説明

ガラス光学部品の低温製造

1つの態様において、レンズ、マイクロレンズ、マイクロレンズアレイ、及び回折格子などのガラス複合光学部品、または、光学用途または電気光学用途に適した微細または超微細マイクロ構造を有する表面レリーフディフューザーからモールディングする方法が提供される。別の態様において、非反応性被覆を備えた、または備えない、特にチタン合金またはニッケル合金、または難溶性複合体である金属アレイ上に作られる光学部品の外部形状を画定するモールドマスタまたはパターンが用意される。酸化ガラスから光学部品をモールディングすることには多くの不利な点があるということが示されており、非酸化ガラスがこれらの不利な点を実質的に排除するということが本発明によって見出された。カルコゲナイドガラス、カルコハライドガラス、及びハライドガラスなどの非酸化ガラスは、塊、平面、またはパウダー形状のいずれかでモールドにおいて用いられてもよい。モールドでは、ガラスが、その遷移温度(Tg)より上約10−110℃、望ましくは約50℃、まで加熱される。遷移温度においてガラスは、ガラスを流してモールドのパターンに正確に一致させることを可能にする粘度を有する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、参照としてここに組み込まれている2002年10月29日に出願された米国特許出願No.10/283,402の優先権を主張する。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、光学部品及びそれらのガラス製品に関する。特に、本発明は、低ガラス遷移温度(Tg)で、非酸化ガラス(例えば、カルコゲナイドガラス)を、複雑または緻密な表面特徴を有する多様な形状のデバイスへモールドするかまたはエンボス加工する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
光学素子は、電気通信用オプトエレクトロニクスはもちろん、センサ、画像プロジェクタ、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ(LCD))、プラズマディスプレイ、及びエレクトロルミネセンスディスプレイ)を含む多くの多様な技術において様々に使用されてきた。電気通信産業が発展するにつれて、微細構造が組み込まれた精密光学素子を開発する必要性が増している。通信機器では、光学素子が、例えば、ファイバ及びレーザカプラ、光スイッチにおいて、またはWDMアプリケーション用回折格子及び高密度マイクロレンズアレイ(MLA)若しくは波長管理モジュール用ネットワーク若しくはコリメータアプリケーションとして、用いられてもよい。精密光学素子には、高度に研磨された表面または正確な表面形状及び品質が必要とされる。表面は、相互に適正な構成に関係付けながら作られることが必要となる。素子を伝送用アプリケーションで用いるべきところでは、素子が制御された均一の等方屈折率を持つ材料から作られてもよい。
【0004】
多数の方法及び材料が複雑で精密な光学素子を製造するために用いられてもよい。光学部品製造用の従来の機械加工処理の大部分は、微小特徴を生成することに適していないので、一般的には、表面特徴または500ミクロンかそれより小さい寸法を有する構成部品は、いくつかの限定的な適用方法を介してだけ製造することができる。ポリマーを用いる微細構造表面の製造は、集積回路を製造する半導体産業によって開発された処理から影響力をおよぼされてきた。フォトリソグラフィ及びイオンエッチング技術を用いて、ミリメートル未満の表面特徴を作り出してきたものもある。しかしながら、これらの方法は大規模製造に寄与しない。微細構造にエッチング処理を行うために必要な処理時間は、微細構造の必要とする全体の深さに比例して決まる。さらに、該方法は費用がかかるだけでなく、限られた範囲の特徴タイプだけを製造することができるのみである。また、エッチング処理は粗面を生ずることがある。なめらかな凹形状若しくは凸形状または正確なプリズム形状は、2つの前述の技術のいずれかでは容易に達成されない。
【0005】
これに反して、プラスチックまたはガラス素材のモールディングまたは熱エンボス加工はミリメートル未満の大きさの特徴を形成することができる。プラスチックは複雑な設計または精細な微細構造を正確にモールドし複製することに適合する。残念ながら、多くの電気通信アプリケーションにとって、プラスチック材料は、いくつかの欠点を持つので理想的でない。プラスチック材料は、長期にわたると環境悪化に耐えるにはしばしば十分に堅牢でない。第一に、プラスチック材料は大なる熱膨張係数及び限定された機械的特性を示す。プラスチックの光学デバイスは湿度または高温に長期間耐えることができない。プラスチックの体積及び屈折率のいずれも温度変化で実質的に変化し、よって、プラスチックが有用な温度範囲を限定する。プラスチックは、材料の内部熱により高出力ライトを送信することができない。従って、プラスチック部品が実際に溶融するよりかなり前に、その表面特徴が劣化し且つその屈折率が変化するかもしれない。いずれの変化も光学的状況において受け入れられない。さらに、光学的アプリケーション用のプラスチックは分散及び屈折率の限られた範囲において利用可能であるので、プラスチックは制限された伝送範囲だけ提供することができる。従って、それらの実用性は制限された帯域内でさえも、内部ストレスを蓄積するという傾向によって制限され、使用の間透過光線の分散を引き起こす状態をもたらす。さらに、多くのプラスチックが容易に引っかかれ、黄変するかまたはかすみ及び複屈折を生ずる傾向がある。研磨抵抗及び反射防止膜を用いてもまだこれらの欠点が十分に解決されなかったことが不幸である。最終的に、多くの化学的及び環境的因子が、プラスチックの品質を低下させて、プラスチックが効果的に清浄されるのを難しくする。
【0006】
比較すると、ガラスには、ガラスをプラスチックにまさる光学材料のより良いクラスにする特性がある。通常、ガラスは、プラスチックの材料の欠点を被らず、不利な環境または作用状態により良く耐える。従って、ガラスはより好適な材料である。ガラス光学部品はプラスチックから生成される光学部品と異なったデバイスクラスを示し、用いられるモールド処理はより厳密である。
【0007】
通例、ガラスの精密光学素子は2つの複雑な多段階処理のうちの1つによって生成される。最初に、1回分のガラスが高温で融解され、融解物が、制御された均質の屈折率を有するガラス本体またはゴブに形成される。その後、ガラス本体が再プレス技術を用いて改良されて所望の最終製品に近い形状を生じてもよい。しかしながら、製品のこの段階における本体の表面品質及び仕上がりは、像形成光学に適していない。でこぼこの品物が精細にアニールされる。第2の方法では、ガラス融解物が大きな塊本体へ形成される。大きな塊はすぐに精細にアニールされ、切断され、さらに所望の形態の品物へと研削される。
【0008】
これらの方法のいずれにも限界がある。一方では、研削及び研磨が、平面、球体、及びパラボラ状などの相対的に簡単な形状を製造することに限定される。他の形状及び一般的な非球面は研削するのが難しく、研磨するには複雑である。他方では、ガラス加熱加圧成形法についての従来技術は、明瞭な画像形成または伝送用アプリケーションに必要な正確な表面特徴及び品質を提供しない。表面の冷却しわ及び表面形状のずれが現われることが年来の諸問題を成す。
【0009】
ガラスモールディングはもともと多くの別の問題を示してきた。概して、ガラスをモールドするには、通常約700℃または800℃より高い高温が用いられて、モールドによって画定される必要な形状へガラスを一致させるか流し込まなければならない。第一に、かかる相対的に高い温度では、ガラスは極めて化学的に敏感になる。このガラスの反応性により、不活性の接触面を備えた高難溶性のモールドが必要とされる。モールドを製造するために用いられる材料には、炭化ケイ素、窒化ケイ素若しくは他のセラミック材、または鉄アルミナイド(iron aluminides)などの合金材料、またはタングステンなどの硬質材料が含まれる。しかしながら、多くの場合、かかる材料は、満足のいくような光学表面仕上げをなす十分な表面のなめらかさまたは光学的品質を示さない。精密光学素子には微細構造及び品質を必要とする高度に研磨された表面が必要とされる。金属モールドは高温で変形しかつ再結晶して、モールドされる品物の表面及び光学的品質に不利な影響を与え得る。このことは製品においてモールド及びより大きな欠点を修理し保守するには余分の費用がかかることを意味する。第二に、やはり高温でのガラスの反応性により、モールディングをしばしば不活性の不活性大気において行う必要があり、そのことが処理を複雑にする。三番目に、モールドされた品物に閉じ込められる気泡またはガス気泡のおそれが高温モールドの別の欠点である。ガス気泡がガラス内に閉じ込められると、品物の光学的特性を劣化させる傾向がある。気泡は画像をゆがめ、概して光伝送を途絶させる。四番目に、高温であってさえ、熱ガラスモールドは、回折格子に必要な微細構造などの、複雑な高周波のミリメートル未満の微細構造を表面で効果的に生成することができない。
【0010】
従来、モールディング技術の分野において作業者は、光学素子の製造のためのいくつかの技術を開発することに努力してきた。しかしながら、これらの技術はガラスモールディングの欠点を未だ十分に克服しなければならない。従って、新しい方法または既存技術の改善が、回折格子またはマイクロレンズ用などの深いまたは緻密な微細構造を備えた精密光学素子の製造に必要とされる。本方法はコスト効率が高く且つ目的にかなっていなければならず、複数の同一のガラス光学素子において細かい模様のある微細構造を大量生産することを可能にしなければならない。本発明はこれらの必要性を満足させることができる。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、一部にモールディングまたはエンボス加工を用いて精細な光学微細構造を備えた精密光学素子を製造する費用効果の高い方法に関する。ガラスモールディングに関連した欠点を、モールドされるべき材料として非酸化物ベースのガラスを用いることによって実質的に排除することができる。適当なガラス構成物には、カルコゲナイドガラス、カルコハライドガラス、及びハライドガラスが含まれ、通常それらは全て低ガラス遷移温度(Tg)を有する。ハライドガラスの1例として、フッ化ジルコン酸塩ガラス(例えば、ZBLAN)であってもよい。3種類のガラスのうち、硫化ガラス、またはとりわけゲルマニウムヒ素硫化ガラスが好適である。非酸化物ガラスまたはカルコゲナイドガラスの利点は高屈折率、より低いモールディング温度、優れた熱的安定性及び高環境耐久性があげられる。これらのガラスの高屈折率は特に有益である。なんとなれば、それらは所定の焦点距離のレンズを製造するために必要なサグの範囲を減少させるからである。これらのガラスの低モールディング温度は魅力的である。なんとなれば、低モールド温度によって、より高温の酸化物ガラスをモールドするのに必要である化学的に蒸着された炭化ケイ素または窒化ケイ素などの高価なモールドまたはマスターの必要性が除去されるからである。
【0012】
手短かに言えば、製造方法はいくつかのステップからなる。第一に、約550℃までのTgを備えた非酸化物ガラスを用意する。第二に、少なくとも第1または第2の部分を有するモールドを用意する。少なくとも活性のモールド表面が、チタン合金、ニッケル合金、炭化ケイ素及び窒化ケイ素、または炭化ケイ素及び窒化ケイ素の難溶性セラミック複合物、またはタングステン及びその合金などの難溶性金属から選択された材料から形成される。モールドの構成要素は光学仕上げされた活性表面を有し、保護被膜とともにまたは保護被膜なしで用いられ得る。ガラスをモールドに配置する。そのとき、ガラス、モールドまたは両方をTgより上約10℃から約110℃までの使用可能温度に加熱する。ガラスの粘度が約106乃至1012ポイズに達するときにモールドをプレスする。室温で、ガラスは、粒状、平面、大きな固体物(例えば、それぞれ、粉末ガラス原料、ウエハーまたは平面(ディスク)本体、実際的な3次元形状の大きな固体の鋳塊またはモノリス)の形状、またはそれらの組み合わせの形状をとってもよい。ガラスがウエハーまたは粉末の形状であるとき、本方法はブロックをモールドに挿入するステップをさらに含む。ブロックが用いられるとき、本方法は、ガラス材料と接触するブロックの表面上で使用可能温度においてガラスと反応しない材料層を用いるかまたは配置するステップをさらに含んでもよい。窒化ホウ素などのこのリリースコーティングは、外部形状を画定するモールドの表面上またはパターンを画定するマスタの表面上に吹きつけ塗装されるかまたはスパッターされてもよい。本方法は、自然冷却または強制冷却のいずれかを介してモールド内でガラスを硬化させるステップと、次にガラスを除去するステップとをさらに含む。結果として生ずるエンボス加工されたかまたはモールドされたガラス物品のさらなる処理には、微細アニーリングまたは研磨などが含まれてもよい。本方法によって、ガラスが、従来の不活性ガス大気内に密閉されたと同様に周囲大気などの酸素を含む環境においてモールドされることが可能になる。
【0013】
一旦使用可能温度まで加熱されると、圧力下で、ガラスがモールド内へサグされてマスタデザインに合わせられる。それによってマスタの表面レリーフ構造がガラスへ転写される。開始材料がガラスフリットなどの形式の粒状であるとき、モールディング処理は、エアポケットまたは他の閉塞を起こすことなく、最終製品であってもよい固体の物品へと個々のガラス粒子を焼結することができる。精密材料除去処理に基づく、研削し、研磨し、反応性イオン化エッチングといった前に示したいくつかの方法と異なり、本製造処理では、製造時間が微細構造の深さに依存しないだけでなく微細構造の深さによって直接決定されない。
【0014】
別の態様では、本発明は第1または上側の構成部品及び第2または下側の構成部品を含むモールドアセンブリに関する。モールドは様々な材料を用いてなされてもよい。材料には例えば炭化ケイ素、窒化ケイ素、難溶性セラミック、または2つ以上の金属、合金、セラミック及びガラスの複合体があげられる。好適材料は、重量パーセントについて、約80−98%のTi(チタン)、1−10%のAl(アルミニウム)、及び1−10%のV(バナジウム)から本質的に成る組成式のチタン合金である。かかる組成のチタン合金は、軍用機のコンプレッサ及びバイオインプラントで用いられてきたが、ガラスモールド用のモールド材料として用いられたことがない。窒化処理などのTi−6Al−4V合金の表面処理は、材料の表面摩耗特性を改善し得る。
【0015】
本ガラスモールディング/エンボス加工の付加的な特徴及び利点が、以下の詳細な説明で説明される。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明及び例のいずれもが本発明の単なる例示であって、請求されたような本発明を理解するための概観を提供することを目的とする。
【発明の詳細な説明】
【0016】
本発明は、一つには、格子、短焦点距離レンズまたは高密度マイクロレンズアレイ(MLA)などの複雑な光学素子を製造するワンステップ処理を提供する。本処理は他のガラスモールディング方法のモールディングの制限を克服する。光学レンズは、テレビジョンまたはコンピュータ用ディスプレイ(例えば、LCD)においてなどの多くの様々な技術またはアプリケーションにおいて様々に使用されてきた。
【0017】
技術的に正確であるために、モールディングは可塑性または流体の開始材料を最終的な物体へ成形する処理に関係し、エンボス加工は最終的な物体についての設計をインプリンティングする処理に特に関係する。しかしながら、モールディング及びエンボス加工は、本発明の目的に対して同義に用いられる。ここで用いたように、用語「モールド」及び「マスタ」も同義に用いられる。通常、モールドは成形処理に用いられ、マスタは設計をインプリントすることについて用いられる。
【0018】
ここで用いたように、用語「微細マイクロ構造」は、少なくとも1つの寸法に沿って約500ミクロン以下の滑らかな曲線特徴を有する、単一のレンズ、小型レンズまたはレンズアレイについて言う。個々のレンズ素子は、凹状または凸状、球面、非球面またはフレネル、(図1に示したような)円筒状またはプリズム(図2)であってもよく、さらに平面基板または湾曲基板のいずれかの上に配置されてもよい。アレイされたレンズは様々な密度で生成されてもよい。図3に示したような「高密度係数」アレイでは、レンズ素子は隣接するかまたは互いに接近しており、図4に示したような「低密度係数」アレイでは、レンズ素子はより広く離間される。4つのすべての図において、寸法「a」は約500ミクロン以下である。
【0019】
ここで用いたように、用語「超微細マイクロ構造」は、単一のレンズ、小型レンズ若しくはレンズアレイ、または約10ミクロン以下が望ましい少なくとも1つの寸法に沿って約100ミクロン以下の滑らかな湾曲特徴を有するマイクロレンズのことを言う。
【0020】
ここで用いたように、用語「微細格子」は、約500ミクロン以下の「a」の間隔があけられたグルーブを備えた、図5に示したようなブレーズ型の格子または表面レリーフディフューザのことをいう。グルーブの深さは約100ミクロンの深さまでであってもよい。グルーブ間隔は可変または固定であってもよい。グルーブ自体が平面または曲面上に配置されてもよい。
【0021】
ここで用いたように、用語「超微細格子」は、約10ミクロン以下が望ましい約100ミクロン以下の「a」の間隔があけられたグルーブを備えた、図5に示したようなブレーズ型の格子または表面レリーフディフューザのことをいう。
【0022】
特定の材料に依存して、超微細格子及びレンズが光学的放射線を反射または透過させてもよい。通常、酸化ガラスのモールディング、等温プレス、及び/またはエンボス加工は、約700乃至1200℃以上の範囲の温度を必要とする高温処理である。特にケイ酸塩及び酸化鉛を含むガラスである酸化物ベースのガラスが、ガラスの軟化状態において反応性が高い。モールド材料と軟化ガラスとの間の化学反応を防ぐために、化学蒸着(CVD)炭化ケイ素、反応が結合された窒化ケイ素及び難溶性金属及び合金などの高価なモールド材料がモールディング表面上でリリースコーティングと同様に必要とされる。
【0023】
替わりとして、研究者はゾル・ゲル法に取り掛かり、米国特許第5,076,980号またはPCT出願公開第93/21120号に記載されてここに参照として組み込まれているような高い透過性のガラス、相対的に不透過のセラミック、または超微細を特徴とする表面を生成してきた。その分野の労働者は、ガラス質の材料が実際の作用温度において有意の粘着性を保持し、有意の粘着性が溶融ガラスが超微細を特徴とするモールドに正確で確実に一致することを妨げるので、ガラスにおいて超微細特徴をモールドすることはどちらかと言えば難しいと信じていた。
【0024】
しかしながら、我々は、特にカルコゲナイドガラスである非酸化ガラスが、ケイ素、アルミニウム、ボロン、鉛などの酸化物といった一種の酸化物を含む共通の光学または非光学ガラスに対比して、超微細を特徴とする表面をモールドするのに大変よく機能するということを見出した。光学、オプトエレクトロニクス、及び光通信における多くの特定の用途に対して、より具体的には、非従来的なガラスの開発及び用途が、エンジニアが使用する唯一の実際的な材料であったかもしれない。ほぼミクロンまたはミクロン未満の特徴を備えた急な遷移角を有する、マイクロレンズまたは回折格子などの光学素子を、モールド処理によって、一貫して生成する能力は、酸化ガラスまたは非酸化ガラスのいずれかを用いる先行のガラスモールド技術から明らかでないということを確信する。
【0025】
カルコゲナイドガラスは、カルコゲナイドガラスが酸化物の替わりにカルコゲン元素をガラス形成マトリクス内に含むという点において、従来の光学ガラス族とそれらの材料組成において区別される。カルコゲン元素は周期表の硫黄属(例えば、S、SeまたはTe)の1つ以上の元素であってもよく、ヒ素、ゲルマニウム、リン、ガリウム、インジウム、その他との組み合わせであってもよい。さらに、カルコゲン元素がハロゲン化物(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)と混合されてカルコハライドガラスを生成してもよい。通常、硫黄属は高温で周囲の酸化物と反応するので、かかるガラスの反応性はモールド処理の開発についての主な障害物であるだろうと考えられた。しかしながら、カルコゲナイドガラスは周囲大気において化学反応に対して思いがけなく回復力があり、製造処理の間、所望しない変形または汚濁の可能性がほとんどない。
【0026】
さらに、カルコゲナイドガラスは大変興味深い特性を有し、それによってさらに従来の酸化物ベースのガラスと区別される。カルコゲニドは、遠くや近くにある赤外線(IR)スペクトル領域(>700ナノメートル(nm))において優れた光学的透過性を示す。このことは光学レンズを製造するためのカルコゲナイドガラスの重要な属性である。なんとなれば、光通信は赤外線スペクトラムにおける透過性を利用するからである。比較すると、ケイ酸塩は、中間IRにおいて吸収する傾向にあり不透明である。さらに、カルコゲニドは、前方監視赤外線(FLIR)システムなどの熱感知用途、またはミサイル先端の誘導において用いられてもよい。カルコゲナイドガラスには赤外線伝送材料として且つコンピュータメモリのスイッチ装置として潜在用途を有するものもある。なんとなれば、それらの伝導性が、特定の閾値を超過すると、急に変化するからである。さらに、カルコゲナイドガラスは、最も一般的な酸化ガラスである絶縁体ではなく、半導体の役目を果たし、より良い熱伝導体である。その結果、電気通信で使用するモジュール内にパッケージされるとより良い温度管理の可能性がある。
【0027】
カルコゲナイドガラスの他の利点として高屈折率があげられる。レンズがより高い屈折率を備えた非酸化ガラスから製造され得るとき、非球面レンズを必ずしも含む必要がない。通常、カルコゲナイドガラスは、
【0028】
【数1】

【0029】
が望ましい約1.8から3より大なる範囲のより高い屈折率を示す。それは、レンズのサグまたは格子の周期などの設計パラメータにおいてかなりの柔軟性を提供する。より小さなサグを用いると、減じられた曲率半径を備えたレンズ及び
【0030】
【数2】

【0031】
のより低い屈折率を備えた酸化ガラスより光学経路における歪みの少ない光学屈折レンズを生成し得る。よって、球面レンズはこの状況における不利な条件ではない。基板平面への頂点からの距離はより短い。従って、必要なサグはより小さく且つより浅い。カルコゲナイドガラスはまた、二酸化ケイ素の三次非線形反射率より約80から100倍の三次非線形反射率を示す。それらのフォノンレベルエネルギーは大変低く(〜300cm-1)、カルコゲナイドガラスを、希土類元素イオン(例えば、エルビウム(Er)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、その他)でドープされた光増幅器またはレーザ用の優れたホストにする。
【0032】
酸化物ベースのガラスと対比して、カルコゲナイドガラスはより低い軟化温度及び低ガラス遷移温度、Tg(〜1013.4ポイズ)を示す。この特徴によってカルコゲナイドガラスがモールディングまたはエンボス加工用の魅力的な候補になる。ここで用いられるように、用語「低Tg」は
【0033】
【数3】

【0034】
を有するガラスのことをいう。ケイ酸塩などの酸化物ベースのガラスは、通常、約600℃を超える高いTgを有し、モールドの材料と化学反応しがちである。リン酸塩ガラスはTg〜300−320℃を有し、約400−450℃でモールドされてもよいが、リン酸塩ガラスはカルコゲナイドガラスよりかなり低い反射率を有する。従って、リン酸塩は類似のレンズまたは他の光学素子を生成するより大きなサグを必要とする。
【0035】
カルコゲナイドガラスは、組成物によって、約200−600℃の温度またはより低い通常250−350℃でモールドされ得る。なんとなればカルコゲナイドガラスは約500℃未満のガラス遷移温度(Tg)を有することが特徴であるからである。カルコゲナイドガラスには約350−480℃のTgを有するものがあるが、より一般的には、Tgは約300℃以下である(例えば、〜130℃、または〜190℃から〜200℃、または〜250℃)。従って、カルコゲニドの低温特性をうまく利用して、「超微細構造」モールディングを可能にする十分な流動率を実現することができる。
【0036】
通常、カルコゲナイドガラスは、約10−50ppm/℃、または表1の例に対して、約20−40ppm/℃の熱膨張率を有する。選択されたモールド材料の熱係数は、約2乃至40ppm/℃であってもよく、約5−30ppm/℃であることが望ましい。Ge−As−硫化ガラスを考慮すると、モールドのパラメータを満足させるモールド可能なガラスの組成範囲は、約0−35%のGe、約0−55%のAs、約30−85%のSを含む。これらのガラスの光学、熱、及び/または機械的特性を変更するために、リン(P)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、セレニウム(Se)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、タリウム(Tl)、塩素(Cl)、臭素(Br)、及びヨード(I)が光学組成として加えられてもよい。希土類元素または融剤(例えば、Li、Na、K)などの他の元素が同様に含まれてもよい。
【0037】
表1では、いくつかの選択したカルコゲナイドガラス及び酸化物ベースのガラスの材料特性及び光学特性が比較される。例1及び例2の2つのカルコゲナイドガラスに対して、表1は、ゲルマニウム、ヒ化物、及び硫黄の原子百分率におけるそれらの特性及びそれぞれの濃度を示す。例3は、米国特許第5,021,366号で開示され、ここに参照として組み込まれている、フッ素がふくまれていない組成を有する低Tg(〜330℃)酸化物ベースガラスである。例3のガラスは、現在製造されていて、光学素子をモールドする会社(例えば、フロリダ州オーランドのゲルテック、ニューヨーク州ロチェスターのイーストマンコダック)に流通している。例4はスコットガラステクノロジー株式会社による酸化物ベースのガラスであり、例5はコーニング株式会社による溶融石英(HPFS(登録商標))である。カルコゲナイドガラスの各々のTgが、例3のTgを含むもう1つの酸化物ベースのガラスのTGより低いということに表1からわかる。
【0038】
【表1】

【0039】
一般的に、カルコゲナイドガラスは、従来の酸化物ベースガラスより、熱せられたときに空気中で酸化するかそうでなければ化学反応を起こす可能性が高い。しかしながら、これにも関わらず、カルコゲナイドガラス(Ge−As硫化物)が検出可能な酸化を受けることなく空気中でモールドされてもよい。Ge25As5060及びGe8.76As17.573.75の例示のガラスはそれぞれ、245℃、150℃のTg及び20ppm/℃及び35ppm/℃のCTEを有する。このように、本発明によるカルコゲナイドガラスを用いると、ガラス処理の間、不活性大気を用いる必要が減ぜられるかまたは排除される。それは大きな利点である。
【0040】
多くの他の適当なカルコゲナイドガラスは、例えば、原子/成分百分率において、約25−90%のS、0−50%のAs、0−45%のGeを含む組成を有する硫化ガラス、原子/成分百分率において、約25−100%のSe、0−60%のAs、0−45%のGeを含むセレン化物ガラス、または、原子/成分百分率において、約25−90%のTe、0−50%のAs、0−45%のGeを含むテルル化物ガラスを含む。ゲルマニウム硫化ヒ素の特定のタイプが、ここに組み込まれた米国特許第6,277,775号において開示されている。それは、共ドーパントとしてのリンイオン源を含み、ガラスにおける希土類金属イオンドーパントの分散をもたらす。ここに組み込まれている、共に譲渡された米国特許出願第09/894,587号は、分子クラスタを含む別の種類のカルコゲナイドガラスを開示する。別の特定のカルコゲニド例には、約219℃のTgを有する、原子/成分百分率で約12.5%のGe、25%のAs、62.5%のSeの組成物を有するGe−Asセレン化物ガラスを含む。
【0041】
替わりの種類のガラスはカルコハライドガラスを含んでもよい。カルコハライドガラスは、Cl、Br及びIが加わっていることを除いてサンプルのカルコゲニドと組成が似ている。典型的な系は組成成分As−S−Iによって包囲されたガラスであるだろう。そこでTgが、大変Iの割合が高い種類に対しての室温以下から、Iが乏しい組成物に対しての約250℃までの範囲内で変化する。同様のガラスが系内に存在する。即ち、J.S.サンゲラ氏その他による総括書、1988年発行のJ.非結晶固体103の155乃至178頁において提供され、ここに参照として組み込まれているような、As−S、Se−Cl、Br;Ge−S、Se−Cl、Br、I及びGe−As−S、Se−Cl、Br、Iである。
【0042】
カルコハライドガラスの別の主要なクラスは、Asなどの橋かけ結合元素を有するかまたは有しないTe及びハロゲンXを含む、いわゆるTeXまたはTeXAsガラスである。熱的に安定したレンズとして、TeXAsガラスがTeXガラス以上に好適である。これらの及び他のカルコハライドの代表的な例は、J.ルーカス及びX−H.チャンによる1990年発行のJ.非結晶固体125の1乃至16頁及びH−L.マその他による1992年発行のJ.固体状態化学96の181乃至191頁に示され、ここに参照として組み込まれている。
【0043】
ハライドガラスも同様に本発明による用途に用いられてもよい。特定のガラスの例はフルオロジルコン酸塩ガラスの広範な族から抽出されてもよい。その代表的な例は、ZBLANと呼ばれており、約257−262℃のTgを有して、分子百分率について、約53%のZrF4、20%のBaF2、4%のLaF3、3%のAlF3、20%のNaFからなる組成を有する。他の実施可能なハライドガラスとしてはCdハライドがあり、その典型例が以下である。即ち、17%のCdF2、33%のCdCl2、13%のBaF2、34%のNaF、及び3%のKFであり、約125℃のTgを有する。これらの種類のハライドガラス用の広範な組成範囲が、米国特許第5,346,865号に開示されており、ここに組み込まれている。それは、表示されたような任意のハロゲン化物と共に、42−55%のCdF2及び/またはCdCl2、30−40%のNaF及び/またはNaCl、合計で2−20%のBaF2及び/またはBaCl2+KF及び/またはKClを含む。
【0044】
これらの2つの実例となるハライドガラス属が、全てのハロゲン化物を必ずしも完全に含むわけではない。通常、主要な組成がアルカリ土類フッ化物(例えば、ZnF2、CdF2及びInF3及び/またはGaF3)であるフルオリンデート(fluorindate)ガラス及びフルオロガラート(fluorogallate)ガラスもあるので、これらの2つの実例となるハライドガラス族には、全てのハロゲン化物を必ずしも完全に含める必要はない。ZBLANのTgと同様のTgを有するので、これらのガラスに対するTgは約260−300℃で変動し得る。これらのガラス。代表的な例は、285℃のTgを有する、19%のSrF2、16%のBaF2、25%のZnF2、5%のCdF2、35%のInF3である。本発明によるハライドガラスをモールドするとき、非反応性被膜がモールド材料とともに用いられて、ハロゲン化種が空気と反応することを防ぐことが望ましい。
【0045】
本発明の方法は、一つには、コーニング社のJ.マーシャル及びR.マッシュメイヤによって開発された独自のプロセスを出典とする。それは、米国特許第4,481、023号、第4,734,118号、第4,854,958号及び第4,969,944号において開示されており、その内容は参照としてここに組み込まれている。マーシャル・マスクマイアのプロセスによれば、所望の最終製品の全体形状に近い全体形状を有するガラスプリフォームがモールドに配置され、モールド及びプリフォームをガラスが108−1012ポイズの間の粘着性を示す温度になし、負荷がガラスをモールドに一致する形状になすために与えられ、その後ガラス形状がガラスの変形範囲を超える温度でモールドから外されてアニールされる。
【0046】
その一方、本発明のモールド処理では、融解または凝固されたガラスゴブのいずれかが用いられるか、またはプリフォームがほぼ最終形状である必要がない。モールドされるべきまたはエンボス加工されるべきガラス材料が、規則的にまたは不規則に形作られた、例えばインゴットまたはディスクまたはウエハーなどの、大きな塊の形状であってもよい。例えば、厚さが0.25mmから2mmで直径が50から300mmのガラスウエハーをモールドの左右中間部に配置し得る。替わりに、ガラスの原料パウダー(例えば、粒の直径が0.1mmより小である)が用いられてもよい。ガラス原料が用いられるとき、パウダーは十分に小さく不規則な大きさのガラス粒子の粒子を含み、圧力が加えられると加熱されたモールドにおいてガラス粒子を固めることが可能になる。パウダーが初めに固まってプリフォーム(ウエハー、ゴブまたは大まかに形作られたレンズまたは格子)を形成する。プリフォームは驚いたことにほとんど閉塞を含まなかった。実質的にはどんな形状のガラス材料も用いることができるこの性能によって、製造コストを減少させ、モールド処理を簡単にすることができる。
【0047】
さまざまな温度及びモールディング圧力が、ある最小の基準が満足するよう設けられた、高精度のガラス製品を形成するためにうまく用いられてもよい。
【0048】
最初に、モールディング作業が、通常のガラス圧力手順と比較するとガラスがより高い粘度を有する温度で行われる。よって、ガラスが、約107−5x1011ポイズの好適範囲と、約108−1010ポイズのより好適な範囲とを含む約106−1012ポイズの粘度でモールドされる。良い表面仕上げがなされ、作用温度及び圧力に耐える十分な耐火性を有し、モールディング温度でガラス組成物によって実質的に破壊的な化学作用を及ぼされない適当なモールド材料が与えられた進歩的なモールディング処理に対する適当な候補として可能であると、いずれかの非酸化ガラス組成物がみなされてもよい。
【0049】
次に、この進歩的なモールディング工程は、造形品の最終形状が形成される期間中ずっと顕著な等温状態を含む。ここで用いられるように、用語「等温の」は、モールドの温度及びガラスプリフォームの温度が、少なくともモールドの粘度においてほぼ等しいことを意味する。許容温度差は、最終ガラス形状の全体の大きさ及び特定の設計に依存するが、差が20℃未満であることが望ましく、さらには10℃未満であることが最も望ましい。この等温状態が十分な長さの期間維持され、モールド上の圧力によってガラスがモールドの表面と一致するよう流入することを可能にする。
【0050】
通常、本進歩的処理に基づいてモールドされたガラス製品は、光学アプリケーションにおける使用に適するには高すぎる熱ストレスを含んでおり、従って、微細アニーリングステップをモールド後に必要とする。しかしながら、加圧成形手順において利用される等温環境及びモールドされた製品は本質的に全体的にモールド表面に一致するという事実故に、製品は等方的に縮小し、よって、関係する表面形状のいかなる重大な歪みもなく製品が微細アニールされることを可能にする。さらに、この歪みのないアニーリングはモールドされた形状に対して複雑な物理的支援を用いることなしにモールドの外側で実施され得る。この実施によってより短いモールドサイクル時間がもたらされ、モールドを再処理する必要が排除される。要約すれば、ガラスの変質範囲または遷移温度より低い温度の範囲内で保持されるガラス形状を用いて負荷下でモールドを冷却する必要がない。即ち、モールドは、たぶん室温と同等の変化範囲未満でモールドを冷却し次に再加熱するよりはむしろ、ガラスが約1013ポイズの粘度である温度で保持され得る(プレスされた製品をモールドから外す最小温度)。かかる再処理は多くのエネルギーを消費し、モールドの寿命に不利な影響を及ぼす。
【0051】
ガラスモールディングまたはエンボス加工処理の開発における重要項目は、モールドまたはマスタを形成する材料の選択である。モールド材料は実施モールディング温度で化学的に安定しているべきであり、モールディングの間ガラスと化学的に反応すべきでない。言い換えると、ガラス上に形成されるべき形状またはパターンを画定するモールド用材料の選択が、ガラスの熱膨張に対する同様の熱膨張を有し、モールドが加熱される温度より実質的に高い再結晶温度を有することが望ましい。通常、モールドは熱膨張係数(CTE)を有し、それはガラス材料のCTEと実質的に互換性があることが望ましい。しかしながら、この基準及び他の基準を満足させるCTEを備えた材料を見出すことが難しかった。設計パラメータは、モールドのCTEとガラスCTEとの間で大きな差異があるときにモールドが冷えると生ずるガラスの大きな収縮を考慮にいれる必要がある。(様々なCTEのモールド/マスタ材料及びガラスを選択することは、モールド/マスタからモールドされた/エンボス加工された部分の解放に役立つ膨張及び/または収縮における差分をうまく利用することが時には必要であるかもしれないということに注意すべきである。)モールド材料のCTEとガラスとの適合は重要であるが、モールド材料がモールドの実施温度より実質的に高い再結晶温度を有するべきであるということがより重要である。
【0052】
炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si34)、これら2つの難溶性セラミック複合体がモールドを形成するために用いられ得るが、しかしながら、セラミック材は高価であり被膜を必要とする。難溶性金属(タングステンなど)及び合金が同様にモールドとして用いられてもよいが、チタン合金などのいくつかの材料が本発明を実施するために選ばれる。通常、熱膨張係数の大なる差が、ガラスの熱膨張係数と比較して合金表面に存在する。しかしながら、Ti−6Al−4V合金などのチタン合金が、特に約20から40ppm/℃の範囲における熱膨張係数を有するガラスであるカルコゲナイド(硫化物)ガラスのエンボス加工及びモールドに大変適していることを思いがけなく見出した。チタン合金は、ほぼ8から12ppm/℃の範囲内の熱膨張係数及び約700から800℃の範囲の再結晶温度を有する。
【0053】
チタン合金から形成されたモールドが、約500−550℃の温度までのカルコゲナイドガラスのブランクを処理するために用いられ、それは約450℃または500℃までのTgを有するかかるガラスをモールドするのに適しているはずである。チタン合金のモールドは通常の構成物質が、重量パーセントに関して、約80−98%のTi(チタン)、10−1%のAl(アルミニウム)、10−1%のV(バナジウム)でできていることが望ましく、本質的には重量パーセントで約90%のTi、6%のAl、4%のVに存することが望ましい。市販のTi−6Al−4V合金は通常、化学工業用の構造的アプリケーションにおいて且つ軍用機においても用いられるが、ガラスモールドを製造するためではない。本発明によれば、モールドブロックがセラミック及びセラミック複合体、特にTi−6Al−4V合金であるチタン合金またはニッケル合金であることが望ましい金属または合金でできていてもよい。そこで、光学部品に処理されるべきガラスが非酸化ガラス、より具体的にはカルコゲナイドタイプのガラスへ処理されるべきである。
【0054】
モールディング装置の特定の構造は本進歩的処理の実施に絶対不可欠ではない。プレス加工はガラスプリフォームに対してモールドを動かすためのいくつかのメカニズム及びモールドの動作に対するいくらかの制約を含むべきである。かかる制約は光学表面の間に必要な形状関係を実現するために必要とされる。かかる制約が様々な方法で構築されてもよいということが評価されるだろう。レンズをモールディングする実験室において開発された装置が図7に図示されており、それは例示であって制限するものではない。従って、例えば、ガラスの自動搭載及び取り下ろし用のメカニズムの追加、熱源、冷却源及びプレス動作の変更、及び別個のまたは様々な機械要素に対する本質的機能の割当てが、当業者の技術的能力または発明の才の範囲内にあると考えられる。
【0055】
図7は、用いられるモールドアセンブリ8の定着物の正面図を示す。アセンブリ8は基板10を収容し、その上に固定のモールドのハーフが配置されて隔離碍子14上に位置する。移動可能なモールドのハーフ16が指標18によって導かれる。モールドのハーフ16上のモールドアセンブリ用の誘導装置20に接続されたメカニズム(図示せず)は、アクチュエータに接続されて、モールドされるかまたはエンボス加工されるべきガラス材料に対してモールドハーフを介して圧力を加える。この材料は2つのモールドブロック22と24との間で支持される。ブロックはモールドのハーフ12と16との空洞に補えられる。モールドのハーフはモールドハーフ12及び16のそれぞれに位置する電熱器要素26によって加熱される。モールドのハーフが分割されて加熱要素26を捕らえてもよい。
【0056】
図8A、B及びCは、図7の装置において用いられるモールドブロックの3対の代替物の断面図を示す。図8Bのモールドマスタは、球形及び非球形、単一の平凸、平凹、かかるレンズのアレイ、及びレンズアレイなどの様々な形態を有してもよい。モールドブロックは円筒形の形状であってもよい。モールドブロック22及び24の向かい合っているモールド表面28及び30はモールドされるべき光学成分及び素子の外部形状を画定する。モールドアセンブリ上のプロファイルされたキャビティがモールドされるガラス材料の基板の片側に様々な種類のレンズを形成する。モールドされた物体の外部形状は、図8Aに示されたような、モールド表面における単一の凹状の半球面モールドキャビティ32(凹レンズ外部形状用のキャビティは図示されない)によって画定された凸または凹の球面レンズのいずれかであってもよい。替わりに、説明されたモールドキャビティが非球面に成形されていて非球面ガラスレンズを生成してもよい。凸状(図3または4)または凹状(図示せず)レンズのうちの図8Bに説明されたようなレンズアレイに対して、半球面または非球面(図示せず)の形状の複数キャビティ32があってもよい。2重の凸状または2重の凹状などの他の外形が、例えば図8Cに示されたモールドブロック22及び24を用いてモールド内に形成されるガラス基板の反対側にも形成されてもよい。
【0057】
基板(42)上の表面レリーフマイクロレンズ(41)の製造において、1つの基準パラメータがレンズのサグsである。図9において画定されるように、このパラメータは、マイクロレンズの頂点(45)が基板表面(43)の上方に伸びる高さを示す。半径Rの球面を有するマイクロレンズに対して、サグが方程式(1)によって与えられる。
【0058】
【数4】

【0059】
Dはマイクロレンズの直径である。曲率半径Rは入射媒体n1の屈折率及び基板n2の屈折率並びに方程式(2)による所望の焦点距離fから計算される。
【0060】
【数5】

【0061】
方程式(2)を方程式(1)へ代入すると、以下が得られる。
【0062】
【数6】

【0063】
Δn=n2―n1及びNAが1/(2F/#)で画定されるレンズの開口数である。レンズのFナンバー(F/#)はf/Dである。様々な開口数であるが固定されたf=1000μmに対するΔnの関数としてマイクロレンズsのサグをグラフ化すると、図10に示された曲線が得られる。Δnが増加すると、マイクロレンズのサグが減少することが注目される。レンズのサグを減少させることによって、レンズの製造しやすさが増す(例えば、モールディング処理において。マイクロレンズのサグがより低ければ、空気がモールド内で閉じ込められる可能性が少ない。しかしながら、高屈折率ガラスを用いる最も重要な理由の1つは、光収差を減じるためである。
【0064】
球面は画像透視図から理想の面ではない。所定の物体を描くために、非球面が必要とされて収差が減じられることが理想的である。しかしながら、非球面は製造し試験するには球面より複雑である。低開口数(<0.1)に対して、所望の非球面と製造可能な球面との間の誤差は概して小さい。しかしながら、より大きな開口数に対しては、この偏差が増し、よって光学システムの画像品質を低下させる。より高い屈折率の材料(例えば、n2>2.0を有するカルコゲナイドガラス)を用いることによって、一組の焦点距離に対する必要な曲率半径が減じられるので、レンズの球面収差が減じられ得る。
【0065】
ブレーズされた格子に対して、基板(51)はその面の1つにわたる一連のブレーズされた彫面(52)を用いてパターン化される。図11を参照せよ。これらの彫面の所望の深さは、
【0066】
【数7】

【0067】
によって与えられる。
【0068】
λが動作波長であり、Δn=n2−n1である。よって、格子の深さはΔnで線形に減少する。格子の深さを減じることによって、格子の陰影領域(53)の幅が減じられる。陰影領域は、幾何学的光学分析から、格子彫面の側壁によって生じる陰影により光がない領域である。不要の回折効率を導くことによって陰影は影響力(interest)の順に格子効率を減じる。格子の深さを減じることによって(例えば、Δnを増加させることによって)、格子によって達成される理論的屈折率が増加される。
【0069】
本モールド方法を実施する実施例によれば、ガラス材料が、インゴット、ウエハーまたはパウダー状のいずれでも、モールドブロック22及び24の対向するモールド表面28と30との間に配置される。モールドブロックまたはマスタ22及び24の上半分及び下半分の両方が同時に加熱される。加熱速度、冷却速度及び休止時間が作業環境及び特定のガラスの種類に基づいて決定され、デジタル温度制御装置を用いて正確に制御されてもよい。通常、加熱要素26を加熱する電力を増加させることによって、モールドまたはマスタが、モールド内の特定のガラス材料のTgより少なくとも約10℃上である作用温度へ所定の速度で加熱される。通常、動作温度はTgより上約10−110℃の範囲内である。言い換えると、ガラスは約106から約1012ポイズの粘度を有する。温度はTgより上約20℃から約90℃であることが望ましい。温度はTgより上約30−70℃であることがさらに望ましい。ほぼ100℃−350℃または、約130℃−250℃の範囲内のTgを有するあるカルコゲナイドガラスのサンプルに対して、ブロック22及び24の作用温度は、Tgより上約50℃または150℃から400℃の範囲にあることが望ましい。
【0070】
前駆体ガラス材料の加熱と同時に、所定の圧力がモールドの下半分に対する上半分に機械的にかけられて、光学部品が所望の形状へ且つ超微細マイクロ構造(即ち、レンズまたはマイクロレンズアレイまたは回折格子、回折光学パターンまたはかかるレンズ及びパターンの組み合わせ)を有するよう形成される。モールドの上半分16上の誘導装置20に接続された、例えばねじ伝導などの機械的駆動装置が用いられてプレス加工を作動させる。替わりに、モールドアセンブリ8を、モールドブロック22及び24上で圧力を加えるマシンなどの水圧機または電気駆動プレス機のテーブルの間に置くことができる。加熱のように、圧力の正確な量は、ガラスのTgまたはモールドされるべき外形の特徴の複雑さを含む様々な要因に依存している。モールドの圧力(力)は、モールド表面領域の平方インチ(psi)毎に約10から5000ポンド引き起こされる。例えば、本処理によるモールディングに適しているとして挙げられたガラスの種類について、圧力は1から100psiの範囲にあり得る。ガラスの粘度が、約1010ポイズが望ましい約107−1011ポイズに達すると、モールドがプレスされる。事前選択されたピーク作用温度に達した後に、圧力が約0.1から10分が適当な滞留時間の間モールドブロックアセンブリ上で保持されて、モールドの外部形状または設計されたパターンの範囲内でガラス材料の流れの完了を保証する。特定のカルコゲナイドガラスのある合成物に対して、Tgより上50℃の最適温度及び20psiの圧力で、10秒の滞留時間が移動の完了及びモールドキャビティ内のガラス充填物の充填のために利用された。次に、圧力が次第に減じられた。モールドが所定の割合である20℃/分で50Cへまたはポイズへ冷却され、所望の外部形状を有する光学部品がモールドアセンブリ8から抽出される。産業的製造のために、モールド温度が室温までずっと且つ強制空冷または窒素を用いる冷却を利用して冷却されないことが望ましい。モールドされた製品を取り除く付加処理ステップは、マーシャル及びマスクマイアによって説明されるかまたは当業者によく知られているかのいずれかである。
【0071】
あるガラス複合体に対して、モールドのハーフ22及び24の対向するモールド表面28及び30上にリリースコーティングを施すことが望ましい。リリースコーティングは以下を含んでもよい。即ち、黒鉛炭素被覆、二ケイ化モリブデン化合物、過フッ化炭化水素(CFx)、窒化ホウ素、貴金属及び貴金属合金、並びにいくつかの市販のリリースコーティングである。窒化ホウ素(BN)が硫化ガラスのモールディング/エンボス加工用の最もよいリリースコーティングであると判断された。リリースコーティング材料がモールド表面上に効果的にスプレー被覆されるかまたはスパッタ蒸着されてもよい。本調査におけるモールディング及びエンボス加工処理は周囲大気において実施されるということが注目されるだろう。不活性大気または真空を有する密閉筐体をかかるモールド及びエンボス加工処理に必要としなかった。しかしながら、これらの材料を用いた研究過程で、非被覆モールド表面と比較して、生じた窒化被覆モールド表面がより長い耐用年数(即ち、モールド表面を再研磨する前のモールディング/エンボス加工を行うより多くのサイクル)を有したということが注目された。
【0072】
ガラス光学部品を製造する本方法及び本方法を実施する装置についての前述の一般的説明が例証されており且つ可能な変化物の限定でないとされるべきである。以下のセクションの例が本発明の利点及び品質をさらに詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0073】
一連の研究において、モールドにおいて固形の塊状またはパウダー状(ウエハー、立方体、不規則形状の凝集またはパウダー)のいずれかからの非酸化ガラスを用いて、小型の形状及び大きさの微細で複雑なマイクロ構造を有する光学部品をモールド及び/またはエンボス加工することが試みられた。MLAなどの光学部品は、光学スイッチ、光学ディスプレイなどで用いられる高密度にパックされた個々のレンズ、非球面レンズまたは回折格子用の様々な複雑な形状を必要とした。特に、酸素種が欠けているカルコゲナイドガラスが思いがけなく有利なモールディング特徴を与える。以下に説明した実験例に対して、全てのモールディングが大気中で実施された。窒素またはアルゴンなどの不活性大気はモールディングの間用いられなかった。いくつかの具体的な事例では、強制空気または窒素ガスが用いられてモールドされた部分の冷却及びモールドされた部分を除去するのを容易にした。
【0074】
約160℃から約245℃までの間及び様々な屈折率の実験に対して選択されたカルコゲナイドガラスサンプルのガラス遷移温度(Tg)は約2.3から約2.5までの幅があった。前駆体ガラス材料は、0.25mmから2mmの間の厚さ及び20mmから300mmの直径を有するウエハー状であった。替わりに、微細ガラスパウダー(直径が0.1mmより小)で、ガラスの立方体または不規則形状の固体ブロックも前駆体材料として用いられた。このことは、コダック(EP1 069082 A2)、コーニング(米国特許第4,481,023号)、及びおそらくゲルテックによって開発されたモールディング処理に必要とされたプリフォームと対照的であったということに注意すべきである。我々は、モールドブロックの対向するモールド面同士の間にウエハーまたはパウダー形状のいずれかでガラスを配置した。モールドブロックの温度は、加熱要素に入力される電力を増加することによって、室温からモールドの特定のガラス材料のTgより上約50℃まで上げられた。用いられたカルコゲナイドガラスの場合には(表1、例1及び2)ブロックの温度は220℃から300℃の範囲であった。ガラス前駆体材料の加熱するとともに、上側モールド部分に1から100psiの範囲の機械的圧力が加えられた。加えられた圧力量は、ガラスのTgと同様モールドされるべき外部形状の特徴の空間周波数及び深さなどの要因に依存した。モールドブロック上で圧力を加えるために、インストロンマシンなどの水圧駆動または電気駆動のプレス機のテーブルの間にモールドアセンブリが配置された。事前選択されたピーク温度に達した後、圧力が加えられて、通常5秒から60秒の滞留時間の間モールドブロックアセンブリ上で保持され、モールドの範囲内でガラス材料の完全なフローを確実にした。この滞留時間の後に、徐々に圧力を解放し、温度制御装置においてプログラムされたように、モールドブロックの温度を室温まで戻した。
【0075】
いくつかのモールド材料(チタン及びその合金、アルミニウム及びその合金、並びに特に440シリーズステンレススチールであるスチール)を調査した後に、特定のチタン合金Ti−6Al−4V合金、及び/または無電解高リンニッケル合金が適当なモールド材料として選択された。特に、これらの硫化ガラスをモールディングするために用いられたモールディング温度でのそれらの安定性に対してであった。これらの材料は約10から20ppm/℃の熱膨張率(CTE)及び700℃から900℃の範囲の再結晶温度を有している。特にアルミニウム及び鉄ベースの合金である、ある種のモールド材料の酸化によってそれらの材料の使用が妨げられた。
【0076】
我々は平行ファイバに必要なマイクロレンズなどの精密マイクロレンズをモールドして、マスタの外部形状とモールドされたガラスの外部形状との間の表面外部形状(例えば、曲率半径)における変化を測定した。モールドキャビティがカーバイドのツールを用いて機械加工され、次に10μmの粗粒を用いてダイアモンド研磨された。モールドされたより高精密度のマスタが単一ポイントのダイアモンド旋盤を利用して製造された。しかし、モールド材料は、機械加工することによるストレスを解放するためにアニールすることを除いて、他の特別の処理をされなかった。
【0077】
本発明は1時間の何分の1かでカルコゲナイドガラスにおいて500μmの深さでマイクロ構造を複写することができる。かかる処理は、光学表面レリーフ素子用の、費用効率が高く精密な光学マイクロ構造を製造することにおいて市販上の便益を示唆し得る。対照的に、反応性イオンエッチング技術は、溶融石英へ50μmから100μmの深さのマイクロレンズをエッチングするために12時間から24時間の長さを要する。反応性イオンエッチングの資本経費及び関係する支持装置及び人的資源は重要であり、通常何百万ドルかで評価される。
【0078】
図12は、微細前駆体溶融ガラス原料(〜10μm)として、表1(8.75%のGe、17.5%のAs、及び73.75%のS)において指示された例1のガラスを用いてモールドされたマイクロレンズのプロファイルの結果を示す。この実験について、チタンモールドまたはマスタは、3mmの開口部の直径についての凹状表面レリーフ構造及び513μmのサグを有した。この種の構造をモールドするために、モールド面がエアゾール補助スプレーによってBNで被覆された。溶融ガラス原料パウダーが室温でモールドキャビティに蒸着された後に、モールドを20℃/分の割合で300℃に上昇させた。材料は、20psiの力が加えられる前に、約5分間300℃で保持された。力が、約1分後に解法されて、モールドが1℃/分の割合で室温まで冷却された。モールディング処理が513μmの深さの構造を複写することに困難はないということが図12の外部形状のトレースから注目される。
【0079】
5μmの微細なマイクロ構造のモールディングを例1のガラスを用いても解決することができる。処理モールディング温度及び圧力がそれぞれ245℃で50psiだけで、モールドマスタとして単一ポイントダイアモンド旋盤高リン無電解ニッケル基板を用いて、その最小の格子周期として5μmを有する1.3mmの直径で、0.94μmの深さの解析レンズを製造することができた。表2は実験条件を要約している。この実験に対して、例1のウエハーは、ウエハーが245℃に達した後にだけモールドへ挿入された。実施された回折領域の急峻さに基づき、例1のガラスの分解能が5μmより明らかに低いと考えられた。潜在的に、本モールディング処理及びカルコゲナイドガラスの分解能の限界が、波長分割マルチプレクサ(WDM)モジュール用などの、約1μmまたはより微細な格子周期を備えた波長散乱格子を複製するために精緻化されて用いられ得る。
【0080】
【表2】

【0081】
その後、モールドされたガラス、回折、光学マイクロ構造を、表面のざらざら状態及び格子特徴の忠実度についてジグニュービュー100を用いて検査した。モールドされた構造の表面仕上げが平均55Årmsであることがわかった。一方、マスタが40Årmsの表面仕上げを備えていた。図13は、本発明によって複製された解析構造の2次元及び3次元プロファイルを示す。構造(〜9μmまたはそれより大なる格子グルーブ)を複製する忠実度が優れていた。マスタのそれらと複製のそれらとを比較すると、ニュービュー(1μm)の側面分解能に急な領域遷移という減成の兆候が観察されなかった。約8μmまたは約5μm幅の領域の周期(periodity)の2D断面を備えた格子が回折レンズ用に生成され得る。しかしながら、リリースコーティングを用いるなどして粘着問題を解決するなどの予防措置が望ましい。粘着問題によって、サブ8μm周期領域の品質が低下させられ得るが、例1のガラスの粘度は、ニッケル回折マスタの急な領域遷移を優れた忠実度で複製するのに十分な低さであった。従って、例1を用いたモールド処理の粘度が限定された分解能は5μmよりかなり小であることがわかる。
【0082】
処理の分解能の限界を調査することに加えて、様々なリリースコーティングも調査された。黒鉛炭素、二ケイ化モリブデン、過フッ化炭化水素、窒化ホウ素、いくつかの市販のリリースコーティング(例えば、ペンシルベニア州クォリービルのストナー・インコーポレーテッドによって製造されたステアリン酸亜鉛モールドリリース、熱硬化性リリース、乾燥被覆モールドリリース、ロケットリリース、その他)が、モールドされた光学部品の表面の滑らかさ及びモールド表面のライフサイクルを改善することにおいてそれらの効果という基準から評価された。各々のリリースコーティングに対して、モールドキャビティの表面品質及びリリースコーティングされたモールド表面の耐用年数を維持することにおけるそれらの有効性が評価された。多くの実験から、窒化ホウ素(BN)がモールディング用グループのうちの最も効果的なリリースコーティング材料であった。特にチタン合金モールド用の、モールド表面に被覆された窒化ホウ素が、非被覆モールド表面と比較してより長い耐用年数(即ち、モールド表面のクリーニングまたは再研磨の途中のモールディング/エンボス加工のより多くのサイクル)を有した。
【0083】
概して、モールドから表面感度の良い構成要素を解放する被覆が、物理的または化学的蒸着技術のいずれかによって最もよく用いられる。薄膜被覆設備を欠くときは、リリースコーティング材料をモールド表面上に効果的にスプレー被覆してもよい。しかしながら、研磨されたモールド表面上のスプレー被覆は、スプレー被覆材料の粒子状性質故にモールド表面のざらつきを増す傾向にある。結果として、モールドされたレンズ表面はスプレー被覆によって生じたモールド表面のざらつきを複製した。スパッタ蒸着フィルム/被覆は、得られるリリースコーティング表面の滑らかさにより、光学表面リリースに対してより好適である。特に硫化ガラスであるカルコゲナイドガラス及びカルコハライドガラスに対して、チタン合金及び高リン無電解ニッケルモールドが用いられるときに、リリースコーティングを必要としなかったことは驚きであった。他のニッケル合金表面も必ずしもリリースコーティングを必要としない。
【0084】
本発明が、例及び詳細な図を用いて且つ好適実施例の例示を用いて一般的に且つ詳細に説明されてきた。しかしながら、当業者は、本発明が具体的に開示された実施例に必ずしも限定されないが、置換、変形物、及び変化形が本発明の目的から乖離することなく本発明及びその使用に合わせて成されるとういうことを評価するだろう。従って、変化形は、添付請求項及びそれらの同等物によって画定されるような発明の目的から乖離しなければ、ここに含まれると解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
本発明の前述の目的及び他の目的、並びに本発明の特徴及び利点が、添付図面と共に以下の説明を読むことによってより明瞭になるだろう。
【図1】円筒形レンズアレイの等角図である。
【図2】プリズムレンズアレイの等角図である。
【図3】高密度係数を有する超微細レンズアレイの等角図である。
【図4】低密度係数を有する超微細レンズアレイの等角図である。
【図5】ブレーズ型超微細回折格子の等角図である。
【図6】正弦波形状の超微細格子の等角図である。
【図7】本発明によって提供されるモールディング/エンボス加工方法が実施されるモールドアセンブリの材料固定具の前面図である。
【図8A】図7で示した装置で用いられてもよい一対のモールドブロックの断面図である。
【図8B】図7で示した装置で用いられてもよい一対のモールドブロックの断面図である。
【図8C】図7で示した装置で用いられてもよい一対ののモールドブロックの断面図である。
【図9】表面レリーフマイクロレンズの断面概略を示す。
【図10】様々な数値の開口及び1000ミクロンメータ(μm)の焦点距離に対する関数Δnとしてマイクロレンズのサグを表示するグラフである。方程式(3)を参照せよ。マイクロレンズのサグは屈折率の差が増加するにつれて減少することに注意せよ。
【図11】ブレーズ型回折格子の概略を示す。
【図12】カルコゲナイドガラスからモールドされたマイクロレンズタイプの外部形状の機械的表面についての表面計のトレースを示す。マスターは、513ミクロンメーター(μm)の深さのくぼみを生成する研磨機で機械加工されたチタン合金基板であった。
【図13】9μmの領域間隔を有するカルコゲナイドモールドされた回折レンズに対する表面計データを示す。複製された領域の忠実度は優れていて、領域遷移の測定された幅が画像装置の方位分解能によって基本的に限定されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精密光学素子を製造する方法であって、
a)約550℃までのガラス遷移温度(Tg)を有する非酸化ガラスを与えるステップと、
b)活性表面が、(A)非反応性材料層で被覆されるか、または(B)少なくとも動作温度より高い結晶温度を有する材料から製造されるか、または(C)少なくとも作用温度より高い結晶温度を有する材料から製造され且つ前記非反応性材料で被覆されるか、のいずれか任意である保護被膜を用いてまたは用いずに成され得る光学仕上げを施した、重量百分率について、約98−80%のTi、1−10%のAl及び1−10%のVを含む組成を有するチタン合金でできている前記活性表面を有するモールドを用意するステップと、
c)前記モールドに前記ガラスを配置するステップと、
d)前記モールド及びガラスをTgより上約10℃から約110℃の作用温度に加熱するステップと、
e)前記ガラスの粘度が約106−1012ポイズに達すると前記モールドをプレスするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ガラスが、溶融ガラス原料パウダー、平面物体、規則的または不規則形状の大きな固体、またはそれらの組み合わせの形態であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ガラスがカルコゲナイドガラスであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ガラスが硫化ガラスであることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記硫化物が、GeAs22、As23、Ga23、及びIs23から成るグループから選択されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記ガラスがセレン化ガラスであることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記ガラスがテルル化ガラスであることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項8】
前記ガラスがカルコハライドガラスであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記ガラスがハライドガラスであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記非反応性材料が窒化ホウ素であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記モールドが、少なくとも第1部分及び第2部分をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記活性表面がチタン合金またはニッケル合金のいずれかから作られていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
少なくとも活性モールディング表面が、ニッケル合金、炭化ケイ素、窒化ケイ素、または炭化ケイ素及び窒化ケイ素の難溶性セラミック複合体から選択された材料も含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記作用温度がTgより上約20℃から約90℃の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記作用温度がTgを超える約30−70℃の範囲にあることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項16】
前記ガラスの前記粘度が約107−1011ポイズであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記ガラスの前記粘度が約109ポイズであることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記ガラスがサグして前記光学素子の所望の形態へ変形するまで、前記モールドにおいて前記ガラスへ熱及び圧力を加えるステップをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記圧力が、前記モールドの前記第2部分へと駆動される前記第1部分との間で機械的に加えられることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記モールドへブロックを挿入するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記ガラスがウエハーまたはパウダーの形態であるときに前記ブロックが挿入されることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記ブロックのモールディング表面上に、前記作用温度で前記ガラスと反応しない材料層を配置するステップをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記モールド内で前記ガラスを硬化するステップと、前記ガラスを取り除くステップと、得られるガラス製品をさらに処理するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記加熱ステップ及びプレス加工ステップが周囲大気において実施されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記光学素子がミリメートルより小なる表面特徴を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項26】
前記光学素子が約100ミクロン未満かまたは等しい微細マイクロ構造を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記光学素子が約10ミクロン未満かまたは等しい超微細マイクロ構造を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項28】
前記光学素子が、レンズ、マイクロレンズ、レンズまたはマイクロレンズのアレイ、回折格子、表面レリーフディフューザー、またはフレネルレンズであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項29】
前記光学素子が前方監視赤外線(FLIR)システムの一部であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項30】
請求項1の方法に従って製造される精密光学素子。
【請求項31】
光電子素子を製造する方法であって、
粒状の、平面の、大きな固体の品目として550℃までのガラス遷移温度(Tg)を有する非酸化ガラスを用意するステップと、
保護被膜を用いて、または用いずに成され得る光学仕上げを施された、重量百分率について、約98−80%のTi、1−10%のAl及び1−10%のVを含む組成を有するチタン合金でできている活性表面を有する2部モールドを用意するステップと、
を含み、
前記活性表面が、
(A)非反応性材料層で被覆されるか、または
(B)チタン合金またはニッケル合金のいずれかから製造されるか、または
(C)チタン合金またはニッケル合金から製造され且つ前記非反応性材料で被覆されるか、
のいずれか任意であって、前記モールドに前記ガラスを詰め、前記Tgより上少なくとも10℃の作用温度に前記モールドを加熱し、
約107から1012ポイズの粘度で前記ガラスを熱プレスする、
ことを特徴とする方法。
【請求項32】
前記熱プレス加工ステップが酸素含有大気内で起こることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記作用温度が、前記Tgより上約110℃を上回らないことを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記モールドが保護被膜のない金属活性表面を有することを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項35】
少なくとも活性モールディング表面が、ニッケル合金、炭化ケイ素、窒化ケイ素、または炭化ケイ素及び窒化ケイ素の難溶性セラミック複合体から選択された材料も含むことを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項36】
前記ガラスがカルコゲナイドガラスであることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項37】
前記ガラスが硫化ガラスであることを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記ガラスがセレン化ガラスであることを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項39】
前記ガラスがテルル化ガラスであることを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項40】
前記ガラスがカルコハライドガラスであることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項41】
前記ガラスがハライドガラスであることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項42】
前記光電子素子が微細マイクロ構造または超微細マイクロ構造のいずれかを有することを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項43】
前記光電子素子が、レンズ、マイクロレンズ、レンズ又はマイクロレンズのアレイ、回折格子、表面レリーフディフューザー、またはフレネルレンズのいずれかであることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項44】
前記光電子が前方監視赤外線(FLIR)システムの一部であることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項45】
モールディングまたはエンボス加工方法によって非酸化ガラスから形成される精密光学素子であって、前記方法が、
粒状の、平面の、または大きな固体の品目として550℃までのガラス遷移温度(Tg)を有するガラスを用意するステップと、
保護被膜を用いて、または用いずに成され得る光学仕上げを施された、重量百分率について、約98−80%のTi、1−10%のAl及び1−10%のVを含む組成を有するチタン合金でできている活性表面を有する2部モールドを用意するステップと、
を含み、
前記活性表面が、
(A)非反応性材料層で被覆されるか、または
(B)チタン合金またはニッケル合金のいずれかから製造されるか、または
(C)チタン合金またはニッケル合金から製造され且つ前記非反応性材料で被覆されているか、
のいずれか任意であることを特徴とし、
前記方法がさらに、
前記モールドに前記ガラスを詰めるステップと、前記モールドを前記Tgより上少なくとも10℃の作用温度に加熱するステップと、前記ガラスを熱プレスするステップと、
を含む方法。
【請求項46】
前記温度がTgより上少なくとも約50℃であることを特徴とする請求項45記載の精密光学素子。
【請求項47】
前記方法が、前記モールドへブロックを挿入するステップをさらに含み、少なくとも前記ブロックの1つが前記ウエハーまたはパウダーと面する部分を示すことを特徴とする請求項56記載の精密光学素子。
【請求項48】
前記方法が、前記作用温度で前記ガラスと反応しない非反応性材料層を前記ブロックの表面上に配置するステップをさらに含む請求項56記載の精密光学素子。
【請求項49】
前記非反応性材料が窒化ホウ素であることを特徴とする請求項56記載の精密光学素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精密光学素子を製造する方法であって、
a)約550℃までのガラス遷移温度(Tg)を有する非酸化ガラスを与えるステップと、
b)活性表面が、(A)非反応性材料層で被覆されるか、または(B)少なくとも動作温度より高い結晶温度を有する材料から製造されるか、または(C)少なくとも作用温度より高い結晶温度を有する材料から製造され且つ前記非反応性材料で被覆されるか、のいずれか任意である保護被膜を用いてまたは用いずに成され得る光学仕上げを施した、重量百分率について、約98−80%のTi、1−10%のAl及び1−10%のVを含む組成を有するチタン合金でできている前記活性表面を有するモールドを用意するステップと、
c)前記モールドに前記ガラスを配置するステップと、
d)前記モールド及びガラスをTgより上約10℃から約110℃の作用温度に加熱するステップと、
e)前記ガラスの粘度が約106−1012ポイズに達すると前記モールドをプレスするステップと、
を含み、
前記ガラスが、溶融ガラス原料パウダー、平面物体、規則的または不規則形状の大きな固体、またはそれらの組み合わせの形態であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ガラスがカルコゲナイドガラスであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記硫化物が、GeAs22、As23、Ga23、及びIs23から成るグループから選択されることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記ガラスがカルコハライドガラスであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ガラスがハライドガラスであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記非反応性材料が窒化ホウ素であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記モールドが、少なくとも第1部分及び第2部分をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記活性表面がチタン合金またはニッケル合金のいずれかから作られていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
少なくとも活性モールディング表面が、重量百分率について、約98−80%のTi、1−10%のAl及び1−10%のVを含む組成を有するチタン合金でできていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
少なくとも活性モールディング表面が、ニッケル合金、炭化ケイ素、窒化ケイ素、または炭化ケイ素及び窒化ケイ素の難溶性セラミック複合体から選択された材料も含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記作用温度がTgより上約20℃から約90℃の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記ガラスの前記粘度が約107−1011ポイズであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記ガラスの前記粘度が約109ポイズであることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ガラスがサグして前記光学素子の所望の形態へ変形するまで、前記モールドにおいて前記ガラスへ熱及び圧力を加えるステップをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記圧力が、前記モールドの前記第2部分へと駆動される前記第1部分との間で機械的に加えられることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記モールドへブロックを挿入するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記ガラスがウエハーまたはパウダーの形態であるときに前記ブロックが挿入されることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記ブロックのモールディング表面上に、前記作用温度で前記ガラスと反応しない材料層を配置するステップをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記モールド内で前記ガラスを硬化するステップと、前記ガラスを取り除くステップと、得られるガラス製品をさらに処理するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記加熱ステップ及びプレス加工ステップが周囲大気において実施されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記光学素子がミリメートルより小なる表面特徴を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記光学素子が約100ミクロン未満かまたは等しい微細マイクロ構造を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記光学素子が約10ミクロン未満かまたは等しい超微細マイクロ構造を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記光学素子が、レンズ、マイクロレンズ、レンズまたはマイクロレンズのアレイ、回折格子、表面レリーフディフューザー、またはフレネルレンズであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記光学素子が前方監視赤外線(FLIR)システムの一部であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項26】
請求項1の方法に従って製造される精密光学素子。
【請求項27】
モールディングまたはエンボス加工によって光電子素子又は精密光学素子を製造する方法であって、
粒状の、平面の、大きな固体の品目として550℃までのガラス遷移温度(Tg)を有する非酸化ガラスを用意するステップと、
保護被膜を用いて、または用いずに成され得る光学仕上げを施された、重量百分率について、約98−80%のTi、1−10%のAl及び1−10%のVを含む組成を有するチタン合金でできている活性表面を有する2部モールドを用意するステップと、
を含み、
前記活性表面が、
(A)非反応性材料層で被覆されるか、または
(B)チタン合金またはニッケル合金のいずれかから製造されるか、または
(C)チタン合金またはニッケル合金から製造され且つ前記非反応性材料で被覆されるか、
のいずれか任意であって、前記モールドに前記ガラスを詰め、前記Tgより上少なくとも10℃の作用温度に前記モールドを加熱し、
約107から1012ポイズの粘度で前記ガラスを熱プレスする、
ことを特徴とする方法。
【請求項28】
前記熱プレス加工ステップが酸素含有大気内で起こることを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記作用温度が、前記Tgより上約110℃を上回らないことを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記モールドが保護被膜のない金属活性表面を有することを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項31】
少なくとも活性モールディング表面が、ニッケル合金、炭化ケイ素、窒化ケイ素、または炭化ケイ素及び窒化ケイ素の難溶性セラミック複合体から選択された材料も含むことを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項32】
前記ガラスがカルコゲナイドガラスであることを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項33】
前記ガラスがカルコハライドガラスであることを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項34】
前記ガラスがハライドガラスであることを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項35】
前記光電子素子が微細マイクロ構造または超微細マイクロ構造のいずれかを有することを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項36】
前記光電子素子が、レンズ、マイクロレンズ、レンズ又はマイクロレンズのアレイ、回折格子、表面レリーフディフューザー、またはフレネルレンズのいずれかであることを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項37】
前記光電子が前方監視赤外線(FLIR)システムの一部であることを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項38】
前記方法が、前記モールドへブロックを挿入するステップをさらに含み、少なくとも前記ブロックの1つが前記ウエハーまたはパウダーと面する部分を示すことを特徴とする請求項27記載の精密光学素子。
【請求項39】
前記方法が、前記作用温度で前記ガラスと反応しない非反応性材料層を前記ブロックの表面上に配置するステップをさらに含む請求項27記載の精密光学素子。
【請求項40】
前記非反応性材料が窒化ホウ素であることを特徴とする請求項27記載の精密光学素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−504609(P2006−504609A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548403(P2004−548403)
【出願日】平成15年10月20日(2003.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/033261
【国際公開番号】WO2004/039736
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(501246857)コーニング・インコーポレーテッド (37)
【Fターム(参考)】