口部PHを閉塞して前記開口部PHに前記接地金属タンク1からなる導電性容器の外部から着脱自在に配設される蓋体23とを備え、前記絶縁部材22の一端を前記蓋体23に設けられた取付部23aに取り付けるようにしたので、絶縁距離を十分確保できるとともに、絶縁部材の取付部分の加工および取付作業を適切かつ容易に行えるガス遮断器を得ることができる。
【0017】
また、この発明による実施の形態によれば、前項の構成において、前記接地金属タンク1からなる導電性容器に設けられ前記開口部PHを囲んで外方へ突出する枝管フランジ部材1aからなる筒状突部を設け、前記枝管フランジ部材1aからなる筒状突部へ前記蓋体23を前記接地金属タンク1からなる導電性容器の外部から着脱自在に配設するようにしたので、絶縁距離をより一層長く取れるとともに、絶縁部材の取付部分の加工および取付作業を適切かつ容易に行えるガス遮断器を得ることができる。
【0018】
さらに、この発明による実施の形態によれば、一端開口部の内側に固定接触子が設けられ他端開口部に排気口が設けられた筒状固定側消弧室を備え、前記絶縁部材を前記固定側消弧室の排気口よりも前記固定接触子側に配設したので、絶縁距離をより一層長く取れるとともに、絶縁部材の取付部分の加工および取付作業を適切かつ容易に行え、しかも、絶縁部材の絶縁劣化を防止できるガス遮断器を得ることができる。
【0019】
そして、この発明による実施の形態によれば、前記絶縁部材の前記固定側消弧室側取付部分および前記導電性容器側取付部分を前記筒状固定側消弧室の外周面と平行に配設するとともに、前記絶縁部材の中間部分を斜めに配設したので、絶縁距離をより一層長く取れるとともに、絶縁部材の取付部分の加工および取付作業を適切かつ容易に行え、しかも、絶縁部材を限られた空間に適切に配置できるガス遮断器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明による実施の形態における構成を示す側面図である。
【図2】この発明による実施の形態における構成を示す横断面面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 接地タンク、2 絶縁ガス、8 パッファシリンダ、9 可動接触子、10 絶縁ノズル、11 可動アーク接触子、14 固定側消弧室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ガスが充填され大地電位に保持される導電性容器と、前記導電性容器に収納され可動部と対応して前記可動部との間に生ずるアークを消滅させるための固定側消弧室と、一端を前記固定側消弧室と結合し前記固定側消弧室を対地電位部分から絶縁支持する絶縁部材と、前記導電性容器に設けられた開口部と、前記導電性容器に設けられた前記開口部を閉塞して前記開口部に前記導電性容器の外部から着脱自在に配設される蓋体とを備え、前記絶縁部材の他端を前記蓋体に設けられた取付部に取り付けることを特徴とするガス遮断器。
【請求項2】
前記導電性容器に設けられ前記開口部を囲んで外方へ突出する筒状突部を設け、前記筒状突部へ前記蓋体を前記導電性容器の外部から着脱自在に配設することを特徴とする請求項1に記載のガス遮断器。
【請求項3】
一端開口部の内側に固定接触子が設けられ他端開口部に排気口が設けられた筒状固定側消弧室を備え、前記絶縁部材を前記固定側消弧室の排気口よりも前記固定接触子側に配設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス遮断器。
【請求項4】
前記絶縁部材の前記固定側消弧室側取付部分および前記導電性容器側取付部分を前記筒状固定側消弧室の外周面と平行に配設するとともに、前記絶縁部材の中間部分を斜めに配設したことを特徴とする請求項3に記載のガス遮断器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−338980(P2006−338980A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−160878(P2005−160878)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】