説明

ガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置

【課題】ガラス付温風暖房機において、ケーシングであるガラス板が何らかの原因より破損が生じた場合における安全性を確保することを目的とする。
【解決手段】ガラス板5の内側にマイクロスイッチ15を設け、そのマイクロスイッチ15の検知レバーがガラス板5の裏面に接してON状態になるように配置し、ガラス板5の破損による脱落やガラス板5の取付け忘れなどが生じた場合、マイクロスイッチ15はOFF状態となってガラス板5の異常を判断し、運転制御装置14により運転を停止すべく、バーナー8の燃焼停止と送風ファン10の一定時間冷却後の駆動停止を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装構成部品にガラスを用いた温風暖房機において、ガラス破損時の安全性に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、温風暖房機の前面にガラス板を配し、その後方に発光体を設置して燃焼動作に連動して前記発光体を発光させることで、視覚的に暖房感を高めるようにした温風暖房機がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記温風暖房機は図5に示すように、外装を構成するケーシングとして、後面に裏板1、前面に前板2、底面に底板3、天面に天板4で囲まれ、前板2の前方に装飾用として周囲端面4方のうちの3方を露出するように設けたガラス板5、裏板1に設けた吸気口6、そこから取入れる空気7、その燃料を燃焼するバーナー8、その燃焼で発生する排ガスと前記空気7とを混合する風路9、その混合された空気を外部へ送出す送風ファン10、それを駆動するモーター11、機器前面に設けた吹出口12、温風13、前記バーナー8と前記モーター11を制御する運転制御装置14の構成からなり、前記前板2には図示しないが燃焼動作に連動して発光する発光体が設けられ、ガラス板5を透して遠くからでも視認できるようにして、燃焼動作の確認及び視覚的に暖房感を高めるようにしている。
【0004】
上記のように構成された温風暖房機において、従来はガラス板5の破損事故への対応としては、ガラス板5に強化処理を施したり、ガラス板5裏面に飛散防止用フィルムを貼り付けたりしている。
【0005】
また、ガラス板5がなくても前板2を備えているために密閉性を大きく損なわない構成としてあるため、ガラス板5が破損した場合でも燃焼特性への影響はなく、特に、ガラス破損状態を検出する機構は備えていないものであった。
【0006】
商品分野は異なるが、電子レンジにおいては、ガラス板の表面に導電性を持つ膜を形成して両端での抵抗値を検知して破壊の有無を判定するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−198083号公報
【特許文献2】特開平9−48640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら前記従来の構成および動作では、ガラス板が破損した場合でも通常同様に運転を継続し、かつユーザーが気づかないこともあり得る。そのため機器に触れたり、近づいて脱落したガラス破片を踏んだりなどして怪我の恐れが考えられる。
なお、想定範囲内での燃焼特性は問題ないが、想定範囲外の異常な使用状況下での問題の有無は断定できない。
【0008】
また、電子レンジの導電性膜形成においては、ガラス板は装飾用のためにメタリックカラーを含めたカラー対応として有機印刷を必要とし、密着性や電気抵抗値ばらつきの発生、飛散防止用フィルムの貼付けがある場合の電気抵抗値測定構成が困難、かつコスト的にも高価になることが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明のガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置は、ガラス板の内側にマイクロスイッチを設け、そのマイクロスイッチの検知レバーがガラス板の裏面に接してON状態になるように配置する。
【0010】
そしてこのマイクロスイッチのON(電気抵抗ではショート)状態を正常と判断し、通常運転を行う。
【0011】
一方、ガラス板の破損による脱落やガラス板の取付け忘れなどの場合、マイクロスイッチはOFF(電気抵抗ではオープン)状態となってガラス板の異常を判断し、運転制御装置により運転を停止すべく、バーナーの燃焼停止と送風ファンの一定時間冷却後の駆動停止を行う。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置は、本体前面に設けたガラス板の破損状態を直接検出するガラス破損検知装置を設け、前記ガラス破損検知装置からの信号によりバーナの燃焼を停止するようにしているため、安全でインテリア性の高い温風暖房機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の発明は、外装を構成するケーシングの一つとなるガラス板と、空気吸気口と温風吹出口を各々一部に設けた他のケーシングと、ガラス板の内側に検知レバーを接するように設けたマイクロスイッチと、燃料を燃焼するバーナーと、燃焼で発生した排ガスと外部の空気を混合した混合空気を外部へ送出す送風ファンと、マイクロスイッチのON/OFF検知によりバーナーの燃焼および送風ファンの駆動を制御する運転制御装置とを有し、ガラス板が破損により脱落した場合にマイクロスイッチがON状態からOFF状態への検知をし、運転制御装置によりバーナーでの燃焼を停止し、かつ送風ファンの駆動を一定時間の冷却を行った後に停止する。
【0014】
第2の発明は、前記ガラス板の内側、かつ前記マイクロスイッチ近傍に、常時ガラス板を外側へ押す弾性力を有するスプリングを設け、ガラス板が破損しても脱落しない場合、スプリングの弾性力によりガラス板が外側へ変形するたわみ量t(取付けガタも含む)、マイクロスイッチの検知レバーの作動距離sとはt≧sなる関係をもつ。
【0015】
第3の発明は、前記運転制御装置への検出手段として、前記ガラス板の内側に接した衝撃センサーを設け、ガラス板に衝撃量wの衝撃を受け、ガラス板が破損に至ることを想定した衝撃量vとはw≧vなる関係をもつ場合、運転制御装置により前記同動作をする。
【0016】
第4の発明は、前記運転制御装置による前記同動作と、ガラス板の破損をランプにて報知する。
【0017】
第5の発明は、前記運転制御装置による前記同動作と、ガラス板の破損をブザーにて報知する。
【0018】
第6の発明は、前記運転制御装置による前記同動作後、リセットスイッチにて解除しない限り、再運転に至らない。
【0019】
第7の発明は、前記リセットスイッチをガラス板の内側に設け、ガラス板を取り外さないと解除できない構成とした。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施の形態によって本願発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置の構成図、図2は同フローチャートである。
【0021】
温風暖房機の構成においては、従来同様のため説明を省略する。
【0022】
図1に示すように、前板2にマイクロスイッチ15を設け、そのマイクロスイッチ15のレバーがOFF状態(フリー状態)から確実に検知する作動距離sの位置にガラス板5が接するようにする。
【0023】
次に、ガラス板5が破損により初期状態の板状の形状を保持できなくなり、ガラス板5の取り付け範囲内でのガタや自重でのたわみにより、マイクロスイッチ15の設置部分が外方向にt移動する。
【0024】
運転制御装置14はマイクロスイッチ15の検知により、バーナー8での燃焼や送風ファン10の駆動を制御する。
【0025】
図2に示すように、運転SWがONされると、マイクロスイッチ15がON状態であることを検知し、運転制御装置14によりあらかじめ設定された適量の燃料および駆動電圧を制御し、燃焼と送風を行う。
【0026】
この際、マイクロスイッチ15が初期OFF状態であれば、ガラス板5が破損しているか取り付けられていないことの判断をし、運転開始には至らない。
【0027】
次に正常に運転開始後、ガラス板5が破損などによりマイクロスイッチ15のOFF検知が検出された場合、運転制御装置14により即時に燃焼を停止し、送風も所定の冷却時間aが経過後に停止する。
【0028】
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態におけるガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置の構成図、図4は同フローチャートである。
【0029】
温風暖房機の構成においては、従来同様のため説明を省略する。
【0030】
図3に示すように、前板2に衝撃センサー16を設け、ガラス板5に受ける衝撃を検知しやすくするためにガラス板5に接するようにする。
【0031】
運転制御装置14は衝撃センサー16の検知により、バーナー8での燃焼や送風ファン10の駆動を制御し、かつ天板4に設けた報知装置17を動作させて報知する。
【0032】
また、ガラス板5内側、かつ前板2にリセットスイッチ18を設けた。
【0033】
図4に示すように、運転SWがONされると、衝撃センサー16の検知する衝撃量wが、ガラス板5が破損に至ることを想定した衝撃量vに対して、w<vであることを検知し、運転制御装置14によりあらかじめ設定された適量の燃料および駆動電圧を制御し、燃焼と送風を行う。
【0034】
この際、衝撃センサー16がw≧vであれば、衝撃センサー16の異常を判断し、運転開始には至らない。
【0035】
次に正常に運転開始後、ガラス板 が何らかの衝撃を受けてw≧vであることを検知した場合、運転制御装置14により即時に燃焼を停止し、送風も所定の冷却時間aが経過後に停止する。
【0036】
また、燃焼を停止すると同時に、報知装置17も動作してユーザーへの報知を行う。
【0037】
次に、異常原因のガラス板5の破損などによる不具合を改善して運転を開始しようとする際、リセットスイッチ18にてリセット検知しなければ運転開始には至らない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、本発明におけるガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置は、外装を構成するケーシングにガラス板を使用したものにおいて、ガラス板が破損などによる不具合を生じたことを検知することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態1におけるガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置の構成図
【図2】同ガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置のフローチャート
【図3】本発明の実施の形態2におけるガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置の構成図
【図4】同ガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置のフローチャート
【図5】従来のガラス付温風暖房機の構成図
【符号の説明】
【0040】
1 裏板
2 前板
3 底板
4 天板
5 ガラス板
6 吸気口
7 空気
8 バーナー
9 風路
10 送風ファン
11 モーター
12 吹出口
13 温風
14 運転制御装置
15 マイクロスイッチ
16 衝撃センサー
17 報知装置
18 リセットスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装を構成するケーシングの一つとなるガラス板と、空気吸気口と温風吹出口を各々一部に設けた他のケーシングと、ガラス板の内側に検知レバーを接するように設けたマイクロスイッチと、燃料を燃焼するバーナーと、燃焼で発生した排ガスと外部の空気を混合した混合空気を外部へ送出す送風ファンと、マイクロスイッチのON/OFF検知によりバーナーの燃焼および送風ファンの駆動を制御する運転制御装置とを有し、ガラス板が破損により脱落した場合にマイクロスイッチがON状態からOFF状態への検知をし、運転制御装置によりバーナーでの燃焼を停止し、かつ送風ファンの駆動を一定時間の冷却を行った後に停止することを特徴とするガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置。
【請求項2】
前記ガラス板の内側、かつ前記マイクロスイッチ近傍に、常時ガラス板を外側へ押す弾性力を有するスプリングを設け、ガラス板が破損しても脱落しない場合、スプリングの弾性力によりガラス板が外側へ変形するたわみ量t(取付けガタも含む)、マイクロスイッチの検知レバーの作動距離sとはt≧sなる関係をもつことを特徴とする請求項1に記載のガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置。
【請求項3】
前記運転制御装置への検出手段として、前記ガラス板の内側に接した衝撃センサーを設け、
ガラス板に衝撃量wの衝撃を受け、ガラス板が破損に至ることを想定した衝撃量vとはw≧vなる関係をもつ場合、運転制御装置により前記同動作をすることを特徴とする請求項1に記載のガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置。
【請求項4】
前記運転制御装置による前記同動作と、ガラス板の破損をランプにて報知することを特徴とする請求項1に記載のガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置。
【請求項5】
前記運転制御装置による前記同動作と、ガラス板の破損をブザーにて報知することを特徴とする請求項1に記載のガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置。
【請求項6】
前記運転制御装置による前記同動作後、リセットスイッチにて解除しない限り、再運転に至らないことを特徴とする請求項1に記載のガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置。
【請求項7】
前記リセットスイッチをガラス板の内側に設け、ガラス板を取り外さないと解除できない構成としたことを特徴とする請求項6に記載のガラス付温風暖房機のガラス破損検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−107824(P2007−107824A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300026(P2005−300026)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】