説明

ガス遮断弁装置

【課題】操作ハンドルの先端部の筐体外への突出と、ボール弁の誤操作を防止する。
【解決手段】ガス流路を開閉するボール弁体6を有するボール弁2と、ボール弁体6を開閉操作する操作ハンドル3とを筐体4に収納したガス遮断弁装置1において、操作ハンドル3を、蓋体に対する垂直な軸を有する軸部材9を軸中心に回動するように設けたので、閉操作時に操作ハンドル3が筐体4から突出せず、操作ハンドル6に人がぶつかる等の恐れを回避できる。また、ボール弁体6の開閉状態は、筐体4に設けた蓋体13の第1,第2窓部14,15のどちらから操作ハンドル6を視認できるかで識別できるので、操作ハンドル6の位置からボール弁2の開閉状態を識別でき、ボール弁2の誤操作を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管等に接続されているボール弁等のガス遮断弁装置に関し、さらに詳しくは、ボール弁におけるボール弁体の開閉状態を識別できるようにしたガス遮断弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガス等の流体が通過する流路の開閉を行うバルブの一つとしてボール弁が知られている。一般には、ボール弁は、ボディ、ボール弁体及び操作ハンドルから構成されている。ボディは、ガス流路が内部に形成された管状の部材であり、両端がガス配管と接続できるようになっている。また、ボディには、内部にボール弁体が配置されている。ボール弁体は、内部を貫通する流路孔を設けた球状の部材から構成されており、ボディの内部において、流路孔の位置と流路の位置とが一致しガスの流れを許容する開位置と、流路孔の位置と流路の位置とが一致せずガスの流れを遮断する閉位置との間で回転自在に配置されている。操作ハンドルは、ボール弁体を開位置と閉位置との間で回転させる開閉操作を行うためのもので、軸部材を介してボール弁体に取り付けられている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
通常のボール弁は、操作ハンドルの向きがボディ内に形成されたガス流路方向と同一の場合にボール弁体が開位置に位置するようにし、操作ハンドルを90度回動させて、操作ハンドルの向きをガス流路方向に直交させると、操作ハンドルの回動操作に伴ってボール弁体も開位置から90度回転して閉位置に位置するように構成されている。
なお、ボール弁には、操作ハンドルにより手動でボール弁の開閉操作を行うもののほか、圧空式のアクチュエータ等を用いてボール弁体の開閉操作を行うものもある。
【0004】
このような構成のボール弁は、工場や学校の実験室、病院等の医療施設などにおいて広く用いられている。例えば、病院等の医療施設では、酸素ガス等のような医療ガスを供給するための装置から各病棟の病室や手術室等の各部屋まで配管が配設されており、JIS T 7101においては、このような医療配管設備に関して、建屋の各階に区域別遮断弁を設けることが決められている。区域別遮断弁は、建屋の各階にガスを供給するメイン配管から分岐して、手術室や一般病室等にガスを供給するためのガス配管に設けられる弁であり、保守時や緊急時に医療施設内の区域を分離することを目的として使用される。そのため、区域別遮断弁には、流路の開閉操作が迅速かつ簡単に行えるボール弁が広く利用されている。
【0005】
また、JIS T 7101においては、区域別遮断弁は蓋体又は扉付きの筐体に収納しなければならないと決められているため、病院では、通路の壁に筐体を取付け固定したり、筐体を壁に埋め込む等して区域別遮断弁を設置している。蓋体は、緊急時等に備えて誰でも簡単に開けられるようになっており、操作ハンドルの開閉操作を迅速に行えるようになっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】株式会社キッツ ボールバルブ総合カタログ[online]、[平成21年4月15日検索]、インターネット<URL http://www.kitz.co.jp/product/pdf/prant/J-201-42.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の区域別遮断弁としてのボール弁は、軸部材がボール弁体の流路孔に対し垂直な軸が蓋体の面に対して平行となるように設けられていた。このため、軸部材に取付けられた操作ハンドルは、蓋体の面に対して平行な軸を有する軸部材を中心として回動するので、操作ハンドルを90度回動してボール弁体を開位置から閉位置に位置させた時、操作ハンドルの一部が筐体の外へ突出するという事態を招いていた。そのため、蓋体を閉じることができず、患者や看護師など、区域別遮断弁を設置した通路を頻繁に行き来する人が操作ハンドルにぶつかったり、引っかかったりすることにより怪我を誘発する恐れがあった。
【0008】
このような問題は、ボール弁体が閉位置に位置する場合も操作ハンドルの一部が筐体の外へ突出しないように、大型化した筐体を壁に取付固定することや、壁を厚くして筐体の埋め込み深さを確保することで、蓋体を閉められるようにすることが考えられる。しかし、大型化した筐体を壁に取付固定した場合には、筐体がさらに通路側へ突出して配置されるため、患者や看護師等がさらにぶつかりやすくなるという問題がある。また、壁を厚くして筐体の埋め込み深さを確保する場合には、筐体の突出という問題はないが、必要以上に壁を厚く設計することとなり、そのため通路が全体的に狭くなる恐れがあり、緊急時などに適切な方法で患者等を誘導することが困難になる等の問題が生じる。また、施設によっては壁を厚くすることができない場合もあるため、壁を厚くすることも適切な解決策にはなり得ない。また、区域別遮断弁として用いたボール弁のボール弁体を閉位置にするのは、緊急時等のような一時的な場合が多く、一時的な処置のために筐体の大型化や壁厚を増加させるのは、不経済である。
【0009】
また、従来のガス遮断弁は、ボール弁の構造を知っていないとボール弁体が開状態であるのか、或いは閉状態であるのかの識別が困難であり、操作ハンドルの方向とボール弁体の開閉状態の関係が必ずしも明確でなく、ボール弁体の開閉操作時に誤操作を招く危険があった。
【0010】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたもので、ボール弁体を閉位置にした場合に操作ハンドルが筐体から突出することがなく、かつボール弁体の開閉状態を容易に識別することが可能なガス遮断弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
(1)ガス流路を開く開位置とガス流路を閉じる閉位置との間で回転可能なボール弁体を備えたボール弁と、前記ボール弁体の開閉操作を行うための操作ハンドルと、前記ボール弁及び操作ハンドルを覆うように開閉自在に取り付けられた蓋体とを備え、前記操作ハンドルは、前記蓋体に対する垂直な軸を有する軸部材を軸中心に回動可能に設けられ、前記蓋体は、前記ボール弁体が開位置にある時の操作ハンドルの位置と対応する位置に第1窓部を有すると共に、前記ボール弁体が閉位置にある時の操作ハンドルの位置と対応する位置に第2窓部を有することを特徴とするガス遮断弁装置、
(2)ボール弁体が開位置にあることを示す第1の表示部を設けるとともに、前記ボール弁体が閉位置にあることを示す第2の表示部を設け、操作ハンドルに、前記ボール弁体が前記開位置にあるか又は閉位置にあるかの識別を容易にするための着色部を設けた上記(1)記載のガス遮断弁装置、
(3)着色部は、互いに異なる色が着色された第1着色部と第2着色部とからなる上記(2)記載のガス遮断弁装置、
(4)ボール弁と操作ハンドルとの間に仕切り板を設け、ボール弁体が開位置にあることを示す第1の表示部の色、及び前記ボール弁体が閉位置にあることを示す第2の表示部の色を前記仕切り板の色と同系色にした上記(3)記載のガス遮断弁装置、
(5)操作ハンドルは、第1窓部の位置と対応する位置に、ボール弁体が開位置にあることを示す第1の表示部を有するとともに、第2窓部の位置と対応する位置に、前記ボール弁体が閉位置にあることを示す第2の表示部を有する上記(1)記載のガス遮断弁装置、
(6)ボール弁と操作ハンドルとの間に仕切り板を設け、前記仕切り板には、前記仕切り板における第1窓部の位置と対応する位置に、ボール弁体が閉位置にあることを示す第2の表示部を設け、かつ第2窓部の位置と対応する位置に前記ボール弁体が開位置にあることを示す第1の表示部を設けた上記(1)記載のガス遮断弁装置、
(7)軸部材の回転軸から第1窓部までの距離と、前記軸部材から第2窓部までの距離とが異なる上記(1)ないし(6)のいずれか1つに記載のガス遮断弁装置、
を要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作ハンドルは、蓋体に対して垂直な軸を有する軸部材を中心に回動するように構成したので、ボール弁体を閉位置に位置するように操作ハンドルを操作しても、操作ハンドルが筐体から突出しないようにすることが可能になる。したがって、患者や看護師等が操作ハンドルにぶつかったり引っかかる等して怪我を誘発する恐れをなくすことが可能になる。
また、ボール弁体が開位置にある時の操作ハンドルの位置と対応する位置に第1窓部を有し、ボール弁体が閉位置にある時の操作ハンドルの位置と対応する位置に第2窓部を有するように構成したので、操作者は、操作ハンドルが第1窓部又は第2窓部に位置しているかを確認することでボール弁体が開状態か閉状態かを一見して識別することができ、緊急時等に迅速に操作ハンドルの操作をすることが可能になるとともに、誤操作を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は、本発明の第1の実施の形態のガス遮断弁装置で、ボール弁体が開位置にある状態の正面図、(b)は蓋体を開けた場合にボール弁が開位置にある状態の正面図である。
【図2】(a)は、本発明の第2の実施の形態のガス遮断弁装置で、ボール弁体が開位置にある状態の正面図、(b)は蓋体を開けた場合にボール弁体が開位置にある状態の正面図である。
【図3】(a)は、本発明の第3の実施の形態のガス遮断弁装置で、ボール弁体が開位置にある状態の正面図、(b)は蓋体を開けた場合にボール弁体が開位置にある状態の正面図である。
【図4】(a)は、本発明の第4の実施の形態のガス遮断弁装置で、ボール弁体が開位置にある状態の正面図、(b)は蓋体を開けた場合にボール弁体が開位置にある状態の正面図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態のガス遮断弁装置で、壁に埋め込まれた状態を表した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態であるガス遮断弁装置について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態のガス遮断弁装置で、(a)は、ボール弁体が開位置にある状態の正面図、(b)は蓋体を開けた場合にボール弁が開位置にある状態の正面図である。
【0015】
なお、本明細書においては、病院などの医療施設において利用されるガス遮断弁装置を一例として挙げて説明するが、本発明のガス遮断弁装置はこれに限定されず、例えば、大学等の教育機関や工場等のガス供給設備に適用してもよい。また、本明細書においては、ガス遮断弁装置を壁に埋め込んで使用するものを用いて説明するが、ガス遮断弁装置を壁に取付固定したものに適用してもよい。
【0016】
本実施の形態のガス遮断弁装置1は、ボール弁2と、操作ハンドル3と、これらを収納する筐体4とから構成されている。ボール弁2は、ボディ5とボール弁体6(図5参照)とを備えている。ボディ5は、銅等の金属で形成された管状の部材であり、両端がガス配管7、8に設けられたナット等の接続金具7a、8aで接続されている。また、ボディ5の内部にはガス流路5aが形成されており、このガス流路5aを酸素ガス等のような医療ガスが流れるようになっている。また、ボディ5には、このガス流路5aの一部を構成し、ガス流路5aを開いてガスの流れを許容する開位置と、ガス流路5aを閉じてガスの流れを遮断する閉位置との間で回転自在に配置されたボール弁体6が収容されている。
【0017】
図5に示すように、ボール弁体6は、直線状の流路孔が貫通して設けられた金属製の球体である。このボール弁体6には、流路孔と直交する方向に軸部材9が取付固定されている。ボール弁体6は、ボディ5の内部において軸部材9を回転軸として90度の範囲内で回転することができるように配置されている。図5に示すように、軸部材9は、蓋体13の面に対する垂直な軸を有しており、一端がボール弁体6に取付固定され、他端には操作ハンドル3が固定されている。
【0018】
操作ハンドル3は、ボール弁体の開閉操作を行うためのもので、金属で形成された平板棒状の部材により形成されている。この操作ハンドル3の操作によりボール弁体6を回転させることができ、ボール弁体6の流路孔の位置が流路の位置と一致してガス流路5aが形成される開位置と、ボール弁体6が開位置から90度回転し、流路孔の位置が流路の位置と直交する方向に位置してガス流路5aが遮断される閉位置にすることができる。本形態の操作ハンドル3には、軸部材9の軸中心から距離L1だけ離れた先端部に、ボール弁体6が開位置にあるか又は閉位置にあるかの識別を容易にするために緑色に着色された着色部10が形成されている。
【0019】
操作ハンドル3には、一端部に軸部材9と嵌合するための取付孔が形成されている。この操作ハンドル3は、取付孔に軸部材9を挿通してボルト止めすることにより、蓋体13の面に対して垂直な軸を有する軸部材9を介してボール弁体6と相互に連結され、軸部材9を中心に回動可能に設けられる。また、操作ハンドル3には、一端部側に切り欠かれた切り欠き部3aが形成されており、ボディ5から突出するように形成された突起状のストッパ11が、切り欠き部3aの両端面の間に位置するように配置されている。ストッパ11は、切り欠き部3aの両端面のいずれかと当接することによって、操作ハンドル3が90度以上回動しないように形成されている。
なお、この操作ハンドル3の取付孔の位置は、ハンドルの中央部にあってもよく、またストッパ11を別の方法により形成してもよい。
【0020】
筐体4は、ボール弁2や操作ハンドル3を収納するための箱状の部材であり、筐本体12と蓋体13とからなる。蓋体13は、筐本体12の下部に設けられた2つの蝶番12a、12bによって、図5に示すA方向へ開閉自在となるように取り付けられており、蓋体13が閉められた時に、ボール弁2と操作ハンドル3を覆うように構成されている。筐本体12は、上面の2ヶ所にガス配管7、8が挿通可能な大きさの孔(図示せず)が設けられており、筐本体12の内部にガス配管7、8を導けるようになっている。なお、筐体4の材質としては、例えばアルミニウム等の金属が用いられるが、それ以外の金属を用いてもよいし、樹脂材などのような金属以外のものを用いてもよい。
【0021】
蓋体13には、第1窓部14及び第2窓部15が設けられている。第1窓部14は、操作ハンドル3を操作してボール弁体6を開位置に位置させた場合に、この操作ハンドル3の着色部10を視認できるようにするためのものであり、第2窓部15は、操作ハンドル3を操作してボール弁体6を閉位置に位置させた場合に、この操作ハンドル3の着色部10を視認できるようにするためのものである。
【0022】
これら第1窓部14及び第2窓部15は、着色部10が視認できる位置、すなわち軸部材9の軸中心から距離L1だけ離れた位置に設けられている。また、蓋体13には、ガス配管7、8の圧力を示す圧力計16の覗き窓17や、供給されるガスの種類等を表示するための名板18が設けられているとともに、第1窓部14で着色部10が視認できるときにはボール弁体6が開位置にあり、第2窓部15で着色部10が視認できるときにはボール弁体6が閉位置にあることを示す表示が付されている。
【0023】
また、第1窓部14より下方近傍には第1の表示部20aが設けられ、第2窓部15の右方近傍には、第2の表示部20bが設けられている。第1の表示部20aは、第1窓部14から着色部10が視認できた場合に、操作ハンドル3が開位置に位置していることを知らせるためのもので、適宜方法によって蓋体13に「開」の文字を付して構成されている。また、第2の表示部20bは、第2窓部15から着色部10が視認できた場合に、操作ハンドル3が閉位置に位置していることを知らせるためのもので、適宜方法によって蓋体13に「閉」の文字を付して構成されている。なお、第1の表示部20a及び第2の表示部20bは、操作ハンドル3が開位置にあるか閉位置にあるかを視認することができれば、第1窓部14の下方や第2窓部15の右方以外の近傍に設けてもよい。
【0024】
図5に示すように、筐体4は、筐本体12が壁W内に埋め込まれ、蓋体13が壁Wから露出するようにして配置されている。この蓋体13は、前述の通り図5中のA方向に開閉自在に設けられている。また、筐体4内に収納されたボール弁2は、軸部材9が蓋体13の面に対して垂直な軸を有するように、台座19を介して配置される。すなわち、操作ハンドル3は、ガス遮断弁装置1を正面から見た場合において、ボール弁体6が開位置に位置する場合は水平方向へ向くように位置し、ボール弁体6が閉位置に位置する場合は垂直方向へ向くように位置する。図5に示すように、操作ハンドル4は、ボール弁体6が閉位置に位置する場合も、操作ハンドル4の先端部が筐本体12から突出しないように位置させることができ、ボール弁体6が閉位置に位置する際にも蓋体13を閉めることができるように構成されている。
【0025】
次に、本実施の形態のガス遮断弁装置1の作用について説明する。病院等の医療施設に配置された区域別遮断弁としてのガス遮断弁装置1は、通常はボール弁体6が開位置に位置し、ガスが流れるようになっている。また、蓋体13も閉められている。したがって、通常は、第1窓部14を介して操作ハンドル3における着色部10に着色された色を視認することができ、第1窓部14から着色部10を視認できる場合にはボール弁体6が開位置にあること、第2窓部15から着色部10を視認できる場合にはボール弁体6が閉位置にあることを示す蓋体13の表示と併せて視認することにより、ボール弁体6が開位置に位置していることを容易に知ることができる。
【0026】
ここで、ボール弁体6を開位置から閉位置まで回転させてガスの流れを遮断する場合には、図1(b)に示すように、操作者が蓋体13を開けて、水平方向に位置する操作ハンドル3を回動させて先端部が下向きとなるように位置させる。このとき、操作ハンドル3は、軸部材9を中心として回動するので、ボール弁体6を開位置から閉位置に回転させても、操作ハンドル3の先端部が筐本体12から突出せず、蓋体13を閉じることができる。
【0027】
このようにして、ボール弁体6を閉位置に位置させて蓋体13を閉じた場合には、操作者は、第2窓部15を介して操作ハンドル3の着色部10に着色された色を視認することができ、上述した蓋体13の第2の表示部20bの表示と併せて視認することにより、ボール弁体6が閉位置に位置していることを容易に知ることができる。
【0028】
以上より、本実施の形態のガス遮断弁装置においては、ボール弁体6が閉位置になるように操作ハンドル3を操作しても、この操作ハンドル3が筐本体12から突出しないので、ボール弁体6が閉位置になるように操作ハンドル3を操作した後に蓋体13を確実に閉じることができる。したがって、ボール弁体6が閉位置に位置している場合も、看護師や患者などが操作ハンドル3に引っかかり、怪我の誘発を未然に防止することが可能になる。
【0029】
また、本実施の形態のガス遮断弁装置においては、着色部10が第1又は第2窓部14、15に位置しているか確認すること、更に、蓋体13に付された表示とを併せて視認することによって、操作者に対し、操作前の段階でボール弁体6が閉位置と開位置のどちらに位置しているのかを明確に知らせることができ、操作者によるガス遮断弁装置のボール弁の誤操作を未然に防止することが可能になり、確実に開閉操作を行うことが可能になる。
【0030】
次に、第2の実施の形態のガス遮断弁装置21を図2に基づいて説明する。図2は、本発明の第2の実施の形態のガス遮断弁装置で、(a)はボール弁体が開位置にある状態の正面図、(b)は蓋体を開けた場合にボール弁体が開位置にある状態の正面図である。なお、以下においては、先の実施の形態のガス遮断弁装置と同じ構造のついては説明を省略し、符号も同一のものを使用して説明する。
【0031】
本実施の形態のガス遮断弁装置21は、操作ハンドル23の先端部に、第3の表示部としての着色部24が形成されている。この着色部24は、異なる色が塗布された第1着色部25と第2着色部26とから構成されている。第1着色部25は、軸部材9の中心から距離L2だけ離れた地点を中心位置として例えば緑色の塗料によって塗布されて形成されている。また、第2着色部26は、軸部材9の中心から距離L3だけ離れた地点を中心位置として例えば赤色の塗料によって塗布されて形成されている。なお、L2とL3の関係はL2≠L3となるように形成されている。
【0032】
蓋体27には、第1窓部28と第2窓部29が設けられている。第1窓部28は、操作ハンドル23を操作してボール弁体6を開位置に位置させた場合に、この操作ハンドル23の第1着色部25を視認できる位置に設けられている。この第1窓部28には、ボール弁体が開位置にあることを示す「開」の文字からなる第1の表示部28aが付されている。
【0033】
また、第2窓部29は、操作ハンドル23を操作してボール弁体6を閉位置に位置させた場合に、この操作ハンドル23の第2着色部26を視認できる位置に設けられている。この第2窓部29には、ボール弁体が閉位置にあることを示す「閉」の文字からなる第2の表示部29aが付されている。これら第1窓部28及び第2窓部29は、それぞれ第1着色部25、第2着色部26と同様に、軸部材9の中心から、それぞれ距離L2、L3だけ離れた位置を中心として開口形成されている。
【0034】
次に、本実施の形態のガス遮断弁装置21の作用について説明する。先に説明した第1の実施の形態のガス遮断弁装置1と同様に、本実施の形態のガス遮断弁装置21は、通常はボール弁体6が開位置に位置し、ガスが流れるようになっている。また、蓋体27も閉められている。したがって、通常は、操作ハンドル23の第1着色部25に塗布された緑色は、第1窓部28を介して視認することができ、また第1窓部28は第1の表示部28aが付されているので、第1の表示部28aとして付された「開」の文字と第1着色部25に塗布された緑色とを同時に視認することにより、ボール弁体6が開位置に位置していることを容易に識別することができる。
【0035】
ここで、ボール弁体6を開位置から閉位置まで回転させてガスの流れを遮断する場合には、図2(b)に示すように、操作者が蓋体27を開けて、水平方向に位置する操作ハンドル23を回動させて先端部が下向きになるように位置させる。このとき、操作ハンドル23は、軸部材9を中心として回動するので、ボール弁体6を開位置から閉位置に回転させても、操作ハンドル23の先端部が筐本体12から突出せず、蓋体27を閉じることができる。
【0036】
このようにして、ボール弁体6を閉位置に位置させて蓋体27を閉じた場合には、軸部材9の中心から第1窓部28の中心までの距離を軸部材9から第1着色部25の中心までの距離L2と同じ長さに、また軸部材9の中心から第2窓部29の中心までの距離を軸部材9から第2着色部26の中心までの距離と同じ長さにしたので、ボール弁体6が閉位置に位置するように操作ハンドル23を操作した場合には、操作ハンドル23の第2着色部26に塗布された赤色を第2窓部29を介して視認できるようになる。また、第2窓部29には第2の表示部29aが付されているので、第2の表示部29aとして付された「閉」の文字と第2着色部26に塗布された赤色とを同時に視認することにより、ボール弁体6が閉位置に位置していることを容易に識別することができる。
【0037】
以上より、本実施の形態のガス遮断弁装置においては、ボール弁体6が閉位置になるように操作ハンドル23を操作しても、この操作ハンドル23が筐本体12から突出しないので、ボール弁体6が閉位置になるように操作ハンドル23を操作した後に蓋体27を確実に閉じることができる。したがって、ボール弁体6が閉位置に位置している場合も、看護師や患者などが操作ハンドル23に引っかかり、怪我の誘発を未然に防止することが可能になる。
【0038】
なお、本実施の形態における第1着色部25及び第2着色部26に塗布される色は、ボール弁体6の開位置を示す色と閉位置を示す色とを予め定めておくことによって、赤又は緑以外の色を用いることも可能である。また、第1の表示部28a及び第2の表示部29aにおける表示は、ボール弁体6が開位置又は閉位置のいずれにあるかが識別できるものであれば、「開」や「閉」以外の文字を用いてもよいし、文字以外の記号等を用いてもよい。また第1の表示部28a、第2の表示部29aを第1窓部28、第2窓部29に設けず、第1窓部28、第2窓部29の近傍に設けてもよい。
【0039】
次に、第3の実施の形態のガス遮断弁装置31を図3に基づいて説明する。図3は、本発明の第3の実施の形態のガス遮断弁装置で、(a)はボール弁体が開位置にある状態の正面図、(b)は蓋体を開けた場合にボール弁体が開位置にある状態の正面図である。
【0040】
本実施の形態のガス遮断弁装置31は、操作ハンドル33を有している。この操作ハンドル33には、表示部34が設けられている。この表示部34は、第1の表示部35と第2の表示部36とから構成されており、第1の表示部35は軸部材9の軸中心から距離L2の位置が中心となるように設けられ、第2の表示部36は軸部材9の軸中心から距離L3の位置が中心となるように設けられている。また、この第1の表示部35は「開」の文字が付されてなり、第2の表示部36は「閉」の文字が付されてなる。図3に示すように、第2の表示部36における「閉」の文字は、第1の表示部35に付された「開」の文字に対して90度回転した状態に付されており、ボール弁体6を閉位置に位置させるよう操作ハンドル33を操作した際に、後述する第2窓部から視認可能な「閉」の文字が上下左右さかさまにならないように付されている。
【0041】
また、蓋体37には、第1窓部38及び第2窓部39が設けられている。第1窓部38は、第1の表示部35が視認できる位置、すなわち軸部材9の軸中心から距離L2だけ離れた位置を中心として設けられた開口部であり、第2窓部39は、第2の表示部36が視認できる位置、すなわち軸部材9の軸中心から距離L3だけ離れた位置を中心として設けられた開口部である。
【0042】
次に、本実施の形態のガス遮断弁装置31の作用について説明する。先に説明した第1及び第2の実施の形態のガス遮断弁装置1、21と同様に、本実施の形態のガス遮断弁装置31は、通常はボール弁体6が開位置に位置し、ガスが流れるようになっている。また、蓋体37も閉められている。したがって、通常は、第1窓部38を介して操作ハンドル33の第1の表示部に付された「開」の文字を視認することができ、第2窓部39には「閉」等の文字が表示されず、ボール弁体6が開位置に位置していることを容易に識別することができる。
【0043】
ここで、ボール弁体6を開位置から閉位置まで回転させてガスの流れを遮断する場合には、図3(b)に示すように、操作者が蓋体37を開けて、水平方向に位置する操作ハンドル33を回動させて先端部が下向きになるように位置させる。このとき、操作ハンドル33は、軸部材9を中心として回動するので、ボール弁体6を開位置から閉位置に回転させても、操作ハンドル33の先端部が筐本体12から突出せず、蓋体37を閉じることができる。
【0044】
このようにして、ボール弁体6を閉位置に位置させて蓋体37を閉じた場合には、軸部材9の軸中心から第1窓部38の中心までの距離を軸部材9から第1の表示部35の中心までの距離L2と同じ長さに、また、軸部材9の軸中心から第2窓部39の中心までの距離を軸部材9から第2の表示部36の中心までの距離L3と同じ長さとしたので、第2窓部39を介して操作ハンドル33における第2の表示部36のみを視認できるようになり、ボール弁体6が閉位置に位置していることを容易に識別することができる。
【0045】
以上より、本実施の形態のガス遮断弁装置においては、ボール弁体6が閉位置になるように操作ハンドル33を操作しても、この操作ハンドル33が筐本体12から突出しないので、ボール弁体6が閉位置になるように操作ハンドル33を操作した後に蓋体37を確実に閉じることができる。したがって、ボール弁体6が閉位置に位置している場合も、看護師や患者などが操作ハンドル33に引っかかり、怪我の誘発を未然に防止することが可能になる。
【0046】
また、本実施の形態のガス遮断弁装置31においては、操作ハンドル33に第1の表示部35と第2の表示部36を設けたので、操作者は、第1窓部38又は第2窓部39を介して第1の表示部35又は第2の表示部36に付された文字を視認することで、ボール弁体6が開位置又は閉位置のいずれにあるかをより明確に知ることが可能になる。
【0047】
なお、本実施の形態における第1の表示部35及び第2の表示部36における表示の仕方は、ボール弁体6が開位置又は閉位置のいずれにあるかが識別できるものであれば、「開」や「閉」以外の文字を用いてもよいし、文字以外の記号等を用いてもよい。また、第1の表示部35及び第2の表示部36は、文字を付して更にその部分を着色等してもよい。また、第1窓部38及び第2窓部39も、第1及び第2の表示部35、36が識別可能であれば、透明である必要はなく、着色等がされていてもよい。また、文字が大きく視認できるように、第1窓部38及び第2窓部39にレンズを取り付けてもよい。なお、上記実施例では第1窓部38及び第2窓部39にプラスチック等で形成した透明の板材を設ける例としたが、必ずしも取り付ける必要もない。
【0048】
次に、第4の実施の形態のガス遮断弁装置41を図4及び図5に基づいて説明する。図4は、本発明の第4の実施の形態のガス遮断弁装置で、(a)はボール弁体が開位置にある状態の正面図、(b)は蓋体を開けた場合にボール弁体が開位置にある状態の正面図であり、図5は、本発明の第4の実施の形態のガス遮断弁装置で、壁に埋め込まれた状態を表した縦断面図である。
【0049】
ガス遮断弁装置41の筐本体42は、内部に仕切り板43を備えている。図4及び図5に示すように、仕切り板43は、切り欠きが一部分に形成された板状の部材で、ボール弁2と、操作ハンドル44の間に位置するように設けられている。また、仕切り板43には、軸部材9の軸中心から距離L5だけ水平方向に離れた場所へ「閉」の文字からなる第2の表示部46が設けられており、軸部材9の軸中心から距離L5だけ鉛直方向に離れた場所へ「開」の文字からなる第1の表示部45が設けられている。操作ハンドル44は、軸部材9の軸中心から先端までの長さL4が、軸部材9の軸中心から第1及び第2の表示部45、46までの距離L5よりも長く、L4とL5がL4>L5の関係となるように形成されている。これら第1の表示部45としての「開」の文字と、第2の表示部46としての「閉」の文字は、ボール弁体6を開位置に位置させたときは、操作ハンドル44によって「閉」の文字が隠されて「開」の文字のみが視認することができ、また、図4(a)に示すようにボール弁体6を閉位置に位置させたときは操作ハンドル44によって「開」の文字が隠されて「閉」の文字のみが視認することができるようになっている。なお、図4(b)では、ボール弁体6が開位置に位置する場合における操作ハンドル44の先端部を切り欠いた図とし、仕切り板43に記載された「閉」の文字が識別できるように記載されているが、この場合は、通常は操作ハンドル44によって「閉」の文字を視認できないようになっている。
【0050】
また、蓋体47には、第1窓部48及び第2窓部49が設けられている。第1窓部48は、仕切り板43に付された第2の表示部46の「閉」の文字が視認できる位置、すなわち軸部材9の軸中心から水平方向に距離L5だけ離れた位置を中心として設けられた開口部であり、第2窓部49は、仕切り板43に付された第1の表示部45の「開」の文字が視認できる位置、すなわち軸部材9の軸中心から鉛直方向に距離L5だけ離れた位置を中心として設けられた開口部である。
【0051】
次に、本実施の形態のガス遮断弁装置41の作用について説明する。先に説明した第1〜3の実施の形態のガス遮断弁装置と同様に、本実施の形態のガス遮断弁装置41は、通常はボール弁体6が開位置に位置し、ガスが流れるようになっている。また、蓋体47も閉められている。このとき、軸部材9の軸中心から先端までの操作ハンドル44の長さL4と、軸部材の軸中心から第1及び第2の表示部45、46までの距離L5との間にはL4>L5の関係があるので、操作ハンドル44が開位置に位置するときは、操作ハンドル44が第2の表示部46に付された「閉」と第1窓部48の間に入り、第1窓部48から「閉」の文字を見ることができなくなり、第2窓部49を介して仕切り板43に付された第1の表示部45の「開」の文字のみを視認することができ、ボール弁体6が開位置に位置していることを容易に識別することができる。
【0052】
ここで、ボール弁体6を開位置から閉位置まで回転させてガスの流れを遮断する場合には、図4(b)に示すように、操作者が蓋体47を開けて、水平方向に位置する操作ハンドル44を回動させて先端部が下向きになるように位置させる。このとき、操作ハンドル44は、軸部材9を中心として回動するので、ボール弁体6を開位置から閉位置に回転させても、操作ハンドル44の先端部が筐本体42から突出せず、蓋体47を閉じることができる。
【0053】
また、軸部材9の軸中心から先端までの操作ハンドル44の長さL4と、軸部材9の軸中心から第1窓部48及び第2窓部49の中心までの距離L5とがL4>L5の関係にあるので、ボール弁体6が閉位置に位置するように操作ハンドル44を操作した場合には、操作ハンドル44が第1の表示部45に付された「開」と第2窓部49の間に入り、第2窓部49を介して「開」の文字を見ることができなくなる。一方、第2の表示部46に付された「閉」の文字は、第1窓部48を介して視認できるようになり、ボール弁体6が閉位置に位置していることを容易に識別することができる。また、ボール弁体6を閉位置から開位置まで回転させてガスが流れるようにする場合には、操作者が蓋体47を開けて、先端部が下向きに位置する操作ハンドル44を回動させて水平方向に位置させる。このときも、操作ハンドル44は、蓋体47の面に対して垂直な軸を有する軸部材9を中心として回動するので、ボール弁体6を閉位置から開位置に回転させて、蓋体47を閉じることができる。
【0054】
以上より、本実施の形態のガス遮断弁装置においては、ボール弁体6が閉位置になるように操作ハンドル44を操作しても、この操作ハンドル44が筐本体42から突出しないので、ボール弁体6が閉位置になるように操作ハンドル44を操作した後に蓋体47を確実に閉じることができる。したがって、ボール弁体6が閉位置に位置している場合も、看護師や患者などが操作ハンドル44に引っかかり、怪我の誘発を未然に防止することが可能になる。
【0055】
なお、本実施の形態における第1の表示部45及び第2の表示部46における表示の仕方は、ボール弁体6が開位置又は閉位置のいずれに位置するかを識別できるものであれば、「開」や「閉」以外の文字を用いてもよいし、文字以外の記号等を用いてもよい。また、第1の表示部45及び第2の表示部46は、文字を付して更にその部分を着色等してもよい。また、本実施の形態における軸部材9の軸中心から第1の表示部45と第2の表示部46までの距離をL5とし、それに伴い、軸部材9の軸中心から第1窓部48と第2窓部49までの距離をL5としているが、軸部材9の軸中心から第1の表示部45と第2の表示部46の距離は軸部材9の軸中心から先端までの操作ハンドル44の長さL4よりも短ければ、異なっていてもよい。また、第1窓部48及び第2窓部49も、第1及び第2の表示部45、46が識別可能であれば、透明である必要はなく、着色等がされていてもよい。また、第1窓部48及び第2窓部49には、「開」又は「閉」の文字が大きく見えるようにレンズを取り付けてもよいし、プラスチック等で覆わずに単なる開口にしておいてもよい。
【0056】
次に、第5の実施の形態のガス遮断弁装置について説明する。本実施の形態のガス遮断弁装置は、図4及び図5に示すような筐本体の内部に仕切り板が設けられているガス遮断弁装置に対して、図2に示すような蓋体の第1窓部に第1の表示部を設けると共に、第2窓部に第2の表示部を設けることによって構成されている。第1窓部は、ボール弁体が開位置に位置している場合に操作ハンドルの先端部が視認できる位置に設けられた開口部であり、その開口部に透明のプラスチック等の板材を嵌めこむ等して形成されている。また、第2窓部は、ボール弁体が閉位置に位置している場合に操作ハンドルの先端部が視認できる位置に設けられた開口部であり、その開口部に透明のプラスチック等の板材を嵌めこむ等して形成されている。また、第1窓部には第1の表示部としての「開」の文字が付され、第2窓部には第2の表示部としての「閉」の文字が付されて構成されている。また、これら第1の表示部及び第2の表示部としての「開」「閉」の文字の色は、仕切り板と同系色で付されている。
【0057】
次に、本実施の形態のガス遮断弁装置の作用について説明する。先に説明した第1〜4の実施の形態のガス遮断弁装置と同様に、本実施の形態のガス遮断弁装置は、通常はボール弁体6が開位置に位置し、ガスが流れるようになっている。また、蓋体も閉められている。このとき、第2窓部に付された第2の表示部の「閉」の文字は、色が仕切り板に着色された色と同系色であるから、「閉」の文字を視認しにくくすることができ、第1窓部に付された第1の表示部の「開」の文字は、色が操作ハンドルに着色された色と異系色であるから、「開」の文字を視認しやすくすることができ、ボール弁体が開位置に位置していることを容易に識別することができる。
【0058】
ここで、ボール弁体6を開位置から閉位置まで回転させてガスの流れを遮断する場合には、操作者が蓋体を開けて、水平方向に位置する操作ハンドルを回動させて先端部が下向きになるように位置させる。このとき、操作ハンドルは、軸部材を軸中心として回動するので、ボール弁体6を開位置から閉位置に回転させても、操作ハンドルの先端部が筐本体から突出せず、蓋体を閉じることができる。
【0059】
このようにして、ボール弁体を閉位置に位置させて蓋体を閉じた場合には、第1の表示部の「開」の文字は、仕切り板と同系色で付されており、操作ハンドルが第1窓部から視認できる位置にないので、仕切り板の色によって視認しにくくすることができる。一方、第2の表示部の「閉」の文字は、操作ハンドルが第2窓部から視認できる位置にあり、「閉」の文字の色と操作ハンドルの色は異系色であるため、明確に視認できるようになり、ボール弁体6が閉位置に位置していることを容易に識別することができる。
【0060】
以上より、本実施の形態のガス遮断弁装置においては、ボール弁体6が閉位置になるように操作ハンドルを操作しても、この操作ハンドルが筐本体から突出しないので、ボール弁体が閉位置になるように操作ハンドルを操作した後に蓋体を確実に閉じることができる。したがって、ボール弁体が閉位置に位置している場合も、看護師や患者などが操作ハンドルに引っかかり、怪我の誘発を未然に防止することが可能になる。
【0061】
なお、本実施の形態における第1の表示部及び第2の表示部における表示の仕方は、ボール弁体が開位置又は閉位置のいずれにあるかが識別できるものであれば、「開」や「閉」以外の文字を用いてもよいし、文字以外の記号等を用いてもよい。
【0062】
また、本実施の形態におけるガス遮断弁装置は、筐体を筐本体と蓋体とから構成しているが、筐本体は必ずしも必要ではなく、例えば壁面に凹部を設けてボール弁等を配置し、その凹部を覆うように、壁面に直接蓋体を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1,21,31,41 ガス遮断弁装置
2 ボール弁
3,23,33,43 操作ハンドル
4,42筐体
6 ボール弁体
9 軸部材
10,24 着色部
12 筐本体
13,27,37,47 蓋体
14,28,38,48 第1窓部
15,29,39,49 第2窓部
25 第1着色部
26 第2着色部
20a,28a,35,45 第1の表示部
20b,29a,36,46 第2の表示部
43 仕切り板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路を開く開位置とガス流路を閉じる閉位置との間で回転可能なボール弁体を備えたボール弁と、前記ボール弁体の開閉操作を行うための操作ハンドルと、前記ボール弁及び操作ハンドルを覆うように開閉自在に取り付けられた蓋体とを備え、
前記操作ハンドルは、前記蓋体に対する垂直な軸を有する軸部材を軸中心に回動可能に設けられ、前記蓋体は、前記ボール弁体が開位置にある時の操作ハンドルの位置と対応する位置に第1窓部を有すると共に、前記ボール弁体が閉位置にある時の操作ハンドルの位置と対応する位置に第2窓部を有することを特徴とするガス遮断弁装置。
【請求項2】
ボール弁体が開位置にあることを示す第1の表示部を設けるとともに、前記ボール弁体が閉位置にあることを示す第2の表示部を設け、操作ハンドルに、前記ボール弁体が前記開位置にあるか又は閉位置にあるかの識別を容易にするための着色部を設けた請求項1記載のガス遮断弁装置。
【請求項3】
着色部は、互いに異なる色が着色された第1着色部と第2着色部とからなる請求項2記載のガス遮断弁装置。
【請求項4】
ボール弁と操作ハンドルとの間に仕切り板を設け、ボール弁体が開位置にあることを示す第1の表示部の色、及び前記ボール弁体が閉位置にあることを示す第2の表示部の色を前記仕切り板の色と同系色にした請求項3記載のガス遮断弁装置。
【請求項5】
操作ハンドルは、第1窓部の位置と対応する位置に、ボール弁体が開位置にあることを示す第1の表示部を有するとともに、第2窓部の位置と対応する位置に、前記ボール弁体が閉位置にあることを示す第2の表示部を有する請求項1記載のガス遮断弁装置。
【請求項6】
ボール弁と操作ハンドルとの間に仕切り板を設け、前記仕切り板には、前記仕切り板における第1窓部の位置と対応する位置に、ボール弁体が閉位置にあることを示す第2の表示部を設け、かつ第2窓部の位置と対応する位置に前記ボール弁体が開位置にあることを示す第1の表示部を設けた請求項1記載のガス遮断弁装置。
【請求項7】
軸部材の回転軸から第1窓部までの距離と、前記軸部材から第2窓部までの距離とが異なる請求項1ないし6のいずれか1項に記載のガス遮断弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−47472(P2011−47472A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196598(P2009−196598)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【Fターム(参考)】