ガラスの成形方法、一体化ガラス
【課題】異なる組成又は色調のガラスを一体成形するガラスの成形方法及び一体化ガラスを提供する。
【解決手段】組成又は色調の少なくとも一方が異なる第1ガラスG1,第2ガラスG2を一体化するガラスの成形方法であって、第1のガラスG1を加熱して溶融させる第1の工程と、溶融状態の第1のガラスG1と、固化状態の第2のガラスG2とを接触させる第2の工程と、溶融状態の第1のガラスG1と固化状態の第2のガラスG2とを接触させた状態で冷却し、第1のガラスG1を固化させる第3の工程と、を有する。
【解決手段】組成又は色調の少なくとも一方が異なる第1ガラスG1,第2ガラスG2を一体化するガラスの成形方法であって、第1のガラスG1を加熱して溶融させる第1の工程と、溶融状態の第1のガラスG1と、固化状態の第2のガラスG2とを接触させる第2の工程と、溶融状態の第1のガラスG1と固化状態の第2のガラスG2とを接触させた状態で冷却し、第1のガラスG1を固化させる第3の工程と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスの成形方法及び一体化ガラスに関し、特に、異なる組成もしくは色調のガラスを一体に成形するガラスの成形方法及び異なる組成もしくは色調のガラスを一体化した一体化ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スマートフォン等の情報端末やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタの筐体には、加工性やコスト性の観点から、樹脂もしくは金属が使用されている。しかしながら、近年では、筐体に意匠性を求められることが多くなっており、筐体に着色したガラス(以下、着色ガラスと称する)を使用することが提案されている。例えば、特許文献1には、携帯電話の裏面に搭載された透明太陽電池の裏面ガラスを好みの色に着色することが提案されている。
【0003】
また、情報端末やテレビ等の筐体ではないが、特許文献2には、腕時計の防風窓(カバーガラス)を、2種以上の異なる色調(色)のガラスで構成することが提案されている。特許文献2では、可視光を透過する無色透明なガラス(以下、透明ガラスと称する)と着色ガラスとを積層した積層体を加熱して融着させ、さらに、中央部が凸形状となるようにプレス成形した後、凸部を研削除去することで、透明ガラスと着色ガラスとが一体化したガラスを得ることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−129987号公報
【特許文献2】特開平9−218277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、情報端末やモニタは、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子やリモートコントロール用の赤外線受光素子が内蔵されることがある。この場合、撮像素子や受光素子が可視光や赤外光を受光できるように、筐体の一部を可視光や赤外光が透過するように構成する必要がある。つまり、筐体に着色ガラスを使用した場合は、その一部を透明ガラスとする必要がある。また、情報端末やモニタの筐体には、社名やブランド名が記載されることがあるが、意匠性を考慮して、着色ガラス又は透明ガラス内に社名やブランド名等のロゴを異なる色調のガラスで記載したいという要望がある。
【0006】
しかしながら、引用文献1で提案される方法では、筐体として使用される着色ガラスが単色であるため撮像素子や赤外線受光素子等が内蔵された情報端末の筐体として使用することができない。また、着色ガラス中に社名やブランド名等のロゴを透明ガラスで記載することができない。この場合、着色ガラスの一部に貫通孔を形成し、該貫通孔と略同形状に切り出した透明ガラスを上記貫通孔に嵌め込むことが考えられる。しかしながら、該方法では、貫通孔の形成や透明ガラスの切り出し等を行う必要があり、製造工程が増加するため生産性が低下する虞がある。さらに、着色ガラスと透明ガラスとの間に隙間や段差が生じ、美観、すなわち意匠性が損なわれる虞が高い。
【0007】
特許文献2に提案される方法では、着色ガラスの一部を透明ガラスとした筐体を作成することができる。しかしながら、該方法では、積層したガラスの融着や、融着したガラスのプレス成形等を行う必要があり、製造工程が増加するため生産性が低下する虞がある。また、プレス成形する際の金型とガラスとの離型性を考慮し、金型にテーパーをつけているため透明ガラスと着色ガラスとの境界面が、成形後のガラスの主面(表面又は裏面)に対して傾斜した状態となる。すなわち、透明ガラスと着色ガラスとの境界付近では、透明ガラスの厚みが漸減すると着色ガラスの厚みが漸増し、透明ガラスの厚みが漸増すると着色ガラスの厚みが漸減する関係にある。このため、着色ガラスと透明ガラスとの境界がはっきりせず、透明ガラスと着色ガラスの輪郭がぼやけてしまい、撮像素子や赤外線受光素子が正常に受光できない虞や、ユーザが社名やブランド名等のロゴを認識できない虞がある。
【0008】
本発明は、異なる組成又は色調のガラスを一体成形するガラスの成形方法及び一体化ガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のガラスの成形方法は、組成又は色調の少なくとも一方が異なる第1,第2ガラスを一体化するガラスの成形方法であって、第1のガラスを加熱して溶融させる第1の工程と、溶融状態の第1のガラスと、固化状態の第2のガラスとを接触させる第2の工程と、溶融状態の第1のガラスと固化状態の第2のガラスとを接触させた状態で冷却し、第1のガラスを固化させる第3の工程と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、異なる組成又は色調の第1,第2のガラスを、一方を溶融状態で、他方を固化状態で接触させた後、冷却して固化させているので、異なる組成又は色調のガラスを容易に一体成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係るガラスの成形装置の断面図。
【図2】図1の線分X−Xにおける切断面を示す図。
【図3】筐体の一部に一体化されたガラスを使用した情報端末の断面図。
【図4】第1の実施形態の変形例に係るガラスの成形装置の断面図。
【図5】第2の実施形態に係るガラスの成形装置の断面図。
【図6】第2の実施形態に係るガラスの成形装置により成形されたガラスの切断方向を示す図。
【図7】第2の実施形態に係るガラスの成形装置で使用する金型の他の例を示した図。
【図8】第2の実施形態の変形例に係るガラスの成形装置の断面図。
【図9】第2の実施形態の変形例に係るガラスの成形装置の金型の構成図。
【図10】第2の実施形態の変形例に係るガラスの成形装置により成形されたガラスの切断方向を示す図。
【図11】第3の実施形態に係るガラスの成形装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るガラスの成形装置1(以下、単に成形装置1と称する)の構成図である。成形装置1は、組成もしくは色調の少なくとも一方が異なる第1のガラスG1(以下、ガラスG1と称する)と第2のガラスG2(以下、ガラスG2と称する)とを一体に成形するための成形装置である。ガラスG1は、黒色の着色ガラスであり、溶融した状態で供給される。ガラスG2は、透明ガラスであり、別途円柱状に成形固化したもの用意し、これを固化した円柱状の状態で供給される。
【0013】
成形装置1は、溶融状態のガラスG1と固化状態のガラスG2とを接触させた状態で徐冷することにより、組成又は色調の少なくとも一方が異なる第1のガラスG1と第2のガラスG2とを一体化する。なお、溶融状態とは、ガラスの粘度ηがlogη=5.0(作業温度)を含み、これよりもガラスの粘度ηが高い、つまりガラスが柔らかい状態のことをいう。また、固化状態とは、ガラスの粘度ηがlogη=7.6(軟化点)を含まず、これよりもガラスの粘度ηが低い、つまりガラスが硬い状態のことをいう。ガラスG1は、例えば、カラーフリット等を粉末状にした着色剤により着色する。
【0014】
以下、図1を参照して、成形装置1の構成について説明する。
ガラスの成形装置1は、溶融窯110と、清澄槽(リファイナ)120と、撹拌装置130と、第1のローラ140と、予熱手段150と、一体化容器160と、第2のローラ170と、徐冷装置180とを備える。
【0015】
溶融窯110は、ガラスG1の原料である珪砂(けいしゃ)、ソーダ灰、石灰石などを加熱して溶融する。清澄槽120は、ガラス化反応により発生するH2O、CO2、O2などの気体あるいは溶融時に巻き込まれた空気が原因で、溶融したガラスG1中に生じた気泡を溶融状態のガラスG1から取り除く。
【0016】
撹拌装置130は、溶融状態のガラスG1を収容する撹拌槽131と、図示しないモータにより駆動されて回転する回転軸132と、この回転軸132に取り付けられ、撹拌槽131内に収容されている溶融状態のガラスG1を撹拌する撹拌翼133とを備える。撹拌装置130は、清澄槽120から送出される清澄後のガラスG1を撹拌して均質化する。
【0017】
第1のローラ140は、円柱状の固化状態のガラスG2と当接した状態で図示しないモータにより回転駆動され、ガラスG2を一定の速度で後述の一体化容器160へ送出する。
【0018】
予熱手段150は、加熱用の赤外線ランプ151と、その背後に配置された反射ミラー152とを備える。予熱手段150は、第1のローラ140と後述の一体化容器160との間に配置され、第1のローラ140により送出される固化状態のガラスG2を所定の温度まで予熱する。
【0019】
但し、予熱手段150では、ガラスG2の軟化点よりも低い温度までしか予熱しないことに留意する。軟化点温度以上に予熱するとガラスG2が変形する虞があるためである。固化状態のガラスG2を予熱することにより、熱膨張係数の違いによりガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みが緩和される。
【0020】
一体化容器160は、上端が開口され、撹拌装置130から供給される溶融状態のガラスG1を収容する容器161と、容器161の底部の略中央に取り付けられた流出ノズル162とを備える。流出ノズル162の内径は、棒状の固化状態のガラスG2の外径よりも太くなっている。
【0021】
一体化容器160は、撹拌装置130から供給される溶融状態のガラスG1と、予熱手段150を通って送出される固化状態の棒状のガラスG2とを接触させた状態で流出ノズル162から排出する。
【0022】
第2のローラ170は、一体化容器160の流出ノズル162から排出される溶融状態のガラスG1と当接した状態で図示しないモータにより回転駆動され、ガラスG3を一定の速度で後述の徐冷装置180へ送出する。なお、第1のローラ140によるガラスG2の送出速度と、第2のローラ170によるガラスG3の送出速度とは、同一とすることが好ましい。
【0023】
徐冷装置180は、溶融状態のガラスG1と固化状態のガラスG2とを接触させた状態で徐冷し、溶融状態のガラスG1を固化させて黒色のガラスG1と透明なガラスG2とを一体化する。徐冷を行うことで、熱膨張係数の違いによりガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みが緩和される。
【0024】
なお、ガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みを抑制するために、ガラスG1の熱膨張係数とガラスG2の熱膨張係数とは、略同じであることが好ましい。例えば、透明なガラスであるガラスG2に、黒色の着色剤を加えたガラスをガラスG1とすれば、ガラスG1の熱膨張係数とガラスG2の熱膨張係数とを略同一とすることができる。また、25℃〜300℃の温度範囲におけるガラスG1とガラスG2との熱膨張係数の差は、0〜5×10−7/℃の範囲内であることが好ましい。
【0025】
図2は、図1の線分X−Xにおける切断面を示す図である。図2に示すように、一体化された黒色のガラスG1と透明なガラスG2との切断面は、ガラスG2内にガラスG1が配置された形状となる。
【0026】
以上のように、成形装置1は、異なる組成又は色調の第1,第2のガラスを、一方を溶融状態で、他方を固化状態で接触させた後、徐冷して固化させているので、異なる組成又は色調のガラスを容易に一体成形することができる。
【0027】
なお成形装置1により一体成形されたガラスG1,G2は、円柱状のガラスG2の長手方向に対して垂直に所望の厚みに切断された後、所望の形状に加工され、表面を研磨加工してスマートフォン等の情報端末やLCD((Liquid Crystal Display))等のモニタの筐体の一部として用いられる。
【0028】
図3は、筐体の一部に一体化されたガラスG1、G2を使用した情報端末10(例えば、スマートフォン)の断面図である。情報端末10は、表面ガラス11と、液晶パネル12と、複数の電子部品13と、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子14と、基板15と、裏面ガラス16と、枠17とを備える。
【0029】
表面ガラス11、裏面ガラス16及び枠17は、情報端末10の筐体を形成し、該筐体の内部には、液晶パネル12と、複数の電子部品13及び撮像素子14が実装された基板15とが収容されている。
【0030】
ここで、裏面ガラス16は、上述の成形装置1により一体化された黒色のガラスG1と透明のガラスG2から構成されている。この実施形態では、基板15に実装された撮像素子14に対応する位置に透明のガラスG2が配置されている。透明のガラスG2は、可視光を透過するので、撮像素子14へ入射する光を遮ることがない。
【0031】
また、透明なガラスG2は、予め円柱状に成形固化したものを用いる。この際、ダウンドロー法やベロー法にて棒状に成形された透明なガラスG2を用いると、透明なガラスG2の側面は、鏡面(火造り面)となり、着色したガラスG1と透明なガラスG2との境界に空気が混入したり、穴あけによる加工くずが入り込むこともない。このため、着色したガラスG1と透明なガラスG2との境界がはっきりし、撮像素子14が正常に受光できない虞を抑制することができる。
【0032】
また、着色したガラスG1に透明なガラスG2で社名やブランド名等のロゴを描いた場合にも、ユーザが該ロゴを認識できない虞を低減することができる。さらに、着色したガラスG1と透明なガラスG2との間に隙間や段差が生じないので、美観、すなわち意匠性が向上する。さらに、ガラスG1とガラスG2とを一体化するために必要な工程数が少ないため製造コストを抑制することができる。
【0033】
なお、成形装置1で一体したガラスG1,G2をスマートフォン等の情報端末やLCD((Liquid Crystal Display))等のモニタの筐体の一部として用いる場合、使用時の落下衝撃による破損や長期間の使用による接触傷を考慮し、高い強度が求められる。そこでガラス表面を研磨加工した後、化学強化処理を行うようにしてもよい。
【0034】
化学強化処理は、例えば、ソーダ石灰ガラスを380℃程度に加熱した硝酸カリ溶融塩に浸漬することで、アルカリイオンのイオン交換(ガラスの成分であるナトリウムイオン(Na+)をよりイオン半径の大きい溶融塩中のカリウムイオン(K+)とイオン交換)を行い、ガラス表面に圧縮応力を形成する方法であり、一体化ガラスに高い強度を付与することができる。
【0035】
(第1の実施形態の変形例)
図4は、第1の実施形態の変形例に係るガラスの成形装置1A(以下、単に成形装置1Aと称する)の構成図である。この成形装置1Aでは、一体化容器160の代わりに筒190を備える点が、図1を参照して説明した成形装置1と異なる。以下、図4を参照して、成形装置1Aの構成について説明する。なお、図1を参照して説明した成形装置1と同一の構成には同一の符号を用い、重複した説明を省略する。
【0036】
成形装置1Aは、撹拌装置130の下流に配置され、上端及び下端が開口された筒190を備える。筒190の内径は、棒状の固化状態のガラスG2の外径よりも太くなっている。筒190は、撹拌装置130から供給される溶融状態のガラスG1と、予熱手段150を通って送出される固化状態の棒状のガラスG2とを接触させた状態で下端の開口から排出する。
【0037】
成形装置1Aにより一体成形されたガラスG1とガラスG2は、第1の実施形態と同様に、円柱状のガラスG2の長手方向に対して垂直に所望の厚みに切断された後、所望の形状に加工され、表面を研磨加工してスマートフォン等の情報端末やLCD(液晶ディスプレイモニタ)等のモニタの筐体の一部として用いられる。なお、第1の実施形態と同様に、ガラス表面を研磨加工した後、化学強化処理を行うようにしてもよい。
【0038】
以上のように、成形装置1Aは、異なる組成又は色調の第1,第2のガラスを、一方を溶融状態で、他方を固化状態で接触させた後、徐冷して固化させているので、異なる組成又は色調のガラスを容易に一体成形することができる。その他の効果は、成形装置1と同じである。
【0039】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係るガラスの成形装置2(以下、単に成形装置2と称する)の構成図である。成形装置2は、組成もしくは色調の少なくとも一方が異なる第1のガラスG1(以下、ガラスG1と称する)と第2のガラスG2(以下、ガラスG2と称する)とを一体に成形するための成形装置である。ガラスG1は、黒色の着色ガラスであり、溶融した状態で供給される。ガラスG2は、透明ガラスであり、別途円柱状に成形固化したもの用意し、これを固化した円柱状の状態で供給される。
【0040】
成形装置2は、溶融状態のガラスG1と固化状態のガラスG2とを接触させた状態で徐冷することにより、組成又は色調の少なくとも一方が異なる第1のガラスG1と第2のガラスG2とを一体化する。なお、溶融状態とは、ガラスの粘度ηがlogη=5.0(作業温度)を含み、これよりもガラスの粘度ηが高い、つまりガラスが柔らかい状態のことをいう。また、固化状態とは、ガラスの粘度ηがlogη=7.6(軟化点)を含まず、これよりもガラスの粘度ηが低い、つまりガラスが硬い状態のことをいう。ガラスG1は、例えば、カラーフリット等を粉末状にした着色剤により着色する。
【0041】
以下、図5を参照して成形装置2の構成について説明する。
成形装置2は、金型210と、第1の載置手段220と、コンベア230と、第2の載置手段240と、流出ノズル250と、徐冷装置260とを備える。
【0042】
金型210は、溶融状態のガラスG1と固化状態のガラスG2とを一体化して成形するための上部が開口された箱形状の容器である。金型210には、高温の溶融状態のガラスG1が流しこまれるため耐熱性及び耐食性に優れる材料、例えば、SS鋼材やステンレス鋼で形成される。
【0043】
第1の載置手段220は、例えば、パラレルリンクロボット又はシリアルリンクロボット(多関節ロボット)であり、金型210を把持する把持部221と、外部から供給されるエア(空気)により把持部221を矢印α(図5参照)の方向に駆動する駆動部222とから構成されるエンドエフェクタと、該エンドエフェクタに連結されたアーム223とを備える。第1の載置手段220は、金型210を後述するコンベア230上へ所定の間隔で載置する。
【0044】
コンベア230は、短冊状の複数のプレート231が連結されたエンドレスのチェーンである。個々のプレート231は、耐熱性及び耐食性に優れた材料、例えば、SS鋼材やステンレス鋼、鋳鉄等で構成されている。コンベア230は、プレート231上に配置された金型210を所定の速度で矢印β(図5参照)の方向に搬送する。
【0045】
なお、コンベア230は、複数の金型210を所定の速度で矢印β(図5参照)の方向に搬送できるものであればよく、例えば、金型210の搬送方向に沿って複数のローラを備え、この複数のローラが所定の速度で回転することにより金型210を搬送する構成としてもよい。
【0046】
第2の載置手段240は、例えば、パラレルリンクロボット又はシリアルリンクロボット(多関節ロボット)であり、円柱状の固化状態のガラスG2を把持する把持部241と、外部から供給されるエア(空気)により把持部241を矢印γ(図5参照)の方向に駆動する駆動部242とから構成されるエンドエフェクタと、該エンドエフェクタに連結されたアーム243とを備える。
【0047】
第2の載置手段240は、コンベア230上に載置された金型210内の所定の位置へ円柱状のガラスG2を載置する。第2の載置手段240は、円柱状のガラスG2を縦置き、すなわち、円柱状のガラスG2の長手方向が金型210の底面に対して垂直となるようにガラスG2を金型210内に載置する。
【0048】
なお、固化状態のガラスG2を予め所定の温度まで予熱してもよい。但し、所定の温度は、ガラスG2の軟化点よりも低い温度とすることに留意する。固化状態のガラスG2を予熱することにより、熱膨張係数の違いによりガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みが緩和される。
【0049】
流出ノズル250は、ガラスG1を溶融する溶融装置(不図示)に接続されており、溶融状態のガラスG1を連続して流出する。流出ノズル250から流出する溶融状態のガラスG1は、流出ノズル250の下を通過する固化状態のガラスG2が載置された金型210内へ流れ込む。なお、流出ノズル250から流出する溶融状態のガラスG1の流出速度は、金型210内へ流れ込んだ溶融状態のガラスG1の上面H1が、金型内210内に載置された固化状態のガラスG2の上面H2と同程度となるように予め調整されている。
【0050】
溶融状態のガラスG1が流し込まれた金型210はコンベア230により徐冷装置260内へ搬送される。徐冷装置260は、溶融状態のガラスG1と固化状態のガラスG2とを接触させた状態で徐冷し、溶融状態のガラスG1を固化させて黒色のガラスG1と透明なガラスG2とを一体化する。徐冷を行うことで、熱膨張係数の違いによりガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みが緩和される。
【0051】
なお、ガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みを抑制するために、ガラスG1の熱膨張係数とガラスG2の熱膨張係数とは、略同じであることが好ましい。例えば、透明なガラスであるガラスG2に、黒色の着色剤を加えたガラスをガラスG1とすれば、ガラスG1の熱膨張係数とガラスG2の熱膨張係数とを略同一とすることができる。また、25℃〜300℃の温度範囲におけるガラスG1とガラスG2との熱膨張係数の差は、0〜5×10−7/℃の範囲内であることが好ましい。
【0052】
成形装置2により一体成形されたガラスG1とガラスG2は、図6に示すように円柱状のガラスG2の長手方向に対して垂直方向(図6の破線の方向)に所望の厚みに切断された後、所望の形状に加工され、表面を研磨加工してスマートフォン等の情報端末やLCD(液晶ディスプレイモニタ)等のモニタの筐体の一部として用いられる。なお、第1の実施形態と同様に、ガラス表面を研磨加工した後、化学強化処理を行うようにしてもよい。
【0053】
以上のように、成形装置2は、異なる組成又は色調の第1,第2のガラスを、一方を溶融状態で、他方を固化状態で接触させた後、徐冷して固化させているので、異なる組成又は色調のガラスを容易に一体成形することができる。その他の効果は、成形装置1と同じである。
【0054】
図7は、第2の実施形態に係るガラスの成形装置2で使用する金型210の他の例を示した図である。図7に示した図では、金型210の深さDを、予め所望の厚みに切断された固化状態のガラスG2の厚みに合わせている。このため、一体成形されたガラスG1,ガラスG2を所望の厚みに切断する工程を省略することができる。また、固化状態のガラスG2の高さが低いので、ガラスG2を安定した状態で金型210内に載置して、溶融状態のガラスG1を金型210内に流し込むことができる。その他の効果は、成形装置1と同じである。
【0055】
なお、上記第2の実施形態では、自動でコンベア上へ金型210を載置し、該金型210内へ固化状態のガラスG2を載置し、溶融状態のガラスG1を流し込むように構成したが、手動でこれら一連の作業を行うようにしてもよい。この場合、ユーザが金型210内に固化状態のガラスG2を載置した後、固化状態のガラスG2が載置された金型210へ溶融状態のガラスG1を流し込んで徐冷を行う。
【0056】
さらに、上記第2の実施形態では、金型210内に固化状態のガラスG2を載置した後、固化状態のガラスG2が載置された金型210内へ溶融状態のガラスG1を流し込んでいるが、金型210内に溶融状態のガラスG1を流し込んだ後、溶融状態のガラスG1が流し込まれた金型210内の所定の位置へ固化状態のガラスG2を載置するようにしてもよい。金型210内に溶融状態のガラスG1を流し込んだ後、固化状態のガラスG2を載置する際は、溶融状態のガラスG1に気泡等が混入しないように、固化状態のガラスG2をゆっくりと載置することに留意する。
【0057】
(第2の実施形態の変形例)
図8は、第2の実施形態の変形例に係るガラスの成形装置2A(以下、単に成形装置2Aと称する)の構成図である。成形装置2Aは、金型210内に配置する円柱状のガラスG2を横置き、すなわち、円柱状のガラスG2の長手方向が金型210の底面に対して平行となるように固形状態の円柱状のガラスG2を載置するための金型210Aと、該金型210A内に円柱状のガラスG2を横置きに載置する第2の載置手段240Aを備える点が図5を参照して説明した成形装置2と異なる。なお、その他の構成は、図5を参照して説明した成形装置5の構成と同じであるため同一の構成には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0058】
図9は、成形装置2Aが備える金型210Aの構成図である。図9(a)は、金型210Aの上面図である。図9(b)は、図9(a)の線分X−Xにおける断面図である。
図9に示すように、金型210Aには、円柱状のガラスG2を金型210A内に横置きするための溝Mが、金型210Aの対向する側壁に形成されている。
【0059】
第2の載置手段240Aは、例えば、パラレルリンクロボット又はシリアルリンクロボット(多関節ロボット)であり、固化状態の円柱状のガラスG2を把持する把持部241Aと、外部から供給されるエア(空気)により把持部241Aを駆動する駆動部242Aとから構成されるエンドエフェクタと、該エンドエフェクタに連結されたアーム243Aとを備える。第2の載置手段240Aは、コンベア230上に載置された金型210Aに形成された溝Mへ円柱状のガラスG2を横置きにして載置する。なお、この第2の載置手段240Aは、円柱状のガラスG2の長手方向に対して垂直となる方向からガラスG2を把持する。
【0060】
なお、固化状態のガラスG2を予め所定の温度まで予熱してもよい。但し、所定の温度は、ガラスG2の軟化点よりも低い温度とすることに留意する。固化状態のガラスG2を予熱することにより、熱膨張係数の違いによりガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みが緩和される。
【0061】
成形装置2Aにより一体成形されたガラスG1とガラスG2は、図10に示すように円柱状のガラスG2の長手方向に対して垂直方向(図10の破線の方向)に所望の厚みに切断された後、所望の形状に加工され、表面を研磨加工してスマートフォン等の情報端末やLCD(液晶ディスプレイモニタ)等のモニタの筐体の一部として用いられる。なお、第1の実施形態と同様に、ガラス表面を研磨加工した後、化学強化処理を行うようにしてもよい。
【0062】
この成形装置2Aでは、固化状態のガラスG2を横置きとしているので、ガラスG2を安定した状態で金型210内に載置して、溶融状態のガラスG1を金型210A内に流し込むことができる。その他の効果は、図5を参照して説明した成形装置2と同じである。
【0063】
なお、上記第2の実施形態と同様に、この第2の実施形態に係る変形例においても、ユーザが手動で金型210A内に固化状態のガラスG2を載置した後、固化状態のガラスG2が載置された金型210Aへ溶融状態のガラスG1を流し込んで徐冷を行うようにしてもよい。また、金型210A内に溶融状態のガラスG1を流し込んだ後、金型210Aに形成された溝Mへ円柱状のガラスG2を横置きにして載置するようにしてもよい。金型210内に溶融状態のガラスG1を流し込んだ後、固化状態のガラスG2を載置する際は、溶融状態のガラスG1に気泡等が混入しないように、固化状態のガラスG2をゆっくりと載置することに留意する。
【0064】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態に係るガラスの成形装置3(以下、単に成形装置3と称する)の構成図である。成形装置3は、組成もしくは色調の少なくとも一方が異なる第1のガラスG1(以下、ガラスG1と称する)と第2のガラスG2(以下、ガラスG2と称する)とを一体に成形するための成形装置である。ガラスG1は、黒色の着色ガラスであり、溶融した状態で供給される。ガラスG2は、透明ガラスであり、別途円柱状に成形固化したもの用意し、これを固化した円柱状の状態で供給される。
【0065】
成形装置3は、溶融状態のガラスG1と固化状態のガラスG2とを接触させた状態で徐冷することにより、組成又は色調の少なくとも一方が異なる第1のガラスG1と第2のガラスG2とを一体化する。なお、溶融状態とは、ガラスの粘度ηがlogη=5.0(作業温度)を含み、これよりもガラスの粘度ηが高い、つまりガラスが柔らかい状態のことをいう。また、固化状態とは、ガラスの粘度ηがlogη=7.6(軟化点)を含まず、これよりもガラスの粘度ηが低い、つまりガラスが硬い状態のことをいう。ガラスG1は、例えば、カラーフリット等を粉末状にした着色剤により着色する。
【0066】
以下、図11を参照して成形装置3の構成について説明する。
成形装置3は、第1の載置手段310と、コンベア320と、流出ノズル330と、圧延手段340と、徐冷装置350とを備える。
【0067】
第1の載置手段310は、例えば、パラレルリンクロボット又はシリアルリンクロボット(多関節ロボット)であり、予め所望の厚みに切断された円柱状の固化状態のガラスG2を把持する把持部311と、外部から供給されるエア(空気)により把持部311を矢印α(図11参照)の方向に駆動する駆動部312とから構成されるエンドエフェクタと、該エンドエフェクタに連結されたアーム313とを備える。第1の載置手段310は、短い円柱状の固化状態のガラスG2を所定の間隔で後述するコンベア320上へ載置する。
【0068】
なお、固化状態のガラスG2を予め所定の温度まで予熱してもよい。但し、所定の温度は、ガラスG2の軟化点よりも低い温度とすることに留意する。固化状態のガラスG2を予熱することにより、熱膨張係数の違いによりガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みが緩和される。
【0069】
コンベア320は、短冊状の複数のプレート321が連結されたエンドレスのチェーンである。個々のプレート321は、耐熱性及び耐食性に優れた材料、例えば、SS鋼材やステンレス鋼、鋳鉄等で構成されている。コンベア320は、プレート321上に配置された固化状態のガラスG2を所定の速度で矢印β(図11参照)の方向に搬送する。
【0070】
流出ノズル330は、ガラスG1を溶融する溶融装置(不図示)に接続されており、溶融状態のガラスG1をコンベア320上へ連続して流出する。流出ノズル330からは、溶融状態のガラスG1が、流出ノズル330の下を通過するコンベア320上に載置された固化状態のガラスG2を覆うようにして流出する。
【0071】
圧延手段340は、図示しないモータにより回転駆動される複数の圧延ローラ341を備える。圧延手段340は、複数の圧延ローラ341により、コンベア320上に流出した溶融状態のガラスG1の厚みを固化状態のガラスG2の厚みと略同一の厚みとなるように圧延する。
【0072】
圧延手段340により圧延された溶融状態のガラスG1と、固化状態のガラスG2は、コンベア320により徐冷装置350内へ搬送される。徐冷装置350は、溶融状態のガラスG1と固化状態のガラスG2とが接触した状態で徐冷し、溶融状態のガラスG1を固化させて黒色のガラスG1と透明なガラスG2とを一体化する。徐冷を行うことで、熱膨張係数の違いによりガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みが緩和される。
【0073】
なお、ガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みを抑制するために、ガラスG1の熱膨張係数とガラスG2の熱膨張係数とは、略同じであることが好ましい。例えば、透明なガラスであるガラスG2に、黒色の着色剤を加えたガラスをガラスG1とすれば、ガラスG1の熱膨張係数とガラスG2の熱膨張係数とを略同一とすることができる。また、25℃〜300℃の温度範囲におけるガラスG1とガラスG2との熱膨張係数の差は、0〜5×10−7/℃の範囲内であることが好ましい。
【0074】
成形装置3により一体成形されたガラスG1とガラスG2は、所望の形状に切断された後、表面を研磨加工してスマートフォン等の情報端末やLCD(液晶ディスプレイモニタ)等のモニタの筐体の一部として用いられる。なお、第1の実施形態と同様に、ガラス表面を研磨加工した後、化学強化処理を行うようにしてもよい。
【0075】
以上のように、成形装置3は、異なる組成又は色調の第1,第2のガラスを、一方を溶融状態で、他方を固化状態で接触させた後、徐冷して固化させているので、異なる組成又は色調のガラスを容易に一体成形することができる。また、金型が不要であるため製造コストをさらに抑制することができる。その他の効果は、図1を参照して説明した成形装置1と同じである。
【0076】
上記第3の実施形態では、固化状態のガラスG2をコンベア320上に載置した後、この固化状態のガラスG2が載置されたコンベア320上に溶融状態のガラスG1を流出させるようにしているが、コンベア320上へ溶融状態のガラスG1を流出させた後、コンベア320上の溶融状態のガラスG1へ固化状態のガラスG2を載置するようにしてもよい。コンベア320上の溶融状態のガラスG1へ固化状態のガラスG2を載置する際は、溶融状態のガラスG1に気泡等が混入しないように、固化状態のガラスG2をゆっくりと載置することに留意する。
【実施例】
【0077】
次に、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。発明者らは、短い円柱状をした透明な固化状態のガラスG2を図7に示した金型内に載置し、固化状態のガラスG2が載置された金型内に、黒色に着色した溶融状態のガラスG1を流し込んだ後、溶融状態のガラスG1を冷却してガラスG1とガラスG2とを一体化した。
【0078】
発明者らは、成分が異なる5種類の透明なガラスG2を用意し、上述の手順でガラスG1とガラスG2とを一体化した試料A〜Eを作成した。試料A〜Eのうち、うまく一体化できたのは、着色剤以外の組成がガラスG1とガラスG2とで同じ場合、つまり、透明なガラスG2に着色剤を含有したものをガラスG1とした試料Aだけであった。その他の試料B〜Eについては、徐冷中に、黒色に着色したガラスG1又は透明なガラスG2、もしくはその両方に割れが発生した。
【0079】
これは、着色剤以外の組成がガラスG1とガラスG2とで同じでない場合、つまり、ガラスG1とガラスG2との組成が異なる場合、ガラスG1の膨張係数の曲線とガラスG2との膨張係数の曲線とが徐冷温度域において一致しないため、徐冷工程において、ガラスG1とガラスG2との間(境界)に熱歪みが生じるためと考えられる。
【0080】
実際に、試料A〜Eについて、ガラスG1とガラスG2との熱膨張係数の差を調べたところ、うまく一体化できた試料Aは、25℃〜300℃の温度範囲におけるガラスG1とガラスG2との熱膨張係数の差が1×10−7/℃程度であるのに対して、割れが生じた試料B〜Eは、25℃〜300℃の温度範囲におけるガラスG1とガラスG2との熱膨張係数の差が5×10−7/℃を超えていた。以上のことから、25℃〜300℃の温度範囲におけるガラスG1とガラスG2との熱膨張係数の差は、0〜5×10−7/℃の範囲内であることが好ましいことがわかる。
【0081】
(その他の実施形態)
以上のように、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。例えば、上記説明では、ガラスG1を黒色に着色したガラス、ガラスG2を透明なガラスとして説明したが、着色する色調は、黒に限られず種々の色調とすることができる。また、ガラスG1を透明なガラスとし、ガラスG2を着色したガラスとしてもよい。また、ガラスG1,G2を共に透明なガラスとしてもよく、ガラスG1,G2を共に着色したガラスとしてもよい。
【0082】
さらに、上記各実施形態では、成形装置1,1A,2,2A,3により一体成形されたガラスG1,G2を所望の厚み、形状に切断した後、研磨加工することでスマートフォン等の情報端末やLCD((Liquid Crystal Display))等のモニタの筐体に加工しているが、成形装置1,1A,2,2A,3により一体成形されたガラスG1,G2を、加熱・軟化した後、プレス成形することでスマートフォン等の情報端末やLCD((Liquid Crystal Display))等のモニタの筐体を形成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明のガラスの成形方法は、異なる組成もしくは色調のガラスを一体に成形することができるので、意匠性が求められるガラス、例えば、スマートフォン等の情報端末やLCD等のモニタの筐体に使用されるガラスの成形に好適である。
【符号の説明】
【0084】
1,1A…成形装置、10…情報端末、11…表面ガラス、12…液晶パネル、13…電子部品、14…撮像素子、15…基板、16…裏面ガラス、17…枠、110…溶融窯、120…清澄槽(リファイナ)、130…撹拌装置、131…撹拌槽、132…回転軸、133…撹拌翼、140…第1のローラ、150…予熱手段、151…赤外線ランプ、152…反射ミラー、160…一体化容器、容器161、162…流出ノズル、170…第2のローラ、180…徐冷装置、210…金型、220…第1の載置手段、221…把持部、222…駆動部、多関節アーム…223、230…コンベア、231…プレート、240…第2の載置手段、250…流出ノズル、260…徐冷装置、310…第1の載置手段、311…把持部、312…駆動部、313…アーム、320…コンベア、321…プレート、330…流出ノズル、340…圧延手段、341…圧延ローラ、350…徐冷装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスの成形方法及び一体化ガラスに関し、特に、異なる組成もしくは色調のガラスを一体に成形するガラスの成形方法及び異なる組成もしくは色調のガラスを一体化した一体化ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スマートフォン等の情報端末やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタの筐体には、加工性やコスト性の観点から、樹脂もしくは金属が使用されている。しかしながら、近年では、筐体に意匠性を求められることが多くなっており、筐体に着色したガラス(以下、着色ガラスと称する)を使用することが提案されている。例えば、特許文献1には、携帯電話の裏面に搭載された透明太陽電池の裏面ガラスを好みの色に着色することが提案されている。
【0003】
また、情報端末やテレビ等の筐体ではないが、特許文献2には、腕時計の防風窓(カバーガラス)を、2種以上の異なる色調(色)のガラスで構成することが提案されている。特許文献2では、可視光を透過する無色透明なガラス(以下、透明ガラスと称する)と着色ガラスとを積層した積層体を加熱して融着させ、さらに、中央部が凸形状となるようにプレス成形した後、凸部を研削除去することで、透明ガラスと着色ガラスとが一体化したガラスを得ることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−129987号公報
【特許文献2】特開平9−218277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、情報端末やモニタは、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子やリモートコントロール用の赤外線受光素子が内蔵されることがある。この場合、撮像素子や受光素子が可視光や赤外光を受光できるように、筐体の一部を可視光や赤外光が透過するように構成する必要がある。つまり、筐体に着色ガラスを使用した場合は、その一部を透明ガラスとする必要がある。また、情報端末やモニタの筐体には、社名やブランド名が記載されることがあるが、意匠性を考慮して、着色ガラス又は透明ガラス内に社名やブランド名等のロゴを異なる色調のガラスで記載したいという要望がある。
【0006】
しかしながら、引用文献1で提案される方法では、筐体として使用される着色ガラスが単色であるため撮像素子や赤外線受光素子等が内蔵された情報端末の筐体として使用することができない。また、着色ガラス中に社名やブランド名等のロゴを透明ガラスで記載することができない。この場合、着色ガラスの一部に貫通孔を形成し、該貫通孔と略同形状に切り出した透明ガラスを上記貫通孔に嵌め込むことが考えられる。しかしながら、該方法では、貫通孔の形成や透明ガラスの切り出し等を行う必要があり、製造工程が増加するため生産性が低下する虞がある。さらに、着色ガラスと透明ガラスとの間に隙間や段差が生じ、美観、すなわち意匠性が損なわれる虞が高い。
【0007】
特許文献2に提案される方法では、着色ガラスの一部を透明ガラスとした筐体を作成することができる。しかしながら、該方法では、積層したガラスの融着や、融着したガラスのプレス成形等を行う必要があり、製造工程が増加するため生産性が低下する虞がある。また、プレス成形する際の金型とガラスとの離型性を考慮し、金型にテーパーをつけているため透明ガラスと着色ガラスとの境界面が、成形後のガラスの主面(表面又は裏面)に対して傾斜した状態となる。すなわち、透明ガラスと着色ガラスとの境界付近では、透明ガラスの厚みが漸減すると着色ガラスの厚みが漸増し、透明ガラスの厚みが漸増すると着色ガラスの厚みが漸減する関係にある。このため、着色ガラスと透明ガラスとの境界がはっきりせず、透明ガラスと着色ガラスの輪郭がぼやけてしまい、撮像素子や赤外線受光素子が正常に受光できない虞や、ユーザが社名やブランド名等のロゴを認識できない虞がある。
【0008】
本発明は、異なる組成又は色調のガラスを一体成形するガラスの成形方法及び一体化ガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のガラスの成形方法は、組成又は色調の少なくとも一方が異なる第1,第2ガラスを一体化するガラスの成形方法であって、第1のガラスを加熱して溶融させる第1の工程と、溶融状態の第1のガラスと、固化状態の第2のガラスとを接触させる第2の工程と、溶融状態の第1のガラスと固化状態の第2のガラスとを接触させた状態で冷却し、第1のガラスを固化させる第3の工程と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、異なる組成又は色調の第1,第2のガラスを、一方を溶融状態で、他方を固化状態で接触させた後、冷却して固化させているので、異なる組成又は色調のガラスを容易に一体成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係るガラスの成形装置の断面図。
【図2】図1の線分X−Xにおける切断面を示す図。
【図3】筐体の一部に一体化されたガラスを使用した情報端末の断面図。
【図4】第1の実施形態の変形例に係るガラスの成形装置の断面図。
【図5】第2の実施形態に係るガラスの成形装置の断面図。
【図6】第2の実施形態に係るガラスの成形装置により成形されたガラスの切断方向を示す図。
【図7】第2の実施形態に係るガラスの成形装置で使用する金型の他の例を示した図。
【図8】第2の実施形態の変形例に係るガラスの成形装置の断面図。
【図9】第2の実施形態の変形例に係るガラスの成形装置の金型の構成図。
【図10】第2の実施形態の変形例に係るガラスの成形装置により成形されたガラスの切断方向を示す図。
【図11】第3の実施形態に係るガラスの成形装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るガラスの成形装置1(以下、単に成形装置1と称する)の構成図である。成形装置1は、組成もしくは色調の少なくとも一方が異なる第1のガラスG1(以下、ガラスG1と称する)と第2のガラスG2(以下、ガラスG2と称する)とを一体に成形するための成形装置である。ガラスG1は、黒色の着色ガラスであり、溶融した状態で供給される。ガラスG2は、透明ガラスであり、別途円柱状に成形固化したもの用意し、これを固化した円柱状の状態で供給される。
【0013】
成形装置1は、溶融状態のガラスG1と固化状態のガラスG2とを接触させた状態で徐冷することにより、組成又は色調の少なくとも一方が異なる第1のガラスG1と第2のガラスG2とを一体化する。なお、溶融状態とは、ガラスの粘度ηがlogη=5.0(作業温度)を含み、これよりもガラスの粘度ηが高い、つまりガラスが柔らかい状態のことをいう。また、固化状態とは、ガラスの粘度ηがlogη=7.6(軟化点)を含まず、これよりもガラスの粘度ηが低い、つまりガラスが硬い状態のことをいう。ガラスG1は、例えば、カラーフリット等を粉末状にした着色剤により着色する。
【0014】
以下、図1を参照して、成形装置1の構成について説明する。
ガラスの成形装置1は、溶融窯110と、清澄槽(リファイナ)120と、撹拌装置130と、第1のローラ140と、予熱手段150と、一体化容器160と、第2のローラ170と、徐冷装置180とを備える。
【0015】
溶融窯110は、ガラスG1の原料である珪砂(けいしゃ)、ソーダ灰、石灰石などを加熱して溶融する。清澄槽120は、ガラス化反応により発生するH2O、CO2、O2などの気体あるいは溶融時に巻き込まれた空気が原因で、溶融したガラスG1中に生じた気泡を溶融状態のガラスG1から取り除く。
【0016】
撹拌装置130は、溶融状態のガラスG1を収容する撹拌槽131と、図示しないモータにより駆動されて回転する回転軸132と、この回転軸132に取り付けられ、撹拌槽131内に収容されている溶融状態のガラスG1を撹拌する撹拌翼133とを備える。撹拌装置130は、清澄槽120から送出される清澄後のガラスG1を撹拌して均質化する。
【0017】
第1のローラ140は、円柱状の固化状態のガラスG2と当接した状態で図示しないモータにより回転駆動され、ガラスG2を一定の速度で後述の一体化容器160へ送出する。
【0018】
予熱手段150は、加熱用の赤外線ランプ151と、その背後に配置された反射ミラー152とを備える。予熱手段150は、第1のローラ140と後述の一体化容器160との間に配置され、第1のローラ140により送出される固化状態のガラスG2を所定の温度まで予熱する。
【0019】
但し、予熱手段150では、ガラスG2の軟化点よりも低い温度までしか予熱しないことに留意する。軟化点温度以上に予熱するとガラスG2が変形する虞があるためである。固化状態のガラスG2を予熱することにより、熱膨張係数の違いによりガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みが緩和される。
【0020】
一体化容器160は、上端が開口され、撹拌装置130から供給される溶融状態のガラスG1を収容する容器161と、容器161の底部の略中央に取り付けられた流出ノズル162とを備える。流出ノズル162の内径は、棒状の固化状態のガラスG2の外径よりも太くなっている。
【0021】
一体化容器160は、撹拌装置130から供給される溶融状態のガラスG1と、予熱手段150を通って送出される固化状態の棒状のガラスG2とを接触させた状態で流出ノズル162から排出する。
【0022】
第2のローラ170は、一体化容器160の流出ノズル162から排出される溶融状態のガラスG1と当接した状態で図示しないモータにより回転駆動され、ガラスG3を一定の速度で後述の徐冷装置180へ送出する。なお、第1のローラ140によるガラスG2の送出速度と、第2のローラ170によるガラスG3の送出速度とは、同一とすることが好ましい。
【0023】
徐冷装置180は、溶融状態のガラスG1と固化状態のガラスG2とを接触させた状態で徐冷し、溶融状態のガラスG1を固化させて黒色のガラスG1と透明なガラスG2とを一体化する。徐冷を行うことで、熱膨張係数の違いによりガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みが緩和される。
【0024】
なお、ガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みを抑制するために、ガラスG1の熱膨張係数とガラスG2の熱膨張係数とは、略同じであることが好ましい。例えば、透明なガラスであるガラスG2に、黒色の着色剤を加えたガラスをガラスG1とすれば、ガラスG1の熱膨張係数とガラスG2の熱膨張係数とを略同一とすることができる。また、25℃〜300℃の温度範囲におけるガラスG1とガラスG2との熱膨張係数の差は、0〜5×10−7/℃の範囲内であることが好ましい。
【0025】
図2は、図1の線分X−Xにおける切断面を示す図である。図2に示すように、一体化された黒色のガラスG1と透明なガラスG2との切断面は、ガラスG2内にガラスG1が配置された形状となる。
【0026】
以上のように、成形装置1は、異なる組成又は色調の第1,第2のガラスを、一方を溶融状態で、他方を固化状態で接触させた後、徐冷して固化させているので、異なる組成又は色調のガラスを容易に一体成形することができる。
【0027】
なお成形装置1により一体成形されたガラスG1,G2は、円柱状のガラスG2の長手方向に対して垂直に所望の厚みに切断された後、所望の形状に加工され、表面を研磨加工してスマートフォン等の情報端末やLCD((Liquid Crystal Display))等のモニタの筐体の一部として用いられる。
【0028】
図3は、筐体の一部に一体化されたガラスG1、G2を使用した情報端末10(例えば、スマートフォン)の断面図である。情報端末10は、表面ガラス11と、液晶パネル12と、複数の電子部品13と、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子14と、基板15と、裏面ガラス16と、枠17とを備える。
【0029】
表面ガラス11、裏面ガラス16及び枠17は、情報端末10の筐体を形成し、該筐体の内部には、液晶パネル12と、複数の電子部品13及び撮像素子14が実装された基板15とが収容されている。
【0030】
ここで、裏面ガラス16は、上述の成形装置1により一体化された黒色のガラスG1と透明のガラスG2から構成されている。この実施形態では、基板15に実装された撮像素子14に対応する位置に透明のガラスG2が配置されている。透明のガラスG2は、可視光を透過するので、撮像素子14へ入射する光を遮ることがない。
【0031】
また、透明なガラスG2は、予め円柱状に成形固化したものを用いる。この際、ダウンドロー法やベロー法にて棒状に成形された透明なガラスG2を用いると、透明なガラスG2の側面は、鏡面(火造り面)となり、着色したガラスG1と透明なガラスG2との境界に空気が混入したり、穴あけによる加工くずが入り込むこともない。このため、着色したガラスG1と透明なガラスG2との境界がはっきりし、撮像素子14が正常に受光できない虞を抑制することができる。
【0032】
また、着色したガラスG1に透明なガラスG2で社名やブランド名等のロゴを描いた場合にも、ユーザが該ロゴを認識できない虞を低減することができる。さらに、着色したガラスG1と透明なガラスG2との間に隙間や段差が生じないので、美観、すなわち意匠性が向上する。さらに、ガラスG1とガラスG2とを一体化するために必要な工程数が少ないため製造コストを抑制することができる。
【0033】
なお、成形装置1で一体したガラスG1,G2をスマートフォン等の情報端末やLCD((Liquid Crystal Display))等のモニタの筐体の一部として用いる場合、使用時の落下衝撃による破損や長期間の使用による接触傷を考慮し、高い強度が求められる。そこでガラス表面を研磨加工した後、化学強化処理を行うようにしてもよい。
【0034】
化学強化処理は、例えば、ソーダ石灰ガラスを380℃程度に加熱した硝酸カリ溶融塩に浸漬することで、アルカリイオンのイオン交換(ガラスの成分であるナトリウムイオン(Na+)をよりイオン半径の大きい溶融塩中のカリウムイオン(K+)とイオン交換)を行い、ガラス表面に圧縮応力を形成する方法であり、一体化ガラスに高い強度を付与することができる。
【0035】
(第1の実施形態の変形例)
図4は、第1の実施形態の変形例に係るガラスの成形装置1A(以下、単に成形装置1Aと称する)の構成図である。この成形装置1Aでは、一体化容器160の代わりに筒190を備える点が、図1を参照して説明した成形装置1と異なる。以下、図4を参照して、成形装置1Aの構成について説明する。なお、図1を参照して説明した成形装置1と同一の構成には同一の符号を用い、重複した説明を省略する。
【0036】
成形装置1Aは、撹拌装置130の下流に配置され、上端及び下端が開口された筒190を備える。筒190の内径は、棒状の固化状態のガラスG2の外径よりも太くなっている。筒190は、撹拌装置130から供給される溶融状態のガラスG1と、予熱手段150を通って送出される固化状態の棒状のガラスG2とを接触させた状態で下端の開口から排出する。
【0037】
成形装置1Aにより一体成形されたガラスG1とガラスG2は、第1の実施形態と同様に、円柱状のガラスG2の長手方向に対して垂直に所望の厚みに切断された後、所望の形状に加工され、表面を研磨加工してスマートフォン等の情報端末やLCD(液晶ディスプレイモニタ)等のモニタの筐体の一部として用いられる。なお、第1の実施形態と同様に、ガラス表面を研磨加工した後、化学強化処理を行うようにしてもよい。
【0038】
以上のように、成形装置1Aは、異なる組成又は色調の第1,第2のガラスを、一方を溶融状態で、他方を固化状態で接触させた後、徐冷して固化させているので、異なる組成又は色調のガラスを容易に一体成形することができる。その他の効果は、成形装置1と同じである。
【0039】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係るガラスの成形装置2(以下、単に成形装置2と称する)の構成図である。成形装置2は、組成もしくは色調の少なくとも一方が異なる第1のガラスG1(以下、ガラスG1と称する)と第2のガラスG2(以下、ガラスG2と称する)とを一体に成形するための成形装置である。ガラスG1は、黒色の着色ガラスであり、溶融した状態で供給される。ガラスG2は、透明ガラスであり、別途円柱状に成形固化したもの用意し、これを固化した円柱状の状態で供給される。
【0040】
成形装置2は、溶融状態のガラスG1と固化状態のガラスG2とを接触させた状態で徐冷することにより、組成又は色調の少なくとも一方が異なる第1のガラスG1と第2のガラスG2とを一体化する。なお、溶融状態とは、ガラスの粘度ηがlogη=5.0(作業温度)を含み、これよりもガラスの粘度ηが高い、つまりガラスが柔らかい状態のことをいう。また、固化状態とは、ガラスの粘度ηがlogη=7.6(軟化点)を含まず、これよりもガラスの粘度ηが低い、つまりガラスが硬い状態のことをいう。ガラスG1は、例えば、カラーフリット等を粉末状にした着色剤により着色する。
【0041】
以下、図5を参照して成形装置2の構成について説明する。
成形装置2は、金型210と、第1の載置手段220と、コンベア230と、第2の載置手段240と、流出ノズル250と、徐冷装置260とを備える。
【0042】
金型210は、溶融状態のガラスG1と固化状態のガラスG2とを一体化して成形するための上部が開口された箱形状の容器である。金型210には、高温の溶融状態のガラスG1が流しこまれるため耐熱性及び耐食性に優れる材料、例えば、SS鋼材やステンレス鋼で形成される。
【0043】
第1の載置手段220は、例えば、パラレルリンクロボット又はシリアルリンクロボット(多関節ロボット)であり、金型210を把持する把持部221と、外部から供給されるエア(空気)により把持部221を矢印α(図5参照)の方向に駆動する駆動部222とから構成されるエンドエフェクタと、該エンドエフェクタに連結されたアーム223とを備える。第1の載置手段220は、金型210を後述するコンベア230上へ所定の間隔で載置する。
【0044】
コンベア230は、短冊状の複数のプレート231が連結されたエンドレスのチェーンである。個々のプレート231は、耐熱性及び耐食性に優れた材料、例えば、SS鋼材やステンレス鋼、鋳鉄等で構成されている。コンベア230は、プレート231上に配置された金型210を所定の速度で矢印β(図5参照)の方向に搬送する。
【0045】
なお、コンベア230は、複数の金型210を所定の速度で矢印β(図5参照)の方向に搬送できるものであればよく、例えば、金型210の搬送方向に沿って複数のローラを備え、この複数のローラが所定の速度で回転することにより金型210を搬送する構成としてもよい。
【0046】
第2の載置手段240は、例えば、パラレルリンクロボット又はシリアルリンクロボット(多関節ロボット)であり、円柱状の固化状態のガラスG2を把持する把持部241と、外部から供給されるエア(空気)により把持部241を矢印γ(図5参照)の方向に駆動する駆動部242とから構成されるエンドエフェクタと、該エンドエフェクタに連結されたアーム243とを備える。
【0047】
第2の載置手段240は、コンベア230上に載置された金型210内の所定の位置へ円柱状のガラスG2を載置する。第2の載置手段240は、円柱状のガラスG2を縦置き、すなわち、円柱状のガラスG2の長手方向が金型210の底面に対して垂直となるようにガラスG2を金型210内に載置する。
【0048】
なお、固化状態のガラスG2を予め所定の温度まで予熱してもよい。但し、所定の温度は、ガラスG2の軟化点よりも低い温度とすることに留意する。固化状態のガラスG2を予熱することにより、熱膨張係数の違いによりガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みが緩和される。
【0049】
流出ノズル250は、ガラスG1を溶融する溶融装置(不図示)に接続されており、溶融状態のガラスG1を連続して流出する。流出ノズル250から流出する溶融状態のガラスG1は、流出ノズル250の下を通過する固化状態のガラスG2が載置された金型210内へ流れ込む。なお、流出ノズル250から流出する溶融状態のガラスG1の流出速度は、金型210内へ流れ込んだ溶融状態のガラスG1の上面H1が、金型内210内に載置された固化状態のガラスG2の上面H2と同程度となるように予め調整されている。
【0050】
溶融状態のガラスG1が流し込まれた金型210はコンベア230により徐冷装置260内へ搬送される。徐冷装置260は、溶融状態のガラスG1と固化状態のガラスG2とを接触させた状態で徐冷し、溶融状態のガラスG1を固化させて黒色のガラスG1と透明なガラスG2とを一体化する。徐冷を行うことで、熱膨張係数の違いによりガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みが緩和される。
【0051】
なお、ガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みを抑制するために、ガラスG1の熱膨張係数とガラスG2の熱膨張係数とは、略同じであることが好ましい。例えば、透明なガラスであるガラスG2に、黒色の着色剤を加えたガラスをガラスG1とすれば、ガラスG1の熱膨張係数とガラスG2の熱膨張係数とを略同一とすることができる。また、25℃〜300℃の温度範囲におけるガラスG1とガラスG2との熱膨張係数の差は、0〜5×10−7/℃の範囲内であることが好ましい。
【0052】
成形装置2により一体成形されたガラスG1とガラスG2は、図6に示すように円柱状のガラスG2の長手方向に対して垂直方向(図6の破線の方向)に所望の厚みに切断された後、所望の形状に加工され、表面を研磨加工してスマートフォン等の情報端末やLCD(液晶ディスプレイモニタ)等のモニタの筐体の一部として用いられる。なお、第1の実施形態と同様に、ガラス表面を研磨加工した後、化学強化処理を行うようにしてもよい。
【0053】
以上のように、成形装置2は、異なる組成又は色調の第1,第2のガラスを、一方を溶融状態で、他方を固化状態で接触させた後、徐冷して固化させているので、異なる組成又は色調のガラスを容易に一体成形することができる。その他の効果は、成形装置1と同じである。
【0054】
図7は、第2の実施形態に係るガラスの成形装置2で使用する金型210の他の例を示した図である。図7に示した図では、金型210の深さDを、予め所望の厚みに切断された固化状態のガラスG2の厚みに合わせている。このため、一体成形されたガラスG1,ガラスG2を所望の厚みに切断する工程を省略することができる。また、固化状態のガラスG2の高さが低いので、ガラスG2を安定した状態で金型210内に載置して、溶融状態のガラスG1を金型210内に流し込むことができる。その他の効果は、成形装置1と同じである。
【0055】
なお、上記第2の実施形態では、自動でコンベア上へ金型210を載置し、該金型210内へ固化状態のガラスG2を載置し、溶融状態のガラスG1を流し込むように構成したが、手動でこれら一連の作業を行うようにしてもよい。この場合、ユーザが金型210内に固化状態のガラスG2を載置した後、固化状態のガラスG2が載置された金型210へ溶融状態のガラスG1を流し込んで徐冷を行う。
【0056】
さらに、上記第2の実施形態では、金型210内に固化状態のガラスG2を載置した後、固化状態のガラスG2が載置された金型210内へ溶融状態のガラスG1を流し込んでいるが、金型210内に溶融状態のガラスG1を流し込んだ後、溶融状態のガラスG1が流し込まれた金型210内の所定の位置へ固化状態のガラスG2を載置するようにしてもよい。金型210内に溶融状態のガラスG1を流し込んだ後、固化状態のガラスG2を載置する際は、溶融状態のガラスG1に気泡等が混入しないように、固化状態のガラスG2をゆっくりと載置することに留意する。
【0057】
(第2の実施形態の変形例)
図8は、第2の実施形態の変形例に係るガラスの成形装置2A(以下、単に成形装置2Aと称する)の構成図である。成形装置2Aは、金型210内に配置する円柱状のガラスG2を横置き、すなわち、円柱状のガラスG2の長手方向が金型210の底面に対して平行となるように固形状態の円柱状のガラスG2を載置するための金型210Aと、該金型210A内に円柱状のガラスG2を横置きに載置する第2の載置手段240Aを備える点が図5を参照して説明した成形装置2と異なる。なお、その他の構成は、図5を参照して説明した成形装置5の構成と同じであるため同一の構成には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0058】
図9は、成形装置2Aが備える金型210Aの構成図である。図9(a)は、金型210Aの上面図である。図9(b)は、図9(a)の線分X−Xにおける断面図である。
図9に示すように、金型210Aには、円柱状のガラスG2を金型210A内に横置きするための溝Mが、金型210Aの対向する側壁に形成されている。
【0059】
第2の載置手段240Aは、例えば、パラレルリンクロボット又はシリアルリンクロボット(多関節ロボット)であり、固化状態の円柱状のガラスG2を把持する把持部241Aと、外部から供給されるエア(空気)により把持部241Aを駆動する駆動部242Aとから構成されるエンドエフェクタと、該エンドエフェクタに連結されたアーム243Aとを備える。第2の載置手段240Aは、コンベア230上に載置された金型210Aに形成された溝Mへ円柱状のガラスG2を横置きにして載置する。なお、この第2の載置手段240Aは、円柱状のガラスG2の長手方向に対して垂直となる方向からガラスG2を把持する。
【0060】
なお、固化状態のガラスG2を予め所定の温度まで予熱してもよい。但し、所定の温度は、ガラスG2の軟化点よりも低い温度とすることに留意する。固化状態のガラスG2を予熱することにより、熱膨張係数の違いによりガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みが緩和される。
【0061】
成形装置2Aにより一体成形されたガラスG1とガラスG2は、図10に示すように円柱状のガラスG2の長手方向に対して垂直方向(図10の破線の方向)に所望の厚みに切断された後、所望の形状に加工され、表面を研磨加工してスマートフォン等の情報端末やLCD(液晶ディスプレイモニタ)等のモニタの筐体の一部として用いられる。なお、第1の実施形態と同様に、ガラス表面を研磨加工した後、化学強化処理を行うようにしてもよい。
【0062】
この成形装置2Aでは、固化状態のガラスG2を横置きとしているので、ガラスG2を安定した状態で金型210内に載置して、溶融状態のガラスG1を金型210A内に流し込むことができる。その他の効果は、図5を参照して説明した成形装置2と同じである。
【0063】
なお、上記第2の実施形態と同様に、この第2の実施形態に係る変形例においても、ユーザが手動で金型210A内に固化状態のガラスG2を載置した後、固化状態のガラスG2が載置された金型210Aへ溶融状態のガラスG1を流し込んで徐冷を行うようにしてもよい。また、金型210A内に溶融状態のガラスG1を流し込んだ後、金型210Aに形成された溝Mへ円柱状のガラスG2を横置きにして載置するようにしてもよい。金型210内に溶融状態のガラスG1を流し込んだ後、固化状態のガラスG2を載置する際は、溶融状態のガラスG1に気泡等が混入しないように、固化状態のガラスG2をゆっくりと載置することに留意する。
【0064】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態に係るガラスの成形装置3(以下、単に成形装置3と称する)の構成図である。成形装置3は、組成もしくは色調の少なくとも一方が異なる第1のガラスG1(以下、ガラスG1と称する)と第2のガラスG2(以下、ガラスG2と称する)とを一体に成形するための成形装置である。ガラスG1は、黒色の着色ガラスであり、溶融した状態で供給される。ガラスG2は、透明ガラスであり、別途円柱状に成形固化したもの用意し、これを固化した円柱状の状態で供給される。
【0065】
成形装置3は、溶融状態のガラスG1と固化状態のガラスG2とを接触させた状態で徐冷することにより、組成又は色調の少なくとも一方が異なる第1のガラスG1と第2のガラスG2とを一体化する。なお、溶融状態とは、ガラスの粘度ηがlogη=5.0(作業温度)を含み、これよりもガラスの粘度ηが高い、つまりガラスが柔らかい状態のことをいう。また、固化状態とは、ガラスの粘度ηがlogη=7.6(軟化点)を含まず、これよりもガラスの粘度ηが低い、つまりガラスが硬い状態のことをいう。ガラスG1は、例えば、カラーフリット等を粉末状にした着色剤により着色する。
【0066】
以下、図11を参照して成形装置3の構成について説明する。
成形装置3は、第1の載置手段310と、コンベア320と、流出ノズル330と、圧延手段340と、徐冷装置350とを備える。
【0067】
第1の載置手段310は、例えば、パラレルリンクロボット又はシリアルリンクロボット(多関節ロボット)であり、予め所望の厚みに切断された円柱状の固化状態のガラスG2を把持する把持部311と、外部から供給されるエア(空気)により把持部311を矢印α(図11参照)の方向に駆動する駆動部312とから構成されるエンドエフェクタと、該エンドエフェクタに連結されたアーム313とを備える。第1の載置手段310は、短い円柱状の固化状態のガラスG2を所定の間隔で後述するコンベア320上へ載置する。
【0068】
なお、固化状態のガラスG2を予め所定の温度まで予熱してもよい。但し、所定の温度は、ガラスG2の軟化点よりも低い温度とすることに留意する。固化状態のガラスG2を予熱することにより、熱膨張係数の違いによりガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みが緩和される。
【0069】
コンベア320は、短冊状の複数のプレート321が連結されたエンドレスのチェーンである。個々のプレート321は、耐熱性及び耐食性に優れた材料、例えば、SS鋼材やステンレス鋼、鋳鉄等で構成されている。コンベア320は、プレート321上に配置された固化状態のガラスG2を所定の速度で矢印β(図11参照)の方向に搬送する。
【0070】
流出ノズル330は、ガラスG1を溶融する溶融装置(不図示)に接続されており、溶融状態のガラスG1をコンベア320上へ連続して流出する。流出ノズル330からは、溶融状態のガラスG1が、流出ノズル330の下を通過するコンベア320上に載置された固化状態のガラスG2を覆うようにして流出する。
【0071】
圧延手段340は、図示しないモータにより回転駆動される複数の圧延ローラ341を備える。圧延手段340は、複数の圧延ローラ341により、コンベア320上に流出した溶融状態のガラスG1の厚みを固化状態のガラスG2の厚みと略同一の厚みとなるように圧延する。
【0072】
圧延手段340により圧延された溶融状態のガラスG1と、固化状態のガラスG2は、コンベア320により徐冷装置350内へ搬送される。徐冷装置350は、溶融状態のガラスG1と固化状態のガラスG2とが接触した状態で徐冷し、溶融状態のガラスG1を固化させて黒色のガラスG1と透明なガラスG2とを一体化する。徐冷を行うことで、熱膨張係数の違いによりガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みが緩和される。
【0073】
なお、ガラスG1とガラスG2との間に生じる熱歪みを抑制するために、ガラスG1の熱膨張係数とガラスG2の熱膨張係数とは、略同じであることが好ましい。例えば、透明なガラスであるガラスG2に、黒色の着色剤を加えたガラスをガラスG1とすれば、ガラスG1の熱膨張係数とガラスG2の熱膨張係数とを略同一とすることができる。また、25℃〜300℃の温度範囲におけるガラスG1とガラスG2との熱膨張係数の差は、0〜5×10−7/℃の範囲内であることが好ましい。
【0074】
成形装置3により一体成形されたガラスG1とガラスG2は、所望の形状に切断された後、表面を研磨加工してスマートフォン等の情報端末やLCD(液晶ディスプレイモニタ)等のモニタの筐体の一部として用いられる。なお、第1の実施形態と同様に、ガラス表面を研磨加工した後、化学強化処理を行うようにしてもよい。
【0075】
以上のように、成形装置3は、異なる組成又は色調の第1,第2のガラスを、一方を溶融状態で、他方を固化状態で接触させた後、徐冷して固化させているので、異なる組成又は色調のガラスを容易に一体成形することができる。また、金型が不要であるため製造コストをさらに抑制することができる。その他の効果は、図1を参照して説明した成形装置1と同じである。
【0076】
上記第3の実施形態では、固化状態のガラスG2をコンベア320上に載置した後、この固化状態のガラスG2が載置されたコンベア320上に溶融状態のガラスG1を流出させるようにしているが、コンベア320上へ溶融状態のガラスG1を流出させた後、コンベア320上の溶融状態のガラスG1へ固化状態のガラスG2を載置するようにしてもよい。コンベア320上の溶融状態のガラスG1へ固化状態のガラスG2を載置する際は、溶融状態のガラスG1に気泡等が混入しないように、固化状態のガラスG2をゆっくりと載置することに留意する。
【実施例】
【0077】
次に、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。発明者らは、短い円柱状をした透明な固化状態のガラスG2を図7に示した金型内に載置し、固化状態のガラスG2が載置された金型内に、黒色に着色した溶融状態のガラスG1を流し込んだ後、溶融状態のガラスG1を冷却してガラスG1とガラスG2とを一体化した。
【0078】
発明者らは、成分が異なる5種類の透明なガラスG2を用意し、上述の手順でガラスG1とガラスG2とを一体化した試料A〜Eを作成した。試料A〜Eのうち、うまく一体化できたのは、着色剤以外の組成がガラスG1とガラスG2とで同じ場合、つまり、透明なガラスG2に着色剤を含有したものをガラスG1とした試料Aだけであった。その他の試料B〜Eについては、徐冷中に、黒色に着色したガラスG1又は透明なガラスG2、もしくはその両方に割れが発生した。
【0079】
これは、着色剤以外の組成がガラスG1とガラスG2とで同じでない場合、つまり、ガラスG1とガラスG2との組成が異なる場合、ガラスG1の膨張係数の曲線とガラスG2との膨張係数の曲線とが徐冷温度域において一致しないため、徐冷工程において、ガラスG1とガラスG2との間(境界)に熱歪みが生じるためと考えられる。
【0080】
実際に、試料A〜Eについて、ガラスG1とガラスG2との熱膨張係数の差を調べたところ、うまく一体化できた試料Aは、25℃〜300℃の温度範囲におけるガラスG1とガラスG2との熱膨張係数の差が1×10−7/℃程度であるのに対して、割れが生じた試料B〜Eは、25℃〜300℃の温度範囲におけるガラスG1とガラスG2との熱膨張係数の差が5×10−7/℃を超えていた。以上のことから、25℃〜300℃の温度範囲におけるガラスG1とガラスG2との熱膨張係数の差は、0〜5×10−7/℃の範囲内であることが好ましいことがわかる。
【0081】
(その他の実施形態)
以上のように、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。例えば、上記説明では、ガラスG1を黒色に着色したガラス、ガラスG2を透明なガラスとして説明したが、着色する色調は、黒に限られず種々の色調とすることができる。また、ガラスG1を透明なガラスとし、ガラスG2を着色したガラスとしてもよい。また、ガラスG1,G2を共に透明なガラスとしてもよく、ガラスG1,G2を共に着色したガラスとしてもよい。
【0082】
さらに、上記各実施形態では、成形装置1,1A,2,2A,3により一体成形されたガラスG1,G2を所望の厚み、形状に切断した後、研磨加工することでスマートフォン等の情報端末やLCD((Liquid Crystal Display))等のモニタの筐体に加工しているが、成形装置1,1A,2,2A,3により一体成形されたガラスG1,G2を、加熱・軟化した後、プレス成形することでスマートフォン等の情報端末やLCD((Liquid Crystal Display))等のモニタの筐体を形成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明のガラスの成形方法は、異なる組成もしくは色調のガラスを一体に成形することができるので、意匠性が求められるガラス、例えば、スマートフォン等の情報端末やLCD等のモニタの筐体に使用されるガラスの成形に好適である。
【符号の説明】
【0084】
1,1A…成形装置、10…情報端末、11…表面ガラス、12…液晶パネル、13…電子部品、14…撮像素子、15…基板、16…裏面ガラス、17…枠、110…溶融窯、120…清澄槽(リファイナ)、130…撹拌装置、131…撹拌槽、132…回転軸、133…撹拌翼、140…第1のローラ、150…予熱手段、151…赤外線ランプ、152…反射ミラー、160…一体化容器、容器161、162…流出ノズル、170…第2のローラ、180…徐冷装置、210…金型、220…第1の載置手段、221…把持部、222…駆動部、多関節アーム…223、230…コンベア、231…プレート、240…第2の載置手段、250…流出ノズル、260…徐冷装置、310…第1の載置手段、311…把持部、312…駆動部、313…アーム、320…コンベア、321…プレート、330…流出ノズル、340…圧延手段、341…圧延ローラ、350…徐冷装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成又は色調の少なくとも一方が異なる第1,第2ガラスを一体化するガラスの成形方法であって、
前記第1のガラスを加熱して溶融させる第1の工程と、
溶融状態の前記第1のガラスと、固化状態の前記第2のガラスとを接触させる第2の工程と、
溶融状態の前記第1のガラスと固化状態の前記第2のガラスとを接触させた状態で冷却し、前記第1のガラスを固化させる第3の工程と、
を有することを特徴とするガラスの成形方法。
【請求項2】
前記第2の工程は、
上端及び下端が開口され、溶融状態の前記第1のガラスが収容された容器内へ、固化状態の前記第2のガラスを挿入する工程と、
溶融状態の前記第1のガラスと固化状態の前記第2のガラスとを前記容器の下端から同時に引き抜く工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のガラスの成形方法。
【請求項3】
前記第2の工程は、
固化状態の前記第2のガラスを金型内に載置する工程と、
溶融状態の前記第1のガラスを前記金型内へ流し込む工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のガラスの成形方法。
【請求項4】
前記第2の工程は、
固化状態の前記第2のガラスをコンベア上に載置する工程と、
溶融状態の前記第1のガラスを前記コンベア上へ連続的に流出する工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のガラスの成形方法。
【請求項5】
前記第2の工程の前に、
固化状態の前記第2のガラスを予熱する工程を
さらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のガラスの成形方法。
【請求項6】
前記第2のガラスは、予め円柱形に成形されており、
前記第3の工程の後に、
一体化した前記第1のガラス及び前記第2のガラスを、円柱形の前記第2のガラスの長手方向に対して直交する方向に切断する工程を
さらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のガラスの成形方法。
【請求項7】
前記切断した前記第1のガラス及び前記第2のガラスの表面を化学強化処理する工程をさらに有することを特徴とする請求項6に記載のガラスの成形方法。
【請求項8】
前記第2の工程は、
前記第2のガラスが前記第2のガラスの軟化点よりも低い温度で、溶融状態の前記第1のガラスと固化状態の前記第2のガラスとを接触させることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のガラスの成形方法。
【請求項9】
前記第1のガラス及び前記第2のガラスの熱膨張係数が略同一であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のガラスの成形方法。
【請求項10】
筐体の少なくとも一部に、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のガラスの成形方法で一体化されたガラスを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
組成又は色調の少なくとも一方が異なる第1,第2のガラスを一体化した一体化ガラスであって、
前記第1,第2のガラスの熱膨張係数の差が、25℃〜300℃の温度範囲において、0〜5×10−7/℃の範囲内であることを特徴とする一体化ガラス。
【請求項12】
加熱により溶融した第1のガラスを固化状態の第2のガラスに接触させた状態で冷却し、前記第1のガラスを固化させることにより一体化したことを特徴とする請求項11に記載の一体化ガラス。
【請求項13】
前記第1のガラスは、前記第2のガラスに着色剤を含有させたものであることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の一体化ガラス。
【請求項14】
前記第2のガラスは、透明であることを特徴とする請求項13に記載の一体化ガラス。
【請求項15】
筐体の少なくとも一部に、請求項11乃至請求項14のいずれかに記載の一体化ガラスを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
組成又は色調の少なくとも一方が異なる第1,第2ガラスを一体化するガラスの成形方法であって、
前記第1のガラスを加熱して溶融させる第1の工程と、
溶融状態の前記第1のガラスと、固化状態の前記第2のガラスとを接触させる第2の工程と、
溶融状態の前記第1のガラスと固化状態の前記第2のガラスとを接触させた状態で冷却し、前記第1のガラスを固化させる第3の工程と、
を有することを特徴とするガラスの成形方法。
【請求項2】
前記第2の工程は、
上端及び下端が開口され、溶融状態の前記第1のガラスが収容された容器内へ、固化状態の前記第2のガラスを挿入する工程と、
溶融状態の前記第1のガラスと固化状態の前記第2のガラスとを前記容器の下端から同時に引き抜く工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のガラスの成形方法。
【請求項3】
前記第2の工程は、
固化状態の前記第2のガラスを金型内に載置する工程と、
溶融状態の前記第1のガラスを前記金型内へ流し込む工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のガラスの成形方法。
【請求項4】
前記第2の工程は、
固化状態の前記第2のガラスをコンベア上に載置する工程と、
溶融状態の前記第1のガラスを前記コンベア上へ連続的に流出する工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のガラスの成形方法。
【請求項5】
前記第2の工程の前に、
固化状態の前記第2のガラスを予熱する工程を
さらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のガラスの成形方法。
【請求項6】
前記第2のガラスは、予め円柱形に成形されており、
前記第3の工程の後に、
一体化した前記第1のガラス及び前記第2のガラスを、円柱形の前記第2のガラスの長手方向に対して直交する方向に切断する工程を
さらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のガラスの成形方法。
【請求項7】
前記切断した前記第1のガラス及び前記第2のガラスの表面を化学強化処理する工程をさらに有することを特徴とする請求項6に記載のガラスの成形方法。
【請求項8】
前記第2の工程は、
前記第2のガラスが前記第2のガラスの軟化点よりも低い温度で、溶融状態の前記第1のガラスと固化状態の前記第2のガラスとを接触させることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のガラスの成形方法。
【請求項9】
前記第1のガラス及び前記第2のガラスの熱膨張係数が略同一であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のガラスの成形方法。
【請求項10】
筐体の少なくとも一部に、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のガラスの成形方法で一体化されたガラスを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
組成又は色調の少なくとも一方が異なる第1,第2のガラスを一体化した一体化ガラスであって、
前記第1,第2のガラスの熱膨張係数の差が、25℃〜300℃の温度範囲において、0〜5×10−7/℃の範囲内であることを特徴とする一体化ガラス。
【請求項12】
加熱により溶融した第1のガラスを固化状態の第2のガラスに接触させた状態で冷却し、前記第1のガラスを固化させることにより一体化したことを特徴とする請求項11に記載の一体化ガラス。
【請求項13】
前記第1のガラスは、前記第2のガラスに着色剤を含有させたものであることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の一体化ガラス。
【請求項14】
前記第2のガラスは、透明であることを特徴とする請求項13に記載の一体化ガラス。
【請求項15】
筐体の少なくとも一部に、請求項11乃至請求項14のいずれかに記載の一体化ガラスを備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−254898(P2012−254898A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128932(P2011−128932)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
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